「猫が欲しい」
ここは紅魔館
幻想郷のどの辺かにある湖に浮かぶ島の、そのどっかにある館
まあ島はいうほどに広くないし
かなり赤いし大きい館だから目立つと思う
なぜ赤いのかって?
一種の自己主張よ
ほら、某大佐だって赤いじゃない
あれはね、ただの緑じゃあ、すぐに大佐ってわからないじゃない?
でもパーソナルカラーを塗っとけばすぐに大佐だとわかって「彗星だー!」って怯えたりする訳よ
それと同じ。多分
少なくとも趣味じゃない。きっと大佐もそうなんだろう
で、この館の主ではレミリア・スカーレットという
大層わがま…いや失敬
え~と……
……………………
やっぱわがままなお嬢様な訳です
完全で瀟洒なメイドである私でさえフォローできないそのお嬢様が、こんな事を言い出した訳ですよ
「猫が欲しい」
…猫
それはクールで気ままなロンリーウルフ
あれ?でも狼は犬じゃなかったっけ
まぁいいや
主に忠実な犬とは正反対に、時に気まぐれで自分勝手な所もある
でも主のことは好きで好きでたまらなかったりしなかったりするツンデレな所もあったりなかったりする、それすら気ままな動物
それが猫(八雲ん所の式神は例外)
間違いなく過大評価をしてしまったけど、一言で言うと猫かわいいよ猫
しかし実際は私は犬派なのよね?
そもそも私という忠実な犬がいるというのに
「霊夢が欲しい」
なんて言うのねこのお嬢様は
猫のなにがいいのか
私に猫の何が至らないと言うのか
ていうか今猫って言った?
猫って言ったわよね?
言ったということにしておきましょう
女同士なんて私は認めませんからね
あ、でも姉妹丼ならちょっと見てみたいかも……
……自重しなさい、私
「猫ですか」
「ええ、猫よ」
「猫イラズなら図書館に…」
「猫、イルのよ!!にゃんこが欲しいのよ!!」
「……では何故、猫?」
無い胸を張って言った
「カリスマよ」
突然訳の分からない事を言い出すのも、このお嬢様の特徴
「ほら、悪のカリスマボスといえばこう……フカフカのソファーに足組んで座って、美女に囲まれて、グラサンかけて、フワフワとかいっぱい付いたコート着て、葉巻くわえて、片手にワイングラスもって、片手で膝の上に乗っけた猫撫でてたりするもんじゃない?」
……混ざりすぎだろ
キャラ濃いってレベルじゃねーぞ
むしろすごい小物臭だ
つか葉巻くわえといてワインはねーよ
しかもそんだけ並べてなんで要求は猫なんだよ
「サ〇キのイメージで」
サ〇キはそんなにキャラ濃くねえよ
フツーの椅子に足組んで座って、ワイン持ってたような持ってなかったようなだよ
つかペルシ〇ンは膝に乗せるような猫じゃねーよ
「あと、私は〇ースみたいな悪役にも憧れるわね」
あんたの中の〇ースはどんだけキャラ濃いんだよ
小物すぎるだろそんな〇ース
〇ースに上の特徴何一つ当てはまんねぇよ
Mr.B〇Gのほうがまだヒットしてるよ
謝れ、世界中の〇ースファンに謝れ
今三十代前後あたりの人らとか、私とかに
許るしません
やはりゲームは一日一時間だね
まさかお嬢様がスーフ〇ミとゲー〇ボーイ(あとネオ〇オ)にあんなに熱中するとは思わなかった
あ、でもお嬢様の袴姿はちょっと見てみたいかも……
……自重しろ、私
あと口調戻せ
「で、私にどうしろと」
「猫の一匹ぐらいとって来なさいよ」
「幻想郷の猫のほとんどは八雲の式の式の管轄下ですよ?一応ですが」
「二面ボスくらい倒しなさいよ」
「申し訳ありませんが、飛翔毘沙門天は避けれません」
「そういえばそんなこともあったわね」
ああ、またお嬢様が思考モードに入ってしまわれた
どうせロクな事にはならないだろうが
「猫…猫…」
ひたすら呟くお嬢様
まぁ、私も何か考えておくとしよう
猫…猫…
「猫…猫…猫耳」
ね、猫耳っ!?
