ここは、幻想郷のとある場所に存在する、プリズムリバー邸。
朝早く、長女のルナサが目にした光景は、凄惨たるものであった。
ルナサ「・・・・・・・・・・・・・。」
家具は倒れ、本やら食器やら楽器やらが、そこらに散乱している。
壁や屋根には穴が開き、大変風通しがよい。
リリカ「ふあ~・・・・・。ねえさ~ん、おはよ~・・・・・。」
三女のリリカが、あくびをしながら姿を現した。
リリカ「夕べの地震、凄かったよね~。って、何コレ?」
ルナサ「地震?」
リリカ「あ、地震のせいで、こんなになっちゃったんだね~。」
ルナサ「リリカ、地震って?」
リリカ「あれ、姉さん気付かなかった?」
リリカは、寝付きのよい姉に、夜中に凄い地震があったことを伝えた。
リリカ「も~色んなものが落ちてきて大変だったの。」
ルナサ「それは、ちゃんと整理整頓しないからよ。普段からしてないでしょ?」
リリカ「そんなことないってば~。・・・・あれ?」
ルナサ「?」
リリカがふと、あることに気付く。
リリカ「メルラン姉さんは~?」
ルナサ「・・・・あれ?」
三姉妹次女、メルランの姿が見えない。
リリカ「メルランねえさ~ん。何処に埋まってるの~?」
呼んでみても、返事は返ってこない。
埋まっているなら、どの道返事は返ってきそうにないが。
リリカ「あ、ひょっとして・・・・・。」
ルナサ「暴走して、外に出た、とか?」
リリカ「だと思うよ~。」
ルナサ「・・・仕方ないな~・・・。」
ルナサが、メルランを探しに出かけようとした。
リリカ「あ、いいの姉さん。メルラン姉さんは、私が探して来るから。」
それを止めるリリカ。
ルナサ「いや、それはいいから、リリカは部屋の片付けを・・・。」
リリカ「それじゃあそういうことで、お片づけよろしく~。」
ルナサ「あ、こら、ちょっと待ちなさい・・・。」
言うが早いが、リリカはさっさと出かけていった。
ルナサ「・・・・逃げられたなぁ・・・・・・。」
酷い状態になったこの家を、自分ひとりで片付けなければいけないのか。
そう思うとルナサは、暗い顔をせざるを得なくなった。
ルナサ「掃除しよう・・・・。」
一人で、今日中に終わらせるのは絶望的だ。
妹二人が早く帰ってくることを願いつつ、ルナサは散らかった家の掃除を始めた。
・
・
・
博麗神社こと、暇得隊本部。
例によって、とはまだ言えないが、ここに暇得隊の面々が集まっていた。
咲夜「では、会議を始めます。」
魔理沙「霊夢がいないぜ。」
訂正。
よく見ると、霊夢が居なかった。
咲夜「今日は霊夢が見回りよ。」
魔理沙「まだ帰ってなかったのか。」
アリス「どっか寄り道してるんでしょ。」
慧音「待つだけ、時間の無駄だな。さっさと始めないか?」
咲夜「そうね。」
霊夢は、勝手に遅刻扱いにされてしまった。
慧音「まずは、先日捕まえた妖怪。あいつを尋問しただろう?結果を聞かせて貰おうか。」
魔理沙「何かわかったのか?」
目線が、咲夜に集中する。
咲夜「わかったと言っていいのかどうか、わからないわね。」
慧音「はっきりしないな。」
咲夜「つまり、こういうこと。」
・
・
・
暗い密室。
そこには、机、椅子、照明が、無造作に置いてある。
咲夜「・・・・・・。」
アリス「・・・・・・。」
ルーミア「う~・・・・・・・。」
咲夜は、椅子に座って腕を組み、ルーミアを見ている。
アリスは、咲夜の傍らに侍る。
そしてルーミアは、咲夜の真正面に座らされている。
咲夜「・・・・・で、何であんなになって暴れてたのよ?」
ルーミア「し、知らないわよ・・・。」
咲夜「正直に答えないと、為にならないわよ・・・・・?」
ドス!
咲夜が、机にナイフを刺す。
ルーミア「ほんとに知らないってば~。」
あくまで、知らぬと答えるルーミア。
もう、涙目である。
アリス「・・・どうする?」
咲夜「これじゃ、埒があかないわね・・・・。」
二人は、少し困ってみる。
そのとき、
ぐ~ぎゅるぎゅる・・・
誰かの腹が、鳴った。
アリス「・・・・・・・。」
咲夜「・・・・・・・。」
ルーミア「あう・・・・。」
発生源は、ルーミアだ。
アリス「カツ丼、食べる?」
ルーミア「あい・・・・・。」
何処から持ってきたのか、何時用意されていたのか。
アリスは、ルーミアにカツ丼を差し出す。
ルーミア「いただきま~す。」
ガツガツガツガツガツ・・・・
余程、お腹が空いていたのか。
ルーミアは、凄い勢いでカツ丼を食す。
ルーミア「ごちそうさま~。」
時間にして約2分。
あっという間に完食してしまった。
ルーミア「は~、生き返った~。」
咲夜「折角だけど、まだ終わっちゃいないわよ。」
ルーミア「うう・・・。ほんとに、何も・・・・。」
アリス「この際何でもいいわ。手がかりになりそうなこと、話してみなさい。」
ルーミア「う~ん・・・・・・・。」
ルーミアは、少々弱そうな頭を活動させる。
ルーミア「確かあの日は、考え事してたのよ。」
咲夜「考え事?」
アリス「どんな?」
ルーミア「最近、私の影が薄くなってきたのは、食いしん坊キャラっていう個性を、
全部あの幽霊に持って行かれたからだって、そう思ったの。」
アリス「単に、新作に出れなかったからだけじゃないの?」
逆恨みにも聞こえるが、本人にしてみれば、死活問題らしい。
ルーミア「考えてるうちに、だんだんムカついてきて・・・・・。その後・・・・?」
咲夜「その後・・・?」
ルーミア「・・・・・あれ?そのあと、何があったんだっけ?」
アリス「覚えてない、のね。」
ルーミア「うん・・・・。」
咲夜「そう。それじゃあ、仕方ないわね。」
取調べは、ここで一旦打ち切られることになった。
・
・
・
咲夜「・・・・と、言う訳。」
魔理沙「なんだ、結局、何もわからんわけか。」
アリス「仕方ないじゃない。本人が覚えてないって言い張るんだから。」
咲夜「あの程度の妖怪、軽く脅しをかけたら、本当のことを吐くと思ったんだけど。」
慧音「何も知らず、か。」
魔理沙「う~ん・・・・。」
落胆の色を隠せない、慧音と魔理沙。
咲夜「何にしても、情報が足りなさ過ぎるわ。」
アリス「巨大妖怪の出現の理由、霊夢の遅刻理由、そして・・・・。」
魔理沙「ウルトララン、か?」
アリス「それはどうでもいいわ。」
魔理沙「そうか。」
慧音「まぁ当面は、現状維持か。」
何の進展もないまま、今日の会議は終わってしまった。
魔理沙「それにしても、遅いな。霊夢は。」
咲夜「待ってれば帰ってくるでしょ。」
アリス「待つの?」
慧音「遅刻には、それなりの罰が無いといかん。」
魔理沙「そうだな。罰として、饅頭でも出してもらうか。どうせ買出しでも行ったんだろ。」
咲夜「そうねぇ。お茶も切らしてるみたいだし。」
アリス「わざわざこんなところに来たんだから、お茶の一杯くらい貰わなきゃねえ。」
慧音「同感だ。」
暇得隊は、霊夢の帰りを待つことにした。
霊夢にとっては、いい迷惑である。
・
・
・
さてこちらは、神社を半ば占拠されている霊夢である。
霊夢「やれやれ・・・・・。今、これをもって帰っても、あいつらに食べられるだけだしなぁ・・・・。」
霊夢は小脇に袋を抱えている。
