「う……ううう……」
まるで縛り付けられたかのように、指が動かない。
最後の一線――このワンクリックで、物語は内から外へ、つまり「生ぬるい自己の脳内」から
「容赦ない批評の飛び交う戦場」へと飛び出していくのだ。
勇気が出ない。
このたび彼女が書き上げた物語は、それはそれは大切に温めてきたネタから生まれた可憐な雛鳥であった。
万人に受けるものが書けるなどと自惚れてはいないが、それなりの評価はしてもらえるだろうと期待している。
しかし、勇気が出ない。
近ごろ小耳に挟んだ話では、創想話には“10点妖精”なる面妖なあやかしが暗躍しているとのこと。
新たな物語が縄張りに入ってきたのを嗅ぎ付けるや否や、烏天狗も真っ青の速さで襲い掛かり――
そして、ひどく冷たい声でこう囁きかけるという。
「つまんね」
それは多くの物書きにとって、はなはだ恐ろしい四文字である。
妖精たちは様々な武器をその手に携えている。
「話が短い」
「メタなネタは興醒めだ」
「起承転結が弱い」
「パロネタ乱用乙」
「誤字脱字を見つけました」
「公式設定と違う」
「この長さならプチでやれよ」
無慈悲な言葉が彫り込まれた剣は、赤い血でべっとりと濡れている。
そして、伝家の宝刀にはこんな呪詛が輝いているのだ。
「そもそも、これって東方でやる意味あるの?」
卵から孵ったばかり、純粋無垢な物語の多くは、冷たい反応にことのほか弱い。
言葉のナイフを柔らかい心臓に突き立てられ、雛鳥たちは奈落の底へと墜落していくより他に道はない。
脳内の妄想は暖かくとも、仮想読者の声は暖かくとも、現実と言う荒野にはいつも寒風が吹きすさんでいる。
きれいなグッピーが泳ぐ水槽に「うわあ、カワイイね!」と白々しく声を掛けながら氷を投げ入れる。
深窓の令嬢をさらって、真夏のフィットネスジムに閉じ込める。
これらに値するほどの静かな恐怖が、創想話という戦場には平然と横たわっていた。
今にして思えば、初投稿した日の自分の大胆さが信じがたいほどだ。
あの日の自分はどうかしていた。
「そうだわ……そうだ、リフレッシュ! リフレーッシュ!」
自らを叱咤するように明るい声を上げると、彼女は椅子から腰を上げて窓を開けた。
窓の外は、いつもと変わらず薄暗い。
仄かに差し込む明かりの中に、桶に入った奇怪なシルエットが通り過ぎていくのが見えた。
「ヒィッ!」
奇声を発し、反射的に窓を閉めた。
疲れているのだろうか、しばしば空を飛ぶ奇妙な幻を見る。
「眠気で脳が弱っているのね。妬ましいわ」
こんなときは、薬の力を借りるに限る。
小さな冷蔵庫の奥から、「眠々堕波」と書かれたラベルのついた小瓶を取り出すと一息にあおる。
ひどく苦い。
「にが、にげごぼわーっ! おひぃー!」
景気付けに奇声を上げてみたが、胸の奥にはためく黒い旗が遠ざかる気配は一向になかった。
……ふと気になった。
創想話にはどれほどの戦士がいるのだろうか。
「wiki!」
一人暮らしが長引くと、ついついどうでも良い独り言を言ってしまうから困る。
先日も、外出先で自転車の鍵がうまく噛み合わなかったせいか、
公衆の面前で「しょおーーー!!」などと叫び声を上げそうになった。
「しょ」まで発音しかけたところで、隣でバイクを停めていた毛玉に怪訝な表情をされ、
それでふと我に返ったのだ。
なんでもありませんよ、あはは。なんでもね!
