「柿の種にはチーズだと思う」
そんなことを言い出したのは私かメリーか。どちらかもわからないぐらいお酒に自分が溶け出していた。
まるで自棄酒。自棄になる意味もない自棄酒は、本来ならばなんというべきなのか。
思考が回る。頭の中の冷静な部分が水を飲め、吐き出せと言い、だらしなく開いた口はつまみを咥えこむ。
「蓮子、それはつまみじゃないわよ」
おつまみはメリーの指。汗の様な塩味のついたメリーソーセージ。
「指、離しなさい。怒るわよ」
関節がコリコリと音を鳴らす。爪がスベスベして気持ちがいい。
「蓮子、やめなさい。お腹がすいたのなら何か用意するから」
「んー……。これでじゅぅぶん」
指を舐めながら返事をする。おかしいな。いつもなら私よりメリーが酔っ払って大変なことになってるのに。
「はぁ……。ていっ」
そんな風にかわいらしくメリーが言って、かわいらしくない音が頭からなった。ゴスリ。
「いひゃい」
「なら離しなさいよ、もう」
自分から抜けばいいのに。まあ、私から抜くけど。
「メリー」
「何よ」
「すきー」
頭がぽやぽやして、おなかがちゃぷちゃぷする。
テーブルの上には大量の缶とビン。
アーシウムの赤としまむらさきとファジーネーブルとブラッディメリーの海に泳いでる感じ。
あらら、メリーじゃない。メアリーだった。
「これ、ブラッディメリーって名前だったら、メリーを私が飲んじゃってるんだよね、きっと」
「……少し酔い過ぎよ?それに、私って何を飲むのよ、私の何を」
「唾液?もしくは血とか、涙とか。血も涙もないって涙の元は血なんだから、血がなかったら涙もないよね」
「たまに蓮子が酔っ払ってるのかどうかがわからなくなるんだけど。言ってることは目茶苦茶なのに、意味は通るし呂律もそれなりだし」
酔っ払ってるよしっかり。うん。にぱー。
「子供じゃないんだから。いやまあ」
むにゅむにゅ。途中から突っ伏したから、最後の方は聞えなかった。
ああ、メリーがおいしい。
「蓮子、そろそろ寝ないと」
「眠りながら起きるっ!あー、揺れる、頭」
「水持ってくるから飲みなさい、ね」
ああ、いいお嫁さんを持った。お嫁さんじゃないけど。でも、本当に嫁にしたいかもしれない。しれない。
可能性の綱渡り。隣にいるのがメリーじゃなかったかもしれないし、今の様な関係ではなかったかもしれない。しれない。しれない。
「難しいこと考えると、あたまぁ回るぅ」
やっぱり酔ってる。冷静な思考と泥酔した自分が綱渡り。
「ニマニマしてて気持ち悪いわね、なんだか」
上から声がした。見上げるとメリー。コップに半分ほどの水を持って、短めのスカートからショーツが見える。白で透けていた。
「ほら、お水」
「ありがとー」
お礼を口に出して水を受け取る。
「メリーはいいお嫁さんになるね。私の」
「蓮子のお嫁さんなんかになったら、毎日が大変ですぐに離婚ね、家庭内で」
「常に私が隣にいるから、別居はない、はず」
「他の人と口を聞いただけで嫉妬されそうね、それだと」
私蓮子さん、今メリーと一緒にいるの。メリーと私で夢のなか。
「メリー」
「なに?」
「新婚旅行は蝦夷にしよう」
「今は江戸時代じゃないわよ」
そっか、時代が違うのか。
「新婚旅行はアイヌの地にしよう」
「まず結婚出来るかを考えなさい」
「指輪はないけど結婚しよう、メリー」
「素面で言いなさい、そういうことは」
欠伸をひとつ。ふたつ。最初がメリーで、次が私。
「寝よっか」
「そうね。早く寝て、早く起きましょうか」
「今日はメリー、そんなに飲まなかったね」
「口内炎出来てて、おいしくないから」
痛いよね、口内炎は。
「ねえ、メリー。おやすみのキスは?」
「はいはい。おやすみなさい」
おでこにちょんっと唇が乗っかった。
「ん、おやすみメリー」
まだ布団にくるまるどころか立ち上がってすらいないのに、こんなところで挨拶する。
まあ、いいじゃない。
眠いし。
「よし。メリーをお姫様だっこだ」
立ち上がり、足を引っ掛けて転ばせて、腕で支える。そのままブライダルお姫様だっこに移行して、一歩、二歩、床に前のめりに転ぶ。これが本当のマエノメリー・ハーン。
「きゃ、ぐぅっ!」
あ、すごい音がした。メリーが私の下でのたうってる。
かわいいなぁ、メリー。
ああ、眠い。
「先に行ってるから、遊び終わったら来てね」
「れ、れん、こぉ。おぼえて、なさいよ……」
私は今度は転ばない様に、ゆっくりと温かな布団へと向かっていった。
流石に、布団と毛布を使うのは、もう暑いか。
そんなことを言い出したのは私かメリーか。どちらかもわからないぐらいお酒に自分が溶け出していた。
まるで自棄酒。自棄になる意味もない自棄酒は、本来ならばなんというべきなのか。
