始まりは、宴会で魔理沙が美鈴に放った一言だった。
「なあ美鈴、お前誰にでも優しく接するけどさあ、嫌いなヤツとかいないのか?」
その問いは魔理沙にとっては何気ない質問であり、ちょっと気になったから聞いてみようか……程度のものであった。
しかし、その問いを聞いた紅魔館の者達は一様に慌てはじめた。
(ど、どうしましょう。もし私が苦手なんて言われたら……
普段からナイフを投げているし、嫌われても仕方ないわよね……
でもアレは照れ隠しなのよ!ほんとはあなたのことが好きなのよ!)
(マズい、普段からワガママばかり言って困らせているからな……
もし嫌われてて、あの癒しおっぱいにダイブできないとなると……
ダメよ美鈴!私が甘えられるのは貴方だけなのよ!)
(いつも魔理沙を通しちゃうことを責めてるけど、まさかね……?
違うわ!本当は知っているの、あなたが私のためにわざと魔理沙を通してるって……
それにお互い気付いて無いフリをしていたけど、本当は感謝してるのよ!)
(え……?私のことかな……?いつもメイのこと困らせちゃうし……
や……やだやだ!メイに嫌われるなんてやだやだやだ!!)
どうやら紅魔館の面々は美鈴に嫌われてるのではないかと慌てているようだ。
特に珍しく宴会に参加していたフランドールは、狂気発動一歩手前まで来ている。
こんだけ愛しているならばもう少し普段からいたわってやればいいと思うが、
本当にどうしようもないツンデレ館である。
そんなこんなで魔理沙にとっては日常会話、紅魔館の面々にとっては最終判決に等しいこの問いの答えを、
魔理沙は酒を飲みながら、紅魔館の面々は目を血走らせながら待った。
そして美鈴は……
「やだなぁ~!私に嫌いな人なんて居ませんよぉ~。私はホラ、博愛主義ですから。」
と、満面の笑みで答えた。
それを聞いた魔理沙は「なんでぇつまんねぇ~」と口を尖らせ、紅魔館の面々は体中の酸素を全て吐き出す勢いで、
ふぅと安心したため息をつくのであった。
その後はこの話題を引っ張ることもなく、これといった事件もなく宴会はお開き。
それぞれが帰路につく中、紅魔館の面々も帰り始めた。
何故か全員美鈴にひっついて飛行。しかも何故かいつもよりも優しい言葉をかけてくる。
そんな様子の面々を不思議に思いつつも、幸せな気分で帰路につく美鈴であった。
FIN
と、ここで終わればほのぼの紅魔館ストーリーであったのだが、そうは問屋が下さない方々が居た。
具体的には五人。なにやら黒いオーラを出しつつ、一堂に集まっている。
「聞いた?あの門番、嫌いな人がいないんだってさ!」
「博愛主義で善人気取り?気に入らないわね。」
「まったくありえませんね。生きていく上で相性が悪いという人は必ず存在します。」
「まったく、博愛主義なんて、ただの戯言よねぇ。腹が立つわぁ。
ねぇリーダー、どうする?こんな寝言を言っている偽善者を許せるかしら?」
リーダーと呼ばれた女性は、その問いに頷いた。
「もちろん、許せるわけがありません。私達を前にして嫌わない者などいないのです。
明日、確かめてみましょう。実際に彼女に会い、本当に嫌わないかどうかをね。」
「賛成だわ!ま、どーせ10秒で不快感を感じるに決まってるけどね!」
「1分持てばいい方ね。それ以降は会話をすることすら苦痛に感じるはず。」
「うふふ、楽しみだわぁ。あの偽善者の本性を暴くのが。」
「……では、やりますか。」
五人は手を合わせる。そして、高らかに叫んだ。
『我等、嫌われ五人衆!!!』
ドカーン!!と5色の煙が出てもおかしくない叫びであるが、
残念ながらここは神社なのでそんなものは出ない。
仮に出るとしても、色は一色だけであろう。黒オンリー。どこのボヤだ。
「あんたら、はやく帰りなさいよ……」
その様子を片付けながら眺めていた霊夢は、呆れながらため息をついた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、夜も明け、五人は再び集まった。
今度は神社ではなく、紅魔館にほど近い場所にある、1つの小屋である。
ここからなら美鈴の様子が難なく伺えるし、耳をすませれば会話を聞くことも可能。
まさに本作戦『H.N.美鈴は博愛主義なのか?』の本部にはうってつけの場所なのである。
「こらー!あんたら何勝手にあたいの家にあがってるのよ!出ていきなさいよ!」
問題があるとすれば、既に先住民が居ることであろうか。
そう、ここはただの小屋でなく、チルノの家。それに勝手にあがりこんで本部にしているのだ。
こんなネクラな集団ではあるが実力だけはやけにあるメンバーが揃っている。
チルノは抵抗空しく壁にしばりつけられて放置されているのだ。
「心配しなくてもこの家を乗っ取るつもりはないですよ。
ただこの作戦中だけ貸してほしいだけです。」
「だったらなんで縛るのさ!」
「あなたは門番と仲がいいですからね。解けば確実にあっちに行って妨害するでしょう。」
「う……」
「まぁ安心しなさいよ、すぐ終わるわ。」
そう言って立ちあがる一人目のメンバー。彼女から出される黒いオーラはなかなかのものである。
「お、最初はあんたが行くのね?」
「ええ、お先に失礼するわ。あなた達には悪いけど、あなた達の出番が無くても証明できちゃうかもね。
あの女の言う博愛主義なんか、嘘っぱちだってことがね!」
そして一人目が、門に向かって歩きはじめた……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
LEVEL1:“妬み”のパルスィ
昨日から急に何故か優しくなった紅魔館の面々
今日も思いっきり二日酔いで寝坊してしまったのだが、何故か咲夜からのお咎めもナイフも無し。
ちょっと物足りなく思いつつも、遅れた分を取り戻すため門番に励む美鈴であった。
「ん?あれは……確か地下の?」
と目に入るのは、門番に向かってくる一人の女性。
茶色の服に金髪、瞳は碧色に染まっていて、こちらをにらみつけている。
「あなたが、紅美鈴ね?」
にらみつけたまま名前を問う。名前など既に知っているのだが、
会話のきっかけ……というより妬むきっかけを作るためである。
「あー、どうも。あなたは……」
「パルスィよ。水橋パルスィ。始めまして。
それにしてもあなた……妬ましいわね。」
「ね、妬ましい?」
「そうよ、ああ妬ましいわ。まずはその胸。それだけあれば私みたいに小さいからと悩むこともないでしょうね。
そしてその性格。明るいわよね?なんでそんなに明るくなれるの?妬ましいわ。
そしてあなた、どうしてそんなに好かれるの?どうしてそんなに幸せそうなの?
ほんっっとうに妬ましい!!あなたは私が持っていないものを全て持ってる!妬ましいわ!」
まくし立てるように美鈴を責めたてるパルスィ。
彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
果たして今の行動は嫌われるための行動であるのか、それとも本人を前にして思わず出てしまった本音であるのか
それはパルスィ自身にもわからなくなっていた。
「はぁ……ごめんなさいね。でもこれで分かったでしょう?
