※注意
この話では、「リグルは男の子」という事が前提になっています。
「ねえリグル、アンタってまだここの事よく知らないでしょ?」
「ここって・・・・・地上の事?」
「そうよ。まあ、まだ1週間も経ってないんじゃしょうがないけどさ」
「・・・・・・まぁね。でも、躍起になって色んな所を見て回ってたら疲れちゃうよ」
「・・・ふふ~ん・・・・・そ・こ・で!私が観光案内してあげるわ」
「チルノが・・・?・・・・・・どこを?」
「この湖!(ビシッ)」
リグルが地上に姿を現して、はや数日が経った。
2週間しか地上にいられないリグルにとって、あちこち見て回るというのは意味がないように思われる。
だがそれをチルノが納得しなかった。まだ地上に慣れないリグルの為にと、そして少しでも長く遊びたい為にと、
彼女は幻想郷案内をしようと思い立ったのだ。
・・・・・・とはいうものの、幻想郷といえども狭くはない。1日か2日で全てを見て回るのはとても不可能だ。
だが自分が棲む湖をぐるり1周遊覧飛行なら、多少ゆっくり飛んでも一晩で済む。
チルノの土地勘もあり、この案にはリグルも文句なく賛成した。
「この湖、結構大きいからね~。岸に沿って飛ぶだけでも色んな物が見えてくるわよ」
「へ~、楽しみ~!」
「・・・・・・・よーし、それじゃ早速出発!」
リグルの手を引き、チルノは夜空へ飛び立った。
「・・・・・・ほら、向こうに見える館が通称『紅魔館』。あそこにはやたら強い吸血鬼とかがいるのよ」
「へぇ~・・・・・・・」
「それで、え~と・・・・・あ、あれだ。紅魔館からずっと右の方に紅い鳥居があるのが見える?あそこには神社があるの」
「神社かぁ・・・・・・ねぇ、あそこには誰か住んでるの?」
「紅白の巫女がいるわ。人間のくせにとんでもなく強くて手ぇ出せないけど」
ここぞとばかりに自分が知る全ての事をリグルに教えるチルノ。それを聞いて感嘆しっぱなしのリグル。
チルノはすこぶる気分がよかった。知っている事を教えているだけとはいえ、自分が誰かをリードしているという事が嬉しいのだ。
「・・・・・・・・すごいね、チルノって物知りなんだなぁ・・・・・」
「わっ・・私が!?そ、そいつらとはたまたま顔見知りなだけよ・・・」
「でもさ、吸血鬼とか人間とかと顔見知りなんでしょ?何だか憧れちゃうよ」
「憧れちゃう、って・・・・もう・・・・・・・・・・・やめてよ」
恥ずかしがりながらも、チルノはリグルの素直な反応が嬉しかった。こういう空気も悪くない。
その証拠に照れ笑いなどし、さり気なくリグルの手に自分の手を添えたりしている。
リグルは彼女の真意に気付いていないが、手と手が触れて自分からも握り返す。
「・・・・・・・ほ、ほら!まだ残り半分あるんだから、ちゃんとついて来てよ」
手と手を繋いだ状態でそんな台詞などあったものではないが、顔を赤らめつつリグルの手を引く。
自分が先導している限り、リグルに自分の顔を覗きこまれる心配はないだろう。そう確信した上で、
チルノは思い切り顔を綻ばせていた。
「・・・・・ん?」
「どうしたの?」
「何かいる・・・・・こっちに近付いてくるよ」
リグルの目に『ある物』が留まった。
二人の進行方向にいる『ある物』は宙を漂いながらゆっくりと近付き、やがてチルノの視界にも入ってくる。
それは、なんとも不思議な姿をしていた。
大きさは西瓜と同じくらい、球体と思われる体に白い毛がびっしり生えている。
目も鼻も口も耳も確認できず、どっちを向いているのかすらよく分からない。
「何あれ・・・妖怪・・・・・?妖精・・・・・?」
「私もアイツらの事はよく知らないんだけど・・・・みんな『毛玉』って呼んでるわ」
「・・・・・・そのまんまだね」
「ヒトの形をしてないから、私は妖精の仲間だと思ってるけどね。こっちから手を出さない限り安全だから」
「触ってみても大丈夫・・・・・・かな?」
「触る程度なら全然。ふわふわしてて気持ちいいわよ」
「じゃ・・・・じゃあ・・・・・・・・・・・・・」