どうやら、お茶やお茶菓子を、人間の里から買い込んできたらしい。
パトロールついで、だと思いたい。
霊夢「定例会議って、何時終わるのやら・・・・。」
終わるまでは帰れない。
しかし、終わるまで待つのも暇である。
どうしようか、霊夢は思い悩んでいた。
リリカ「あ、紅白の物体発見~。」
霊夢「あ~?」
突如、霊夢の前に、リリカが姿を現した。
霊夢「何よ?」
リリカ「ふむふむ。思い悩んでいるな少女よ。よろしければ、相談に乗ってやろうぞ~。」
霊夢「何、暇なの?」
リリカ「暇に見える?」
霊夢「まぁ、いいけど。」
霊夢はリリカに、暇得隊という組織、その面々が神社を占拠し、食料を強奪していると、
あくまで、自分の主観で、リリカにそのことを話した。
リリカ「なるほど。青春だねぇ。」
霊夢「こんな青春真っ平ご免よ。」
リリカ「う~ん、若いときは、みんなそう言うもんよ。」
霊夢「はぁ~・・・。何でこうなったのやら、説明して欲しいわ・・・・。」
自分で話していて、呆れてきた霊夢。
リリカ「そんなあなたに、朗報~。」
霊夢「朗報?」
リリカ「そっちに、面白いものがあるから、行ってみるといいよ~。」
霊夢「面白いものって・・・・。何企んでるのよ?」
リリカ「何も企んでないってば~。」
リリカは朗報と言うが、霊夢の勘は、そうは言っていない。
しかし、こうしているのも暇なので、
霊夢「仕方ないわね。見てあげるわよ。」
承諾してしまった。
霊夢「こっちの山ね。」
リリカ「そうだよ。」
霊夢は、山の方に飛んでいった。
リリカ「・・・・・。」
リリカは、その様子を黙って見守る。
霊夢「な、何よこれ~~~~!!!」
霊夢の叫びが聞こえた。
そして、
どど~ん!
どど~ん!!
何やら爆発音が響き、
霊夢「この!夢想みょ~・・・・・・。」
べち!
霊夢「う~わ~・・・・・・・・。」
し~ん・・・・・・・
霊夢の断末魔の声の後、何も聴こえなくなった。
リリカ「えへへ~。作戦成功~。あとは・・・。」
リリカは、霊夢が飛んでいった山の方へ向かって行った。
・
・
・
魔理沙「・・・・遅いな。」
アリス「遅いわね。」
霊夢を待つ暇得隊の面々。
しかし、霊夢が帰ってくる気配は、無かった。
咲夜「そろそろ、夕食時よ。」
慧音「お腹空いた・・・。」
魔理沙「作るぜ、食事くらいなら。」
アリス「食材は、あるのかしら?」
魔理沙「霊夢だって、巫女やってるけどそこまで馬鹿じゃない。食料の備蓄ぐらい有るだろ。」
何かと酷い言い方をしつつ、魔理沙は炊事場へ立とうとした。
そのとき。
?「あ~、あ~。暇得隊の諸君に告ぐ~。」
突如外から、誰かが呼びかけてきた。
魔理沙「何だ?」
咲夜「暇得隊の名を知ってる・・・。只者じゃないわね。」
アリス「秘密を知った者は?」
慧音「抹殺だな。」
魔理沙「それじゃ、不届き者を抹殺しに行くか。」
呼びかけに応じ、四人は外に出る。
不届きな誰かを抹殺するためだ。
リリカ「あ、出てきた出てきた。」
不届き者の正体は、リリカ・プリズムリバー。
魔理沙「何しに来た?」
咲夜「まぁ、理由はどうあれ、抹殺だけど。」
咲夜は、殺る気満々だ。
リリカ「お~っと、動いちゃだめだよ~。動くと・・・・。」
リリカは、ちょっと後ろに下がって、
霊夢「ふがふが・・・。」
リリカ「人質がどうなるか、わからないよ~?」
リリカは、ぐるぐる巻きにされ、口を塞がれた霊夢を持ってきた。
霊夢は身動きできず、成す術は無い。
魔理沙「おや。よく見たら霊夢だぜ。」
アリス「らしくないわねぇ。大人しく捕まるなんて。」
咲夜「それより、要求は何なのよ?」
が、周囲からはあんまり心配はされてない。
霊夢「ふがふが・・・・・。」
リリカ「ええと、実は、私たちの家が、片付かなくて困ってるの。」
魔理沙「それがどうした?私の家はいつも散らかってる。秩序を保ったまま、だ。」
アリス「自慢にならないわよ。」
リリカ「原因はね、局地地震のせいなの。」
慧音「局地地震?」
咲夜「ああ、読めた。要は、巨大妖怪の被害に悩まされているわけね。」
リリカ「そのとおり!」
びしっ!と咲夜を指差すリリカ。
リリカ「で、見た感じ、ここの辺りは被害受けてないわけだから~。」
霊夢「もごもごもご・・・・・・・。」
リリカ「とりあえず一ヶ月くらい、泊めてほしいの~。」
どうやら、居候の希望のようだ。
神社に、騒霊が取り憑くということになる。
・・・どこかで似たようなことがあったような気がするが。
霊夢「ふご~~~~!!!」
魔理沙「あ~、別にいいんじゃないか?」
アリス「普段誰も居なくて静かなんだから、少しくらい騒がしい方が丁度いいわ。」
慧音「一ヶ月なんてケチなこと言わず、半年くらい泊めて貰ったらどうだ?」
霊夢「むが~~~!!!」
咲夜「4対1の多数決で、居候決定ね。」
強引に契約を推し進める暇得隊。
リリカ「あ~、よかった。じゃあ、姉さんたちを呼んでくるから、あとよろしく~。」
霊夢「ふご~~~!!」
リリカは何処かに飛んで行き、霊夢はその場に置いていかれた。
暇得隊一同は、霊夢に駆け寄る。
魔理沙「おい霊夢。生きてるか?」
霊夢「ぷは~・・・。あ~、生きてるわよ・・・。」
アリス「それは何よりね。」
霊夢「ってあんたら!勝手に人ん家の住人を増やさないでよ!」
咲夜「だって、部屋とかもてあまし気味でしょ?」
魔理沙「賑やかになって、いいじゃないか。」
霊夢「あんなん引っ越してきたら、ずっと五月蝿いだけだし、それに・・・・。」
ずず~ん・・・
ずず~ん・・・・
霊夢「げ・・・・・。」
慧音「・・・物凄く、嫌な予感がするぞ。」
魔理沙「これはまさしく、お決まりのパターンだ・・・・・・。」
ずず~ん・・・・
メルラン「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
巨大化したメルランが、笑顔とともに現れた。
笑い声もするが、本当に笑い声なのかどうかは微妙なところだ。
霊夢「うわっ!出た!」
魔理沙「何だありゃ。暴走次女が巨大化してるぜ?」
慧音「予感的中だ。」
霊夢「的中させるな~!」
慧音「私に言われてもな。」
霊夢は怒ってみるが、どうにもならない。
どうやら、霊夢はコレにやられて、リリカに捕まったらしい。
ここで、アリスが口を開いた。
アリス「メルラン躁人ね。」
魔理沙「躁人って、何だよ?」
アリス「文字通り、躁病の気があるヒトにつける敬称よ。」
魔理沙「そうなのか?」
慧音「敬称じゃないだろう。」
アリスの一言で、巨大メルランは、『メルラン躁人』と命名された。
ずず~ん・・・・
ずず~ん・・・・
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
霊夢「それより、早くあれを何とかするわよ!このままじゃ神社が壊される~!!」
魔理沙「確かに、あれは居候させれないな。」
アリス「住人が体格を持て余しちゃ、ねぇ。」
咲夜「仕方が無いわねぇ。食い止めるわよ!」
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽ。」
ど~~~ん!!