幻想郷には私みたいにどうしようも無いネクラもいるの。
こんな私を見て、本当に博愛主義と言える?みんなを愛せると言えるの?」
美鈴はただ黙ってパルスィの独白を聞いていた
美鈴は困惑していた。生まれてこの方、妬ましいなどとは一度も言われたことが無かった。
むしろ自分は……
「……私はそんなに妬まれるほどの人間じゃないですよ。
むしろ逆です。要領悪いし、すぐ怒られるし、弾幕もすぐ負けちゃうし。
私だって咲夜さんやお嬢様に嫉妬したことはありますよ。」
「はっ!ようやく本性をあらわしたわね!妬ましくって嫌いなヤツもいるのでしょう!?」
「いいえ、でも私はみんなが好きです。嫌いな人なんて居ません。」
「どうしてよ!妬んでいるのに嫌いじゃないって、おかしいでしょ!」
「何もおかしくありませんよ。好きだからこそ、嫉妬するんです。」
美鈴のその言葉に、パルスィはハッと息を飲む
「嫉妬ってのは汚い感情に思えてしまうかもしれないけど、
その人の良さが分かっていないと生まれない感情です。
だから私は、嫉妬を否定しません。それだけその人のことを強く想うってことですから。
もちろん貴方も否定しませんよ。嫉妬、いいじゃないですか。
一緒に嫉妬しましょうよ。主に弾幕が強い人とか。」
ゆっくりと諭すように、しかし最後にはてへりと笑って。
パルスィはこの瞬間、負けを確信した。だって私はこの人に、嫌われることが出来なかったから。
私を、認めてくれたから。
だから笑顔で言ってやるのだ。
「美鈴……優しいあなたが、妬ましいわ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、場所は戻って本部である。
4人はずっとパルスィと美鈴の戦いを観戦していた。
そしてパルスィが美鈴に抱きつくのを見て、彼女が完全に敗れたことをさとった。
ちなみにパルスィは、これまで見せたことのないほどの清々しい笑顔で、スキップしながら帰っていった。
「ねったまし~い♪ねったまし~い♪」
というよくわからない鼻歌と共に。キャラ崩壊もいいところである。
「パルスィは落ちたか……」
「ふん、まあヤツは私達の中でも最弱……」
「ここからが本番ですよ……」
「ちょっと、それは3人まとめて串刺しフラグだからやめなさい!」
悪の幹部ごっこを始めた3人をリーダーがたしなめる。
どこからか妖夢がやってくる前に本題に戻さなくては。
3人も元のテンションに戻り、会話を続ける
「でもアレねぇ、予想以上に手強いわね、紅美鈴。」
「あの人にウザがられること間違いなしの嫉妬ラッシュをなんなく受け流して反撃。
流石は博愛主義を名乗るだけのことはあります。」
「……ま、でも私の前じゃ通用しないけどね。」
2人目が立ちあがった。その顔は自信に満ちている。
「パルスィの敗因は、嫌われていることを嫌がっていたことさ。
私は違う。嫌われるということを自分にとってプラスに出来る。
まさにここからが本番だよ。じゃあ、行ってきます!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
LEVEL2 “マゾヒスト”の天子
元気になったパルスィを見送った後、美鈴はパルスィのことを考えていた。
結果的に彼女との距離を縮められたと思う。しかし彼女はなんのために来たのだろうか。
紅魔館に用があったとも思えないし、だとしたら自分に……?
と思い悩んでいると、前方からダッシュでこちらにやってくる影があった。
あの顔には確か見覚えがある。
自分は留守番をしていたが、咲夜さんやお嬢様が話していた「困り者の天人」……
「確か、てんこさん?」
「てんこって言うな!!」
出鼻をくじかれたてんこ……じゃなく天子は地団太を踏みながら叫んだ
おっといけない、彼女のペースに飲まれたら負ける。
天子は無い胸を前に出し、威張り散らし始めた。
「私は誇り高き天人、比那名居天子よ!!天人ってなんで書くか分かる?天の人って書くの。
つまりアンタみたいな凡人よりも遥か高みにいる人間ってワケ!
どう?恐れ入った?ちゃんと言葉使いには気をつけるのよ!!」
完璧だ……と天子は思った。こんだけ威張り散らしていれば、確実に相手は不快感を感じる。
実際のところ天子自身はそんなに天人が偉いとも考えていないし、
幻想郷を見下しているわけでもない。しかし、こうすることに意味があるのだ。
これで相手は私のことを嫌って、そして……
「へぇ、凄い人なんですねぇ。」
……って納得しちゃったよ!そうじゃないでしょ!
「ちょっと!今の聞いて何か思わなかったの!?
偉そうだとか、ワガママそうだとか!ムカつくだとか!」
「いえ別に……偉そうなのもワガママなのも、両方備えてる人がウチの主ですからねぇ。
むしろ今くらいじゃ微笑ましいくらいですよ。カワイイです。」
「なっ……!」
なんたる失態!そうだった、ここの主は私に負けないぐらい偉そうでワガママなんだった!
でもダメなのよ!それじゃあ私の望みは叶えられない、もっと……
「もっといろいろあるでしょう!ムカついたとか、しばきたいとか!
本性出しなさいよ!それで、私をもっとなじって!!」
そう、私は人に叱られたり、なじられたり、叩かれたりすることで快感を覚える人間なのだ。
これがパルスィとの相違点。私は人に嫌われることを恐れない、むしろ自分の快楽にできる!
ほら見なさい、今の言葉を聞いた美鈴が、表情を険しくし始めた。
もう嫌われたことは確定的に明らか!ここからはどんな言葉を投げつけられるか!
楽しみでしょうがないわ!
「つまり貴方は私になじられたいんですか?」
「そうよ!私はそういう扱いを受けるのが大好きなの!さあ、はやく私を……」
「私はウソはつきたくありません。私はあなたを嫌いじゃない、だから私はなじったりしない。あなたを傷つけたくない。」
「何よ、また博愛主義?ふざけんじゃないわよ!私の望みは……」
「だから貴方も、ウソをつかないでください。」
「ウソ……何言ってるのよ、私は!」
「嫌われたいなんてウソですよね?私は得意なんですよ、そういうの見抜くの。
あなたはただ……」
「やめて……」
「『構ってほしい』、それだけです。」
「やめて!!」
心の中の何かが、崩れていく音がした。
それは自分が必死に守っていたもので、でもそれはとてもくだらないもので。
構ってほしい。だけど他の天人は誰も構ってくれない。
いつしかそれが歪みに歪んで、他人から傷つけられたいという願望に変わっていた。
だって、それでも無視されるよりはずっとマシだから。
「あなたが自分を偽ってるのは分かってましたよ。これまたウチにも居るんですよね。
自分は孤独が好きだと偽って、他の人を傷つけまいとしてる優しい妹様が。
だから言ってあげるんです。私が受けとめてあげるから、偽らなくていいから、
どんどん甘えてください……ってね。」
それが限界だった。もう私の心を偽っていた壁は崩壊した。
全てのしがらみから解かれた私は、美鈴の胸に飛び込んだ。
「めーりーん!私……ほんとは寂しかったの!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本部という名のチルノの家。
冷やかな雰囲気が流れているのは、チルノの家だからだろうか。
いやそれだけではない。ある1人から流れ出るオーラが、ここの空気を急速に冷やしているのだ。
「あーあ、くだらない茶番を見せられたわ。しかも2回も!