リグルからも毛玉に近付き、逃げる素振りすら見せないそれを手で撫でる。
まるで綿毛のように柔らかい毛が掌をくすぐり、くすぐったいような気持ちいいような絶妙な感触を残す。
「うわ・・・・・柔らかい」
「ね?ただ見て触ってる分にはかわいいもんよ」
「へぇ~、こんなかわいいのがいるんだねぇ・・・・・・・・・・」
「(クスクス)持って帰っちゃダメだからね?」
「ハハ・・・・分かってるよ」
毛玉の触感を十分に堪能し、リグルは毛玉からそっと手を放した。
頼りない動きでリグルからゆっくり離れ、一定の距離を置いてじっと二人を見つめている(ように見える)。
「さぁ、お行き・・・・・・」
「また会おうね~!」
毛玉に別れを告げ、引き続き遊覧飛行を楽しむ二人。だが二人は気付いていなかった。
その場にいた毛玉が1匹だけではなかった事に。
毛玉たちが二人の後をこっそり尾けてきている事に。
そして、毛玉たちが不可視の敵意を放っている事に・・・・・・
そして、敵意は矢となって放たれた。
「あぅっ!?」
「えっ!?」
突然、リグルが海老反りになって前に吹っ飛んだ。
繋いだチルノの手を振り切って勢いよく飛び、それでもどうにか空中で踏みとどまる。
多少咳き込んでいるがどうやら無事なようだ。
「ちょっと、リグル・・・・どうしたのよ!?」
「ケホッ・・・わ、分からない・・・・・・いきなり後ろから何かが・・・・・」
「・・・・・・・あ、あれ・・・・・・・・・・・・もしかして・・・・・さっきの・・・・・・・?」
今度はチルノが先に気付いた。振り返ると、そこには先ほど出会った毛玉が1匹。
心なしか全身の毛が逆立っているようにも見える。まるで白い毬栗だ。
そしてチルノは直感した。『コイツがリグルに向けて妖弾を撃ったんだ』と。
「・・・なんか怒ってるみたいね」
「えっ・・・・・・ぼ、僕・・・ただあの子を触っただけなのに・・・・・」
「機嫌が悪かったのかも知れない・・・とにかく逃げよっ!」
毛玉に背を向けて一目散に逃げ出すリグルとチルノ。
1対1で、しかも毛玉程度が相手なら少なくともチルノに負ける要素はない。
だがこんな所で無駄に力を使うのも勿体ないし、目の前の毛玉を倒せば
その報復に次々と新手が出てくるかも知れない・・・・・・だから、この場は逃げるが勝ちと考えたのだ。
夜中ではあるが、月の光のおかげでそれほど視界は狭くない。
さらに、自分の棲み処で迷うはずはない。どこを飛んでいるかはちゃんと分かる。
湖から森の方へ飛んで行き、やがて漆黒の木々の上に白い壁が広がり・・・・・・
白い壁?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・リグル!ちょっとストップ!」
「うわっ!?ちょ、ちょっ・・・・・・・!」
リグルの行く手を遮ってチルノが叫んだ。
空中で急ブレーキ、ぶつかりそうになるがリグルが咄嗟に急降下してくれたおかげで
どうにかニアミス程度で済んでくれた。すかさずリグルの声が飛んでくる。
「チ、チルノ!いきなりどうしたんだよ!」
「どうもこうも・・・・・アレ見てよ」
「アレって・・・・?・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
ざわ・・・・・・・・・ざわ・・・・・・・・・
チルノの目に映った白い壁。それは本物の壁などであるはずはない。
そこにあるのは無数の毛玉たちだった。二人の行く手を阻まんと寄り集まって、
1枚の大きな壁を築き上げていたのだ。
その壁がゆっくりと形を失い、毛玉の1匹1匹に分かれる。
そのどれもが、身の毛を全て逆立てているようにも見える。
周りを見渡せば、あちこちに白い毛玉がふわふわと浮かんでいた。
「そんな、囲まれてる!?」
「・・・・・どうしても逃がしたくないみたい」
「何で・・・・・・ぼく、いや僕たち、何もしてないはずなのにっ・・・・!」
「私たちが何をしたかって、もうそんなのどうでもいいいわ。大切なのは・・・・・」
ヒュッ!
