Coolier - 新生・東方創想話

60年目の終わりに

2009/05/13 01:49:57
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「四季様」

「二人のときは映姫、って呼んで」

「映姫」

「なんですか、小町」

「愛してるよ」

「私もです」

 そして死神と閻魔は抱き合った。静かな三途の川の上、豪奢な客船にたった二人の蜜月の時。見つめる
のは落ち行く夕日だけ。やがて視線は愛の形に絡み、引き寄せられるが如く二人の唇が――












 ゴドズッ!!

「ぃっぎゃんっ!?」

 そして三途の河原に響く、酷い打突音と色気も何もない悲鳴。顔を押さえてのた打ち回るのは、今しがた
とんでもない夢の世界へと旅立っていた幻想郷のサボマイスタ。渡しの死神『小野塚 小町』である。
そうなると必然的に彼女にえげつない鉄槌を下した相手はただ一人に絞り込まれる。手にした悔悟の棒を
逆手に握り、止めを刺すかのごとく眉間めがけて振り下ろしたのはもちろん『四季 映姫』ヤマザナドゥは
つまり楽園の閻魔様である。

「なにが二人でいるときは映姫って呼べ、ですか。ほら、起きなさい小町」

「うごごごご……お、起きてますが死ぬかと思いました」

 打撲箇所をさすりさすり、何とか四つんばいにはなる小町。それを腕組みして怒った顔で見下ろす映姫。

「……いいかげんそのサボリ癖について説教する言葉も尽きました……と言うとでもお思いですか、小町」

「あ、え、えー。えーと、そうだと、うれしいですね!」

 最早こういったやり取りは数えれば空散る星ほどのものとなるのか。わなわなと怒りに肩を震わせる
閻魔様の眼下で、なんとも情けない笑顔の死神が頭を掻いている。得てしてこうした場合、閻魔様の
可愛くも威厳溢れた怒鳴り声を皮切に大説教大会が始まるところなのだが。

「……小町」

「は、はい!?」

「今日は、岸に魂が見当たりませんね」

 幾分穏やかな声で小町に聞く映姫。その言葉どおりいつもは魂の、少なくとも一つ二つの影がある
三途の河原に、今は映姫と小町の二人きりであった。

「いやそりゃぁまぁそうでしょう四季様。分かってるくせにぃ」

「分かってますけれどね」

 百花繚乱の異変は、映姫にさんざん叱られてようやく真面目に働き出した小町があふれ出た霊魂を
どうにかこうにか渡し終えることで終結した。それがつい昨日のことである。

「しかし、渡す仕事がなければないでやる事はあります。ちゃんと船の掃除はしましたか? それに……」

「お、終わってますって。じゃなきゃ昼寝なんてしてませんよう」

 言い繕う小町の額に、べしっ、と悔悟の棒が叩き込まれた。

「嘘をおっしゃい。そうでなくとも昼寝ばかり……」

「そ、そういう四季様はなぜここにいらっしゃるんですかぁ」

 額をさすりさすり、小町はややぶーたれた声で説教をさえぎる質問。答えは明確だった。

「今日は休みですから」

 普段映姫が人前に姿を見せる時は往々にして彼女の休み。普段も仕事着のような仰々しい格好では
あるが、あれは閻魔であることを目にしたもの全てに示すためであるそうな。小町曰く、是非曲直庁内での
仕事中は更に五割増しでごてごてした格好をしているらしい。

「はぁ。四季様もお暇なんですね。こんな下っ端死神に説教しにくるくらいには」

「えぇ、ようやく暇になりました。下っ端死神におつかれさま、と言いにきたくらいには」

「はぁ、そりゃようござんし……、……はいィ!?」

「何を素っ頓狂な声を上げて。どうかしましたか小町」

 ぽかんと口を開けた驚く小町を見て、しかし柔和な笑みを向ける映姫。普段は説教してばっかりで硬い
表情をしているイメージが強いが、元はと言えば地蔵尊。仏師がとりわけ可愛く作ったのだろうと思える
その表情は誰しにも安心を与える、そういう笑みだ。

「い、い、ま、いま、なんと、おっしゃい、ましたか」

 壊れた蓄音機のようにぶつ切りの声を、固まったままの喉から搾り出す小町。映姫の笑顔が一瞬苦笑に
変わりそうにはなったが、
「おつかれさまです、小町。良く働いてくれました、ありがとう」
その優しい顔のまま、ぺこりと首を垂れた。その姿にまた石の様に固まる小町ではあったが、流石に上司が
こんな殊勝な態度をとっているのにいつまでも惚けるわけにもいかない。ようやく口元をきりりと引き締め、
こちらも普段見せないような真面目な顔になる。

