Coolier - 新生・東方創想話

ボクモ、アタイモ、ムービースター☆ 後編

2009/06/05 22:40:46
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人数が数倍に増えた事と、出演者のモチベーションが非常に高いお陰で、滞りなく撮影は進んでいく。
歩き続ければいつかは目的地にたどり着く。それは映画撮影とて例外では無い。

「シーン150!これで最後なんだから、ばっちり一発で決めてよね?」

メガホン越しに声を張る霊夢に、右腕を掲げて応えるチルノ。
場所は博麗神社。祭りが近いので、そのセットをそのまま使用しての撮影だ。
監督からの指示もこれで最後かと思うと、顔は笑っていても彼女の胸中を一抹の寂しさが過ぎる。

「撮影開始します。5,4,3,2,1……」

カウントダウンする霊夢の声も、どことなく緊張しているように感じられた。



エキストラの人々でごった返す祭り会場をちらりと見て、満足そうに頷くチルノ。その顔はとても晴れやかだ。
それからチルノは会場に背を向け、歩き出す。彼女の向かう方角の地平線には、真っ赤な夕日。
煌々と照らし出されるチルノの後ろ姿。彼女はそのまま、夕日へと向かって歩いていく。
やがて、彼女の背中が大分小さくなり―――



「カット!OK!!」

霊夢はそう言うなり、椅子から飛び降りた。
それを聞いたチルノも踵を返して走る。
ついに、全てのシーンの撮影が終了した。

「やった、全部終わった!!」

「撮影終了!!お疲れ~!!」

「おめでとう!!」

拍手だったり、ハイタッチだったり、抱き合ったり。表現方法はそれぞれだが、クランクアップの喜びを分かち合う撮影メンバー。
だが、喜びを爆発させるメンバーの中で、最も喜んでいる筈のチルノは呆然としていた。
映画撮影を決意してから二ヶ月近く。あまりに色々な事があり過ぎて、まだ気持ちの整理が追いつかない。
そんな彼女の背中を、魔理沙が後ろから近付いてバシン!と思いっきり叩く。

「な~に機能停止してんだ!お前が主役の映画が完成するんだ、もっと喜べって!!」

急に背中を叩かれて咳き込んだチルノだったが、それを皮切りにして次々とメンバーが彼女を取り囲む。

「まったく、映画を見たことすら殆ど無いのに撮影なんて無茶にも程があるわよ!!」

「そうそう、しかも主役・脚本があなたなんて想像も付かないし!」

「何やたらいい脚本書いてんだい、ちょっと感動したじゃないか!」

「クライマックスシーンで不覚にも心が震えたぞどうしてくれる!!」

口々に言いながら叩いたり蹴ったりの手荒い祝福。少し痛そうながらも、徐々に現状を認識し始めたチルノ。
総勢十数名のメンバーが彼女を祝福していたが、いつしかそれは胴上げへと移行していた。

「よく頑張ったなこの!!」

「もっと高く、もっと!」

「チルノ万歳だ!」

二度、三度と宙を舞う内に、チルノの胸の中に様々な想いが去来していく。
ムービースターに憧れて。戸惑いながら撮影を開始して。一度は挫折して。
それでもみんなのお陰で立ち直って。来る日も来る日も練習して―――ついに、それらが実を結ぶ。
チルノは思わず叫んだ。

「ありがとう!!みんな、ありがとう!!」

笑顔のチルノを尚も胴上げしながら、メンバーはやはり口々に言う。

「おう、感謝しやがれ!!」

「面白くなかったら承知しないからね!!」

「たっぷり宣伝してあげるから覚悟しなさい!」

大盛り上がりの撮影班は、いつの間にか祭りの準備をしていた人達に取り囲まれていた。
エキストラ出演も兼ねていた人々の温かい拍手に包まれながら、夕焼け空の下、胴上げはもう暫く続くのだった。











フィルムの編集や現像及び音合わせ、そしてBGMの挿入等は専らにとりと文の仕事だった。
にとり曰く、

「映画の主役はチルノだけど、こっからの主役は私だからね」

との事。現像に関しては、カメラマンでその手の知識も豊富な文が手伝い、どうにか完了。
フィルムの編集までは立ち会ったチルノと霊夢だったが、そこから先はにとりに止められた。

「完成して、いざ上映までお楽しみはとっておいたらどうだい?」

「大丈夫です、失敗してないかだけは確認しますから」

二人にそう言われ、チルノ達はそこから先の作業を二人に一任。普通に祭りの準備に取り掛かった。
宣伝は文の作ったチラシや、妹紅&慧音の伝の効果もあったが、何よりもラストシーンの撮影が人目に触れた事で十分過ぎる程であった。
それから当日までの数日間、チルノは興奮と緊張で殆ど眠ることが出来ずに過ごした。
明けても暮れても、誰と話しても映画の事が話題に上り、気になってしょうがない。

「あんなに頑張ったんだから大丈夫だよ」

大妖精から励ましを受けるも、どうにも不安の色が拭えない。


―――そして、博麗神社の祭り当日がやって来た。


高鳴る胸を必死に押さえつけ、いつものメンバーで博麗神社を訪れたチルノ。
日が長いとは言え夕日ももうすぐ沈もうかという時刻、博麗神社は早くも多くの人と妖怪でごった返していた。
そこここに屋台や出店が立ち並び、人々の表情は一様に明るい。

「うわぁ、凄い人手だね」

「ステージはもうちょっと奥だっけ?」

会話を交わしながら、特設ステージを目指して人の波を掻き分ける一同。
と、誰かがチルノの手をガシッと掴んだ。一瞬驚いたチルノだったが、

「ほら、こっちよ。主役に迷子になられたら困るんだから」

聞き慣れた声で話しかけられて安堵。霊夢だった。

「だって、人が多すぎるんだもん」

「当たり前よ、てかそれくらい来てもらわないと上映しがいが無いじゃない」

「そーなのかー」

話しながらも手を引かれ、霊夢を含めた一同は特設ステージへ。
そこには既に彼女達以外の撮影班が待っていた。

「おっ、主役のお出ましか」

「やめてよ、恥ずかしいって……」

笑いながらの魔理沙の言葉に顔を赤くするチルノ。
その横で映写機の位置を調整していたにとりは、チルノに気付くと、

「楽しみだねぇ。あ、現像や音合わせはちゃんと成功したからご心配無く」

そう言って再び調製に戻る。上映が終わるまでが自分の仕事、と思っているらしく、彼女の表情は真剣だ。
ステージの壁には既にスクリーンが張られ、早くも物珍しそうに眺める子供達もいる。
時間になったらアナウンスを入れ、照明を落とせば野外劇場の完成、という寸法だ。

「ま、上映時間までもう少しある。こっちは私に任せて、祭りを楽しんできな」

にとりに言われ、撮影班はにとりと数人を残して会場へ散っていった。







やがて日は落ち、落ちてきそうなほどの満天の夜空。
早くも大量に酒を飲み、酔って大騒ぎする萃香を霊夢が止めに走ったりと色々あったが、祭りそのものは特に問題も無く。
そしてついに、チルノ達が作った映画の上映時刻数分前。

「……うわぁ……」

大妖精と共に会場へ戻って来たチルノは、それしか言えなかった。
特設ステージを埋め尽くし、それでも収まりきらない程の観客。
事前の宣伝効果も去る事ながら、映画を見たことの無い人が殆どという事もあり、物珍しさで見に来る人も合わせて予想以上の観客数。
呆然と立ち尽くすチルノの肩を誰かがポン、と叩いた。チルノが振り返るとそれは慧音で、

「寺子屋の子供達にもバッチリ宣伝してきたぞ。映画なんて見たこと無いだろうし、皆興味津々だったな」

そう言ってははは、と笑う。見れば、彼女の計らいか確かに最前列は皆子供だ。
初めて見る『映画』に思いを馳せ、今か今かと上映開始を待っている。
チルノはと言うと、予想を遥かに上回る観客の数と、いよいよ自らの努力の結晶がここで公開されるという事実に緊張の色を隠せない。
と、そんな彼女に声が掛かる。

「二人とも、こっちこっち!」

見やれば、会場から少し離れた場所で霊夢が手招き。観客達の後ろからでも見やすい位置をキープしている。
その横にはルーミア達”旧撮影班”の一同。チルノと大妖精もその横へ。

「こっからならよく見えるよ」

言いながら、持っていた綿菓子でスクリーンを指し示すルーミア。確かにスクリーンがよく見える位置だ。
他の撮影メンバーも皆、各々位置は違えど、観客席より後ろから映画の上映を待っている。
その時、設置されたスピーカーからマイクを通したアナウンスが響いた。

「え~、本日はお集まり頂きまして、誠にありがとうございます!間も無く上映を開始致しま~す!」

アナウンスの主はリリカ。彼女は特設会場の隣のスペースで、先程まで姉妹揃って演奏していたのでそのままアナウンサー。客引きの意図もあったらしい。
彼女はマイクを戻すと、観客席を迂回するようにして、既に見やすい位置をキープしていたルナサ、メルランの所へ。
彼女が姉妹の所へ戻ったのとほぼ同時にブザーが鳴り響き、照明がゆっくり落とされる。

「いよいよだね」

大妖精が隣のチルノに話しかけると、

「う、うん」

暗くてよく見えないが、きっと緊張の表情を浮かべているであろうチルノが答える。
照明が落ち切る辺りで、待っていましたとばかりに観客達は拍手。
その拍手が止むと、映写機の横にスタンバイしていたにとりが、機械のスイッチを入れる。
やがてスクリーンに光が投影され始めると、チルノの緊張も最高潮に達する。
どくん、どくんと自らの心臓の鼓動が聴こえるくらいだ。
あまりにたくさんの事があった映画撮影。その集大成が今から、あのスクリーンに映し出されるのだ。
やがて、スクリーン上に数字が映し出され、どんどんその数値が減っていく。カウントダウン。

「5……4……3……2……」

今にも倒れてしまいそうな程の緊張の中、カウントは減っていき―――

「……1」

―――その瞬間。




『この映画は、ご覧のスポンサーの提供でお送りしま~す!!』




突如会場に響いた間の抜けたアナウンスに、会場から爆笑が起こる。チルノも思わずその場でずっこけそうになり、何とか体勢を立て直した。
スクリーンにはでかでかと、

『最新のニュースを、風よりも速く貴方へお届け! 文々。新聞』

『お値段以上の働きをお約束します! カワシロ工業』

のテロップが踊り、その下の方に小さく『博麗神社』『守矢神社』『紅魔館』などのテロップ。
今度のアナウンスの主は文だった。

「い、いつの間に……」

「編集作業の時に仕込んだのね。まったく、商魂たくましいわ」

驚くチルノと、苦笑する霊夢。
しかし、このコマーシャルフィルムのお陰で、チルノの緊張は大分解れたようであった。
再びカウントダウンの始まったスクリーンを見つめるチルノの表情も大分和らいでいる。



―――そして、映画が始まった。













----------------


「待てー!!」

「逃げたぞ、あっちだ!」

「怪盗チルノが現れたぞ!!」

口々に言いながら、十人単位の集団が夜の森を走る。
先頭を走るのは魔理沙で、彼女達は何かを追っているようだ。
やがて魔理沙は、走る先に見えた人影に向かって叫ぶ。

「見つけたぞ、泥棒め!本返せ!」

しかし、人影―――チルノは走るのを止めず言い返す。
暗くて分かり辛いが、彼女は数冊の分厚い本を抱えていた。

「泥棒はそっちでしょーが!借りたら返す、これ常識!」

そのまま魔理沙集団とチルノの追いかけっこが暫く続き、やがて森の終わりが見えてきた。
すると、走り続けていたチルノは急に振り返ると、握りこぶしを作って構えを取る。

「しつこいよ!氷符『アイシクルフォール』!!」

彼女が叫びと共に手を突き出すなり、いくつもの鋭い氷柱や氷片が拡散して魔理沙達に襲い掛かる。

「うわー!」

喰らって数人が吹っ飛び、魔理沙を始めとした残りの集団も怯み、立ち止まった。
その一瞬の隙を突き、チルノは木の切れ目から濃紺の夜空へ舞い上がった。

「借りたものはちゃんと返しなさいよね!!」

飛翔しながらチルノ。
氷のように透き通った羽を煌かせ、チルノの姿は夜空に溶け込んで見えなくなった。
彼女が飛び去った星空を見上げ、魔理沙は悔しそうに地団太を踏む。

「ちくしょう、また怪盗チルノにやられた!覚えてろー!!」

いかにも悪役な魔理沙の嘆きは、真っ暗な森に吸い込まれて消えた。



―――場面は変わり、翌朝の紅魔館。
その館内の廊下を走る、慌てた様子の美鈴。
彼女はやがて図書館のドア前まで来ると、辿り着いた勢いのまま図書館のドアを開けた。

「パ、パチュリー様!大変です!」

慌てた声を聞きつけたパチュリーは、読んでいた本から顔を上げる。

「どうしたの、そんなに慌てて」

彼女は尋ねたが、当の美鈴はどう説明したらいいか分からないと言った体で暫くあたふたしていたが、

「と、とにかく来て下さい!外です!」

そう言って再び図書館を飛び出す。
首を傾げながらも、パチュリーは腰を上げる。
美鈴を追いかけて紅魔館の外へ出ると、パチュリーは美鈴がある物を抱えている事に気付くと、驚いて目を見開いた。

「そ、それ……」

「は、はい……これ、パチュリー様の本ですよね?全部」

彼女が持っていたのは、以前魔理沙に盗まれた筈の魔道書だった。
美鈴が差し出した本を重そうに受け取り、その表紙を撫でながらパチュリーは呟く。

「もう戻ってこないと思ってたのにね……ひょっとして、あなたが?」

しかし、美鈴は首を横に振る。

「そ、それが……置いてあったんです。門の前に、今朝」

「置いてあった?」

意外な事実に、思わずパチュリーは聞き返す。だが、美鈴が嘘をついているようには見えない。

「そうなんです。多分、どなたかが本を取り返して、こっそり置いておいて下さったのではないかと……」

美鈴も首を傾げる。
パチュリーは少し考えていたが、やがて笑顔に。

「不思議な事もあるものね……ま、いいわ。せっかく本が帰ってきたんだし、今日はこれを読みましょ」

「良かったですね、パチュリー様!」

笑い合いながら館内へ戻っていく二人。
その様子を、少し離れた木陰から見守る人物が居た。チルノである。
彼女は嬉しそうな二人の様子を見て、満足そうに頷いた。
本を取り返してそっと置いといたのは勿論彼女の仕業である。
それから彼女は地を蹴ると、眩しい朝日を浴びながら大空へと飛翔。やがてチルノの姿はどんどん小さくなる。
そして、彼女の姿が殆ど見えなくなった青空をバックにタイトルロゴが現れた。

映画のタイトルは、『おてんば怪盗の冒険』。


-----------------


「私の演技も中々だろ?」

タイトルの現れたスクリーンを見ながら、隣の霊夢に話しかける魔理沙。

「ええ、確かに。いかにもセコい悪役って感じで」

ニヤニヤと笑う霊夢。

「うっさいな、つか私をこの役に抜擢したのお前だろ!」

そう言って魔理沙は霊夢を小突こうとしたが、霊夢はそれを背を逸らして華麗に回避。

「だってピッタリじゃない、ノンフィクションでしょ?」

「うるせーやい!!」

二人はそのままじゃれ合うような小競り合い。
一方で、映画が始まった時から驚きの余りぼんやりとスクリーンを眺めるばかりだったチルノ。
彼女はここでようやく『自分がスクリーンの中で主役として活躍している』という事実を認識し、

「見た、見た!?大ちゃん!あたいが主役やってるよ!ねえ、ねえ!!」

興奮して隣の大妖精を揺さぶる。

「あわわわ……見てる、見てるよ!!だから落ち着いてってば!」

いきなりシェイキングされた大妖精は、目をくるくる回しながらも何とか彼女を落ち着かせる。
ようやく落ち着いた彼女を前に、大妖精はニッコリ笑顔。

「撮ってる時はまだ信じられなかったけど、本当に映画になったんだね……チルノちゃん、凄くカッコいいよ」

褒められたチルノは嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を赤くして俯くばかり。
二人の会話を聞いたリグル達が『よっ、主人公!』『鮮やかだね!』『この千両役者!』などと援護射撃するので尚更だ。
彼女が再び顔を上げた時、映画は既に次のシーンへと移り変わっていた。