その発想はなかった
「猫巫女霊夢……」
お嬢様に猫耳……
「いかん、鼻血が」
いかん、鼻血が
「……」
……
お嬢様と目があった私は時を止め、瀟洒な動きで互いの鼻にティッシュを詰めた
博麗神社
幻想郷を管理している巫女がいる場所だ
特徴として、無駄に階段が長い
「……何かしら」
特徴として、入って来た客にはまず敵意の視線を向ける(人里の人間には愛想笑い)
「言っとくけど、まず賽銭をくれないと話すら聞かないわよ」
特徴として、まず賽銭を要求する
まぁ十円くらいなら持ち歩くべきだろう
投げた十円が小気味良い音をたてて賽銭箱の底に蓄積される
もっとも、次の日には回収されるので積もりはしないが
「で、何の用かしら。厄介事?」
「悔しくも、厄介事ね」
「帰って頂戴」
ちゃりん
投げた百円が小気味良い音をたてて賽銭箱の底に蓄積される
「何の用かしら。私に任せなさい」
……特徴として、賽銭の額によって態度が変わる
「メイドぉ?」
かなりの厄介な者を見る目で返された
「紅魔館も人手不足なのかしら。主にわがまま吸血鬼のせいで」
「お嬢様吸血鬼様のせいという点では合ってるわ」
「なにその無理なフォロー」
お茶をすする
たまには緑茶も美味いもんだ
あとで葉っぱの名前でも聞いておこうか
(でもパチュリー様が飲めないのよねぇ…)
「で、なんで私なのかしら」
「猫が欲しいと」
「猫ぉ?」
素っ頓狂な声とはこういうのをいうんだろう
「お嬢様が猫猫呟いていたら十秒で猫耳という発想に至り、五秒で猫巫女霊夢という発想に至り、一秒で霊夢に猫耳メイド服を着せたい。尻尾つきで、頭に鈴とか乗っけて、にょとか言わせたい。と、なった訳です」
「たくましいわね」
まったくもって
このお嬢様はいったいどこでそんな知識をつけたのか
私はれみにゃが見てみたいものだというのに
にしてもお茶が美味い
朝は牛乳に限るが昼はまったり緑茶、夕暮れには優雅に紅茶で夜はアダルティーにワインでも
いいわねこれ
牛乳といえば……
白濁液って書いたらかなり卑猥に聞こえる魔法の液体……
~少女妄想中~
「は~い♪れみにゃちゃん、たーんとお飲み」
(れみにゃ、牛乳をペロペロ)
ガチャン!
