その日も博麗霊夢はいつもと変わらない朝を向かえ、いつもと変わらない日常を送るはずだった。
しかし、霊夢がお茶を飲もうと湯呑みに口をつけた時にそれは起こった。
「!?」
霊夢の足元に突然スキマが出来て、それに落ちてしまった。
落ちた先は霊夢の知らない洋風の部屋の中であった。
洋風とはいっても、紅魔館ではないようだ。
霊夢はどうせ八雲紫の仕業であろうと推測し、周りを見渡したが誰もいなかった。どうやらこの部屋にはいないらしい。
「……はぁ。探すのは面倒ね」
霊夢がこの部屋から出ようとした時に、何処かから機会音が聞こえてきた。
何だろうかと思い、探してみると何時の間にか霊夢の腕に小物入れらしき物が付いており、そこから聞こえているようである。
中に何か入っていて、それを取り出してみた。
「? これって……早苗が持ってた携帯なんちゃらってやつじゃない?」
そう。そこから出てきた物は携帯電話だった。
霊夢はどうしようかと思いながら携帯電話を見ていたが、そのままにしておくわけにはいかないので勘で操作してみることにした。一応早苗がなんか操作しているのを見たことがあるので大丈夫だろうとやってみたのだ。
しかし、何故だかはわからないが、操作方法が完璧にわかってしまうのだ。
いくら操作しているのを見たことがあるとはいえ、実際に教えてもらったわけではないし、ここまで完璧にわかってしまうのは何だか不気味である。
「あのスキマは一体何がしたいのかしら」
さっきの音はどうやらメールを着信した為らしい。
そのメールを見てみると、
『 我らが用意したステージにようこそ
このステージには君をあわせて14人のプレイヤーがいる。
そして今から君達にはあるゲームをしてもらう。
ルールを説明しよう。
・ 君達には三桁の数字が書かれたプレートを背負ってもらう。
・ 他のプレイヤーの数字を本部に密告し合う。密告されたプレイヤーは失格となる。
・ 密告の方法は、他のプレイヤーの数字を見たら支給した携帯電話で連絡すればいい。携帯電話の操作方法は君
達の記憶に入れ込んでおいたので問題はないだろう。
・ 密告する際はその数字を持つプレイヤーの名前も一緒に言うこと。でなければ密告として認めない。
・ 建物内は基本的に出入りは自由とするが、扉の閉まっている建物への出入りは禁止する。
・ 数字を間違って密告した場合は、間違えたプレイヤーを強制失格とするので注意してほしい。
・ 故意に壁などに背をつけることは禁止とする。
・ 密告の情報は逐一携帯電話にメールで送信する。
・ プレイヤー同士のメールのやり取りは禁止とするが、電話は許可をする。
・ 最後まで生き残ったプレイヤーには豪華な賞品を与えるが、制限時間である60分後までに二人以上残っていた
らゲームオーバーとし、全員失格とする。
・ 能力・スペルの使用については原則として禁止するが、予め配られたスペルカードを一回のみ使用する
ことを認める。
以上
では諸君の健闘を祈る 』
「はあ!?」
メールを読み終えた霊夢はしばらく固まっていた。いや、霊夢だけじゃなくほとんどのプレイヤーがそうだっただろう。
だが、何かがスキマから投げ込まれたことで我に返った。
それを見てみると、三桁の数字が書かれたプレートと60分をカウントするための腕時計の様な物、ステージの地図と思われる物、そして一枚のスペルカードだった。
投げ込まれた物を持つと、霊夢は不敵に笑った。
「ふふふ、いいわ。やってやろうじゃないの。必ず勝ち残って賞品を貰うわよっ!」
叫びながら拳を上にあげた。
こうして60分間の密告ゲームが幕をあけた。
このゲームの舞台となる場所は大理○村ロッ○ハート城を元に八雲紫が用意した空間である。
ステージの西側には大きな城があり、ここは3階まであり、地下一階もある。ちなみに城の入り口は東側に一つと南側に一つ。
そのすぐ北には小高い丘が存在する。ここがステージの最北端となる。
城の東出口を出てしばらく行くと、右手に高い塔が立っている。この搭はステージのほぼ中央に立っているためあらゆる目印としやすいだろう。
ステージの最東端にはテディーの家がある。ここは木々が生い茂った中にある。
最南端はストーンショップがある。ここの前には広場があり、ストーンアカデミー、石ころ達のミュージアムといった建物に囲まれている。
最西端には女神の像がある恋人の丘があり、城の北にある丘よりも高い位置をとれる。
また、お互いのプレイヤーは誰が参戦しているのかは携帯電話を見ればわかるが、何処に居るのかはわからない。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り60分 プレイヤー数14人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何て言うか……結構緊張するなぁ」
ここはステージ最西端にある木々の生い茂る小高い丘だ。頂上付近には女神の像がある。
そこにいるプレイヤーは鈴仙・優曇華院・イナバである。
「う~ん? この位置からあまり動かない方がいいのかしら」
小高い丘にいる為、下の様子は覗きやすい。
ちなみに、能力は封じられているとはいえ身体能力などはそのままである。よって、人間より妖怪のほうが少々有利かもしれない。
「あっ! 誰かいる。誰だろうか……」
鈴仙が見たのは何者かがこちらに向かってきている姿であった。
遠いこともあるが木々が生い茂っているため中々はっきりとは見えない。
「うーん。髪の色ならわかるんだけどなあ」
というか髪の色しかわからないのだが。鈴仙には心当たりが二つあった。
鈴仙はしばらく考えたあと電話をしてみることにした。
これで、電話を取るのが見えたらそれはその人物であり、対策も練りやすい。違ったのならもう一方の人物であり、これまた対策が練れる。
鈴仙は携帯電話を取り出し、電話をかけた。
鈴仙が電話をかけた相手は……
「あら? 何かしら?」
ここは城のすぐ北側に位置する小高い丘だ。
鈴仙が電話をした相手は、十六夜咲夜だった。咲夜は着信音のなる携帯電話を取った。
『咲夜さんですか?』
「あらあら、私とわかってかけてきたんじゃないの?」
『ふふふ、そうですね。……それより咲夜さん。今どこにいますか?』
「……さあ。屋内とだけ言っておくわ」
嘘だ。
『……そうですか。わかりました。失礼します』
そう聞こえてきたら電話は切れてしまった。
「何だったのかしら。……はっ! もしかしてどこからか見られてる?」
咲夜は辺りを警戒して見たが、それらしき人影は見当たらない。
「……ホントに何だったのかしら。まあいいわ、とっとと終わらせないといけないわね。館の掃除がまだ途中だったし」
咲夜は丘を下り始めた。
その時、
「!? また?」
着信音が鳴った。
メールのようだ。
「もしもーし。……おーい?」
……メールだ。
「あっ、メールか……」
意外とドジだったりするんだろうか。
「ん? 何々、密告情報? 鈴仙・優曇華院・イナバ追放。密告したのは魂魄妖夢、残り13人……ってさっき電話してきたばっかじゃん。何やってるんだか」
時は遡る……。
「咲夜さんじゃないってことは……あれは……」
そう言って携帯をしまう鈴仙の後ろには魂魄妖夢……ではなく半霊がいた。いや、半霊ってことは妖夢でいいのか?
半霊は飛び立っていき、やがて妖夢の元に戻った。
「よしっ! これで電話をすれば」
妖夢は携帯電話を取り出した。
「えーと、密告します。鈴仙・優曇華院・イナバ、436」
電話を終えると妖夢はにやりと笑った。
「ああ~。もう終わり~?」
鈴仙はメールを見るなりがっくりと肩を落とした。
「はー。でもいきなりスペルを使ってしまった……」
どうやら妖夢に支給されたスペルは半霊を何処へでも向かわせれる物だったらしい。
妖夢は鈴仙を見つけると、この位置関係では不利であると判断して一度は逃げようとした。しかし、逃げる時に背中を見られるかもしれない。
ならば、一か八か対決した方が逃げて負けるよりはいい。
しかし、闇雲に進んで行ったのでは抱え落ちしてしまうだろう、ということでいきなりスペルを使ったのだった。
「むむむ……。まあ、使ってしまったものは仕方ないし、できるだけ優位な位置をとることにしよう」
妖夢はそう言って鈴仙がいた場所へと向かっていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り47分 プレイヤー数13人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここはステージの最東端にあるテディの家。
「……ふふふ。これ一回やってみたかったんですよね。テレビとか見てていつもそう思ってましたよ」
誰に話ているのかわからない一人言を言っているのは東風谷早苗だ。
その早苗がテディの家の入り口から外をジッと見ている。その視線の先には上白沢慧音がいた。
実はこうして睨み合ってからもう五分経っている。お互いに全く隙をみせないのだ。
睨み合っているとはいえ距離は相当離れていて、どちらかが仕掛ければすぐにわかってしまうという状況だ。
さらに早苗にとっては元のゲームを知っている分、スペルの要素が加わったこのゲームに対して警戒心を深めている。
「慧音さんは動きませんね。慧音さんばかりでなく後ろも警戒しなくちゃいけませんからねぇ」
テディの家の入り口は一つだけではない。大抵の建物の入り口は一つだけではないので、一つの出入り口に気を取られていると知らない間に密告されるかもしれない。
「いっそ、ここを放棄して逃げましょうかね……」
早苗が退くか否か悩んでいると、丁度残り時間が45分となった。
その瞬間、着信音が鳴り響いた。
「ん!? なんですか? えーと……ミッションですか。これは私には関係ありませんね」
メールを見て一安心する早苗。
そのメールにはこう書かれていた。
『 MISSION Ⅰ
城内から脱出せよ!