ねぇ、そう思うでしょ?2人とも……!」
鬼のような形相で睨みつけるその人。
残りの2人は抱き合って震えるだけである。
同じ抱き合うでも天子と美鈴の和やかな雰囲気とは天地の差である。
「もう我慢できないわ。私が行ってくる。
ククク……あの門番に地獄を見せてあげるわ。」
そう言ってニタリと笑ったその顔は、それだけで人を殺せるほどの威力を持っていた。
そして三人目は、ゆったりと門番のいる場所へ歩き出した……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
LEVEL3 “サディスト”の幽香
天子は存分に胸の中で甘えた後、満足そうに帰っていった。
ここは天界とは違う。幻想郷は全てを受け入れる。
マゾヒストの真似事などしなくても、きっと素直な彼女を受け入れてくれる。
美鈴はそう確信していた。
「しかし……彼女もやはり私に用があったみたいですね。
なんなんだろう……?昨日の宴会で何かあったかな?」
その宴会での発言が原因なのだが、生憎美鈴はそのやり取りを強く意識していたわけではなかった。
まさか時間にして10秒程度のやり取りがこんな騒動を引き起こしているとは夢にも思っていなかったのである。
そして、前方から歩いてくる存在に気付いて、やはり昨日何かがあったんだと確信する。
更に戦闘体勢を取り身構える。そうせざるを得ない相手だからだ。
「ごきげんよう紅美鈴。よいお天気ですわね。」
「風見、幽香さん、何か御用ですか?」
そう聞いたのは社交辞令。本当は一目見た瞬間から理解している。
隠す気すらまったくない『殺気』。この人は戦うつもりだ、と。
「あらあら、そんなに警戒しちゃって。怖いわぁ。
さっきの2人には優しく接したくせに、やっぱり私って嫌われ者なのねぇ。」
「そんな殺気を振りまいてるからですよ。別に嫌っているわけじゃありません。
その殺気を収めてくれれば、客としてもてなしますよ。」
「……ほんっともう、その偽善っぷりには腹が立ってしょうがないわ!
だったら無理矢理にでも恐怖を植えつけてあげる!!」
幽香は持っていた日傘を広げ、美鈴に向けた。
傘の先端が激しく光る。これはそう、美鈴が何度も何度も魔理沙から受けている、あの攻撃だ。
「食らいなさい!『マスタースパーク』!!」
巨大なレーザーが美鈴を飲み込む。
それと同時に、轟音と共に門を吹き飛ばした
「言っておくけど、私は嫌われ者であることを誇っているわ。
孤高とは強さ。絶対的な強さを持つ私に仲間など必要ない。
嫌われ者でありたくないと願うのは弱いからよ。私は常に、嫌われ者でありたいと願うわ。
だって、それほど私を畏怖してくれる人がいることって、素敵じゃない?」
幽香は瓦礫の山に向かって語りかける。
そして瓦礫の山で倒れていた美鈴が、身体を起こした。
「……まぁ、そういうあなたの考えを否定はしませんよ。
それがあなたの生き方なんでしょうから。」
「あら、分かってくれたの?嬉しいわ。」
「ええ、ただし……」
美鈴は、挑発的な笑みを浮かべて言い放つ。
「私は、貴方のことを嫌いませんけどね。」
それを聞いて、幽香はふたたび不機嫌な表情となる。
「あなたの生き方があるように私の生き方もある。
私は博愛主義ですから、みんな好きです。嫌いな人なんていません。」
「こんな私を好きですって?おべっかはいらないわ。」
「いいえ好きですよ。お花を愛でている時の貴方が、特に好きです。」
ニヤッと笑いながら言う美鈴。
すると今度は、幽香の顔が不機嫌なものから段々と赤みを増した顔に変化していく。
「私も紅魔館のガーデニングを担当してまして、お花が大好きなんですよ。
ですから、一度あなたとお花についてお話したいなと考えていたんです。
それで、更にガーデニングの指導もしてほしいなって……ダメですかね?」
今度は上目使い。幽香は思った。やられた、と。
だがせめて、せめてこの能天気に反撃をしてやろうと思い、言い放った。
「べっ、べつにどうしてもっていうなら話ぐらいならしてあげるわよっ!
今度向日葵畑に来るといいわ!本当のガーデニングを教えてあげるから覚悟なさい!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本部と言う名のチルノの家。
空気が冷えているのはチルノのせいではない。
さっきの光景を見た、見させられた二人の空気そのものだ。
更に言うなら幽香が出る前の恐怖による冷え込みではなく、
言わば呆れ、わかりやすく表現するならば「しら~……」という感じの空気だ。
「……ツンデレ、ですか。」
「随分とツンが強いツンデレですね。」
そう、2人が冷え切っている理由がこれだ。
てっきりバトルになると思いきやまさかのツンデレオチ。
決してバトルを望んでいたわけじゃないが、ツンデレはもっと望んでいなかった。
「しかしあの風見幽香をツンデレ化させてしまうとは、紅美鈴恐るべき、ですね。
次はあなたの番ですが、行けますか?」
「任せてください。もともとあの門番には近々会うつもりでしたから。
ついでです、幻想郷きっての嫌われ者の力を思い知らせてきましょう。」
「流石、頼もしいですね。」
「当然です。私ほど嫌われてるのは、あなたぐらいしかいません。」
「褒め言葉として受けとっておきましょう。」
自信たっぷりの顔で、四人目が出陣した。
嫌われ五人衆、NO2の実力者である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
LEVEL4“説教魔”の四季映姫
いずれ会う約束をして、幽香と別れた。
被害は門の一部と自分の身体だけ。
このマスタースパークも威力を抑え気味だったようで、このまま門番を続けることに支障は無い。
何より、この場を離れるわけにはいかなかった。まだ、先ほどのような珍客が来ることが予想されるからである。
先ほどの幽香との会話で、ようやく美鈴自身、彼女らの目的が見えてきた。
そして自分がここまで絡まれることになった要因も。
「つまり、博愛主義が気に入らない、というわけですか……そうですよね?閻魔様。」
美鈴はすぐ傍まで着ていた映姫に問い掛ける。
四季映姫・ヤマザナドゥ。言わずとしれた幻想郷最強クラスの閻魔であり、
胸の小ささと説教の長さには定評がある。
「ええ。我々は嫌われ者の集まりとして手を組んだ。
あなたの言う博愛主義が本当に正しいのか、私なりに言うならば、白か、黒かどちらなのかをね。」
「それで、どっちなんです?」
「残念ながら、黒ですね。」
映姫は持っていた悔悟棒を美鈴につきつける。
「あなたは確かに『気を使う能力』のおかげか、本来の性格かわかりませんが、
非常に対人関係を取ることに長けています。
たいていの人妖には好かれるし、あなたもたいていの人妖を好くことができる。
恐らくこうして説教をすることで煙たがられている私にも、
きっと貴方は「嫌いじゃない」と言うことでしょう。
しかし、それら全てが真実であるとは、私には思えない。」
「つまり、私が好きだと言っているのがウソだと言うんですか?」
「もちろん貴方の博愛主義というものは本当でしょう。
しかしそれと同時に貴方は他人に『気を使う』ことを非常に得意としている
波風を立てず、よりよい関係を保つために、そっと自分の本心を押しこめる。
