幻想郷は、八雲紫と元来の博麗の巫女により守られてきていた。
だが、その2人には大きな差がある。
八雲紫は境界操作により、自由に外の世界を行き来することができるのだ。
紫は、それに伴い…人の目を盗んでは、外の世界にと飛び出すときがある。
八雲藍に注意されるが、それでも彼女は…興味と哀れみの目をそそぐために外にと飛び出す。
2人の『ゆかり』
「こんばんは…」
「…こんばんは」
声をかけた女は、隣でお酒を一気に喉に通す女に声をかける。
その女は空になったお酒をカウンターのテーブルの上にと置くと、頬を赤く上気させ、眠たそうな目をしながら、隣の女を見つめる。
「おかしい……あなた、私にそっくり」
「フフ……そうね?世の中には3人似た人が存在しているらしいから、その1人ってことかしら?」
女は、目の前で自分と容姿は瓜二つでありながら、変な帽子に変な服装をした彼女を不思議そうに足のつま先から頭のてっぺんまで見回す。自分との違いはその妙な格好と、髪の毛の色ぐらい。しかし、相当のお酒を飲んでいるせいか、それは夢か現実かもわからないでいた。
「変な格好。ゴスロリって奴?」
「よくわからないけれど……。自分の固定観念を他人に押し付けるのは感心しないわ」
「やめてよ、説教なんて……人が気持ちよく飲んでいるのに」
女はそういうと、グラスを持ちながら再びお酒を飲もうとする。そんな彼女にお酒を注いでやる、声をかけた女。
「ありがと……どうして、そんなに私に興味があるの?」
「あなたが私にそっくりだから…じゃダメかしら?」
「……そう、それじゃー似た二人が出会ったことを記念して乾杯しましょう?」
「「乾杯」」
「随分と荒れているけど…なにかあったの?」
「別に……現実に疲れたの、別の世界に行ってしまいたい」
結局、その後はいろいろと何を話していたのかさえ記憶も曖昧となってしまった。
……気がつけば意識がなくなっていた。
そして、時間が経過して目をあけて、身体を起こす。
「いたたた……」
頭が痛い。
昨日は相当飲んだために、あまりにも記憶が飛び飛びだ。周りを見渡すが、そこは、見たこともない大きな和室の部屋。ここはどこだろう?というか、なんで自分はこんなところにいるのだろうか。とにかく、会社に行かなくてはいけない。女は、頭の痛みを感じながら、よろよろと四つんばいになって歩いていく。障子までなんとか辿り着いたところで、障子が開く。
「あ、紫様。おはようございます?どうなさったんですか?」
「え……き、狐?」
そこにいたのは、またなんともいえない格好をした女だ。しかし、あのたくさんの柔らかそうな尻尾は触ってみたい気がする。
「はい?なんかいいましたか?紫様」
「いや、あの…私は」
「はいはい、食事ですね。わかりました……もう、そんなにがっついているんじゃ、幽々子様をバカにはできないですよ?」
しどろもどろになる女の前に食事が出される。
完全な和食だが……と、とにかくお腹はすいている。
箸を取り出して、一口食べる。
「美味い!美味しい……」
1人暮らしな彼女にはこうして誰かにつくってもらうということは滅多にない。それにしても美味しい料理だ。そんなおいしそうに食事をする紫に、式神である八雲藍は、相変わらず変な人だとまじまじと感じる。
「あ、そういえば…今、何時?」
「何時?これからなんかあるんですか?」
「なにって…会社よ会社」
藍は、ぽかーんとした表情をしながら少し腕を組んで考えて…。
「紫様の思いつきでつくった会社は30年前あたりに多額の負債と大量の苦情でつぶれましたよ?」
「ち、違うわよ!!私は会社に行かなくっちゃ行けないんだから…」
そういって藍を押しのけて女は、障子を開く。
そこから見える光景は…一面の山々、そして美しい青空が広がっている。いつもならそこには、電車の音とビル、人のざわめきしか聞こえないはずなのに…。
