Coolier - 新生・東方創想話

東方の金曜日Part10

2009/05/21 08:57:23
最終更新
サイズ
11.32KB
ページ数
1
閲覧数
707
評価数
5/23
POINT
340
Rate
3.04

分類タグ

東方の金曜日



第10話「さようなら青き日々よ」
「イヤッッホォォォォゥッ!!」
青く広々とした空。それを楽しそうに鴉天狗である文が飛んでいる。
「文さ~ん!待ってくださいよ~!」
それを彼女の後輩である椛が必死に追っかける。何せ、文のスピードは幻想郷一最速だからだ。
「椛、急いでくださいよー。もうすぐ、現場に到着します。」
「現場って・・・一体、どこへ向かっているんですかー?」
「勿論、Zさんが行くなと言われた赤い円のギリギリのラインです。」
「あぁ、そうっすか・・・ってえぇぇぇ!?」
文の言葉に椛は半信半疑となる。確かあそこは、T‐Jが出没する恐れがあるから行くなと言われている筈じゃ・・・?
「あそこは危険だって言ってましたよー。」
「椛・・・私達は記者です。記者は例え危険な所でも真実を暴き出すのが仕事です。」
「ですが、どうやってやるんです?」
「椛、貴方の千里眼の出番です・・・。」
「あぁ、はいはい・・・私の千里眼で遠くから見ろと・・・。」
椛は呆れる。正直、この方について行くのは大変だ。しかし、上下関係故に従うしかない。
そして2人は地図上の赤い円のギリギリのラインに辿り着いた。
「さぁ、貴方の出番ですよ♪特ダネを見つけてくださいねー♪」
「文さん、不謹慎ですよ。8人も死んだんですよ。」
「分かっています。ですが、私達記者は真実を皆さんに知らせなくてはなりません。現実から目を反らしては駄目なのです。」
椛はしぶしぶ、千里眼の能力を開放する。名の通り、千里先まで見通せる便利なものなのだ。
文はそれを使って、様々な特ダネを発見し、新聞に記入していた。無論、プライバシーを無視して。
「(・・・特に変わったものはないな・・・。・・・おや?あれは?)」
ふと、椛はある物を発見する。
それは、古びた木造の建物だった。確か、外の世界のハイキング場にあったのと同じ形式だ。
椛は興味津々に詳しく見る。
明らかに古く、所々が傷んでいた。そして、傍には立札が立っていた。
何か書いてあったのでよく見る。その名は・・・。
「っ!?そ、そんな・・・。」
椛は愕然となった。あの名は自分が確か、「あそこ」で見たのと同じだ・・・。
「(ま、まさか・・・T‐Jの正体は・・・。)」
「椛?」
ボンヤリしている椛に文は不思議がる。一体、何を見たんだろう?
「あ、文さん・・・。私、この異変の黒幕が分かりました・・・。」
「え?黒幕ですって?何ですか椛~。黒幕は冬の妖怪でしたーというギャグはもう古いですよ。」
「本当に分かったんです!信じてください!!」
椛が声を荒げると、文も只事じゃないと理解した。
「・・・で、誰なんです?」
「実は・・・。」
そして椛は文に「黒幕」を言う。その時、文は驚愕する。
「・・・本当なのですか?」
「・・・はい・・・。」
文は信じられなかった。まさか、あの人がT‐Jと一枚かんでいたなんて・・・。
「文さん?」
「そこへはどの位の距離ですか?」
「え?・・・た、確か、地図の赤い円の中心ですが。」
「・・・そこへ行きましょう。証拠として、写真を撮りに行きます・・・。」
「・・・わかりました・・・。」
文の言葉に椛は反対しなかった。彼女の眼にはジャーナリストとしての眼であったのだ・・・。



