注意:この作品はフクロウが全てくじ引きで選んだ結果をもとに作っています。
以下のキャラがメインですが、サブとして新たにキャラを追加する場合も御座います。
他は作品集73・74・76にあります。
「う~ん。今日も終わったわね」
今日の授業を終えた私は、すぐに寮へと戻りベッドに倒れ込む。
「目覚ましセットして」
備え付けられていた目覚まし時計に、夕飯一時間前に鳴るようセットする。
私がこっちの世界に来て一週間、ここの生活にもそれなりに慣れ始めた。
来たばかりの頃は知らなかった外の言葉もあらかた覚え、寮での生活にも慣れたが、どうしても慣れないものがある。
それは授業。
もっとも、あれらを授業だと言ったら本職の慧音に怒られそうだけどね。
私は苦笑を浮かべながら、今までの授業を思い出す。
【国語】
「はーい! みんな席についてー」
国語を担当しているのはフランだ。
「それじゃ、さっそく遊びましょう!」
フランは持っていた教科書をポイと教卓の上に捨て、外に行こうとする。
「フラン、いい加減授業した方がよくないか?」
最初のニ、三日はフランと一緒になって遊んでいた魔理沙も、最近では流石にまずいと思っているのか、よくフランに対して忠告している。
「えーこんなの読んでてもつまんないよ。それより警泥しよ! 参加しない人はペナルティ!」
「……はぁ」
私を含む一部の生徒は溜息を、チルノを含む数人はフランと一緒に喜び、他はまぁ何時も通りと割り切っている連中。
それと、フランはペナルティと言ったが、実際にはペナルティポイントがつく。
『授業をサボるとペナルティポイント追加』
最初にこの条件を見た時は、生徒手帳を破りそうになったわね。
結局、いつも通り校庭に集まって警泥スタート。
こんなのが一般生徒には授業をしているように見えるのか心配していたが、どうやら見えるらしく、今日なんてフランが一般の先生に『精が出ますね』と褒められていた。
「捕まえた!」
「あっぐ」
思いっきり鳩尾に抱きつかれ、つい女の子らしくない呻きを漏らしてしまう。
「あははは楽しいね!」
「……まぁいっか」
そう思えるくらいフランが楽しそうなので、これはこれで許容範囲かなと、最近思う様になった。
もっとも、テストの時にフランがどうするのかだけが不安でしょうがないが……。
【家庭科】
「今日はエプロン製作の続きをするぞ」
割烹着を身に纏った魅魔が、糸と針を取り出す。
何故割烹着なのか質問したところ、
「こっちの方が雰囲気出ていいだろ」
だそうだ。ノリノリである。
私は普段から服等を繕う事が多いから裁縫はお手の物。魔理沙もあれで裁縫はできるし、普段から私以上に糸と針を使っているアリスなんて、すでに自分の分を終えて他の人に教えている。
「はい。出来たわよ」
三度目の授業で私はエプロンを完成させた。
「よし合格。んじゃ、次これね」
と言って手渡されたのは、『鍋掴み用手袋』と書かれた札が貼られた素材。
「その次は三角巾、最後に割烹着を作って貰うから」
…………以外にスパルタだった。
その割に本人は何も教えてくれず。お茶を飲みながら、あたふたする私達を見て笑っている。
魅魔がそんな状態のため、教科書と、魅魔が図書館から持って来た専門書を見て作るしかない。
この授業でアリスに頼らない奴はまずいないだろう。
【英語】
「えっと、きょ、今日も単語の勉強をします。プリントと辞書を」
正直、英語にあまり触れた事が無いので、橙の戸惑いや拙さは私もしょうがないと思う……けれど、
「頑張れ橙! よく出来ているぞ!」
外野が五月蠅い。
堂々と教室に入って来て、終始応援する親バカな九尾に、主の自称少女はちょっと鬱陶しそうな顔で度々後ろを睨んでいる。
「そ、それじゃ分からない事があったら、私なんかより、永琳さんに聞いて下さい。きっとわかり易いと思うの――」
「そんな事無い! 自分に自信を持つんだ橙!」
「五月蠅いわ!」
「ごっは!」
限界の来た紫が、藍に向けて教科書を投げつける。
『ペナルティポイントを追加します』
「あ~~っもう! 何よこのシステム!」
「あんたが作ったんでしょ」
今日の分も合わせて紫のペナルティポイントは合計二つ。その内二つとも藍のせいという、なんとも主に優しくない式神である。
【古典】
「じゃ、今日は源氏物語を一人一ページずつ読んで。つっかえたら最初からそこまで読み直し。分かったら窓側の一番端の地味子! 起立する」
「地味子言うな!」
古典を教える天子、クラスではコテンコテンコで有名な彼女は、ひたすらウザい。
因みに、コテンコテンコを漢字にすると『古典子天子』となる。『古典を教える子は天子』と言う意味で、名付け親はレミリアだったりする。
「はい次、そこのサブ!」
「サブって言わないで下さい!」
天子は生徒の事をわざと変な呼び方で呼ぶ。多分暴力を振るわせてペナルティポイントを増やそうという魂胆に違いない……しかし、
「ははは! 次はそこの!」
「なんですか総領娘様」
「…………永江さん」
「はい」
何故か衣玖だけは名字で呼ばれている。
そういえば天子の授業初日に、二人して何処かに行ったみたいだけど、何かあったのかしら?
