この時が訪れることぐらい、予想していなかった訳ではない。
だからといって、いざとなると対処できるものでもないが。
死の少女が居た。
魔界の創造神であり造物主である神様に育てられた彼女は、身に余るグリモワールを持っていた。
まるで人形のように美しい金髪に綺麗な瞳。見た者を引き込むその美しさは、少女の武器であった。見た目の麗しさに惑わされてはいけない、彼女は力を持っている。そこいらの存在では敵うはずもない力を、彼女は持っていた。
だけど、彼女は魔法使いに負けた。
魔法使いが居た。
悪霊の師匠に育てられた彼女は、魔法使いではあるがただの人間だった。
子供っぽさを強調するような金髪にきらきらと輝く瞳。見た者を和ませるような風貌が彼女の武器であった。そして見た目同様、彼女はまだ子供だった。
だが彼女は努力家でもあった。
だからこそ、彼女は死の少女に勝った。
それから時が過ぎ、幻想郷。
再会は、雪止まぬ異変。
二人はお互いの成長に内心で驚き、人形遣いとなった死の少女は過去の出来事についてちょっと憎らしくなり、魔法使いは封印した歴史に戦々恐々した。
それ以上に二人の心を満たしていたのは、懐かしき存在と再会したことの喜び。
二人が惹かれあったのは、決して偶然ではなかったのだろう。
ある時は偽物の月、ある時は間欠泉。
人形遣いは魔法使いの傍若無人さに呆れながら、それでもどこか憎めなくて。
魔法使いは人形遣いに冷たくあしらわれながらもどこか離れられなくて。
そして二人の距離は段々と近づいていった。
二人が恋人になったのも、決して偶然ではないだろう。
恋人としての甘いひと時、時にはどちらかが家を飛び出すほどの大喧嘩。冷たい雨もあれば熱い夜もあった。お互いの良い所だけでなく悪い所にも触れながら、二人の繋がりはよりいっそう固くなっていく。
そうやって時を過ごす二人は――だからこそ、未来にちょっとした不安を抱いた。
それは二人が恋人としてお互いを求め合い、二人で共に生きていく上で絶対に避けられない未来。
冗談めかして話題に出すこともあれば、顔を突き合わせてそれについて話すこともあった。
だから、二人は覚悟していた。
・・・・・・だからといって、いざその時に対処できるとは限らないのだが。
瘴気漂う魔法の森には多数の動植物が存在するが、ここに定住する妖怪や人間はほとんど居ない。前述したとおり瘴気が強すぎるのがその理由である。
だが人形遣いと魔法使いにはそんなこと関係が無かった。
あまり人が訪れないため研究に集中できるから、というのが人形遣いの、茸等の研究材料が簡単に手に入るから、というのが魔法使いの理由だった。
二人が恋人になれたのも隣人――というには距離が離れすぎているが――だったことが大いに関係していたのかもしれない。
だが・・・・・・今、ここには人形遣いしか居ない。
森の奥、少し開けた場所にその館は建っていた。幻想郷では珍しく――そして魔法の森に建つにはそれ以上に珍しい――洋風な造りが特徴的なその建物は、人形遣い、アリス・マーガトロイドの住居だった。
玄関に設けられたドアノッカーを叩けば、少々不機嫌そうに返事をして人形遣いが出迎え、お茶の一杯ぐらいは出してくれるはずだ。人付き合いが苦手なアリスだが、人付き合いが苦手な訳ではない。
ただ、“今の彼女”がそのようにもてなしてくれるか――否、ドアのノックに気づくかどうかすら怪しい。
「・・・・・・・・・・・・はぁ」
そんな彼女は、リビングのソファに寝転がっていた。横に広いソファを最大限に利用して身体を横にしている。その容姿はまるで人形のようで、瞬きや呼吸をしていなければそう見間違えられても不思議ではない。
だが、それにも増して今の彼女には生気がなかった――それは無理もないことだが。
アリスの顔が横に傾く。彼女の視界に飛び込んでくるのは、見慣れた部屋の風景。