「こ、ここはどこ?」
「はいはい、幻想郷ですよ~。紫様、そんなつまらないことで私を騙そうとしても無駄なんですから橙ならひっかかるかもしれないですけどねぇ」
「げんそうきょう?」
女にはなにがなんだかわからない。
ど、どうやら自分は変な世界に紛れ込んでしまったらしい。
会社も何もない場所で一体どうやって生きていけばいいというのか。
「ちょ、ちょっと!なんで私がこんなところにいるのよ!現実に帰らなきゃいけないっていうのに…」
女は藍に抱きつくようにしながら、懇願するが、藍は相手にせず、冗談ばかり言っている紫をほうって食べ終えられた食事を片付けていく。
「紫様、今日はお布団干しますからね…」
なんということだ。完全に自分はここでいう、『ゆかり』という女として認識されている。自分の名前も『ゆかり』なだけに、不自然さは感じないが…。この私服といい、やはり世界観が大きく異なっているようだ。
「って、この服って昨日の奴のじゃない!!」
犯人がはっきりとわかる。
それは昨日、自分が出会った変な格好をした自分そっくりの女だ。だが、黒髪であった自分の髪の毛は物の見事に金髪となってしまっているし、やはり、あの女に何かされたということだろう。
「あの女……今度見つけたらただじゃおかないんだから」
握りこぶしをつくる紫。
とにかく着替えて…なんとかやり過ごすしかないか。
でも、ここでいうあの紫って言う女はどんな人間だったのかはっきりと覚えていない。もし自分が、この世界の人間でないとバレたらどうなってしまうのか…やはり食べられてしまったりするのだろうか。なんとか逃げ出したほうがいいのか…。不本意ではあるが、ヘンテコな服を身に纏いながら、部屋を忍び足ででていこうとする。
「あ、紫様お出かけですか?夕食までには戻ってきてくださいね」
いきなりバレてしまうが、まったく気がつかれてはいないようだ……。
かえって堂々と屋敷を出て行く。
だが、どこをどう逃げればいいのだろう。
日傘を差しながら、森を歩いていく女…、こんな格好でいつも移動しているのか?とてもじゃないが移動向きの格好ではない。それに…この年齢でこの格好は恥かしい。
「あら、八雲紫」
ゆかりという名前にビクっと驚いて振り返る。
そこにいたのは、同じような日傘を差す、自分の世界にもいそうな少女である。なんとか人間らしき女と出会ったところでほっと胸を撫で下ろす。
「こんなところで会うなんて珍しいわね?いつもスキマばっかりで移動しているぐーたら女の癖に…」
意味不明な言葉が続いているようだが、なんとなくバカにされていることは感じる。
「あら、あんまりにも、頭に向日葵でも咲いていそうな小娘だから気がつかなかったわ」
なんとなく負けずに言ってみる。
日傘を差した緑色の髪をした少女は、不敵な微笑みを向けながら日傘をこちらにと向ける。
「デュア……」
「はい、ストップストップ~~」
自分と少女の間に入ってくる、また変な露出の多い巫女の格好をした女。少女はつまらなそうに傘をしまうとそのまま、森の中を歩いていく。巫女は腰に手を当てて溜息をつきながら、こっちを見る。
「あんた、何考えてるの?こんなところであいつと喧嘩なんかしたら、大変なことになるなんてわかってるでしょ?」
「は、はぁ……」
ぽかーんとする女に巫女は、相変わらず変な奴だな~という顔をしながら、その場を飛び去っていく…とびさ…飛ぶ?!飛んでいる…やはり、どうやら自分は夢の世界に来てしまっているようだ。というか、こんなところにずっと自分はいなくちゃいけないのか?ダメだ、とてもじゃないが正気を保てそうにない。
「あーもうイヤ、なんなのよ!!この世界!!」
「あなたが望んだ世界のつもりだけど?」
振り返った女のところには、空間から穴をあけて顔を覗かせる、自分とそっくりの女がいた。そう……うる覚えだが、昨日一緒に酒を飲んだ女だ。