その程度の嘘でも、していないと断言することができますか?」
美鈴は言いよどむ。確かに自分は、時には気を使い自分の本心を隠すこともしている
現に今も、映姫に対して感じている感情を隠している最中だ。
「関係を潤滑にするためにつく必要なウソもあるでしょう。
しかし紅美鈴。あなたは少しそのウソをつきすぎる。
先程あなたは比那名居天子に対し自分を偽るなと言った。
では貴方はどうですか?自分を偽ってないと言えるのですか?」
「私は……」
「いえ、答えずとも結構です。あなたはまた関係を円滑にするという名目で、
無難な方向に逃げるウソをつくでしょうから。
ですので、こちらで勝手に調べさせて頂きます。」
「か、勝手に調べるって、そんなこと」
「出来るわけがない、ですか?それが出来るのです。
幻想郷きっての嫌われ者、我等が『嫌われ五人衆』のリーダーである彼女ならね。
……来てください、リーダー。」
美鈴はハッとして後ろを振り向く。
そこには、1人の少女が立っていた。
地上の世界そのものから嫌われ地底へと逃げこんだ
心を読む少女、古明地さとりである
LEVEL5“読心”のさとり
その少女は、非常に陰鬱な雰囲気を醸し出していた。
紫色の髪、こちらに注がれるジト目、驚くほど白い肌。
これはまるで……
「パチュリー様にそっくり、ですか。
確かに私も、彼女には近いものを感じますね。」
美鈴は驚くと同時に納得した。この少女が「さとり」なのだ。
心を読む妖怪、古明地さとり。以前パチュリー様から話を聞いたことがある。
相手の思考を読んで、相手のトラウマの弾幕を再現することも出来るとか。
……私のトラウマは間違いなくアレだけど、ここで再現されたらイヤだなあ
「安心してください。マスタースパークは放ちませんので。」
言わずとも伝わったらしい。これは結構助かるかもしれない。
「言わずとも伝わるという点では便利ですね。ですのでペットに対しては人気です。
しかし人間は妖怪に対してはそうはいきません。言語を持つ生物は心を読まれることを 嫌います。
先程私とパチュリー・ノーレッジが似ていると言いました。しかし私と彼女では決定的に違う点がある。
彼女は紅魔館から、霧雨魔理沙から、そして幻想郷から愛されている。
しかし私は違う。人間、妖怪、そして幻想郷から嫌われた存在。
どうです?嫌われ者のリーダーにふさわしいでしょう?」
彼女は自虐的に笑った。その顔がとても悲しくて、私は見ていられなかった。
「お気使いありがとうございます。しかし私よりも、貴方の心配をした方がよいのでは?」
「え?」
「ではリーダー。そろそろ始めてください。彼女が嫌われ者の私達に何を感じているのか、
心の奥深くまで、ズバッと見ぬいてしまってください!」
「がってん承知です!」
「わ!やめ、やめてええ!」
まずい、ここで彼女達に対する私の気持ちがバレるのは非常にマズい。
これだけはバレちゃいけない、これは隠しておかないと……!
「ふむ、どれどれ……!」
その時、さとりに電流走る。
『2人とも、ちっちゃくってかわいいなあ。』
「な……ななななななななななな!!!!」
突如始まった「な」スクラッチ。彼女は先程の幽香に負けず劣らず真っ赤になっている。
「ちょっとリーダー!彼女はなんて考えていたんです!?」
「ち……『ちっちゃくってかわいい』と……」
「な……なななななななななななぁ!?」
更に映姫の顔も真っ赤っ赤になる。
一方の美鈴は、もう読まれたもんは仕方ないと開き直っていた。
もう心を読まれる前に、カミングアウトしてしまおうと。
「いやだって、多分みんなそう思ってると思いますよ。というかみんな言っているし。
嫌われてると思ってるのは、多分あなた達だけじゃないかと……。」
その時、二人を支えていた何かが、崩壊した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チルノはなんとか自力で脱出し、憎きアイツラがいる部屋へと乗りこんだ。
「あははは!最強のあたいはもう脱出しちゃったわよ!
さあ覚悟しな……さ……あれ?」
意を決して乗りこんでみたが、そこには誰もいなかった。
ただ数分前までここに居たであろう雰囲気は残っている。
「なんだつまんないの……そーだ!めーりんとこ行こう!」
チルノの家から美鈴のいる門までは目と鼻の先だ。
ちょっと飛べばものの1分で到着する。
そこでいつも美鈴は笑って待っててくれて、たまにおいしいお菓子をくれるのだ。
「めーりー……ん……?」
そこでチルノは、そこでの光景を見て再び言葉を失った。
まずは門に美鈴が立っている。それはいつも通りである。
しかし何故か、美鈴の足に天子が抱き着いている。とても幸せそうな笑顔で。
そして両サイドには映姫とさとりが座り、二人とも頭をなでられてこれまた幸せそうな笑顔を浮かべている。
「ちょっと!美鈴は誇り高き天人である私のものよ!どきなさいアンタ達!」
「美鈴、あなたに出来る善行は私をこうやって撫で続けることよ。」
「『そろそろ疲れた……』ですか?大丈夫です、私は気持ちいいですから。」
とそこに、歌いながらスキップを続けるパルスィが現れた。
「ね~ったまっしい♪ねっったましぃ~♪」
どうやら紅魔館をずっとグルグル回っているようである。
また、少し離れた場所では、幽香が1人でぶつぶつつぶやいていた。
「ついでだからウチに泊まったらどう?……ダメね。
『しょうがないから、特別に泊めてあげるわ.』……コレね!コレだわ!!」
何がコレなのかはよくわからないが、どうやら何かに目覚めたらしい。
チルノはそれらの光景を見て、一瞬呆然とした後、ニカッと笑った。
「コイツラ面白いわね!あたいも混ぜなさーい!!」
どうやら幼い氷精は、五人の嫌われ者達を一瞬で好きになってしまったらしい。
彼女達が嫌われ者じゃなくなるのも、遠い未来ではないはずだ。
そして美鈴。いろいろあったが、どうやらかなり懐かれてしまったようだ。
確かに抱きつかれながら両手で二人の人間を撫で続けるのは非常に疲れるが、
それでも嬉しく思う。彼女達がこうして素直になってくれたことを。
そして誇りに思う。自分の考えは、やっぱり間違ってなかったということを。
「私は、幻想郷のみんなが、大好きですよ。」
終わり
「なあ美鈴、お前誰にでも優しく接するけどさあ、嫌いなヤツとかいないのか?」
その問いは魔理沙にとっては何気ない質問であり、ちょっと気になったから聞いてみようか……程度のものであった。
しかし、その問いを聞いた紅魔館の者達は一様に慌てはじめた。
(ど、どうしましょう。もし私が苦手なんて言われたら……
普段からナイフを投げているし、嫌われても仕方ないわよね……
でもアレは照れ隠しなのよ!ほんとはあなたのことが好きなのよ!)
(マズい、普段からワガママばかり言って困らせているからな……
もし嫌われてて、あの癒しおっぱいにダイブできないとなると……
ダメよ美鈴!私が甘えられるのは貴方だけなのよ!)
(いつも魔理沙を通しちゃうことを責めてるけど、まさかね……?
違うわ!本当は知っているの、あなたが私のためにわざと魔理沙を通してるって……
それにお互い気付いて無いフリをしていたけど、本当は感謝してるのよ!)
(え……?私のことかな……?いつもメイのこと困らせちゃうし……
や……やだやだ!メイに嫌われるなんてやだやだやだ!!)