今から5分後のゲーム残り時間40分となったら城の入り口を封鎖し、城内は立ち入り禁止となる。
もしその時点で城内にプレイヤーがいたら、そのプレイヤーは強制失格となる。 』
「何だって!?」
所変わってここは城内1階の一室。
メールを見て驚いた霧雨魔理沙は急いで部屋から出て場外へと向かおうとした。
だが、部屋から出た時点で同じく城内1階にいたルナサ・プリズムリバーとばったり出くわしてしまった。
「おいおい……マジか……」
「鬱ね……」
お互いに近い距離で牽制しあう魔理沙とルナサ。
「なあ、ルナサ」
「何?」
「今はこんなことしてる場合じゃないだろ? 今はこの城の中から出ることを優先すべきだろ」
「……じゃあ、あなたから出れば?」
「それで私の隙を窺おうってか? その手には乗らないぜ」
二人とも言葉を交して相手の様子を見つつ、少しずつ出口へと向かう。
だが、このペースで行けば間に合うかどうか微妙なところである。
魔理沙は已む無くスペルを使うことにした。
「くっ、こんなところで使いたくはなかったが、仕方ない」
「!?」
魔理沙がスペルを使用しようとしてるのを感じたのかルナサもスペルを使う準備をした。
「行くぜっ!」
「……え!?」
魔理沙がスペルを発動した瞬間、ルナサの前から魔理沙は消えていた。
魔理沙のスペルは箒で高速移動する物のようである。箒での移動によって魔理沙は城の東側出入り口まで辿り着いていた。
「ふふふ。移動している途中であいつの番号がチラリと見えたぜ」
辺りの様子を窺いつつ魔理沙は電話をかけた。
「密告するぜ。ルナサ・プリズムリバー、221。……よしっ」
どうやら無事に密告できたようだ。
だが、普通密告に成功したらテンションが上がるはずなのに何故か上がらない。逆に何だか下がってきた。
「あれ? 何だ? 妙にヤル気が起きない……鬱だ……」
ルナサの置き土産のようだ。
出入り口封鎖まで残り2分50秒。
魔理沙の脱出とルナサの追放により、城内にいるのは博麗霊夢、ミスティア・ルーレライ、火焔猫燐の3人となった。
「ん? 密告情報ね。ルナサ・プリズムリバー追放。密告したのは霧雨魔理沙。残り12人……やるわね、魔理沙」
メールを見ているのは城内3階から2階に下りてきた、霊夢である。
「しかし、この状況はなんとかならないのかしら」
霊夢の視線の先にはミスティアがいた。
ミスティアがこちらを注視しているかぎり、迂闊に階段は下りれない。
「ちょっと、あんたのせいで下りられないじゃない!」
「私は邪魔してないわよ。どうぞ~♪ 下りて下りて~♪」
「……何故いちいち歌う」
霊夢はじりじりと階段を下りようとしているが、ミスティアの歌が人間にどういうことを引き起こすのかということを忘れているようだ。
「!?」
気付いたときにはもう遅かった。
階段を半分まで下りたところで霊夢は歌によって惑わされていた。
「え? え?」
「よーし。もらったわ!」
ミスティアは霊夢の背中の数字を見ようと霊夢の背後に回り込もうとする。しかし、霊夢はミスティアの動きに合わせて体を回転させる。
偶然だろうか? ミスティアはもう一度霊夢の背後に回り込もうとするが、やっぱり霊夢はミスティアの動きに合わせてくる。
「え? 私のスペルが効いてない?」
そんな筈はない。
現に、霊夢は自らの置かれている状況がわかっていなさそうである。
ということは……無意識に勘のみでミスティアの動きを読んでいることになる。なんというか恐ろしい。お前ホントに人間か!? と問いたくなる。
「ぐぬぬぬぬ……」
「う~ん?」
ミスティアが手こずっているうちに霊夢が正気に戻ったようだ。
ちなみに、霊夢達は知らない間に階段を下りて1階まで来ていた。
「ああ!? 時間切れ?」
「あ、ちょっと……」
霊夢が正気に戻ったことで動揺したミスティアは、霊夢に背中を見られないように慌てて城の出入り口に向かう。
霊夢はそれを追おうとしたが、何故か嫌な予感がしたのでミスティアとは別の出入り口を目指すことにした。
「はあ、はあ。何なのよ、あいつは。ホントに人間?」
ミスティアは出入り口の直前で外の様子を窺う。
どうやら誰もいなさそうだ。
「これで脱出ね」
ミスティアが城の前の道を警戒しながら歩いていると、メールの着信音が鳴った。誰かが密告されたようだ……。
ミスティアは携帯電話を確認する。
「ええ!? ミスティア・ローレライ追放!? 密告したのは霧雨魔理沙……。残り11人……」
ミスティアは辺りを見渡す。
「何処で見られたの~?」
「へへっ。ここだぜ!」
「!?」
ミスティアの言葉が聞こえたのか、魔理沙が城の出入り口の扉の裏から出てきた。どうやら待ち伏せをしていたようだ。
「あー! ずるい!」
「こういうのは見つけられなかった方が悪いんだぜ!」
出入り口封鎖まで残り1分。
城内にいるのは霊夢とお燐の二人となった。
その二人が今、城の南出入り口付近で対峙していた。
「夜雀の次は猫か……」
「お姉さん。悪いことは言わないからちょっと後ろを向いてくれない?」
「あのねぇ……」
二人じわじわと城の出入り口に向かうが、時間はもうない。
「お姉さんには悪いけど……」
「!?」
お燐はスペルを使用したようだ。
霊夢の周りに怨霊が飛び交う。霊夢は怨霊とお燐の両方に注意しなければならなくなった。
「くっ」
「もうちょっと……」
いくらなんでも怨霊とお燐から逃れるのは無理があったようだ。霊夢は怨霊に完全に背後を取られた。数字はきっちり見られただろう。
怨霊がお燐の元に行き、数字を伝える。
「あー!? ちょ、ちょっと待って」
「ふふふふ。諦めが悪いよ、お姉さん。これで電話をかければっ!?」
「ん?」
お燐が電話をかけようと携帯電話を取り出した時、電話に気を取られたのか足元の段差に気付かずに転んでしまった。
お燐は背中を上にして倒れているため、霊夢の位置からは数字が丸見えである。
霊夢は携帯電話を取り出して走りながら電話を始めた。残り時間も少なく、どうせもう背中の数字を見られているのだから背中を見られても関係ない。こうなったらどちらが早く密告を成立させられるか、だ。
「密告するわ。火焔猫燐の番号は281よ。……成立? よしっ!」
倒れたお燐は霊夢の走って行った方を見ながらメールの着信音を聞いた。
「密告情報。火焔猫燐追放。密告したのは博麗霊夢。残り10人。…………はあ、何でこんなことに……」
それは転んだからだ。
「こんなはずじゃ……ううぅぅ……」
残り時間が40分となり、城の出入り口は封鎖された。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り38分 プレイヤー数10人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……逃げたか?」
慧音は木々の間に身を隠し、テディーの家にいた早苗と様子を見合っていたのだが早苗はどうやら身を退いたようだ。
「追うか?」
逃げた早苗を追おうかとも思ったが、もしかしたらこれは罠かもしれないと考えてやめた。
慧音は今からどうするのか考えた。
慧音が今いる場所は丁度3つの道の交差点となっている。
1つ目は先程まで早苗がいたテディーの家に続いている道だが、この道には行かないとさっき決めた。
2つ目は城の東出入り口の正面にあるビックハートへ続く道だ。木々が生い茂った中を道が続いてっている。
3つ目は中央にある搭の真下から南へと延びているハートバザールへ続いている。慧音のスタート地点でもある場所だ。
「ふむ……」
慧音はしばらく考えた結果、ハートバザールに行くことにした。
行ったことのない場所に行くよりも、少しでも情報がある場所に行ったほうがいいと思ったのだ。
警戒しながらしばらく歩いていると、ハートバザールに着いた。だが、何だか違和感がある。
辺りを見てみるとどうやらハートバザールの南隣にある、みちの世界の前がおかしい。
慧音は行ってみることにした。
「別段変わったところはなさそうだが……むっ!?」
慧音がみちの世界の入り口に足を踏み入れた途端、体が糸で絡め取られた。
「な、なんだこれは!?」
「あっはっはっはっはー。罠に嵌ったわね!」
「むっ、誰だ!?」
慧音が声がした方向を向くと、そこには黒谷ヤマメがいた。
「背中が丸見えよーん」
「し、しまった」
慧音は動こうにも動けず、ヤマメに背後に回り込まれた。
「ふふふふふ。えーと、密告しまーす。上白沢慧音、259よ」
ヤマメは携帯電話をしまうと得意げな顔で慧音を見たが、もうそこに慧音はいなかった。
「あれ? 密告されると消えちゃうのかな?」
ヤマメが疑問に思っているとメールの着信音が鳴った。
さっきの密告情報だろうと思い、ヤマメは携帯電話を見た。
「え!? 上白沢慧音追放。密告したのは黒谷ヤマメ……だが、上白沢慧音のスペルによりこの密告はなかったことになった。上白沢慧音はスタート地点から再びゲームに参加する……ってどういうことっ!?」
メールを見て驚くヤマメ。
「つまりこういうことだ」
「!?」
ヤマメが携帯電話から目を上げると、そこには慧音がいた。
罠に警戒しているのだろうか、距離を取って近づいてこない。
「……そんなのアリ?」
「私からすればお前のこの蜘蛛の糸の方がアリなのかと問いたいのだがな」
二人が様子を見合っていると、二人の携帯電話から着信音が鳴った。
二人がメールを見てみると、
『 MISSION Ⅱ
人形投入を阻止せよ!