「う~咲夜~」
「あらあら零してしまって、私が舐めてきれいに…」
~~~~~~~
「鼻血がお茶に入ってるんだけど」
時を止めて、瀟洒な動きで鼻にティッシュを詰めた
「……血でも入れたほうがよかったかしら」
「吸血鬼に仕えているけど、血なんか飲まないわよ。それに自分の血を飲むなんて、唾で喉を潤すのと同じ、ってお嬢様が言ってた」
「あっそう。で、何で鼻血?」
「…………牛乳について考え事を」
「…………」
視、視線が痛い……
はぐらかしたつもりがむしろ墓穴掘ってしまった
「……たくましいわね」
言われてしまった
「で、猫から十秒で猫耳に至り、猫耳から五秒で猫巫女霊夢に至り、猫巫女霊夢から一秒で私を某マスコットキャラに仕立ててしまう変態に仕えろっての?」
言われてしまった
まぁ変態なのは確かだし
今、お前もだろとか思った奴は前に出ろ
あ、でもお嬢様に言われた分なら
「ハイッ!!変態ですッ!!」
とPADを張って言え…
「…………」
……口に出してしまった
うわ、露骨に引かれてる
「まぁ、言い出しっぺは私だけど…アンタ自分の主に変態はないでしょ変態は」
あ…まぁ会話の流れ的にそうなるのか
じゃあいいや、事実だし
「とにかく、そんな話なら私は下りるわ」
流石博麗の巫女、そこまで甘くないか
ならば最終手段だ
私は一枚の紙切れを賽銭箱へ飛ばした
その距離は二メートル。だが諭吉の絵が書かれたその紙切れは、咲夜の瀟洒な指、肩、腕の振りによる投擲によって宙返りした後、見事賽銭箱へINした
「さて、紅魔館にでも行こうかしら」
今の反応は一秒切っていたな
特徴として、賽銭の額によって態度が変わる
大事な事なので二回言いました
(ここからは視点が霊夢になります)
「だぁーっはっはっはっはっは!!!」
「あはははっははっ…あははははははっ!」
「ぷっくくく…くくっ…あははははは!!」
なんと爽やかな連中だろう
じゃなくて、なんと賑やかな連中だろう
人のメイド服姿がそんなに面白いか
ってかなんでこいつらがここにいるのか
今、私のメイド服姿をみて笑い転げている三人
上から魔理沙、パチュリー、アリス
パチュリーはともかくなぜ魔理沙とアリスまでいるのか
「ただの親睦会みたいなものよ、たまたま集まってただけ……だけどあははははははは!!来てよかったわ!あはははははは!」
うっぜえ…てめえそんな性格だったのかアリス
「あはははっゲホっゲホっははっ!ゲホゲホゴホッ!ははははははははっ!!苦しっ……もう、喘息、患者に、なんて、もの、見せんのよ、あはっははははっ!殺す気、かしらっ!?」
死ね
「ぎゃっははははははははは!!」
魔理沙はもう喋ることすらできんらしい
「大人気ね」
咲夜の奴…さっきまで笑ってなかった癖に
雰囲気で笑い始めやがった
「帰りたい……」
なんかもう泣きたい
魔理沙が涙目になって上目遣いで言った
文面上だとなぜか可愛いく見えるから不思議である
「霊夢……っ!!にょって言って………!!にょってぇぇ………ははははははっ!」
でも言うことはウザイ事この上ない
「誰が言うか「にょ」!!」
咲夜が裏声使って割り込んできやがった
あれ、もしかして私イジメられてる?
「ぶぁははははははははははっ!!はははははっ……はぁ………っ!あ………っ!!」
完全に腹筋崩壊した魔理沙はとうとう声が出せなくなり、その場にうずくまってプルプル震え出した
「あっははははははふっげふぉっ!!」
パチュリーが血を吐いた
「パチュリー様ッ!!」
直ぐにどこからか飛んで来た小悪魔がパチュリーを抱きかかえ、こちらに怨むような視線を一瞬だけ見せたが、直ぐに爆笑に変わり、部屋から出て行った
部下も揃って…
「あはっはっ、無、理っ……ここに居たら、自分自身が崩壊、しそうだわ…うふっ……魔、魔理沙、行くわよっ…!うふふふはは…!」
アリスは魔理沙を引きずって部屋から出ていった
咲夜がそれを一瞥し、言った
「なんて爽やかな連中だろう」
次の瞬間、咲夜の顎に私のハイキックがヒットしていた
魔理沙達も後で八つ裂きだ
契約期間は今日一日
それで諭吉なら…と思ったが、
早くもくじけそうだ
やばい、泣きそう
親離れして以来初めて泣きそう
今までいろんな事があった…
陰陽玉に潰されたり、いきなり髪の毛が黒になったり、突然巫女服が脇出しになったり、プリンセスウンディネが突破出来なかったり、何回やってもPhがクリア出来なかったり、ラストスペルコンプリート出来なかったり、閻魔にストレート勝ち出来なかったり、突然主人公降ろされたり、ゾンビ霊夢とか言われたり、核撃たれたり、(※星蓮船ネタバレなため表示できません)たり、二次設定で貧乏巫女の烙印を押されたりもした
でも今まで泣かなかった!