迎撃に向かう暇得隊だが、彼女らに向かって、メルラン躁人は何かを発射した。
レーザーだ。
慧音「何か来たぞ!」
魔理沙「こんなレーザー、避ければいいんだよ!」
咲夜「魔理沙!そのレーザーは!」
へにょ~~り
魔理沙「何!曲がっ・・・・・!」
どど~ん!
魔理沙「うわ~・・・・・。」
ひゅ~・・・・・・・
妖しい軌道のレーザーに、魔理沙が撃墜されてしまった。
霊夢「ああもう!ちっとも役に立たないんだから!」
咲夜「あいつの、通称『へにょりレーザー』には、どれほど私が苦しめられたか・・・・。」
アリス「まぁ、撃墜された奴なんてほっときましょ。それよりも、あいつを何とかしなきゃね。」
慧音「了解だ。このままじゃ、美味い饅頭がタダで食べれなくなる。」
咲夜「同感。いくわよ!」
霊夢「あんたらにとっちゃ、うちの神社はその程度の価値なのね・・・・。」
魔理沙を除いた四人は、再び迎撃に向かう。
一方、撃墜されてしまった魔理沙は・・・・。
魔理沙「あいたたたた・・・・。くそ、何なんだ一体・・・。」
地面に落ちて、身体の痛むところを摩りつつ、戦況を眺めていた。
どか~ん!
どか~ん!
魔理沙以外の暇得隊の面々が、メルラン躁人に対して攻撃を開始したようだ。
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
変な笑い声が、辺りに響く。
霊夢「あ~もう!ほんと腹が立つわ!」
咲夜「何とかならないもんかしらねぇ・・・・。」
慧音「何とかなったら、苦労はしないぞ。」
見た感じ、暇得隊の旗色は良くない。
魔理沙「ち。どうにも、まともな攻撃は駄目なようだな。」
魔理沙は、帽子の中に手をやり、一枚のスペルカードを取り出す。
魔理沙「出番だぜ、ウルトラランよ。」
その、『藍』と書かれたスペルカードを、魔理沙は天高く掲げた。
ぴか~~~!!
ウルトララン「ヂュワ!」
※説明しよう。
前回不慮の事故で、全身複雑骨折その他で死んでしまった霧雨魔理沙は、
加害者である八雲藍と命を共有することによって、生き延びることに成功した。
『藍』と書かれたスペルカードを使うことにより、藍の意思が表ににあらわれ、
巨大化、すなわち、ウルトラランに変身することができるのだ!
がんばれ、ウルトララン!メルラン躁人を倒すのだ!
霊夢「うわっ!ウルトラランが出た!?」
咲夜「あれが、ウルトラランね。」
アリス「ふうん。始めて見たわ。」
霊夢「何しにきたのよ~・・・・。」
突如登場したウルトラランの動きを、注意深く見守る暇得隊。
ウルトララン「デュワ!」
どかっ!
メルラン躁人「めるぽっ!」
ずず~ん!!
ウルトラランのパンチで、メルラン躁人は地面に倒れた。
咲夜「強い・・・・。」
霊夢「わ~~~!!」
アリス「どうしたのよ?」
霊夢「折角掃除した場所が~!」
慧音「神社壊されるよりは、いいんじゃないか?」
霊夢「こら~!もっと離れたところで戦いなさい!」
ウルトラランに怒鳴る霊夢。
魔理沙(霊夢を怒らせるのは不味い。あっちで戦った方がいいな。)
ウルトララン「ヘアッ!」
がし!
ウルトララン「トア!」
ぽい!
ずず~ん・・・・
メルラン躁人「ぽ~・・・・・。」
ウルトラランはメルラン躁人を掴むと、神社から少し離れた場所へ、投げ捨てた。
霊夢「あ~よかった。あっち行ってくれたわ。」
安堵の息を漏らす霊夢。
ウルトララン「ヘアッ!」
ガッ!
ガッ!
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
ウルトララン「ムムムムム・・・・・・。」
とりあえず、何度も叩いてみたが、効いているのかいないのか、よくわからない。
メルラン躁人は、笑ってばかりである。
メルラン躁人「めるぽっぽっぽ。」
魔理沙(ぽっぽっぽ五月蝿いぜ。早く何とかしろ。)
ウルトララン「ヘアッ!」
ガッ!
ガッ!
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
ウルトララン「(うぐぐ・・・・。余裕たっぷりの笑い、もう勘弁ならん!)」
ぶお~~~ん・・・・・・
ウルトラランが、手に妖気を集中させる。
それは、徐々に大きくなり、ある形をとった。
咲夜「あれは・・・、卍?」
霊夢「アルティメットブディストよ。どうする気なの?」
卍の形をした妖気の塊。
これぞ、ウルトラランの必殺技!
ウルトララン「(必殺!ブディスト光輪!!)」
ぎゅいいいいいいん!!
ウルトラランは巨大な卍を、メルラン躁人に向かって投げた!
全てを切り裂く、ブディスト光輪だ!
べち!
全員「あ。」
情けない音に、全員が一斉に声をあげた。
よく見ると、メルラン躁人の顔面に、ブディスト光輪の平面部分がめり込んでいる。
メルラン躁人の顔に、巨大な卍が描かれたのだ。
ウルトララン「・・・・シュワ・・・・。」
魔理沙(失敗、しただろ?)
ウルトララン「(い、いや、そんなことはない!見ろ!)」
メルラン躁人「めるぽ~・・・・・。」
ずず~~~ん・・・・・
しかし、効果は絶大であったようだ。
ブディスト光輪をぶつけられたメルラン躁人は、その場に倒れてしまった。
魔理沙(あ~・・・。とりあえずは、私の勝利だな。)
ウルトララン「(私の勝利だよ。それより・・・・・)」
魔理沙(ん?)
ウルトララン「(また、あいつが何時襲ってくるともわからん。今のうちに始末しておくのがいいと思うけど?)」
魔理沙(あ~、それもそうだな。)
ウルトララン「(よし、決まり。じゃあ早速・・・)」
テンコー!
テンコー!
魔理沙(げげっ。)
※改めて説明しよう!
ウルトラランは、巨大化の代償として、精神が不安定になる弱点がある!
