『消えた金の謎』
どの世界にも「やってはならないこと」はある。そしてまた、幻想郷にも同じことが言える。例を上げるなら、幽々子から食べ物を奪うことや、咲夜を○○○と呼ぶことがそうだ(何と呼んだらいけないのか、知らない人は自分で調べていただきたい。私は命を大切にしたいと思う)。
そしてその中の一つに、霊夢の金を盗むことが入るのは、幻想郷の住人なら誰でも知っている。もちろん、金を盗るという行為そのものも、いけないことだ。しかし幻想郷という狭い世界の中で盗みなどをはたらけば、誰がやったかはすぐにわかってしまう。そのためか、ここ幻想郷では盗みが極めて少ないのだ。ただしこれは、一人の魔法使いを抜きにして考えた場合だ。彼女は定期的に盗みを行っている。だがその被害者は犯行を彼女の仕業だと知っている。よって、盗みの犯人はすぐにわかってしまうという法則は、やはり崩れることはない。だからこそ、今回の事件は例外的と言えるのだった。
また、この事件は最悪なことに「やってはならないこと」をやっていた。そう、霊夢の金がなくなったのだ!
「賽銭箱に入ってなかったわ。まだ入れていないのなら、そう言いなさい!」
「私は入れましたよ。利子まで付けてね! その様子をお嬢様が見ていたのです」
「そ。ちゃんと咲夜は入れていた。それは私が保証するわ」
今は一月、正月ムードも過ぎ去った頃である。だから何だ、と思う人もいるだろう。しかし、これはこの事件の説明をするために必要な情報である。
◇
咲夜は新年会に必要なものを買うために、幻想郷をあちこち回っていた。買い物を終え、余った金で紅茶を買ったのだが、その後で一つ買い忘れたものがあることに気がついたのだ。咲夜としたことが! 一度紅魔館に戻って、また買い物に出るというのも面倒なので、たまたま通りかかった博麗神社で金をいくらか借りようと思ったのだ。もちろん、いつもなら霊夢から金を借りようだなんて思うはずがない。霊夢は普段金欠で、自分が生活するので精一杯だから、他人に金を貸す余裕があるはずがないのだ。しかし、今は一月。正月の初詣のおかげで、霊夢の財布は潤っているに違いないのだ。少し金を借りるぐらい可能だろうと、咲夜は思った。
「あら、レミリアの犬。久々じゃないかしら?」
「あなたにお願いがあるのよ――」
咲夜が予想していた以上に、霊夢は金を貸すことを渋った。金のことにうるさい霊夢だから、そう簡単に貸してもらえるとはもちろん思っていなかったが、まさかここまで財布の紐が固いとは。まるでワニの口のような固さで、それを開けるのはもはや不可能に思われた。しかし、咲夜も引かなかった。レミリアのわがままに毎日付き合っているためか、咲夜の精神力はかなりのものであった。――そして、その精神力は、霊夢の意思を上回るに至ったのだ。
「しょうがないわね。――ただし、貸すのは一日だけよ! 二十四時間以内に、一割の利子を付けて、返すことね。もしも二十四時間を過ぎたら――」
「ちゃんと明日返すわよ」
「いいえ、ちゃんと決めましょう。トラブルになり得るわ。――二十四時間が過ぎたら、利子を二割にするわ。いいわね?」
「ええ。四十八時間が経ったら、三割ね。わかったわ」
もちろん咲夜は、高い利子だと思った。しかし紅魔館はそれほどお金に困っていないし、ちゃんと明日返すのだから、二十四時間以降が利子何割であれ、そんなことはどうでも良かった。
「あ! 明日は紫のところに行かなきゃならないわ。どうしましょ」
「明後日でも、私は全く構いませんよ」
「いや、駄目だわ。あなたは明日、お金を返すのよ。――そうだわ。この賽銭箱に入れてもらえるかしら?」
「盗まれたりしませんか?」
「大丈夫。盗みが多かったから、賽銭箱に鍵を付けたのよ。安心して入れてもらって結構よ」
こうして咲夜は、霊夢から金を借りることに成功した。咲夜は勝ち誇ったような顔をしていた。霊夢から金を借りたものが今までに何人いただろうか? ――少なくとも霊夢は、その人数を覚えているに違いない。
