Coolier - 新生・東方創想話

東方物語 霊烏路空の場合 『空、学校へ行く』

2009/04/17 23:12:14
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「へえ、そんなことが。」

少しは興味を持ったのか、こいしの表情が心なしか明るくなる。
彼女に話をしていたのは博霊神社の―――そう、博霊霊夢・・・ではなく霧雨魔理沙だ。
今日もまた神社へやってきてはたわいもない雑談だ。

「あれはさすがにかわいそうだ。まあ、お前の姉ちゃんに伝えておいてくれよ。」

こいしはわかっているのかわかっていないのか「ふふ、いいよ」とか言いながらふらふらと去って行った。



東方物語 霊烏路空の場合

『空、学校へ行く』




魔理沙がふらりと出掛けたくならばそれは彼女にとっても同じようで。
お空はとある野原にいた。
こんなお天気の日は、地上に出たくなるものだ。
ごろんと寝転がって浮かない表情だ。

「なんでかしら。うまくいかない。」

口をとんがらせて、雲を見つめていた。
本人によれば、星屑の花を魔理沙に横取りされたのだという。
でも浮かない表情の訳は、また別の所にありそうだ。

「お燐が室内犬なら、私は番犬だわ。」

「呼んだかいっ!?」

不貞腐れた表情が一変する。
お燐だ。

「なんであたいが犬なのさ。」

お燐が喉をごろごろ言わせながらお空に問う。
お空はまさかお燐が現れると思っていなかったものだから、まだきょとんとしたままだ。
すると急に機嫌を悪くして、きっとお燐を睨みつけた。

「お燐はね、もうちょっと自立した方がいいわ。」

「なあに言ってるのさ。鏡に向かって話しているのかい?」

「鏡なんてないでしょう!」

「鳥頭だねえ」

いつものお燐のペースだ。
お空はわけがわからないようだったが、また機嫌を悪くしてしまったようだ。
そんなお空の様子を気にもせず、お燐は続けた。

「そういえばお空、さとり様が呼んでいたよ。」

「さとり様が!?」

お空の表情がぱっと明るくなった。
確認する間もなく、お空は地霊殿へ向かってぴゅーっと飛んで行ってしまった。



「あら、早いのね」

久しぶりに目にする自分のペットを見て、けろっとした表情のさとり。
お空はドキドキしながらもさとりの言葉を待った。
いったい何の用だろうと、胸を高まらせて。



「ちょっといい話を耳にしてね。

 お空、

 あなたを学校へ入れようと思うのよ。」


「学校!?」


さとりの予想外すぎる提案に、驚きを隠せないお空。
いったい何の風の吹きまわしでこうなったのだろう―――
そう、それは数時間前に遡る。




「お空の頭の悪さは思わず同情するくらいなんだぜ!」

「そんなにひどかったのね?」

魔理沙は一部始終を話した。
一輪の星屑の花を取り合いした際、お空は自ら花を丸焦げにしてしまった。
そもそも星屑の花を本物の星と勘違いしている時点で、お空の頭の悪さは末期症状だと魔理沙は言う。

「へえ、そんなことが。」

「自分のペットがあそこまで恵まれない教育環境だったら、哀れだろ?」

「うーん、そうね。」

「あれはさすがにかわいそうだ。まあ、お前の姉ちゃんに伝えておいてくれよ。」

「ふふ、いいよ」




お空はさとりの思惑が全くわからなかった。

「学校・・・?」

「地獄跡の管理はなんとかするわ。」

そう言うなり、さとりは一枚のチラシのようなものを差し出した。
チラシにはこうある。『春期限定、入学生徒募集中!寺子屋上白沢』
お空はそのチラシを見てもぱっとしない表情だ。

「お空、私思ったのよ。いくらあなたが鳥頭で、それでも構わないと思おうと・・・
 やっぱりあなたの人生において水準の高い教育が施されないのはこれ以上ない不幸だと思うのよ。」

「は、はあ・・・」

お空はさとりの言っていることの半分も理解できなかった。


そうこうしているうちにさとりに手をひっぱられ、気づいたらその寺子屋の目の前に立っていた。
上白沢慧音の寺子屋である。
彼女はもともと人間を好み、寺子屋は人里の子どものためのものであった。
今の時期は春休みで子どもたちは休み。
それを利用して、妖怪や学習に問題のある人間を対象にした、言わば春期講習というものを開くのだという。

「私のペットがお世話になります」

さとりはぺこりと一礼する。
お空の両肩に手を添え、がんばるのよと伝えて姿を消した。
慧音はぽかーんとしたお空の顔を覗き込み、よろしくなとにっこりほほ笑んだ。


こうしてわけもわからないまま、お空の「学校生活」が始まるのであった・・・
短くてすみません。
空が学校へ行く話です。続きます。
メロウ
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コメント



0.290簡易評価
1.70煉獄削除
お空が寺子屋にですか。
他にも誰か彼か集まるのでしょうか?
今後どういう風なことになっていくのか楽しみですね。

誤字?の報告
>魔理沙がふらりと出掛けたくならばそれは彼女にとっても同じようで。
『出掛けたくなれば』……でしょうか?
3.無評価メロウ削除
>煉獄さん
ご指摘ありがとうございます!
正しくは「出掛けたならば」です。すみませんでした。
9.90想月削除
これからの話の展開が気になる出来でした。
次のものも読ませてもらいます。

彼女に話をしていたのは博霊神社の―――そう、博霊霊夢・・・ではなく霧雨魔理沙だ。
→博麗霊夢では?
11.80名前が無い程度の能力削除
兎に角、続きが気になります。

これは1年⑨組フラグかww
13.80R削除
問題のある人間……誰なんでしょう?
続きを期待しています。
14.無評価メロウ削除
みなさまコメントありがとうございます!
誤字が多くてすみません;
ご指摘の通り博麗霊夢です。
16.70名前が無い程度の能力削除
これからってところで続くとは。
続き楽しみにしてます