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映画の中では、チルノが怪盗をやっているという事実は公にはなっていない。
それを知るのは、特に親しい大妖精やルーミア、それにリグルとミスティアだけである。
魔理沙の元から本を取り返して数週間後。
何気なしに博麗神社を訪れたチルノは霊夢から、何者かによって神社の御神体が盗まれたと聞く。

「御神体って、あの霊夢の木像?」

「そうよ。私のファンかしら……じゃなくて、神社の御神体が無くなったなんて、博麗神社存続の危機よ!どうしよう……」

うろたえる霊夢を無言で見つめ、チルノは何事か考えている様子だった。
その後、神社を後にしたチルノは情報を得る為にあちこちへ聞き込みに出かける。勿論、御神体を取り戻す為だ。
その時はあまり事態を深刻には考えていなかったチルノ。
だがその数日後から、一番最初に撮影したシーンでもあるルーミアの大怪我を始めとして、次々と『不幸な目に遭った』という報告が届く。
ついには霊夢まで、全く賽銭が入らないと嘆くばかりか、棚から物が落ちてきて直撃したと、頭に包帯を巻く始末。
これはいけないと、チルノは怪我をしたルーミアを除く仲間達を招集。本腰を入れて、調査を開始した―――。


---------------


と、ここまでが前半のあらすじだ。
チルノがふと会場を見渡してみれば、観客達は皆スクリーンに釘付けで物語にのめり込んでいた。
特に最前列の子供達は最早夢中といった感じで、食い入るようにスクリーンを見つめている。
それを見たチルノは、自分が初めて映画を見たあの時の事を思い出した。
あの映画は本当に面白くて、カッコよくて。きっと自分も、あの子達のようにひたすらのめり込んでいたんだろう。
その映画のように、自分達が作った映画が人を楽しませている。チルノは嬉しくて、思わず顔がにやけてしまう。
しかし、物語に遅れないようにとすぐにスクリーンへ視線を戻す。
スクリーンの中のチルノは、本当に『映画の主役』だった。あのムービースターの人と同じように。


---------------


物語は中盤へ突入した。
何かしらの不幸な目に遭った人物や、その人に近しい人物などに聞き込み調査を刊行するチルノ一行。
中々有力な情報は得られないが、聞けば聞くほど御神体が無くなった事による影響であるという確信が強まっていく。
誰もが皆、御神体が盗まれた辺りで被害に遭っているのだった。


--------------


この辺りは聞き込みが中心の、物語の中ではあまり重要ではないシーンかもしれないが、だからこそ出来るお遊びもある。
この周辺シーンは撮影班の中からの出演者も多く、中でも特に目立ったのは妹紅。
人里内の定食屋で輝夜と大食い対決をしている最中にチルノが聞き込みに訪れるという、コメディ要素たっぷりのシーン。
これを見た、妹紅と面識のある人里に住まう人々は笑いを堪えきれない。
子供達も、チルノの質問に答えながらも箸を止めない妹紅と輝夜の様子がおかしいのか大爆笑。
客席の後ろの方で妹紅が『なんでこんな役どころなんだ~!!』と騒いでいるが、慧音がそれをやんわりと宥めている。
慧音自身も出演しているが、彼女はそのまま寺子屋の先生役。妹紅としては納得がいかないようだ。
最終的には、『目立ったからいいか』との結論に落ち着いたようだが。

「ところで、誰があの霊夢の木像を?」

気になった魔理沙が尋ねてみる。小道具としての完成度は高く、とても精巧な作りだった。
霊夢は肩を竦めてそれに答えた。

「紅魔館のメイド長。ナイフで彫ったんだってさ」

普段とは別なベクトルで冴え渡る、咲夜のナイフ捌き。レミリアが頼りにするわけである。


---------------


シーンとしてはコメディパートだが、この妹紅からチルノ達は有力な手がかりを入手する。
妖怪の山の上に新しく神社が出来た事、その神社があまり信仰が得られなくて困っている事。
そして、その神社には巫女が一人と神様が二人いるという事。
さらに聞き込みを続けた結果、たまたま神社周辺に用事があって出かけた事があるという慧音からさらに情報を入手。
御神体が盗まれた前の日の晩、暗くて顔は見えなかったが、三人組が神社の周辺をうろついていたという。
彼女が帰る際、その三人組と同じと思われる人物達が、何やらふらふらした足取りで神社から出てきたとも。
妹紅からの情報とも合わせて、チルノ達は山の上の神社が怪しいと判断。
その矢先に、山へ向かおうとしたチルノ達に神社からの手先が襲い掛かる。
どうにかこれを退けたチルノ達だったが、これで犯人が守矢神社の一味である事と、こっちが奪還に向かっている事が互いに判明した。
大妖精は残り、人々にあまり外出しない事や、今は博麗神社に近付かない事などを注意喚起しつつ、見張る事に。
後手に回るわけにはいかないと、チルノ、ミスティア、リグルの三人は急いで妖怪の山を目指す。




物語はいよいよ緊迫の後半へと突入。
観客も撮影班も皆、目を見開いて二転三転するスクリーンの中の活劇に見入っている。







人形部隊などの様々な妨害を受けつつもそれらをかわし、ついに山の上の神社へ辿り着いた三人。
だが異様に敷地が広く、どこに御神体があるのかが分からない。
しかし、

「御神体みたいに祀る物なら、やっぱ本殿に置くんじゃないかな?」

というミスティアの発言を受けて、本殿への侵入を試みる。
気取られないように神社の周りを観察し、どうにか侵入の糸口を見つけ出そうとする。
やがて、拝殿の裏手にある通風孔を発見。体格が小さい三人なら通れそうだ。
どうにか足場を見つけ、通風孔へ。先頭のチルノが上半身を通風孔へねじ込んだその時―――

「飛んで火に入るなんとやら、ね。こんばんは、怪盗さん」

突如後ろから声をかけられる。チルノを除く二人が振り返ると、そこには不敵に笑う諏訪子の姿があった。

「この辺から入りそうだな~って待ち構えてたら案の定ね。さ、覚悟して……」

言いかけた諏訪子だったが、その足元で突如、弾幕が炸裂した。

「わっと!!」

慌てて飛び退く諏訪子。その弾幕を放ったのはリグルだった。

「二人とも、ここは私に任せて早く中へ!!」

見れば、チルノは既に中への進入を果たし、ミスティアも上半身を通風孔へ押し込んでいる。

「させるか!」

諏訪子が通風孔へ近付こうとするが、リグルが立ち塞がる。

「こっちの台詞だよ!」

そうこうしている内に、ミスティアの姿も通風孔の中へ消えた。

「二人とも、ちゃんとやってね……」

独り言のようにそっと呟くと、リグルは改めて諏訪子へ向き直る。

「二人の邪魔はさせないよ」

諏訪子も追跡を諦め、その手の中に弾幕を溜め始める。

「おっと、一妖怪が神様である私に楯突く気かい?」

「そんなの、やってみなくちゃ分からないさ!」

じりじりと距離を狭める二人。
そして、ずっと吹いていた風が止み、木のざわめきが聴こえなくなった瞬間―――

「うおおおっ!!」

「とりゃあっ!!」

気合の叫びと共に始まる、弾幕の応酬。
ぶつかり合う弾幕が激しくスパークし、夜中だというのに辺りを昼間のように明るく照らした。



「リグル、無事でね……」

呟いて、チルノはさらに通風孔の奥へ。ミスティアもそれに続く。
どうにか守矢神社内への侵入を果たした二人は、拝殿を通り、本殿を目指す。
途中には様々なトラップが仕掛けられていたが、それらを何とか看破しつつ奥へ向かう。
ついに本殿の中心部へと辿り着いた二人は、足音を忍ばせつつ様子を伺った。
だが、御神体の置かれている神棚の前には、見張りなのか早苗の姿があり、このままでは奪還は出来ない。

「私が引き付けるから、その隙に」

ミスティアはそう言うとチルノの返事も聞かずに隠れていた場所から飛び出し、早苗の前に躍り出た。

「あっ!」

早苗が気付いたのを確認すると、ミスティアは背を向けて逃げ出す。

「待ちなさい!」

慌てて追いかける早苗。これで、御神体の見張りはいなくなった。
チルノはミスティアの心配をしつつも、まずは御神体を奪還するべきと考えてそっと神棚へ近付く。
手を伸ばして御神体に触れようとしたその瞬間―――


バシッ!!