どうやら紅魔館の面々は美鈴に嫌われてるのではないかと慌てているようだ。
特に珍しく宴会に参加していたフランドールは、狂気発動一歩手前まで来ている。
こんだけ愛しているならばもう少し普段からいたわってやればいいと思うが、
本当にどうしようもないツンデレ館である。
そんなこんなで魔理沙にとっては日常会話、紅魔館の面々にとっては最終判決に等しいこの問いの答えを、
魔理沙は酒を飲みながら、紅魔館の面々は目を血走らせながら待った。
そして美鈴は……
「やだなぁ~!私に嫌いな人なんて居ませんよぉ~。私はホラ、博愛主義ですから。」
と、満面の笑みで答えた。
それを聞いた魔理沙は「なんでぇつまんねぇ~」と口を尖らせ、紅魔館の面々は体中の酸素を全て吐き出す勢いで、
ふぅと安心したため息をつくのであった。
その後はこの話題を引っ張ることもなく、これといった事件もなく宴会はお開き。
それぞれが帰路につく中、紅魔館の面々も帰り始めた。
何故か全員美鈴にひっついて飛行。しかも何故かいつもよりも優しい言葉をかけてくる。
そんな様子の面々を不思議に思いつつも、幸せな気分で帰路につく美鈴であった。
FIN
と、ここで終わればほのぼの紅魔館ストーリーであったのだが、そうは問屋が下さない方々が居た。
具体的には五人。なにやら黒いオーラを出しつつ、一堂に集まっている。
「聞いた?あの門番、嫌いな人がいないんだってさ!」
「博愛主義で善人気取り?気に入らないわね。」
「まったくありえませんね。生きていく上で相性が悪いという人は必ず存在します。」
「まったく、博愛主義なんて、ただの戯言よねぇ。腹が立つわぁ。
ねぇリーダー、どうする?こんな寝言を言っている偽善者を許せるかしら?」
リーダーと呼ばれた女性は、その問いに頷いた。
「もちろん、許せるわけがありません。私達を前にして嫌わない者などいないのです。
明日、確かめてみましょう。実際に彼女に会い、本当に嫌わないかどうかをね。」
「賛成だわ!ま、どーせ10秒で不快感を感じるに決まってるけどね!」
「1分持てばいい方ね。それ以降は会話をすることすら苦痛に感じるはず。」
「うふふ、楽しみだわぁ。あの偽善者の本性を暴くのが。」
「……では、やりますか。」
五人は手を合わせる。そして、高らかに叫んだ。
『我等、嫌われ五人衆!!!』
ドカーン!!と5色の煙が出てもおかしくない叫びであるが、
残念ながらここは神社なのでそんなものは出ない。
仮に出るとしても、色は一色だけであろう。黒オンリー。どこのボヤだ。
「あんたら、はやく帰りなさいよ……」
その様子を片付けながら眺めていた霊夢は、呆れながらため息をついた。
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さて、夜も明け、五人は再び集まった。
今度は神社ではなく、紅魔館にほど近い場所にある、1つの小屋である。
ここからなら美鈴の様子が難なく伺えるし、耳をすませれば会話を聞くことも可能。
まさに本作戦『H.N.美鈴は博愛主義なのか?』の本部にはうってつけの場所なのである。
「こらー!あんたら何勝手にあたいの家にあがってるのよ!出ていきなさいよ!」
問題があるとすれば、既に先住民が居ることであろうか。
そう、ここはただの小屋でなく、チルノの家。それに勝手にあがりこんで本部にしているのだ。
こんなネクラな集団ではあるが実力だけはやけにあるメンバーが揃っている。
チルノは抵抗空しく壁にしばりつけられて放置されているのだ。
「心配しなくてもこの家を乗っ取るつもりはないですよ。
ただこの作戦中だけ貸してほしいだけです。」
「だったらなんで縛るのさ!」
「あなたは門番と仲がいいですからね。解けば確実にあっちに行って妨害するでしょう。」
「う……」
「まぁ安心しなさいよ、すぐ終わるわ。」
そう言って立ちあがる一人目のメンバー。彼女から出される黒いオーラはなかなかのものである。
「お、最初はあんたが行くのね?」
「ええ、お先に失礼するわ。あなた達には悪いけど、あなた達の出番が無くても証明できちゃうかもね。
あの女の言う博愛主義なんか、嘘っぱちだってことがね!」
そして一人目が、門に向かって歩きはじめた……
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LEVEL1:“妬み”のパルスィ
昨日から急に何故か優しくなった紅魔館の面々
今日も思いっきり二日酔いで寝坊してしまったのだが、何故か咲夜からのお咎めもナイフも無し。
ちょっと物足りなく思いつつも、遅れた分を取り戻すため門番に励む美鈴であった。
「ん?あれは……確か地下の?」
と目に入るのは、門番に向かってくる一人の女性。
茶色の服に金髪、瞳は碧色に染まっていて、こちらをにらみつけている。
「あなたが、紅美鈴ね?」
にらみつけたまま名前を問う。名前など既に知っているのだが、
会話のきっかけ……というより妬むきっかけを作るためである。
「あー、どうも。あなたは……」
「パルスィよ。水橋パルスィ。始めまして。
それにしてもあなた……妬ましいわね。」
「ね、妬ましい?」
「そうよ、ああ妬ましいわ。まずはその胸。それだけあれば私みたいに小さいからと悩むこともないでしょうね。
そしてその性格。明るいわよね?なんでそんなに明るくなれるの?妬ましいわ。
そしてあなた、どうしてそんなに好かれるの?どうしてそんなに幸せそうなの?
ほんっっとうに妬ましい!!あなたは私が持っていないものを全て持ってる!妬ましいわ!」
まくし立てるように美鈴を責めたてるパルスィ。
彼女の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
果たして今の行動は嫌われるための行動であるのか、それとも本人を前にして思わず出てしまった本音であるのか
それはパルスィ自身にもわからなくなっていた。
「はぁ……ごめんなさいね。でもこれで分かったでしょう?
幻想郷には私みたいにどうしようも無いネクラもいるの。
こんな私を見て、本当に博愛主義と言える?みんなを愛せると言えるの?」
美鈴はただ黙ってパルスィの独白を聞いていた
美鈴は困惑していた。生まれてこの方、妬ましいなどとは一度も言われたことが無かった。
むしろ自分は……
「……私はそんなに妬まれるほどの人間じゃないですよ。
むしろ逆です。要領悪いし、すぐ怒られるし、弾幕もすぐ負けちゃうし。
私だって咲夜さんやお嬢様に嫉妬したことはありますよ。」
「はっ!ようやく本性をあらわしたわね!妬ましくって嫌いなヤツもいるのでしょう!?」
「いいえ、でも私はみんなが好きです。嫌いな人なんて居ません。」
「どうしてよ!妬んでいるのに嫌いじゃないって、おかしいでしょ!」
「何もおかしくありませんよ。好きだからこそ、嫉妬するんです。」
美鈴のその言葉に、パルスィはハッと息を飲む
「嫉妬ってのは汚い感情に思えてしまうかもしれないけど、
その人の良さが分かっていないと生まれない感情です。
だから私は、嫉妬を否定しません。それだけその人のことを強く想うってことですから。
もちろん貴方も否定しませんよ。嫉妬、いいじゃないですか。
一緒に嫉妬しましょうよ。主に弾幕が強い人とか。」
ゆっくりと諭すように、しかし最後にはてへりと笑って。
パルスィはこの瞬間、負けを確信した。だって私はこの人に、嫌われることが出来なかったから。
私を、認めてくれたから。
だから笑顔で言ってやるのだ。
「美鈴……優しいあなたが、妬ましいわ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さて、場所は戻って本部である。
4人はずっとパルスィと美鈴の戦いを観戦していた。
そしてパルスィが美鈴に抱きつくのを見て、彼女が完全に敗れたことをさとった。
ちなみにパルスィは、これまで見せたことのないほどの清々しい笑顔で、スキップしながら帰っていった。
「ねったまし~い♪ねったまし~い♪」
というよくわからない鼻歌と共に。キャラ崩壊もいいところである。
「パルスィは落ちたか……」
「ふん、まあヤツは私達の中でも最弱……」
「ここからが本番ですよ……」
「ちょっと、それは3人まとめて串刺しフラグだからやめなさい!」
悪の幹部ごっこを始めた3人をリーダーがたしなめる。
どこからか妖夢がやってくる前に本題に戻さなくては。
3人も元のテンションに戻り、会話を続ける
「でもアレねぇ、予想以上に手強いわね、紅美鈴。」
「あの人にウザがられること間違いなしの嫉妬ラッシュをなんなく受け流して反撃。
流石は博愛主義を名乗るだけのことはあります。」
「……ま、でも私の前じゃ通用しないけどね。」
2人目が立ちあがった。その顔は自信に満ちている。
「パルスィの敗因は、嫌われていることを嫌がっていたことさ。
私は違う。嫌われるということを自分にとってプラスに出来る。
まさにここからが本番だよ。じゃあ、行ってきます!」
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LEVEL2 “マゾヒスト”の天子
元気になったパルスィを見送った後、美鈴はパルスィのことを考えていた。
結果的に彼女との距離を縮められたと思う。しかし彼女はなんのために来たのだろうか。
紅魔館に用があったとも思えないし、だとしたら自分に……?