思考が回る。頭の中の冷静な部分が水を飲め、吐き出せと言い、だらしなく開いた口はつまみを咥えこむ。
「蓮子、それはつまみじゃないわよ」
おつまみはメリーの指。汗の様な塩味のついたメリーソーセージ。
「指、離しなさい。怒るわよ」
関節がコリコリと音を鳴らす。爪がスベスベして気持ちがいい。
「蓮子、やめなさい。お腹がすいたのなら何か用意するから」
「んー……。これでじゅぅぶん」
指を舐めながら返事をする。おかしいな。いつもなら私よりメリーが酔っ払って大変なことになってるのに。
「はぁ……。ていっ」
そんな風にかわいらしくメリーが言って、かわいらしくない音が頭からなった。ゴスリ。
「いひゃい」
「なら離しなさいよ、もう」
自分から抜けばいいのに。まあ、私から抜くけど。
「メリー」
「何よ」
「すきー」
頭がぽやぽやして、おなかがちゃぷちゃぷする。
テーブルの上には大量の缶とビン。
アーシウムの赤としまむらさきとファジーネーブルとブラッディメリーの海に泳いでる感じ。
あらら、メリーじゃない。メアリーだった。
「これ、ブラッディメリーって名前だったら、メリーを私が飲んじゃってるんだよね、きっと」
「……少し酔い過ぎよ?それに、私って何を飲むのよ、私の何を」
「唾液?もしくは血とか、涙とか。血も涙もないって涙の元は血なんだから、血がなかったら涙もないよね」
「たまに蓮子が酔っ払ってるのかどうかがわからなくなるんだけど。言ってることは目茶苦茶なのに、意味は通るし呂律もそれなりだし」
酔っ払ってるよしっかり。うん。にぱー。
「子供じゃないんだから。いやまあ」
むにゅむにゅ。途中から突っ伏したから、最後の方は聞えなかった。
ああ、メリーがおいしい。
「蓮子、そろそろ寝ないと」
「眠りながら起きるっ!あー、揺れる、頭」
「水持ってくるから飲みなさい、ね」
ああ、いいお嫁さんを持った。お嫁さんじゃないけど。でも、本当に嫁にしたいかもしれない。しれない。
可能性の綱渡り。隣にいるのがメリーじゃなかったかもしれないし、今の様な関係ではなかったかもしれない。しれない。しれない。
「難しいこと考えると、あたまぁ回るぅ」
やっぱり酔ってる。冷静な思考と泥酔した自分が綱渡り。
「ニマニマしてて気持ち悪いわね、なんだか」
上から声がした。見上げるとメリー。コップに半分ほどの水を持って、短めのスカートからショーツが見える。白で透けていた。
「ほら、お水」
「ありがとー」
お礼を口に出して水を受け取る。
「メリーはいいお嫁さんになるね。私の」
「蓮子のお嫁さんなんかになったら、毎日が大変ですぐに離婚ね、家庭内で」
「常に私が隣にいるから、別居はない、はず」
「他の人と口を聞いただけで嫉妬されそうね、それだと」
私蓮子さん、今メリーと一緒にいるの。メリーと私で夢のなか。
「メリー」
「なに?」
「新婚旅行は蝦夷にしよう」
「今は江戸時代じゃないわよ」
そっか、時代が違うのか。
「新婚旅行はアイヌの地にしよう」
「まず結婚出来るかを考えなさい」
「指輪はないけど結婚しよう、メリー」
「素面で言いなさい、そういうことは」
欠伸をひとつ。ふたつ。最初がメリーで、次が私。
「寝よっか」
「そうね。早く寝て、早く起きましょうか」
「今日はメリー、そんなに飲まなかったね」
「口内炎出来てて、おいしくないから」
痛いよね、口内炎は。
「ねえ、メリー。おやすみのキスは?」
「はいはい。おやすみなさい」
おでこにちょんっと唇が乗っかった。
「ん、おやすみメリー」
まだ布団にくるまるどころか立ち上がってすらいないのに、こんなところで挨拶する。
まあ、いいじゃない。
眠いし。
「よし。メリーをお姫様だっこだ」
立ち上がり、足を引っ掛けて転ばせて、腕で支える。そのままブライダルお姫様だっこに移行して、一歩、二歩、床に前のめりに転ぶ。これが本当のマエノメリー・ハーン。
「きゃ、ぐぅっ!」
あ、すごい音がした。メリーが私の下でのたうってる。
かわいいなぁ、メリー。
ああ、眠い。
「先に行ってるから、遊び終わったら来てね」
「れ、れん、こぉ。おぼえて、なさいよ……」
私は今度は転ばない様に、ゆっくりと温かな布団へと向かっていった。
流石に、布団と毛布を使うのは、もう暑いか。
まあ、実際やってみたらあんなの出来てしまったんですが(汗)
友達でいてほしいと思うのは私だけ・・・?
ごちそうさまでした
今夜、酒飲む予定
どうしよう
というか、朝飯がきつい私の蓮子はどこかしら
酔っ払うと論理のタガがおかしくなって、飛躍した思考/行動を取りやすくなるから、それだけで立派な芸術だと言う気もする。
二人の関係が心地よい一品でした。
ごちそうさまでした。
私は一向に構わん!
テンポよくサクサク読めたので後味すっきり!面白かった!