そして次の日、咲夜は借りた金に利子を加えて、賽銭箱に入れた。その様子をレミリアは見ていた。何故レミリアがいるのか? 咲夜が博麗神社に行くと言うと、レミリアは自分も行きたいと言った。咲夜はもちろん、霊夢がいないことを説明したが、レミリアは意思を変えなかった。単に散歩に出たいだけなのだろう、と咲夜は思った。
もう一度言っておく。咲夜はちゃんと入れたのだ――。
しかし霊夢は今日、金が入っていなかったと言って、紅魔館にやってきた。そして今、三人は話し合いをしている。説明としては、このぐらいで十分であろう。では改めて、彼女達の話に耳を傾けるとしようか。
◇
「賽銭箱の鍵は、私が身につけていたのよ。だから金が外に出たとは考えられない。では残る可能性は? あなたがお金を入れていない、以外に何かあるかしら?」
「賽銭箱を逆さにすれば、中の金を出せませんか?」
「いや、不可能ね。賽銭箱は地面にくっついているようなものよ。もし、レミリアの力で無理に持ち上げようものなら、地面がはがれてしまうわね」
レミリアが怪しげに笑う。
「可能性はあるじゃない。霊夢、あなたが嘘をついているという可能性よ。金を回収したあなたは、受け取っていないと嘘をついて、さらに私達から金を取ろうとした。一割の利子じゃ物足りなくなったのかしら?」
「な――。これだから、他人に金を貸すのは嫌なのよ! 確かに私はお金をそう多くは持っていないし、だから紅魔館を羨ましく思う時もあるわよ。でも、そんなことのために、私は嘘を言わないわ」
霊夢は怒ったようだ。貸した金が帰って来ず、さらに嘘をついていると言われたのだ。怒るのも当然と言えば当然である。しかし霊夢の様子を気にせずに、レミリアは言った。
「紫はどう? 可能性としては考えられるわよね?」
「――あなたたち、何時頃にお金を入れた?」
「午前中、十時前後ですかね」
「うん、紫はその時、私と一緒にいたわ。紫は犯人じゃない。また紫には、そんなくだらないことをする動機もない」
――部屋の扉が開いた。パチュリー・ノーレッジである!
「パチェ、聞いていたのね」
「いいえ、レミィ。聞こえてきたのよ。あなたたちの声が大きいから、読書に集中できないわ」
「パチュリー様、申し訳ありません。すぐに他の部屋に――」
「その必要はないわね。何故なら、私にはちょっとした推理があるからよ。聞いてもらえるわね?」
「素晴らしいわ、パチェ! 聞かせてもらおうかしら?」
「――咲夜、一ついいかしら。あなた、いくら借りた?」
「千円です」
「わかったわ。――途中、質問を入れないでちょうだい。あなたたちは、私の質問に答えるだけで良いわ」
霊夢はパチュリーの突然の登場に驚いたが、ここは大人しく彼女の話を聞くことにした。さて、パチュリーは犯人が誰かを示してくれるのか? 誰が嘘をついているのか? 霊夢はそんなことを考えていた。パチュリーは静かに、語り始めた。
◇
簡単な推理よ。――これを聞いたら、すぐにここから散っていただきたいわ。図書館の隣で騒がれたら、とても集中できないもの。
咲夜とレミリアは、金を賽銭箱に入れたと言う。霊夢は賽銭箱に金が入っていなかったと言う。この時点で、矛盾が生じているのはわかるわね? では、この三人以外の干渉があったのか? いいえ、霊夢が賽銭箱の鍵を持っていたというから、それもおそらくないわね。ならば、あなたたちはこう思うでしょうね。「三人のうちの誰かが嘘を言っている」と。しかし、私の推理では、それもはずれだわ。
では、霊夢に質問。賽銭箱にはいくら入っていた? それは――百円じゃなかったかしら?
(いや、百十円だったわね)
いいわ。その百十円の内訳を教えてあげましょうか? 十円は、何処かの信仰ある者が入れた金。そして百円は、咲夜が借りた金の利子なのよ。
(!)