「うわぁっ!?」

突如チルノの手と御神体の間で雷光が弾けた。何かトラップの類だろうか。
しかし、その正体は詮索するまでも無かった。

「ふっふっふ、こんな夜中にお参りかい?」

本殿の入り口から声。チルノが振り返ると、そこには多数の人形を従えた黒幕・神奈子の姿があった。
冷や汗をかきながらも、チルノは口を開いた。

「まさか。泥棒する神様を信仰する気にはなれないよ」

そう言って神奈子に向き直る。

「そうそう、今のはただの電撃じゃないよ。ちょっとした魔力を込めてあってね……暫くの間、あんたは飛べなくなった」

ビクリとして、チルノが背中の方を見る。何と、彼女の羽が非常に薄く、殆ど透明になっていた。
その透明になった羽を電撃が這い回り、魔力が効いている事を顕著に物語っている。

「くっ……」

呟き、チルノは軽く後ずさる。やがてその背中に神棚の固い感触が伝わって来た。これ以上は下がれない。

「さぁ。大人しく捕まって、私達の信者にでもなった方が身のためだと思うけど?」

ニヤリと笑う神奈子。しかし、チルノの目的はあくまで『御神体の奪還』。
チルノはニヤリと笑い返し、

「……冗談!凍符『パーフェクトフリーズ』ッ!!」

本殿内のあちこちに絶対零度の弾幕を炸裂させた。
それに神奈子が怯んだ一瞬の隙を突いて御神体を引っ掴むと、弾幕の命中で穴の開いた包囲網から素早く脱出し、外へ出た。

「……っ!やるじゃないのさ!」

神奈子はすぐに、チルノの背中を追い始めた。







一方、拝殿の裏手。

「ぐっ!」

鋭い弾幕がその身を掠り、リグルは小さく唸る。
最初は互角と思われたが、やはり神様が相手では分が悪い。

「ふふふ、どーしたどーした。そろそろ限界かな?」

不敵な笑みを崩さず、にじり寄る諏訪子。彼女はまだ余裕がありそうだ。

「お前さんを倒してから、あの二人もしっかり捕まえてやるから安心しなって」

言いながら、再び弾幕のチャージを始める。明らかに劣勢だった。

(……やるしかない、アレを……)

小さく呟いたかと思うと、リグルは次の瞬間、地を蹴って走り出した。
手の中に弾幕を溜め、諏訪子に肉薄しようとする。
意外な行動に一瞬面食らった諏訪子だったが、すぐに元の笑み。

「接近戦かい?悪いけど、私の弾幕に死角は無いよ!」

そう言って弾幕の発射体勢に。
だが、リグルは溜めた弾幕を諏訪子では無く、足元に叩き付けた。
瞬間、フラッシュバンのような閃光が炸裂し、諏訪子の目を眩ませた。

「うわっ!」

やがて光が消え、元の暗闇へ戻っていく。だが―――

「……ん?どこに行った!?」

リグルの姿が無い。辺りをきょろきょろ見渡す諏訪子。しかし、

「―――必殺ッ!!」

その声は、諏訪子の頭上からだった。リグルは彼女の目が眩んでいる内に壁を蹴り、空中へ跳び上がっていた。

「なっ―――」

突然の事で体が反応出来ず、硬直する諏訪子。その隙をリグルは見逃さなかった。



「リグルキィィィィィック!!!」



彼女の必殺技―――それは飛び蹴りだった。

「きゃあああ!!」

渾身の飛び蹴りは諏訪子にクリーンヒット、彼女のその小さな体を吹き飛ばした。
着地し、荒い息のままリグルは諏訪子の様子を確認する。

「……あ~う~……」

幸い、彼女は気絶していた。
そのままリグルは、気絶した諏訪子を近くの木の根元に寝かせると、すぐに本殿へ向かって走り出した。


--------------


「諏訪子~、そんなにあっさりやられたらダメじゃない」

緊迫のアクションシーンの後、神奈子はそう言って諏訪子をからかう。

「うるさいなぁ、結構頑張ってるでしょ!」

頬を膨らませる諏訪子と、

「はいはい、映画は静かに楽しく見ましょうね」

やっぱり仲裁に入る早苗。
彼女の言葉では無いが、会場は誰もが映画にのめり込んでいるせいか、映画の効果音やBGM以外は何も聞こえてこない。
先程の飛び蹴りが決まった瞬間は、特に子供達からの『おお~っ……』という感嘆の声が漏れ聞こえたりはしたが。


その一方で、チルノは緊張していた。この後は、いよいよクライマックスシーン。
大妖精と一緒に必死に練習した長台詞もある。上手く言えているだろうか。
不安そうに大妖精の顔を覗き込むと、彼女は微笑んで、頷く。その笑顔が、何よりもチルノを勇気付ける。
きっと大丈夫だ。








-------------


再び場面はチルノへ。
地理もよく分からないまま、御神体を抱えて逃げ惑うチルノ。
どうにかして山を下る事が出来れば―――そう考えたが、

「……うそ」

彼女が辿り着いたのは、何と切り立った崖の上。崖は非常に高く、その下には逆巻く激流。
慌てて引き返そうとしたが、時既に遅し。

「はっはっは!ついに追い詰めたぞ。怪盗チルノの伝説も、今日を以ってジ・エンドのようね」

高笑いの神奈子と、配下の人形部隊に囲まれていた。後ろは崖、さらに飛ぶ事も出来ない。
完全に退路を断たれたチルノだったが、あくまで強気に、不敵な笑みを浮かべる。

「その台詞は正直聞き飽きたよ。今まであたいを追いかけてきた奴らはみんなそう言って、結局その通りになった試しはないわ」

それを聞いた神奈子も、その発言を鼻で笑う。

「ふん、その減らず口もいつまで持つかな?あんたは今自分が置かれている状況をイマイチ理解していないようだね」

「そう言うなら、あんただって自分自身の存在意義を理解していないように見えるわよ」

その瞬間、神奈子の表情が変わった。

「……何だって?」

チルノは、その手に持った御神体を示しながら言った。

「あんたがこれを盗んだ理由は、博麗神社の信仰を奪うため。そして自らが人々に崇められる神となり代わり、人々を意のままに操るため」

「その通りよ。それの何が―――」

「だからだよ!!」

言いかけた神奈子を無理矢理黙らせ、チルノは目を閉じる。それを再び開いた時のチルノの目は、鋭い眼光を帯びていた。

「あんたは信仰を得るなんて言ってるけど、それは人々が神様を信頼するから得られるモノなんだ。
 神様っていうのは、信仰のお返しに人々に幸せをもたらす存在でなければならないのよ。霊夢が前に言ってた。
 けど、あんた達は沢山の人達が不幸な目に遭い、悲しい思いをしているのに何とも思わないの?本当に人々の事を考えてると言えてるの?
 あたいはそうは思わない。人の幸せを蔑ろにしてまで手に入れる信仰に意味はあるの?それは所詮、自己満足でしかない。
 ましてや、他の神社とその神様にまで迷惑をかけるなんて―――あんたに、神様を名乗る資格は無いよ!
 だから、こんな一妖精なんかに翻弄されて、挙句せっかく盗んだ御神体も持ってかれて。どんな気分?良くはないだろうね。
 信仰をくれるはずの人間や妖怪、そして仲間であるはずの神様を蔑ろにしたあんたは所詮、その程度だったって事なのさ!!」