文は椛が発見した木造の建物まで飛んで行った。そして、立札の書いてあったのを見て確信する。
「やはり、そういうことでしたか・・・。」
そう言いながら、文はカメラのシャッターを切る。ついでにメモを取らなくては・・・。
他に何かあるだろうか?とりあえず、建物の中に入る。
中は殺伐としていた。家具は一応あるが、どこか寂れていた。
そして、机の上にはナイフや鉈等、様々な凶器が並んでいた。
「(とすると、ここはT‐Jの隠れ家ですね・・・。まぁ既に分かっていましたが・・・。)」
椛もクンクン臭いを嗅ぎつつ、内部を調べる。すると、ベッドになにかボタンがあった。
押してみるとベッドの向かいの方にテレビが現れる。その映っているものを見て驚く。
そこは、海から上がったばかりのT‐Jだった・・・。どうやら、「黒幕」はこれでT‐Jの状態を見ていたらしい。
ふと、椛がタンスの所に隙間を見つける。どけてみると、そこには階段があった。
「文さん!こんな所に階段が!」
文が駆けつけて覗き込む。
「地下に繋がっているようですね・・・。行ってみましょうか。」
そう言い、2人は階段を降りる。降りてみるとそこは・・・。
なにやら分からない物が立ち並ぶ部屋だった。
外の世界で最も近未来的なデザインで、至る所にテレビ画面が埋め込まれ、前方には巨大なパソコンがあった。
「こんなでかいパソコンがあったなんて・・・。どうやら、あの人はとてつもない式使いですね・・・。」
椛が驚きつつ言う、文はパソコンに近づき、パソコンをいじり始める。
「文さん、大丈夫ですか?」
「ふふふ、この私は河童の技術力との共同により、ありとあらゆる機械をいじれるようになったんですよ。」
ようはにとりに教えられたらしい。文は楽々とパソコンを操作する。
「これという情報は・・・おや?何でしょう・・・。」
ふと画面を見ると、そこには「極秘:関係者以外閲覧禁止」のいうフォルダが。
「ふむ・・・極秘となれば調べる必要がありますね。えーと・・・あ、厳重にロックしてありませんね。不用心な。」
文がクリックして、中身を見る。
それは、予想もつかない事が入っていた・・・。
「あ、文さん・・・。」
「あややや・・・い、一刻も早く霊夢さん達に報告せねば・・・。」
あまりに信じられない内容だった。2人は一刻もここから出ようとするその時、
「おや、もう帰るのか?」
突如、話し掛ける声に驚き、文達は振り返る。
そこには、少女が立っていた。歳は霊夢位で、目が赤く、白く長い髪が目につく。衣装も外の世界のらしい。
「だ、誰です!?」
「ま、まさか・・・あの人の仲間!?」
文と椛は警戒する。いつの間にここに現れたのだ?気配が全く感じられなかった。
「ほほぅ?どうやらぬしらはこの事件の真相に辿り着いたようじゃのぅ。」
少女は見た目とは裏腹にやけに年老いた言葉遣いで話す。そして寂しそうに周りを見ながら、言う。
「じゃが、わしはぬしらが気づいた者の仲間ではない。言うなれば・・・わしは、あ奴に捨てられたのじゃ・・・。」
捨てられた?理解できない文達に構わず、少女は続ける。
「ここはわしの生まれた所じゃったんじゃ。わしはここで奴に好き放題に利用され・・・捨てられたのじゃ。
「ここで・・・ま、まさか!?」
ここで文は理解する。あのパソコンの内容が本当だとすれば・・・。すると、少女は笑みを消す。
「・・・知っておたのか?あれを見たのか?」
「はい・・・。お願いです。どうかT‐Jを止めてください!」
「T‐J・・・T‐Jとな?」
文は一部始終話した。Zに呼ばれて、R島に着いたこと。幻想郷と外の世界に危機が迫っていること。そして、既に8人が危機の元凶であるT‐Jに殺されたこと。
「・・・つまり、奴の意思を皆に話して、この殺し合いを止めさせようと?」
「はい。貴方が何者であれ、この無意味な戦いを終わらせるには、貴方の協力が必要です。ですから・・・。」
そう言うと、突如、少女は不敵に笑う。
「くくく・・・。ならば、わしの答えを言おう・・・。ノーじゃ♪」
その言葉に驚く2人。どうしてだ?彼女はあの人と無関係では?
「理由は簡単じゃ・・・ぬしらはわしらの正体を知ってしまったからじゃ・・・。」
「で、ですが!いくら貴方が何であろうと無意味な戦いを・・・。」
「無意味・・・?ぷっ・・・くくく・・・ははははははははははははははははははははははははははははっ!」
突然笑い出した少女に文達は絶句する。少女は笑いながらまくり立てるように言う。
「無意味な戦いじゃと?何を言うか!この世には無意味なことなぞないではないか!はははっそうじゃ!人はいつでもどこでも自らの欲望の為に殺しあう!自らの理想の為に誰かを殺す!それだけじゃ!それを無意味など・・・はははははは、愉快じゃ、愉快じゃ!はーっはははははははははははははははは!!ふははははははははは!!」
そう言い笑う少女に文は理解した。さっきの言葉での謎が・・・。
「(きっと、精神が異常だから・・・捨てられたのですね・・・。)」
そんな文達に少女はにまーと笑いながら言う。
「くくく・・・幻想郷の住人達は面白い事を言いよる・・・気に入ったぞよ・・・。T‐Jもわしの物にしようぞ。」
「っ!?私達のことを知っているのですか!?」
「勿論じゃ・・・。記者魂だが何だか知らぬが、世の中には知らないくてもよい物がある。余計な詮索は死ぬぞ・・・。」
そして言う。「射命丸文、犬走椛・・・。」
その瞬間、文は椛を掴んで、出口へ向かう。こうなったら、逃げるしかない!
外に出たと共に、一気に空飛んで逃げる。少女も外に出て遥か彼方を見る。
「ふっ・・・天狗のスピードは馬鹿に出来ぬのよう・・・。」
そして少女は何処からか、ナイフ2本を取り出し、投げる態勢に入る。
「じゃが、高速で動こうとも、空気が乱れてしまう。その乱れを感じ取れば、簡単じゃ。見えない筈のステルスも同様じゃ。」
そして、目を閉じる。
一体、何分たったのだろうか・・・突然、少女はにまっと笑う。
「見つけたぞ・・・。お別れの時間じゃな!文に椛!!」
そしてナイフを投げた・・・。



文はメモに事の真相を必死に書きながら、飛んで行った。後ろに椛も遅れてついて行く。
だが、追っかけてくる様子がない。やはり、天狗のスピードに敵わなかったのだろう・・・。
これで、真相が分かった。あとは霊夢さん達に話すだけだ。
そう思った時、
「・・・ぐっ!」
突如、強力な痛みを感じる。胸元を見ると、ナイフの刃が出ていた。後ろから刺されたのだ。カメラも壊れてしまう。
何故?そう疑問に感じ見ると、椛が落ちていった。彼女も刺されたに違いない。
そして、文は気力を使い果たし・・・落ちた。



「・・・さん。椛さん!しっかりしてください!」
そう呼びかける声に椛は意識を取り戻す。確か、自分は刺されたはずだ。
見ると、早苗が心配そうに椛を治療している。他にも、神奈子や諏訪子、雛、静葉、稔子もいる。
そうか・・・。椛は理解する。落ちた時、早苗達に助けられたに違いない。
必死に喋ろうとするが、なかなか声が出ない。
「喋らないでください。今、治療していますから。」
早苗が言うが、意識がもうろうとする。もう駄目かもしれない。
「(真相のことは、文さんに任せよう・・・。あの人は私より立派な方だから・・・)」
そして、椛は自分の刀を早苗に渡す。キョトンとする早苗。
「も、椛さん?」
「これを・・・お守り代わり・・・いざという時に・・・使って・・・。」
そして、椛の気力が尽きようとする。
(こんな事なら、にとりとのあの時の将棋の決着をつけたかったな・・・)
そう思い、椛は眼を閉じる。
早苗は椛の異常に気付き、必死に声を掛ける。しかし、神奈子は残念そうに言う。
「早苗・・・椛はもう死んだ・・・。」
それを聞き、早苗は涙を流した。
いつも妖怪山で一生懸命警備をしていた椛さん。その方が死んでしまった・・・。
未熟すぎた・・・私が未熟なばかりに・・・。
「椛さん・・・・・。」
涙のいくつかが椛とその刀にかかった。



『M-230 犬走椛 死亡 現在脱落者9名』



「そんな・・・椛が・・・椛が死んじゃうなんて!」
腕時計の情報を見て、にとりはパニックになる。それをアリスが必死に落ち着かせる。
一方の文は落ちた時に霊夢達に発見されていたのだ。
しかし、話そうとしても、血を吐き出し、なかなか話すことができない。
「文・・・一体何があったの?そのナイフ、T‐Jの物なの?」
霊夢が尋ねる。何とかして、真相を話さなくては・・・。
その時、ある事に気が付く。手帳だ。メモとして全て記入した筈だ。
文は震える手でポケットを探る。しかし、手帳はどこにもなかった。刺された時、どこかに落としたかもしれない。
仕方がない・・・。文は霊夢に言う。
「気を・・・つけて・・・。」
「な、何?」
「T‐J・・・T‐Jは・・・只のテスト・・・試作機に・・・過ぎません・・・。」
もう目が暗くなりかけた。ふと、上を見上げる。
青々とした空。自分はいつもあの空を気に入っていた。
自然に涙があふれる。もう、新聞を作ることも、自由に空を飛べなくなる、と思うと、悲しくなる。
「(さようなら、青い空・・・。もう会えない事が唯一の心残りです・・・。)」
それが、記者である鴉天狗、射命丸文の最後の思考だった・・・。
『S-231 射命丸文 死亡 現在脱落者10名』