変身から三分経つと、全ての理性が消え失せて、公衆の面前だろうが何処だろうが、
激しく『スッパテンコー』したくなってしまうのだ!!
このテンコー音は、理性が失われる、一分前の合図である!
音も恥ずかしいが、スッパテンコーはもっと恥ずかしいぞ、ウルトララン!!
ウルトララン「(ああ、いかん・・・・。激しくスッパ・・・・・)」
魔理沙(ええい、やめろ!急いで悪の巣窟を破壊しに行くぞ!)
ウルトララン「ジュワッチ!」
くるくるくる~・・・・
テンコー音とともに、ウルトラランは何処かへ飛んで行った。
霊夢「は~・・・・・。よかった、神社が無事で・・・・。」
咲夜「安心しているところ悪いけど、魔理沙がまた行方不明よ。」
アリス「迷子になりっぱなしね。」
慧音「世話が焼けるな。まったく。」
安心したり呆れたりしつつ、暇得隊は戦後処理、魔理沙の捜索に乗り出した。
一方、
メルラン「ぽ~・・・・・。」
倒されたメルラン躁人は、元の大きさ元の姿、すなわち、メルラン・プリズムリバーに戻っていた。
メルランは、気を失ったままだ。
と、そこへやってくる赤い物体。
リリカ「ねえさ~ん。生きてる~?」
メルラン「ぽ~・・・・・・・・。」
リリカは、メルランに話しかけるが、返事は無い。
しかし、ただの屍ではなく、気絶しているだけだ。
リリカ「も~、居候計画もパーになったし、大人しく、家の片付けしよ。ね?」
メルラン「ぽ~・・・・。」
リリカ「よいしょ。」
リリカはメルランを担ぐと、家の方向に向かって飛んで行った。
その方向は、偶然か必然か、ウルトラランが飛んで行った方向と同じであった・・・・。
・
・
・
こちらは、ウルトラランである。
テンコー音を響かせながら、高速で移動している。
公開スッパテンコーまで、あと何秒か?
テンコー!
テンコー!
ウルトララン「(あああ・・・・。こ、この辺ならヒトは居ないから・・・。)」
魔理沙(着いたぜ!)
ウルトラランは、プリズムリバー邸上空に到達した。
魔理沙(やれ!)
ウルトララン「ジュワ!」
どばあああああああ!!
ウルトラランの必殺、マスター狐狸妖怪レーザーが、プリズムリバー邸に放たれた!
・
・
・
ほんの少しだけ時間を戻して、プリズムリバー邸内部。
ざっざっざっ・・・・・
ルナサ「・・・・・・・・・。」
一人残されたルナサは、ただ黙々と掃除をしていた。
朝に比べ、多少はマシになったような、気がする。
ざっざっざっ・・・・・
ルナサ「掃除が終わらない・・・・・。」
どばああああああああ!!
外から、何やら音が聴こえた。
ルナサ「ん?」
ルナサがそれに気付いた、次の瞬間!
どっか~~~~~~~ん!!!!
プリズムリバー邸は、跡形も無く消え失せた。
ガラガラガラ・・・・
ルナサ「・・・・・・・・・・一体、何が・・・・・・・・・?」
瓦礫の中から這い出るルナサ。
だが、自分の身に何が起こったのか、彼女には理解できなかった。
家の上空には、ウルトラランが存在していることにすら、気付くことは無かった。
テンコー! テンコー! テンコー!
ウルトララン「シュワッチ!」
くるくるくるくる~・・・・・・
そんなことお構いなしに、ウルトラランは、どこぞに飛んでいった。
リリカ「ただいま~。」
メルラン「ぽ~・・・・・・。」
殆ど入れ替わりに、リリカがメルランを担いで帰ってきた。
リリカ「姉さん、生きてる~?」
ルナサ「・・・・・・・・辛うじてね。」
リリカ「あ~あ・・・・。これは、修復不可能ね~。」
ルナサ「・・・・・・・・そうね。」
リリカ「どうする?冬は間近だよ?」
ルナサ「・・・・・私は、もう眠いよ、リリカ・・・・。」
リリカ「このまま寝たら死んじゃうよぉ。・・・・・よ~し!」
リリカは、何かを思い立った。
リリカ「待ってて、姉さん達!暫くご厄介になれそうなところを見つけてくるから!」
ルナサ「リリカ、ちょっと待って・・・・。」
リリカ「じゅわ!」
ウルトラランの掛け声っぽく、リリカは何処かへ飛んでいった。
ルナサ「・・・・・せめて、ここから出してくれても・・・・・。」
メルラン「ぽ~・・・・・・。」
メルランは気を失ったままである。
結局ルナサが救助されたのは、リリカが永い寄り道の末帰ってきた後だったそうな・・・・。
・
・
・
さて、一難去った博麗神社である。
霊夢「ちょっと魔理沙~。何処居るの~?」
アリス「ほんと、何処行ったのよ。」
魔理沙の捜索を進める暇得隊。
しかし、見つかる気配は無かった。
咲夜「死んだかな?」
慧音「こんな時に、死なれちゃ困る。」
アリス「いい加減、明日に回さない?」
霊夢「そうね。一日放っておいたくらいで、魔理沙が死んだり腐ったりするとも思えないし。」
暇得隊は、捜索を割と簡単に断念しようとした。
魔理沙「簡単に諦めるな。諦めたら終わりだ。前へ進め。」
霊夢「あ、いた。」
何やらカッコいい台詞を吐きつつ、魔理沙が姿を現した。
咲夜「何処行ってたのよ?」
魔理沙「あ~、あの後記憶を失い、各地を彷徨った挙句、伝説の勇者として魔王と戦ううちに記憶を取り戻し・・・。」
霊夢「わかったわかった。とにかく、何事も無くてよかったってことでしょ。」
慧音「何事も無かったということで、今日は解散だな。」
アリス「そうね。」
魔理沙「おっと、その前に食事だぜ。なぁ霊夢よ。」
霊夢「何で私にたかるのよ・・・・。って、あ~~~~!!」
咲夜「どうしたのよ?」
霊夢「買って来たお茶にお饅頭!!あいつ、何処にやったのよ!!」
アリス「なんだ。やっぱり寄り道してたのね。」
霊夢「草の根を分けてでも、探し出してやるわ!」
騒ぐだけ騒いで、霊夢は飛んで行ってしまった。
魔理沙「さて、食事の準備でもしておくか。少しは機嫌が直るだろ。」
アリス「あら、機嫌取りだなんて、らしくないわね。」
魔理沙「勘違いするなよ。あんまり機嫌悪かったら、神社で会議が出来なくなる。」
人妖が集まるのに、博麗神社ほど適した場所は無い。
魔理沙「出来るだけ、機嫌は損ねないほうがいいぜ。ウルトラランも、な。」
アリス「ウルトララン、居ないなじゃない。」
魔理沙「ああ、そうだったな。まだ、へにょりの後遺症があるみたいだ。」
後遺症があると言いつつも魔理沙は、軽い足取りで神社の炊事場へ向かう。
魔理沙「せいぜい、気をつけろよ。」
藍「(ああ、覚えておく。)」
誰も居ないところで魔理沙は、自分の中の藍に忠告しておいた。
その後、饅頭とお茶を見つけれなかった霊夢をなだめつつ、
暇得隊は、夕食をとって、それぞれの家に戻っていった。
朝早く、長女のルナサが目にした光景は、凄惨たるものであった。
ルナサ「・・・・・・・・・・・・・。」
家具は倒れ、本やら食器やら楽器やらが、そこらに散乱している。
壁や屋根には穴が開き、大変風通しがよい。
リリカ「ふあ~・・・・・。ねえさ~ん、おはよ~・・・・・。」
三女のリリカが、あくびをしながら姿を現した。