と思い悩んでいると、前方からダッシュでこちらにやってくる影があった。
あの顔には確か見覚えがある。
自分は留守番をしていたが、咲夜さんやお嬢様が話していた「困り者の天人」……
「確か、てんこさん?」
「てんこって言うな!!」
出鼻をくじかれたてんこ……じゃなく天子は地団太を踏みながら叫んだ
おっといけない、彼女のペースに飲まれたら負ける。
天子は無い胸を前に出し、威張り散らし始めた。
「私は誇り高き天人、比那名居天子よ!!天人ってなんで書くか分かる?天の人って書くの。
つまりアンタみたいな凡人よりも遥か高みにいる人間ってワケ!
どう?恐れ入った?ちゃんと言葉使いには気をつけるのよ!!」
完璧だ……と天子は思った。こんだけ威張り散らしていれば、確実に相手は不快感を感じる。
実際のところ天子自身はそんなに天人が偉いとも考えていないし、
幻想郷を見下しているわけでもない。しかし、こうすることに意味があるのだ。
これで相手は私のことを嫌って、そして……
「へぇ、凄い人なんですねぇ。」
……って納得しちゃったよ!そうじゃないでしょ!
「ちょっと!今の聞いて何か思わなかったの!?
偉そうだとか、ワガママそうだとか!ムカつくだとか!」
「いえ別に……偉そうなのもワガママなのも、両方備えてる人がウチの主ですからねぇ。
むしろ今くらいじゃ微笑ましいくらいですよ。カワイイです。」
「なっ……!」
なんたる失態!そうだった、ここの主は私に負けないぐらい偉そうでワガママなんだった!
でもダメなのよ!それじゃあ私の望みは叶えられない、もっと……
「もっといろいろあるでしょう!ムカついたとか、しばきたいとか!
本性出しなさいよ!それで、私をもっとなじって!!」
そう、私は人に叱られたり、なじられたり、叩かれたりすることで快感を覚える人間なのだ。
これがパルスィとの相違点。私は人に嫌われることを恐れない、むしろ自分の快楽にできる!
ほら見なさい、今の言葉を聞いた美鈴が、表情を険しくし始めた。
もう嫌われたことは確定的に明らか!ここからはどんな言葉を投げつけられるか!
楽しみでしょうがないわ!
「つまり貴方は私になじられたいんですか?」
「そうよ!私はそういう扱いを受けるのが大好きなの!さあ、はやく私を……」
「私はウソはつきたくありません。私はあなたを嫌いじゃない、だから私はなじったりしない。あなたを傷つけたくない。」
「何よ、また博愛主義?ふざけんじゃないわよ!私の望みは……」
「だから貴方も、ウソをつかないでください。」
「ウソ……何言ってるのよ、私は!」
「嫌われたいなんてウソですよね?私は得意なんですよ、そういうの見抜くの。
あなたはただ……」
「やめて……」
「『構ってほしい』、それだけです。」
「やめて!!」
心の中の何かが、崩れていく音がした。
それは自分が必死に守っていたもので、でもそれはとてもくだらないもので。
構ってほしい。だけど他の天人は誰も構ってくれない。
いつしかそれが歪みに歪んで、他人から傷つけられたいという願望に変わっていた。
だって、それでも無視されるよりはずっとマシだから。
「あなたが自分を偽ってるのは分かってましたよ。これまたウチにも居るんですよね。
自分は孤独が好きだと偽って、他の人を傷つけまいとしてる優しい妹様が。
だから言ってあげるんです。私が受けとめてあげるから、偽らなくていいから、
どんどん甘えてください……ってね。」
それが限界だった。もう私の心を偽っていた壁は崩壊した。
全てのしがらみから解かれた私は、美鈴の胸に飛び込んだ。
「めーりーん!私……ほんとは寂しかったの!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本部という名のチルノの家。
冷やかな雰囲気が流れているのは、チルノの家だからだろうか。
いやそれだけではない。ある1人から流れ出るオーラが、ここの空気を急速に冷やしているのだ。
「あーあ、くだらない茶番を見せられたわ。しかも2回も!
ねぇ、そう思うでしょ?2人とも……!」
鬼のような形相で睨みつけるその人。
残りの2人は抱き合って震えるだけである。
同じ抱き合うでも天子と美鈴の和やかな雰囲気とは天地の差である。
「もう我慢できないわ。私が行ってくる。
ククク……あの門番に地獄を見せてあげるわ。」
そう言ってニタリと笑ったその顔は、それだけで人を殺せるほどの威力を持っていた。
そして三人目は、ゆったりと門番のいる場所へ歩き出した……
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
LEVEL3 “サディスト”の幽香
天子は存分に胸の中で甘えた後、満足そうに帰っていった。
ここは天界とは違う。幻想郷は全てを受け入れる。
マゾヒストの真似事などしなくても、きっと素直な彼女を受け入れてくれる。
美鈴はそう確信していた。
「しかし……彼女もやはり私に用があったみたいですね。
なんなんだろう……?昨日の宴会で何かあったかな?」
その宴会での発言が原因なのだが、生憎美鈴はそのやり取りを強く意識していたわけではなかった。
まさか時間にして10秒程度のやり取りがこんな騒動を引き起こしているとは夢にも思っていなかったのである。
そして、前方から歩いてくる存在に気付いて、やはり昨日何かがあったんだと確信する。
更に戦闘体勢を取り身構える。そうせざるを得ない相手だからだ。
「ごきげんよう紅美鈴。よいお天気ですわね。」
「風見、幽香さん、何か御用ですか?」
そう聞いたのは社交辞令。本当は一目見た瞬間から理解している。
隠す気すらまったくない『殺気』。この人は戦うつもりだ、と。
「あらあら、そんなに警戒しちゃって。怖いわぁ。
さっきの2人には優しく接したくせに、やっぱり私って嫌われ者なのねぇ。」
「そんな殺気を振りまいてるからですよ。別に嫌っているわけじゃありません。
その殺気を収めてくれれば、客としてもてなしますよ。」
「……ほんっともう、その偽善っぷりには腹が立ってしょうがないわ!
