〈これまでのあらすじ〉
辺境はつねにない漫才ブームに湧いていた。そんなおり、「誰が一番面白いか決めればいいじゃない」という西行寺霊嬢の発案により、辺境最笑を決める一大イベント『M-弾』が開催される運びとなった。鳴るか笑いの除夜の鐘、弾くか煩悩百八つ、今まさに笑うか笑わされるか、天下分け目の戦いが始まろうとしていた……!
「さぁやって参りました真冬の祭典・『M-弾グランプリ』2000と4! ここ博麗神社特設スタジアムには老いも若きも生けるも死ぬも、われもわれもと観衆がつめかけています! 果たして過酷な試合を勝ち抜いて優勝の栄光を勝ち取るのはどのチームなのかー!? 実況は私、夜雀の怪ミスティア・ローレライが担当します。解説は笑いの道にかけてはちょっとうるさい小うるさい、笑いの大図書館パチュリー・ノーレッジさんです。今日はよろしくお願いします」
「ああ……どうも」
「テンション低い返しありがとうございます。ではさっそく、今回のエントリーチームの紹介です!」
ダブル二重結界
アリとマリサリス
不夜城レッズ
ゴースト列車
ないとめあ
摂氏-273.15℃
S・G・G・K
ネームレス
荒野の3人
ヤクモシスターズ
鳥のおくすり
ラララ・ラッキー
「以上、なかなか個性豊かなメンバーが揃っています!」
「コンビ名の時点で負けてる連中も多いわね」
「……さて、ではさっそく一回戦の開……」
『――ちょっと待った!』
「……へっ!? ああっ! 突如、舞台に謎の人影が乱入~! あれは誰だ!? あーっと、燃えさかる炎の中から突き出た二本の角! この組み合わせは!」
「新たなる笑いの歴史を刻んでみせよう」
「退屈しのぎには、なるかもねぇ」
「あーっと、乱入してきたのは上白沢慧音・藤原妹紅のはぐれ人妖コンビ! もしや、この期に及んで参戦表明かーっ! しかし既に12枠は決まっており、飛び入りは認められませんが?!」
「だ、そうだけど?」
「ふん、問題ない。実力のない連中に辞退してもらえばそれで済む……そうだろう? 油虫コンビ」
「誰が油虫よー!」
「そーそー、確かに黒くて虫だけど!」
「おおーっと、『ないとめあ』の二人が激昂しています! これはどうなるのか……え? 大会執行部の判断で、両チームによる出場決定戦を行う?! 勝てば無条件でシード権も獲得……あーっと、この条件をないとめあも受諾! 一回戦に入る前に、番外戦が始まってしまったーー!」
〈番外戦〉
ないとめあ(ルーミア、リグル)
はぐれ人妖コンビ(慧音、妹紅)
「さぁ早くもハプニング発生! 波乱の予感が湧き起こっております! さてこの番外戦、いったいどうなるんでしょうか解説のパチュリさん?」
「んー……まぁどっちでもいいんじゃない?」
「ダウナーなご意見ありがとうございました。さて、まずは、『ないとめあ』のお二人でーす」
(拍手と共に舞台右袖からルーミアとリグル登場)
「ルーミアでーす」
「リグル・ナイトバグでーす」
『ふたりそろって「ないとめあ」でーす』
「で、どっちが『ない』でどっちが『めあ』だっけ?」
「そうね、やっぱりナイトバグだから私が『ない』で、君がルーミアだから『めあ』かな……ってそうじゃないよ! ナイトメア、悪夢、ってのから取ってきてるんだよ!」
「そーなんだ? 知らなかった」
「困るよ君、コンビ名くらいちゃんと把握しておいてもらわなきゃあ」
「ということでね、うちの相方、こう見えても虫なんですよー」
「て強引な振りやね君。虫っていうか、まぁ妖怪蛍なんですけどね」
「じゃあ元は蛍だったの? それとも最初から妖怪蛍だった?」
「ええ? どっちでもいいじゃん、そんなこと」
「知りたいー、知ーりたいーー」
「しつこいなぁ君、そういう君こそ宵闇の妖怪なんだろ? 最初は宵闇だったの、それとも最初から宵闇の妖怪だったわけ?」
「え? さぁ……どーだろ? たぶん、最初は妖怪でね、その後、宵闇の妖怪になったんじゃない?」
「いいかげんだな……って、じゃあ最初は何の妖怪だったんだよ」
「んー、多分だけど、宵……とか?」
「宵の妖怪から宵闇の妖怪に成長って、微妙なクラスチェンジしてるな君。その宵の妖怪の前は何だったのさ?」
「そりゃー、たぶんだけど、夜(よ)?」