人形を作ったり、魔導書を読んだりする机。
(熱中している時に限って、邪魔が入るのよね)
こじんまりとしているが機能に妥協はしていないキッチン――アリスは捨食の魔法を習得しているので食事の必要はないが。
(でもついつい作っちゃうのよね・・・・・・そういう時にかぎってあいつがたかりに来るし)
人形や魔導書、その他アイテムが収納された棚。
(触るなって言ってるのに、引っ掻き回すのよね)
一つ一つの家具に、思い出が込められていた。それはアリスと“彼女”の物語。今、アリスが寝転がっているソファにしたところで二人が寄り添って使うことが多かったのだから。
その思い出が、今はアリスを苦しめる。
(・・・・・・寝ようかしら)
眼を開いていては駄目だと――今は天井を見ただけで思い出がこみ上げてくる――判断した彼女はその美しい瞳を瞼で覆い隠した。何も見えない闇に身を投じ、その意識を深い闇へと落とそうとする。
だが、出来ない。
眼を閉じても、無駄だった。先ほどこみ上げてきた思い出が、“彼女”の姿をより鮮明に闇に浮かび上がらせる。
美しい金髪、黙っていれば可愛らしい容姿。口から飛び出してくる数々の軽口に、時折見せる乙女の恥じらい。まるで写真のように――いやそれ以上に鮮明に蘇る“彼女”との思い出に、アリスは知らず知らず涙を流していた。
「淋しいよ・・・・・・魔理沙ぁ」
答える者は居ない。
普通の魔法使い、霧雨魔理沙はもう居ない。
運命は自らの手で切り開くもの。宿命はどうあがいても避けられないもの。
ならばこれはまさしく宿命だろう。
アリスと魔理沙は、恋人という関係になった時から――いや、おそらくはなる前から、その宿命に気づいていた。普段はあまりそのことを考えないが、甘い一時を過ごした後の夜、楽しいおしゃべりをした後で帰宅して一人になった時、二人はその宿命について考えていた。
そして二人で過ごす時間が増えた辺りで、それについて話し合ったこともあった。
時には軽く、時には顔を突き合わせて。
結局出た答えは、“その時になったら考える”だった。
何せどうしようもないのだから、そうするしかなかった。
「魔理沙・・・・・・」
居ない相手に向かって呼びかけることがどれだけ虚しいか、届かないと分かっている問いかけがどれだけに切ないか、その立場になってみないと真に理解できないだろう。それほどまでに、それはアリスの心を締め付けた。
「魔理沙、」
締め付けて、傷つけて、食い込んで。薔薇の棘などという美しいものではない、それはまるで有刺鉄線のように、心の血を絞り尽くすかのように巻きついていく。
そんな感情を、今までアリスは抱いたことがなかった。自分が強いという思い込みを魔法使い達に打ち破られた時も、育ててくれた魔界の創造神との別離の際も、研究の成果が思うようにならない時も、家が半壊するほどの痴話喧嘩をした時でさえ、この時よりは苦しくなかった。
「魔理沙ぁ・・・・・・」
だから、無駄だと分かっていてもアリスは呼び続ける。愛しい名前を、届かないと分かっていても呼び続ける。もはや元よりあるはずのない返事など待っていない――ただ、呼び続けないと自分が壊れてしまいそうだから、彼女はその名を呼び続ける。
その行動が何の救いももたらさないと、分かりきっているのに。
「ま、りさ――」
もはや名前を口にする気力も、アリスには残っていなかった。虚ろな眼で、彼女は部屋中を見回す。思い出が蘇ろうと懐かしさがこみあげてこようと、もうどうしようもないのだから。
その眼が、キッチンを捉えた。
流しの上に乱雑に置かれた食材、片付けられていない食器類、刃物類――
アリスが、立ち上がった。ふらついた足取りで――だが目的を見出した確かな感触がアリスを包み込んでいた。その先がどうなっていようと、待っているであろう彼女に呆れられようと、もう決めてしまった。
「魔理沙――今、行くからね」