「うぐっ!」
「チ、チルノッ!!」
迫りくる敵意。真横から飛んできた妖弾はチルノの脇腹に食い込み、抉るような回転をしながら消えていった。
キッと睨み返し、お返しにと氷弾を撃ち込んでやる。氷弾は毛玉の一匹を氷漬けにし、爆散してダイヤモンドダストを撒き散らす。
そして、キラキラと輝く氷の粒子の中でチルノは冷気混じりの妖気を解放させた。
「つっ・・・・・・大切なのはっ!今コイツらをどうにかしないと私たちがやられちゃうって事よ!」
「・・・チルノ・・・・・・・・」
「大丈夫。あんな奴ら、私一人で十分だから・・・・・私がひきつけるからリグルは逃げて」
「・・・・・・・・そんなわけには・・・・・・・・いかないよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ぶわっ。
リグルの黒いマントが、緑色の髪が、気流に煽られてなびく。
「こんな時に・・・・・女の子を護れなくてさ・・・・・・・・・」
気流の源はリグル自身。
自分にこれ程の莫大な妖気があったとは。ともかくそれを解放させ、まわりの毛玉たちを威圧する。
「そんなの、男じゃないだろ・・・・・・・・・・?」
毛玉たちは気付く。
自分たちにとって危険な存在は、目の前の氷精ではなくその隣の蛍であると。
「チルノ・・・・絶対に護ってあげる。大丈夫、君には弾一発たりとも当てさせないよ・・・・・・・」
「・・・・リグル・・・・・・・・・・・・・・・」
キッ。
子どもの物とは思えぬ、力強く鋭い視線。
そして、リグルの明確な攻撃の意志が外に向けられた。
「・・・・・・・・・蠢符ッ!!」
さぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・
涼やかな風が木々の間を駆け抜ける。
立ち並ぶ木々の根元に、二人はもたれかかっていた。
「・・・・アイツら、行っちゃったね」
「うん・・・・・・さっきまであんなに殺気立ってたのに、何でだろ?」
「きっとリグルが怖かったんじゃない?」
「え~!?僕ってそんなに怖い?」
「あの時は、よ。すごい真剣な顔してたもん」
「あれは・・・・・自分でも何が何だかサッパリで・・・・・・・・・」
二人はどうにか無事だった。
受けた傷といえば、お互い一度ずつ喰らった不意討ちのみ。それでも大したダメージにはなっていないし、
リグルがスペルカード使用の宣言をした瞬間、壁を築き上げるほど湧いていた毛玉たちは皆一目散に逃げてしまったのだ。
だから割と普通に話をする事もできるのだが、極限まで張り詰めていた緊張の糸がプツリと途切れて思い切り脱力している。
「・・・・・・・・・でも、ちょっとカッコよかったよ」
「そう・・・・・・・かな?」
「そういえばリグルって男の子だったなぁ・・・・・って、思い出した」
「ひどいや(笑」
「それにしても、何だか・・・・・疲れちゃった。眠いよ・・・・」
「私も眠い~・・・・・・・・・・」
「ごめんチルノ・・・・・おや・・・・す・・・・・・・」
「・・・・・・リグル?」
「・・・・・・・・・・・・み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
木に預けた背がだんだん傾き、首がガクリとうなだれる。
疲れていて、緊張の糸が切れてしまったせいもあるのだろう。夜に輝くはずのリグルが、チルノより先に眠りに落ちてしまった。
リグルの体は体勢を戻す事を忘れ、どんどん鉛直から離れていく。
傾いた頭がチルノの肩先に触れ、そこから地面を目指してゆっくりと落ちていく。
とさっ・・・・・・
「あっ・・・・」
柔らかい感触がリグルの頭を受け止めた。
頭はちょうどチルノの脚に落ち、膝枕をするような格好でそのまま落ち着く。
チルノが驚きの声を上げる間もなく、リグルはもう寝息を立て始めていた。
「やだ、リグル・・・・ホントに寝ちゃったの・・・・・・・?」
すぅ、すぅ、と規則正しい吐息が聞こえては消える。これでは今夜の遊覧飛行はもう無理だろう。
チルノはため息一つ吐いて諦め、気を取り直してリグルの顔を覗き込んだ。
「コイツ・・・・かわいいんだよね・・・・・・・・男の子のくせに」
その安らかな寝顔は、男の子にも女の子にも見える。誰だって迷ってしまいそうだ。
「でも・・・・カッコイイんだよね・・・・・・・・かわいいくせに」
でも、さっき見せた顔。男の子の凛々しさと力強さを持っていた。