今から5分後のゲーム残り25分になると城からアリス・マーガトロイドが操る人形が5体投入される。
この人形はプレイヤーの背中を狙い、数字を密告する。
これを阻止するにはステージのどこかに存在する5つのスイッチを押すしかない。
1つのスイッチにつき1体の人形の投入を阻止できる。
なお、これより犬走椛による搭からの高所密告を開始する。 』
「な、なにー!?」
「高所密告ってどういうこと?」
それはつまりステージの中央にある搭の最上階に椛がいて、椛がそこから千里眼を用いてプレイヤーをの密告を狙うということだ。
「「……」」
慧音とヤマメはお互いに目で早く行けと言う。
「行かないの?」
「お前はどうなのだ?」
お互いがお互いをこのミッションに向かわせようとする。
「もう5分もないのよ! 早くしないと人形が来るわよ!」
「だったらお前が行けばよいではないか」
二人はしばらく睨み合っていたが、やがて折れたのか慧音が
「まあ、ここでこうしていても時間の無駄だ。私は行かせてもらおう」
と言い、ヤマメに背中を見られないように気をつけながらスイッチを探しに行った。
慧音と同じ様にスイッチの捜索に向かったのは4人だ。
魔理沙、妖夢、咲夜、早苗だ。
この中で早苗がいち早くスイッチの1つを見つけた。
「あれですか……」
早苗は搭の真下にあるスイッチに近づく。
そして、スイッチのもとまで辿り着き、スイッチを押した。
「これで人形の1体は投入阻止できましたが、他の方が動くかどうかですねぇ」
早苗はそう言いつつ上を見た。
メールによればこの上で椛がプレイヤーに目を光らせているらしい。
それならば、ここから動かない方が逆に見付かりにくいのではないだろうか。まさしく灯台下暗しみたいな感じで。
だが、ここから少し動けばすぐ椛に見付かってしまうだろう。
「は~。動きを封じられましたね」
早苗はテディーの家で拾った双眼鏡を取り出し、それで辺りを見始めた。実は最初に配られた地図にはアイテムが入った宝箱の場所が書かれており、場所はテディーの家、女神の像、城内3階の一室の3ヶ所だ。ちなみに霊夢は城のアイテムを探していたが見つける前にミッションが来てしまったので持っていない。女神の像のアイテムは妖夢が持っている。
この双眼鏡は早苗が開始直後に拾ったものだ。
「ん~? あれは……天子さんと小町さんですね。あんな所にいて椛さんに見付からないんですかね」
早苗の視線の先にはいるのはビックハートの前で対峙している比那名居天子と小野塚小町だった。
「おいおい。今の状況がわかっているのかい? 早くしないと人形に密告されて仕事に戻らないといけなくなるんだよ。とっととミッションに行きなよ」
「……それ、おもいっきりあんたの都合だし」
二人は全く動こうとしない。
そんな時にメールの着信音がなり響いた。誰かが密告されたようだ……。
「ん!? 小野塚小町追放!? 密告したのは東風谷早苗。残り9人。っていつの間に?」
小町は信じられないのか、携帯を何度も見直していた。
早苗は遠くから双眼鏡で小町と天子の様子を見ていたのだが、小町の背中の数字が見えたらしい。
「かっ~。まだスペルも使ってないのに……。あたい仕事に戻りたくないよ~」
「あっはっはっはっはっはっは」
天子に笑われながら、小町はスキマに吸い込まれていった。
「ざまあないわ」
小町から開放されて、やっと天子が動こうとした時にまたメールが来た。また誰かが密告されたようだ。
天子に冷や汗が流れる。小町が密告されたということは近くにいた自分も危ないからだ。
「比那名居天子追放。密告したのは東風谷早苗。残り8人。……やっぱりか! コンチキショー!!」
やっぱり、天子も双眼鏡から見られていたらしい。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り27分 プレイヤー数8人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人形投入まで残り2分。
慧音はスイッチを探して、最南端のストーンショップ付近まできていた。
「ふーむ。あった、あった。しかしアレだな。このゲームの主催者は本当に勝者を残す気があるのか? 明らかに全滅させにかかってないか?」
文句を言いつつ慧音はスイッチを押した。
これで押したスイッチの数は2つだ。あと3つのスイッチを押せば人形投入は完全に阻止できる。
だが、スイッチの前で固まっている人物が一人いた。
それは……
「むむむむ……。押したほうがいいのか? 押さないほうがいいのか?」
魔理沙だ。
城のすぐそばの教会の前にあるスイッチの前で迷っている。
「守りに入るんならもちろん押すんだが……逆に考えればこの人形は私に代わって密告をしてくれるってことだろ? うーん、悩むぜ」
それを草むらからジッと見ている人物がいた。
咲夜だ。
「何やってるのかしら。スイッチを見つけたのならとっとと押せばいいのに……」
咲夜は自分が出て行って自分で押そうかと考えたが、魔理沙と睨み合うことになるだけだと思いやめた。
代わりにある案が思う浮かんだ。
「そうね……これならこのゲームをとっとと終わらせれる」
魔理沙はまだ悩んでいた。
だが、次の瞬間。何時の間にか咲夜が後ろにいた。
「なっ!?」
「あらあら、魔理沙。背中が丸見えよ?」
咲夜は時間を止めて魔理沙の背後に回ったのだった。
「くっ。ここまでか……」
「そうねぇ。ここであなたを密告してもいいけど……それよりも密告されたくなかったら私に従いなさい」
どうやら魔理沙を脅すつもりらしい。
「はあ!?」
「私はね、館の掃除が途中なのよ。だからなるべく早くに終わらせたいの。早く終わらせるには1対2の状況をつくり出せればいい。違うかしら?」
「いや、正しいと思うが……。だけど、早く帰りたいのなら密告されちまえばいいじゃないか」
「はぁ~。わかってないわね」
「な、何だよ……」
「やるからには勝ちたいに決まってるじゃない!」
「……」
「取り合えず、まずはそのスイッチを押しなさい。何を悩んでいたのかは知らないけど」
「わかったよ」
魔理沙はしぶしぶスイッチを押した。これで押したスイッチは合計3つとなった。
ここでメールの着信音が鳴った。
「何々、東風谷早苗、上白沢慧音、霧雨魔理沙によって3体の人形の投入阻止に成功。しかし、2体の人形げステージに投入された。……だって」
どうやら時間ギリギリだったらしい。
「いや、『だって』って言われても……」
「よかったじゃない。あなたの活躍がメールで配信されたのよ」
「……いや、あんまりうれしくないぞ」
「あら? そうなの? ……ん? あれは」
咲夜は2体の人形が城から出てくるのを見た。
「隠れないとね……」
咲夜と魔理沙の二人は草むらの隠れた。
人形は二人には気付かずに搭の方へ向かっていく。その搭の真下には……
「ん? これってもしかして……に、人形!?」
早苗は双眼鏡で遠くをみていたため、人形の接近に気付くのに遅れた。
2体の人形は早苗を囲むように飛んでいる。
「ちょ、これってピンチ?」
1体の人形が早苗の背後に回り込もうとする。それを早苗が身をネジって阻止しようとするが、そうするともう1体の人形に背中を見られてしまいそうになる。
万事休すだ。
「くっ。こうなったら……」
早苗はスペルを発動させた。……が、何も起きない。
「へ?」
紙が1枚落ちてきた。早苗はそれに書かれている文字を辛うじて見ることができた。
「『スカ』ってどういうことじゃああああああああああい!?」
……これもある意味『奇跡』?
