Coolier - 新生・東方創想話

いくら心がこもっているからと言って、ちゃんと考えないと駄目ですよ。

2009/04/11 20:01:48
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「ねぇ咲夜、今日は私の身の回りの世話、しなくていいわ」
 レミリアは、目ざめると同時に、咲夜にそう言った。
「はぁ。いかがしましたか、お嬢様」
 咲夜は瀟洒に尋ねた。自分が何かミスをしたのだろうか、と、内心首をかしげている。
「今日は虫の居所が悪いの。とってもね。何かに八つ当たりしたいくらい。身の安全を確保したいなら下がりなさい」
 面倒くさそうに、レミリアは答えた。
「はあ」
 もう一度ベッドに潜り込むレミリア。二度寝したいだけなのではと、咲夜は少し疑った。
 レミリアは、もう一度咲夜に視線を向け、
「そういうわけだから、今日は構わない」
 と言った。下手な追求はいたずらに主の機嫌を損ねるだけだろうと、咲夜は考えた。
「かしこまりました」
 お辞儀をして、咲夜は部屋を出た。







「へえー、そうなんですか、お嬢様がねぇ。それで今日は見回りが早かったんですね。いやぁ失敗失敗」
 あははははははは。
「そういう事。ナイフまだ刺さってるわよ」
 後頭部に一本。美鈴はその金属製ちょんまげを、頬についた米粒でも取るかのように引っこ抜く。頑丈というかなんというか。
 最近居眠りをしていないなと、咲夜は内心感心していたのだが、どうも違うらしかった。
 今度から、門へ見回りに来る時間をランダムにしようと、咲夜は決めた。
「今朝機嫌が悪いのなら、昨日の、お嬢様の誕生日パーティーで何かあったんでしょうねぇ」
「でしょうねぇって貴女、最初っから最後まで出てたでしょうに」
 たははと笑う美鈴。
「いやー、酔いつぶれてしまいまして」
 溜息。どちらのものかは言うまでも無い。
「で、何か知らない? 流石に気になってねぇ」
 鬼のメイド長などと周囲からは呼ばれているが、咲夜とて主人を気遣う程度の忠誠心は持っていた。
 というより、咲夜ほどの忠誠心の持ち主も珍しい。
「さあ」
「さあ、って」
 呆れる咲夜。
「いえね、昨日でたお酒、洋酒メインだったんですけど、その中に紹興酒がありましてね? 故郷の酒ですからね、懐かしいんですよ、私としては」
 そういえば、この妖怪の出身は大陸の東の方だったかと、咲夜は思い出した。
 ついでに、なんで紹興酒なんて出したんだと後悔した。
「で、これがまたねぇ、美味しくて。がぶ飲みですよ。いやー、二日酔いにならなくてよかったですよ」
 あっははははははは。
 手をたたいて大笑いする美鈴。まだアルコールが入っているんじゃないだろうかと、咲夜は疑う。
 ちょっと顔が赤い。
「咲夜さんも呑みますか? 実はまだ詰め所にあるんですよ、こっそりガメてきた奴が。大陸産は良いですよ、大陸産は。洋酒とは比べ物になりません」
 洋酒とて大陸産だろうに。
 近くで会話していると、息が酒くさかった。これは入ってるなと思って、咲夜は頭を抱えたくなった。もう少し真面目になってくれないか? この門番。
「わかったわ、ありがとう。でもお酒はやめとく。仕事中だしね」
 社交辞令的感謝。美鈴は少し残念がりながらも仕事に戻り、咲夜が見えなくなるとチビチビやりだした。
「仕事中に呑んでんじゃないわよ」
 また金属製ちょんまげを五、六本生やす羽目になった。引っこ抜く。頑丈というかなんというか。







「へぇ、お姉さまが? ああ、そういえばそうだったかも」
 地下室の掃除ついでに、咲夜はフランドールに尋ねた。そういう答えが返ってきた。
「理由、何かご存知ありませんか?」
 モップ片手に質問する咲夜。
「んー、クッキーもう一枚くれたら思い出すかもね」
 魔理沙と知り合ってから妙にこざかしくなった。咲夜は心の中でため息をつく。落ち着いてきたのは良いけど、変な方向に育つのは勘弁だ。
 フランドールのお気に入りはA型、RHはプラスだ。最近のマイブームはチョコチップ入りで、咲夜は時間をとめてそれを持って来た。
 フランドールはゆっくりそれを食べる、むぐむぐ。そして話し始めた。
「途中まではね、お姉さまも楽しそうだったのよ。というか、楽しそうなときが殆どだったわ。もしゃもしゃ」
「口に物を入れたまま喋ってはいけませんよ」
 咲夜は、雑巾を絞りながらフランドールの不行儀をたしなめた。
 噛み砕かれて唾液と混ざったクッキーを飲み込むフランドール。んぐんぐ、ごっくん。
「でも、最後の方から急に機嫌が悪くなって、奥に引っ込んじゃった。パーティーに出てたメイド達は気にしないで楽しんでたけど」
 気にしろよと、咲夜は心の中で毒づいた。どうも細かい気配りができない連中だ。
「私、お姉さまにどうしたのって訊いたんだけど、なんでもないとしか言わなくて。プライドが高すぎるのも考え物だよね。……そういえば、咲夜はどこにいたの? 昨日、いなかったけど」
「裏方でモノの準備をしたり料理したり、忙しかったのですよ。メイド長ですので」
 フランドールは、ふぅん、と頷く。咲夜の掃除がとっくに終わっていると、今になって気づいた。
「掃除はおしまい? なら弾幕しようよ」

 咲夜は逃げ出した!

