そろそろと、梅雨の足が幻想郷にも届いた様だ。
気がつけば連日の雨で、本日は久しぶりの晴れだと言えるだろう。
朝方にはぬかるんでいた地面も、夜にはもうすっかり乾いたらしい。
もしかしたら、もう夏を思わせる気温になってきたのかもしれない。
何でも地球が温暖化してると八雲の大妖が言っていたか。
「さて、遅くなってしまったな」
僕こと森近霖之助は星が瞬く空を見上げて、一つ息を零した。
情けない話だが、連日の雨の間に霊夢と魔理沙に傘を持っていかれたお陰で、外出できない状態が続いていたのだ。
ほとんど店に閉じこもっている様なイメージを持たれるが、僕だって気晴らしに散歩ぐらいするし、人間の里に買い物だって行く。
まさか傘をささずに散歩や買い物をする訳にも行かないので、晴れ渡った今日がチャンスとばかりに出かけたのだ。
もちろん、傘を買いに。
そこで無事に傘を購入できたのだが、店のご主人との会話に華が咲いてしまったのだ。
連日の雨で、どうやら売り上げが好調らしい。
そこで、資金に余裕ができたらしく、新しい丈夫な傘を開発しているそうだ。
「でも、ご主人、そうなると売り上げが落ちないかい? 傘が壊れないと、みんな買わなくなってしまう」
「なぁに、俺ぁ、自分の傘が自慢なんだ。道具屋であるお前さんだったら、分かるだろ」
「なるほど、確かにそうだ」
「まぁ、お前さんは儲かってないがね」
「むぅ……僕も名前が霖(ながあめ)というだけに、少しはご主人にあやかりたいよ」
「だっはっは!」
と言った具合で、商売の方法から傘の作りに至るまで、かなり遅くまで話し込んでしまった。
お陰で、うるさいほどの蛙の鳴き声が響いている。
蛙の神様にお願いして、鳴きやまして欲しいくらいだ。
さて、あの神様は何という名前だっただろうか。
三本足の白い蛙の神様。
「う~む、僕の記憶力もアテにならないな」
思い出せないものはしょうがない。
さっさと諦めるに限る。
「さて、久しぶりに行ってみるか」
空を見上げればお月様。
太陽の光を受けてのみ輝ける、大きな存在。
今や、屋台のお姫様と化した蓬莱山輝夜に会いに行くとしよう。
梅雨の晴れ間には、きっと人里からのお客さんが多かっただろうけど。
~☆~
いつもの道を一人歩いていると、案の定、多くの里の人間とすれ違う。
やはり雨の中を屋台に行くのは少しばかり勇気がいるらしい。
しばらく行けていなかった人達が今日は一斉に押し寄せているのではないだろうか。
それでも早い時間が多かっただろう。
やはり夜は人間の時間ではなく、妖怪の時間だ。
黄昏時を、逢魔が時と言う様に。
「それにしても、人魂か」
林の向こうに薄っすらと人魂が飛んでいた。
幻想郷に幽霊が溢れてもう幾年かが経つが、流石にこれだけ大量にいると気持ちが悪い。
昼間とは言えないが、夕方くらいの明るさになっているではないか。
まぁ、提灯だと思えば、それほど悪くはないのだが……
「あ、霖之助さん」
不意に背後から名前を呼ばれ、僕は振り返る。
なるほど、と僕は思った。
人魂が多い訳だ。
彼女達がいるのなら。
「こんばんわ、霖之助さん」
「こんばんは、香霖堂さん」
僕を呼んだのは、白玉楼の剣の指南役兼庭師である魂魄妖夢だった。
いつのも様にニ振りの刀を携え、半人半霊の証である様に幽霊の半身を連れている。
そして、彼女の後ろにおっとりとした美人がいた。
西行寺幽々子だ。
彼女の周りには付き従う様に人魂が浮いている。
恐らく、この夜道を照らす様に彷徨っている人魂も、彼女が操っているのだろう。
