Coolier - 新生・東方創想話

必要なのか、不必要なのか

2009/06/09 11:00:03
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私だけ……?
私だけなのか……?
黄色いアイツを認めているのは……
霧雨魔理沙は嘆息していた。


それは、前の宴会でのことだ。
誰が始めに言い出したのかもわからない。
そもそも、私自身も酒に酔っていたので、そこまで確実に記憶があるとは言いがたいしな。
でも、話の内容自体ははっきり覚えていた。
アイツが非難されていた。
しかも、それに対しての反論は無し。
つまり全員がその意見に賛成をしていた。そこで私は気づいてしまったんだ。
誰もがアイツを拒絶しているということを。

私はアイツが好きだ。
例えるならば、一見キツイような感じを呼び起こしながらも、その実、やさしさを胸に秘めていて、安らがせてくれているような、そんな感じだ。
でも、誰もそのことをわかっていない。

私はアイツが大好きだ。
愛していると言い換えてもいい。
初めて出会ったときは、何だこいつ?と思っていた。
しかし、いつの間にか、なかなかに味のあるやつだと思うようになっていた
誰も賛同はしてくれないが。


なぜ、ここまでアイツは嫌われるのだろう。
アイツがここまで嫌われる謂れなんて無いはずだ。
私は、他の奴らを説得する。
そのために、私は動き出す。
絶対に、アイツの存在を認めさせる。





そして私は、紅魔館を訪れていた。
単純に数が多ければ、賛同者もいてくれるはずだと信じて。
今日は別に本を借りに来たわけじゃない上に、出来れば説得をするのだったら、多くの人間(まぁ、妖怪ではあるが)がいるに越したことは無い。
そのため、珍しく門を強行突破せずに、普通に歩いて行くことにした。

「よぉ、門番」
「……」
返事が無い。さすがに私だって虚しくなってくる。ウサギじゃないが、寂しくて泣きそうだ。そこで、もう一度話しかけてみることにした。

「おーい、門番、返事をしろー?」
「……」
へんじがない。ただの…

「……」
「……スピー…………」
……シエスタ中のようだ。

次の瞬間、門番にはナイフが刺さっていた。

「お、咲夜じゃないか。」
「何の用事かしら?内容によってはそのままお帰り願うけれど。」
「いや、別にたいした用じゃない。ちょっと、確認したいことがあってな。何人か集めれるか?そこの門番を含めて。」
「ふぅん。まぁ、いいわ。何か仕出かそうとしたら、時を止めて即、外行きだから。オプションとしてその服も刻ませてもらうわ。」
「別に何か魔法を放とうってわけじゃないんだ。そこまでピリピリしなくったって大丈夫だぜ。」
さすがの私も、そんな格好で放り出されたくはないしな。


さっそく大広間に出来る限り多くの人員を集めてもらった。
辺りを見渡せば、フランやレミリア、パチェに門番。他にも数々の妖精メイドがいたりする。
これだけいれば、多少は同士がいてくれるはずだろう。


……しかし、結果は芳しくなかった。
「うーん、私は正直言って嫌いだなぁ~。」
「どう考えても、アイツは除け者にされるべきよ。」
「私もちょっと賛同しかねますね。私自身、苦手ですし。」
「まぁ、昔はまだ賛同者がいたかもしれないけれどね。」
「あはは…。私もちょっと、昔から存在を疑問視していましたから…。」
上から、フランドール、レミリア、咲夜、パチュリー、門番の言葉である。
私への同意者は0。
どうして誰も同意しない!
なぜアイツのすばらしさに誰も気づかない!

仕方が無いので、一旦こいつらの説得はあきらめよう。
今、ここで延々と居座り続けても、事態は好転しない。
だったらいっそ、他の所を巡って、同士を見つけてからでも遅くは無いはずである。

「そうか…。悪いな。邪魔したぜ。」
そう言って、私は一人、屋敷を離れた。箒に跨って。





目標変更だ。向かう先は博麗神社。
霊夢を説得して、アイツのことを認めさせねばならない。
霊夢なら、うまく説得すれば、引き入れられるかもしれない。
何せ、長い付き合いである。
それに、彼女が認めてくれれば、それだけでずいぶんと心強い。
そんな風に考えながら飛んでいれば、神社の赤い鳥居が見えてきた。