その眼は虚ろだったが・・・・・・確かに笑顔が、彼女の顔に浮かんでいた。
「くそっ!」
魔法の森に小さく響く罵声。それは、ずっとアリス邸の様子を伺っていた存在――伊吹萃香の口から発せられたものだった。何時もの酔っ払った様子はそこにはない。彼女の表情は鬼気迫るものだった。
「そんなの――間違ってる」
豪快な鬼らしくない・・・・・・小さな声。彼女が伺う先、アリスが台所へと入っていく様子が窓から良く見えた。
それを見届けながら――彼女は力を使おうとした。萃香の能力は密と疎を操るもの。これをもってすれば、ドアの隙間ほど小さな穴からでも家の中に入り込むことができる。そうすれば――アリスを止められる。
一分一秒でも惜しい、彼女はすぐさま能力を――
「止めなさい・・・・・・伊吹萃香」
使えなかった。
気配も予兆も伺わせずに現れた存在が、萃香の肩を掴んだ。構わず能力を使おうとする萃香だったが、なぜかうまくいかない。それはどうしてか。
境界を、操られたから。
「止めるのか・・・・・・紫ぃっ!」
振り向いた先、萃香の肩を掴んだ八雲紫の姿があった。大きな傘に隠れているせい
で表情は見えづらいが、まるで悲しみながら怒っているようだと、萃香は感じた。
「ええ、止めるわ。この結末を彼女が望むというのなら――私達にそれを止めることはできない。止めてはいけないのよ。貴方なら、貴方だからこそ、良く分かるでしょう、伊吹萃香」
「そんな、綺麗ごと――」
そう言いながらも、萃香は分かっていた。
止められない、止めてはいけない。鬼である伊吹萃香も、大妖怪である八雲紫も、アリスという人形遣いが決めた行く末を邪魔してはいけない。それが、決まりごと。
それが分からない萃香ではない。それでも彼女は諦め切れなかった。
もう一度、能力を使おうとする。だが、やはりうまくいかない。霧になった先から固定化されていくような感触を彼女は味わっていた。
下唇をかみ締めながら、彼女はなお諦めない。とうとう皮膚が裂け、血が垂れても、彼女は諦めようとしない。そして、そこまでしても能力は使えない。
その様子を、紫は哀れみと悲しみを混ぜ合わせたような表情で見つめる。
「そう、これが結末よ」
誰の言葉よりも、紫の口調には諦めがにじんでいた。
忌むべき妖怪がその存在を追いやられた場所――地下。
ここには、その能力ゆえに嫌われた存在が暮らしている。しかし、とある一件以来、地上との交流が復活しようとしていた。
「ああ、確かに運んだよ、あの白黒魔法使いを」
そんな地下のさらに奥深くで、人形遣いは火車と会話していた。火車の名は、火焔猫燐、通称お燐。その能力は――“死体”を持ち去るもの。
何時もと変わらぬ笑顔を浮かべて、お燐は楽しそうにしている。
「どこに、運んだの?」
対するアリスの顔つきは、悪い。どこか思いつめたような表情をしている。そんな彼女の手にはバスケットが握られていた。
「さとり様のとこだよ」
「そう・・・・・・ありがと」
用は済んだとばかりに、アリスはお燐から離れていく。その後姿を見送りながら、お燐は良いことを思いついたとばかりに声を張り上げた。
「お姉さぁん! あんたも――“運ばれて”くかい?」
いささか趣味の悪い冗談に、アリスが一瞬立ち止まった。だが、すぐに何事も無かったように歩みを再開する。それを見送りながら、お燐は笑っていた。無邪気で、不気味な微笑み。
「まるで死体みたいだから親切に言ってやったのに――あの白黒魔法使いとは大違いだねぇ・・・・・・あぁ、あいつは何も言わなかったか」
けらけらと笑うお燐に見送られながら――アリスはその歩みを進めていった。ゆっくりと、一歩一歩・・・・・・相手は逃げやしないのだ。どれだけ時間をかけても構わない。
それでもその歩みが速まるのを、アリスは止められなかった。
目指す場所は地霊殿、
「魔理沙・・・・・・」
この物語の、結末。