霊夢は文の亡骸をそっと、木の傍に置く。かつての親友の1人が死んでしまった・・・。そう思うと無性に悲しくなる。
「あいつ・・・危険だと分かりながら、あの赤い円の中へ調べに行ったのか・・・。」
「最後まで・・・記者としての心がけを持っていたわね・・・。」
魔理沙とパチュリーが寂しそうに言う。
「だが、どういう事だい?テストってなんのテストだ?試作機って何なんだい?」
魅魔が不審そうに言う。霊夢には分かっていた。テスト、それは・・・。
「作った人が試作機であるT‐Jのテストといて、Zの島で行ったのよ・・・。殺戮のテストとして・・・!」
そして、霊夢は怒りを募らせる。テストの為に、大切な者の命を奪うなんて・・・。
「(作り主が誰であれ・・・絶対に許してはおけない!!)」
そうしている背後で、文達を殺した少女が潜んでいた。だが、今の霊夢達は彼女に気づいていない。
「(さぁ・・・始めようではないか・・・)」
少女は不気味な笑みを浮かべ、小声で言う。
「(幻想郷とT‐Jの・・・史上最高の殺し合いを!!)」
霊夢達のサバイバルバトルはまだ始まったばかりだ。
だが、謎の少女の乱入により、それは刻一刻と更なる惨劇へと変えていった・・・。



続く
ZRXです。
今回は少しミステリアス風にまとめました。
あと、今回で2桁になりました。
自分でもどこまで続くか分かりませんが、頑張ります。
次回は、ゆゆ様と騒霊達がT‐Jと戦います・・・!
「幽霊だから死なないじゃん?」と思いますが、それは次回で明らかになります・・・。
ZRX
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.260簡易評価
5.10名前が無い程度の能力削除
>「幽霊だから死なないじゃん?」と思いますが、それは次回で明らかになります・・・。
凄いな 殺すこと前提かよ
7.10名前が無い程度の能力削除
他のBBS式のSS投稿サイトじゃないんですから
長さも中身もない作品を多く投稿するのはどうかと思いますよ。
9.無評価名前が無い程度の能力削除
せめて2話分くっつけて1話にしてみたらいかがでしょう。
おもしろくない云々の前に東方キャラ好きじゃないのかなーとすら
思わせる愛の無さが…。
10.無評価名前が無い程度の能力削除
せめてどこで終わるか考えてから書いてくれ……
13.無評価名前が無い程度の能力削除
残りのキャラ数からいってかなりの話数になりそうですね。
書き終わってから投稿してはどうですか?
そのほうが推敲もしやすいのでは
14.無評価名前が無い程度の能力削除
こう叩かれて続ける根性はある意味で凄いなあ。
しかしテンプレートのような痛さだ。
15.10名前が無い程度の能力削除
自分でもどこまで続くか分かりませんって・・・プロットなしで成り行きでSS書いてるってこと?
そりゃ時には勢いで書くってこともあるけど、10話以上もある長編ではさすが無理ですよ。
今からでも遅くは無いので、しっかりプロットを組んで、文章表現を練って、推敲を重ねて、それから投稿することをお勧めします。
16.無評価名前が無い程度の能力削除
>自分でもどこまで続くか分かりませんが、頑張ります。

これはなんだろう、他の人が練りに練って作ったSSがこの連投で流されていると思うと少し腑に落ちないのですが。
20.無評価名前が無い程度の能力削除
うん?待てよ…創想話に投稿する際に長編の話を「何話以内に終わらせるか」について問題提起していると取れば、中々に有意義であると思える。
この作品に限らず、(一話完結は除く)続き物は正直四~五話より多くなると見る気にならんな、個人的に。

…とりあえずpart1~part10までをまとめたのを投稿して今までのを削除するようにすればいいんでない?
21.10名前が無い程度の能力削除
作者はもうちょっと活字文化に触れてほしいね
感性がいかにもテレビ的なんだけど、それをそのまま文にされても全然伝わらないんだよね
23.40名前が無い程度の能力削除
長い上に真相を暴きだすつもりが、更に謎っぽくなってる・・・。
まさに長編だけど、もう少し、短くまとめておいてほしい。
あと、サブタイトルどこかでみたことがあると思ったら、ファフナーのOPの最後の歌詞やないけ!パクっちゃ駄目だろ、東方だし・・・。
26.無評価名前が無い程度の能力削除
頑張らなくていいよ。