一人でキレたりコントローラー投げたり悲しみを背負ったりしたけど泣かなかった!
でも何故、こんなに涙が溢れる…
「ハァーイ霊夢♪おお!可愛いじゃない♪あれ?泣いてるの霊夢?お~よしよしよし、なんで泣いているのかレミリアにいってごらん?」
「てめぇのせいだ!!」
折角だから最終奥義で葬ろう…
「夢想天生」
私にも悲しみを背負うことが出来たわ…
ボロクソのレミリアがそこにいた
「ごめんなさい、ちょっと調子に乗りすぎたわ」
乗りすぎだ
なにがよしよしだ。おばあちゃんかアンタは
……ああ、五百歳だったか
だがレミリアは調子に乗りすぎたことを自覚しながらやめようともしない
「とりあえず語尾は"にょ"で固定、私の事はご主人様じゃなくてこう、ごしゅじんさま、みたいな感じで」
「死にたい?」
「かなり毒づいたわね霊夢」
咲夜が呆れの声をあげた
でもさすがにこれは閻魔でも毒づくだろう
「んもぅ仕方ないわね、ここまできたらこっちも引き下がれないのよ。諭吉五人でどう?」
「クッ…何でもかんでも金で解決するなんて…」
「何でもかんでも金で釣られる貴方には言われたくないわよ」
「わかったわよ!諭吉七人よ!わかったかにょ!?ご、ごしゅじんさまっ!?」
次の瞬間、レミリアの鼻から下と霊夢の顔面が血で赤く染まった
今日は厄日だ
さて、酉の刻、ようやく晩餐だ
私は申の刻過ぎにいつも食べてるもんだから、不思議と異常に腹が減る
それにしても流石は紅魔館
どれもこれも美味いもんばかりで、これなら腹を空かした甲斐があったってもんだ
飲み物はワイン
こっちは酒が夜食代わりみたいなもんなんだけど
食事中に酒とは、流石A級料理は格が違う
この鶏肉にもワインが使われているな
肉によく染みてるあたり、煮込んだんだろう
煮込みに酒とは、流石A級料理は格が違う
いや、料理酒くらいは私も使うけどね?
ナイフも置いてある。フォークとの二刀流でこのごつい鶏肉を頂くのだ。流石A級料理は格が違う
「ナイフとフォーク、逆よ」
……流石A級料理は格が違う
うわ、なんか空気が白い
A級料理は黙って食べるのがマナーなのか?
やはり神社の庶民料理とは格が違うのか
だめだ、落ち着かない
なんか話題…
「わ、私は日本酒派なんだけど、たまにはワインもいいわね。年代ものなのかしら」
「ええ、二十年ものよ」
瀟洒な指遣いで鶏肉を口に運びながら言う
器用だなぁ
「二十年!すごいお酒ね」
「一秒足らずで作ったんだけどね」
「……」
急に安っぽく見えてきた……
いや、確かに二十年ものなんだけど
「それよりも霊夢、にょ」
「れ、レミリアがいないからいいのよ!」
「ごしゅじんさま、でしょ?」
冷たい顔して……こいつ絶対楽しんでやがる
ちなみにレミリアは自室で血液補給中らしい
「……吸血鬼が貧血とは、お笑い草ね」
「喉が渇いて干からびてるようなもんよ。ま、今の霊夢なら1デシリットルの血でもすごいことになりそうだけど」
「何よすごいことって」
「なんていうか、モリモリの、ムキムキ?」
「それは見たくないわ。ボディービルダーに興味は無いし」
ボディービルダーが顔だけレミリアなのを想像してみてほしい
何か言いようのないシュールさを感じられるだろう
「それはともかく、デザートでも持ってこようかしら?」
「あら、いいの?んじゃ、なんか軽いもの」
「……豆腐?」
「ババロアよ」
フルーティで美味しかった