「こんばんは、妖夢に幽々子。この人魂の多さは君たちの仕業かい?」
「女の二人歩きは何かと危険ですもの。襲われたりしたら大変だから、提灯代わりにね」
幽々子がおかしそうに口元を隠して笑った。
冗談なのか本気なのか、窺い知る事が出来ない。
「幽々子さまが屋台に行ってみたいという事なので、ミスティアのお店に行く事にしました。なにぶん早い時間だと里の人達に迷惑になるかもしれないので、こんな夜更けですが」
「なるほどね。丁度良かった、僕も行こうと思ってたところなんだ。迷惑でなければ、ご一緒していいかい?」
僕の言葉に、妖夢は主人の顔を伺う。
表情から読み取れば、妖夢は別に構わないといった感じだ。
あとはご主人様次第。
「えぇ、男の方がいてくれたら安心だわ。ご一緒してくださる、香霖堂さん?」
「もちろん」
了承が得られてから、僕は妖夢の横に並んだ。
まぁ、これで先程の幽々子の言葉は冗談だという事が分かった。
僕なんか、何の役にも立てないからね。
妖夢の方がずっと頼もしいのではないだろうか。
すっかり一人前になった様に、胸を張っている。
頼もしい限りじゃないか。
「ん、何か付いてますか?」
と、そんな僕の視線に気がついたのか、妖夢は焦るように髪をいじった。
「いや、何も付いてないよ」
「ダメよ、香霖堂さん。半人半霊と半人半妖だと、子供がワケが分からなくなるわ」
「こ、子供!?」
なぜか妖夢が赤くなった。
幽々子の冗談だというのに、真に受けているらしい。
「確かに、どうなるんだろうね。もう幽霊なのか、妖怪なのか分からないな。上手くいけば人間になれるんじゃないかな」
少しばかり面白いので、僕もその冗談に付き合う事にする。
確かに、半人半妖と半人半霊の子供がどうなるかは、見てみたい気もするが、まさか試す訳にもいくまい。
「な!? いや、その、あの、えっと、その、あぁ、うぅ、いぃ、きゃー!」
妖夢は奇声を発して、先へと走っていってしまった。
青いなぁ……
「ウブねぇ……あんまりイジめちゃダメよ、香霖堂さん」
「はい、気をつけます」
僕と幽々子は苦笑して、歩き始めた。
人魂が明るくて、走っていく妖夢の後姿がまだ見えるのは、マヌケといえばマヌケだなぁと、月をぼんやり見ながら思った。
~☆~
遠くの方に薄ぼんやりと赤提灯が見えてきた頃に、妖夢はその場でちょこんと座っていた。
ここまで来てようやく落ち着いたらしい。
「い~まか~ら一緒に! これから~一緒に! ぶっ殺しに行こうか~!」
「やー! やー! やー! や! やややー!!!」
なんだかとてつもなく物騒な歌が聞こえてきた。
しかも、いつもの店主一人ではなく、誰かと一緒に熱唱している様だ。
そうとう盛り上がってるに違いない。
妖夢を拾い屋台に近づくと、ミスティアと共に熱唱しているのがメディスン・メランコリーだと分かった。
小さな人形もピコピコと音頭をとっている。
それを邪魔しても悪いなと思うし、とても付いていけそうに無いテンションなので、僕達は隣の長机に座った。
雨対策だろうか、巨大な赤い傘が真ん中に置かれており、赤提灯が新しく吊るされていた。
「いらっしゃい、香霖堂。それから妖夢に幽々子も」
「うわぁ、蓬莱山輝夜だ!?」
いつもの様に輝夜が付け出しの焼き筍を出してくれたところで、幽々子が悲鳴をあげた。
あぁ、そういえば、と思い出す。
西行寺幽々子といえば、死を操る程度の能力を持っている。
それは他人を勝手に殺したり、幽霊を操ったりする能力なのだが……
「うわぁ、不老不死だ、いや、気持ち悪い!」