 しかし回り込まれてしまった!







「パチュリー様、紅茶をお持ちいたしました」
「あら有難う。そこに置いといて。……何か疲れてるようだけど?」
 パチュリーは本から目を離さず、そう言った。
 咲夜が紅茶をもって来たのは図書館掃除のついでだ。疲労は隠していたつもりだが、見抜かれた。
「弾幕しましてね、妹様と。流石に疲れます」
 妹さまだものねぇ、とパチュリーはうなずく。咲夜は紅茶を置くよう指図されたテーブルを見たが、本と資料らしきもので埋め尽くされていた。紅茶の置き場など無い。
「ああ、ごめんなさい。じゃあそれ、ちょうだい、今飲むから」
 咲夜はパチュリーに紅茶を渡した。
 パチュリーはミルクと砂糖まみれのそれを飲み、そして本から目を離さずにしゃべる。
「レミィ、酷いのよ」
「何がです?」
「……ああ、昨日の誕生日パーティー、咲夜は出てなかったのね」
「ええ、まあ。裏方仕事でいっぱいいっぱいでしたので。最初にあったお嬢様のスピーチだけは出ましたが」
 パチュリー様が何かやらかしたせいで、今日のお嬢様は不機嫌なのだな、と、咲夜は思った。
 パチュリーの方は、怒り冷めやらぬといった様子で語る。
「最後に、プレゼントを渡したのよ。レミィに。みんなで」
 咲夜もプレゼントは用意していた。出れなかったので、副メイド長に彼女のと一緒に渡しておいてもらったが。ちなみに当の本人は、二日酔いで休んでいる。
 ――馬鹿め。門番を見習え、二日酔いはしてないぞ。職務怠慢だが。
 紅い満月を模した髪飾り。朝、レミリアが髪につけていたのを思い出す。やはりうれしいものだ。
「それでね、私のプレゼントを見たとたん、レミィ引っ込んじゃったのよ」
「はあ」
 何を渡したのやら。咲夜は正直に訊いた。
「何を渡したのですか?」
 咲夜がそう尋ねると、一寸置いてパチュリーは答えた。
「レミィ、出不精じゃない。どちらかというとね」
 なるほど、と咲夜は思って、頷いた。最近はましになった方だが、それでも出かけるのは専ら博麗神社のみだ。頻度もさほど高くない。――昼間から頻繁に出歩く吸血鬼というのもどうかと思った。
 というか、お前が言うな。咲夜はすごく考えた。でも本人には言わない。割と根に持つタイプだからだ。
「それで、もやしのままじゃ不健康だろうと思って、日焼けクリーム」















 ――いや。そりゃあ、だめだろ。
前の作品では計4000点もの評価をありがとう御座いました。

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喚く狂人
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コメント



0.4200簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
パチュリーなんしとんwww

フランちゃんかわいいよ
3.100名前が無い程度の能力削除
パチュリーさん www
6.100名前が無い程度の能力削除
日焼けクリームもだが、
ぱっちぇさん、あんたが出不精とかもやしとか言うなw
7.100名前が無い程度の能力削除
酷い皮肉だ・・・w
8.90煉獄削除
いや、日焼けクリームはだめでしょ……。
日焼け止めならまだ解りませんけども。
そしてクッキーを食べるフランが可愛いかったです。
11.100てるる削除
それは不機嫌になるわww
そしてタイトルが見事
12.100名前が無い程度の能力削除
この知識人はもうダメだwww
それとちょっとフランに吸われてくる
16.100謳魚削除
いやこのパッチュさんは某筋肉SS並……とは言いませぬがそれに準ずる程度にアウトドア派なのではないかと。
「暗い部屋の中でせこせこ実験?ハッ、ノーズで大爆笑ね!やるならお天道さまの真下で盛大によっ!」
なんだこの健康的な魔女(自分でやっといて言うな)
つまりはパチュレミ(良し、それならおk)
20.100名前が無い程度の能力削除
こう、物凄い勢いでダメだなw
22.100奇声を発する程度の能力削除
ザ・皮肉wwww
24.100名前が無い程度の能力削除
駄目すぎるwww
36.100名前が無い程度の能力削除
吸血鬼に日焼けクリームってwww
遠回しに「死んで下さい」って言ってるようなものじゃないかwww
39.100名前が無い程度の能力削除
頭でっかちの極地を見た気がしました
パッチェさんwww
42.100名前が無い程度の能力削除
おぜぅさまかわいい
45.100名前が無い程度の能力削除
きっとパッチェさんは松崎しげる色の
お嬢様が見たかったんだよ
46.100名前が無い程度の能力削除
何という皮肉ww
49.100名前が無い程度の能力削除
流石パッチェさん。俺達には微塵も考えられない事を素でやってのけるッ!!

痺れないし憧れないww
65.100名前が無い程度の能力削除
パチュリーさん! そりゃ駄目だよ!
66.60GUNモドキ削除
『止め』が抜けただけで、吸血鬼殺しの一品が出来上がり。
・・・・・・そういえば、緋で日焼けした健康的なお嬢様カラー出来ましたっけ?
82.100名前が無い程度の能力削除
ぱっちぇさんwww

コメの効果もあいまってしばらく笑いが止まりませんでした。
91.100夢中飛行士削除
なんとも天然なパッチェさん。
97.90名前が無い程度の能力削除
そりゃあだめだww
しかしこれは個人的に理想の紅魔館の雰囲気かもしれないw
106.50名前が無い程度の能力削除
(iPhone匿名評価)