「……四季様にそう言って頂けるなら光栄の極み。不肖小野塚小町、その優しき言葉、一生涯忘れることは
ありません」

 顔を上げた映姫と入れ替わるようにして、恭しく片膝をつき頭を深く下げる小町。

「……嬉しくはありますが、らしくないですねぇ小町」

 くすりと微笑む映姫。お、と小町は片目を開けて視線を上にやる。幾分楽しそうな上司の顔。
いつもいつも鯱張る、というよりそうせざるを得ない閻魔でも時に安らかに居たいのは道理である。
それならば、と小町も硬い美貌をにへらっと笑いの形に変える。

「じゃあらしくいたしましょうか四季様? ここまでご足労いただいたんです。ただで帰しちゃ罰があたる
ってもんですね」

 軽く裾を払いつつ立ち上がる小町。

「そんな事で罰など与えたりしませんが」

「そりゃあ僥倖。丁度いい事にいい酒を手に入れましてね。良ければ一献酌み交わしませんか」

 くいっとお猪口をあおるような仕草の小町。それには流石に映姫も眉をひそめた。

「仕事中でしょう?」

「いやまぁその。世の中にはお酒を呑みながら凄いもん作り上げる人もいるらしいですけど」

 どこまでもゆるい笑みの小町に、思わず振り上げそうになった悔悟の棒。しかし、映姫もいつもの
映姫とは違った。

「はぁ……。仕方ありません」

 そう呟く映姫の視線の先にはしゃがんでガードポーズの小町。おのづか☆うー。

「何やってるんですか小町」

「え? いや? またぞろド突かれるかと」

「お望みならしてあげますが」

 ぱしーん、と素敵な音を掌で鳴らして悔悟の棒を見せ付ける映姫。

「めめめ滅相もない!!」

 その威厳溢れる姿に気圧されて、すっくと立ち上がる小町。

「じゃあ、あたいはお茶にでもします……」

「待ちなさい小町」

 背を幾分丸めてとぼとぼと歩みだす背中に制止の声がかかる。くたびれたような表情で振り向いた先に、
思案投首の様子を纏わせた映姫の姿。ただ、本気で深く考えているようには何故か見えない。

「仕方ありません。今日は貴女を労いに来たのです。今日は、今日だけは、御褒美として。閻魔たる私、
四季映姫の名と権限において貴女に本日の仕事を休むことを命じます」

 わざとだろう、いつもの真面目な口調を更に硬くして、そのせいか若干芝居じみた口調でそんな事を
言う映姫。いや、実際に芝居ではある。さしもの映姫もついつい最後の方は笑い顔に変わってしまった。
一方言われた小町はといえば、あまりに予期せぬお沙汰に今日何度目かのぽかんとした顔。あまりに
素敵なご褒美に一瞬思考が止まってしまう。とはいえ立ち直りも早かった。

「……よォッしゃ映姫ちゃん愛してる!!」

「ンなっ!?」

「そうと決まれば話は早い!! さぁさ呑みましょう呑みましょう今すぐ呑みましょうたらふく呑みましょう
いやーこいつぁよかった! といってもこのお酒も映姫ちゃんからちょっと無断で拝借してたやつですけど
良かった良かったこれでちゃぁんと持ち主の口に入るっ……て、も……の……。ア、アレ。四季様ナンデ
ソンナ怖イ顔シテラッシャ」

「馬鹿小町ぃーっ!!」

 小町の太陽のような美しい笑顔に容赦なく深々と、悔悟の棒がめりこんだ。






「さあ映姫、私と共に旅立と――ハッ!?」

「ようやく起きましたか小町。……そのまま旅立っちゃえば良かったのに」

 どうやらなんか愛の逃避行的な夢を見ながら生還した小町。そんな姿を片目にやや紅潮した頬で猪口を
呷る映姫。紅潮した頬は酔いのせいか、はたまた小町の余りにラブロマンス極まった寝言のせいか。

「あー……顔、痛い……。……んお?」

 ぼやきながら起きようとする小町の眼前に差し出される白い猪口。

「やはり旨い酒とはいえ一人で呑んではいけませんね。旨い酒を旨く呑めないのは罪深い。私のお酒を
受けること、これが今の貴方が積める善行よ」

「……では、善行積ませていただきます」

 よっ、とその身を起こして一つ会釈し、受ける猪口には旨き酒。神も閻魔も蕩かすという、稀代の銘酒
ここにあり。くっ、と呷る死神のその横顔を見る閻魔の表情はどこまでも優しかった。