あら奥さん、おネギが。
とても良い天気でした。
――――話を戻そう。
wiki先生によると、この無法地帯には2000人弱の命知らずがいるらしい。
生まれた物語の数は、すでに10000を超えていた。
なんと恐ろしいことだ! どうにかしなくては。
このままではいずれ大きな災いが起こるに違いない。
「こ、こんなことしてる場合じゃないわ!」
彼女は急に恐ろしくなり、無意識のうちに緋想天を起動させていた。
「アーケードモードを1回やったら、新しい私に生まれ変わるのよ」
何故か愛用キャラは妙なクセを持った奴らばかりで、“オワタ四天王”などと揶揄されたこともある。
しかし、何よりも彼女にとって解せなかったのは紅魔館チームの中で美鈴だけが参戦しなかったことであった。
美鈴が出ないと知ったその日、彼女は表面上は何事もないように装いつつ、静かに心中を涙で濡らした。
別段、美鈴がうまく扱えるというわけでもないのだが、だがしかし――――
――――話を戻そう。
25分ほどが過ぎた。
ここで唐突だが弁護させてほしい。
彼女は、特別に心が弱いということはなかった。
だが、それほど強くもなかったのだ。
何が言いたいのかと言うと……
彼女は、いつの間にか紅魔郷を起動させていた。
言い分はこうだ。
「自らの原点に戻ることで、心の栄養をつける」
物は言いようである。
25分ほどが過ぎた。
レッドマジックにボムを使っても無駄と分かっていながら、苦し紛れにボムってしまう。
彼女はへなちょこシューターであった。
世の中にはLunaticでの稼ぎに精を出したり、斑鳩などをあっさりとクリアする猛者もいるというが、
きっと彼らは人ではないのだ。
“人のような物体”に違いない。
「しょおーーー!!」
こんなことだから、EXステージをクリアできないのだ。
EXボスを倒してもいないのに、作中に登場させるとボロが出て大変なことになるかも知れない、
と怯えた日もあった。
だが、結局勢いで書いた話に登場させてしまった。
あの日の自分もどうかしていた。
いや、いつだって自分はどうかしている。
それからしばらくして、彼女は意を決して投稿画面に戻った。
いつもタイトルには気を遣っている(その割りに大したインパクトはないが)。
反応が弱くても落ち込まない(所詮は自己満足、プロじゃないから……この言葉が彼女の最大の武器だ)。
新聞や雑誌の誤植探しが趣味の彼女は、自分の書いたものにも油断はしない。
時間を空けてから、獲物を品定めするヘビのようにねっとりと一言一句を眺める。
かつて、わざと誤字脱字だらけのものを上げる、途中から文章が全て英語になる、などの
無謀極まりない企みを抱いたこともあったが、怖くていまだに実行出来ていない。
ふと指が止まった。
「あら? このシーン……」
三丁目の曲がり角で、妹紅から突然チンジャオロースを渡された輝夜が驚きの声を上げるシーンである。
『きゃあ!』
「きゃあ。きゃあ、か……輝夜が“きゃあ!”か……これってどうなのかしらね」
独り言を呟きながら、トントンとキーボードの傍らで指を鳴らす。
輝夜は悠久の時を生きてきた超長寿キャラである。
彼女がとっさに上げる悲鳴に「きゃあ」は果たしてふさわしいものか――
いや。ふさわしくない。
きっと10点妖精の餌食にされてしまう!
平安時代から生きてきた彼女なら、きっとこう言うに違いない!
<以下、作品より抜粋>
「輝夜! チンジャオロースをくらえー!」
妹紅のチンジャオロースが襲い掛かる。
輝夜は驚きの声を上げた。
「あなやっ!」
……これだ!
『あなやっ!』
これぞ平安育ちのセレブガールにふさわしい。
やだ、これってかなり新しい発想じゃない?
彼女の胸は興奮に高鳴る。
だが、こういう時こそ冷静にならなくては。
抜け目なく、彼女は検索に踏み切った。
< あなやっ 創想話 の検索結果 約 28,800 件中 1 - 10 件目 (0.07 秒) >
「なにっ!?」
まずい、先を越されていたか!
ネタ被りしているのにぬか喜びしている事ほどマヌケなものはない。
同じくらい思考回路が病んだものがすでに潜伏していたのか。
危険だ……一刻も早く排除しなくては!
私は命を狙われている。
毎朝ラヂオで私の悪口を全国放送している奴、誰だぁっ! 名乗り出ろお!