「私はアイツのことは嫌いね。大嫌い。」
一言で、そんな期待は打ち破られた。
「何でアイツがいる必要があるのかしら?はっきり言って邪魔よ。邪魔。」
そこまで言わなくても良いじゃないか。
「毎回毎回宴会のときも思ってたのよねぇ…。どっかいってくれないかしらって。」
私は…私はアイツが…
「もう、あんなやつに存在意義なんて無いわよ。いたところで全体のマイナスにしかならないもの。」
…アイツが…大好きなのに……


「まったく…魔理沙もこんなことのために来たの…?ボーっとするために暇じゃないんだから、お賽銭でも…ってあれ?魔理沙?」


私は、一目散に博麗神社から離れていた。
認められない。
認めてもらえない。
私は、アイツの存在を許してもらうことすら出来ない。

私は無力なのかもしれない。
そう考えたのは、今さっきのことではなかった。

例えば昔から、霊夢にはほとんど勝てていない。
それこそ、まったくもって勝てないわけじゃない。
だがそれでも、勝率は良くて4割程度だ。
人一倍努力を重ねている自信はある。
人一倍研究を積んでいる自信もある。
しかし、それでも越えられない壁として、霊夢は存在している。
他にも、それこそパチュリーにだって魔法の知識や経験は適わない。
努力だって、あの館を実質一人で保っている咲夜には到底及ばないかもしれない。

でも。それでも。
私は、アイツを守りたかった。
アイツが非難されるのを見ていられなかった。
ここは、幻想郷。
外から忘れ去られたものが集まる、切り離された世界。
そして、アイツはそんな幻想郷でも、忘れ去られようとしている。

それもかもしれない。
もともとアイツはこの国にいたものではない。
あくまでも、外からやって来たに過ぎないのだ。
それでも、私はアイツに存在していてほしかった。
もしも、この幻想郷でも忘れられてしまったら、アイツはもしかしたらもう、存在すら出来ないのかもしれない。
だからこそ、私は手を尽くそうとした。

もしかしたら、私自身が自信が無かったのかもしれない。
だから、賛同者を求めたのかもしれない。
あぁ…でも、そうだ。そうじゃないか。
たとえ誰がアイツを非難しようと。
たとえ誰がアイツを認めなかろうと。
私がアイツを認め続ける。
私がアイツを忘れないでいる。

そうと決めれば、なんて簡単なことだったんだろう。
私自身、私らしくないことをしていたものだ。
「よし、決めた!―――


























―――今日の晩御飯は、パイナップル入りの酢豚だぜ!」
どうも、初めまして。と見せかけて、黒歴史があるので二度目まして。てるるです。
相変わらず、コメントのほうばかりで活動をしていて、実際に執筆をするのは久々ですね~。
まぁ、あの頃よりはまだましな作品になっていて欲しいと言うのが切実な願いです。
でも、これを書いたのはレポート作成の後なので、どうにも堅苦しい文体に…;
明らかに、レポート直後に書いた部分かそれ以外かが見て取れます…;
mixiとかの日記の文体で一人称小説を書ければ、なかなかの作品がかけるんでしょうが……経験不足ですね;

最初はアイツではなく、彼女とかにしようかと思ったのですが、さすがに酢豚のパイナップルを彼女とは呼ばないだろ…;と思い、訂正したりしました。
また何かネタが思いつき、書けそうになったら、そのときにまた書こうかと。
…その頃には、今の私と同じように、この作品を黒歴史と思うようになっているかもしれませんが…;
批評、感想、こうすれば良いよ的な指摘、お待ちしております。

~追記~(6/11)
たくさんのコメント、ありがとうございます!
予想以上の高&多くの評価に、驚きです!
元々はアリスだと引っかけさせようとしていたんですが、簡単すぎましたかね;
次回も何か思いついた時に、また書くかと思いますので、その時はよろしくお願いしますです~。

ちなみに私は入れる派ですね~。




おまけ



「ふぅ、完成だぜ。」
なんて言いながら、私は手早く酢豚を皿に盛り付けた。
ちなみに言うならば、今日の酢豚は、豚肉:パイナップルの比が、1:10である。
「おぉ、なんとも旨そうだ。さっそく、食べると……