A級料理は奥が深い
子の刻
いつもならもう寝ている頃なのだが、流石に吸血鬼、夜は生き生きしている
「正直、眠たいんだけれど」
酒も入っているから余計にだ
ちなみに"にょ"はもういいらしい
いわく、血が足りなくなるから
あと口調もそのまま、呼び方だけご主人様
ギャップに萌えるらしい
好きにして……
「あら、寝てもいいのよ?」
「お断りします」
一気に目が覚めた
あんな顔で寝てもいいって言うのは、ベットの上で裸の女に対して寝てもいいって言うのと同じだ
正直、レミリアが怖い
覚り妖怪が、今彼女の心の中を見れば卒倒するだろう
「にしても、似合ってるわねぇ」
「嬉しくない」
と言った時だ
「あらぁ?こんなに似合ってるのに?」
と、隙間からぬるりとバb
……殴られた
「なんでよ!」
「地の文でごまかそうなんていかないわよ」
「何地の文読んでんの!?」
「地の文と台詞の境界を操ったのよ」
「メタ過ぎる!!」
「現実と空想の境界を操ったのよ」
「なんか違うものが出てきそう!!てか一度に二つも境界操ってまでする事なの!?」
「ババァが許せなくてやった。反省はしていない」
「い、いや……私はバ、ババロアって言おうとしたのよ」
「隙間からぬるりとババロアって何!?どういう!?」
「ほら、肝試しとかにこんにゃくとか使うじゃない。ぬるりとババロアでてきたら驚かない?」
「確かに気持ち悪いけど!!」
「隙間からババァ出て来たほうが私は怖いけどね」
「言った!!今ババァって言ったわよね!?」
「ああ、口が滑っちゃったわ」
「さっきも口が滑ったんでしょう!」
「はいはいもういいわよそれで。悪うござんした。あーめんどくさ」
「何そのふてぶてしい態度!?私何も間違ってないわよね!?」
「「そーですね」」
「いい〇も!?咲夜も混じるな!!」
「「「そーですね」」」
「レミリアまで!?」
「「「「そーですね」」」」
「後一人は誰!?」
「そーなのかー」
「ルーミア!?」
「ていうか何しに来たのあんた」
「いまさら!?」
「ちょっと!霊夢は明後日まで私のものよ!!咲夜も茶なんて出さなくていいから!」
「さりげなく増やすな!」
「こんなにかわいい霊夢を独り占めしよう等と!!」
「金を払ったのよ」
「買収!?」
「雇ったのよ!!人聞きの悪い事いうな!!」
「霊夢、私の物になりなさい」
「聞いてないし!?」
「触んな変態」
「すがーん!?」
あっさりフラれた
ババァは一秒で百年ぐらい歳をとるような勢いでしおれていってしまった
ここぞとばかりにレミリアが飛び出す
「流石霊夢!やはり私達の愛は本物ね!!」
「寄るな変態」
「ハイッ!!変態ですッ!!」
こいつはこれだから尚更厄介なのよね……
うんざりだ
しかも主人がメイドに変態と呼ばれて喜ぶとは、こはいかに?
「……咲夜」
「……何かしら」
「あんたの言うとおりだったわ」
咲夜は頭を押さえて言った
「教育が必要ですね」
「とりあえず鼻血を拭け」
その時だ
霊夢達の後ろで、短く縮めたストローの袋に水分を与えたかのようにぬるりと起き上がる影があった
「霊夢が私を主と認めぬのならば、私は霊夢を滅ぼす悪魔となろう!!」
「ヤンデレ!?」
「いいえ!支配者よ!」
何のだ
「そうはさせない!!」
レミリアが霊夢と紫のあいだに割って入った
「霊夢、貴方は私が守るわ!」
(霊夢とフラグ立った!絶対フラグ立ったわよこれ!)