彼女は血眼になって「次へ」を押し続け、検索結果の一覧をチェックし続けた。
……数分後。
彼女の怖れは杞憂であったことが分かった。
これで枕を高くして眠れるというものだ。
彼女は今、SS書きとして着実に新たな一歩を刻んだ。
あとはタイトルだ。
どうも良い案が思い浮かばない……
“牛もつ鍋”……だめだ、内容となんの関係もない。
“サナエノキワミ、アッー!!”……葬り去るには惜しいが、日和った奴と思われたくない。
“どぉーーーん”……いまだかつて、擬音だけのタイトルがあっただろうか! ……あれ、どうだったかな。
彼女は急に恐ろしくなり、無意識のうちに緋想天を起動させていた。
指先が震え、視点が定まらない。
(50分後)
今まではオータムブレードを使っていたけど、LevelMaxのオータムエッジって撃つと気持ちイイわね。
そんなことを心中で呟きつつ、彼女は投稿画面に戻った。
「今のところ、最新作品集は69作品か……お、このタイトルは意表を突かれるわね……」
ここで彼女の頭脳に天啓が降りた。
ギャグSSの神は、こう仰ったのだ。
「――汝、便乗せよ――」
「そうだわ……一文字違いのタイトルにすれば嫌でも目に付くはず。
先に投稿された本家さんの作品を読んだ人も、ちょっとは興味を持ってくれるかも!」
実にいやらしく計算高い、みみっちい天啓である。
「“投稿”と一文字違い……“投了”はダメね。登場人物に将棋をさせなくてはならない……
“登校”……学園ものはすでに存在している……
“投降”……投降、か。なんか後ろ向きでイイわね!」
彼女の瞳に、久方ぶりに力強い意志の光が宿った。
「よし、決めたわ。これで一文字違いのタイトルを持った作品が肩を並べることになる。
なかなかにエキサイティングね!」
素早くタイトルを打ち込むと、彼女は力強く“送信”ボタンをクリックした――――
「よぉーし、うまく並んでるか確認しちゃうぞー!」
かちかちっ
「……あ……あら……?」
待て、これは罠だ。
話が違うじゃあないか!
パクったタイトルの作品のすぐ上に自作が来ると思っていたのに――
「私が書いている間に……3作品も投稿されていた……だと……!?」
こんな夜中に……読み誤った!
書いている途中にも最新作品集のウィンドウを開いておいて、
状況を逐一確認するのを忘れていた……!!
「ちくしょう……ちくしょう……ッ!! 妬ましい!!」
くそっ、これだから嫌なんだ!
いつも良いところで私のささやかな企みをおじゃんにしやがる!
創想話……つくづく恐ろしい猛者どもの巣窟だな!
完全に読まれていたというわけか!
これじゃあ私が敵う道理はない……何をやっても潰される……干されてしまうっ!!
「参ったァー! 私は参ったァァァッ!」
「ちょっとー、パルスィ静かにしてよお。こんな夜中に……ちょっ、何やってんの!?」
「降参だぁー」
がらがらがらっ………………どさっ。
「騒がしいけど、なんかあったのかい?」
「あっ、勇儀! 大変なの、パルスィがいきなり奇声を発して窓から飛び降りて……!」
まるで縛り付けられたかのように、指が動かない。
最後の一線――このワンクリックで、物語は内から外へ、つまり「生ぬるい自己の脳内」から
「容赦ない批評の飛び交う戦場」へと飛び出していくのだ。
勇気が出ない。
このたび彼女が書き上げた物語は、それはそれは大切に温めてきたネタから生まれた可憐な雛鳥であった。
万人に受けるものが書けるなどと自惚れてはいないが、それなりの評価はしてもらえるだろうと期待している。
しかし、勇気が出ない。
近ごろ小耳に挟んだ話では、創想話には“10点妖精”なる面妖なあやかしが暗躍しているとのこと。
新たな物語が縄張りに入ってきたのを嗅ぎ付けるや否や、烏天狗も真っ青の速さで襲い掛かり――
そして、ひどく冷たい声でこう囁きかけるという。
「つまんね」
それは多くの物書きにとって、はなはだ恐ろしい四文字である。
妖精たちは様々な武器をその手に携えている。
「話が短い」
「メタなネタは興醒めだ」
「起承転結が弱い」
「パロネタ乱用乙」
「誤字脱字を見つけました」
「公式設定と違う」
「この長さならプチでやれよ」
無慈悲な言葉が彫り込まれた剣は、赤い血でべっとりと濡れている。
そして、伝家の宝刀にはこんな呪詛が輝いているのだ。
「そもそも、これって東方でやる意味あるの?」
卵から孵ったばかり、純粋無垢な物語の多くは、冷たい反応にことのほか弱い。
言葉のナイフを柔らかい心臓に突き立てられ、雛鳥たちは奈落の底へと墜落していくより他に道はない。
脳内の妄想は暖かくとも、仮想読者の声は暖かくとも、現実と言う荒野にはいつも寒風が吹きすさんでいる。
きれいなグッピーが泳ぐ水槽に「うわあ、カワイイね!」と白々しく声を掛けながら氷を投げ入れる。
深窓の令嬢をさらって、真夏のフィットネスジムに閉じ込める。