「コイツ、もしかして・・・・・私の事、好きなのかな・・・・・・・・・・?」
あの時見せた必死の表情。本気でなければ、あんな顔はできやしない。
「私は、コイツの事・・・・・好きになれるかな・・・・・・・・・・?」
自分の中にある、もやもやした気持ち。どんな気持ちなのか、自分でも分からない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・お、何だかこの辺はやけに熱いな」
「!?」
リグルに気をとられていて、チルノは近付いてくる者の気配に全く気付かなかった。
慌てて見上げれば、そこにはよく見慣れた白黒の魔法使い・魔理沙がニヤニヤしながら二人を見下ろしていた。
「・・・・・・・なんだ、アンタか」
「そっちはずいぶんとお熱い事で?」
「アンタには関係ないでしょ・・・・・・で、こんな夜中に何か用?」
「・・・ああ、実は探し物をしてるんだ」
聞かれて、魔理沙はほんの少しだけ真剣な面持ちをしながらやはりどこかニヤついている。
「探し物?」
「召喚術を色々試していてな。私も使い魔を持てたらいいなと思ってちょっと試してみたんだが・・・・・」
「・・・・・・まさか、それでとんでもなく恐ろしいのが出てきたとか?」
「そんなに恐ろしくはないんだが・・・・どこをどう間違えたのか知らないけど、やたら攻撃的な毛玉が出てきちゃったんだよ」
「毛玉・・・・・?」
猛烈に嫌な予感を覚えつつ、はやる気持ちを抑えて魔理沙の話に耳を傾ける。
「そりゃもう、次から次にな。その場で全部始末するつもりだったんだが、不意討ちを受けて逃げられちゃったんだ。
で、このあたりに逃げ込んだはずなんだが・・・・・・心当たりないか?」
「・・・・・一つ聞くけど・・・・・・・それの色と大きさとか、分かる?」
「そうだな・・・・・大きさは西瓜と同じくらい、色は真っ白だぜ」
「・・・・やっぱり・・・・・・・・・・・・・・」
「お?何か心当たりでもあるのか?」
必死に抑えているつもりでも、どうしても握った拳が震えてくる。
もともと感情のコントロールには長けていないチルノの事、
冷気を操る事が関係しているかはともかく心の沸点はそれほど高くない。
「・・・・・・・・・・・・いや、何でもない。毛玉なんて見てないわ」
「そ、そうか・・・・・・・・・・・邪魔して悪かったな」
今、この場にはリグルがいる。
チルノ一人だけだったら我を忘れて暴れている所だったが、それにリグルを巻き込むわけには行かない。
破壊の衝動を堪え、チルノはできる限り穏便にこの場をやり過ごす道を選んだのだ。
「・・・・・そいつらを探すなら気をつけなよ。また不意討ちしてくるかも知れないし」
「分かってるさ。じゃあな、寒いの」
「寒いのって言うなー!」
「そうか?じゃあ、お熱い二人さん」
「なっ・・・・・!・・・・・・・熱いとも言うなー!!」
あらん限りの声を絞り出して叫んだ時にはもう、魔理沙の姿はなかった。
またしても脱力し、肩を落として視線を下にやる。すると、膝枕の上のリグルがもぞもぞ動いていた。
「ん・・・・う~~~~ん・・・・・・・・・」
「あ・・・・・叫んじゃったから・・・・・・・・・!?」
「・・・・・・・・・・・・あ、チル・・ノ・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぁぁ」
「・・・ごめん、起こしちゃったね」
「気にしてないからいいよ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんね」
「・・・・・・・・・・・・ねえ、チルノ」
「何?」
「湖一周・・・・・・まだだよね」
「・・・・うん」
「残り半分だったっけ・・・・・?」
「・・・・うん」
チルノの膝枕から離れ、大きく伸びをしてから小さな手を握るリグル。
突然感じた温かい感触は、チルノの眠気を吹き飛ばすのには十分だった。
「・・・・あっ」
「ちょっと遅くなっちゃったけど、・・・・・続き、案内してくれる?」
「・・・・・・・・うん!」
リグルの手を借りて立ち上がり、同じように大きく伸びをする。
そして、早くも飛び立つ気でいるリグルの手を少しだけ強く握り返した。
「・・・・・・・・・・・・ねえ、リグル」
「ん?」
「ちょっとだけ・・・・・・・・・・・・目、つぶってて」