だったら無理矢理にでも恐怖を植えつけてあげる!!」
幽香は持っていた日傘を広げ、美鈴に向けた。
傘の先端が激しく光る。これはそう、美鈴が何度も何度も魔理沙から受けている、あの攻撃だ。
「食らいなさい!『マスタースパーク』!!」
巨大なレーザーが美鈴を飲み込む。
それと同時に、轟音と共に門を吹き飛ばした
「言っておくけど、私は嫌われ者であることを誇っているわ。
孤高とは強さ。絶対的な強さを持つ私に仲間など必要ない。
嫌われ者でありたくないと願うのは弱いからよ。私は常に、嫌われ者でありたいと願うわ。
だって、それほど私を畏怖してくれる人がいることって、素敵じゃない?」
幽香は瓦礫の山に向かって語りかける。
そして瓦礫の山で倒れていた美鈴が、身体を起こした。
「……まぁ、そういうあなたの考えを否定はしませんよ。
それがあなたの生き方なんでしょうから。」
「あら、分かってくれたの?嬉しいわ。」
「ええ、ただし……」
美鈴は、挑発的な笑みを浮かべて言い放つ。
「私は、貴方のことを嫌いませんけどね。」
それを聞いて、幽香はふたたび不機嫌な表情となる。
「あなたの生き方があるように私の生き方もある。
私は博愛主義ですから、みんな好きです。嫌いな人なんていません。」
「こんな私を好きですって?おべっかはいらないわ。」
「いいえ好きですよ。お花を愛でている時の貴方が、特に好きです。」
ニヤッと笑いながら言う美鈴。
すると今度は、幽香の顔が不機嫌なものから段々と赤みを増した顔に変化していく。
「私も紅魔館のガーデニングを担当してまして、お花が大好きなんですよ。
ですから、一度あなたとお花についてお話したいなと考えていたんです。
それで、更にガーデニングの指導もしてほしいなって……ダメですかね?」
今度は上目使い。幽香は思った。やられた、と。
だがせめて、せめてこの能天気に反撃をしてやろうと思い、言い放った。
「べっ、べつにどうしてもっていうなら話ぐらいならしてあげるわよっ!
今度向日葵畑に来るといいわ!本当のガーデニングを教えてあげるから覚悟なさい!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
本部と言う名のチルノの家。
空気が冷えているのはチルノのせいではない。
さっきの光景を見た、見させられた二人の空気そのものだ。
更に言うなら幽香が出る前の恐怖による冷え込みではなく、
言わば呆れ、わかりやすく表現するならば「しら~……」という感じの空気だ。
「……ツンデレ、ですか。」
「随分とツンが強いツンデレですね。」
そう、2人が冷え切っている理由がこれだ。
てっきりバトルになると思いきやまさかのツンデレオチ。
決してバトルを望んでいたわけじゃないが、ツンデレはもっと望んでいなかった。
「しかしあの風見幽香をツンデレ化させてしまうとは、紅美鈴恐るべき、ですね。
次はあなたの番ですが、行けますか?」
「任せてください。もともとあの門番には近々会うつもりでしたから。
ついでです、幻想郷きっての嫌われ者の力を思い知らせてきましょう。」
「流石、頼もしいですね。」
「当然です。私ほど嫌われてるのは、あなたぐらいしかいません。」
「褒め言葉として受けとっておきましょう。」
自信たっぷりの顔で、四人目が出陣した。
嫌われ五人衆、NO2の実力者である。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
LEVEL4“説教魔”の四季映姫
いずれ会う約束をして、幽香と別れた。
被害は門の一部と自分の身体だけ。
このマスタースパークも威力を抑え気味だったようで、このまま門番を続けることに支障は無い。
何より、この場を離れるわけにはいかなかった。まだ、先ほどのような珍客が来ることが予想されるからである。
先ほどの幽香との会話で、ようやく美鈴自身、彼女らの目的が見えてきた。
そして自分がここまで絡まれることになった要因も。
「つまり、博愛主義が気に入らない、というわけですか……そうですよね?閻魔様。」
美鈴はすぐ傍まで着ていた映姫に問い掛ける。
四季映姫・ヤマザナドゥ。言わずとしれた幻想郷最強クラスの閻魔であり、
胸の小ささと説教の長さには定評がある。
「ええ。我々は嫌われ者の集まりとして手を組んだ。
あなたの言う博愛主義が本当に正しいのか、私なりに言うならば、白か、黒かどちらなのかをね。」
「それで、どっちなんです?」
「残念ながら、黒ですね。」
映姫は持っていた悔悟棒を美鈴につきつける。
「あなたは確かに『気を使う能力』のおかげか、本来の性格かわかりませんが、
非常に対人関係を取ることに長けています。
たいていの人妖には好かれるし、あなたもたいていの人妖を好くことができる。
恐らくこうして説教をすることで煙たがられている私にも、
きっと貴方は「嫌いじゃない」と言うことでしょう。
しかし、それら全てが真実であるとは、私には思えない。」
「つまり、私が好きだと言っているのがウソだと言うんですか?」
「もちろん貴方の博愛主義というものは本当でしょう。
しかしそれと同時に貴方は他人に『気を使う』ことを非常に得意としている
波風を立てず、よりよい関係を保つために、そっと自分の本心を押しこめる。
その程度の嘘でも、していないと断言することができますか?」
美鈴は言いよどむ。確かに自分は、時には気を使い自分の本心を隠すこともしている
現に今も、映姫に対して感じている感情を隠している最中だ。
「関係を潤滑にするためにつく必要なウソもあるでしょう。
しかし紅美鈴。あなたは少しそのウソをつきすぎる。
先程あなたは比那名居天子に対し自分を偽るなと言った。
では貴方はどうですか?自分を偽ってないと言えるのですか?」
「私は……」
「いえ、答えずとも結構です。あなたはまた関係を円滑にするという名目で、
無難な方向に逃げるウソをつくでしょうから。
ですので、こちらで勝手に調べさせて頂きます。」
「か、勝手に調べるって、そんなこと」
「出来るわけがない、ですか?それが出来るのです。
幻想郷きっての嫌われ者、我等が『嫌われ五人衆』のリーダーである彼女ならね。
……来てください、リーダー。」
美鈴はハッとして後ろを振り向く。
そこには、1人の少女が立っていた。
地上の世界そのものから嫌われ地底へと逃げこんだ
心を読む少女、古明地さとりである
LEVEL5“読心”のさとり
その少女は、非常に陰鬱な雰囲気を醸し出していた。
紫色の髪、こちらに注がれるジト目、驚くほど白い肌。
これはまるで……
「パチュリー様にそっくり、ですか。
確かに私も、彼女には近いものを感じますね。」
美鈴は驚くと同時に納得した。この少女が「さとり」なのだ。
心を読む妖怪、古明地さとり。以前パチュリー様から話を聞いたことがある。
相手の思考を読んで、相手のトラウマの弾幕を再現することも出来るとか。
……私のトラウマは間違いなくアレだけど、ここで再現されたらイヤだなあ
「安心してください。マスタースパークは放ちませんので。」
言わずとも伝わったらしい。これは結構助かるかもしれない。
「言わずとも伝わるという点では便利ですね。ですのでペットに対しては人気です。
しかし人間は妖怪に対してはそうはいきません。言語を持つ生物は心を読まれることを 嫌います。
先程私とパチュリー・ノーレッジが似ていると言いました。しかし私と彼女では決定的に違う点がある。
彼女は紅魔館から、霧雨魔理沙から、そして幻想郷から愛されている。
しかし私は違う。人間、妖怪、そして幻想郷から嫌われた存在。
どうです?嫌われ者のリーダーにふさわしいでしょう?」
彼女は自虐的に笑った。その顔がとても悲しくて、私は見ていられなかった。
「お気使いありがとうございます。しかし私よりも、貴方の心配をした方がよいのでは?」
「え?」
「ではリーダー。そろそろ始めてください。彼女が嫌われ者の私達に何を感じているのか、
心の奥深くまで、ズバッと見ぬいてしまってください!」
「がってん承知です!」
「わ!やめ、やめてええ!」
まずい、ここで彼女達に対する私の気持ちがバレるのは非常にマズい。
これだけはバレちゃいけない、これは隠しておかないと……!