長台詞を言い切ったチルノ。スクリーンの外側でも、チルノはほっと胸を撫で下ろす。

「うぬぬぬ……生意気な」

ぎりっ、と悔しそうに歯軋りする神奈子。今の言葉は相当堪えたようだ。
そこへ、ミスティアを追った筈の早苗が戻ってくる。

「申し訳ありません、取り逃がしました」

どうやら無事に逃げ延びたようだ。

「いいさ、あれは後で。とりあえず、御神体をどうにかしないと」

その言葉と共に、早苗を加えた包囲網がさらに狭まる。チルノは後ずさろうとして、足を止めた。もう下がれない。
靴の踵から数cm先にはもう地面が無い。

「あれだけ言ったんだ、落とし前はきっちりつけなきゃねぇ」

怒り半分、余裕半分といった表情の神奈子がじりじりと近付く。
と、その時だった。

「チルノ!!」

突如響いた声。見やれば、近くの倉の屋根の上にリグルの姿があった。

「まさか、諏訪子がやられたってのかい!?」

驚く神奈子と早苗。
リグルはしきりに腕を大きく振って合図を送っている。そこから退け、と言っているようにも見えるそのジェスチャーを見て、チルノは頷いた。

「くっ、あいつを捕まえ―――いや、先にこっちだ!」

神奈子が指示を出し、再びチルノを向いたその瞬間―――





―――チルノは御神体をしっかり抱え、崖からその身を投じた。笑顔のまま。





「なッ―――!?」

ありえない行動に驚愕の表情を浮かべ、固まる一同。その隙に、リグルは姿を消した。
慌てて崖に寄り、覗き込む神奈子と早苗。
落下していくチルノ。飛ぶ事が出来ないのだから、そのままでは激流に叩きつけられるだけだ。
だが―――チルノの体は、途中で落下を止めた。



「おまたせっ!!」

「チルノちゃん、大丈夫!?」



何と、崖の間を縫うようにして飛んできたミスティアと大妖精が、チルノの体をしっかりキャッチしたのだ。
一瞬の出来事で、何が何やら分からない神奈子達だったが、チルノと御神体を乗せた二人が飛び去っていくのを見て我に返る。

「い、いかん!すぐに追っ手を―――」

言いかけ、振り返った神奈子は再び硬直する事となる。



「そうは問屋が卸さないわよ」

「ま、そういう事ね。ウチの大事な門番も怪我したんだし、責任はきっちりとって貰わなきゃ」

「私も財布を落とした。弁償してくれるんだろうな?」

「私の生徒も教科書を無くしてな……あの悲しそうな顔を見るだけで、私は……」



そこには霊夢、レミリア、妹紅、そして慧音の姿があった。四人ともそれぞれスペルや武器を構え、臨戦態勢。

「い、いつの間に……」

再び驚愕の表情を浮かべる神奈子に、霊夢は肩を竦める。

「タレコミがあったのよ。山の上の神社の一味が犯人だって」

「な、な……」

今度は逆に、神奈子達が追い詰められる番だった。

「じゃ、覚悟して貰おうかしら?」

「大丈夫、動けなくするだけだから」

「あと財布分の金額の弁償だな」

「おっと、教科書代もつけてくれ」







その日夜更かししていた人里の住人はこう語った。

―――真夜中に、山の上で大きな花火が炸裂した、と。







―――あれから数日。
博麗神社では、祭りの準備が急ピッチで進んでいた。
あの日の夜の内に、御神体は博麗神社の本殿に戻っていた。
それ以来周辺住民の不幸な出来事もピタリと止み、そのお祝いも兼ねて、本来もう少し先の筈の祭りを前倒しで行う事になった。
この日、博麗神社を訪れたチルノは、まず霊夢に会った。

「あら、チルノ。手伝いに来てくれたの?」

頷きながら、チルノは尋ねてみる。

「御神体、戻ったんだって?」

すると霊夢は嬉しさ半分、不思議半分といった表情を浮かべた。

「そうなのよ。こないだの夜、犯人が分かったから何人かで襲撃をかけたんだけど、既に誰かが持ち去ってたの。
 とりあえず犯人をのして、帰ってきたら本殿にちょこんと御神体が置いてあって……誰が取り返してくれたのかしら。
 巷で噂の怪盗なんちゃらが来てくれたのかしら……なんてね」

やはり、チルノの仕業であるという事実は知らない。そもそも伝えて無いのだが。
怪盗のくだりには一瞬驚いたチルノだったが、彼女は冗談のつもりだったらしい。
しかし、次の発言にチルノはまたも驚かされる事となる。

「それと、『犯人』があっちで手伝ってるけど気にしないでね」

「へぇ……って、えええぇぇぇぇぇ!?」

これにはぶったまげた。よりによって御神体を盗んだ犯人が博麗神社の祭りの手伝いなどとは。
だが、霊夢は苦笑いで事情説明。

「元々は盗む気はなくて、ただウチの神社の信仰の秘訣を知りたくて忍び込んだだけらしいわ。
 で、たまたま見つけた御神体に秘密があるかもと思って手を触れたら、なんか心を支配されちゃったみたい。
 どうやら、博麗の巫女以外があれを持ち出そうとすると妖力が噴出して心を負の方向へ操るんですって。一種の防衛システムね。
 で、元々信仰が欲しかったあいつらは、心が負の方向に動いて、御神体を操られるがままに持ち出しちゃった、と」

「へぇ……」

何だか突拍子も無い話だが、チルノはとりあえず頷く。
慧音が『ふらふらした足取りで神社から出てきた』と言ったのは、あの時点で心を操られていたからなのだろう。

「ま、不法侵入ではあるから軽くお説教したけど、もう大丈夫よ」

そう締め括って、再び霊夢は準備に奔走。
チルノが歩いてくと、そこにはいそいそと準備を手伝う早苗の姿が。

「あっ、こんにちは」

早苗はチルノに気付くと、にこやかに挨拶。
気になったチルノがそれとなく事件当夜の話をしてみると、

「それが……よく覚えてないんです。何日か前に博麗神社に行ったのは覚えているんですが、それからの記憶が……。
 気付いたら何故かぼろぼろで、守矢神社で寝てたんですから」

恥ずかしそうにそう語った。
のされたのは本当らしく、彼女はあちこちに絆創膏を貼っている。
見れば、少し離れた所で手伝いをしている神奈子と諏訪子も、同様に絆創膏が目立つ。

「よくわかりませんが、ご迷惑をおかけしたらしいので……その分しっかりお手伝いします!」

そう言って笑顔の早苗と、神様なのにせっせと働く神奈子&諏訪子を見ていると、チルノも苦笑い。
色々あったけど、責める気にはなれなかった。わざわざ真実を告げる必要もないだろう。

(……あれは、悪い夢だったんだ)

そう思う事にして、チルノも早苗の横で準備を手伝い始めた。




それからさらに数日後、博麗神社で祭りが盛大に開かれた。
老若男女人妖入り乱れてのお祭り騒ぎは大盛り上がり。
その騒ぎの中を、チルノは一人で歩いていた。先に来てしまったが、友人達と神社の外で待ち合わせている。
何故先に来たのかって?
それは、祭りを楽しむ皆の表情が、本当に幸せそうだったから。


チルノが御神体を取り戻してくれた事を知る者は、彼女の仲間を除いて誰もいない。
しかし、チルノの心はこの日の空のように晴れやかだった。
彼女はまた、満足げな笑み。そして、神社の出口へ歩き出す。チルノ自身もこれから祭りを楽しむべく、友人達を迎えに行くのだ。
彼女の正面から、大きな夕日がその姿を照らしている。



チルノの背中が段々小さくなり―――やがて夕日をバックに、『完』の文字が出現。
それは『映画』という、一時の夢の終わりを告げていた。











―――映画は、終わった。
人々は、まるで夢を見ていたかのような錯覚に囚われているに違いない。初めて映画を見たチルノがそうであったように。
この時のチルノ自身もまた、呆然。
しかし、映画のエンドロールが流れ始めた所で一人、また一人と我に返る。
そして、相当数が我に返った所で、小さな会場を大きな拍手が瞬時に埋め尽くした。
洪水の如く溢れる拍手が耳を打ち、チルノは辺りを見渡した。