リリカ「夕べの地震、凄かったよね~。って、何コレ?」
ルナサ「地震?」
リリカ「あ、地震のせいで、こんなになっちゃったんだね~。」
ルナサ「リリカ、地震って?」
リリカ「あれ、姉さん気付かなかった?」
リリカは、寝付きのよい姉に、夜中に凄い地震があったことを伝えた。
リリカ「も~色んなものが落ちてきて大変だったの。」
ルナサ「それは、ちゃんと整理整頓しないからよ。普段からしてないでしょ?」
リリカ「そんなことないってば~。・・・・あれ?」
ルナサ「?」
リリカがふと、あることに気付く。
リリカ「メルラン姉さんは~?」
ルナサ「・・・・あれ?」
三姉妹次女、メルランの姿が見えない。
リリカ「メルランねえさ~ん。何処に埋まってるの~?」
呼んでみても、返事は返ってこない。
埋まっているなら、どの道返事は返ってきそうにないが。
リリカ「あ、ひょっとして・・・・・。」
ルナサ「暴走して、外に出た、とか?」
リリカ「だと思うよ~。」
ルナサ「・・・仕方ないな~・・・。」
ルナサが、メルランを探しに出かけようとした。
リリカ「あ、いいの姉さん。メルラン姉さんは、私が探して来るから。」
それを止めるリリカ。
ルナサ「いや、それはいいから、リリカは部屋の片付けを・・・。」
リリカ「それじゃあそういうことで、お片づけよろしく~。」
ルナサ「あ、こら、ちょっと待ちなさい・・・。」
言うが早いが、リリカはさっさと出かけていった。
ルナサ「・・・・逃げられたなぁ・・・・・・。」
酷い状態になったこの家を、自分ひとりで片付けなければいけないのか。
そう思うとルナサは、暗い顔をせざるを得なくなった。
ルナサ「掃除しよう・・・・。」
一人で、今日中に終わらせるのは絶望的だ。
妹二人が早く帰ってくることを願いつつ、ルナサは散らかった家の掃除を始めた。
・
・
・
博麗神社こと、暇得隊本部。
例によって、とはまだ言えないが、ここに暇得隊の面々が集まっていた。
咲夜「では、会議を始めます。」
魔理沙「霊夢がいないぜ。」
訂正。
よく見ると、霊夢が居なかった。
咲夜「今日は霊夢が見回りよ。」
魔理沙「まだ帰ってなかったのか。」
アリス「どっか寄り道してるんでしょ。」
慧音「待つだけ、時間の無駄だな。さっさと始めないか?」
咲夜「そうね。」
霊夢は、勝手に遅刻扱いにされてしまった。
慧音「まずは、先日捕まえた妖怪。あいつを尋問しただろう?結果を聞かせて貰おうか。」
魔理沙「何かわかったのか?」
目線が、咲夜に集中する。
咲夜「わかったと言っていいのかどうか、わからないわね。」
慧音「はっきりしないな。」
咲夜「つまり、こういうこと。」
・
・
・
暗い密室。
そこには、机、椅子、照明が、無造作に置いてある。
咲夜「・・・・・・。」
アリス「・・・・・・。」
ルーミア「う~・・・・・・・。」
咲夜は、椅子に座って腕を組み、ルーミアを見ている。
アリスは、咲夜の傍らに侍る。
そしてルーミアは、咲夜の真正面に座らされている。
咲夜「・・・・・で、何であんなになって暴れてたのよ?」
ルーミア「し、知らないわよ・・・。」
咲夜「正直に答えないと、為にならないわよ・・・・・?」
ドス!
咲夜が、机にナイフを刺す。
ルーミア「ほんとに知らないってば~。」
あくまで、知らぬと答えるルーミア。
もう、涙目である。
アリス「・・・どうする?」
咲夜「これじゃ、埒があかないわね・・・・。」
二人は、少し困ってみる。
そのとき、
ぐ~ぎゅるぎゅる・・・
誰かの腹が、鳴った。
アリス「・・・・・・・。」
咲夜「・・・・・・・。」
ルーミア「あう・・・・。」
発生源は、ルーミアだ。
アリス「カツ丼、食べる?」
ルーミア「あい・・・・・。」
何処から持ってきたのか、何時用意されていたのか。
アリスは、ルーミアにカツ丼を差し出す。
ルーミア「いただきま~す。」
ガツガツガツガツガツ・・・・
余程、お腹が空いていたのか。
ルーミアは、凄い勢いでカツ丼を食す。
ルーミア「ごちそうさま~。」
時間にして約2分。
あっという間に完食してしまった。
ルーミア「は~、生き返った~。」
咲夜「折角だけど、まだ終わっちゃいないわよ。」
ルーミア「うう・・・。ほんとに、何も・・・・。」
アリス「この際何でもいいわ。手がかりになりそうなこと、話してみなさい。」
ルーミア「う~ん・・・・・・・。」
ルーミアは、少々弱そうな頭を活動させる。
ルーミア「確かあの日は、考え事してたのよ。」
咲夜「考え事?」
アリス「どんな?」
ルーミア「最近、私の影が薄くなってきたのは、食いしん坊キャラっていう個性を、
全部あの幽霊に持って行かれたからだって、そう思ったの。」
アリス「単に、新作に出れなかったからだけじゃないの?」
逆恨みにも聞こえるが、本人にしてみれば、死活問題らしい。
ルーミア「考えてるうちに、だんだんムカついてきて・・・・・。その後・・・・?」
咲夜「その後・・・?」
ルーミア「・・・・・あれ?そのあと、何があったんだっけ?」
アリス「覚えてない、のね。」
ルーミア「うん・・・・。」
咲夜「そう。それじゃあ、仕方ないわね。」
取調べは、ここで一旦打ち切られることになった。
・
・
・
咲夜「・・・・と、言う訳。」
魔理沙「なんだ、結局、何もわからんわけか。」
アリス「仕方ないじゃない。本人が覚えてないって言い張るんだから。」
咲夜「あの程度の妖怪、軽く脅しをかけたら、本当のことを吐くと思ったんだけど。」
慧音「何も知らず、か。」
魔理沙「う~ん・・・・。」
落胆の色を隠せない、慧音と魔理沙。
咲夜「何にしても、情報が足りなさ過ぎるわ。」
アリス「巨大妖怪の出現の理由、霊夢の遅刻理由、そして・・・・。」
魔理沙「ウルトララン、か?」
アリス「それはどうでもいいわ。」
魔理沙「そうか。」
慧音「まぁ当面は、現状維持か。」
何の進展もないまま、今日の会議は終わってしまった。
魔理沙「それにしても、遅いな。霊夢は。」
咲夜「待ってれば帰ってくるでしょ。」
アリス「待つの?」
慧音「遅刻には、それなりの罰が無いといかん。」
魔理沙「そうだな。罰として、饅頭でも出してもらうか。どうせ買出しでも行ったんだろ。」
咲夜「そうねぇ。お茶も切らしてるみたいだし。」
アリス「わざわざこんなところに来たんだから、お茶の一杯くらい貰わなきゃねえ。」
慧音「同感だ。」
暇得隊は、霊夢の帰りを待つことにした。
霊夢にとっては、いい迷惑である。
・
・
・
さてこちらは、神社を半ば占拠されている霊夢である。
霊夢「やれやれ・・・・・。今、これをもって帰っても、あいつらに食べられるだけだしなぁ・・・・。」
霊夢は小脇に袋を抱えている。
どうやら、お茶やお茶菓子を、人間の里から買い込んできたらしい。
パトロールついで、だと思いたい。
霊夢「定例会議って、何時終わるのやら・・・・。」
終わるまでは帰れない。
しかし、終わるまで待つのも暇である。