それでは、残る千円は何処に消えたか? 結論から言うわ。千円は確かに、賽銭箱に入っていたのよ。――レミィ、あなたわかったようね? 言ってみて。
(千円は賽銭箱の入り口に引っ掛かり、下まで落ちなかった。だから霊夢は中を見た時に、千円が入ってないと思ったのよ)
――私の話はあくまでも推理だから、真実がどうであったかは知らないわ。ただ、レミィの推理が当たっている可能性はかなり低いと思われる。何故って、パーフェクトメイドの咲夜がそのようなミスをするはずがないし、霊夢がそれを見逃すとも思えないからよ。もちろん、そうだったかもしれない。だけど、もっと可能性として考えられることがあるのよ。
今の霊夢の考えていることを当ててみせようかしら? 「何故、百円は下に落ちるのに、千円になると入口に掛かる可能性があるのか」――そんなところでしょう? つまり、何が言いたいのか。霊夢はおそらく、千円札を知らないわ! そんな馬鹿な、と思うかしら。しかし、正月に金を集め、それに毎月集まる微々たる賽銭を足して、霊夢は生活をしているのよ。その生活に、千円札というものが、どうして入るかしら? ――咲夜、あなたの借りた千円の中に百円玉が何枚あったかしら?
(四、五枚です。あとは五十円玉や十円玉でした)
そう。しかし今回の出来事においては、霊夢に責任はないわ。むしろ責任を感じるべきは、咲夜の方ね。千円を小銭で借りたなら、そっくりそのまま小銭で返すべきだったのよ!
――と、私の推理はここまで。静かになったところで、私は戻るわね。
◇
パチュリーが図書館に帰ると同時に、霊夢は何も言わずに紅魔館から出ると、博霊神社に帰った。とてつもない速さであった。
「これでは、霊夢が気の毒です。今だって逃げるように――」
「いや、違うわね。むしろ――」
レミリアは笑った。
「捨ててしまった金を回収しに帰った、かしらね?」
どの世界にも「やってはならないこと」はある。そしてまた、幻想郷にも同じことが言える。例を上げるなら、幽々子から食べ物を奪うことや、咲夜を○○○と呼ぶことがそうだ(何と呼んだらいけないのか、知らない人は自分で調べていただきたい。私は命を大切にしたいと思う)。
そしてその中の一つに、霊夢の金を盗むことが入るのは、幻想郷の住人なら誰でも知っている。もちろん、金を盗るという行為そのものも、いけないことだ。しかし幻想郷という狭い世界の中で盗みなどをはたらけば、誰がやったかはすぐにわかってしまう。そのためか、ここ幻想郷では盗みが極めて少ないのだ。ただしこれは、一人の魔法使いを抜きにして考えた場合だ。彼女は定期的に盗みを行っている。だがその被害者は犯行を彼女の仕業だと知っている。よって、盗みの犯人はすぐにわかってしまうという法則は、やはり崩れることはない。だからこそ、今回の事件は例外的と言えるのだった。
また、この事件は最悪なことに「やってはならないこと」をやっていた。そう、霊夢の金がなくなったのだ!