そして彼女の姿は、地下の闇に溶け込んで消えた。
「・・・・・・これが、愛する者と愛された者の物語ですよ」
そう、古明地さとりは締めくくった。
今の彼女は裸である・・・・・・別に特別な意味があるわけではない。風呂に入る時は誰でも裸になるものだ。この場合は、地霊殿の庭先に存在する岩場に囲まれた温泉なのだが。
「結末がどうなるか分かっているのにこのようなことをするとは・・・・・・愛し合う二人、片割れが居なくなれば、残された者は後を追う、これは自明の理ですよ」
温泉に浸かりながら、その未成熟な肢体を晒しだしている彼女の口から出てくるにはいささか場違いな言葉ではあるが、外見より遥かに長い実年齢がその言葉に重みを与えている。
「・・・・・・何故、そんなことまで話してくれるのか、ですって? これはまぁ、貴方個人に対するお礼ですよ」
心を読む能力で聞き手の疑問を察したさとりが先んじて答える。
「・・・・・・大丈夫ですか、顔が赤いですよ?」
意地悪な笑みを浮かべて、さとりがそう問いかける。心を読める彼女は、何故聞き手が終始顔を真っ赤にしているのか分かりきっているのに、あえてそう聞いたのだ。意地悪以外の何物でもない。
これが嫌われている原因ではないのかと、聞き手はそんなことを考えた――その思考すら読まれてしまうことを忘れて。
ほんの一瞬、さとりが傷ついたような表情をするが、それはすぐに笑みにとって変わった。
「しかしまぁ、長く付き合う以上は避けられない宿命であることは分かりますが・・・・・・『マンネリ』解消のために人の家にまで押しかけてくるのはやめていただきたいものですね、魔理沙」
聞き手――霧雨魔理沙はその言葉に大仰そうに肩をすくめた。
彼女の傍らには、のぼせてしまったのか岩にもたれかかって眼を閉じているアリスの姿があった。
長く恋人という関係を続ける以上――いつか『マンネリ』が来てしまう。
それに対処するために、アリスと魔理沙は策を考えた。
それは、一時的に二人の距離を離すこと。
魔理沙が地下へと赴き、アリスは自分の家で過ごす。
どちらかが我慢できなくなったら、相手の元に帰る。それが決まりだった。
そして、そんな策を利用する存在がちらほらと。
「ああもう、ぜぇぇったい魔理沙が先に根をあげると思ったのにぃ」
博麗神社で、萃香は気勢を上げていた。
アリスと魔理沙の関係を知っている人間は、この件について賭けをしていたのだ。曰く、どちらが先に相手の元を訪れるか。
もちろん萃香は魔理沙に賭けていた。
「あんたはあの二人のことを知らないのよ。魔理沙ほどの意地っ張りはそうそう居ないわ・・・・・・まぁアリスも似たところがあるけど」
そう語るのは博麗霊夢。彼女はアリスに賭けていた。
「だいたい、あんたズルしようとしたんだって?」
「な、なんでバレテル・・・・・・(え、何の話?)」
「紫に聞いたのよ。あと本音と建前が逆よ、逆」
賭け事においてズルをするというのは正直者の鬼にあるまじき行為ではあるが、それについては賭けの対価があまりに大きいということでご容赦願いたい。
ちなみに萃香が賭けていたのは腰にぶら下げた瓢箪である。近々宴会が行われることもあり、霊夢は無限に酒が湧き出るこの瓢箪を狙っていた、というわけだ。
「ゆかりぃ、裏切ったなぁ」
「あらあら、ごめんなさいね」
口元を上品に手で隠して笑う紫もまた、魔理沙に賭けていたのだが、こちらは萃香と違って悔しそうな表情一つしていない。ちなみに彼女は、宴会の折に人手が足りないということで自らの式である八雲藍を賭けに提示していた――まさに非道。
「ま、いいじゃない。たまには禁酒の苦しさを味わってみなさい。宴会までの辛抱よ」
「うぅ~」
能力も使っていないのに意気消沈しすぎて霧化しかけている萃香を霊夢が慰める。
ちなみに霊夢が提示した――鬼の宝物である瓢箪と九尾の狐という最高の式に割りあう――のは・・・・・・本人の名誉のために書かないでおこう。