―――みんな、笑っていた。
大人も、子供も、妖怪も。心の底から楽しんでくれた人だけが見せる、輝く笑顔。
自分が主役で、脚本を書いた映画が、こんなにも多くの人を笑顔にした。感動というより、驚き。
気付けば、チルノのすぐ傍からも拍手が起こっている。それは一緒に映画を作り、見た、仲間達からのもの。
その拍手は映画と、チルノへ向けられている。

じわり、と胸の底が熱くなる。
思わずチルノも立ち上がり、満面の笑顔で、手が腫れんばかりの拍手。
それは、完成した映画と、一緒に頑張ってくれた仲間達へ。
止まない拍手が、チルノを、仲間を、観客を、皆を包み込む。





―――こうして、チルノの映画撮影は大成功で幕を閉じた。






















―――祭りが終わって、一ヶ月が経った。
抜けるような青空の下、大妖精は飛んでいた。その手に何かを抱えて。
やがて人里が眼下に見え、彼女は高度を落とす。
彼女が目指しているのは、人里の中にある公園。もうすぐそこだ。
やがて見えてきた公園には、二十人近い子供達が集まっている。
と、その内の一人が大妖精に気付く。

「あ、妖精のお姉ちゃんだ!」

その声で皆が気付き、地に降り立った大妖精を瞬時に子供達が取り囲む。

「ねえ、今日のお話は?」

「早く聞かせて!!」

急かす子供達をやんわりと宥めつつ、大妖精は近くにあった小さめの木机を持ってくる。

「大丈夫、ちゃんと持って来たよ。さあ、みんな並んで!」

大妖精はそう言うと、その上に持っていた額縁のような物を立てる。言われるまま、その前に群がる子供達。
彼女が蓋を開くと、そこには一枚の絵が。
青いワンピースの妖精らしき少女が可愛いタッチで描かれており、その上にタイトルらしき文字。


『おてんば怪盗の冒険 ~永遠亭編~』



「さ、今日の怪盗チルノの活躍はどんなかな?始まり始まり~!」

大妖精の言葉で、子供達から歓声と拍手が巻き起こる。




―――そう。怪盗チルノの冒険譚は、紙芝居になったのだ。彼女達の手によって。












映画上映が大成功に終わった、その数日後。
ちょっとした用事でチルノが人里を訪れると、慧音とたまたま出会った。
暫しの世間話の後、彼女はこんな事を話し始めた。

「そういえば、先日寺子屋で、子供達の『将来の夢』について考える授業があってな」

頷きながら話を聞くチルノ。

「その時、自分の夢を紙に書いて提出してもらったんだが……殆どの子供が同じような事を書いていたよ」

「どんな?」

尋ねると、慧音はチルノの肩をポン、と叩いて笑った。



「―――『怪盗チルノの助手になりたい』だとさ。大人気じゃないか」



チルノは驚いた。あの映画が、ここまで子供達の心を掴んでいたとは。
しかし、慧音の話は続く。

「それとな。私もあの映画に出てたもんだから怪盗チルノと知り合いだって思われて、皆もっと話を聞きたい、もっと観たいって大騒ぎでな。
 知り合いは事実だし、その希望は聞いてやりたいが、もう一度映画撮影するのはコストや時間がかかる。どうしたものか……」

そう言って彼女は考え込んでしまった。
慧音と別れてからも、チルノはその事をずっと考えていた。
子供達があの映画を見て、心の底から楽しんでくれた事が分かって本当に嬉しかった。
だからこそ『もっと観たい』という、その子達の希望に応えたい。だが、どうすればいいのか。
また撮影班を呼び集めるのは抵抗があるし、かといって少人数撮影には苦い思い出がある。
考えても解決策が思いつかないチルノは、やはり大妖精のもとを訪れた。

「え、続編?」

チルノを家に招き入れ、話を切り出された大妖精はまず驚いた。

「うん。せっかくみんな楽しんで観てくれたんだから、あたいもその希望に応えたいんだ。だけど、どうすればいいのかな……」

チルノはそう言ってまた悩み始める。
そこで、大妖精はある事を思いついた。

「……ねえ、何も『映画』じゃなくてもいいんだよね?物語の続きが見せられれば」

「え?う、うん……たぶん」

急に訪ねられたチルノは戸惑いながらも頷く。映画以外のメディアなんて何があるのか、とは思ったが。
しかし、大妖精は笑顔で指をパチンと鳴らした。

「だったら、いい方法があるよ!」







―――翌日。チルノの家に、”旧撮影班”が集合した。
大妖精は全員集まった事を確認すると、大量の画用紙を取り出した。

「映画がダメなら、紙芝居にして見せようよ!」

なるほど、とチルノは頷いた。これなら、少人数でも十分製作可能だ。
他のメンバーも賛成し、大妖精はチルノを向いた。

「じゃあチルノちゃん、また脚本考えてくれる?」

こうして、チルノ脚本、その他がイラストという形で”紙芝居製作班”が発足。
初めてだったので戸惑いつつの作業だったが、二週間程で完成。
タイトルは、『続・おてんば怪盗の冒険』。
博麗神社の騒ぎの後の話で、幻想郷のあちこちから舞い込む依頼を怪盗チルノが華麗にこなしていくという内容だ。
そして、完成した紙芝居を慧音の所へ持って行くと、彼女は大喜びで承諾。
その翌日には、近くの公園で紙芝居の上演が行われた。
集まった子供達は、再び怪盗チルノの活躍が見られるとあって大興奮。
スクリーンほど大きくは無いが、紙の上で展開される大冒険活劇に子供達ばかりか、慧音や一緒に観に来た大人達まで夢中になった。
拍手と子供達の歓声の中で終了した紙芝居。すると、慧音が大妖精達にこう頼み込んだ。



「差し支え無ければ、これからも時々でいい。この子達に、夢の続きを見せてやってくれないか?」



当然、と言わんばかりに頷く一同。
こうして、定期的に紙芝居を製作・上演する運びとなり、子供達は大いに喜んだ。
チルノも、自らが作り出した物語がこんなにも喜ばれて嬉しくない筈は無い。嬉々として次の物語のアイディアを捻るのだった。











場所は変わり、香霖堂。
この日、この古道具屋を訪れたのは霊夢。
その用件とは―――

「……映画、ありますか?」

映画監督を続ける内に、チルノをここまでかきたてたその根源である映画が気になった彼女は、それを実際に観てみたくなった。
すると霖之助は、苦笑いを浮かべて言った。

「あるよ。というか、そろそろ上映されるんじゃないかな?」

その言葉が頭に引っかかり、霊夢は小部屋のカーテンを開ける。
そこには何と、魔理沙にアリス、レミリア、にとり、妹紅、早苗、その他大勢の”撮影メンバー”が詰め掛けていた。
どうやら、皆同じ事を考えていたらしい。

「丁度良かった、そろそろ上映開始だ。適当にスペース見つけて座りな」

ジュース入りのコップ片手の魔理沙にそう言われ、霊夢は何とか空いている場所を見つけて腰を下ろす。
壁際にいた早苗が部屋の電気を消し、室内を暗闇へと変える。
やがて、映写機がカタカタと音を立てて回り始めた―――




店番をしながら、霖之助は上映会が始まったらしい小部屋をちらりと見て、思わず笑み。
それから店の外を見て、あの夜上映された映画に思いを馳せる。


(……どうやら、幻想郷にも『ムービースター』が生まれたようだ……)














「―――立ち並ぶ家の屋根を飛び移りながら、怪盗チルノはひたすら走りました。
 追っ手が次々と撃ってくる弾を全て避け、チルノは夜空へ舞い上がりました。
 空までは追ってくる事が出来ず、また飛ぶことが出来る妖怪も足を凍らされて動けなくなっていたので、泥棒達は追いかけるのを諦めました。
 こうして、怪盗チルノは無事に、大切な薬の材料を取り戻す事が出来たのです」

優しく語りかけながら、大妖精は次の紙をめくる。次がラストシーンだ。
と、その時。後ろの方で見ていた一人の子供が、近くの木陰に隠れてこちらを伺っていた人陰を見つけ、叫んだ。