「賽銭箱に入ってなかったわ。まだ入れていないのなら、そう言いなさい!」
「私は入れましたよ。利子まで付けてね! その様子をお嬢様が見ていたのです」
「そ。ちゃんと咲夜は入れていた。それは私が保証するわ」
今は一月、正月ムードも過ぎ去った頃である。だから何だ、と思う人もいるだろう。しかし、これはこの事件の説明をするために必要な情報である。
◇
咲夜は新年会に必要なものを買うために、幻想郷をあちこち回っていた。買い物を終え、余った金で紅茶を買ったのだが、その後で一つ買い忘れたものがあることに気がついたのだ。咲夜としたことが! 一度紅魔館に戻って、また買い物に出るというのも面倒なので、たまたま通りかかった博麗神社で金をいくらか借りようと思ったのだ。もちろん、いつもなら霊夢から金を借りようだなんて思うはずがない。霊夢は普段金欠で、自分が生活するので精一杯だから、他人に金を貸す余裕があるはずがないのだ。しかし、今は一月。正月の初詣のおかげで、霊夢の財布は潤っているに違いないのだ。少し金を借りるぐらい可能だろうと、咲夜は思った。
「あら、レミリアの犬。久々じゃないかしら?」
「あなたにお願いがあるのよ――」
咲夜が予想していた以上に、霊夢は金を貸すことを渋った。金のことにうるさい霊夢だから、そう簡単に貸してもらえるとはもちろん思っていなかったが、まさかここまで財布の紐が固いとは。まるでワニの口のような固さで、それを開けるのはもはや不可能に思われた。しかし、咲夜も引かなかった。レミリアのわがままに毎日付き合っているためか、咲夜の精神力はかなりのものであった。――そして、その精神力は、霊夢の意思を上回るに至ったのだ。
「しょうがないわね。――ただし、貸すのは一日だけよ! 二十四時間以内に、一割の利子を付けて、返すことね。もしも二十四時間を過ぎたら――」
「ちゃんと明日返すわよ」
「いいえ、ちゃんと決めましょう。トラブルになり得るわ。――二十四時間が過ぎたら、利子を二割にするわ。いいわね?」
「ええ。四十八時間が経ったら、三割ね。わかったわ」
もちろん咲夜は、高い利子だと思った。しかし紅魔館はそれほどお金に困っていないし、ちゃんと明日返すのだから、二十四時間以降が利子何割であれ、そんなことはどうでも良かった。
「あ! 明日は紫のところに行かなきゃならないわ。どうしましょ」
「明後日でも、私は全く構いませんよ」
「いや、駄目だわ。あなたは明日、お金を返すのよ。――そうだわ。この賽銭箱に入れてもらえるかしら?」
「盗まれたりしませんか?」
「大丈夫。盗みが多かったから、賽銭箱に鍵を付けたのよ。安心して入れてもらって結構よ」
こうして咲夜は、霊夢から金を借りることに成功した。咲夜は勝ち誇ったような顔をしていた。霊夢から金を借りたものが今までに何人いただろうか? ――少なくとも霊夢は、その人数を覚えているに違いない。
そして次の日、咲夜は借りた金に利子を加えて、賽銭箱に入れた。その様子をレミリアは見ていた。何故レミリアがいるのか? 咲夜が博麗神社に行くと言うと、レミリアは自分も行きたいと言った。咲夜はもちろん、霊夢がいないことを説明したが、レミリアは意思を変えなかった。単に散歩に出たいだけなのだろう、と咲夜は思った。
もう一度言っておく。咲夜はちゃんと入れたのだ――。
しかし霊夢は今日、金が入っていなかったと言って、紅魔館にやってきた。そして今、三人は話し合いをしている。説明としては、このぐらいで十分であろう。では改めて、彼女達の話に耳を傾けるとしようか。
◇
「賽銭箱の鍵は、私が身につけていたのよ。だから金が外に出たとは考えられない。では残る可能性は? あなたがお金を入れていない、以外に何かあるかしら?」
「賽銭箱を逆さにすれば、中の金を出せませんか?」
「いや、不可能ね。賽銭箱は地面にくっついているようなものよ。もし、レミリアの力で無理に持ち上げようものなら、地面がはがれてしまうわね」
レミリアが怪しげに笑う。
「可能性はあるじゃない。霊夢、あなたが嘘をついているという可能性よ。金を回収したあなたは、受け取っていないと嘘をついて、さらに私達から金を取ろうとした。一割の利子じゃ物足りなくなったのかしら?」
「な――。これだから、他人に金を貸すのは嫌なのよ! 確かに私はお金をそう多くは持っていないし、だから紅魔館を羨ましく思う時もあるわよ。でも、そんなことのために、私は嘘を言わないわ」
霊夢は怒ったようだ。貸した金が帰って来ず、さらに嘘をついていると言われたのだ。怒るのも当然と言えば当然である。しかし霊夢の様子を気にせずに、レミリアは言った。
「紫はどう? 可能性としては考えられるわよね?」
「――あなたたち、何時頃にお金を入れた?」
「午前中、十時前後ですかね」
「うん、紫はその時、私と一緒にいたわ。紫は犯人じゃない。また紫には、そんなくだらないことをする動機もない」
――部屋の扉が開いた。パチュリー・ノーレッジである!
