Coolier - 新生・東方創想話

マヨヒガの平凡な一日・目覚め編

2009/04/16 23:09:55
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冬が過ぎ去り、リリーホワイトが春を伝える頃に、マヨヒガは慌ただしくなる。
スキマの大妖怪、八雲紫の目覚めの時である。



――マヨヒガ




「紫様~?紫様~?」

マヨヒガにある屋敷から女性の声が聞こえてくる。
声の主は八雲紫の式である八雲藍
彼女は主人である紫を捜していた。

例年ならばリリーホワイトが春を告げた後で藍が紫を起こしに行くのだが
今年に限って紫の姿は寝室にはなく、こうして屋敷中を捜すハメになった。

「むぅ?もしかするとココにはいないのか?」

先程から屋敷中を捜しているが紫の姿はどこにもない。
その事が藍には不安で仕方がなかった。

もし、マヨヒガにいないのなら外で絶対マズイ事をしている。

イロイロと、

藍は頭を抱える。
紫の厄介事の処理はいつも式である藍の役目である。
『式なのだからしょうがない』
と、思っていても先々に謝罪に向かって行くのはかなり大変だ。

正直面倒だ。

あぁ、菓子折りのストックはあっただろうか?

頭を抱えていると

「藍様~」

元気な声と共に橙が向こうからやってくる。
藍は橙と一緒に紫を探していた。

「あぁ、橙はカワイイなぁ(あぁ、橙、紫様はいたかい?)」

「へ?」

「あ、いや何でもない」

ついつい本音の方が先に出てしまった。
『橙の可愛さは本当に凄いなぁ……』
とか考えながら、藍は『コホン』と咳払いを一つして改めて橙に聞く。

「橙、紫様はいたかい?」

「いえ、こちらにはいませんでした」

「そうか…、じゃあ、あとはココだけだな」

橙の言葉に藍は一つの扉を見る。
この部屋は大鏡があるだけの部屋だ。
特に何かが在る訳でもないので気にしていなかったが

「ココにいなかったらどうしようかな?」

言いながら藍は扉をノックする。

――コンコン

小気味のいい音が響き、藍は扉の向こう側に声をかける。

「紫様?いらっしゃいますか?」

「あら、藍?いるわよ」

紫の声が聞こえた。
どういう理由でココにいるのか解らないがこれで一安心だ。
余計な事はやっていないだろう……、多分。

まぁ、とりあえず

「ココにいたんですね、紫様」

藍は扉を開ける。

目の前に広がる光景に藍は直ぐに扉を閉める。

「……!?」

何だ?今自分は何を見た?
中にいたのは確かに紫様だったが?
アレ?
今見てはいけないモノを見たような……

今彼女の頭の中は大量の『?』で埋め尽くされていた。

「藍様どうしたんですか?」

橙の不安そうな声に我に返る。

「ああ、橙なんでもないよ……、ちょっと、ビックリしただけだから」

「はい?」

橙の声を一時無視して、深呼吸をする。
自分の心が落ち着いた頃に再びドアノブに手をかけ、扉を開けた。

「あの、紫様?」

「もう、さっきから何なのよ」

返事をしたと言う事は目の前の彼女は紫で間違いないのだろう。

「あの、その格好は?」

「え?メイドよメイド最近外の世界での流行が終りかけてる見たいだから
先取りでちょっと取って来ちゃった。どう、似合う?」

「『盗ってきた』の間違いですよね?ちなみにどこから?」

ポーズをとる紫に藍は冷静に突っ込みをいれる。

「紅魔館からよ、ちょっと胸の辺りが苦しんだけどね?で、どう?似合う?」

左手を腰に右手を首元にあてて身を捻りながら動き続ける紫
ソレに対して藍は表情を消す。

「一つ、お聞かせ下さい、どうしてそのような格好を?服ならば他にもあるではないですか?
それなのに何故わざわざメイドの服を選んだのですか?」

しかもよりにもよって、そんなスカート丈の短い物を

「流行の先取りよ、あと……なんとなく?まぁ、何時もの服もいいんだけど
新鮮味が欲しかったのよ、他にも用意してたのよ?セーラー服とか?バニーとか?」

「そうですか……」

藍は頭を抱えて溜息をついた。
紫はそんな事はお構い無しで感想の催促をする。

「で?どう?似合う?似合う?」

「そうですね……」

藍は覚悟を決めた。
今言っておかないときっと後で大変な事になる。
だから言った。

「そういった、フリフリの多めの服は年を考えてください」

キッパリと言い放った。

その言葉に流石の紫も怒る。

「何よ失礼ね!!フリフリだったら普段の服にだってあるじゃない!!」

「ええ、ですから普段着の方も、ですね」

どんな妖怪さえも一目置く大妖怪の怒鳴り声を前にしても狐は冷静だった。

「……………………」

「……………………」

――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ(心情風景的効果音)