何故か衣玖のペナルティポイントが増えていたけど…………ま、関係無いわね。
これ以上は踏み込んではいけない気がして、私は自分の番になるページを間違えないよう読み返す事にした。
【社会】
「今日は私が農業について教えるわ。さ、みんな外に行くわよ!」
学園の脇にある小さな畑に駆り出される。
穣子の授業は実地訓練ばかりだ。
「明日は私が自然について教えますね」
静葉は本や実物を見せて植物の事を教えてくれる。
二人とも丁寧ではあるし、比較的まともな授業だとは思う、思うが……。
これは絶対社会じゃない。
【道徳】
「それじゃ、授業を開始します。私がそれぞれ器用な人物を割り振って班を作ったから、その通りに別れること。特ににとり、悪いがその子達をよろしく頼む」
「まぁ、頑張ってはみるよ」
藍が担当する道徳は、月によって授業内容が変わるらしい。
四月は図工、五月は音楽と言っていた。
授業内容によって班が毎回替わるが流石は藍、的確な人選をする。
今回は工作と言う事で、一番適任者のにとりが、危なっかしい連中の面倒を見る事になった。
授業の進め方も上手く、ほぼパーフェクトだと言える。しかし、あくまでも『ほぼ』だ。
その『ほぼ』の部分が、
「ではこれより、橙の木彫り人形を製作する!」
あの親バカな部分である。多分、一生パーフェクトにはならない。
【体育】
体育を教えるのは神奈子。
教師陣でこれ程授業の内容と一致している者は他にいないと思う。
「よし、今日も夏に向けて特訓だ!」
そう言ってやって来たのは温水プール。
正直このスクール水着と言う物には少し抵抗があったが、プール自体はとても気持ちが良かった。
もっとも、私のようにプールを満喫できるのはごく一部だけ。
「ぶくぶくぶく」
「きゃああぁぁ! チルノちゃん!」
意外に泳げる者が少なかった。
私はたまに山の滝に行って、ついでに川で遊んでいたから泳げるが、普段飛んでいる連中は軒並み泳げずにいた。普段最速を名乗る文や魔理沙も含まれている。
「いや~お恥ずかしい。普段は水浴びしかしないので」
「私は水の中でも魔法でなんとかしていたからな~」
しかし夏にイベントがある以上、泳ぎは必ず必要になる。
そのせいか、思いのほか全員が真剣に取り組んでいる。
まぁ、チルノやルーミア達は一部のレーンで遊んでいるようにしか見えないが。
「そんじゃ、いつも通り泳げる早苗と衣玖が泳げない奴の面倒を見る。私がある程度泳げる連中の面倒をみる」
早苗と衣玖はすでに五十メートルを軽くこなせるので免除、一応泳げるだけの私達は当面は五十メートルを目指してひたすら泳がされる。
「ほらほら! あと少しだ頑張れ!」
流石に軍神と言われるだけあって、こと体を動かす事に関しては鬼のようだった。
紫が「保健の授業があったら面白いのに」と、愚痴っていたが……多分その授業が行われる事はないだろう。
【数学】
数学とは、読んで字のごとく数字を使って物事を計算する授業。
しかし、今私の手元にあるのは数枚のプリントと、空欄の書かれた紙。
「それじゃ、今回はこの小早川刑事が殺人犯シリーズの、温泉で犯人に間違えられる編の犯人を捜し出すこと。最後はちゃんと用紙に誰かの名前と、そう思うトリックを空欄に記入しなさい。最悪名前だけでもいいわ」
何故かいつも推理物の犯人当てクイズになっている。
度々レミリアの様子を見に行く咲夜に尋ねると、
「最近ハマっているみたい」
と言って苦笑していた。
プリントの親切丁寧な図解や文章を見る限り、間違いなくこれは咲夜が作っていると思うのだけど、本人は決して認めない。
まさにメイドの鑑ね。
「こんな簡単な問題も解けないんじゃ、ホームレス古畑シリーズなんて絶対に解けないわよ」
なんでホームレスが謎を解くのよ!