「へ?・・・・うん、いいよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちゅっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ!?ちょ、ちょっ・・・ちょっ・・・チル・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・ごめんなさい、と・・・・・・・ありがとう・・・・・・・だからね」
火でも吹きそうなほど顔を真っ赤にしているリグルの手を引き、再び夜空へ飛び立つチルノ。
彼女もトマトのように顔を真っ赤にしている。心臓もドキドキしている。
だが、不思議と頭の中はスッキリしていた。さっきまであったもやもやした気持ちもどこかに吹き飛んでいる。
「さ、夜が明ける前に残り半周行こっ!」
とてもスッキリした気持ちで、とてもスッキリした顔で。
チルノはさっきより少しだけスピードを落として飛ぶようにした。
この話では、「リグルは男の子」という事が前提になっています。
「ねえリグル、アンタってまだここの事よく知らないでしょ?」
「ここって・・・・・地上の事?」
「そうよ。まあ、まだ1週間も経ってないんじゃしょうがないけどさ」
「・・・・・・まぁね。でも、躍起になって色んな所を見て回ってたら疲れちゃうよ」
「・・・ふふ~ん・・・・・そ・こ・で!私が観光案内してあげるわ」
「チルノが・・・?・・・・・・どこを?」
「この湖!(ビシッ)」
リグルが地上に姿を現して、はや数日が経った。
2週間しか地上にいられないリグルにとって、あちこち見て回るというのは意味がないように思われる。
だがそれをチルノが納得しなかった。まだ地上に慣れないリグルの為にと、そして少しでも長く遊びたい為にと、
彼女は幻想郷案内をしようと思い立ったのだ。
・・・・・・とはいうものの、幻想郷といえども狭くはない。1日か2日で全てを見て回るのはとても不可能だ。
だが自分が棲む湖をぐるり1周遊覧飛行なら、多少ゆっくり飛んでも一晩で済む。
チルノの土地勘もあり、この案にはリグルも文句なく賛成した。
「この湖、結構大きいからね~。岸に沿って飛ぶだけでも色んな物が見えてくるわよ」
「へ~、楽しみ~!」
「・・・・・・・よーし、それじゃ早速出発!」
リグルの手を引き、チルノは夜空へ飛び立った。
「・・・・・・ほら、向こうに見える館が通称『紅魔館』。あそこにはやたら強い吸血鬼とかがいるのよ」
「へぇ~・・・・・・・」
「それで、え~と・・・・・あ、あれだ。紅魔館からずっと右の方に紅い鳥居があるのが見える?あそこには神社があるの」
「神社かぁ・・・・・・ねぇ、あそこには誰か住んでるの?」
「紅白の巫女がいるわ。人間のくせにとんでもなく強くて手ぇ出せないけど」
ここぞとばかりに自分が知る全ての事をリグルに教えるチルノ。それを聞いて感嘆しっぱなしのリグル。
チルノはすこぶる気分がよかった。知っている事を教えているだけとはいえ、自分が誰かをリードしているという事が嬉しいのだ。
「・・・・・・・・すごいね、チルノって物知りなんだなぁ・・・・・」
「わっ・・私が!?そ、そいつらとはたまたま顔見知りなだけよ・・・」
「でもさ、吸血鬼とか人間とかと顔見知りなんでしょ?何だか憧れちゃうよ」
「憧れちゃう、って・・・・もう・・・・・・・・・・・やめてよ」
恥ずかしがりながらも、チルノはリグルの素直な反応が嬉しかった。こういう空気も悪くない。
その証拠に照れ笑いなどし、さり気なくリグルの手に自分の手を添えたりしている。
リグルは彼女の真意に気付いていないが、手と手が触れて自分からも握り返す。
「・・・・・・・ほ、ほら!まだ残り半分あるんだから、ちゃんとついて来てよ」
手と手を繋いだ状態でそんな台詞などあったものではないが、顔を赤らめつつリグルの手を引く。
自分が先導している限り、リグルに自分の顔を覗きこまれる心配はないだろう。そう確信した上で、
チルノは思い切り顔を綻ばせていた。
「・・・・・ん?」
「どうしたの?」
「何かいる・・・・・こっちに近付いてくるよ」
リグルの目に『ある物』が留まった。
二人の進行方向にいる『ある物』は宙を漂いながらゆっくりと近付き、やがてチルノの視界にも入ってくる。
それは、なんとも不思議な姿をしていた。
大きさは西瓜と同じくらい、球体と思われる体に白い毛がびっしり生えている。
目も鼻も口も耳も確認できず、どっちを向いているのかすらよく分からない。
「何あれ・・・妖怪・・・・・?妖精・・・・・?」