これらに値するほどの静かな恐怖が、創想話という戦場には平然と横たわっていた。
今にして思えば、初投稿した日の自分の大胆さが信じがたいほどだ。
あの日の自分はどうかしていた。
「そうだわ……そうだ、リフレッシュ! リフレーッシュ!」
自らを叱咤するように明るい声を上げると、彼女は椅子から腰を上げて窓を開けた。
窓の外は、いつもと変わらず薄暗い。
仄かに差し込む明かりの中に、桶に入った奇怪なシルエットが通り過ぎていくのが見えた。
「ヒィッ!」
奇声を発し、反射的に窓を閉めた。
疲れているのだろうか、しばしば空を飛ぶ奇妙な幻を見る。
「眠気で脳が弱っているのね。妬ましいわ」
こんなときは、薬の力を借りるに限る。
小さな冷蔵庫の奥から、「眠々堕波」と書かれたラベルのついた小瓶を取り出すと一息にあおる。
ひどく苦い。
「にが、にげごぼわーっ! おひぃー!」
景気付けに奇声を上げてみたが、胸の奥にはためく黒い旗が遠ざかる気配は一向になかった。
……ふと気になった。
創想話にはどれほどの戦士がいるのだろうか。
「wiki!」
一人暮らしが長引くと、ついついどうでも良い独り言を言ってしまうから困る。
先日も、外出先で自転車の鍵がうまく噛み合わなかったせいか、
公衆の面前で「しょおーーー!!」などと叫び声を上げそうになった。
「しょ」まで発音しかけたところで、隣でバイクを停めていた毛玉に怪訝な表情をされ、
それでふと我に返ったのだ。
なんでもありませんよ、あはは。なんでもね!
あら奥さん、おネギが。
とても良い天気でした。
――――話を戻そう。
wiki先生によると、この無法地帯には2000人弱の命知らずがいるらしい。
生まれた物語の数は、すでに10000を超えていた。
なんと恐ろしいことだ! どうにかしなくては。
このままではいずれ大きな災いが起こるに違いない。
「こ、こんなことしてる場合じゃないわ!」
彼女は急に恐ろしくなり、無意識のうちに緋想天を起動させていた。
「アーケードモードを1回やったら、新しい私に生まれ変わるのよ」
何故か愛用キャラは妙なクセを持った奴らばかりで、“オワタ四天王”などと揶揄されたこともある。
しかし、何よりも彼女にとって解せなかったのは紅魔館チームの中で美鈴だけが参戦しなかったことであった。
美鈴が出ないと知ったその日、彼女は表面上は何事もないように装いつつ、静かに心中を涙で濡らした。
別段、美鈴がうまく扱えるというわけでもないのだが、だがしかし――――
――――話を戻そう。
25分ほどが過ぎた。
ここで唐突だが弁護させてほしい。
彼女は、特別に心が弱いということはなかった。
だが、それほど強くもなかったのだ。
何が言いたいのかと言うと……
彼女は、いつの間にか紅魔郷を起動させていた。
言い分はこうだ。
「自らの原点に戻ることで、心の栄養をつける」
物は言いようである。
25分ほどが過ぎた。
レッドマジックにボムを使っても無駄と分かっていながら、苦し紛れにボムってしまう。
彼女はへなちょこシューターであった。
世の中にはLunaticでの稼ぎに精を出したり、斑鳩などをあっさりとクリアする猛者もいるというが、
きっと彼らは人ではないのだ。
“人のような物体”に違いない。
「しょおーーー!!」
こんなことだから、EXステージをクリアできないのだ。
EXボスを倒してもいないのに、作中に登場させるとボロが出て大変なことになるかも知れない、
と怯えた日もあった。
だが、結局勢いで書いた話に登場させてしまった。
あの日の自分もどうかしていた。
いや、いつだって自分はどうかしている。
それからしばらくして、彼女は意を決して投稿画面に戻った。
いつもタイトルには気を遣っている(その割りに大したインパクトはないが)。
反応が弱くても落ち込まない(所詮は自己満足、プロじゃないから……この言葉が彼女の最大の武器だ)。
新聞や雑誌の誤植探しが趣味の彼女は、自分の書いたものにも油断はしない。
時間を空けてから、獲物を品定めするヘビのようにねっとりと一言一句を眺める。
かつて、わざと誤字脱字だらけのものを上げる、途中から文章が全て英語になる、などの
無謀極まりない企みを抱いたこともあったが、怖くていまだに実行出来ていない。
ふと指が止まった。
「あら? このシーン……」
三丁目の曲がり角で、妹紅から突然チンジャオロースを渡された輝夜が驚きの声を上げるシーンである。
『きゃあ!』
「きゃあ。きゃあ、か……輝夜が“きゃあ!”か……これってどうなのかしらね」
独り言を呟きながら、トントンとキーボードの傍らで指を鳴らす。
輝夜は悠久の時を生きてきた超長寿キャラである。
彼女がとっさに上げる悲鳴に「きゃあ」は果たしてふさわしいものか――
いや。ふさわしくない。
きっと10点妖精の餌食にされてしまう!