ちなみにこの後、
『密告情報。東風谷早苗追放。密告したのはアリスの人形。残り7人』
というメールが送られた。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り19分 プレイヤー数7人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今まで、このゲームに絡んでこなかった人物……いや、妖精が一人いる。
「ふふふふふ。ここまで生き残れたってことは、やっぱりあたいってば最強ね!」
チルノが今まで何で話しに出てこなかったかというと、簡単に言えば最初にきたメールをずっとここまで読んでいたからだ。
1度慧音が近くまで来たのだが、お互いに全く気付かなかった。
今やっとチルノは動きだすのだった。
「ん? 誰かいる」
チルノが見つけたのは、みちの世界で蜘蛛の巣の罠を張って待ち構えているヤマメだった。
「よ~し、いっくぞ~」
チルノはヤマメの姿を確認するや否や、ヤマメに向かって走っていく。
「!?」
チルノが走ってくるのを見たヤマメはかなり驚いていた。
「?? え? え?」
だが、次の瞬間にはヤマメは別のことに驚いていた。
何と、ヤマメの体が凍り始めたのだ。仕掛けてある罠も凍ってうまく作動しないらしい。
やがてヤマメは体を動かせないほどに凍ってしまった。
「あっはっはっはっは。背中が丸見えよ!」
チルノはヤマメの数字を見て、電話をかける。
「え~と。なんか蜘蛛っぽいやつ。え? 名前? う~んと……そうそう。それそれ黒谷ヤマメ。え? 番号? 813よ。……もう切っていい?」
……何とか密告は成功できたようだ。
「やっぱりあたいってば最強ね!」
チルノが得意そうに胸を張っていると、そこに慧音が通りかかった。
「むっ。次の獲物発見!」
チルノは先程と同じように突っ込んでいく。
「ん?」
慧音はチルノが突っ込んできているのに気付いた。慧音はある程度の距離を詰めるつもりだろう、と推測した。
だが、チルノはいつまで立っても止まらない。このまま行けば慧音とぶつかるだろう。
ぶつかるか否かというところで慧音が避けることに成功した。チルノはその勢いで慧音の後ろのあった木にぶつかってしまった。
「いた~い。何で? 何で凍らないのよ」
「はあ。お前な、スペルは1度しか使えないんだぞ」
「え? そうなの?」
「おいおい。最初のメールに書いてあっただろう。読んでないのか?」
「え? 読んだわよ。……半分くらい」
「……」
何というか、これはどうしたらいいのだろうか。
「ま、まあ。かわいそうだが密告させてもらうぞ。私だって負けるのは嫌だからな」
そう言って慧音は電話をかける。
「あっ、どうも。上白沢慧音です。密告します。チルノ、009。………」
「む~」
「そんな目で見るな。勝負の世界は非情なのだ」
慧音はチルノがスキマに消えるのを確認すると、歩き出した。
目指す先は搭の真下だ。慧音も早苗と同様に灯台下暗し作戦をするらしい。
だが、その先に慧音を見つめる人影があった。
「おい、咲夜。あっちに慧音がいるぞ」
「あら、そう」
あれから人形にも遭遇せずに二人は他のプレイヤーを探していた。もちろん二人一緒にではなく、先ず魔理沙に偵察に行かせて安全を確認した後に咲夜が着いてくるといった移動方法であるが。
「じゃあ、予ねてからの作戦通りに行動するわよ。間違った行動をしたら……わかっているでしょうね」
「はいはい。わかってる、わかってるって」
「そう。ならいいわ」
咲夜はそう言って何処かへ行った。
「はぁ。しょーがない。いくとするか」
魔理沙は慧音から姿が見えるような位置に立った。
当然、慧音は魔理沙の姿を見つけた。
「おいおい。隠れているのがバレバレだぞ! 魔理沙」
「チッ。バレたか」
お互いがお互いの背中を見られないように体を捻ったり、移動したりする。
しばらく、そうやって牽制し合っていると慧音の後ろに人影が現れた。咲夜だ。
「ん? メールか……」
慧音が届いたメールを見てみると、
「何!? いつの間に!?」
慧音が密告された報告が載っていた。
二人が取った作戦は単純なもので、魔理沙が慧音の注意を引き付けて咲夜がその背後から密告を狙うというものだった。単純だが、基本1対1のこのゲームでまさか挟み撃ちにされるとは思わないだろう。
こうしてゲームの残り人数も残りわずかとなった。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り11分 プレイヤー数4人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「しっかし、最初に14人もいたのに、もう残りは4人かよ」
「そうねぇ~」
魔理沙と咲夜の二人が話していると、メールの着信音が鳴った。
「お? 誰かが密告でもされたか……ってミッションかよ!」
「はぁ~」
『 MISSION Ⅲ
城に避難せよ!
これより城の全ての出入り口を開放する。
ただし、5分後のゲーム残り5分となったら、城内以外の全ステージを封鎖する。
その時点で城内以外のステージにいたプレイヤーは強制失格。
なお、人形は城内には侵入できない。 』
この二人は城の近くにいるのでこのミッションは問題なさそうである。
「……ん?」
魔理沙はこの咲夜の部下的な状況を何とかしたいと考えていたが、何かに気付いたようだった。
「咲夜。いい考えがあるぜ」
「何?」
「こういうのは出入り口で待ち伏せをすればいいんだぜ。効力は実証ずみだ」
「確かにそうかもしれないけど、城の出入り口は二つあるのよ?」
「電話でそれとなく聞けばいいのさ。 私は霊夢にかけるから咲夜は妖夢を頼む」
「……わかったわ」
魔理沙と咲夜はそれぞれ電話をかける。
「もしもし、妖夢かしら?……」
「おう! 霊夢……」
しばらくして、二人とも電話を終えた。
「どうだったの?」
「ああ。霊夢はやっぱり手ごわかったぜ。逆に私の方がバレそうになった」
「そう。妖夢は多分南側からね。私達は東側から入るから時間的に待ち伏せはできないわ」
「そうか」
ここで、メールの着信音が鳴った。誰かが密告されたようだ。
「え!? 十六夜咲夜追放!? 密告したのは……霧雨魔理沙。残り3人。……そんな………」
「はっはっはっは。私を部下にしたつもりで調子に乗っているからだぜ!」
こういうことが起こらないように最新の注意を払っていたはずだった。なのに何故? そんな気持ちが咲夜の中で渦巻く。
「ふふふ。咲夜! 確かにお前の私に対する備えは完璧だった。しかし……」
「しかし?」
「今の位置取りを見てみな!」
「?」
咲夜は魔理沙と自分の位置取りを見てみる。
咲夜は城壁に背を向けて立ち、魔理沙の位置からは絶対に背中は見れないだろう。何も問題はない。そう言っていいはずである。
「後ろだよ」
「!?」
そう言われて咲夜が振り返ると、そこにはガラスの窓があった。
「ま、まさか……」
「そう、映っていたのさ。ガラスにな」
「そ、そんな……」
咲夜はスキマに消えていった。
その直後、メールの着信音が鳴った。また誰かが密告されたようだ。
「ん? 妖夢か? 霊夢か? ……って!? 私かよ! いつの間に!?」
時は溯る……
「私を部下にしたつもりで調子に乗っているからだぜ!」
そう調子に乗っている魔理沙を密告したのは…………
「あんたもよ。魔理沙」
霊夢だ。
「えーと。密告するわ。霧雨魔理沙、741。……よしよし、豪華商品まであと1人」
咲夜に得意げにガラス密告のことを話す魔理沙の後ろで霊夢は坦々と密告したのだった。
魔理沙を密告した後、霊夢は悠々と城に入った。
一方、その頃の妖夢はというと……
「あとちょっとなのになぁ」
南側の出入り口のすぐそばまで来ているのだが、人形が邪魔で中々進めない。
そうこうしているうちに、残り30秒になってしまった。
「こうなったら一か八かで……」
妖夢は城の出入り口に向かって闇雲に走り出した。
当然人形は妖夢の姿に気付き、近づいてくる。
妖夢は絶対に人形に背中を向けまいと横走りも後ろ走りもしながら、城を目指して走り続けた。
だが、遂に人形に回り込まれそうになった。やはり2体の人形を相手に逃げ切るのは不可能だろうか。
「ここだっ!」
妖夢は懐から何かを取り出すた。
それは妖夢が手に入れたアイテム、閃光玉だった。眩い光が辺りを覆う。2体の人形は妖夢を見失ったようである。
その隙に妖夢は全力で城へと向かう。
「はあ、はあ、着いた……」
ギリギリで間に合ったようだ。妖夢が入った直後に出入り口が閉鎖された。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り5分 プレイヤー数2人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……」
妖夢は緊張しながら城内の廊下を歩いている。
これは先に相手を見つけた方が確実に有利である。
妖夢は気配を探ることは自分の方が上であると思っているため、この戦いは自分の方に分があると思っている。
だが、油断はしていない。なにしろ相手は博麗霊夢なのだ。
その時っ! メールの着信音が鳴った。
妖夢はまさか、と思いつつ携帯を見る。
「……やっぱりか」
がっくりと膝をつく妖夢。メールは霊夢の勝利を伝えるものだったらしい。
時は溯る……
霊夢は妖夢が南側から城に入ってくることを予測して、妖夢が通りそうな場所で待ち伏せしていたのだ
「あっ! 来た来た」
妖夢は全く気付いていない。
「密告するわ。魂魄妖夢、885。……よしっ!」
そして、霊夢は自分の勝利を伝えるメールを見た。
その次の瞬間には霊夢は博麗神社にいた。
「あれ? 夢?」
「夢じゃないわ」
あまりにいきなり景色が変わったので、夢かと思った霊夢の背後に紫が現れた。
「何か用?」
「ええ。優勝商品を届けにきたのよ」
「やっぱり、あんたの仕業だったか」
「あら、つまらなかったかしら?」
「面白かったけど……事前に知らせて欲しかったわ」
「そう。ごめんなさい」
そう言って紫はスキマに消えた。
霊夢はそんなこと気にせずに、嬉しそうに賞品が何かを確認する。