コンコン


…誰だ?タイミングの悪い。」

そう言って、私は席を立ち、ドアへと向かう。

「こんばんわ、魔理沙。」
「あぁ、何だ、アリスか。」
「いきなりあってまず何だは無いでしょ。」
「すまんすまん。」
そういえば、アリスの所にはまだ行ってなかったな。
まぁ、どうせ今までと同じように、あっさりと拒否されるだけなんだろうが。

「あれ?魔理沙、あなた……」
「ん?どうかしたか?」
おどけて見せる。とはいえ、おそらくは彼女の眼前に広がっているこの酢豚(酢パイナップル?)のことだろう。
もういまさら何を言われても、もう揺るがないつもりだが。


「あなたも酢豚にパイナップルを入れる派なのね!」


こうしてアリスが酢豚パイナップル同盟に加わり、フルーツと聞いて守矢神社の面々や、幻想郷のパイナップルを生産している風見幽香を加えて幻想郷に酢豚パイナップル異変を起こした後、パイナップル派がメジャーとなったのは別の話である。
てるる
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コメント



0.2890簡易評価
3.90朋夜削除
あー
なんかいい流れでシリアスモードに突入したと思ったら…

何とまさかのパイナップルとは!
笑わせていただきました。
4.80煉獄削除
何か食べ物系統だろうなぁって思ってましたけどパイナップルですか。
酢豚にパイナップルはあまり好きではないですねぇ……。
魔理沙が色々な人達に酢豚に入ったパイナップルのことを聞いたりと面白かったですよ。
5.60名前が無い程度の能力削除
食べ物なのは予想してました。もっと短くすると綺麗に纏まったかも。
6.100奇声を発する程度の能力削除
最初何かと思ったらまさかのパイナップルwwww

ところで、酢豚にパイナップルを入れるのは何で?
味を良くする為か?
7.100名前が無い程度の能力削除
パイナップルは読めなかったわ。
8.70名前が無い程度の能力削除
人物じゃないのはわかっていたがまさかパイナップルとは…
11.100名前が無い程度の能力削除
「温かいフルーツなんて」と酢豚のパイナップルは嫌われますが。
肉を柔らかくしたり、タンパク質分解酵素で消化を良くしたり、理由は一応あるのですよ。
だから私も魔理沙に一票かなぁ。
15.80名前が無い程度の能力削除
食べ物オチは読めてましたが、パイナップルとは。
豚なんて生まれてこの方口に入れたこたあ無いね!
16.70名前が無い程度の能力削除
最初「クリームスイカ」か?と思ったらパイナップルですかwww
個人的には好きなんですけど嫌いな人多いですよね>酢豚のパイナップル
18.100のろげんげ削除
最初はフランかな(←失礼)と思いましたがまさかパイナップルとは!!
まさに起承転結ですね。
19.無評価名前が無い程度の能力削除
途中から、食べ物かな? とは思いましたが、何のかは分からず
よもやパイナップルとは…

そういえば、パイナップル入れる派って、
たしかに少数な気もします(あくまで私の周囲では、ですが)
20.100名前が無い程度の能力削除
点数入れ忘れました ;
24.100名前が無い程度の能力削除
ポテトサラダに林檎とか、マカロニサラダに蜜柑とか・・・
野菜と果物は相交わらない運命だと、そう思ってる!!
26.100名前が無い程度の能力削除
騙された

そしてあとがきw
30.80名前が無い程度の能力削除
パイナップルを入れるのは、肉がやわらかくなる以外にも、酸味の調整になるからみたいですが、味にこだわるならどけるべきですかね><

落ちが読めなかった。そしてあとがきが良いです^^
31.100名前が無い程度の能力削除
最初タクアンだと思って読み進めてた。
そうか、パイナップルだったのか。

給食の酢豚には入ってた。嫌いだったけど今思い出すと何故か食べたくなる。
32.90名前が無い程度の能力削除
不味くは、ないと・・・思う・・・・・・
35.70名前が無い程度の能力削除
から揚げのレモンかと思ったけど…、そうかパイナップルか。
36.100名前が無い程度の能力削除
おまけでどれだけ救われたことか!

