まどろみの中でぐるぐると夢と現は混ざりあう。
永遠に。。
永遠に。。
重なることはあろうとも、一つになる事はありえない。
永遠に。。
永遠に。。
「紫様、あれで本当に良かったのですか?」
あの出来事から数日が経っていた。
「えぇ、あれで良かったのよ。。」
藍はまだ事を引きずっていた。
「"私"の願いは許されないものだったわ。現と夢は絶対に一つにしてはいけない。」
やはり、藍は彼女に対しての私の言動が気に気に食わなかったのか、
「でも、紫様の力ならどうにでもなったのでは?」
普段なら絶対に私に対して反論しないのに。。
「藍、貴女は木を見て森を見ていないわ。
私が同じ世界に2人いるという事は全ての均衡を崩すだけ。。
だからこそ私は、その願いをその望みを絶ったのよ。」
単純な出来事。
夢の管理者である私に彼女は願う。
彼女の願いは簡単なものだった。
ずっと望んできた「現を夢」にただそれだけ。
そして、私は彼女の願いを強く拒否した。
そう、それだけ。
終わってしまった話。
「・・・そうですか。」
以降、藍は自ら口を開こうとはしなかった。
-夢は現の裏側で-
「うーん、、確かこの辺に。。」
「もう少し先だった気がするわ。」
とある山奥に二つの影があった。
「この前来た時にはあっさり着いたのに。。蓮子、もしかして迷った?」
「そんな筈は。。」
「空が見えない場所では力が使えないって不便な力ね。」
高い木々が生い茂り空を緑が覆っている。
なかなか見つからない目的地。
他愛のない会話をしながらひたすらに探す。
「あ、あった。あった。博麗神社。」
2人は再び訪れる。
夢と現の狭間へと。
-現は夢の表側-
「貴女、勘違いをしていない?
一つにしてはいけないとは言ったけど、別に重ねてはいけないとは言っていないのよ。」
藍は何時でも自ら解を出していた。
私が全ての言葉を紡ぐ前に。
それ故藍はよく勘違いをする。
「それは、どういう意味でしょうか?」
「まぁ、そのうち分かるわよ。」
だから、私は全てを紡がない…。
「さて、幽々子を連れて神社に行くわよ。」
「仰せのままに。」
-どちらも区分はつかなくて-
「ここで、待ってればいいんだっけ?」
人気のない神社の境内。
寂れてはいるが、誰かが定期的に掃除をしているらしく荒れてはいない。
「彼女は巫女が道を作ってくれるって言ってたわ。」
「本当かなぁ。。」蓮子はあまり信用していないようだった。
「あら、蓮子は"私゛が信用できないの?」
という質問に、
「どっちもうさん臭いから。。」
そんな失礼な事を言い出した。
-どちらも本質は同じもの-
「紫?居るんでしょ。そろそろ来るわよ。」
博麗の巫女が誰もいない空間に向って話しかける。
「貴女って、本当勘のいい巫女ね。」
苦笑しながら紫が隙間からでてきた。
「それだけが取り柄だから。」
巫女は全く表情を変えずに言う。
「今度は式に亡霊ねぇ、、神社なのに何でこんなのばっかり集まって来るのかしら。」
紫 藍 幽々子、魑魅魍魎勢揃いだ。
「こんなのってのは失礼ねぇ。」
幽々子が抗議の声を上げるが無視される。
「何で幽々子?」
「無視は酷いわぁ。。。」
と境内の端でいじけている。
それを藍が慰めるのを横目で見ながら、
「あの子達と約束したの。
願いを叶えられない変わりにこのまどろみの中で幻想を見せてあげるってね。」
ふーん、と巫女は全く興味を示さず、
「私の仕事の邪魔はしないでね。」
それだけを言い縁側に座りお茶を飲み始めた。
「それが仕事なのね。」
ただただ苦笑するしかなかった。
-夢と現は混ざりあう-
「御機嫌よう、現の私。」
「御機嫌よう、夢の私。」
こうして、違う世界の同じ2人の奇妙な関係が始まった。