対峙し合う二人、その手にはスペルカードが握られている。

片や無礼な事をほざいた己の式に罰を与えるために
片や今まで主人が起こしてきた騒動の後片付けを任され続けた腹いせに
まさに一触即発の空気が漂っていた。

そんな空気の中で橙の声が響く。

「あ、その、紫様そんな事ないですよ!とっても似合ってますよ!」

その言葉に一瞬にして場の緊張感が消える。
紫は笑顔になり橙を抱きしめる。

「あら、そう?さっすが橙ね。……あの狐畜生何かとは大違い」

紫は橙の頭を撫でながら、藍に冷ややかな視線を送る。
その主の視線に対して『フンッ』と藍は鼻で笑った。

「あ、あは、あははははははは」

橙は二人のやり取りを見て苦笑いをする事しか出来なかった。

ぎこちなく笑う橙、その様子を見て紫は違和感を感じる。

「ねぇ、橙?本当にそう思ってる?」

「え?もちろんですよ」

「そう……」

――本音と嘘の境界操作(「」嘘『』本音)

紫は能力を使った。

「え?もちろんですよ」
『は?んなわけないじゃん、年考えろよババァ』

「ち、橙?」

可愛い顔してそんな事を考えていた橙に藍は普通に驚いた。

紫は抱きしめていた橙を離し

「フッ」

とクールに笑い。

「うわぁーーーーん!!グレてやるーーーー!!」

叫びながら外へ飛び出した。

「ちょ、ちょっと紫様!?」

藍は慌てて紫の後を追ったが、途中でスキマでも使ったのか紫の姿はどこにもなかった。



それから一週間帰ってこなかったとかなんとか……。











――後日

「あの、紫様?その姿は?」

藍が疑問の声を上げる。
無理もない。
それほどの変化が紫の身に起きている。

「ふん、アンタ達が五月蠅いから成長の境界を弄って若返ってやったのよ!!
これなら文句ないでしょ!!」

「(気にしていたのか……)」

その様子を遠くに眺めながら橙は思う。


マヨヒガは今日も平和です。
十度目の投稿になりました。
もうすっかり春ですね花粉症が辛いです。

紫様はぶっちゃけどんな服でも似合う気がします。
どうでしょうか?

ご意見ご感想、誤字指摘やツッコミがありましたら是非お願いします。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

では最後に声高らかに言ってみましょう、ババァ自ちょ(スキマ送り……
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コメント



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4.80煉獄削除
ほのぼのというにはちょっと紫様が可哀相ですが……。
まあ、日常の一つ…ではあるのかもしれませんねぇ。
紫様はとても美しい方ですよ。
しかし橙とても黒い考えを持っていますね……。
目覚め編ということはこれの他にも続きがあるのかな?
あるならどういう展開になるのか楽しみですね。
色々と面白いお話でした。

私も紫様はある程度の服は似合うと思います。
帽子を外すのであれば個人的にですが、ロングのスカートにノースリーブの服とか
似合いそうなものですが。

一字多い部分があったので報告です。
>「ココにいなかったからどうしようかな?」
藍の台詞ですが『いなかったら』ではないでしょうか。
6.100名前が無い程度の能力削除
流石黒猫ww

因みにゆかりんはBBAなんかじゃない。
まあ少女臭がしない少女なだけだ、良い意味で。
10.100名前が無い程度の能力削除
逆に考えるんだ「少女臭のゆかりんもかわいいさ」と考えるんだ
15.70名前が無い程度の能力削除
外で遊びすぎて心まで真っ黒に日焼けしちゃったんですね。
17.100名前が無い程度の能力削除
なん、だと、メイド服のゆかりんだと……
コメント吹いたwwwwBBa(アッー
20.100名前が無い程度の能力削除
主に喧嘩売る式www
マルちゃん。若いきつねと三十路のたぬき
21.80名前が無い程度の能力削除
ほのぼのの割にはちょっと橙の黒さが気になる・・・
紫に一言「世の中、知らなくていいものがある」
嘘と本音の境界操らなければ幸せだったのに・・・
22.90名前が無い程度の能力削除
ちょっと無理な、ギリギリアウトな背徳感が紫様の魅力だと思います。
23.100奇声を発する程度の能力削除
ナイス黒猫wwwww
24.無評価H2O削除
煉獄様
誤字報告に感謝します。修正しました。
とりあえず、ほのぼのからコメディに変更しました。
読み返してみたら猫の黒さを改めて認識できましたw

そして、予定では最低でもあと三つはこの手の八雲を書きたいと思っています。
また見ていただければ幸いです。

ちなみに、自分はスーツも似合うなぁ…とか思っています。

6様
良い意味でのBBAですね?解ります。

10様
紫様はかわいいより美人のイメージでしたので……
ですが、今回縮んだのでソレもアリですね、考えてみましょう。

15様
猫だから、外で元気に遊ぶ姿が似合うから
だから、内まで黒く日焼けだってしますよね?

17様
何でも似合いますよきっと、美人でスタイルがいいでしょうから
着る物に注意さえ…(スキマ行き

20様
中身まで真っ黒の橙もね!!

21様
はい、なのでタグをコメディにしました。
そして、本当に知らなくていい事は多いですよね
正月明けの体重とか……

22様
でもソレつまりアウトですよね?
って事はセフトですね?解ります

奇声を発する程度の能力様
多分ストレスが溜まってたんじゃないかなと……
煮干をあげようと思います。