「私もアイツらの事はよく知らないんだけど・・・・みんな『毛玉』って呼んでるわ」
「・・・・・・そのまんまだね」
「ヒトの形をしてないから、私は妖精の仲間だと思ってるけどね。こっちから手を出さない限り安全だから」
「触ってみても大丈夫・・・・・・かな?」
「触る程度なら全然。ふわふわしてて気持ちいいわよ」
「じゃ・・・・じゃあ・・・・・・・・・・・・・」
リグルからも毛玉に近付き、逃げる素振りすら見せないそれを手で撫でる。
まるで綿毛のように柔らかい毛が掌をくすぐり、くすぐったいような気持ちいいような絶妙な感触を残す。
「うわ・・・・・柔らかい」
「ね?ただ見て触ってる分にはかわいいもんよ」
「へぇ~、こんなかわいいのがいるんだねぇ・・・・・・・・・・」
「(クスクス)持って帰っちゃダメだからね?」
「ハハ・・・・分かってるよ」
毛玉の触感を十分に堪能し、リグルは毛玉からそっと手を放した。
頼りない動きでリグルからゆっくり離れ、一定の距離を置いてじっと二人を見つめている(ように見える)。
「さぁ、お行き・・・・・・」
「また会おうね~!」
毛玉に別れを告げ、引き続き遊覧飛行を楽しむ二人。だが二人は気付いていなかった。
その場にいた毛玉が1匹だけではなかった事に。
毛玉たちが二人の後をこっそり尾けてきている事に。
そして、毛玉たちが不可視の敵意を放っている事に・・・・・・
そして、敵意は矢となって放たれた。
「あぅっ!?」
「えっ!?」
突然、リグルが海老反りになって前に吹っ飛んだ。
繋いだチルノの手を振り切って勢いよく飛び、それでもどうにか空中で踏みとどまる。
多少咳き込んでいるがどうやら無事なようだ。
「ちょっと、リグル・・・・どうしたのよ!?」
「ケホッ・・・わ、分からない・・・・・・いきなり後ろから何かが・・・・・」
「・・・・・・・あ、あれ・・・・・・・・・・・・もしかして・・・・・さっきの・・・・・・・?」
今度はチルノが先に気付いた。振り返ると、そこには先ほど出会った毛玉が1匹。
心なしか全身の毛が逆立っているようにも見える。まるで白い毬栗だ。
そしてチルノは直感した。『コイツがリグルに向けて妖弾を撃ったんだ』と。
「・・・なんか怒ってるみたいね」
「えっ・・・・・・ぼ、僕・・・ただあの子を触っただけなのに・・・・・」
「機嫌が悪かったのかも知れない・・・とにかく逃げよっ!」
毛玉に背を向けて一目散に逃げ出すリグルとチルノ。
1対1で、しかも毛玉程度が相手なら少なくともチルノに負ける要素はない。
だがこんな所で無駄に力を使うのも勿体ないし、目の前の毛玉を倒せば
その報復に次々と新手が出てくるかも知れない・・・・・・だから、この場は逃げるが勝ちと考えたのだ。
夜中ではあるが、月の光のおかげでそれほど視界は狭くない。
さらに、自分の棲み処で迷うはずはない。どこを飛んでいるかはちゃんと分かる。
湖から森の方へ飛んで行き、やがて漆黒の木々の上に白い壁が広がり・・・・・・
白い壁?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・リグル!ちょっとストップ!」
「うわっ!?ちょ、ちょっ・・・・・・・!」
リグルの行く手を遮ってチルノが叫んだ。
空中で急ブレーキ、ぶつかりそうになるがリグルが咄嗟に急降下してくれたおかげで
どうにかニアミス程度で済んでくれた。すかさずリグルの声が飛んでくる。
「チ、チルノ!いきなりどうしたんだよ!」
「どうもこうも・・・・・アレ見てよ」
「アレって・・・・?・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
ざわ・・・・・・・・・ざわ・・・・・・・・・
チルノの目に映った白い壁。それは本物の壁などであるはずはない。
そこにあるのは無数の毛玉たちだった。二人の行く手を阻まんと寄り集まって、
1枚の大きな壁を築き上げていたのだ。
その壁がゆっくりと形を失い、毛玉の1匹1匹に分かれる。
そのどれもが、身の毛を全て逆立てているようにも見える。
周りを見渡せば、あちこちに白い毛玉がふわふわと浮かんでいた。
「そんな、囲まれてる!?」
「・・・・・どうしても逃がしたくないみたい」
「何で・・・・・・ぼく、いや僕たち、何もしてないはずなのにっ・・・・!」
「私たちが何をしたかって、もうそんなのどうでもいいいわ。大切なのは・・・・・」
ヒュッ!