どうしようか、霊夢は思い悩んでいた。
リリカ「あ、紅白の物体発見~。」
霊夢「あ~?」
突如、霊夢の前に、リリカが姿を現した。
霊夢「何よ?」
リリカ「ふむふむ。思い悩んでいるな少女よ。よろしければ、相談に乗ってやろうぞ~。」
霊夢「何、暇なの?」
リリカ「暇に見える?」
霊夢「まぁ、いいけど。」
霊夢はリリカに、暇得隊という組織、その面々が神社を占拠し、食料を強奪していると、
あくまで、自分の主観で、リリカにそのことを話した。
リリカ「なるほど。青春だねぇ。」
霊夢「こんな青春真っ平ご免よ。」
リリカ「う~ん、若いときは、みんなそう言うもんよ。」
霊夢「はぁ~・・・。何でこうなったのやら、説明して欲しいわ・・・・。」
自分で話していて、呆れてきた霊夢。
リリカ「そんなあなたに、朗報~。」
霊夢「朗報?」
リリカ「そっちに、面白いものがあるから、行ってみるといいよ~。」
霊夢「面白いものって・・・・。何企んでるのよ?」
リリカ「何も企んでないってば~。」
リリカは朗報と言うが、霊夢の勘は、そうは言っていない。
しかし、こうしているのも暇なので、
霊夢「仕方ないわね。見てあげるわよ。」
承諾してしまった。
霊夢「こっちの山ね。」
リリカ「そうだよ。」
霊夢は、山の方に飛んでいった。
リリカ「・・・・・。」
リリカは、その様子を黙って見守る。
霊夢「な、何よこれ~~~~!!!」
霊夢の叫びが聞こえた。
そして、
どど~ん!
どど~ん!!
何やら爆発音が響き、
霊夢「この!夢想みょ~・・・・・・。」
べち!
霊夢「う~わ~・・・・・・・・。」
し~ん・・・・・・・
霊夢の断末魔の声の後、何も聴こえなくなった。
リリカ「えへへ~。作戦成功~。あとは・・・。」
リリカは、霊夢が飛んでいった山の方へ向かって行った。
・
・
・
魔理沙「・・・・遅いな。」
アリス「遅いわね。」
霊夢を待つ暇得隊の面々。
しかし、霊夢が帰ってくる気配は、無かった。
咲夜「そろそろ、夕食時よ。」
慧音「お腹空いた・・・。」
魔理沙「作るぜ、食事くらいなら。」
アリス「食材は、あるのかしら?」
魔理沙「霊夢だって、巫女やってるけどそこまで馬鹿じゃない。食料の備蓄ぐらい有るだろ。」
何かと酷い言い方をしつつ、魔理沙は炊事場へ立とうとした。
そのとき。
?「あ~、あ~。暇得隊の諸君に告ぐ~。」
突如外から、誰かが呼びかけてきた。
魔理沙「何だ?」
咲夜「暇得隊の名を知ってる・・・。只者じゃないわね。」
アリス「秘密を知った者は?」
慧音「抹殺だな。」
魔理沙「それじゃ、不届き者を抹殺しに行くか。」
呼びかけに応じ、四人は外に出る。
不届きな誰かを抹殺するためだ。
リリカ「あ、出てきた出てきた。」
不届き者の正体は、リリカ・プリズムリバー。
魔理沙「何しに来た?」
咲夜「まぁ、理由はどうあれ、抹殺だけど。」
咲夜は、殺る気満々だ。
リリカ「お~っと、動いちゃだめだよ~。動くと・・・・。」
リリカは、ちょっと後ろに下がって、
霊夢「ふがふが・・・。」
リリカ「人質がどうなるか、わからないよ~?」
リリカは、ぐるぐる巻きにされ、口を塞がれた霊夢を持ってきた。
霊夢は身動きできず、成す術は無い。
魔理沙「おや。よく見たら霊夢だぜ。」
アリス「らしくないわねぇ。大人しく捕まるなんて。」
咲夜「それより、要求は何なのよ?」
が、周囲からはあんまり心配はされてない。
霊夢「ふがふが・・・・・。」
リリカ「ええと、実は、私たちの家が、片付かなくて困ってるの。」
魔理沙「それがどうした?私の家はいつも散らかってる。秩序を保ったまま、だ。」
アリス「自慢にならないわよ。」
リリカ「原因はね、局地地震のせいなの。」
慧音「局地地震?」
咲夜「ああ、読めた。要は、巨大妖怪の被害に悩まされているわけね。」
リリカ「そのとおり!」
びしっ!と咲夜を指差すリリカ。
リリカ「で、見た感じ、ここの辺りは被害受けてないわけだから~。」
霊夢「もごもごもご・・・・・・・。」
リリカ「とりあえず一ヶ月くらい、泊めてほしいの~。」
どうやら、居候の希望のようだ。
神社に、騒霊が取り憑くということになる。
・・・どこかで似たようなことがあったような気がするが。
霊夢「ふご~~~~!!!」
魔理沙「あ~、別にいいんじゃないか?」
アリス「普段誰も居なくて静かなんだから、少しくらい騒がしい方が丁度いいわ。」
慧音「一ヶ月なんてケチなこと言わず、半年くらい泊めて貰ったらどうだ?」
霊夢「むが~~~!!!」
咲夜「4対1の多数決で、居候決定ね。」
強引に契約を推し進める暇得隊。
リリカ「あ~、よかった。じゃあ、姉さんたちを呼んでくるから、あとよろしく~。」
霊夢「ふご~~~!!」
リリカは何処かに飛んで行き、霊夢はその場に置いていかれた。
暇得隊一同は、霊夢に駆け寄る。
魔理沙「おい霊夢。生きてるか?」
霊夢「ぷは~・・・。あ~、生きてるわよ・・・。」
アリス「それは何よりね。」
霊夢「ってあんたら!勝手に人ん家の住人を増やさないでよ!」
咲夜「だって、部屋とかもてあまし気味でしょ?」
魔理沙「賑やかになって、いいじゃないか。」
霊夢「あんなん引っ越してきたら、ずっと五月蝿いだけだし、それに・・・・。」
ずず~ん・・・
ずず~ん・・・・
霊夢「げ・・・・・。」
慧音「・・・物凄く、嫌な予感がするぞ。」
魔理沙「これはまさしく、お決まりのパターンだ・・・・・・。」
ずず~ん・・・・
メルラン「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
巨大化したメルランが、笑顔とともに現れた。
笑い声もするが、本当に笑い声なのかどうかは微妙なところだ。
霊夢「うわっ!出た!」
魔理沙「何だありゃ。暴走次女が巨大化してるぜ?」
慧音「予感的中だ。」
霊夢「的中させるな~!」
慧音「私に言われてもな。」
霊夢は怒ってみるが、どうにもならない。
どうやら、霊夢はコレにやられて、リリカに捕まったらしい。
ここで、アリスが口を開いた。
アリス「メルラン躁人ね。」
魔理沙「躁人って、何だよ?」
アリス「文字通り、躁病の気があるヒトにつける敬称よ。」
魔理沙「そうなのか?」
慧音「敬称じゃないだろう。」
アリスの一言で、巨大メルランは、『メルラン躁人』と命名された。
ずず~ん・・・・
ずず~ん・・・・
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
霊夢「それより、早くあれを何とかするわよ!このままじゃ神社が壊される~!!」
魔理沙「確かに、あれは居候させれないな。」
アリス「住人が体格を持て余しちゃ、ねぇ。」
咲夜「仕方が無いわねぇ。食い止めるわよ!」
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽ。」
ど~~~ん!!