平安時代から生きてきた彼女なら、きっとこう言うに違いない!
<以下、作品より抜粋>
「輝夜! チンジャオロースをくらえー!」
妹紅のチンジャオロースが襲い掛かる。
輝夜は驚きの声を上げた。
「あなやっ!」
……これだ!
『あなやっ!』
これぞ平安育ちのセレブガールにふさわしい。
やだ、これってかなり新しい発想じゃない?
彼女の胸は興奮に高鳴る。
だが、こういう時こそ冷静にならなくては。
抜け目なく、彼女は検索に踏み切った。
< あなやっ 創想話 の検索結果 約 28,800 件中 1 - 10 件目 (0.07 秒) >
「なにっ!?」
まずい、先を越されていたか!
ネタ被りしているのにぬか喜びしている事ほどマヌケなものはない。
同じくらい思考回路が病んだものがすでに潜伏していたのか。
危険だ……一刻も早く排除しなくては!
私は命を狙われている。
毎朝ラヂオで私の悪口を全国放送している奴、誰だぁっ! 名乗り出ろお!
彼女は血眼になって「次へ」を押し続け、検索結果の一覧をチェックし続けた。
……数分後。
彼女の怖れは杞憂であったことが分かった。
これで枕を高くして眠れるというものだ。
彼女は今、SS書きとして着実に新たな一歩を刻んだ。
あとはタイトルだ。
どうも良い案が思い浮かばない……
“牛もつ鍋”……だめだ、内容となんの関係もない。
“サナエノキワミ、アッー!!”……葬り去るには惜しいが、日和った奴と思われたくない。
“どぉーーーん”……いまだかつて、擬音だけのタイトルがあっただろうか! ……あれ、どうだったかな。
彼女は急に恐ろしくなり、無意識のうちに緋想天を起動させていた。
指先が震え、視点が定まらない。
(50分後)
今まではオータムブレードを使っていたけど、LevelMaxのオータムエッジって撃つと気持ちイイわね。
そんなことを心中で呟きつつ、彼女は投稿画面に戻った。
「今のところ、最新作品集は69作品か……お、このタイトルは意表を突かれるわね……」
ここで彼女の頭脳に天啓が降りた。
ギャグSSの神は、こう仰ったのだ。
「――汝、便乗せよ――」
「そうだわ……一文字違いのタイトルにすれば嫌でも目に付くはず。
先に投稿された本家さんの作品を読んだ人も、ちょっとは興味を持ってくれるかも!」
実にいやらしく計算高い、みみっちい天啓である。
「“投稿”と一文字違い……“投了”はダメね。登場人物に将棋をさせなくてはならない……
“登校”……学園ものはすでに存在している……
“投降”……投降、か。なんか後ろ向きでイイわね!」
彼女の瞳に、久方ぶりに力強い意志の光が宿った。
「よし、決めたわ。これで一文字違いのタイトルを持った作品が肩を並べることになる。
なかなかにエキサイティングね!」
素早くタイトルを打ち込むと、彼女は力強く“送信”ボタンをクリックした――――
「よぉーし、うまく並んでるか確認しちゃうぞー!」
かちかちっ
「……あ……あら……?」
待て、これは罠だ。
話が違うじゃあないか!
パクったタイトルの作品のすぐ上に自作が来ると思っていたのに――
「私が書いている間に……3作品も投稿されていた……だと……!?」
こんな夜中に……読み誤った!