「パチェ、聞いていたのね」
「いいえ、レミィ。聞こえてきたのよ。あなたたちの声が大きいから、読書に集中できないわ」
「パチュリー様、申し訳ありません。すぐに他の部屋に――」
「その必要はないわね。何故なら、私にはちょっとした推理があるからよ。聞いてもらえるわね?」
「素晴らしいわ、パチェ! 聞かせてもらおうかしら?」
「――咲夜、一ついいかしら。あなた、いくら借りた?」
「千円です」
「わかったわ。――途中、質問を入れないでちょうだい。あなたたちは、私の質問に答えるだけで良いわ」
霊夢はパチュリーの突然の登場に驚いたが、ここは大人しく彼女の話を聞くことにした。さて、パチュリーは犯人が誰かを示してくれるのか? 誰が嘘をついているのか? 霊夢はそんなことを考えていた。パチュリーは静かに、語り始めた。
◇
簡単な推理よ。――これを聞いたら、すぐにここから散っていただきたいわ。図書館の隣で騒がれたら、とても集中できないもの。
咲夜とレミリアは、金を賽銭箱に入れたと言う。霊夢は賽銭箱に金が入っていなかったと言う。この時点で、矛盾が生じているのはわかるわね? では、この三人以外の干渉があったのか? いいえ、霊夢が賽銭箱の鍵を持っていたというから、それもおそらくないわね。ならば、あなたたちはこう思うでしょうね。「三人のうちの誰かが嘘を言っている」と。しかし、私の推理では、それもはずれだわ。
では、霊夢に質問。賽銭箱にはいくら入っていた? それは――百円じゃなかったかしら?
(いや、百十円だったわね)
いいわ。その百十円の内訳を教えてあげましょうか? 十円は、何処かの信仰ある者が入れた金。そして百円は、咲夜が借りた金の利子なのよ。
(!)
それでは、残る千円は何処に消えたか? 結論から言うわ。千円は確かに、賽銭箱に入っていたのよ。――レミィ、あなたわかったようね? 言ってみて。
(千円は賽銭箱の入り口に引っ掛かり、下まで落ちなかった。だから霊夢は中を見た時に、千円が入ってないと思ったのよ)
――私の話はあくまでも推理だから、真実がどうであったかは知らないわ。ただ、レミィの推理が当たっている可能性はかなり低いと思われる。何故って、パーフェクトメイドの咲夜がそのようなミスをするはずがないし、霊夢がそれを見逃すとも思えないからよ。もちろん、そうだったかもしれない。だけど、もっと可能性として考えられることがあるのよ。
今の霊夢の考えていることを当ててみせようかしら? 「何故、百円は下に落ちるのに、千円になると入口に掛かる可能性があるのか」――そんなところでしょう? つまり、何が言いたいのか。霊夢はおそらく、千円札を知らないわ! そんな馬鹿な、と思うかしら。しかし、正月に金を集め、それに毎月集まる微々たる賽銭を足して、霊夢は生活をしているのよ。その生活に、千円札というものが、どうして入るかしら? ――咲夜、あなたの借りた千円の中に百円玉が何枚あったかしら?
(四、五枚です。あとは五十円玉や十円玉でした)
そう。しかし今回の出来事においては、霊夢に責任はないわ。むしろ責任を感じるべきは、咲夜の方ね。千円を小銭で借りたなら、そっくりそのまま小銭で返すべきだったのよ!
――と、私の推理はここまで。静かになったところで、私は戻るわね。
◇
パチュリーが図書館に帰ると同時に、霊夢は何も言わずに紅魔館から出ると、博霊神社に帰った。とてつもない速さであった。
「これでは、霊夢が気の毒です。今だって逃げるように――」
「いや、違うわね。むしろ――」
レミリアは笑った。
「捨ててしまった金を回収しに帰った、かしらね?」
贅沢を言うならもっと長めの話を読んでみたい。
推理をするには余りにも情報が足りなかったですね。しかし情報を出しすぎて、読者をがっかりさせてしまうこともありますから、その加減は難しいですね。まだまだ未熟者です。
7様>「賽銭箱は地面にくっついている」というのは、表現が悪かったです。もっと無理のない説明をすべきでした ね。申し訳ありません。
読者に真面目に推理させる話なら
最初の方に霊夢は紙のお金を知らないんじゃないのか?
と思わせる文を入れてほしかった。