「ススキ?・・・ああ。そういえば今日は満月だっけ」
日傘の下から未だ明るい空を仰ぐ。当然のことながら月は見えず、今日も今日とて眩しいくらいの太陽が幻想郷を照らしている。このぶんなら雨の心配もないだろう。
「はい。なので師匠が分けて貰ってこいと」
「まったく毎回毎回・・・自分たちで育てる気はないの?」
「すみません・・・。家だと薬の材料にされたり、燃えたり、悪戯されたりでなかなか育ってくれなくて」
問題のありすぎる家庭環境らしい。
「なるほど。それであなたが駆り出されてきた、と。――――じゃあ責任重大ね」
あの屋敷に住む者たちは、確か月から降りてきたはず。なら彼女たちにとっての「月見」とは、私たちよりも違った意味合いがあるからだ。想像もできないけど、それは大事なことに違いない。
―――――けど。
「気分の悪くなる話をありがとう。できれば、早々にこの場から立ち去ってもらえる?」
花たちが落ち着かないから、と背を向け歩き出す。
「待ってください!」
そりゃあ納得できないか。
「待って・・・、待ってください!」
大事なご主人様を喜ばせたいだろうしね。
「待ってって―――――!」
言ってるでしょー、と彼女の瞳がより一層紅く強く光る。
本当ならこんなことで弾幕遊びをする気にはならないんだけど・・・。
「子供たちを護るのは親の仕事だもの、しょうがないか――――」
とりあえず日焼けには気をつけて。
周りに被害がでないよう、細心の注意を払うことにした。
勝敗は言うまでもなく、私の圧勝だった。
花畑に一切の被害がなかったのも重畳で、第三者が通りかかっても、ウサギが倒れていることを除けばきっと何があったかさえもわからないだろう。
そんな状況下で私は嘆息し、そっと彼女の横にしゃがみこんでみた。覗き込んだ様子は、もう話す体力もないのだろう。この場にそぐわない荒々しい呼吸音だけが口から漏れていた。
「あなた、花言葉って知ってる?」
私はそんなことを訊いていた。いきなりの話題についていけず、彼女は目を丸くしている。当然だ、自分自身なにを言いたいのかよくわからないのだから。
それでも無理矢理に言葉を紡ぐ。
「この子たちはね?それぞれが一番伝えたい言葉を秘めてるの」
喜び、怒り、哀しみ、期待、愛、夢。
形は様々で、想いも違うけど。
「どれもが一途でどれもが純粋。そんな気持ちがよくわかるから、私はこの子たちが愛しいの」
だからこそ我が子のように慈しみ、愛し、愛でて、枯れてしまう時は涙を流し、心の底から別れを惜しむ。
「あなたにも大事な人たちがいるでしょう?私にとっても花はそういうものだから、さっきみたいな話を聞くとどうしても、ね」
すっと目を閉じ、風にそよぐ声を聞く。
「私みたいになれとは言わないけど、せめて少しは気にかけてあげて?花だって生きてるんだから」
いつの間にか、自分でも驚くほど優しい声で話しかけていた。
しばしの間の後、
「・・・・・・」
彼女は消え入りそうな声で何か言うと、まもなくして眠ってしまった。
ごめんなさい、か。
思えば誰かとこんなに話したのも自分の気持ちを語ったのも久しぶりだった。
気持ちは今日の天気のように晴れ晴れとしている。
「たまには、こんなことがあってもいいかもしれないわね」
穏やかに眠る彼女の横にススキの花を置いてあげる。
そういえばススキの花言葉は―――――、
「なんだ、お似合いじゃない」
花言葉は花が一番伝えたい言葉。
それは総じて自分にも当てはまるものだ。
うん、決めた。今日は月見をしよう。
多くの花たちと共に見上げる月は格別に違いないのだから。
本当は30点の所だけど、名前が好物のたこ焼きだから50点追加しとくよ。
やはり題材にするなら答えを書かないと判りにくいかと…
この場合、伝えたかったことは「心が通じる」でしょうか?
偉そうに勝手な解釈すみませんでした
一人だけ住人じゃない奴がいるw
Sッ気が勝りがちだけどw