迎撃に向かう暇得隊だが、彼女らに向かって、メルラン躁人は何かを発射した。
レーザーだ。
慧音「何か来たぞ!」
魔理沙「こんなレーザー、避ければいいんだよ!」
咲夜「魔理沙!そのレーザーは!」
へにょ~~り
魔理沙「何!曲がっ・・・・・!」
どど~ん!
魔理沙「うわ~・・・・・。」
ひゅ~・・・・・・・
妖しい軌道のレーザーに、魔理沙が撃墜されてしまった。
霊夢「ああもう!ちっとも役に立たないんだから!」
咲夜「あいつの、通称『へにょりレーザー』には、どれほど私が苦しめられたか・・・・。」
アリス「まぁ、撃墜された奴なんてほっときましょ。それよりも、あいつを何とかしなきゃね。」
慧音「了解だ。このままじゃ、美味い饅頭がタダで食べれなくなる。」
咲夜「同感。いくわよ!」
霊夢「あんたらにとっちゃ、うちの神社はその程度の価値なのね・・・・。」
魔理沙を除いた四人は、再び迎撃に向かう。
一方、撃墜されてしまった魔理沙は・・・・。
魔理沙「あいたたたた・・・・。くそ、何なんだ一体・・・。」
地面に落ちて、身体の痛むところを摩りつつ、戦況を眺めていた。
どか~ん!
どか~ん!
魔理沙以外の暇得隊の面々が、メルラン躁人に対して攻撃を開始したようだ。
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
変な笑い声が、辺りに響く。
霊夢「あ~もう!ほんと腹が立つわ!」
咲夜「何とかならないもんかしらねぇ・・・・。」
慧音「何とかなったら、苦労はしないぞ。」
見た感じ、暇得隊の旗色は良くない。
魔理沙「ち。どうにも、まともな攻撃は駄目なようだな。」
魔理沙は、帽子の中に手をやり、一枚のスペルカードを取り出す。
魔理沙「出番だぜ、ウルトラランよ。」
その、『藍』と書かれたスペルカードを、魔理沙は天高く掲げた。
ぴか~~~!!
ウルトララン「ヂュワ!」
※説明しよう。
前回不慮の事故で、全身複雑骨折その他で死んでしまった霧雨魔理沙は、
加害者である八雲藍と命を共有することによって、生き延びることに成功した。
『藍』と書かれたスペルカードを使うことにより、藍の意思が表ににあらわれ、
巨大化、すなわち、ウルトラランに変身することができるのだ!
がんばれ、ウルトララン!メルラン躁人を倒すのだ!
霊夢「うわっ!ウルトラランが出た!?」
咲夜「あれが、ウルトラランね。」
アリス「ふうん。始めて見たわ。」
霊夢「何しにきたのよ~・・・・。」
突如登場したウルトラランの動きを、注意深く見守る暇得隊。
ウルトララン「デュワ!」
どかっ!
メルラン躁人「めるぽっ!」
ずず~ん!!
ウルトラランのパンチで、メルラン躁人は地面に倒れた。
咲夜「強い・・・・。」
霊夢「わ~~~!!」
アリス「どうしたのよ?」
霊夢「折角掃除した場所が~!」
慧音「神社壊されるよりは、いいんじゃないか?」
霊夢「こら~!もっと離れたところで戦いなさい!」
ウルトラランに怒鳴る霊夢。
魔理沙(霊夢を怒らせるのは不味い。あっちで戦った方がいいな。)
ウルトララン「ヘアッ!」
がし!
ウルトララン「トア!」
ぽい!
ずず~ん・・・・
メルラン躁人「ぽ~・・・・・。」
ウルトラランはメルラン躁人を掴むと、神社から少し離れた場所へ、投げ捨てた。
霊夢「あ~よかった。あっち行ってくれたわ。」
安堵の息を漏らす霊夢。
ウルトララン「ヘアッ!」
ガッ!
ガッ!
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
ウルトララン「ムムムムム・・・・・・。」
とりあえず、何度も叩いてみたが、効いているのかいないのか、よくわからない。
メルラン躁人は、笑ってばかりである。
メルラン躁人「めるぽっぽっぽ。」
魔理沙(ぽっぽっぽ五月蝿いぜ。早く何とかしろ。)
ウルトララン「ヘアッ!」
ガッ!
ガッ!
メルラン躁人「めるぽっぽっぽっぽっぽ。」
ウルトララン「(うぐぐ・・・・。余裕たっぷりの笑い、もう勘弁ならん!)」
ぶお~~~ん・・・・・・
ウルトラランが、手に妖気を集中させる。
それは、徐々に大きくなり、ある形をとった。
咲夜「あれは・・・、卍?」
霊夢「アルティメットブディストよ。どうする気なの?」
卍の形をした妖気の塊。
これぞ、ウルトラランの必殺技!
ウルトララン「(必殺!ブディスト光輪!!)」
ぎゅいいいいいいん!!
ウルトラランは巨大な卍を、メルラン躁人に向かって投げた!
全てを切り裂く、ブディスト光輪だ!
べち!
全員「あ。」
情けない音に、全員が一斉に声をあげた。
よく見ると、メルラン躁人の顔面に、ブディスト光輪の平面部分がめり込んでいる。
メルラン躁人の顔に、巨大な卍が描かれたのだ。
ウルトララン「・・・・シュワ・・・・。」
魔理沙(失敗、しただろ?)
ウルトララン「(い、いや、そんなことはない!見ろ!)」
メルラン躁人「めるぽ~・・・・・。」
ずず~~~ん・・・・・
しかし、効果は絶大であったようだ。
ブディスト光輪をぶつけられたメルラン躁人は、その場に倒れてしまった。
魔理沙(あ~・・・。とりあえずは、私の勝利だな。)
ウルトララン「(私の勝利だよ。それより・・・・・)」
魔理沙(ん?)
ウルトララン「(また、あいつが何時襲ってくるともわからん。今のうちに始末しておくのがいいと思うけど?)」
魔理沙(あ~、それもそうだな。)
ウルトララン「(よし、決まり。じゃあ早速・・・)」
テンコー!
テンコー!
魔理沙(げげっ。)
※改めて説明しよう!
ウルトラランは、巨大化の代償として、精神が不安定になる弱点がある!