一つだけ言えることがあるとすれば、彼女の胸元に巻かれた白い物体が身売りせずに済んだ、ということだろうか。
「しかし、こんなことで大丈夫なんですか?」
「ん~、何がだ?」
ペットに持ってこさせた酒を酌み交わしながら、さとりがそんなことを聞いた。何を聞かれているか分からない魔理沙は赤ら顔で問い返す。ちなみに酒の肴はアリスが持ってきたサンドイッチ・・・・・・の予定だったが、あまりの美味に酒の到着を待ちきれず、二人はおとなしく飲み交わしていた。
「本当の結末が来た時、ですよ」
「あぁ・・・・・・“結末”か」
人間である霧雨魔理沙と、魔女であるアリス・マーガトロイド。このまま時を過ごすのであれば、いずれ別離の時はやってくる。それは寿命という避けられない宿命によるもの。
その別離は、我慢できなくなれば会いにいけるようなものではない。
もちろん、二人がそれを考えなかったわけではない。
「・・・・・・なるほど、これは予行演習のようなものでしたか」
「ん、まぁな。結果はごらんの通りだぜ」
屈託のない笑いの底に、哀しみがよぎったのを心を読めるさとりが見逃すはずもなかった。
そう、このプチ別離とも呼べるものは、どれだけ二人が離れていられるかというテストを兼ねたものでもあったのだ。結果は、一週間も持たなかった。アリスだけではない、魔理沙もまた、二日過ぎた辺りから落ち着かなくなり、数十分前にアリスがここを訪れるまで、その笑顔は陰を潜めていた。
(・・・・・・最初から無理だったと思いますけどね)
さとりは、お燐から聞いたことを思い出す。
魔理沙が地下を訪れ地霊殿を訪ねる際、彼女はお燐に運んでもらってきたのだ。それは親切心、というものでもあるが、どこか脆い笑顔を浮かべた魔理沙をお燐がほうっておけなかった、というのもある。
「そんなことで、大丈夫なんですか?」
湯船に浮かべた盆から日本酒の瓶を取って、さとりは一杯注ぐ。
「・・・・・・きっと大丈夫じゃないと思うぜ。こんな調子なんだからな」
目を細めて、魔理沙は傍らのアリスを見やる。その目には哀しさと・・・・・・そして愛おしさがにじみ出ていた。
「だけど、それでも私達は離れられない。もう離れることはできないんだ・・・・・・将来のことは将来に考える――もしかすると、私は人間を捨てちまうかもしれないなぁ」
本当の魔法使いになった自分を思い浮かべたのか、魔理沙は笑みを浮かべた。
「だけど――どんな選択をするにせよ、私は後悔しない。人間のままで死ぬのなら、それまでにアリスとの思い出をめいっぱい作る。もし人間をやめるのなら――その時は、ずっと離れないぜ。長い人生を、“二人”で過ごす。私、霧雨魔理沙は、アリス・マーガトロイドを、一生愛し続けることに決めたんだ」
酒が入ってきたのか、酔っ払ったような口調で――だが、真剣に魔理沙は言い放った。
どこまでも人間的で、独善的で・・・・・・だが美しい心に、何か気恥ずかしくなって、さとりは杯を煽った。
何となく仕返しをしたくなったから、彼女は一息で飲み干した杯を目の高さに持ち上げて、魔理沙に言ってやった。
「そうそう、魔理沙さん・・・・・アリスさん、ずっと起きてますよ」
な、と二人が心の中で慌てふためく様子を観察しながら、空になった杯をさとりは高く持ち上げる。それは、自らの境遇をほんの少し良い方向に替えてくれたこのおかしな魔法使いへの感謝。
(二人の未来に、乾杯
・・・・・・できるなら、限りの無い幸せがあらんことを)
いやマジで真剣に読み進めましたwおみごとです
甘い百合モノは口に合わないのですが、作者様がセオリーから調理法を少し変えられていたので、最後まで読めました。
それにしても萃香は迫真の演技だったなあwww
やられました、お見事すぎますw
でも、こんな〆も有りなのかなぁ・・・