「夜、ってせめてヨルの妖怪にしろよ! まぎわらしいよ!」
「しょうがないじゃん、ヨルの妖怪は別にいるんだもん」
「え、どんな妖怪?」
「ええーと、ナイトバグとか」
「ふんふん……ってそりゃ私のことでしょ! 君は昔、私だったのかよ!」
「お母さん!」
「お母さんじゃないよ!」
「じゃあ娘?」
「なんでそうなるんだよ!」
「『ないとめあ』でしたー」
「もう終わるのかよ!?」
(まばらな拍手とともに『ないとめあ』の退場)
「はい、ないとめあのお二人でしたー。いかがでした、パッチェさん?」
「ああー、もう少し切れ味が欲しいところね」
「なるほど。では続きまして、突如乱入のはぐれ人妖コンビの登場です!」
(拍手と共に舞台左袖から慧音と妹紅登場)
「人白沢!(決めポーズ)」
「蓬莱人!(決めポーズ)」
「さてさっそくですが、クイズのコ~ナ~」
「ていきなりね貴方も」
「つべこべ言うんじゃない。なお、答えはすべて『はい』で答えるように」
「……それじゃクイズにならないでしょ」
「冗談に決まっているだろう。さて第一問、歴史問題ー」
「…………」
「次の三人に共通するのは何? 大河原勘兵衛、近藤弥助、山田小六」
「はぁ? ……全然わからない。ていうか、誰?」
「うちの近所に住んでる農家の人たちだ」
「わかるわけじゃないのそんなの! だいたい、全然歴史と関係ないし」
「何を言う、歴史とは無数の人々のいとなみの積み重ねによって織り成されていくものであって、無名か有名かなどとは些細な問題なのだ」
「何だかなぁ」
「あ、正解は『同い年』」
「もういいわよ! 次行って次」
「では第二問ー、歴史問題ーー」
「ってまた歴史!? 違うジャンルないの!?」
「(無視して)これから三十秒後に、とある出来事が起こります。さあ、それは何でしょう?」
「はぁぁ? まだ起きてないことを、答えられるわけないじゃない」
「チッチッチッチッ……(カウントダウン)」
「え? えっ? だからー、起きてないことを答えるなんて無理だってば」
「チッチッチッチッ……ブッブー、はいダメー」
「何なのよ……」
「正解は……『特に何も起きなかった』でした」
「はぁぁ? そんなの答えになってないじゃないの!」
「うるさい黙れ(グサッ)」
「うぐっ(流血)」
「三十秒後に何をするか決めて、それを答えれば良かったんだ。なのにお前は何も決めず、何もしなかった。だから答えは『何もない』になった」
「~~~っ」
「未来とは、何が起きるかじっと待つことで得られるものじゃない。みずからの手で何かを引き起こさねば、何事も得ることはできない」
「ムム……流石に歴史喰い、よく口が回るわね」
「なにせ舌はハクタクしております」
「それを言うなら『発達』でしょうがっ」
「ありがとうございましたーー」
(拍手と共に人妖チーム退場)
「ありがとうございました、はぐれ人妖コンビでした! どうでしたかパッチュリさん?」
「ちょっと衒学的というか、鼻持ちならない感じがするわね」
「なるほど、同族嫌悪的な感想ありがとうございます。それでは、審査員による結果発表~~うっ!!」
ないとめあ…………2票
はぐれ人妖コンビ…8票
「あーっと、意外な得票差ではぐれ人妖チームに軍配だーーっ! これはどういうことでしょう、解説のパッツさん?」
「んあ~、やっぱりステージ暗いと見づらいからじゃない?」
「なんと、敗因はルーミアによる舞台暗闇化~~?! ともあれ、これにて番外戦の決着!! では、一回戦の開始までしばしお待ちください。その間、私ことミスティアの歌のコーナーでお楽しみくださいませ~~ロララァ~~~レェェェ~~~イア~~~~」
「……なにこの実況」
(ミスティアの熱唱によって多数の妖怪が呼び寄せられ、会場は大混乱に陥る。収集がつくまでに、数時間を要した。そしてようやく、一回戦が始まる……)
(つづく)
辺境はつねにない漫才ブームに湧いていた。そんなおり、「誰が一番面白いか決めればいいじゃない」という西行寺霊嬢の発案により、辺境最笑を決める一大イベント『M-弾』が開催される運びとなった。鳴るか笑いの除夜の鐘、弾くか煩悩百八つ、今まさに笑うか笑わされるか、天下分け目の戦いが始まろうとしていた……!