「き、気持ち悪いって……酷いわね」
不老不死である輝夜や藤原妹紅が苦手らしい。
幽々子には、他人の死が見えているのだろうか。
それが、見えないと気持ち悪いという事なのだろうか。
どうやら、輝夜がここでアルバイトしている事は知らなかったようだ。
「料理の文句は受け止めるし、容姿への罵詈雑言も受け止めるけど、死なないから気持ち悪いって言われてもしょうがないじゃない。まぁ、私の罪でもあるんだけど」
「あぁ、ごめんなさいね、思わず」
「……ちょっと、香霖堂。あなたのツレでしょ、何とか言ってよ」
「どうして僕が……まぁいい。幽々子、少しなら僕が奢るから我慢してくれないか」
僕の言葉が届いたのか、幽々子の表情がパッと華やいだ。
まったく……亡霊なのに俗物な人だ。
いや、亡霊か。
人じゃない。
「輝夜、何か美味しいものが食べたいわ。それと美味しいお酒」
「はい喜んで。妖夢は?」
「え、あ、はい、私は軽く食べれるものと、甘いお酒で」
「? はい喜んで。香霖堂は?」
「筍ご飯と何か一品。それと竹酒で」
「はい喜んで♪」
輝夜は屋台側に引っ込むと、すぐに料理とお酒を持ってきた。
いつも思うのだが、この手際の良さが流石というべきだろう。
店によっては、お酒さえ出てくるのが遅いというのに。
もっとも、色々理由があるのだろう。
自分の都合だけで、一方的に文句を言ってはいけない。
「はい、香霖堂と幽々子に竹酒。妖夢には八海山ね」
「ふ~ん……そんなに頑張らなくてもちゃんと待ってるわよ、輝夜」
幽々子が何か気づいたのだろうか、輝夜にそう言うと、お姫様は何でもないように笑うだけだった。
「輝夜が何かしているのかい?」
「あら、気づいてないの、香霖堂さん。ダメねぇ……」
「でしょ。本当、香霖堂ってダメなのよ」
お姫様とお嬢様がこちらを見て口元を隠しながら笑う。
なんだなんだ、いったい僕が何に気づいてないというんだ?
「はい、お野菜の天ぷら。天つゆにつけて食べてね。妖夢には冷奴ね。はい、それから香霖堂の筍ご飯」
僕達の前に次々に料理が運ばれてくる。
うん、やはり美味しそうだ。
「美味しそう、じゃなくて、美味しいのよ」
「ふむ。そうだな」
僕が手を合わせている間にすでに幽々子は天ぷらを口に運んでいた。
まぁ、彼女は手を合わせる資格など持ち合わせていないだろうと僕は思う。
生殺与奪の権利を一人占めしている様なものだ。
例外が目の前にいるけど。
「いただきます」
僕は茄子の天ぷらを天つゆにつけてから、口に放り込んだ。
サクっとした食感に次いで、茄子の柔らかい食感が口内に広がる。
茄子の美味しさも勿論だが、天つゆも美味い。
このまま飲んでも良いくらいだろう。
茄子の味を楽しみつつ、僕は筍ご飯を頬張る。
相変わらずの美味しさ。
「あぁ、やっぱり輝夜の料理は美味いなぁ」
「ありがとう。お嫁さんにどう?」
「いらないなぁ」
「ちょっと~、少しは悩みなさいよ」
「お嫁さん……」
ふと、妖夢は言葉を漏らした。
どうやら、店に来る前にからかったのが、まだ尾を引いているらしい。
「どうしたの、妖夢」
「あぁ、さっき幽々子とからかったんだ。僕と妖夢の子供はどうなるんだろうって」
「ふ~ん……」
輝夜は腕を組んで何か考えているようだ。
その間も妖夢は冷奴を角から崩して、ぐじゅぐじゅとしている。
「ねぇ、香霖堂。もしも、私とあなたが結婚したら、永遠亭に来る? それとも香霖堂に行きましょうか?」
「な、なにを突然に」
と、輝夜を見た瞬間にパチリと目で合図された。
なんだ?
話を合わせろ、という事か?