……とか考えてるんだろうなぁ
別に紫に負けるつもりは無いんだけれど
「ヤクモ闇の支配者……我こそ最強……見事越えて見せよ!!」
「潰すぞコラ!?(変な裏声で)」
それにしてもこいつら、ノリノリである
と、瞬間、二人が消えた
目に見えない戦いをしている訳ではない
私はヤ〇チャじゃないし
咲夜が館の外に出したのだ
「私……帰るわ」
「お疲れ様」
「それだけの愛!重ねて来たのは誰だ!?君とてその一人だろうが!!
「それでもッ!!護りたい霊夢があるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
……うるせぇ
(咲夜に戻ります)
さて、朝
玄関からでて見れば、酷い戦闘の跡が広がる
そしてボロクソのお嬢様と紫を見つけた
相打ちだったか
「霊夢……貴方は私のぉぉぉぉぉぉぉ……」
「ふっ…敗者に口無し…いえ、ババァに口無しってところかしら」
相打ちなのに威張るな
ところで、ババァに口があったらババロア…
いや、なんでもない
とりあえずお嬢様を回収しようとすると、八雲の式(狐)が謝りに来た
彼女とは気が合うもんだ
「やっぱり猫は無理ね」
当たり前だ
猫飼ってるだけでカリスマ出来りゃ苦労しない
「てゆうか、自分のカリスマ像の中で猫を選んだのが悪いのよね」
すんごい今更だ
「美女は……咲夜、バニースーツとか……」
「お断りします」
おもいっきり睨みつけ、どすを効かせて言う
ここで普通に言えば、「もう無駄!拒否権なんてないわ!WRYYYYYYYYYY!!」って言いながら脱がされる事は確実
当然、そうなれば脱出不能
人間が力で吸血鬼に勝てるわけが無いのだ
「う、うー」
ほら、成功した
「なら、グラサン!」
買ってきた
かけた
「あはははははははは!」
妹様、腹筋崩壊
「ウゴハァ!!」
パチュリー様、崩壊
「お姉様、ばっっっか見たい!!あはははははははは!!あれでカリスマだってさ!あははははははは!!」
「謝れ!パチュリー様に謝れ!」
謝れと言われても
「うーさくやー」
グラサンで泣き付かれても
「お嬢様、グラサン外しましょう。まずはそれからです」
「うー」
うなられても
あとお嬢様があげたカリスマといえば
・フカフカのソファー
・フワフワとかついたコート
・葉巻
・ワイン
こんなところか
ソファーとワインはすでにクリア済み
ならば……
「フワフワのコートは着てみたいわね。気持ちよさそう」
あのフワフワは自分でモフモフするものではないのだが
「いいから買ってきなさい!」
仕方ない
買ってくる
お嬢様に合うサイズが無いってオチだった
「うー」
一々唸るな畜生。鼻血で殺されるわ
「葉巻!葉巻くらいあるでしょう!?」
それにしてもこのお嬢様、ヤケクソである
まぁこれで諦めていただきたい所だ
ロリペド系お嬢様は正義だし
お嬢様は葉巻に火をつけ、くわえた
「すぅ…」
それに葉巻なんてお子様なお嬢様には……
「げふっげふっごほっ!」
盛大にむせた
流石お嬢様、期待を裏切らない
次の句は「うー臭いー煙いーさくやぁー」に決まりだ
「ま、まだよ…私は葉巻を吸って見せる……!!」
……流石お嬢様、ここぞで期待を裏切る
だが、やる気になっているのはかえって厄介だ
「咲夜、葉巻とかに詳しい人を連れてきなさい!!」
厄介だが、私には何もできない
「…何故そんなに葉巻を?」
何も無い胸をはっていった
「東方Projectに未だ葉巻持ちがいないからよ!!」
さて、葉巻に詳しい人とは誰だろう
そもそも東方Projectに葉巻持ちなんていないのはお嬢様の通り