「さぁやって参りました真冬の祭典・『M-弾グランプリ』2000と4! ここ博麗神社特設スタジアムには老いも若きも生けるも死ぬも、われもわれもと観衆がつめかけています! 果たして過酷な試合を勝ち抜いて優勝の栄光を勝ち取るのはどのチームなのかー!? 実況は私、夜雀の怪ミスティア・ローレライが担当します。解説は笑いの道にかけてはちょっとうるさい小うるさい、笑いの大図書館パチュリー・ノーレッジさんです。今日はよろしくお願いします」
「ああ……どうも」
「テンション低い返しありがとうございます。ではさっそく、今回のエントリーチームの紹介です!」
ダブル二重結界
アリとマリサリス
不夜城レッズ
ゴースト列車
ないとめあ
摂氏-273.15℃
S・G・G・K
ネームレス
荒野の3人
ヤクモシスターズ
鳥のおくすり
ラララ・ラッキー
「以上、なかなか個性豊かなメンバーが揃っています!」
「コンビ名の時点で負けてる連中も多いわね」
「……さて、ではさっそく一回戦の開……」
『――ちょっと待った!』
「……へっ!? ああっ! 突如、舞台に謎の人影が乱入~! あれは誰だ!? あーっと、燃えさかる炎の中から突き出た二本の角! この組み合わせは!」
「新たなる笑いの歴史を刻んでみせよう」
「退屈しのぎには、なるかもねぇ」
「あーっと、乱入してきたのは上白沢慧音・藤原妹紅のはぐれ人妖コンビ! もしや、この期に及んで参戦表明かーっ! しかし既に12枠は決まっており、飛び入りは認められませんが?!」
「だ、そうだけど?」
「ふん、問題ない。実力のない連中に辞退してもらえばそれで済む……そうだろう? 油虫コンビ」
「誰が油虫よー!」
「そーそー、確かに黒くて虫だけど!」
「おおーっと、『ないとめあ』の二人が激昂しています! これはどうなるのか……え? 大会執行部の判断で、両チームによる出場決定戦を行う?! 勝てば無条件でシード権も獲得……あーっと、この条件をないとめあも受諾! 一回戦に入る前に、番外戦が始まってしまったーー!」
〈番外戦〉
ないとめあ(ルーミア、リグル)
はぐれ人妖コンビ(慧音、妹紅)
「さぁ早くもハプニング発生! 波乱の予感が湧き起こっております! さてこの番外戦、いったいどうなるんでしょうか解説のパチュリさん?」
「んー……まぁどっちでもいいんじゃない?」
「ダウナーなご意見ありがとうございました。さて、まずは、『ないとめあ』のお二人でーす」
(拍手と共に舞台右袖からルーミアとリグル登場)
「ルーミアでーす」
「リグル・ナイトバグでーす」
『ふたりそろって「ないとめあ」でーす』
「で、どっちが『ない』でどっちが『めあ』だっけ?」
「そうね、やっぱりナイトバグだから私が『ない』で、君がルーミアだから『めあ』かな……ってそうじゃないよ! ナイトメア、悪夢、ってのから取ってきてるんだよ!」
「そーなんだ? 知らなかった」
「困るよ君、コンビ名くらいちゃんと把握しておいてもらわなきゃあ」
「ということでね、うちの相方、こう見えても虫なんですよー」
「て強引な振りやね君。虫っていうか、まぁ妖怪蛍なんですけどね」
「じゃあ元は蛍だったの? それとも最初から妖怪蛍だった?」
「ええ? どっちでもいいじゃん、そんなこと」
「知りたいー、知ーりたいーー」
「しつこいなぁ君、そういう君こそ宵闇の妖怪なんだろ? 最初は宵闇だったの、それとも最初から宵闇の妖怪だったわけ?」
「え? さぁ……どーだろ? たぶん、最初は妖怪でね、その後、宵闇の妖怪になったんじゃない?」
「いいかげんだな……って、じゃあ最初は何の妖怪だったんだよ」
「んー、多分だけど、宵……とか?」
「宵の妖怪から宵闇の妖怪に成長って、微妙なクラスチェンジしてるな君。その宵の妖怪の前は何だったのさ?」
「そりゃー、たぶんだけど、夜(よ)?」
「夜、ってせめてヨルの妖怪にしろよ! まぎわらしいよ!」
「しょうがないじゃん、ヨルの妖怪は別にいるんだもん」
「え、どんな妖怪?」
「ええーと、ナイトバグとか」
「ふんふん……ってそりゃ私のことでしょ! 君は昔、私だったのかよ!」
「お母さん!」
「お母さんじゃないよ!」