変身から三分経つと、全ての理性が消え失せて、公衆の面前だろうが何処だろうが、
激しく『スッパテンコー』したくなってしまうのだ!!
このテンコー音は、理性が失われる、一分前の合図である!
音も恥ずかしいが、スッパテンコーはもっと恥ずかしいぞ、ウルトララン!!
ウルトララン「(ああ、いかん・・・・。激しくスッパ・・・・・)」
魔理沙(ええい、やめろ!急いで悪の巣窟を破壊しに行くぞ!)
ウルトララン「ジュワッチ!」
くるくるくる~・・・・
テンコー音とともに、ウルトラランは何処かへ飛んで行った。
霊夢「は~・・・・・。よかった、神社が無事で・・・・。」
咲夜「安心しているところ悪いけど、魔理沙がまた行方不明よ。」
アリス「迷子になりっぱなしね。」
慧音「世話が焼けるな。まったく。」
安心したり呆れたりしつつ、暇得隊は戦後処理、魔理沙の捜索に乗り出した。
一方、
メルラン「ぽ~・・・・・。」
倒されたメルラン躁人は、元の大きさ元の姿、すなわち、メルラン・プリズムリバーに戻っていた。
メルランは、気を失ったままだ。
と、そこへやってくる赤い物体。
リリカ「ねえさ~ん。生きてる~?」
メルラン「ぽ~・・・・・・・・。」
リリカは、メルランに話しかけるが、返事は無い。
しかし、ただの屍ではなく、気絶しているだけだ。
リリカ「も~、居候計画もパーになったし、大人しく、家の片付けしよ。ね?」
メルラン「ぽ~・・・・。」
リリカ「よいしょ。」
リリカはメルランを担ぐと、家の方向に向かって飛んで行った。
その方向は、偶然か必然か、ウルトラランが飛んで行った方向と同じであった・・・・。
・
・
・
こちらは、ウルトラランである。
テンコー音を響かせながら、高速で移動している。
公開スッパテンコーまで、あと何秒か?
テンコー!
テンコー!
ウルトララン「(あああ・・・・。こ、この辺ならヒトは居ないから・・・。)」
魔理沙(着いたぜ!)
ウルトラランは、プリズムリバー邸上空に到達した。
魔理沙(やれ!)
ウルトララン「ジュワ!」
どばあああああああ!!
ウルトラランの必殺、マスター狐狸妖怪レーザーが、プリズムリバー邸に放たれた!
・
・
・
ほんの少しだけ時間を戻して、プリズムリバー邸内部。
ざっざっざっ・・・・・
ルナサ「・・・・・・・・・。」
一人残されたルナサは、ただ黙々と掃除をしていた。
朝に比べ、多少はマシになったような、気がする。
ざっざっざっ・・・・・
ルナサ「掃除が終わらない・・・・・。」
どばああああああああ!!
外から、何やら音が聴こえた。
ルナサ「ん?」
ルナサがそれに気付いた、次の瞬間!
どっか~~~~~~~ん!!!!
プリズムリバー邸は、跡形も無く消え失せた。
ガラガラガラ・・・・
ルナサ「・・・・・・・・・・一体、何が・・・・・・・・・?」
瓦礫の中から這い出るルナサ。
だが、自分の身に何が起こったのか、彼女には理解できなかった。
家の上空には、ウルトラランが存在していることにすら、気付くことは無かった。
テンコー! テンコー! テンコー!
ウルトララン「シュワッチ!」
くるくるくるくる~・・・・・・
そんなことお構いなしに、ウルトラランは、どこぞに飛んでいった。
リリカ「ただいま~。」
メルラン「ぽ~・・・・・・。」
殆ど入れ替わりに、リリカがメルランを担いで帰ってきた。
リリカ「姉さん、生きてる~?」
ルナサ「・・・・・・・・辛うじてね。」
リリカ「あ~あ・・・・。これは、修復不可能ね~。」
ルナサ「・・・・・・・・そうね。」
リリカ「どうする?冬は間近だよ?」
ルナサ「・・・・・私は、もう眠いよ、リリカ・・・・。」
リリカ「このまま寝たら死んじゃうよぉ。・・・・・よ~し!」
リリカは、何かを思い立った。
リリカ「待ってて、姉さん達!暫くご厄介になれそうなところを見つけてくるから!」
ルナサ「リリカ、ちょっと待って・・・・。」
リリカ「じゅわ!」
ウルトラランの掛け声っぽく、リリカは何処かへ飛んでいった。
ルナサ「・・・・・せめて、ここから出してくれても・・・・・。」
メルラン「ぽ~・・・・・・。」
メルランは気を失ったままである。
結局ルナサが救助されたのは、リリカが永い寄り道の末帰ってきた後だったそうな・・・・。
・
・
・
さて、一難去った博麗神社である。
霊夢「ちょっと魔理沙~。何処居るの~?」
アリス「ほんと、何処行ったのよ。」
魔理沙の捜索を進める暇得隊。
しかし、見つかる気配は無かった。
咲夜「死んだかな?」
慧音「こんな時に、死なれちゃ困る。」
アリス「いい加減、明日に回さない?」
霊夢「そうね。一日放っておいたくらいで、魔理沙が死んだり腐ったりするとも思えないし。」
暇得隊は、捜索を割と簡単に断念しようとした。
魔理沙「簡単に諦めるな。諦めたら終わりだ。前へ進め。」
霊夢「あ、いた。」
何やらカッコいい台詞を吐きつつ、魔理沙が姿を現した。
咲夜「何処行ってたのよ?」
魔理沙「あ~、あの後記憶を失い、各地を彷徨った挙句、伝説の勇者として魔王と戦ううちに記憶を取り戻し・・・。」
霊夢「わかったわかった。とにかく、何事も無くてよかったってことでしょ。」
慧音「何事も無かったということで、今日は解散だな。」
アリス「そうね。」
魔理沙「おっと、その前に食事だぜ。なぁ霊夢よ。」
霊夢「何で私にたかるのよ・・・・。って、あ~~~~!!」
咲夜「どうしたのよ?」
霊夢「買って来たお茶にお饅頭!!あいつ、何処にやったのよ!!」
アリス「なんだ。やっぱり寄り道してたのね。」
霊夢「草の根を分けてでも、探し出してやるわ!」
騒ぐだけ騒いで、霊夢は飛んで行ってしまった。
魔理沙「さて、食事の準備でもしておくか。少しは機嫌が直るだろ。」
アリス「あら、機嫌取りだなんて、らしくないわね。」
魔理沙「勘違いするなよ。あんまり機嫌悪かったら、神社で会議が出来なくなる。」
人妖が集まるのに、博麗神社ほど適した場所は無い。
魔理沙「出来るだけ、機嫌は損ねないほうがいいぜ。ウルトラランも、な。」
アリス「ウルトララン、居ないなじゃない。」
魔理沙「ああ、そうだったな。まだ、へにょりの後遺症があるみたいだ。」
後遺症があると言いつつも魔理沙は、軽い足取りで神社の炊事場へ向かう。
魔理沙「せいぜい、気をつけろよ。」
藍「(ああ、覚えておく。)」
誰も居ないところで魔理沙は、自分の中の藍に忠告しておいた。
その後、饅頭とお茶を見つけれなかった霊夢をなだめつつ、
暇得隊は、夕食をとって、それぞれの家に戻っていった。
・・・・・でも似たようなものか^^;