「ふむ、どれどれ……!」
その時、さとりに電流走る。
『2人とも、ちっちゃくってかわいいなあ。』
「な……ななななななななななな!!!!」
突如始まった「な」スクラッチ。彼女は先程の幽香に負けず劣らず真っ赤になっている。
「ちょっとリーダー!彼女はなんて考えていたんです!?」
「ち……『ちっちゃくってかわいい』と……」
「な……なななななななななななぁ!?」
更に映姫の顔も真っ赤っ赤になる。
一方の美鈴は、もう読まれたもんは仕方ないと開き直っていた。
もう心を読まれる前に、カミングアウトしてしまおうと。
「いやだって、多分みんなそう思ってると思いますよ。というかみんな言っているし。
嫌われてると思ってるのは、多分あなた達だけじゃないかと……。」
その時、二人を支えていた何かが、崩壊した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
チルノはなんとか自力で脱出し、憎きアイツラがいる部屋へと乗りこんだ。
「あははは!最強のあたいはもう脱出しちゃったわよ!
さあ覚悟しな……さ……あれ?」
意を決して乗りこんでみたが、そこには誰もいなかった。
ただ数分前までここに居たであろう雰囲気は残っている。
「なんだつまんないの……そーだ!めーりんとこ行こう!」
チルノの家から美鈴のいる門までは目と鼻の先だ。
ちょっと飛べばものの1分で到着する。
そこでいつも美鈴は笑って待っててくれて、たまにおいしいお菓子をくれるのだ。
「めーりー……ん……?」
そこでチルノは、そこでの光景を見て再び言葉を失った。
まずは門に美鈴が立っている。それはいつも通りである。
しかし何故か、美鈴の足に天子が抱き着いている。とても幸せそうな笑顔で。
そして両サイドには映姫とさとりが座り、二人とも頭をなでられてこれまた幸せそうな笑顔を浮かべている。
「ちょっと!美鈴は誇り高き天人である私のものよ!どきなさいアンタ達!」
「美鈴、あなたに出来る善行は私をこうやって撫で続けることよ。」
「『そろそろ疲れた……』ですか?大丈夫です、私は気持ちいいですから。」
とそこに、歌いながらスキップを続けるパルスィが現れた。
「ね~ったまっしい♪ねっったましぃ~♪」
どうやら紅魔館をずっとグルグル回っているようである。
また、少し離れた場所では、幽香が1人でぶつぶつつぶやいていた。
「ついでだからウチに泊まったらどう?……ダメね。
『しょうがないから、特別に泊めてあげるわ.』……コレね!コレだわ!!」
何がコレなのかはよくわからないが、どうやら何かに目覚めたらしい。
チルノはそれらの光景を見て、一瞬呆然とした後、ニカッと笑った。
「コイツラ面白いわね!あたいも混ぜなさーい!!」
どうやら幼い氷精は、五人の嫌われ者達を一瞬で好きになってしまったらしい。
彼女達が嫌われ者じゃなくなるのも、遠い未来ではないはずだ。
そして美鈴。いろいろあったが、どうやらかなり懐かれてしまったようだ。
確かに抱きつかれながら両手で二人の人間を撫で続けるのは非常に疲れるが、
それでも嬉しく思う。彼女達がこうして素直になってくれたことを。
そして誇りに思う。自分の考えは、やっぱり間違ってなかったということを。
「私は、幻想郷のみんなが、大好きですよ。」
終わり
まさに幻想郷の癒し的おっぱい!
確かに嫌われだと納得すると共にこいつらを落としていく美鈴が痛快でした
特におっぱいが…
TAMさんの名前どこかでみたような…
しかしこの後、実力者である五人組vs紅魔館勢による幻想郷全体を巻き込んだ争奪バトルの予感がひしひしと……。
自覚があるなら直せwwww
面白かったです
みんな可愛すぎですねw
あと誤字?みたいなものが
>孤島とは強さ。
孤高、かな?意図的でしたらすみません。
なんだかなぁという感じでしっくりきませんでした。
彼女たちをこうも簡単に堕とすとは。
美鈴は皆のお姉さんって感じもしますし、あの五人組も
可愛い反応とかしてくれて、最後の彼女たちと美鈴には
自然と笑みも浮かびますねぇ……。
面白かったですよ。
この五人っていうセットも斬新だと。
やっぱ美鈴は萌え燃えキャラじゃなきゃねww
誤字〉それがあなたの生き方なんしょうから。←なんでしょうから。ですよね?
途中の悪の幹部ごっこはアレかwwwソードマスターみょんwwwww
あとこの5人何気に凶悪パーティーですよね
5人中3人がラスボス経験者だし、あとの二人は精神攻撃のスペシャリスト
特にパルスィが見事に諭されたって感じで好きです
持ち上げ方に違和感が。その為の他のキャラの扱いもどうなんだろうと思いました。
でもまあ楽しめましたww
顔がニヤけるのを手で隠しながら読むのは大変だったぜw
またなんか書いてくれ!!
悔しいような清々しいような、あっちむいてホイで綺麗に引っかかってしまった時のような感覚です。
さとりさんちっちゃかわいいよさとりさん。
一点気になったのは、
>その時、二人を保たせていた何かが、崩壊した。
なんか不自然な分だと思います。『二人を支えていた…』とすると、
私の持つ違和感は消えるのですが、いかがでしょうか。
我ながら指摘が細かい…こんな事気にして読んでる人間なんて自分以外ほとんど居ないと分かっちゃいるんですが。
また何か、ネタが浮かんだらSSを書いて下さい。楽しみに待ってます。
美鈴のセリフがいちいち人のチャームポイントを指摘していて、なんか癒されます。
物語り全体を包む雰囲気も、最後までマイペースかつユーモアと温もりがあり素敵でした。
愛の感じられるSSだったと思いますし、是非また作者様の作品を読んでみたいです。
おかげでずっと! ずーっと2828しっぱなしだよ! 頬がゆるゆるだよ!
こんな作品初投稿で書けるだなんて何事ですか妬ましい!
嫉妬=好きと言ったのはあなただ! 好きだああああああああッ!!
>……私はそんなに妬まれるほどの人間じゃないですよ。
美鈴さん、あんた妖怪やろ!
実にいい作品でした 次回作も楽しみにしてます
幻想郷の良心を妖怪が担当してるってどうなんだw
ごめんなさい。なんというほのぼの・・・!
さすが、めーりんはかわいいなぁw
これはいいめーりん&ほのぼの幻想郷ww
めーりん可愛いよめーりん
怒るとこそこなんだwww