「じゃあ娘?」
「なんでそうなるんだよ!」
「『ないとめあ』でしたー」
「もう終わるのかよ!?」
(まばらな拍手とともに『ないとめあ』の退場)
「はい、ないとめあのお二人でしたー。いかがでした、パッチェさん?」
「ああー、もう少し切れ味が欲しいところね」
「なるほど。では続きまして、突如乱入のはぐれ人妖コンビの登場です!」
(拍手と共に舞台左袖から慧音と妹紅登場)
「人白沢!(決めポーズ)」
「蓬莱人!(決めポーズ)」
「さてさっそくですが、クイズのコ~ナ~」
「ていきなりね貴方も」
「つべこべ言うんじゃない。なお、答えはすべて『はい』で答えるように」
「……それじゃクイズにならないでしょ」
「冗談に決まっているだろう。さて第一問、歴史問題ー」
「…………」
「次の三人に共通するのは何? 大河原勘兵衛、近藤弥助、山田小六」
「はぁ? ……全然わからない。ていうか、誰?」
「うちの近所に住んでる農家の人たちだ」
「わかるわけじゃないのそんなの! だいたい、全然歴史と関係ないし」
「何を言う、歴史とは無数の人々のいとなみの積み重ねによって織り成されていくものであって、無名か有名かなどとは些細な問題なのだ」
「何だかなぁ」
「あ、正解は『同い年』」
「もういいわよ! 次行って次」
「では第二問ー、歴史問題ーー」
「ってまた歴史!? 違うジャンルないの!?」
「(無視して)これから三十秒後に、とある出来事が起こります。さあ、それは何でしょう?」
「はぁぁ? まだ起きてないことを、答えられるわけないじゃない」
「チッチッチッチッ……(カウントダウン)」
「え? えっ? だからー、起きてないことを答えるなんて無理だってば」
「チッチッチッチッ……ブッブー、はいダメー」
「何なのよ……」
「正解は……『特に何も起きなかった』でした」
「はぁぁ? そんなの答えになってないじゃないの!」
「うるさい黙れ(グサッ)」
「うぐっ(流血)」
「三十秒後に何をするか決めて、それを答えれば良かったんだ。なのにお前は何も決めず、何もしなかった。だから答えは『何もない』になった」
「~~~っ」
「未来とは、何が起きるかじっと待つことで得られるものじゃない。みずからの手で何かを引き起こさねば、何事も得ることはできない」
「ムム……流石に歴史喰い、よく口が回るわね」
「なにせ舌はハクタクしております」
「それを言うなら『発達』でしょうがっ」
「ありがとうございましたーー」
(拍手と共に人妖チーム退場)
「ありがとうございました、はぐれ人妖コンビでした! どうでしたかパッチュリさん?」
「ちょっと衒学的というか、鼻持ちならない感じがするわね」
「なるほど、同族嫌悪的な感想ありがとうございます。それでは、審査員による結果発表~~うっ!!」
ないとめあ…………2票
はぐれ人妖コンビ…8票
「あーっと、意外な得票差ではぐれ人妖チームに軍配だーーっ! これはどういうことでしょう、解説のパッツさん?」
「んあ~、やっぱりステージ暗いと見づらいからじゃない?」
「なんと、敗因はルーミアによる舞台暗闇化~~?! ともあれ、これにて番外戦の決着!! では、一回戦の開始までしばしお待ちください。その間、私ことミスティアの歌のコーナーでお楽しみくださいませ~~ロララァ~~~レェェェ~~~イア~~~~」
「……なにこの実況」
(ミスティアの熱唱によって多数の妖怪が呼び寄せられ、会場は大混乱に陥る。収集がつくまでに、数時間を要した。そしてようやく、一回戦が始まる……)
(つづく)
って、続かないんですかー?(w
でも、こんな時までシリアスにならなくてもw
あれだけコンビ名書いてて続かないのは嘘じゃないですか?
書かないと駄目です。 書いてくれないと嫌です。 お母さんは許しません。
そうですか
これを想像したら笑いがとまらんかったです、はい
不夜城レッズが気になるので是非。
・・・さて、個人的には審査員が誰なのかと、摂氏-273.15℃の2人がどれだけ寒い(笑)ネタを披露してくれるのか非常に気になるので、私も続編執筆希望。
よって続けー(ぉぉぉ
嗚呼!?喧嘩売ってるんじゃないんですよ!?