Coolier - 新生・東方創想話

妹紅の散々な一日

2009/04/19 00:22:18
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「ひまだぁぁ~」
妹紅が湿気を含んだ畳の上をゴロゴロと回転している。
「妹紅、少し静かにしてくれ」
慧音は寺子屋の宿題に追われ、一日中机に向かっていた。
「慧音~、遊ぼうよ~」
妹紅はむくっと起き上がった。
そして、ぬるぬると慧音の方に近づいて来た。
「ねぇ、慧音~?」
妹紅の手が青く長い慧音の髪に触れた。
すると、慧音は小さくため息をつき、筆を机に置いた。
そして振り返ると、妹紅の目を見た。
「妹紅、少し静かにしてくれないか?」
彼女の目はものすごく鋭く、強く訴えかけていた。
「なっ‥‥、むぅ‥わかったよ」
妹紅は、何か言いたそうだったが、何も言わずに立ち上がり廊下に出て行った。
すこしすると、玄関の戸が閉まった音がした。
慧音は再び筆をとると机に向かった。

「ったくなんだよ。慧音は~」
慧音の家を出た妹紅は竹林の中を歩いていた。
雨は降っていないが今日は湿度が高い。竹林にもうっすら靄がかかっている。
「今日は天気悪いしなぁ~、出て来ても何もないな」
その時背後に‥殺気が‥‥
「むっ、何者!?」
妹紅は素早く振り返った。
するとそこに‥
「はぁーい、妹紅?」
妹紅の宿敵、蓬莱山輝夜だった。
「妹紅?やけに調子が悪そうね?」
輝夜は長い袖を口に前に持っていきくすくすと笑った。
「うるさいな、お前こそなんなんだ?今日はやけにうれしそうだな」
妹紅には輝夜の気持ちは読み取れなかったが、何となく言い返してみた。
「あら、わかるぅ?そうなのよ、私ね永琳に新しい着物買ってもらっちゃったのよ?」
輝夜はうれしそうにくるくる回っている。
(なんだこいつ、いやなやつだな)
妹紅の頭には怒りが込み上げてきた。
「あ~ら?藤原さん?下を向いて何か考え事かしら?」
輝夜の呼び方がさっきまで使っていた『妹紅』という呼び方ではなく『藤原さん』になっていた。
妹紅の手はポケットの中で小刻みに震えていた。心の奥深くにある怒りを抑えながら‥‥
「相変わらず、藤原さんは同じ服ね。あ、間違えちゃった、服じゃなくてそれじゃあ布よね。あっはっは!!」
妹紅の怒りは最高点に達した。
「輝夜、いいかげんにしろよ!黙って聞いてりゃ好き放題言いやがって!!」
「あらあら、そんな頭から煙なんか出しちゃって?事実じゃないのぉ?」
輝夜は細い目で見てくる。妹紅は精神的攻撃の標的となっていた。
「っくぅ‥‥畜生!!」
妹紅は悔しくてたまらなかった。心底悔しかった。でも今日の天気は彼女を戦わせなかった。
妹紅はあふれてくる涙を袖で拭うと、竹林の中を走っていった。

後ろから輝夜の笑い声が聞こえてくる。
その声は竹林中を包み込んでいて、いくら走っても逃げられない感じがした。
「きゃははははっ、弱虫ねっ!きゃはははは‥‥!」
妹紅は走った。どこまでも、どこまでも。甲高く笑う声が聞こえなくなるところまで。
すると突然目の前に小さな水たまりがあった。
「うわっ、まずいっ」
気づいたが時既に遅し。妹紅は見事に水たまりに落ちてしまった。
「うわ~ん、もうやだよぅ~」
妹紅は自分が嫌になっていた。
今日という日が本当につらくなって、いち早く明日になってほしかった。
もう、涙を拭う気にもならなかった。

てぼてぼと、泥だらけになった服で竹林を歩いた。
そして、家に戻ろうとした時、後ろから聞き覚えのある声が‥‥
「妹紅さん?どうしたんですか?」
一瞬妹紅には誰だか理解できなかった。おそるおそる振り返るとそこには。
「なんですか?また姫様と戦ったんですか?」
笑顔がかわいい月の兎、鈴仙・優曇華院・イナバだった。
「いつも姫様が迷惑かけてすいませんです」
鈴仙は深く頭を下げた。
「あっ、いや、そんな、あなたが謝るなんて」
さっきまで泣いていた彼女は驚きのあまり泣く事を忘れていた。
「もし、私で良かったら何かいたしましょうか?」
突然、鈴仙は話し始めた。
「いつも、姫様があなたを襲っているので、かなりご苦労な事と思いまして」
「いや、本当に大丈夫ですから‥ね?」
「そうですか‥‥」
「じゃあ、失礼しますねっ!」
妹紅は恥ずかしくなり、その場から早く去りたかった。
きょとんとした目で見る鈴仙を後目に一目散に走っていった。
「もう、なんなんだよ、イナバまで‥‥」