「そ、そうだな……僕は店を続けたいんで、君が来てくれると、とても、助かる、かな」
「ふふ、アルバイト続きの私も、ついに就職できるのね」
「あ、あぁ」
「じゃぁ~、香霖堂で働くという事と、あなたのお嫁さんという事と、不老不死という事で、三重の意味で『永久就職』ね」
「……上手いな。一杯奢ろう」
「やった」
輝夜は小さめのぐい飲みを持ってくると、僕の竹酒をそこへ注いだ。
そして、いただきますと一気に煽って、呑み干す。
ところどころ豪快なお姫様だ。
「ふ~ん……どうやら、香霖堂に惚れてる訳じゃなさそうね」
輝夜は妖夢を見ながらこっそりと僕に呟く。
「それを確認する為の暴言だったのか」
「あら、残念?」
「さぁね」
僕は誤魔化す様にお酒を一口呑んだ。
「ほら、妖夢。大丈夫よ、あなただっていつかは良い人と巡りあえるわ。何も焦る事なんてない。ほら、私なんていつまでたっても一人。相手だって、まだいないわ」
「いえ、その」
「あら妖夢。彼氏でも欲しいの?」
「そそ、そういう訳ではありませんが……」
「彼氏が欲しい訳でも子供が欲しい訳でもない……あぁ、そういう事ね」
「あら、妖夢も大人になったわね」
輝夜と幽々子はそう呟き、妖夢の頭を優しく撫でた。
妖夢が何か悩んでいるのを、輝夜と幽々子は理解できたというのだろうか。
僕には、いまいち分からない。
妖夢は子供が欲しい様子でもないし、彼氏が欲しい訳でもないらしい。
「いえ、霊夢さんや魔理沙さん達を思うと、私はまだなので、少し羨ましいだけです」
「ふふふ、まぁ、彼女達はただの人間だから、妥当じゃない?」
「そうよ、妖夢。あなたはゆっくりでいいの。焦るとロクな事にならないわ」
あぁ、もしかしたら……
「はい、香霖堂のスケベ」
「ちょっと待ってくれ。僕は何も言ってないぞ!」
「ほら、妖夢。焦るとあんな男に引っ掛かるわよ。気をつけなさいね」
「はい、幽々子さま」
まったく……どうして僕だけが変態扱いなんだ?
「はぁ~」
御伽噺のかぐや姫はもっと『おしとやか』に描かれてなかっただろうか。
あれも営業用だったというのだろうか。
是非、改訂版の発行を望むね、僕は。
~☆~
「あ~ぅ~、もうダメです~」
どうやら妖夢は呑みすぎたらしい。
快楽の表情と苦悶の表情を順に表している。
気持ちいいのか気持ち悪いのか、どっちだろう。
まぁ、幽々子に膝枕してもらってる状態では、まだまだ子供みたいなものだ。
お酒の呑み方も覚えた方が良いだろう。
「あらら、大丈夫かしら」
そんな妖夢を気遣ってか、輝夜は妖夢を机越しに覗き込む。
「妖夢~、という事はあなたは処女なのね~?」
「はい~、処女です~」
呑んでた酒を思いっきり吹き零してしまった。
しかも気管に入ってしまったらしい。
僕は呼吸困難になりそうな勢いで咳き込んだ。
情けない事に涙まで浮かんでいる。
「汚いわね、香霖堂。ちなみに私は―――」
「言わなくていい!」
僕は思わず彼女の口に人差し指を当てる。
まったく、どこが上品なお姫様だ。
下品極まる。
「ムカッ」
「痛っ!」
指先に鋭い痛みが走り、僕は慌てて人差し指を引っ込める。
見れば、指先に彼女の歯型が付いており、血が少しだけ滲んでいた。
「な、なにをするんだ輝夜」
僕は人差し指を舐めて血を拭う。
唾液には、殺菌作用があるのだ。
ツバでも付けときゃ治る、というのは実際にその通りなのである。
「はい、香霖堂と間接キス~」
「なっ!?」
ニヤリと笑う輝夜を見る。
上手く誘導されているのか、良い様にからかわれているのか。
まぁ、少しだけ朱が入った頬を見ると、酔っ払っているようだが……
まったく。
酒は呑めど呑まれるな、という意味合いをこの少女達に講義してやりたいくらいだ。
「あぁ、もう帰りたいくらいだ」
「帰る?」
帰る。
……あぁ、そういえばあの蛙の神様は何だっけ?
