桜もすっかり散ってしまい、夏らしい気温に近付いてきた今日この頃。
ここ博麗神社では季節に関係なく今日も宴会が行われていた。
人間・妖怪・妖精、多数の少女達が酒を飲み、会話を楽しんでいる。
そこへ一人の男、森近霖之助が境内に入ってきた。
「あら霖之助さん、宴会に来るなんて珍しいじゃない。早苗が力でも使ったのかしら?」
「さっきまで里にいてね。いつも断ってばかりでは悪いから偶には出てみようと思っただけさ。気まぐれだよ」
「ふーん、まぁもう皆始めてるし、好きなように過ごしてってね。あ、帰り道の安全祈願のさい銭箱はそこよ」
「僕は半妖だから襲われないって知ってるだろう。それにそのお金はツケの代金で僕に帰ってくるじゃないか。」
「まぁいいじゃないの、とにかく入れてってね。 はいはい、今行くわよー」
そう言って霊夢は宴会の中に戻って行った。
「さて、どうしようか」
数人の知り合いと挨拶を交わした後、霖之助は一人で飲みながら考えていた。
このまま宴会風景を眺めていてもいいが、喧騒を好まない霖之助としてはあまりいい策ではなかった。
今は夜雀が歌い幽霊3姉妹が演奏を行っている。
ちなみに先程までは妹紅が輝夜を燃やしていたところだ。おかげで焚き火が出来ている。
少し静かな場所に避難しようと思い、せっかく神社まで来たのだから中を覗いていこうと思いついた。
先程まで騒がしかっただけに中はとても静かだった。
少し奥に進むと、一人の男が座っていた。
「やあ霖之助君。久しぶりだねぇ」
男は霖之助に気づき、杯を飲み干しながら手を振った。
対する霖之助は男に気づくと、少し驚いた顔を見せ、再びいつもの表情に戻った。
「お久しぶりです。一声かけていただければ挨拶に向かいましたのに」
杯に酒を注ぎ、再び飲みながら男は答える。
「いやねぇ、文に伝令でも頼もうかと思ったけど、酒を飲んでたらつい忘れちゃったよ」
微笑を浮かべた眼鏡の男の周りには数え切れないほどの缶・ビン・樽が転がっている。
この人は天狗、いや、もしかしたら鬼より酒に強いのかもしれない。そう考えると少し恐ろしくなった。
「お元気でしたか?」
「まぁぼちぼちやってるよ。それで、彼女達はどうだい?」
男は外を眺めた。チルノがさい銭箱を氷漬けにしている。
「おや、あなたがそれを聞きますか?」
「たしかに異変時の彼女達は僕の方が詳しいけど、彼女達の「日常」は君の方が詳しいはずだよ」
「それもそうですね」
言って、2人は笑い合った。
しばらく2人で飲み合った後、不意に男は目線を落として言った。
「しかし、霖之助君にはつらい思いをさせてしまっているね。本当だったら去年にはもう…」
「そんな、気にしないでください。僕は半妖ですから、寿命は長いんです。また未知の道具でも探しながら気長に待ちますよ」
「そうか。君にそう言ってもらえると助かるよ。おっと、そろそろ行かなくては」
立ち上がる男の後ろにはいつのまにか隙間空間ができていた。
姿は見えないが恐らく(というか100%)あの妖怪賢者の能力だろう。
「もうですか?彼女達に伝えましょうか?」
「宴会中に帰宅を伝えるのは無粋ってものだよ、霖之助君。それに僕もこう見えて忙しくてね。君のお店と同じさ」
男は隙間空間に入って行った。両脇に大樽を抱えながら。あれだけ飲んでまだ飲み足りないというのだろうか。
「これは手厳しい。今度いらしたときは是非店にも立ち寄ってください」
「旨い酒が入ったら寄らせてもらうさ。それじゃあ」
「ええ、それでは。博麗神主殿」
確かに神主なら鬼より酒飲めそうですよねw
2008年のはーるよ来い
タル単位かよw
100年でも、1000年でも
なにぶん拙い文章でしたが、ご評価ありがとうございます。
>>100年でも、1000年でも
もしや、妖怪の方でしょうか?
人間にも妖怪にも愛されているなんてさすが香霖堂ですね(笑)
香霖堂マジで続き出ないかな・・・