「あっ!怪盗チルノだ!!」

毎回、紙芝居上演の様子をこっそり見に来ていたチルノは焦る。とうとう見つかってしまった。
一瞬、逃げようかとも思った。だが、チルノは自らに気合を入れなおし、木陰から子供達の前へ躍り出た。

「見つかっちゃあしょうがないわね!おてんば怪盗・チルノとはあたいのことよ!」

紙芝居に夢中だった子供達は、たった今までその活躍を見ていたヒロインの実物登場に大騒ぎ。
『すごい!!』『本物だ!!』などと興奮した口ぶりで口々に言いながら、チルノを取り囲む。
チルノはこっそり大妖精に目配せし、『見つかっちゃった』とでも言うように苦笑い。彼女も『しょうがないよ』と苦笑いを返した。

「ねえ、次はどんなお仕事をするの?」

一人の女の子に質問され、チルノは一瞬焦る。
素早く脳内で次の冒険の内容を構築し、口を開いた。

「あ~、えっと……そうそう。プリズムリバー楽団の大切な楽器が盗まれたらしいんだ。だから、次はそれを取り戻しに行くよ!」

子供達は『おお~っ!!』と、やはり大盛り上がり。
チルノはポン、と手を打ち、

「いけない、そろそろ出かけなくちゃ」

そう言ってその場を去ろうとする。
子供達は残念そうな顔を見せたが、チルノは勇気付けるように笑った。

「怪盗は忙しいのだ。大丈夫、みんなが何か困っていたら、あたいは世界中のどっからでも駆けつけるよ!」

その言葉を聞いて子供達に笑顔が戻ったのを確認し、チルノは『また会おう、さらばだ!』と言い残して飛翔。
小さくなっていくチルノの背中に『がんばれ~!』と応援の言葉を投げかけていた子供達は、

「はい、今日のお話もまた聞かせてもらって、紙芝居にするからね。みんな、お楽しみに!」

大妖精にそう言われ、再び紙芝居の前へ。
彼女は最後のページをめくる。そこには、笑顔の永遠亭の住人達と、こっそり影から見守るチルノが描かれていた。

「怪盗チルノは、こっそりと薬の材料を戻しておきました。
 それに気が付いた永琳先生は、『ああよかった、これでまた薬が作れる!』と、とても喜びました。
 永琳先生は早速薬を作り、病気で苦しんでいた沢山の人々を救う事が出来ました。

 こうして、怪盗チルノは今日も、沢山の人を笑顔にしました。
 しかし、世界にはまだまだ困っている人達がたくさんいます。
 でも、きっと大丈夫。怪盗チルノが嫌な事をみんな盗んで、その代わりに、沢山の幸せと笑顔を持ってきてくれる事でしょう。
 そのためにも、今日も怪盗チルノは西へ東へ、大忙しです。頑張れ、怪盗チルノ!


 ……おしまい!」

大妖精が言い終わると同時に、子供達からの拍手と大歓声が、公園中に広がった。
チルノは確かに、物語のヒロインになれたのだ。子供達の、憧れの存在に。







――― 舞台を銀幕から紙の上へと変えて、チルノは―――『ムービースター』は、今日も子供達に、夢を運び続ける。



































――― チルノは、また夢を見た―――










『ワタシハ、ムービースター』









『アタイモ、ムービースター』





















『―――アナタモ、ムービースター』
長々とお付き合い頂き、誠に有難う御座いました。
また、前回の作品を読んで下さった方、コメントや評価を下さった方も、有難う御座いました。


この作品のタイトル及び本文の一部には元ネタがあります。
ですが、ご存じ無くても全く差し支えは御座いませんのでご安心下さい。
とある曲を聴いて非常に感動した、とだけ。


以前の拙作である『Merlin Wind Orchestra』の際に、『もっと内容を詳しく書いて欲しかった』というご要望を結構頂きました。
ですので、今回は出来る限り削ることなく書き進め……ましたらトンでもない大容量に。
流石に100kb近い代物をデーンと置かれても読み辛いこと請け合いだと思い、前後に分けさせて頂きました。


最後に。
何故怪盗モノにしたのかといいますと、単純にカッコいいからです。
それから、最近懐かしの『モンタナ・ジョーンズ』を再び見始めたのでその影響かもしれません。アレ怪盗じゃないけど。
カッコいいからいいのです。


長い作品でしたが、ここまでお読み下さった皆様。本当に、本当に有難う御座いました。
ネコロビヤオキ
http://
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コメント



0.3950簡易評価
6.100名前が無い程度の能力削除
大長編ですね!まさにムービー。
0からここまでお話を作れることに妬ましさすら覚えます(笑)
7.100名前が無い程度の能力削除
良かった
10.100名前が無い程度の能力削除
いい話でした。
12.100名前が無い程度の能力削除
満点
13.100名前ガの兎削除
こりゃすげぇ
21.100名前が無い程度の能力削除
前作同様ワクワク感が半端じゃない
23.100名前が無い程度の能力削除
あなたの作品は初めて読みましたが
・・・すごすぎてなんもいえねぇ
24.100名前が無い程度の能力削除
てっきりポップンミュージックがやってきたのかと思っちゃった。
みんなもいつかはムービースターになれるかなと思いたいくらい面白かったです!!
やべえちょっとポップンしてくるわwww
27.100名前が無い程度の能力削除
100点じゃ足りない・・・
とにかく素晴らしかったです。
35.100名前が無い程度の能力削除
こう、これと言って描写が上手いとか、話の作りがどうとかそういう訳ではないのでしょうが、愛が本当に伝わってきました。
なんか本当に素晴らしい。うん。
36.100名前が無い程度の能力削除
良い終わり方だった
大団円ってのはこういうものを言うんだろうなあ。
38.100名前が無い程度の能力削除
良い話でした。
それ以外の言葉が出てこない…
43.100名前が無い程度の能力削除
読んでいると自然と笑顔になれる、そんな素敵な作品でした。
44.100名前が無い程度の能力削除
あまりの面白さに時間を忘れて読みふけってしまった。

今の感動を言い表せない自分の語彙不足が悔しい。
49.90名前が無い程度の能力削除
グッドハートフル
50.100名前が無い程度の能力削除
GJ!本当に素晴らしい。
53.無評価ネコロビヤオキ削除
長編を書いた疲れも、皆様の温かいコメントでぶっ飛ぶというものです。
皆様、本当に有難う御座います。

>>6様
めっちゃムービーです。いつか自分の作品で『映画化決定』と評して頂くのが夢です、なんて。
そ、そんなにパルパルしたって何も出ないんだからねっ!

>>7様
自分も、無事に書き上げられて良かった良かったという思いで一杯ですとも。

>>10様
書き上げるまでは話の内容が中々まとまらなかったのですが、どうにか。いい話だったと言って頂けて、上手くまとめられたんだな~と胸を撫で下ろしております。

>>12様
本当に満点入れて頂けて。有難う御座います。
匿名評価が全て50点なのにもビビりまくり。恐れ多いです……。

>>名前ガの兎様
\すげぇ/ってコトでしょうか?w
ですが、それだけ読者の方の心に何かを残すことが出来て嬉しいです。

>>21様
前作も読んで頂けましたか。有難う御座います。やっぱりどうなるんだろう、というワクワクがあると一層面白いですよね。自分の作品でそれを感じて頂けてもう感無量です。
もし貴方さえ宜しければ、これからもご贔屓に……。

>>23様
\すげ(ry
失礼。そこまで言って頂けるともうこっちも感動で何も言えなくなってしまいます。
宜しければ、他の作品も宜しくお願い致します。

>>24様
うは、元ネタバレたww
努力すればきっと報われる、というお話でした。
自分もゲセンにお供してもいいですか?w あの曲は本当に素晴らしいと思います。

>>27様
そ、そんな。読んで下さっただけでも自分には何百点もぢゃりぢゃり入ってる気分になりますのでだいじょぶです。

>>35様
やっぱ愛ですよ愛、という事で。文章力や構成力も大事ですが一番重要なのはそこだと思うのです。
映画撮影もまた然り。

>>36様
大団円っていいコトバだなぁと思うのです。ハッピーエンド好きで何が悪い!w
終わり方(紙芝居とか)は結構気を使ったつもりでしたので、色々感じて頂けて嬉しいです。