「ところで、小町」

 数献傾けてほろ酔い気味の映姫の声。同じく酔った小町がその声に反応する。

「今回の”これ”、どう思いました?」

 語る声は静かに、何らかの思惑を秘めてるようにも。その声の重さを知って、小町も真面目に考える。
猪口を桜色の唇から離し、映姫の持つ青磁の猪口に酒を注ぎながら言う。

「……そうですね。今回は……随分、楽、だった気がします」

「サボれる程度には、ですか」

「ちょ、ちょっと四季様」

 慌てる小町を愉快そうに見る映姫。その相貌を見て小町も怒っているわけではないと分かる。

「どうしましたか小町」

「……いえ、なんでも。でも、そうですね……あたいがサボらなきゃ異変は起こらなかったんじゃないかと
思うほどに。何しろ前はサボるどころか、一日中ぶっ通しで働いても終わる目処がつきませんでしたし」

 猪口に残った酒を呷る小町。そのまま話を続ける。

「前は、酷かった。話を聞こうとして魂に触れりゃ、見えるのは凄惨な光景ばかりでしたよ。地に
埋まった爆弾に腹から下全部吹き飛ばされたのやら、鉛の玉に全身蜂の巣にされたのやら。それと……
自分が死んだのにも気付かないまま、一瞬の閃光で身も何も全て焼かれた魂なんてのも沢山居ましたし。
魂の中の声聴くことに耳を傾けられないなんて思ったのは初めてでした……このあたいが、ですよ」

「そう、ですか」

 いささか眉根をひそめて呟く映姫。彼女も覚えているのだ、あの時のことを。浄玻璃の鏡に映る光景は、
映姫ですらそこが顕界でなく地獄ではないかと思えるようなもの。それら魂を、それでも情け容赦なく
裁かねばならない。それこそが閻魔だ。

「どんな理由があろうとも銃を握り、相手を害しようと思うだけでも罪なのです。例えその銃が一人の
相手を傷つけることなくとも。しかし、戦はその善悪をも殺してしまう」

 ぽつりと呟いてただ、酒を呷った。しばし風の音だけがその場に留まる。その風に溜息混ぜてまた映姫が
口を開いた。

「どう、思いますか。小町は」

「ええと……」

 投げかける言葉に思案する小町。もはや何がどうだと一々言わなくてもいい間柄ではある。途中映姫が
酒瓶を傾けてきたので猪口に受けて、一口酒をすする。

「あたしゃ死神です。良いとか悪いとか、それは四季様のお決めになることです。死は死、魂は魂。あたいは
渡すだけですから」

 酒を呑み干し一息ついて、さも当然とばかりに答える小町。ふむ、と小さく頷くのは映姫で、
「建前はそうだとして、本音は?」
と笑顔で聞いてきた。はは、と少し乾いた声で笑いつつ、その顔をやや俯かせて小町。ふ、と顔を上げた
ときには、真剣な色が宿っている。

「……良かったと思いますよ、今回は。確かに、多くの人が死んだ。けれど前ほどではなく、痛みも、
苦しみもマシなほうだったかな、と。だったらそりゃぁいい事なんです。や、ひと死には悪いっていうか
悲しいことですけどね。けれど」

 そこで一つ言葉を区切って、小町。腹の底から搾り出したような声で、
「戦の始末は、もうこりごりです」
こう締めて深々と息を吐いた。

「そうですね。私も同感です」

 そんな様の小町を、目を細めて見やりつつ笑みの弧の映姫。もう一献と酌をする。そこに、
「それで、四季様はどう思ったんです?」
と返す小町。その唇はかすかに笑っているようにも見えるが、瞳に宿るのは真っ直ぐな光。それを
認めて映姫、
「良かったと思いますよ」
と殊更あっけらかんと答えた。肩透かしでも食らったのか小町の体が大仰に傾ぐ。

「あ、あれ? し、四季様ぁ?」

「なんですか小町」

「あたいはてっきり、”私は閻魔です。良いも悪いもありません。来た魂を裁くだけです”、みたいな
言葉が出るとばっかり」

 崩れた身体を大儀そうに、よっこらしょっとばかりに立て直す小町。立て直しつつ、わざわざ真似など
しつつ映姫に言った。

「何言ってるんですか小町。仕事が楽に終わる、それが悪い事がどうしてありましょうか」

「へっ!?」

 もう一度がくりと肩が落ちる小町。その姿を横目に見ながら呑気そうに、あむあむと、炙ったスルメの足を
齧る映姫ではある。

「顕界、特に幻想郷の外では仕事が忙しいことが善である事と言うものもいるらしいですが勘違いも
甚だしいむぐむぐ。仕事はできる限り無駄なく廻るように、なるべく総じて楽になるよう努力する、
それこそが正しい有様ですむぐむぐ」