「なぁ、三本足の蛙って何と言ったかな?」
「三本足? え~っと八咫烏じゃなくて……金蟾(きんせん)ね」
「えぇ、それから神様じゃなくて霊獣ですよ、香霖堂さん」
流石は永遠亭のお姫様と西行寺家のお嬢様。
知識量は誰にも劣らないな。
「で、金蟾がどうしたの?」
「いや、そういう存在がいたのに、名前がどうしても思い出せなくてね」
「そろそろ年かしら」
「もっと魚を食べた方がよろしいんじゃない」
むぅ……好き放題言ってくれる。
「でも、金蟾っていえば縁起物だけど、どうして蛙なのかしら」
輝夜が顎に手を人差し指を当てて、考えているというポーズをとった。
その答えなら、僕に覚えがある。
「それは蛙が田の神の使いだからさ。田んぼは財産の印みたいな物な訳であり、つまり蛙は財神という訳さ」
僕の知識を披露しているうちに、不意に記憶の底から知識が戻って来た。
「そうだ、思い出したぞ。金蟾っていうのは青蛙(せいあ)と呼ばれる神様の化身でもあるんだ。あながち神様というのも間違いじゃない」
「へぇ~、それは私も知らなかったわ」
どうだ、とばかりに輝夜の方を見る。
すると彼女は、何事も無かったかの様にぐい飲みを煽っていた。
もしかして、さっきから呑んでいるのは僕のお酒だろうか。
僕は何杯も奢るなんて一言も言ってないのだが。
「ふ~ん……で、香霖堂はどうして蛙の事なんて考えてたの? 洩矢諏訪子にでも惚れた?」
「彼女は関係ないだろう。ただ、最近、蛙の鳴き声がうるさいな、と思っていただけだよ。そこで確か蛙の神様がいたなぁと思ったんだ」
「蛙の鳴き声? そんなに気になったかな? ねぇ、幽々子、蛙の鳴き声ってうるさい?」
「私は冥界に住んでるから、そんなに。でも、そう聞くと、禁蛙(きんあ)の話を思い出すわ」
「あぁ、なるほど」
二人してニンマリと笑いこちらを見る。
禁蛙……聞きなれない言葉だな。
いったい、なんだろう。
「香霖堂、『劉海戯金蟾(りゅうかいぎきんせん)』って知ってる?」
「いや、知らない」
「やっぱり知らない様ね」
輝夜が人差し指を立てて講義を始める。
そのポーズは僕が時々とるものであり、どうやら盛大に僕を皮肉っているらしい。
「劉海戯金蟾っていうのは、一種の魔除けの絵ね。この劉海蟾っていうのは俗に蝦蟇仙人って呼ばれてて、金蟾の親分みたいなものね」
なるほど。
金蟾達の親分は仙人だったのか。
霊獣より格上の仙人ともなると、相当な徳の持ち主だろう。
幻想郷でも妖怪達から人間を守る仙人がいる。
もっとも、彼等は自分の修行で忙しそうだが。
「それで禁蛙って言われるのは、蛙達が一斉に黙っちゃう事なの。この劉海蟾の前でも蛙達が一斉に黙ったらしいわ」
「まぁ、人間側の徳の高さを謳う話だけど」
幽々子が注釈を入れてくれる。
つまり、劉海蟾の前ではあれだけ泣き喚いている蛙達も泣き止んだ、という事だろう。
「そういう訳で、蛙達もなかなか賢明で、有徳な人物の前ではきちんと慎むっていうお話よ」
あぁ、そういう訳か。
蛙がうるさいと嘆く僕には、徳なんてものは無く、せいぜい蛙に馬鹿にされてろ、という意味だろう。
最悪の形に受け取れば。
しかし、回りくどい文句だなぁ。
「どうせ僕には徳なんて一切ないさ」
今度、仙人にあったら肉片でも貰いたいものだ。
何でも仙人を喰らうと、格が一つ上がるらしい。
「あら、野蛮ね」
「妖夢、香霖堂さんに食べられない様にね~」
「私の処女は、あなたなんかにあげませんよ~」
妖夢は食べるという意味を最悪な形で受け取ったらしい。
「残念ね、香霖堂」
「ふられたわね、香霖堂さん」
ニヤリと笑うお姫様とお嬢様。
「まったく……なんとも色気のない話だ」
これはこれで、森近霖之助らしいと言えばらしいのだが。
相変わらず面白いです
が、今回はちょっと下ネタすぎかもしれませんねw
だが面白かったです
面白かったです。
蛙が鳴くのは繁殖のため、とくればこれもまた下ネタでしょうか。
酒の席の下ネタの割には綺麗な会話だなと思った俺は色々な意味で駄目だ。
最初にでてくる脇役たちに存在感があるのが素敵です。
この部分に激しく反応した自分がいる・・・
お話は毎回勉強になります!
霖之助の下ネタ回避能力は実際いかほどなのかw
ああ面白かった♪
確かなのは白系統の髪の毛をしていそうって事くらいかな?
……慧音も厄介ですねww
しかし作者氏の知識量は凄まじい、一体何処からネタを仕入れてきてるのかw
毎回ミスティアの歌で笑ってしまいます。
雑種の方が人も綺麗になるらしいので。