「言ったでしょ?別の世界に行きたいって」
「……そうね、言ったかもしれない」
現実の世界は、こんな不可思議な世界ではない、退屈でつまらない世界……。あんなところに一生飼われるのはたまらないと何度思ったことか。自分はこういう世界を望んだのかもしれない。束縛されない自由な世界に。
「似てるわ、とっても……」
「容姿が?」
「うぅん、それだけじゃない……名前も同じだし、性格は少し違うけれど、自由になりたいって言う気持ちは同じかもしれないわ」
「……そう」
相槌をうつ、もう1人の『ゆかり』に、紫は微笑んで
「でも、私はあなたのように我慢はしないわ。イヤならやめればいいのよ。無理に付き従う必要がどこにあるのかしら?」
「我慢しなきゃ…生きていけないわ」
「生きるってなに?あなたの生きる目的って、生きているだけなの?」
「それは……」
「ねぇ、ゆかり…。自由に生きてよ。生きるために生きるんじゃなくて。もっと別の目的を見つけて……そうじゃなきゃ、人生勿体無いわ」
そういうと目の前の自分の分身である『ゆかり』の首に、紫は手を回し、自分の下に近づける。一瞬、驚く『ゆかり』 だが、紫はそんなことはおかまいなしだ。
一瞬の沈黙…。
「私の影武者ご苦労様…」
「……あんたみたいなのとそっくりな自分の身を呪うわ」
そういいながらも、頬を染める彼女を、紫は手を引いてスキマの中にと通していく。
「ねぇ、どうして…私にここまでしてくれるの?」
「ん?決まってるじゃない」
好きだから…。
自分そっくりの存在と出会うことなど滅多にない。
それをどうして、放っておくことができるだろうか。
自由に生きることは難しいことだ。
だからこそ……彼女には、出来て欲しかった。
自分とそっくりな彼女だからこそ…。
他人の気なんかするはずがない。
「ねぇ、また遊びに行ってもいい?」
「……好きにして」
だが、その2人には大きな差がある。
八雲紫は境界操作により、自由に外の世界を行き来することができるのだ。
紫は、それに伴い…人の目を盗んでは、外の世界にと飛び出すときがある。
八雲藍に注意されるが、それでも彼女は…興味と哀れみの目をそそぐために外にと飛び出す。
2人の『ゆかり』
「こんばんは…」
「…こんばんは」
声をかけた女は、隣でお酒を一気に喉に通す女に声をかける。
その女は空になったお酒をカウンターのテーブルの上にと置くと、頬を赤く上気させ、眠たそうな目をしながら、隣の女を見つめる。
「おかしい……あなた、私にそっくり」
「フフ……そうね?世の中には3人似た人が存在しているらしいから、その1人ってことかしら?」
女は、目の前で自分と容姿は瓜二つでありながら、変な帽子に変な服装をした彼女を不思議そうに足のつま先から頭のてっぺんまで見回す。自分との違いはその妙な格好と、髪の毛の色ぐらい。しかし、相当のお酒を飲んでいるせいか、それは夢か現実かもわからないでいた。
「変な格好。ゴスロリって奴?」
「よくわからないけれど……。自分の固定観念を他人に押し付けるのは感心しないわ」
「やめてよ、説教なんて……人が気持ちよく飲んでいるのに」
女はそういうと、グラスを持ちながら再びお酒を飲もうとする。そんな彼女にお酒を注いでやる、声をかけた女。
「ありがと……どうして、そんなに私に興味があるの?」
「あなたが私にそっくりだから…じゃダメかしら?」
「……そう、それじゃー似た二人が出会ったことを記念して乾杯しましょう?」
「「乾杯」」
「随分と荒れているけど…なにかあったの?」
「別に……現実に疲れたの、別の世界に行ってしまいたい」
結局、その後はいろいろと何を話していたのかさえ記憶も曖昧となってしまった。
……気がつけば意識がなくなっていた。
そして、時間が経過して目をあけて、身体を起こす。
「いたたた……」
頭が痛い。