「あー、えー、いい事言ってるとは思うんですが、スルメ噛み締めながら言うのはやめてくださいよぅ」

 据わった目で小町を見やる映姫。何気に結構な量の酒を呑んでいる。

「これも効率を追求した結果です」

「あぁ、さいですか」

「しかし小町、あなた私を仕事中毒かなにかと勘違いしてませんか?」

「そりゃ、いつもの映姫さまを見るにつけてはそう思わないほうが、ってきゃん!?」

 ぺしっと軽い音を立てて悔悟の棒が小町の額を打つ。映姫は随分渋い顔だが、本気で叩いてないところを
みる限り冗談交じりの一撃なのだろう。

「あなたが真面目に働けばいいのです。そうすれば魂が来なくて待ちぼうけをやるはめもなく、来たら来たで
短時間で無理して裁く事もないのです。分かってますか、小町」

「あ、えぇ、まぁ。ぜ、善処します」

 やります、といえない辺りが小町の小町たるゆえん。映姫もそれは分かっているのでそれ以上は何も
言わない。酒を自らの小言で不味くするのはよろしくないと分かっているのだ。

 しばらくむすっとした顔で、情けなく笑う部下を眺めていた映姫。ふっ、とその表情がいつもの真面目な
ものに戻る。

「……ともあれ、良かったとは思います。それは偽りの無い言葉ですよ。けれどね、小町、私は少しだけ
心配なのです」

「何がでしょう、四季様」

 雰囲気が変わったことに気付き、表情はやや硬いものになりつつ小町は問う。

「今回は楽に終わりました。前回よりも遥かに。……小町、あなたも勿論知っているでしょう? 輪廻の
バランスというものを。だから思うんです。次は、もしかすると……」

「四季様」

 どこか重たげな声は遮られる。

「あたいは次も、たいしたことないんじゃないかって思ってますよ」

「楽天的ですね。知っていますけれど」

 晴れやかな笑みを浮かべる小町に、少しだけ厳しい視線の映姫。それに臆さず、それどころかもっと
にこやかな声で小町は続ける。

「戦で失われた命は比べるべくもなく減りました。だったら次の六十年にはもっと減ってるんじゃない
でしょうか。あたいが思うに、人はそこまで愚かじゃないはずですから。……まぁ大地が寝返りうったり
お天道様がやけにご立腹しちまうのはどうしようもないでしょうけれど、戦で人の世が何もかも無茶苦茶に
なるよりはずっとマシだと。と、あたいはそう思う事にしてます」

 きっぱりと、からりとその言葉は澄み渡り、じんわりと映姫の心にもしみこむ。まるで小町の表情を
映す鏡のように、明るい笑みが映姫にも。

「……そう、ですか。そうかもしれませんね、ふふ。私もそう信じることにしてみますか」

 三途の川に小さな笑みの華ふたつ。此度の花咲く異変の最後に咲いたのは、きっとそのふたつ。

「でしたら小町、普段の仕事が忙しくなるのですよ。そこは理解しておきなさい」

「うへぇ、手厳しい。しかし了解はいたしました、っと」

 笑い声響けば風はなくとも揺れる華。何よりもそれは美しく咲くのだろう、悲しみが追いつくまでは。






「あれ、もう酒瓶が空いちまいましたね」

「じゃあ小町、続きは私の部屋でする事にしましょう。あなたの知らない旨い酒はまだありますから」

「ひゃっほう、映姫ちゃん愛してる!!」

「……名前で呼ぶのを許すのは、今日くらいですよ」



 今はまだ、ただただ幸せなままで。
 六十年周期の大結界異変までたったの56年。その時に、彼女達の笑顔の華は咲いているのでしょうか?
 きっとそうできるはずです。きっと。

 白でした。

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コメント



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1.90名前が無い程度の能力削除
あまいえいこま、いただきました。ごちそうさまです。
7.100名前が無い程度の能力削除
>お酒を呑みながら凄いもんを作り上げる    神主のことですねわかります。
13.100名前が無い程度の能力削除
おのづか☆う~wwこれは流行るww

60年置きってのもリアルですよね・・・設定考えたZUN様すげぇ。
スルメしゃぶる映姫さまGJ!
16.80ネコ輔削除
悔悟の棒を逆手……だと……。叩き下ろすならまだしも、突き下ろす、だと。この閻魔、容赦しねえ……。
今から60年と4年前と言えば、第二次世界大戦ですよね。ホント、数千万単位の人間が死んで、彼岸は一体どんな状況だったんでしょうか。
良い上司と部下の関係を描いたお話でした。
17.100名前が無い程度の能力削除
職場で上司の奥さんとかいいよね!(黒糖炭酸水:談)
19.90名前が無い程度の能力削除
充分甘かったですよー。
30.90名前が無い程度の能力削除
人の死は決して幸せなものではないので、
56年後に何も起きないといいなあ……。
そう、強く思いました。
33.100名前が無い程度の能力削除
何気に深いですね。。。
考えさせられる話で楽しめました。

平和が一番ってことですね。