だがオリキャラだすのめんどくさいのは作者の声だし
ならば吸ってなくても詳しい人だ
というわけで呼んだのが
「お子様吸血鬼が葉巻?フンッ、冗談も大概にね」
外の世界に詳しそうな八雲紫
「体に悪いだけよ」
里でそういう相談受けてそうな八意永琳
「いや、なんで私?」
なんとなく藤原妹紅
「なんとなくって何よ!?」
「落ち着いて下さい藤原妹紅。とにかく皆さんから喫煙に関する話を聞きたいのです」
「ただし八雲紫ぃ!てめーはだめだァァァァ!!」
お嬢様のグングニル
隙間に吸い込まれた
それだけのやり取り
「それではとりあえず、八雲紫さんから」
「無理ね」
「てんめぇぇぇぇぇぇぇ!!」
お嬢様のグングニル
隙間に吸い込まれた
「大体、私でも吸えなかったのに、お子様吸血鬼に吸えるとでも?」
「るせー!血は吸えるわボケェ!死んでも吸ってやるぅぅぅぅぅ!!」
お嬢様のグングニル
隙間に吸い込まれた
それだけの槍取り
いい加減紫が五月蝿いから外に御退場願った(時をとめてから)
「さて、八雲紫にお嬢様のやる気を頂いたところで、次は八意永琳に葉巻についての話を伺いましょう」
「………」
そんなあからさまに嫌そうな顔しないでいただきたい
こちらも好きでやっている訳では無い
永琳は一息ついた後
「いい?葉巻の主成分の話だけど――――
云々
――――て訳。解る?」
ああ、お嬢様がどんよりムードに
「そ、それでも、私は葉巻を吸う!」
頑固に定評のあるお嬢様
「私としては、葉巻を吸った吸血鬼の肺のサンプルが手に入ればうま味がある所なんだけど」
「いや、怖いから」
本当は怖い家庭の医学より怖い
本当にあった怖い話ぐらい怖い
「さて、お嬢様のやる気を削がれたところで藤原妹紅に実演してもらいましょう」
「だからなんで私!?」
「だから言ったでしょう、何となくって。葉巻とか吸ってそうだし」
「吸わないわよ!!」
まったくノリの悪い奴だ
口調を原作風にされたからと、調子にのってないか
「もういいわ。なんでもいいからアドバイスとか一言」
「なんで!?」
「このままじゃ、何のために貴方を連れてきたか解らないじゃない」
「本当になんで連れて来たの!?」
「だから、なんとなく」
「~~~~~~~~っっっっ!!」
その顔が可愛いよもこたん
慧音にも見せたいよ
「……習うより慣れろ」
あんたも大概投げやりね
一週間後
そこには優雅に葉巻を吸うお嬢様の姿が!!
今お嬢様は煙草を片手に八雲の狐がお詫びがてらに持ってきたクダギツネなるものを首に巻き、私は肩モミ
「ふふ、どう?咲夜」
「とても優雅でございます、お嬢様」
正直、小物臭がやばいんだか
「ふふふ…今の私はカリスマに溢れているわ……」
こんな言葉が口から出る辺り、もはやキモいよ
奇跡の生物だよこれ
「ちょっとパチュリーの所行ってくる」
私はここにいますね
「……煙いから出てってくれない?」
「ひっく、ぐすっ……」
あーあー、レミリアちゃん泣いちゃったよー(家族ドキュメンタリー風に)
まあ当然の結果だ
「もういい!咲夜!グラサン持ってきなさい!」
お嬢様はグラサンをかけ、ワイン片手に葉巻を吸い、クダギツネを首から下げソファーにどっかり座り、言う
「さぁ咲夜!私を「すごい……カリスマだ」って言いなさい!」
………………
…………
……
「ぷっ」
堪えられなかった
「笑うなぁ!!」
その後、レミリアのカリスマを見た者は誰もいない……
山田君、座布団一枚。
カリスマ崩壊しまくりですね(いい意味で
モノローグがもちっと丁寧にかかれてたらもっとよかったんでは