私だけ……?
私だけなのか……?
黄色いアイツを認めているのは……
霧雨魔理沙は嘆息していた。
それは、前の宴会でのことだ。
誰が始めに言い出したのかもわからない。
そもそも、私自身も酒に酔っていたので、そこまで確実に記憶があるとは言いがたいしな。
でも、話の内容自体ははっきり覚えていた。
アイツが非難されていた。
しかも、それに対しての反論は無し。
つまり全員がその意見に賛成をしていた。そこで私は気づいてしまったんだ。
誰もがアイツを拒絶しているということを。
私はアイツが好きだ。
例えるならば、一見キツイような感じを呼び起こしながらも、その実、やさしさを胸に秘めていて、安らがせてくれているような、そんな感じだ。
でも、誰もそのことをわかっていない。
私はアイツが大好きだ。
愛していると言い換えてもいい。
初めて出会ったときは、何だこいつ?と思っていた。
しかし、いつの間にか、なかなかに味のあるやつだと思うようになっていた
誰も賛同はしてくれないが。
なぜ、ここまでアイツは嫌われるのだろう。
アイツがここまで嫌われる謂れなんて無いはずだ。
私は、他の奴らを説得する。
そのために、私は動き出す。
絶対に、アイツの存在を認めさせる。
そして私は、紅魔館を訪れていた。
単純に数が多ければ、賛同者もいてくれるはずだと信じて。
今日は別に本を借りに来たわけじゃない上に、出来れば説得をするのだったら、多くの人間(まぁ、妖怪ではあるが)がいるに越したことは無い。
そのため、珍しく門を強行突破せずに、普通に歩いて行くことにした。
「よぉ、門番」
「……」
返事が無い。さすがに私だって虚しくなってくる。ウサギじゃないが、寂しくて泣きそうだ。そこで、もう一度話しかけてみることにした。
「おーい、門番、返事をしろー?」
「……」
へんじがない。ただの…
「……」
「……スピー…………」
……シエスタ中のようだ。
次の瞬間、門番にはナイフが刺さっていた。
「お、咲夜じゃないか。」
「何の用事かしら?内容によってはそのままお帰り願うけれど。」
「いや、別にたいした用じゃない。ちょっと、確認したいことがあってな。何人か集めれるか?そこの門番を含めて。」
「ふぅん。まぁ、いいわ。何か仕出かそうとしたら、時を止めて即、外行きだから。オプションとしてその服も刻ませてもらうわ。」
「別に何か魔法を放とうってわけじゃないんだ。そこまでピリピリしなくったって大丈夫だぜ。」
さすがの私も、そんな格好で放り出されたくはないしな。
さっそく大広間に出来る限り多くの人員を集めてもらった。
辺りを見渡せば、フランやレミリア、パチェに門番。他にも数々の妖精メイドがいたりする。
これだけいれば、多少は同士がいてくれるはずだろう。
……しかし、結果は芳しくなかった。
「うーん、私は正直言って嫌いだなぁ~。」
「どう考えても、アイツは除け者にされるべきよ。」
「私もちょっと賛同しかねますね。私自身、苦手ですし。」
「まぁ、昔はまだ賛同者がいたかもしれないけれどね。」
「あはは…。私もちょっと、昔から存在を疑問視していましたから…。」
上から、フランドール、レミリア、咲夜、パチュリー、門番の言葉である。
私への同意者は0。
どうして誰も同意しない!
なぜアイツのすばらしさに誰も気づかない!
仕方が無いので、一旦こいつらの説得はあきらめよう。
今、ここで延々と居座り続けても、事態は好転しない。
だったらいっそ、他の所を巡って、同士を見つけてからでも遅くは無いはずである。
「そうか…。悪いな。邪魔したぜ。」
そう言って、私は一人、屋敷を離れた。箒に跨って。
目標変更だ。向かう先は博麗神社。
霊夢を説得して、アイツのことを認めさせねばならない。
霊夢なら、うまく説得すれば、引き入れられるかもしれない。
何せ、長い付き合いである。
それに、彼女が認めてくれれば、それだけでずいぶんと心強い。
そんな風に考えながら飛んでいれば、神社の赤い鳥居が見えてきた。
「私はアイツのことは嫌いね。大嫌い。」
一言で、そんな期待は打ち破られた。
「何でアイツがいる必要があるのかしら?はっきり言って邪魔よ。邪魔。」
そこまで言わなくても良いじゃないか。
「毎回毎回宴会のときも思ってたのよねぇ…。どっかいってくれないかしらって。」
私は…私はアイツが…
「もう、あんなやつに存在意義なんて無いわよ。いたところで全体のマイナスにしかならないもの。」
…アイツが…大好きなのに……
「まったく…魔理沙もこんなことのために来たの…?ボーっとするために暇じゃないんだから、お賽銭でも…ってあれ?魔理沙?」
私は、一目散に博麗神社から離れていた。
認められない。
認めてもらえない。
私は、アイツの存在を許してもらうことすら出来ない。