フルーツ(笑)
38.80名前が無い程度の能力削除
酢豚にパイナップルの果汁はOK・・・だが、でけぇ果肉入り酢豚、てめぇは駄目だ。
酸味の有る果汁なら大抵なんでも構いませんが、果肉をどうするかは好み次第で。
あんまり大きいサイズの果肉を入れると、味のバランスが崩れます
39.80名前が無い程度の能力削除
す、酢豚パイナップル好きなんだぜ……?
俺の一家は皆好きだからそれが普通だと思っていた日が懐かしい。
40.90名前が無い程度の能力削除
昔はパイナップルを入れるのが当然だったのに今は少数派なんだよなあ・・・
でも豚肉:パイナップルの比が、1:10というのはさすがにないw
44.70名前が無い程度の能力削除
これは読めたが笑ったので
45.100GUNモドキ削除
あってもなくても構わない派の私は両方を敵に回すのですね。
・・・あれ? 生きて帰れるか・・・?


<今日の酢豚は、豚肉:パイナップルの比が、1:10である。>

や り す ぎ た ww


さぁて、幻想郷にちょっくら喧嘩売りに行きますか。
46.90名前が無い程度の能力削除
人物じゃないだろうなとは思ったがまさかのパイナップルw
同盟に入れないのが残念だw
47.無評価名前が無い程度の能力削除
アリスかとおもたw

ってか確か、肉を柔らかくするって効果は実は無いってけーねが言ってた。分解酵素については…知らんってけーねが言ってた。
脳内けーねは余り博識では無かったりしますw

俺は酢豚は酢豚で頂きたい。
52.90名前が無い程度の能力削除
食べ物なのは分かりましたがパイナップルとは・・・
面白かったです
55.無評価名前が無い程度の能力削除
アリスのことかと思ったら・・・
57.90名前が無い程度の能力削除
やられたwww
60.90名前が無い程度の能力削除
これは読めた、ちょっと嬉しい。
65.90名前が無い程度の能力削除
あとがきのアリスとフルーツ(笑)さんに救われましたw
69.100名前が無い程度の能力削除
ポテトサラダのリンゴとか・・・ ソーメンの皿に缶ミカンとか・・・
なんで食事に甘い物を混ぜるのよ――!
そんな苦悩と共に過ごした10代。・・・今もですが。
給食の酢豚に入れられなくなって喜んでいたら、
今度は主食がご飯じゃなくてパインパンだった時の絶望といったら・・・・・・。
そして最初読んでいた時は「ゴキブリかな?」なんて思っていたのはヒミツ。
71.100名前が無い程度の能力削除
なるほど。パイナップルでしたか。
晩ご飯に果物はトラウマです。
ヨーグルトにキュウリを入れるのはやめておばあちゃん。
ハンバーグと同じ皿にミカンはやめておばあちゃん。
72.100名前が無い程度の能力削除
俺は好きだけどな。酢豚に入ってるパイナップル。
74.100謳魚削除
魔理沙さん、アンタの生き様に満点献上だ。

食べた事は有るのに記憶が遠すぎてどんな味だったか最早霞の彼方…………。
77.90マイマイ削除
ごめん、酢豚にパイナップルは許せない
82.90名前が無い程度の能力削除
酢豚に入ってるパイナップルはなぜこんなに嫌われても存在し続けるのか。おれも嫌い。
83.60名前が無い程度の能力削除
そもそも酢豚自体が嫌いな俺には、縁のない話題だ。
ハンバーグに載ってるパインは好きだが。あと唐揚げのレモン汁。
……な、なんだよその目は、俺を、俺をそんな蔑みの目で見るんじゃねええ!!

あ、聞きかじりですが、パインの消化酵素は加熱で壊れちゃうので、
加熱殺菌されてる缶詰のパイン使っても、意味が無いそうです。参考までに。
91.100名前が無い程度の能力削除
酢豚にパイナップルなど決して許さん
96.50騙されたーーーーーーーーーーーー人削除
最後騙された                                   アリスの事かと素で思った
97.80名前が無い程度の能力削除
ホント邪魔なんだよ、パイナップル
100.100名前が無い程度の能力削除
おかずにパイナップルが入ってるのってどう考えても納得できないんだよなぁ
101.100名前が無い程度の能力削除
例え少数派でも、私は酢豚にパインを入れ続ける!
ただし1:10はパイナップル入り酢豚ではなく酢豚入りパイナップルです・・・。
103.100名前が無い程度の能力削除
>幻想郷のパイナップルを生産している風見幽香
なして幻想郷に南国の風を吹き込んでいるんですかゆうかりんwww
……いや農家りんか!
110.100名前が無い程度の能力削除
予想外のパイナップル