「ん?……おい! スキマ! 出て来い! これのどこが豪華賞品だ!」
賞品をみた途端、霊夢は怒鳴りながら飛んでいった。
豪華商品は
・組み立てカンタン! 守矢神社神棚セット
・御利益は約束します! 守矢神社お守り各種
・これで君も神様だ! ケロ帽の作り方&ミニ御柱キーホルダー
だった。
しかし、霊夢がお茶を飲もうと湯呑みに口をつけた時にそれは起こった。
「!?」
霊夢の足元に突然スキマが出来て、それに落ちてしまった。
落ちた先は霊夢の知らない洋風の部屋の中であった。
洋風とはいっても、紅魔館ではないようだ。
霊夢はどうせ八雲紫の仕業であろうと推測し、周りを見渡したが誰もいなかった。どうやらこの部屋にはいないらしい。
「……はぁ。探すのは面倒ね」
霊夢がこの部屋から出ようとした時に、何処かから機会音が聞こえてきた。
何だろうかと思い、探してみると何時の間にか霊夢の腕に小物入れらしき物が付いており、そこから聞こえているようである。
中に何か入っていて、それを取り出してみた。
「? これって……早苗が持ってた携帯なんちゃらってやつじゃない?」
そう。そこから出てきた物は携帯電話だった。
霊夢はどうしようかと思いながら携帯電話を見ていたが、そのままにしておくわけにはいかないので勘で操作してみることにした。一応早苗がなんか操作しているのを見たことがあるので大丈夫だろうとやってみたのだ。
しかし、何故だかはわからないが、操作方法が完璧にわかってしまうのだ。
いくら操作しているのを見たことがあるとはいえ、実際に教えてもらったわけではないし、ここまで完璧にわかってしまうのは何だか不気味である。
「あのスキマは一体何がしたいのかしら」
さっきの音はどうやらメールを着信した為らしい。
そのメールを見てみると、
『 我らが用意したステージにようこそ
このステージには君をあわせて14人のプレイヤーがいる。
そして今から君達にはあるゲームをしてもらう。
ルールを説明しよう。
・ 君達には三桁の数字が書かれたプレートを背負ってもらう。
・ 他のプレイヤーの数字を本部に密告し合う。密告されたプレイヤーは失格となる。
・ 密告の方法は、他のプレイヤーの数字を見たら支給した携帯電話で連絡すればいい。携帯電話の操作方法は君
達の記憶に入れ込んでおいたので問題はないだろう。
・ 密告する際はその数字を持つプレイヤーの名前も一緒に言うこと。でなければ密告として認めない。
・ 建物内は基本的に出入りは自由とするが、扉の閉まっている建物への出入りは禁止する。
・ 数字を間違って密告した場合は、間違えたプレイヤーを強制失格とするので注意してほしい。
・ 故意に壁などに背をつけることは禁止とする。
・ 密告の情報は逐一携帯電話にメールで送信する。
・ プレイヤー同士のメールのやり取りは禁止とするが、電話は許可をする。
・ 最後まで生き残ったプレイヤーには豪華な賞品を与えるが、制限時間である60分後までに二人以上残っていた
らゲームオーバーとし、全員失格とする。
・ 能力・スペルの使用については原則として禁止するが、予め配られたスペルカードを一回のみ使用する
ことを認める。
以上
では諸君の健闘を祈る 』
「はあ!?」
メールを読み終えた霊夢はしばらく固まっていた。いや、霊夢だけじゃなくほとんどのプレイヤーがそうだっただろう。
だが、何かがスキマから投げ込まれたことで我に返った。
それを見てみると、三桁の数字が書かれたプレートと60分をカウントするための腕時計の様な物、ステージの地図と思われる物、そして一枚のスペルカードだった。
投げ込まれた物を持つと、霊夢は不敵に笑った。
「ふふふ、いいわ。やってやろうじゃないの。必ず勝ち残って賞品を貰うわよっ!」
叫びながら拳を上にあげた。
こうして60分間の密告ゲームが幕をあけた。
このゲームの舞台となる場所は大理○村ロッ○ハート城を元に八雲紫が用意した空間である。
ステージの西側には大きな城があり、ここは3階まであり、地下一階もある。ちなみに城の入り口は東側に一つと南側に一つ。
そのすぐ北には小高い丘が存在する。ここがステージの最北端となる。
城の東出口を出てしばらく行くと、右手に高い塔が立っている。この搭はステージのほぼ中央に立っているためあらゆる目印としやすいだろう。
ステージの最東端にはテディーの家がある。ここは木々が生い茂った中にある。
最南端はストーンショップがある。ここの前には広場があり、ストーンアカデミー、石ころ達のミュージアムといった建物に囲まれている。
最西端には女神の像がある恋人の丘があり、城の北にある丘よりも高い位置をとれる。
また、お互いのプレイヤーは誰が参戦しているのかは携帯電話を見ればわかるが、何処に居るのかはわからない。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り60分 プレイヤー数14人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「何て言うか……結構緊張するなぁ」
ここはステージ最西端にある木々の生い茂る小高い丘だ。頂上付近には女神の像がある。
そこにいるプレイヤーは鈴仙・優曇華院・イナバである。
「う~ん? この位置からあまり動かない方がいいのかしら」
小高い丘にいる為、下の様子は覗きやすい。
ちなみに、能力は封じられているとはいえ身体能力などはそのままである。よって、人間より妖怪のほうが少々有利かもしれない。
「あっ! 誰かいる。誰だろうか……」
鈴仙が見たのは何者かがこちらに向かってきている姿であった。
遠いこともあるが木々が生い茂っているため中々はっきりとは見えない。
「うーん。髪の色ならわかるんだけどなあ」
というか髪の色しかわからないのだが。鈴仙には心当たりが二つあった。
鈴仙はしばらく考えたあと電話をしてみることにした。
これで、電話を取るのが見えたらそれはその人物であり、対策も練りやすい。違ったのならもう一方の人物であり、これまた対策が練れる。
鈴仙は携帯電話を取り出し、電話をかけた。
鈴仙が電話をかけた相手は……
「あら? 何かしら?」
ここは城のすぐ北側に位置する小高い丘だ。
鈴仙が電話をした相手は、十六夜咲夜だった。咲夜は着信音のなる携帯電話を取った。
『咲夜さんですか?』
「あらあら、私とわかってかけてきたんじゃないの?」
『ふふふ、そうですね。……それより咲夜さん。今どこにいますか?』
「……さあ。屋内とだけ言っておくわ」
嘘だ。
『……そうですか。わかりました。失礼します』
そう聞こえてきたら電話は切れてしまった。
「何だったのかしら。……はっ! もしかしてどこからか見られてる?」
咲夜は辺りを警戒して見たが、それらしき人影は見当たらない。
「……ホントに何だったのかしら。まあいいわ、とっとと終わらせないといけないわね。館の掃除がまだ途中だったし」
咲夜は丘を下り始めた。
その時、
「!? また?」
着信音が鳴った。
メールのようだ。
「もしもーし。……おーい?」
……メールだ。
「あっ、メールか……」
意外とドジだったりするんだろうか。
「ん? 何々、密告情報? 鈴仙・優曇華院・イナバ追放。密告したのは魂魄妖夢、残り13人……ってさっき電話してきたばっかじゃん。何やってるんだか」
時は遡る……。
「咲夜さんじゃないってことは……あれは……」
そう言って携帯をしまう鈴仙の後ろには魂魄妖夢……ではなく半霊がいた。いや、半霊ってことは妖夢でいいのか?
半霊は飛び立っていき、やがて妖夢の元に戻った。
「よしっ! これで電話をすれば」
妖夢は携帯電話を取り出した。
「えーと、密告します。鈴仙・優曇華院・イナバ、436」
電話を終えると妖夢はにやりと笑った。
「ああ~。もう終わり~?」
鈴仙はメールを見るなりがっくりと肩を落とした。
「はー。でもいきなりスペルを使ってしまった……」
どうやら妖夢に支給されたスペルは半霊を何処へでも向かわせれる物だったらしい。
妖夢は鈴仙を見つけると、この位置関係では不利であると判断して一度は逃げようとした。しかし、逃げる時に背中を見られるかもしれない。
ならば、一か八か対決した方が逃げて負けるよりはいい。
しかし、闇雲に進んで行ったのでは抱え落ちしてしまうだろう、ということでいきなりスペルを使ったのだった。
「むむむ……。まあ、使ってしまったものは仕方ないし、できるだけ優位な位置をとることにしよう」
妖夢はそう言って鈴仙がいた場所へと向かっていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り47分 プレイヤー数13人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここはステージの最東端にあるテディの家。
「……ふふふ。これ一回やってみたかったんですよね。テレビとか見てていつもそう思ってましたよ」
誰に話ているのかわからない一人言を言っているのは東風谷早苗だ。
その早苗がテディの家の入り口から外をジッと見ている。その視線の先には上白沢慧音がいた。
実はこうして睨み合ってからもう五分経っている。お互いに全く隙をみせないのだ。
睨み合っているとはいえ距離は相当離れていて、どちらかが仕掛ければすぐにわかってしまうという状況だ。
さらに早苗にとっては元のゲームを知っている分、スペルの要素が加わったこのゲームに対して警戒心を深めている。
「慧音さんは動きませんね。慧音さんばかりでなく後ろも警戒しなくちゃいけませんからねぇ」
テディの家の入り口は一つだけではない。大抵の建物の入り口は一つだけではないので、一つの出入り口に気を取られていると知らない間に密告されるかもしれない。
「いっそ、ここを放棄して逃げましょうかね……」
早苗が退くか否か悩んでいると、丁度残り時間が45分となった。
その瞬間、着信音が鳴り響いた。
「ん!? なんですか? えーと……ミッションですか。これは私には関係ありませんね」
メールを見て一安心する早苗。
そのメールにはこう書かれていた。
『 MISSION Ⅰ
城内から脱出せよ!