>>38様
恐れ多いです……でも有難う御座います。
もうそのお言葉だけで十二分です。

>>43様
それです。自分が目指す作品ってそれなんです。読んだ後笑顔になれる、そんな作品が書きたいと思って頑張りました。
これからも頑張ります。

>>44様
もう恐れ多いコメントの連発でこちらはPC前で頭抱えて悶絶中。
コメント下さっただけでも……いや、読んで下さっただけでも本当に感謝感激です。

>>49様
ハートフルな作品は大好きですが、自分の作品もその仲間入りが出来たのでしょうか。
必死に込めた優しさを感じ取って頂けてもう泣きそうです、色々と。ひたすら感謝。

>>50様
とうとうGJまで頂いてしまいました。有難う御座います。
これからもそう言って頂けるように頑張ります……。
61.100名前が無い程度の能力削除
>>「差し支え無ければ、これからも時々でいい。この子達に、夢の続きを見せてやってくれないか?」

ああ、そうだ。
自分もそんな気持ちで二次創作始めたんだった。
前回のオーケストラといい今回の映画作りといい、みんなで物語を紡いでいる時のなんともいえない充実感を豊富な体験内容と共に描かれる、作者様の力量と愛に感服です。
夢のようなひと時を、過ごさせてもらいました。
63.90名前が無い程度の能力削除
これはなかなか
67.100図書屋he-suke削除
昔友人集めて映画と労としたときのこと思い出しましたww
少人数でやろうとするとほんと失敗して目も当てられないことに・・

でも楽しかったなあ
70.100ほたるゆき削除
人々がものを創る理由を、この作品の中にみたような気がします。

おもしろくて、すごくひきこまれました。
以外と短いのかなと思いましたが、100kb近かったとは。

かなしいとかそういうのじゃない、ふしぎな感動を味わうことができました。
ありがとうございました。
75.100名前が無い程度の能力削除
すっごいあったかい作品でした。そそわ来て初めて読んだのがこの作品で良かった。
76.90名前が無い程度の能力削除
楽しい夢を見ることができました。
素適な作品をありがとうございます。
79.100名前が無い程度の能力削除
演技か、懐かしい……
チルノの成長がすごい。あんな長台詞、中々言えねえぞ。
84.100名前が無い程度の能力削除
じっっくり拝読しました。50点じゃ足りない!ってことで思い切って初コメ。声を出してはしゃいでたのは子ども達だけじゃない!
思い思いに楽しそうに動き回っているみんなが素敵でした。チルノ、だんだんカッコよくなっていくじゃないか・・・っ! 胸が熱くなりました。

数行じゃとても感想書き足りませんが、グッと自重します・・・
すばらしい作品をありがとうございました! これからもよろしくお願いします!
85.100名前が無い程度の能力削除
スタンディングオベーションの代わりに100点を。
87.100名前が無い程度の能力削除
なんか青春だなww
後半のにやにやっぷりがたまらんww
88.100名前が無い程度の能力削除
チルノの冒険のように、まだまだコメントは増え続けるぜ。
あなたの作品は今まで何度も見返しましたが、自然に引き込まれる何かが確かに存在すると思います。
90.100名前が無い程度の能力削除
安心して読めるストーリーでした。最近刺々しいssばっかりみてたので
救われました。ありがとうございます
94.100名前が無い程度の能力削除
貴方の書く小説は、心温かくなるものばかりだ。
出来れば又、読み応えのある長編を読みたいです。
楽しいひと時有難う。
95.無評価ネコロビヤオキ削除
コメント返し、かなり増えてしまいました。なので、一番最初のもの以降の返しを全てまとめました。200906から201009まで。
これほどの長きに渡ってコメントを頂けるほど、この作品が愛されているという事実。嬉しすぎる。もう筆置いてもいい!でも置きたくない。
本当に有難う御座います。

>>61様
創作って、言わば夢を具現化したモノですよね。この作品も、作中の映画及び紙芝居も。
読んで下さった皆様に少しでもそれを分け与える事が出来たなら、もう自分はこの上なく幸せで御座います。

>>63様
なかなか、と言いつつ90点も頂いてしまいましたw
読んで下さっただけでも感涙モノですが、評価も頂けて大満足です。有難う御座います。

>>図書屋he-suke様
ちょっと自分語りになってしまうのですが、この作品を書く少し前に、友人が自主撮影する映画に少し出てくれないかと頼まれまして、実際に撮影の現場を見てきました。
小規模、それもアマチュアではありますが、映画撮影にかける役者さんやスタッフの方々の情熱は本物だった、と感心しました。
それと同時に、とても楽しかった記憶があります。
この作品で、そんな悲喜こもごもを少しでも表現出来ていたのなら幸いで御座います。

>>ほたるゆき様
自分がSSを書く理由も、そんな感じなのかもしれません。
実は97kbあります。素敵な作品はその長さを全く感じさせないものですが、まさか自分の作品でそのように感じて頂ける日が来るとは夢にも思いませんでした。
こちらこそ、読んで頂いて本当に有難う御座いました。

>>75様
ぎゃー、何かとてつもなく恐れ多いお言葉が!!
何故栄えある一番最初の作品に自分のものを選んで頂けたのかがちょいと気になりますが、身に余る光栄です。
少々遅ればせながら、東方創想話へようこそ!末永く楽しんでいって下さいな。

>>76様
いくつになっても夢は見たいもの。楽しい時間を過ごして頂けて何よりです。
こちらこそ、お読み下さって有難う御座いました。

>>79様
昔、小学生くらいの時に演劇の台詞を頑張って覚えたのを少し思い出しました。
この作中でのチルノの勇姿は彼女の努力の賜物でしょう。役者の方って本当に凄い。

>>84様
何行でも書いていいのよ……とは言いましたが、そのお気持ちだけでも十分なのにわざわざコメントまで頂けまして、感謝のしようもありません。
人が努力して成長していく過程というものは、本当に感動します。作者の成長はどうだか分かりませんが。頑張るよ!

>>85様
では、チルノを始めとした出演者&スタッフに代わりまして自分からお礼の言葉を。
本当に有難う御座いました!

>>87様
何かでっかい目標に向けてひた走る。これぞ青春ですよ。
信じることさ、必ず最後に愛は勝つってけーねが言ってた。

>>88様
怪盗チルノの冒険譚はまだまだ続きますが、コメントもまだまだ増えるとは予想外。ありがたやありがたや。
何度もって……嬉しさ恥ずかしさで作者のライフポイントはそろそろ尽きそうです。でもまだ頑張る。

>>90様
殺伐とした世の中の救世主に、というのは少々オーバーではありますが。
誰かの癒しになれたらなぁとは思います。そのお言葉のお陰で今日も自分は頑張れるのです。

>>94様
『あ、なんかいいなこれ』と言って頂けるような作品を目指しております。誰かの心を動かせたという事実に感動を禁じ得ません。
長編構想は三本分くらいありますので、また書こうと思っています。宜しければ。
こちらこそ、どうも有難う御座いました。
103.100k-lia削除
素敵でした。
キャラクターの魅力を十分に引き出しつつ話の内容が凄く面白かったです。
最後の締めくくりも感動しました。
妖精のお姉ちゃんが紙芝居を持ってきてくれる日が待ち遠しいです
104.100二人静削除
こんな名作を見逃していたなんて……


すごくよかった。特にみんなで映画を作り上げるとこに感動しました。
それぞれのキャラが良い味を出していて、あったかくて、素敵な幻想郷を見せていただきました。
ありがとうございます。

百点じゃ足りない!
107.100名前が無い程度の能力削除
チルノちゃんカッコイイ!映画の感想はこの一言に尽きますね。怪盗モノの王道の、いいストーリーでした。

この作品も、とてもよかったです。キャラがこんなにいきいきしている作品は滅多にないでしょう。

こんないい作品を見逃していたとは・・・
113.100あやりん削除
名作すぎますて…
いやほんと
114.100名前が無い程度の能力削除
素敵な話でした