私は無力なのかもしれない。
そう考えたのは、今さっきのことではなかった。
例えば昔から、霊夢にはほとんど勝てていない。
それこそ、まったくもって勝てないわけじゃない。
だがそれでも、勝率は良くて4割程度だ。
人一倍努力を重ねている自信はある。
人一倍研究を積んでいる自信もある。
しかし、それでも越えられない壁として、霊夢は存在している。
他にも、それこそパチュリーにだって魔法の知識や経験は適わない。
努力だって、あの館を実質一人で保っている咲夜には到底及ばないかもしれない。
でも。それでも。
私は、アイツを守りたかった。
アイツが非難されるのを見ていられなかった。
ここは、幻想郷。
外から忘れ去られたものが集まる、切り離された世界。
そして、アイツはそんな幻想郷でも、忘れ去られようとしている。
それもかもしれない。
もともとアイツはこの国にいたものではない。
あくまでも、外からやって来たに過ぎないのだ。
それでも、私はアイツに存在していてほしかった。
もしも、この幻想郷でも忘れられてしまったら、アイツはもしかしたらもう、存在すら出来ないのかもしれない。
だからこそ、私は手を尽くそうとした。
もしかしたら、私自身が自信が無かったのかもしれない。
だから、賛同者を求めたのかもしれない。
あぁ…でも、そうだ。そうじゃないか。
たとえ誰がアイツを非難しようと。
たとえ誰がアイツを認めなかろうと。
私がアイツを認め続ける。
私がアイツを忘れないでいる。
そうと決めれば、なんて簡単なことだったんだろう。
私自身、私らしくないことをしていたものだ。
「よし、決めた!―――
―――今日の晩御飯は、パイナップル入りの酢豚だぜ!」
なんかいい流れでシリアスモードに突入したと思ったら…
何とまさかのパイナップルとは!
笑わせていただきました。
酢豚にパイナップルはあまり好きではないですねぇ……。
魔理沙が色々な人達に酢豚に入ったパイナップルのことを聞いたりと面白かったですよ。
ところで、酢豚にパイナップルを入れるのは何で?
味を良くする為か?
肉を柔らかくしたり、タンパク質分解酵素で消化を良くしたり、理由は一応あるのですよ。
だから私も魔理沙に一票かなぁ。
豚なんて生まれてこの方口に入れたこたあ無いね!
個人的には好きなんですけど嫌いな人多いですよね>酢豚のパイナップル
まさに起承転結ですね。
よもやパイナップルとは…
そういえば、パイナップル入れる派って、
たしかに少数な気もします(あくまで私の周囲では、ですが)
野菜と果物は相交わらない運命だと、そう思ってる!!
そしてあとがきw
落ちが読めなかった。そしてあとがきが良いです^^
そうか、パイナップルだったのか。
給食の酢豚には入ってた。嫌いだったけど今思い出すと何故か食べたくなる。
フルーツ(笑)
酸味の有る果汁なら大抵なんでも構いませんが、果肉をどうするかは好み次第で。
あんまり大きいサイズの果肉を入れると、味のバランスが崩れます
俺の一家は皆好きだからそれが普通だと思っていた日が懐かしい。
でも豚肉:パイナップルの比が、1:10というのはさすがにないw
・・・あれ? 生きて帰れるか・・・?
<今日の酢豚は、豚肉:パイナップルの比が、1:10である。>
↑
や り す ぎ た ww
さぁて、幻想郷にちょっくら喧嘩売りに行きますか。
同盟に入れないのが残念だw
ってか確か、肉を柔らかくするって効果は実は無いってけーねが言ってた。分解酵素については…知らんってけーねが言ってた。
脳内けーねは余り博識では無かったりしますw
俺は酢豚は酢豚で頂きたい。
面白かったです
なんで食事に甘い物を混ぜるのよ――!
そんな苦悩と共に過ごした10代。・・・今もですが。
給食の酢豚に入れられなくなって喜んでいたら、
今度は主食がご飯じゃなくてパインパンだった時の絶望といったら・・・・・・。
そして最初読んでいた時は「ゴキブリかな?」なんて思っていたのはヒミツ。
晩ご飯に果物はトラウマです。
ヨーグルトにキュウリを入れるのはやめておばあちゃん。
ハンバーグと同じ皿にミカンはやめておばあちゃん。
食べた事は有るのに記憶が遠すぎてどんな味だったか最早霞の彼方…………。
ハンバーグに載ってるパインは好きだが。あと唐揚げのレモン汁。
……な、なんだよその目は、俺を、俺をそんな蔑みの目で見るんじゃねええ!!
あ、聞きかじりですが、パインの消化酵素は加熱で壊れちゃうので、
加熱殺菌されてる缶詰のパイン使っても、意味が無いそうです。参考までに。
ただし1:10はパイナップル入り酢豚ではなく酢豚入りパイナップルです・・・。
なして幻想郷に南国の風を吹き込んでいるんですかゆうかりんwww
……いや農家りんか!