「うぐっ!」
「チ、チルノッ!!」
迫りくる敵意。真横から飛んできた妖弾はチルノの脇腹に食い込み、抉るような回転をしながら消えていった。
キッと睨み返し、お返しにと氷弾を撃ち込んでやる。氷弾は毛玉の一匹を氷漬けにし、爆散してダイヤモンドダストを撒き散らす。
そして、キラキラと輝く氷の粒子の中でチルノは冷気混じりの妖気を解放させた。
「つっ・・・・・・大切なのはっ!今コイツらをどうにかしないと私たちがやられちゃうって事よ!」
「・・・チルノ・・・・・・・・」
「大丈夫。あんな奴ら、私一人で十分だから・・・・・私がひきつけるからリグルは逃げて」
「・・・・・・・・そんなわけには・・・・・・・・いかないよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ぶわっ。
リグルの黒いマントが、緑色の髪が、気流に煽られてなびく。
「こんな時に・・・・・女の子を護れなくてさ・・・・・・・・・」
気流の源はリグル自身。
自分にこれ程の莫大な妖気があったとは。ともかくそれを解放させ、まわりの毛玉たちを威圧する。
「そんなの、男じゃないだろ・・・・・・・・・・?」
毛玉たちは気付く。
自分たちにとって危険な存在は、目の前の氷精ではなくその隣の蛍であると。
「チルノ・・・・絶対に護ってあげる。大丈夫、君には弾一発たりとも当てさせないよ・・・・・・・」
「・・・・リグル・・・・・・・・・・・・・・・」
キッ。
子どもの物とは思えぬ、力強く鋭い視線。
そして、リグルの明確な攻撃の意志が外に向けられた。
「・・・・・・・・・蠢符ッ!!」
さぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・
涼やかな風が木々の間を駆け抜ける。
立ち並ぶ木々の根元に、二人はもたれかかっていた。
「・・・・アイツら、行っちゃったね」
「うん・・・・・・さっきまであんなに殺気立ってたのに、何でだろ?」
「きっとリグルが怖かったんじゃない?」
「え~!?僕ってそんなに怖い?」
「あの時は、よ。すごい真剣な顔してたもん」
「あれは・・・・・自分でも何が何だかサッパリで・・・・・・・・・」
二人はどうにか無事だった。
受けた傷といえば、お互い一度ずつ喰らった不意討ちのみ。それでも大したダメージにはなっていないし、
リグルがスペルカード使用の宣言をした瞬間、壁を築き上げるほど湧いていた毛玉たちは皆一目散に逃げてしまったのだ。
だから割と普通に話をする事もできるのだが、極限まで張り詰めていた緊張の糸がプツリと途切れて思い切り脱力している。
「・・・・・・・・・でも、ちょっとカッコよかったよ」
「そう・・・・・・・かな?」
「そういえばリグルって男の子だったなぁ・・・・・って、思い出した」
「ひどいや(笑」
「それにしても、何だか・・・・・疲れちゃった。眠いよ・・・・」
「私も眠い~・・・・・・・・・・」
「ごめんチルノ・・・・・おや・・・・す・・・・・・・」
「・・・・・・リグル?」
「・・・・・・・・・・・・み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
木に預けた背がだんだん傾き、首がガクリとうなだれる。
疲れていて、緊張の糸が切れてしまったせいもあるのだろう。夜に輝くはずのリグルが、チルノより先に眠りに落ちてしまった。
リグルの体は体勢を戻す事を忘れ、どんどん鉛直から離れていく。
傾いた頭がチルノの肩先に触れ、そこから地面を目指してゆっくりと落ちていく。
とさっ・・・・・・
「あっ・・・・」
柔らかい感触がリグルの頭を受け止めた。
頭はちょうどチルノの脚に落ち、膝枕をするような格好でそのまま落ち着く。
チルノが驚きの声を上げる間もなく、リグルはもう寝息を立て始めていた。
「やだ、リグル・・・・ホントに寝ちゃったの・・・・・・・?」
すぅ、すぅ、と規則正しい吐息が聞こえては消える。これでは今夜の遊覧飛行はもう無理だろう。
チルノはため息一つ吐いて諦め、気を取り直してリグルの顔を覗き込んだ。
「コイツ・・・・かわいいんだよね・・・・・・・・男の子のくせに」
その安らかな寝顔は、男の子にも女の子にも見える。誰だって迷ってしまいそうだ。
「でも・・・・カッコイイんだよね・・・・・・・・かわいいくせに」
でも、さっき見せた顔。男の子の凛々しさと力強さを持っていた。
「コイツ、もしかして・・・・・私の事、好きなのかな・・・・・・・・・・?」
あの時見せた必死の表情。本気でなければ、あんな顔はできやしない。
「私は、コイツの事・・・・・好きになれるかな・・・・・・・・・・?」
自分の中にある、もやもやした気持ち。どんな気持ちなのか、自分でも分からない。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・お、何だかこの辺はやけに熱いな」
「!?」
