近頃は歴史書の編纂に忙しく、日記に手を付ける機会も無かった。
自分のことがおろそかになるというのは、あまり感心したものではない。
さて、本題。
ここ最近は特に何もなかった(爆)
ああ、おかしい。
私は授業をして、酒を飲み、家に帰れば歴史書を編纂し、時折は酒を飲みながら授業をした。
後は何もなかった。
だから、日記はこれでおしまい。
おっけーね。
ちょっと待て。
今、思い出した。
あれがあったではないか。
あれを書くために、日記を引っ張り出したのだ。
いかん、思い出せない。
ちょっと時間をくれ。あれだよ、あれ。ここまで出かかっているんだが。
山である。
人里から見える山の内、もっとも陳腐な山。
おわん形で、小さい。
私は最近まで、あれを山とは認識していなかった。
丘か何かだと思っていた。
むしろ、今でも丘だと思っている。
しかしである。
あの山に「上白沢山」という名前が付いた。
私は嫌でも意識せざるを得なくなった。
最初は寺子屋の子供達が「上白沢山」、「上白沢山」と呼んでいたのを、大人達も真似し始めた。
最初は偶然かと思ったが、別名「ハクタク山」とある。
明らかに私のことだ。
気分が悪い。
ある日、生徒の一人を捕まえて由来を問い質してみたが、泣き叫ぶばかりで話にならない。
そこで、里の人間に聞いてみた。すると、連中は「すみません、すみません」と愛想笑いを浮かべ頭を下げるばかりでやはり、話にならない。
ふざけている。
そこで、妹紅に話してみたところ、真面目に取り合ってくれなかったが、翌日になると「ハクタク山、ハクタク山」と腹を抱えて爆笑していた。
近頃では巫女まで「ハクタク山」と言って笑い転げていると聞く。
なのに、私は分からない。
理不尽だ。
埒があかないので、山について調べてみた。
正式名称は「ミカン山」。
ミカンがよく育つらしい。
標高312メートル。(里の基準点を0として)
やはり、丘である。
名付け親は不明。
私と結びつける道理が見当たらない。
おわん形の山が二つ並んで「上白沢山」ならば、まだ理解が出来るのだが。
明くる日、私は山に登った。
ミカン山だけあって、ミカンが一杯あった。
山道で喉が渇いていたので、三つばかり食った。
責められるものでもなかろうて。
良く肥えた山だった。
それだけだった。
入り口に「上白沢山」との看板があった。
結論を言う。
これは大がかりなジョークだ。
だから、理由を求めても埒があかないのは道理。
許し難い。
私を困らせて、その顔を見て楽しもうというのだ。
全くもって、悪質である。
今後は何らかの対策を立てねばなるまい。
以上。
ふと窓の外を見た慧音は筆を取り落とし、それから絶句した。
三日月の晩の出来事であった。
~了~
これこそが全てを表現していました。
AAをみて、最初、萃香かと思いましたけど、でも、里の人間にとっては、
角で連想する存在といえば、身近な存在である慧音でしょうしね
お見事です。
話は普通に読んでいたのに最後でこう来るとはなぁ……。
面白かったです。
>時折は酒を飲みながら授業をした
ちょwwけーね先生ww
なるほど自分の胸には自信があるのですね、わかります。
おっけーね、面白うございました。
けーねがいい感じにダメになってるw
最初おっぱいかと思った、愛されてるなