Coolier - 新生・東方創想話

略して!

2009/05/16 17:18:43
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「外の世界では言葉や単語とかを略して言うのが流行っているそうよ」
「それは面白そうですね!」
「ふーん」

 博麗神社の縁側で、霊夢と文と紫が茶を飲みながら話している。
 紫の言葉に、文はネタを見つけた目で興奮しているが、霊夢は興味が無いのか、冷めた態度だった。

「具体的にどういう風に略すのですか?」
「そうねぇ、空気読めないをKYにしたりと色々あるけれど、例えば『博麗霊夢』を略して呼んでみましょうか」
「は? 何で私?」

 紫は隙間から紙と筆を取り出した。
 その紙に平仮名で『はくれいれいむ』と書く。

「そうねぇ、『れい』が二つもあるから、片方カットしましょう」
「ほうほう」

 『はくれいむ』に書き替えられた紙。

「それで漢字に変換して……」

 『吐く霊夢』に書き替えられる。
 霊夢が思い切り紫を殴った。結構本気で。

「何を吐くのよ!? 大体『く』が平仮名じゃない!」
「なるほど、では霊夢さんは今度から吐く霊夢さんとお呼びしますね」
「ふざけるな!」
「ちょっと痛いじゃないのよ、吐く霊夢」

 紫が起き上がって、霊夢に言った。再び霊夢が殴りかかったが、紫は笑いながら隙間に消えた。
 霊夢はこの怒りの矛先を誰に向けようか考えていると、目の前には文。
 妖しく笑う霊夢。怯える文。

「ねぇ文」
「わ、わわわわ私この略語というものを新聞で皆さんにお伝えしなきゃ!」
「あ、こら逃げるな!」

 捕まえようとしたが、幻想郷最速の名は伊達じゃあない。
 文は既に視界から消え失せてしまっていた。

「くそっ! 逃がした……」




◇◇◇





「危ない危ない。霊夢さんはカルシウム採った方が良いですね。怒りっぽいです」

 風を纏い、空を飛ぶ。
 早速新聞を作るため、急いで妖怪の山へ向かう。
 と、その途中、滝付近に知っている人物を発見した。河童の川城にとりだ。機械を弄り、うんうん唸っている。

「にとりっ!」
「わひゃぁっ!?」

 文はわざと静かに背後へ回り、大きな声でにとりを呼んだ。
 機械弄りに夢中だったにとりは、驚いて飛び上がる。

「突然何さ! びっくりしたじゃない!」
「まぁまぁ、そう怒らない。せっかくの可愛い顔が台無しですよ」
「な!? なな何を馬鹿なことを……」
「あまーい!」

 すると突然、頭上から衣玖が降りて来て、そう言った。そしてすぐに帰って行った。

「何今の!?」
「衣玖さんです。あまーいを言って貰うよう契約しました。彼女は空気が読めますから」
「……ただそれだけのために?」
「ちゃんとお給料は払ってますよ。時給1919円で」
「時給制なんだ!?」
「まぁそんなことはどうでもいいんですよ」

 にとりは未だに衣玖が消えた頭上を見上げている。さっきの出来事は文にとってはどうでもいいことだったらしい。

「今日新しいネタが入ったんですよ。『略す』こと」
「略す?」
「そうです。例えば『河城にとり』を略してみましょう」

 手帳を取り出し、空白のスペースに『かわしろにとり』と書く。にとりはそれをただ見ている。

「ふむ……これでどうでしょう?」

 手帳には、省略されたにとりの名前があった。『しり』と。にとりは全力で飛び蹴りを入れる。こんなに綺麗な飛び蹴りが出来たのは生まれて初めてだと、にとりは思っていた。文は放物線を描いて綺麗に吹っ飛ぶ。

「痛いでしょう、何するんですか!?」
「こっちの台詞だよ! なんだ『しり』って!」
「違います! 漢字に変換して『尻』です!」
「なお悪い!」

 ギャーギャーと喚き争う二人。尻のどこがいけない、普通ありえない名前だろ、じゃあ初めて尻という名前が付けられた人ってことでいいじゃない、いいわけあるか。などなどと、傍から見たらかなりマヌケな会話である。





 一方その頃紫は――



「藍、貴女も略してあげる」
「いや、別にいいです」

 なんとなく、嫌な予感がした藍はキッパリと断る。
 藍は右手には橙を、左手には文庫本を広げている。この文庫本の作者は最近人気のジューリーノ・パレッチ先生だ。突然現れた実力派のジューリーノは『隙間鉄道の夜』や『我輩は猫耳である』などが大ヒット、藍が今持っているのは最新作の『式神失格』という本だった。

「人が話をしている時に読書はやめなさいな」
「……すみません」

 渋々と文庫本を閉じる。
 あぁ、ジューリーノ先生は誰なんだろう。本名をもじった名前らしいが。是非一度会ってファンだと伝えたい。そんなことを考えてぼーっとしている藍に紫はデコピンをする。

「だから話を聞きなさいな」
「すみませんでした。で、一体何のお話ですか?」
「略して呼んでみようかしらと思ったのよ」
「はぁ……よくわからないのですが」
「なら教えてあげるわ」

 紫は筆と紙を取り出す。『やくもらん』と書いた。藍と橙はそれを見ている。

「んー……まずは二つ取るわ」

 そして『やらん』が残る。しかし、これでは微妙。そう考えた紫は『ん』を消した。

「八雲藍、貴女は今日から『やら』よ。漢字変換して『屋良』ね」
「別人じゃないですか!」
「良かったわね。さらに八雲の代わりにPをあげましょう。『P屋良』でどう?」
「嬉しくありません。大体何のPですか……」
「情熱、パッションよ」
「付ける意味が分かりません」
「屋良様?」
「は?」

 橙が藍を呼ぶ。ただし『屋良』と呼んだ。
 藍はピタッと止まる。紫は笑っている。

「紫様。藍様が、屋良様なら私はどうなるのです?」

 橙は平仮名にすると三文字だ。略すのが限られる。
 紫は顎に人指し指をあて、うーうー悩む。

「じゃあ『ちん』ね」
「ちん!? 紫様! 橙をそんな……」
「ちん! 私はちん! わーい、紫様に付けてもらった。ちんだ。ちんちんちんだよ、屋良様!」
「あ……あまり連呼するな、橙」

 紫に付けて貰った『ちん』に無邪気に喜ぶ橙。だが、藍はふるふると震えて膝を地につけている。



◇◇◇



「あーなんか疲れましたよ」
「私も……」

 にとりと文、互いに横になっている。
 石の上だから、微妙に背中が痛い。

「なーに息切れしてるんだ?」
「うわぁ……」
「ひゃあ!?」

 突然、目の前に萃香が現れた。おそらく今まで疎の状態でいたのだろう。文は露骨に嫌そうな顔をし、にとりは鬼の登場に驚き、走って逃げてしまった。

「あーあ……にとりが怖がって逃げちゃったじゃないですか」
「お前は逃げないのか?」
「面倒な相手だとは思ってますが、恐れてはないんで」
「へぇ……お前さんは面白いな」

 喉をくつくつ鳴らして笑う萃香。文はただただ面倒だなぁ、と思っていた。
 未だに仰向けのまま動かない文に、萃香は一歩ずつ歩み寄る。
 文は逃げる気も特に無いため、近付いてこようが動かない。

「あ……」
「ん? どうした?」
「萃香さん、ドロワーズ見えてます。淡いピンクなんて意外と可愛……ごぶぁ!」

 萃香が顔を赤くしてスカートをおさえる。そして、文の顔を踏み付けた。手加減は地味にしているだろうが、それでも鬼の力は痛かった。
 鼻をおさえながら転がり回る。そしてやっぱり石の上だから体も痛い。

「痛いじゃないですか!」
「う、うるさい! お前が変なこと言うから」
「ていうか疲れてるんですからあんまり絡まないで下さいよ。一体何しに来たんですか」
「あーそうそう」

 今のやり取りで忘れてしまっていたらしく、文に何しに来たのだと問われ、萃香は思い出す。

「さっきなんか面白そうだったじゃないか」
「あぁ、略すことですか?」
「そうそう、それ。何か楽しそうだったじゃないか」

 実際には、にとりと文はギャーギャー喚いていただけなのだが、それが萃香には楽しそうに騒いでるように見えたようだ。

「あーじゃあ萃香さんも略してあげましょうか?」
「お? 本当か?」
「ええ、ちょっと待って下さいね……『いぶきすいか』ですからー」

 仰向けの状態からは動かず、手だけで手帳とペンを使う。
 萃香は文の隣りに座り込み、楽しそうに見ている。

「いぶきすいか……いか? いや、これじゃあ……なら、そうだ!」
「お! 出来たか?」
「えぇ、『ぶす』なんて――」

 文が言葉を言い終える前に、萃香は文の頬をかすめる拳を放った。
 クレーターのようなものが、文の横に出来上がった。

「今何を言おうとしたのかなぁ?」
「あ、あはは……いえ、まだ出来上がってません」
「そうだよね、うん」

 迂闊なことは言えない。そう感じた文。いまさら逃げようにも、いくら幻想郷最速と言えど、至近距離にいる鬼から逃げることは不可能だ。
 さて、どうするべきかと悩みに悩む。

「あー……何も出てきません」
「ほぅ……?」
「というわけで帰っていいですか?」
「えー……」
「ダメカナ?」
「ダメダヨ♪」

 笑いあう二人。
 とにかく笑った。
 声を出して、笑った。
 そして、立ち上がり全力で逃げようとする文。萃香はその文の足首を掴む。文は見事に倒れ込む。

「あまーい! あ、間違えました」

 衣玖が間違えて登場。助けを求める文を見て、空気を読み笑顔で帰った。

「みーつけたぁー」
「こ、これはこれは霊夢さん。何故ここに?」
「紫は何処にいるかよくわかんないから、あんたを追ってみた」
「ご苦労様です。お帰り下さい」

 霊夢登場により、さらにピンチに陥る。
 足首は未だ萃香に掴まれ、動けない。

「ていうかさ、あんた人を略してばっかじゃなくて、自分自身を略してみなさいよ」
「え、私をですか?」
「あ、それ良さそうだね」

 今までの文のセンスからいくと、おかしなものになるだろう。そう思って、霊夢と萃香は文にすすめる。
 文は困ったように、頬を人指し指でかいている。

「でも、私は今のままで――」
「略してみなさい」
「略せ」
「……はい」

 鬼の睨み、博麗の巫女の気迫に、断れない。
 仕方無く文は考える。うんうん唸り、悩みに悩む。

「じゃあ……」
「お?」
「何だ?」
「私は『GS』で」

 苦笑い気味に言う文に対して、萃香と霊夢は固まった。
 しばらく無言が続く。その無言に、小さな恐怖を覚え、文は震える。

「なんであんただけ変じゃないのよ!」
「ふざけるな!」
「え、ちょ!」
「大体GSって何の略よ!?」
「えーと、私の特徴の幻想郷最速を略してみました」

 えへへと笑う文。
 そんな文の両腕をうふふと笑いながら掴む萃香。
 文の腹部に馬乗りになる霊夢。

「えへへ……ってあれ? 何ですか、この状況」
「さて、と」
「やっちゃいますか」
「え、え? ふぇ!?」

 その後、当たり前だが文は、笑顔が怖い二人に酷いこと、略してHなことをされたそうな。
こちらでは14度目です。喉飴です。
最近はあまり略して言うことを聞かなくなってきた気がします。
突っ走った内容ですが、少しでも楽しんで下さると幸いです。
喉飴
http://amedamadaisuki.blog20.fc2.com/
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コメント



0.2190点簡易評価
1.100点名前が無い程度の能力 削除
>P屋良
そうだね、プロテインだね。
4.80点名前が無い程度の能力 削除
みすちーの鳴く毎に橙が来るんかな?
5.100点名前が無い程度の能力 削除
屋良のくだりで真っ先に声優の屋良有作さんが思い浮かんだ。
渋声の藍様。
9.80点名前が無い程度の能力 削除
GS…なるほど幻想郷最速か。てっきりGodSpeedの略かと。
11.80点名前が無い程度の能力 削除
名字と名前の最初をとって
赤くて三倍な人になると思ってた
13.90点名前が無い程度の能力 削除
Hなことをされてしまうだなんて。
15.100点名前が無い程度の能力 削除
Hなことwwww
18.100点名前が無い程度の能力 削除
パチェ。
いつの間に小説なんて出してたんだw
22.無評価名前が無い程度の能力 削除
おもろいwww
さあはやくHの内容を書く作業に戻るんだ
25.100点謳魚 削除
>>GS
GrandSonicかと。
まぁそんな事は無いですね。
ジューリーノ先生、執筆再開おめでとうございます。
多分ジューリーノ先生の復活祝いにはフラ様から盛大な「キュッとしてぇ…………ドカァァァァン!!」が贈られる事でしょう。
28.100点奇声を発する程度の能力 削除
P屋良に吹いたwww
>1
もっと吹いたwwwww
36.100点名前が無い程度の能力 削除
ルール違反だけどいわずにはいられない、>1お前はやれば出来る子だな。

ジューリーノ先生………懐かしいです。教えてシリーズは飽きる程読み返して死ぬほど笑いました、元気なフランちゃんに会いたいです。なのでまた読み返してきますノシ
44.100点名前が無い程度の能力 削除
GS…てっきりゴーストスイーパーかと…
60.100点うり坊 削除
Hなことwww