リグルに気をとられていて、チルノは近付いてくる者の気配に全く気付かなかった。
慌てて見上げれば、そこにはよく見慣れた白黒の魔法使い・魔理沙がニヤニヤしながら二人を見下ろしていた。
「・・・・・・・なんだ、アンタか」
「そっちはずいぶんとお熱い事で?」
「アンタには関係ないでしょ・・・・・・で、こんな夜中に何か用?」
「・・・ああ、実は探し物をしてるんだ」
聞かれて、魔理沙はほんの少しだけ真剣な面持ちをしながらやはりどこかニヤついている。
「探し物?」
「召喚術を色々試していてな。私も使い魔を持てたらいいなと思ってちょっと試してみたんだが・・・・・」
「・・・・・・まさか、それでとんでもなく恐ろしいのが出てきたとか?」
「そんなに恐ろしくはないんだが・・・・どこをどう間違えたのか知らないけど、やたら攻撃的な毛玉が出てきちゃったんだよ」
「毛玉・・・・・?」
猛烈に嫌な予感を覚えつつ、はやる気持ちを抑えて魔理沙の話に耳を傾ける。
「そりゃもう、次から次にな。その場で全部始末するつもりだったんだが、不意討ちを受けて逃げられちゃったんだ。
で、このあたりに逃げ込んだはずなんだが・・・・・・心当たりないか?」
「・・・・・一つ聞くけど・・・・・・・それの色と大きさとか、分かる?」
「そうだな・・・・・大きさは西瓜と同じくらい、色は真っ白だぜ」
「・・・・やっぱり・・・・・・・・・・・・・・」
「お?何か心当たりでもあるのか?」
必死に抑えているつもりでも、どうしても握った拳が震えてくる。
もともと感情のコントロールには長けていないチルノの事、
冷気を操る事が関係しているかはともかく心の沸点はそれほど高くない。
「・・・・・・・・・・・・いや、何でもない。毛玉なんて見てないわ」
「そ、そうか・・・・・・・・・・・邪魔して悪かったな」
今、この場にはリグルがいる。
チルノ一人だけだったら我を忘れて暴れている所だったが、それにリグルを巻き込むわけには行かない。
破壊の衝動を堪え、チルノはできる限り穏便にこの場をやり過ごす道を選んだのだ。
「・・・・・そいつらを探すなら気をつけなよ。また不意討ちしてくるかも知れないし」
「分かってるさ。じゃあな、寒いの」
「寒いのって言うなー!」
「そうか?じゃあ、お熱い二人さん」
「なっ・・・・・!・・・・・・・熱いとも言うなー!!」
あらん限りの声を絞り出して叫んだ時にはもう、魔理沙の姿はなかった。
またしても脱力し、肩を落として視線を下にやる。すると、膝枕の上のリグルがもぞもぞ動いていた。
「ん・・・・う~~~~ん・・・・・・・・・」
「あ・・・・・叫んじゃったから・・・・・・・・・!?」
「・・・・・・・・・・・・あ、チル・・ノ・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぁぁ」
「・・・ごめん、起こしちゃったね」
「気にしてないからいいよ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんね」
「・・・・・・・・・・・・ねえ、チルノ」
「何?」
「湖一周・・・・・・まだだよね」
「・・・・うん」
「残り半分だったっけ・・・・・?」
「・・・・うん」
チルノの膝枕から離れ、大きく伸びをしてから小さな手を握るリグル。
突然感じた温かい感触は、チルノの眠気を吹き飛ばすのには十分だった。
「・・・・あっ」
「ちょっと遅くなっちゃったけど、・・・・・続き、案内してくれる?」
「・・・・・・・・うん!」
リグルの手を借りて立ち上がり、同じように大きく伸びをする。
そして、早くも飛び立つ気でいるリグルの手を少しだけ強く握り返した。
「・・・・・・・・・・・・ねえ、リグル」
「ん?」
「ちょっとだけ・・・・・・・・・・・・目、つぶってて」
「へ?・・・・うん、いいよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちゅっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ!?ちょ、ちょっ・・・ちょっ・・・チル・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・ごめんなさい、と・・・・・・・ありがとう・・・・・・・だからね」
火でも吹きそうなほど顔を真っ赤にしているリグルの手を引き、再び夜空へ飛び立つチルノ。
彼女もトマトのように顔を真っ赤にしている。心臓もドキドキしている。
だが、不思議と頭の中はスッキリしていた。さっきまであったもやもやした気持ちもどこかに吹き飛んでいる。
「さ、夜が明ける前に残り半周行こっ!」
とてもスッキリした気持ちで、とてもスッキリした顔で。
チルノはさっきより少しだけスピードを落として飛ぶようにした。
まあそれはおいといて。
ここまでストレートかつ甘々な展開をされてしまうと、こう、思わず身悶えしてしまいます。
なんつーか、若いっていいですねぇ。