妹紅はいち早く家に着きたいがためにただただ走り続けた。ちょっとした角を曲がった時目に前に人影が‥‥
さっきの水たまりの二の舞になるまいとさっと身をかわすと人影も同時に同じ方に動き、結果ぶつかってしまった。
ドサッ‥
妹紅は地面にしりもちをついた。
「っててて‥‥、てめぇ、前見ろ‥ょ‥?」
そこには、
「妹紅、さっきはすまなかった」
優しい目で、手を伸ばす慧音がいた。
「っ!慧音!」
「妹紅、さっきはつい忙しくてお前の相手ができなかった。許してくれ」
「慧音‥‥」
「さ、帰ろう、今日は私の家に泊まってくか?」
「う、うん」
のばした慧音の手をつかみ、妹紅は立ち上がった。
「妹紅、お前、汚いなぁ」
「う、うるさいよ。ちょっと転んだだけだもん」
「今夜風呂で洗ってやる」
そういうと慧音は歩き始めた。
「私、風呂苦手だもん」
妹紅もあとをついていく。
「汚いよりましだろう、今日は何があった?また永遠亭のお嬢様と戦ったのか?」
「今日は‥‥負けた‥」
「そうか、なら仕方ないな」

慧音の家に着くと、妹紅を居間に残し、慧音は風呂を炊きにいった。
「はぁぁ、疲れたなぁ」
妹紅は、湿気を含んだ畳の上にゴロンと転がった。
「元通りだなぁ」
さっき慧音の家にいた時と同じ‥‥のはずだが‥
「妹紅~、風呂炊けたぞ~」
慧音の声だ。
「は~い、今行くよぉ」
妹紅は起き上がると風呂場へ歩いていった。

幻想郷にある竹林。
その中に佇‥‥
「ぎょへぇっっぇぇ!!慧音!!!どこ触ってんの!」
「背中を洗ってるだけだぞ?ほら、動くな」
「変なとこ触るなぁ!!」
「動くともっとやるぞ?」
「もっとやるって‥‥触ってるの認めてるじゃん!!」
「はは、バレたか‥‥」
仲良し慧音と妹紅。

終わり
けねもこ二作目。

結構がんばってみました。
求聞史紀もよみました。
ぱるぽん
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コメント



0.360簡易評価
2.50名前が無い程度の能力削除
姫の嫌がらせが童話チックで面白かった。小公女セーラみたいな。
それに真剣に打撃を受ける妹紅と真面目に慰めるイナバという。
この世界観で真っ正面へ突っ走ってくれたら、なんか凄いモノが見れそうな気がした。
6.70丸ひ削除
頑張っていますね!
私はかぐもこ派なので、満足です。
8.10名前が無い程度の能力削除
びっくりするくらい違和感がある。
キャラ名だけ使っても東方っぽく見えない。
10.無評価ぱるぽん削除
コメントありがとうございます。
2>そうですね、なんだかどうなってしまうのやら‥‥
6>かぐもこですか。そっちにも傾いてみようかな(あはは
8>そうですね。もっと東方チックな場面にしたいです。
11.無評価名前が無い程度の能力削除
これは酷い……
13.無評価ぱるぽん削除
11>もし宜しければ、点数をください。そうか、0点はないのか。

みなさん、少し東方を学ぶために投稿を押さえたいと思います。
コメント返信もできなくなります。
どうぞ、ご理解ください。
それでは、またあうときまで。
14.40名前が無い程度の能力削除
これはこれでありな気も。話がちょっと唐突すぎるけどね。
15.無評価名前が無い程度の能力削除
ここは東方と言う「ゲーム」が好きな人が集まってる場所だと理解して下さい
そんな所で「ゲームしてません、本だけ読んで頑張ってみました」等の発言を好意的に受け止める人がいるでしょうか?
ご自分の行動を自省される事をお勧めします
17.50名前が無い程度の能力削除
>>15 自省するのはおめぇさんだよ。
文章の善し悪しはともかく、ここはそんな心の狭い場所じゃないだろう。
単なる「俺の考えた東方」を発表する場所だろ。
細けぇ事はいいんだよ。仲良くやってこうじゃねぇか。