書いている途中にも最新作品集のウィンドウを開いておいて、
状況を逐一確認するのを忘れていた……!!
「ちくしょう……ちくしょう……ッ!! 妬ましい!!」
くそっ、これだから嫌なんだ!
いつも良いところで私のささやかな企みをおじゃんにしやがる!
創想話……つくづく恐ろしい猛者どもの巣窟だな!
完全に読まれていたというわけか!
これじゃあ私が敵う道理はない……何をやっても潰される……干されてしまうっ!!
「参ったァー! 私は参ったァァァッ!」
「ちょっとー、パルスィ静かにしてよお。こんな夜中に……ちょっ、何やってんの!?」
「降参だぁー」
がらがらがらっ………………どさっ。
「騒がしいけど、なんかあったのかい?」
「あっ、勇儀! 大変なの、パルスィがいきなり奇声を発して窓から飛び降りて……!」
あれも場違いだし、これも場違いだし、何考えてるのかね
むしろ『お話』を書いてた分、便乗元の方がまだ小説として救いがある
ありがとう、面白かったです。
10点は10点だけど、俺にとってこれほど重い10点は未だかつて無い。
何もかもかなぐり捨てたファイティングスピリットに敬意を表する。
↑
KY乙
敬意をもってこの点数を。
10点満点です。
読んでて本当にグサリと来ましたね、特に投稿シーン。
この混沌とした場所に作品を投下してる勇者は本当に凄いと実感しました。
そんなソウルを感じたのでこの点数にしました。
100点の意味を込めてフリーレスでw
こいつぁ~新ジャンルだぜww
こういう全力全開の大遠投が出来る人、ほんと大好きです。
こんちくしょう
10点満点だっ!!
なんかすげー。
10点満点でw
10点満点で。
そりゃもう10点満点ですよw
10点満点ですが何か?
10点満点ですよー
ここまで10点入れることにためらいを感じたこともない
思いっきりの捨て身であるこの作品、僕はしかと受け止めた
・・・ところでこれって東方でやる意味あるの?
それはそれとして、そもそもこれって東方でやる意味あるのか?
こんなに輝かしい10点はないな
そんな私は異端的位置に座りましょう。
よいこらせ。
パルスィがいい味を出して…いるかもしれない
さて、流れに身を任せよう
あの、何かの企画ですか?
空気読みすぎ乙
(100)
作者:「ふ…、狙い通り!!」
だが、俺は自分の気持ちに嘘はつけねぇ!!
敬意をもってこの点数を。
あんたの勝ちだww
話が短い
メタなネタは興醒めだ
起承転結が弱い
パロネタ乱用乙
誤字脱字を見つけました
公式設定と違う
こうですね、わかります。
このような皆に見られる所に投稿するって…
凄い勇気がいることだと思いますね
面白ければなんだっていいじゃないかぁ!
何気にコレ、10点を100点に変えると既に1万点越えしている事になりますよね。
内容としてはメタネタとはいえ東方に関するものだったので東方でやる意味はあったと思います。
少なくともこれは東方創想話でやるべきだと感じました。
本当に創想話に投稿するのは勇気がいりますよね。
ちなみに自分は未だ怖くて一度も投稿できず引き続き精進中ですが
気持ちが痛い程伝わってしまいました。
次は妹紅が輝夜にチンジャオロースの話が読みたいので是非お願いします。(笑)
本当は、「東方でやる意味(ry」妖精を狩りたかったんですが……
10点(現在の100点に値する)を置いておこう
>「参ったァー! 私は参ったァァァッ!」
>「降参だぁー」
パルスィがユースケさんにしか見えない
自分が好みではない、作者のいいたい(やりたい)事をキャラクターにいわせる(やらせる)作品でした
10点満点で
大好きですw
100点のつもりで10点を
一言二言で凹むこともあれば、
長々と書いてあって「で、結局コイツなに言いたいのよ?」な感想もあり
斯くもコメ欄は魔境なり…
皆空気読んでるなあ。
誇ってよいぞ
いやあ、あなやっ! で大爆笑……してないよ、つまんね
私は勿論満点差し上げますとも、えっへん
ありがてぇ、ありがてぇ
あなたの新作待ってます。
このそそわで10点を送るのは最初で最後になるでしょうが、どうかこの10点妖精の弾幕を受け取ってください!!