昨日は相当飲んだために、あまりにも記憶が飛び飛びだ。周りを見渡すが、そこは、見たこともない大きな和室の部屋。ここはどこだろう?というか、なんで自分はこんなところにいるのだろうか。とにかく、会社に行かなくてはいけない。女は、頭の痛みを感じながら、よろよろと四つんばいになって歩いていく。障子までなんとか辿り着いたところで、障子が開く。
「あ、紫様。おはようございます?どうなさったんですか?」
「え……き、狐?」
そこにいたのは、またなんともいえない格好をした女だ。しかし、あのたくさんの柔らかそうな尻尾は触ってみたい気がする。
「はい?なんかいいましたか?紫様」
「いや、あの…私は」
「はいはい、食事ですね。わかりました……もう、そんなにがっついているんじゃ、幽々子様をバカにはできないですよ?」
しどろもどろになる女の前に食事が出される。
完全な和食だが……と、とにかくお腹はすいている。
箸を取り出して、一口食べる。
「美味い!美味しい……」
1人暮らしな彼女にはこうして誰かにつくってもらうということは滅多にない。それにしても美味しい料理だ。そんなおいしそうに食事をする紫に、式神である八雲藍は、相変わらず変な人だとまじまじと感じる。
「あ、そういえば…今、何時?」
「何時?これからなんかあるんですか?」
「なにって…会社よ会社」
藍は、ぽかーんとした表情をしながら少し腕を組んで考えて…。
「紫様の思いつきでつくった会社は30年前あたりに多額の負債と大量の苦情でつぶれましたよ?」
「ち、違うわよ!!私は会社に行かなくっちゃ行けないんだから…」
そういって藍を押しのけて女は、障子を開く。
そこから見える光景は…一面の山々、そして美しい青空が広がっている。いつもならそこには、電車の音とビル、人のざわめきしか聞こえないはずなのに…。
「こ、ここはどこ?」
「はいはい、幻想郷ですよ~。紫様、そんなつまらないことで私を騙そうとしても無駄なんですから橙ならひっかかるかもしれないですけどねぇ」
「げんそうきょう?」
女にはなにがなんだかわからない。
ど、どうやら自分は変な世界に紛れ込んでしまったらしい。
会社も何もない場所で一体どうやって生きていけばいいというのか。
「ちょ、ちょっと!なんで私がこんなところにいるのよ!現実に帰らなきゃいけないっていうのに…」
女は藍に抱きつくようにしながら、懇願するが、藍は相手にせず、冗談ばかり言っている紫をほうって食べ終えられた食事を片付けていく。
「紫様、今日はお布団干しますからね…」
なんということだ。完全に自分はここでいう、『ゆかり』という女として認識されている。自分の名前も『ゆかり』なだけに、不自然さは感じないが…。この私服といい、やはり世界観が大きく異なっているようだ。
「って、この服って昨日の奴のじゃない!!」
犯人がはっきりとわかる。
それは昨日、自分が出会った変な格好をした自分そっくりの女だ。だが、黒髪であった自分の髪の毛は物の見事に金髪となってしまっているし、やはり、あの女に何かされたということだろう。
「あの女……今度見つけたらただじゃおかないんだから」
握りこぶしをつくる紫。
とにかく着替えて…なんとかやり過ごすしかないか。
でも、ここでいうあの紫って言う女はどんな人間だったのかはっきりと覚えていない。もし自分が、この世界の人間でないとバレたらどうなってしまうのか…やはり食べられてしまったりするのだろうか。なんとか逃げ出したほうがいいのか…。不本意ではあるが、ヘンテコな服を身に纏いながら、部屋を忍び足ででていこうとする。
「あ、紫様お出かけですか?夕食までには戻ってきてくださいね」
いきなりバレてしまうが、まったく気がつかれてはいないようだ……。
かえって堂々と屋敷を出て行く。
だが、どこをどう逃げればいいのだろう。