今から5分後のゲーム残り時間40分となったら城の入り口を封鎖し、城内は立ち入り禁止となる。
もしその時点で城内にプレイヤーがいたら、そのプレイヤーは強制失格となる。 』
「何だって!?」
所変わってここは城内1階の一室。
メールを見て驚いた霧雨魔理沙は急いで部屋から出て場外へと向かおうとした。
だが、部屋から出た時点で同じく城内1階にいたルナサ・プリズムリバーとばったり出くわしてしまった。
「おいおい……マジか……」
「鬱ね……」
お互いに近い距離で牽制しあう魔理沙とルナサ。
「なあ、ルナサ」
「何?」
「今はこんなことしてる場合じゃないだろ? 今はこの城の中から出ることを優先すべきだろ」
「……じゃあ、あなたから出れば?」
「それで私の隙を窺おうってか? その手には乗らないぜ」
二人とも言葉を交して相手の様子を見つつ、少しずつ出口へと向かう。
だが、このペースで行けば間に合うかどうか微妙なところである。
魔理沙は已む無くスペルを使うことにした。
「くっ、こんなところで使いたくはなかったが、仕方ない」
「!?」
魔理沙がスペルを使用しようとしてるのを感じたのかルナサもスペルを使う準備をした。
「行くぜっ!」
「……え!?」
魔理沙がスペルを発動した瞬間、ルナサの前から魔理沙は消えていた。
魔理沙のスペルは箒で高速移動する物のようである。箒での移動によって魔理沙は城の東側出入り口まで辿り着いていた。
「ふふふ。移動している途中であいつの番号がチラリと見えたぜ」
辺りの様子を窺いつつ魔理沙は電話をかけた。
「密告するぜ。ルナサ・プリズムリバー、221。……よしっ」
どうやら無事に密告できたようだ。
だが、普通密告に成功したらテンションが上がるはずなのに何故か上がらない。逆に何だか下がってきた。
「あれ? 何だ? 妙にヤル気が起きない……鬱だ……」
ルナサの置き土産のようだ。
出入り口封鎖まで残り2分50秒。
魔理沙の脱出とルナサの追放により、城内にいるのは博麗霊夢、ミスティア・ルーレライ、火焔猫燐の3人となった。
「ん? 密告情報ね。ルナサ・プリズムリバー追放。密告したのは霧雨魔理沙。残り12人……やるわね、魔理沙」
メールを見ているのは城内3階から2階に下りてきた、霊夢である。
「しかし、この状況はなんとかならないのかしら」
霊夢の視線の先にはミスティアがいた。
ミスティアがこちらを注視しているかぎり、迂闊に階段は下りれない。
「ちょっと、あんたのせいで下りられないじゃない!」
「私は邪魔してないわよ。どうぞ~♪ 下りて下りて~♪」
「……何故いちいち歌う」
霊夢はじりじりと階段を下りようとしているが、ミスティアの歌が人間にどういうことを引き起こすのかということを忘れているようだ。
「!?」
気付いたときにはもう遅かった。
階段を半分まで下りたところで霊夢は歌によって惑わされていた。
「え? え?」
「よーし。もらったわ!」
ミスティアは霊夢の背中の数字を見ようと霊夢の背後に回り込もうとする。しかし、霊夢はミスティアの動きに合わせて体を回転させる。
偶然だろうか? ミスティアはもう一度霊夢の背後に回り込もうとするが、やっぱり霊夢はミスティアの動きに合わせてくる。
「え? 私のスペルが効いてない?」
そんな筈はない。
現に、霊夢は自らの置かれている状況がわかっていなさそうである。
ということは……無意識に勘のみでミスティアの動きを読んでいることになる。なんというか恐ろしい。お前ホントに人間か!? と問いたくなる。
「ぐぬぬぬぬ……」
「う~ん?」
ミスティアが手こずっているうちに霊夢が正気に戻ったようだ。
ちなみに、霊夢達は知らない間に階段を下りて1階まで来ていた。
「ああ!? 時間切れ?」
「あ、ちょっと……」
霊夢が正気に戻ったことで動揺したミスティアは、霊夢に背中を見られないように慌てて城の出入り口に向かう。
霊夢はそれを追おうとしたが、何故か嫌な予感がしたのでミスティアとは別の出入り口を目指すことにした。
「はあ、はあ。何なのよ、あいつは。ホントに人間?」
ミスティアは出入り口の直前で外の様子を窺う。
どうやら誰もいなさそうだ。
「これで脱出ね」
ミスティアが城の前の道を警戒しながら歩いていると、メールの着信音が鳴った。誰かが密告されたようだ……。
ミスティアは携帯電話を確認する。
「ええ!? ミスティア・ローレライ追放!? 密告したのは霧雨魔理沙……。残り11人……」
ミスティアは辺りを見渡す。
「何処で見られたの~?」
「へへっ。ここだぜ!」
「!?」
ミスティアの言葉が聞こえたのか、魔理沙が城の出入り口の扉の裏から出てきた。どうやら待ち伏せをしていたようだ。
「あー! ずるい!」
「こういうのは見つけられなかった方が悪いんだぜ!」
出入り口封鎖まで残り1分。
城内にいるのは霊夢とお燐の二人となった。
その二人が今、城の南出入り口付近で対峙していた。
「夜雀の次は猫か……」
「お姉さん。悪いことは言わないからちょっと後ろを向いてくれない?」
「あのねぇ……」
二人じわじわと城の出入り口に向かうが、時間はもうない。
「お姉さんには悪いけど……」
「!?」
お燐はスペルを使用したようだ。
霊夢の周りに怨霊が飛び交う。霊夢は怨霊とお燐の両方に注意しなければならなくなった。
「くっ」
「もうちょっと……」
いくらなんでも怨霊とお燐から逃れるのは無理があったようだ。霊夢は怨霊に完全に背後を取られた。数字はきっちり見られただろう。
怨霊がお燐の元に行き、数字を伝える。
「あー!? ちょ、ちょっと待って」
「ふふふふ。諦めが悪いよ、お姉さん。これで電話をかければっ!?」
「ん?」
お燐が電話をかけようと携帯電話を取り出した時、電話に気を取られたのか足元の段差に気付かずに転んでしまった。
お燐は背中を上にして倒れているため、霊夢の位置からは数字が丸見えである。
霊夢は携帯電話を取り出して走りながら電話を始めた。残り時間も少なく、どうせもう背中の数字を見られているのだから背中を見られても関係ない。こうなったらどちらが早く密告を成立させられるか、だ。
「密告するわ。火焔猫燐の番号は281よ。……成立? よしっ!」
倒れたお燐は霊夢の走って行った方を見ながらメールの着信音を聞いた。
「密告情報。火焔猫燐追放。密告したのは博麗霊夢。残り10人。…………はあ、何でこんなことに……」
それは転んだからだ。
「こんなはずじゃ……ううぅぅ……」
残り時間が40分となり、城の出入り口は封鎖された。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り38分 プレイヤー数10人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……逃げたか?」
慧音は木々の間に身を隠し、テディーの家にいた早苗と様子を見合っていたのだが早苗はどうやら身を退いたようだ。
「追うか?」
逃げた早苗を追おうかとも思ったが、もしかしたらこれは罠かもしれないと考えてやめた。
慧音は今からどうするのか考えた。
慧音が今いる場所は丁度3つの道の交差点となっている。
1つ目は先程まで早苗がいたテディーの家に続いている道だが、この道には行かないとさっき決めた。
2つ目は城の東出入り口の正面にあるビックハートへ続く道だ。木々が生い茂った中を道が続いてっている。
3つ目は中央にある搭の真下から南へと延びているハートバザールへ続いている。慧音のスタート地点でもある場所だ。
「ふむ……」
慧音はしばらく考えた結果、ハートバザールに行くことにした。
行ったことのない場所に行くよりも、少しでも情報がある場所に行ったほうがいいと思ったのだ。
警戒しながらしばらく歩いていると、ハートバザールに着いた。だが、何だか違和感がある。
辺りを見てみるとどうやらハートバザールの南隣にある、みちの世界の前がおかしい。
慧音は行ってみることにした。
「別段変わったところはなさそうだが……むっ!?」
慧音がみちの世界の入り口に足を踏み入れた途端、体が糸で絡め取られた。
「な、なんだこれは!?」
「あっはっはっはっはー。罠に嵌ったわね!」
「むっ、誰だ!?」
慧音が声がした方向を向くと、そこには黒谷ヤマメがいた。
「背中が丸見えよーん」
「し、しまった」
慧音は動こうにも動けず、ヤマメに背後に回り込まれた。
「ふふふふふ。えーと、密告しまーす。上白沢慧音、259よ」
ヤマメは携帯電話をしまうと得意げな顔で慧音を見たが、もうそこに慧音はいなかった。
「あれ? 密告されると消えちゃうのかな?」
ヤマメが疑問に思っているとメールの着信音が鳴った。
さっきの密告情報だろうと思い、ヤマメは携帯電話を見た。
「え!? 上白沢慧音追放。密告したのは黒谷ヤマメ……だが、上白沢慧音のスペルによりこの密告はなかったことになった。上白沢慧音はスタート地点から再びゲームに参加する……ってどういうことっ!?」
メールを見て驚くヤマメ。
「つまりこういうことだ」
「!?」
ヤマメが携帯電話から目を上げると、そこには慧音がいた。
罠に警戒しているのだろうか、距離を取って近づいてこない。
「……そんなのアリ?」
「私からすればお前のこの蜘蛛の糸の方がアリなのかと問いたいのだがな」
二人が様子を見合っていると、二人の携帯電話から着信音が鳴った。
二人がメールを見てみると、
『 MISSION Ⅱ
人形投入を阻止せよ!