突っ込みたかったが、言っても無駄なので無視する事にする。
因みにこの授業、何故か魔理沙を含む数名の生徒には人気がある。
【理科】
理科はいつも理科室で行われる。
「それじゃ、ここにいる山で取って来た芋虫」
虫籠の中に芋虫が一、二……うっ気持ちワル……とにかく沢山入っている。
「さっそく解剖しようか」
「勘弁して下さい」
永琳と紫、幽香以外の全員が頭を下げる。
あんなグロテスクなもんは二度と見たくない。
授業の初日にいきなり蜥蜴の解体を見せられたお陰で、その日はお昼が食えなくなった。
「そう? じゃ、こいつらは成虫になってからにしますか。じゃ、フッ素の勉強でもしよう。そもそもフッ素は――」
ヤマメは普段は常識的な方である。
ただ授業内容が解剖か、毒や病気についてばかりなのは勘弁してほしい。
【ホームルーム】
本来ホームルームは担任が行うものだと聞いたが、何故か朝は幽々子が来る。
「は~い、出席取るわよ~」
妖夢から聞いた話だと、どうも暇潰しが理由らしい。
「うん、今日も全員出席ね。そうそう、今日の日替わりランチはハンバーグらしいわ。デザートはミルフィーユですって。あ~早くお昼にならないかしら……ジュル……あらいけない。じゃ、今日はとくに連絡事項はないからこれで終わりね。良い一日を」
幽々子は口元から垂れた涎をハンカチで拭きとり、いつものように笑顔で教室を出て行く。
朝のホームルームはこんな感じで五分から十分程度の時間で終わる。
逆に、最後のホームルームは長い。
「それでは、今日あった事を伝えます」
毎回毎回映姫が学園で気になった点を上げ、改善するように呼びかける。
「やはり風紀委員は必要だと判断したので、まずは生徒会長と話し合う事にしました。よろしいですね八意永琳」
「構わないわよ」
と言った感じのやりとりが今日あった。
改めて考えると、授業なんて半分くらいしかしてないような……。
やめよう。取り敢えずこれ以上考えると馬鹿になりそうだ。
私は布団から上半身だけを起こす。
「あ~そういえば風紀委員……風紀委員って何するのかしら?」
今日の話し合いで出た風紀委員について考える。
風紀と言うくらいだから多分学園生活に係わる仕事よね……面倒そうだから私はパスね。
生徒手帳を取り出して空欄を眺める。
「そういえば、魔理沙と魅魔が『魔女っ子クラブ』を作っていたわね」
よく分らないが、魔理沙がそんな部活を立ち上げ、魅魔が顧問をすると言っていたのを思い出す。
「他にも誰か……そうそう文ね」
まぁこっちはいずれ作るだろうとは思っていたが、文が元からあった新聞部とは別の『文々。新聞部』を立ち上げた。メンバーはまだ椛だけ。
顧問は映姫らしい。
確か、情報は明確に管理するべき。という理由で自分から顧問になったと文から聞いた。
文本人は顧問にかなり不満があるらしく、偶に愚痴を聞かされる。
私も何かやった方がいいかしら?
でもどんな部活や委員会があるのか知らないし、それに、どこかに所属すればその分大変そうなのよね。
「やっぱ面倒だし、このままでいいか」
再度ベッドに倒れ込む。
「……あ、洗濯物取り込まないと」
寮で暮らす内に、私と、本人の希望で大ちゃんと呼ぶ事になった彼女とで、役割分担が決められた。
一日おきに掃除と洗濯を交代する。
私は外に干しておいた布団のシーツを部屋に仕舞い、折り畳んで押入れの上段に仕舞う。
押入れの上段にはクッションやシーツ、予備の布団。
下段には扇風機や折り畳み式の机が仕舞われている。
それといつの間に用意されたのか分からないが、普段から着ている服が全てクローゼットに仕舞われていた。
私はともかく、大ちゃんはどうするのかと思ったら、同じ服がずらりと並んでいた。
流石に可哀想なので、私の予備の巫女服の一つと、大ちゃんの服を使って新しい服を製作している。
まだアリスにデザインを頼んだだけなんだけどね。
残念な事に私にそっちの才能は無い。
流石に出来が悪い物を渡す訳にもいかないしね。
取り敢えず……寝るか。
果報は寝て待てって言うしね。
でも私、ここに来て食っちゃ寝ばかりしているけど……太ってたらどうしよう。
その辺の事を今度紫に聞こうかと考えながら、私はやって来た眠気に身を任せる事にした。
水泳とか色々と面白かったです。
衣玖は天子に何をしてペナルティもらったんでしょ?電撃でもしたかな?
次の委員会編がどんなことになるか楽しみですね。
もしかして月々の支払いとか各種保障について学ぶの……?
話としては面白ろいので、続けて欲しい。
保健体育の授業…受けてみたいっ
教師陣は基本フリーダムですから、やりたい放題ですね。
>>煉獄さん
正直前回、前々回のようになりそうで怖かったのもあります。
今後はその辺の強弱を付けられるよう頑張ります。
>>12
それが東方マジックなのでしょう。
>>15
ありがとう御座います。
次も頑張ります。
>>17さん
すいません「保健」です。
誤字報告感謝します。
直しておきました。
もしよろしければ今後ともご指摘お願いします。
>>18さん
確かに会話はもっとあった方が良かったですね。
煉獄さんの所でも書きましたが、その辺をもっと表現できるよう頑張ります。
今後ともよろしくお願いします。
なんとか神奈子に保健の授業をさせたいですね。