日傘を差しながら、森を歩いていく女…、こんな格好でいつも移動しているのか?とてもじゃないが移動向きの格好ではない。それに…この年齢でこの格好は恥かしい。
「あら、八雲紫」
ゆかりという名前にビクっと驚いて振り返る。
そこにいたのは、同じような日傘を差す、自分の世界にもいそうな少女である。なんとか人間らしき女と出会ったところでほっと胸を撫で下ろす。
「こんなところで会うなんて珍しいわね?いつもスキマばっかりで移動しているぐーたら女の癖に…」
意味不明な言葉が続いているようだが、なんとなくバカにされていることは感じる。
「あら、あんまりにも、頭に向日葵でも咲いていそうな小娘だから気がつかなかったわ」
なんとなく負けずに言ってみる。
日傘を差した緑色の髪をした少女は、不敵な微笑みを向けながら日傘をこちらにと向ける。
「デュア……」
「はい、ストップストップ~~」
自分と少女の間に入ってくる、また変な露出の多い巫女の格好をした女。少女はつまらなそうに傘をしまうとそのまま、森の中を歩いていく。巫女は腰に手を当てて溜息をつきながら、こっちを見る。
「あんた、何考えてるの?こんなところであいつと喧嘩なんかしたら、大変なことになるなんてわかってるでしょ?」
「は、はぁ……」
ぽかーんとする女に巫女は、相変わらず変な奴だな~という顔をしながら、その場を飛び去っていく…とびさ…飛ぶ?!飛んでいる…やはり、どうやら自分は夢の世界に来てしまっているようだ。というか、こんなところにずっと自分はいなくちゃいけないのか?ダメだ、とてもじゃないが正気を保てそうにない。
「あーもうイヤ、なんなのよ!!この世界!!」
「あなたが望んだ世界のつもりだけど?」
振り返った女のところには、空間から穴をあけて顔を覗かせる、自分とそっくりの女がいた。そう……うる覚えだが、昨日一緒に酒を飲んだ女だ。
「言ったでしょ?別の世界に行きたいって」
「……そうね、言ったかもしれない」
現実の世界は、こんな不可思議な世界ではない、退屈でつまらない世界……。あんなところに一生飼われるのはたまらないと何度思ったことか。自分はこういう世界を望んだのかもしれない。束縛されない自由な世界に。
「似てるわ、とっても……」
「容姿が?」
「うぅん、それだけじゃない……名前も同じだし、性格は少し違うけれど、自由になりたいって言う気持ちは同じかもしれないわ」
「……そう」
相槌をうつ、もう1人の『ゆかり』に、紫は微笑んで
「でも、私はあなたのように我慢はしないわ。イヤならやめればいいのよ。無理に付き従う必要がどこにあるのかしら?」
「我慢しなきゃ…生きていけないわ」
「生きるってなに?あなたの生きる目的って、生きているだけなの?」
「それは……」
「ねぇ、ゆかり…。自由に生きてよ。生きるために生きるんじゃなくて。もっと別の目的を見つけて……そうじゃなきゃ、人生勿体無いわ」
そういうと目の前の自分の分身である『ゆかり』の首に、紫は手を回し、自分の下に近づける。一瞬、驚く『ゆかり』 だが、紫はそんなことはおかまいなしだ。
一瞬の沈黙…。
「私の影武者ご苦労様…」
「……あんたみたいなのとそっくりな自分の身を呪うわ」
そういいながらも、頬を染める彼女を、紫は手を引いてスキマの中にと通していく。
「ねぇ、どうして…私にここまでしてくれるの?」
「ん?決まってるじゃない」
好きだから…。
自分そっくりの存在と出会うことなど滅多にない。
それをどうして、放っておくことができるだろうか。
自由に生きることは難しいことだ。
だからこそ……彼女には、出来て欲しかった。
自分とそっくりな彼女だからこそ…。
他人の気なんかするはずがない。
「ねぇ、また遊びに行ってもいい?」
「……好きにして」
この話と平行して、ゆかりんなら『ゆかり』のトラブルを解決してそうですね。
という訳でゆかりんの一日会社員編も頼みます。