今から5分後のゲーム残り25分になると城からアリス・マーガトロイドが操る人形が5体投入される。
この人形はプレイヤーの背中を狙い、数字を密告する。
これを阻止するにはステージのどこかに存在する5つのスイッチを押すしかない。
1つのスイッチにつき1体の人形の投入を阻止できる。
なお、これより犬走椛による搭からの高所密告を開始する。 』
「な、なにー!?」
「高所密告ってどういうこと?」
それはつまりステージの中央にある搭の最上階に椛がいて、椛がそこから千里眼を用いてプレイヤーをの密告を狙うということだ。
「「……」」
慧音とヤマメはお互いに目で早く行けと言う。
「行かないの?」
「お前はどうなのだ?」
お互いがお互いをこのミッションに向かわせようとする。
「もう5分もないのよ! 早くしないと人形が来るわよ!」
「だったらお前が行けばよいではないか」
二人はしばらく睨み合っていたが、やがて折れたのか慧音が
「まあ、ここでこうしていても時間の無駄だ。私は行かせてもらおう」
と言い、ヤマメに背中を見られないように気をつけながらスイッチを探しに行った。
慧音と同じ様にスイッチの捜索に向かったのは4人だ。
魔理沙、妖夢、咲夜、早苗だ。
この中で早苗がいち早くスイッチの1つを見つけた。
「あれですか……」
早苗は搭の真下にあるスイッチに近づく。
そして、スイッチのもとまで辿り着き、スイッチを押した。
「これで人形の1体は投入阻止できましたが、他の方が動くかどうかですねぇ」
早苗はそう言いつつ上を見た。
メールによればこの上で椛がプレイヤーに目を光らせているらしい。
それならば、ここから動かない方が逆に見付かりにくいのではないだろうか。まさしく灯台下暗しみたいな感じで。
だが、ここから少し動けばすぐ椛に見付かってしまうだろう。
「は~。動きを封じられましたね」
早苗はテディーの家で拾った双眼鏡を取り出し、それで辺りを見始めた。実は最初に配られた地図にはアイテムが入った宝箱の場所が書かれており、場所はテディーの家、女神の像、城内3階の一室の3ヶ所だ。ちなみに霊夢は城のアイテムを探していたが見つける前にミッションが来てしまったので持っていない。女神の像のアイテムは妖夢が持っている。
この双眼鏡は早苗が開始直後に拾ったものだ。
「ん~? あれは……天子さんと小町さんですね。あんな所にいて椛さんに見付からないんですかね」
早苗の視線の先にはいるのはビックハートの前で対峙している比那名居天子と小野塚小町だった。
「おいおい。今の状況がわかっているのかい? 早くしないと人形に密告されて仕事に戻らないといけなくなるんだよ。とっととミッションに行きなよ」
「……それ、おもいっきりあんたの都合だし」
二人は全く動こうとしない。
そんな時にメールの着信音がなり響いた。誰かが密告されたようだ……。
「ん!? 小野塚小町追放!? 密告したのは東風谷早苗。残り9人。っていつの間に?」
小町は信じられないのか、携帯を何度も見直していた。
早苗は遠くから双眼鏡で小町と天子の様子を見ていたのだが、小町の背中の数字が見えたらしい。
「かっ~。まだスペルも使ってないのに……。あたい仕事に戻りたくないよ~」
「あっはっはっはっはっはっは」
天子に笑われながら、小町はスキマに吸い込まれていった。
「ざまあないわ」
小町から開放されて、やっと天子が動こうとした時にまたメールが来た。また誰かが密告されたようだ。
天子に冷や汗が流れる。小町が密告されたということは近くにいた自分も危ないからだ。
「比那名居天子追放。密告したのは東風谷早苗。残り8人。……やっぱりか! コンチキショー!!」
やっぱり、天子も双眼鏡から見られていたらしい。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り27分 プレイヤー数8人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
人形投入まで残り2分。
慧音はスイッチを探して、最南端のストーンショップ付近まできていた。
「ふーむ。あった、あった。しかしアレだな。このゲームの主催者は本当に勝者を残す気があるのか? 明らかに全滅させにかかってないか?」
文句を言いつつ慧音はスイッチを押した。
これで押したスイッチの数は2つだ。あと3つのスイッチを押せば人形投入は完全に阻止できる。
だが、スイッチの前で固まっている人物が一人いた。
それは……
「むむむむ……。押したほうがいいのか? 押さないほうがいいのか?」
魔理沙だ。
城のすぐそばの教会の前にあるスイッチの前で迷っている。
「守りに入るんならもちろん押すんだが……逆に考えればこの人形は私に代わって密告をしてくれるってことだろ? うーん、悩むぜ」
それを草むらからジッと見ている人物がいた。
咲夜だ。
「何やってるのかしら。スイッチを見つけたのならとっとと押せばいいのに……」
咲夜は自分が出て行って自分で押そうかと考えたが、魔理沙と睨み合うことになるだけだと思いやめた。
代わりにある案が思う浮かんだ。
「そうね……これならこのゲームをとっとと終わらせれる」
魔理沙はまだ悩んでいた。
だが、次の瞬間。何時の間にか咲夜が後ろにいた。
「なっ!?」
「あらあら、魔理沙。背中が丸見えよ?」
咲夜は時間を止めて魔理沙の背後に回ったのだった。
「くっ。ここまでか……」
「そうねぇ。ここであなたを密告してもいいけど……それよりも密告されたくなかったら私に従いなさい」
どうやら魔理沙を脅すつもりらしい。
「はあ!?」
「私はね、館の掃除が途中なのよ。だからなるべく早くに終わらせたいの。早く終わらせるには1対2の状況をつくり出せればいい。違うかしら?」
「いや、正しいと思うが……。だけど、早く帰りたいのなら密告されちまえばいいじゃないか」
「はぁ~。わかってないわね」
「な、何だよ……」
「やるからには勝ちたいに決まってるじゃない!」
「……」
「取り合えず、まずはそのスイッチを押しなさい。何を悩んでいたのかは知らないけど」
「わかったよ」
魔理沙はしぶしぶスイッチを押した。これで押したスイッチは合計3つとなった。
ここでメールの着信音が鳴った。
「何々、東風谷早苗、上白沢慧音、霧雨魔理沙によって3体の人形の投入阻止に成功。しかし、2体の人形げステージに投入された。……だって」
どうやら時間ギリギリだったらしい。
「いや、『だって』って言われても……」
「よかったじゃない。あなたの活躍がメールで配信されたのよ」
「……いや、あんまりうれしくないぞ」
「あら? そうなの? ……ん? あれは」
咲夜は2体の人形が城から出てくるのを見た。
「隠れないとね……」
咲夜と魔理沙の二人は草むらの隠れた。
人形は二人には気付かずに搭の方へ向かっていく。その搭の真下には……
「ん? これってもしかして……に、人形!?」
早苗は双眼鏡で遠くをみていたため、人形の接近に気付くのに遅れた。
2体の人形は早苗を囲むように飛んでいる。
「ちょ、これってピンチ?」
1体の人形が早苗の背後に回り込もうとする。それを早苗が身をネジって阻止しようとするが、そうするともう1体の人形に背中を見られてしまいそうになる。
万事休すだ。
「くっ。こうなったら……」
早苗はスペルを発動させた。……が、何も起きない。
「へ?」
紙が1枚落ちてきた。早苗はそれに書かれている文字を辛うじて見ることができた。
「『スカ』ってどういうことじゃああああああああああい!?」
……これもある意味『奇跡』?
ちなみにこの後、
『密告情報。東風谷早苗追放。密告したのはアリスの人形。残り7人』
というメールが送られた。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り19分 プレイヤー数7人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今まで、このゲームに絡んでこなかった人物……いや、妖精が一人いる。
「ふふふふふ。ここまで生き残れたってことは、やっぱりあたいってば最強ね!」
チルノが今まで何で話しに出てこなかったかというと、簡単に言えば最初にきたメールをずっとここまで読んでいたからだ。
1度慧音が近くまで来たのだが、お互いに全く気付かなかった。
今やっとチルノは動きだすのだった。
「ん? 誰かいる」
チルノが見つけたのは、みちの世界で蜘蛛の巣の罠を張って待ち構えているヤマメだった。
「よ~し、いっくぞ~」
チルノはヤマメの姿を確認するや否や、ヤマメに向かって走っていく。
「!?」
チルノが走ってくるのを見たヤマメはかなり驚いていた。
「?? え? え?」
だが、次の瞬間にはヤマメは別のことに驚いていた。
何と、ヤマメの体が凍り始めたのだ。仕掛けてある罠も凍ってうまく作動しないらしい。
やがてヤマメは体を動かせないほどに凍ってしまった。
「あっはっはっはっは。背中が丸見えよ!」
チルノはヤマメの数字を見て、電話をかける。
「え~と。なんか蜘蛛っぽいやつ。え? 名前? う~んと……そうそう。それそれ黒谷ヤマメ。え? 番号? 813よ。……もう切っていい?」
……何とか密告は成功できたようだ。
「やっぱりあたいってば最強ね!」
チルノが得意そうに胸を張っていると、そこに慧音が通りかかった。
「むっ。次の獲物発見!」
チルノは先程と同じように突っ込んでいく。
「ん?」
慧音はチルノが突っ込んできているのに気付いた。慧音はある程度の距離を詰めるつもりだろう、と推測した。
だが、チルノはいつまで立っても止まらない。このまま行けば慧音とぶつかるだろう。
ぶつかるか否かというところで慧音が避けることに成功した。チルノはその勢いで慧音の後ろのあった木にぶつかってしまった。
「いた~い。何で? 何で凍らないのよ」
「はあ。お前な、スペルは1度しか使えないんだぞ」
「え? そうなの?」
「おいおい。最初のメールに書いてあっただろう。読んでないのか?」
「え? 読んだわよ。……半分くらい」
「……」
何というか、これはどうしたらいいのだろうか。
「ま、まあ。かわいそうだが密告させてもらうぞ。私だって負けるのは嫌だからな」
そう言って慧音は電話をかける。
「あっ、どうも。上白沢慧音です。密告します。チルノ、009。………」
「む~」
「そんな目で見るな。勝負の世界は非情なのだ」
慧音はチルノがスキマに消えるのを確認すると、歩き出した。
目指す先は搭の真下だ。慧音も早苗と同様に灯台下暗し作戦をするらしい。
だが、その先に慧音を見つめる人影があった。
「おい、咲夜。あっちに慧音がいるぞ」
「あら、そう」
あれから人形にも遭遇せずに二人は他のプレイヤーを探していた。もちろん二人一緒にではなく、先ず魔理沙に偵察に行かせて安全を確認した後に咲夜が着いてくるといった移動方法であるが。
「じゃあ、予ねてからの作戦通りに行動するわよ。間違った行動をしたら……わかっているでしょうね」
「はいはい。わかってる、わかってるって」
「そう。ならいいわ」
咲夜はそう言って何処かへ行った。
「はぁ。しょーがない。いくとするか」
魔理沙は慧音から姿が見えるような位置に立った。
当然、慧音は魔理沙の姿を見つけた。
「おいおい。隠れているのがバレバレだぞ! 魔理沙」
「チッ。バレたか」
お互いがお互いの背中を見られないように体を捻ったり、移動したりする。
しばらく、そうやって牽制し合っていると慧音の後ろに人影が現れた。咲夜だ。
「ん? メールか……」
慧音が届いたメールを見てみると、
「何!? いつの間に!?」
慧音が密告された報告が載っていた。
二人が取った作戦は単純なもので、魔理沙が慧音の注意を引き付けて咲夜がその背後から密告を狙うというものだった。単純だが、基本1対1のこのゲームでまさか挟み撃ちにされるとは思わないだろう。
こうしてゲームの残り人数も残りわずかとなった。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り11分 プレイヤー数4人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「しっかし、最初に14人もいたのに、もう残りは4人かよ」
「そうねぇ~」
魔理沙と咲夜の二人が話していると、メールの着信音が鳴った。
「お? 誰かが密告でもされたか……ってミッションかよ!」
「はぁ~」
『 MISSION Ⅲ
城に避難せよ!
これより城の全ての出入り口を開放する。
ただし、5分後のゲーム残り5分となったら、城内以外の全ステージを封鎖する。
その時点で城内以外のステージにいたプレイヤーは強制失格。
なお、人形は城内には侵入できない。 』
この二人は城の近くにいるのでこのミッションは問題なさそうである。
「……ん?」
魔理沙はこの咲夜の部下的な状況を何とかしたいと考えていたが、何かに気付いたようだった。
「咲夜。いい考えがあるぜ」
「何?」
「こういうのは出入り口で待ち伏せをすればいいんだぜ。効力は実証ずみだ」
「確かにそうかもしれないけど、城の出入り口は二つあるのよ?」
「電話でそれとなく聞けばいいのさ。 私は霊夢にかけるから咲夜は妖夢を頼む」
「……わかったわ」
魔理沙と咲夜はそれぞれ電話をかける。
「もしもし、妖夢かしら?……」
「おう! 霊夢……」
しばらくして、二人とも電話を終えた。
「どうだったの?」
「ああ。霊夢はやっぱり手ごわかったぜ。逆に私の方がバレそうになった」
「そう。妖夢は多分南側からね。私達は東側から入るから時間的に待ち伏せはできないわ」
「そうか」
ここで、メールの着信音が鳴った。誰かが密告されたようだ。
「え!? 十六夜咲夜追放!? 密告したのは……霧雨魔理沙。残り3人。……そんな………」
「はっはっはっは。私を部下にしたつもりで調子に乗っているからだぜ!」
こういうことが起こらないように最新の注意を払っていたはずだった。なのに何故? そんな気持ちが咲夜の中で渦巻く。
「ふふふ。咲夜! 確かにお前の私に対する備えは完璧だった。しかし……」
「しかし?」
「今の位置取りを見てみな!」
「?」
咲夜は魔理沙と自分の位置取りを見てみる。
咲夜は城壁に背を向けて立ち、魔理沙の位置からは絶対に背中は見れないだろう。何も問題はない。そう言っていいはずである。
「後ろだよ」
「!?」
そう言われて咲夜が振り返ると、そこにはガラスの窓があった。
「ま、まさか……」
「そう、映っていたのさ。ガラスにな」
「そ、そんな……」
咲夜はスキマに消えていった。
その直後、メールの着信音が鳴った。また誰かが密告されたようだ。
「ん? 妖夢か? 霊夢か? ……って!? 私かよ! いつの間に!?」
時は溯る……
「私を部下にしたつもりで調子に乗っているからだぜ!」
そう調子に乗っている魔理沙を密告したのは…………
「あんたもよ。魔理沙」
霊夢だ。
「えーと。密告するわ。霧雨魔理沙、741。……よしよし、豪華商品まであと1人」
咲夜に得意げにガラス密告のことを話す魔理沙の後ろで霊夢は坦々と密告したのだった。
魔理沙を密告した後、霊夢は悠々と城に入った。
一方、その頃の妖夢はというと……
「あとちょっとなのになぁ」
南側の出入り口のすぐそばまで来ているのだが、人形が邪魔で中々進めない。
そうこうしているうちに、残り30秒になってしまった。
「こうなったら一か八かで……」
妖夢は城の出入り口に向かって闇雲に走り出した。
当然人形は妖夢の姿に気付き、近づいてくる。
妖夢は絶対に人形に背中を向けまいと横走りも後ろ走りもしながら、城を目指して走り続けた。
だが、遂に人形に回り込まれそうになった。やはり2体の人形を相手に逃げ切るのは不可能だろうか。
「ここだっ!」
妖夢は懐から何かを取り出すた。
それは妖夢が手に入れたアイテム、閃光玉だった。眩い光が辺りを覆う。2体の人形は妖夢を見失ったようである。
その隙に妖夢は全力で城へと向かう。
「はあ、はあ、着いた……」
ギリギリで間に合ったようだ。妖夢が入った直後に出入り口が閉鎖された。
~~~~~~~~~~~~~~~~残り5分 プレイヤー数2人~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……」
妖夢は緊張しながら城内の廊下を歩いている。
これは先に相手を見つけた方が確実に有利である。
妖夢は気配を探ることは自分の方が上であると思っているため、この戦いは自分の方に分があると思っている。
だが、油断はしていない。なにしろ相手は博麗霊夢なのだ。
その時っ! メールの着信音が鳴った。
妖夢はまさか、と思いつつ携帯を見る。
「……やっぱりか」
がっくりと膝をつく妖夢。メールは霊夢の勝利を伝えるものだったらしい。
時は溯る……
霊夢は妖夢が南側から城に入ってくることを予測して、妖夢が通りそうな場所で待ち伏せしていたのだ
「あっ! 来た来た」
妖夢は全く気付いていない。
「密告するわ。魂魄妖夢、885。……よしっ!」
そして、霊夢は自分の勝利を伝えるメールを見た。
その次の瞬間には霊夢は博麗神社にいた。
「あれ? 夢?」
「夢じゃないわ」
あまりにいきなり景色が変わったので、夢かと思った霊夢の背後に紫が現れた。
「何か用?」
「ええ。優勝商品を届けにきたのよ」
「やっぱり、あんたの仕業だったか」
「あら、つまらなかったかしら?」
「面白かったけど……事前に知らせて欲しかったわ」
「そう。ごめんなさい」
そう言って紫はスキマに消えた。
霊夢はそんなこと気にせずに、嬉しそうに賞品が何かを確認する。
「ん?……おい! スキマ! 出て来い! これのどこが豪華賞品だ!」
賞品をみた途端、霊夢は怒鳴りながら飛んでいった。
豪華商品は
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だった。
ただ最後の5分があっさり過ぎたのとオチが弱いのが残念かなあ、と。
残念な感じですねぇ…。
もう少しこう…プレートを見て密告するまでの詳しい行動や工夫、
あと妖夢とギリギリまでバックを取るか取られるかの戦いが
見てみたかったです。
とまあ、色々と書きましたが楽しめました。
誤字などの報告
>ミスティア・ルーレライ
『ミスティア・ローレライ』ですよ。
>しかし、2体の人形げステージに投入された。
『人形が』ですよね。
誤字報告
何処かから機会音が→機械音
ミスティア・ルーレライ→ローレライ
搭→塔
2体の人形げステージに→人形が
できれば別のシリーズでもお願いします。
坦々→淡々
全体的に淡々としすぎてる気が……もう少し駆け引きや心情の描写があっても良かったのではないでしょうか?
ktkr
・御利益は約束します! 守矢神社お守り各種
・これで君も神様だ! ケロ帽の作り方&ミニ御柱キーホルダー
あ、欲しいかも。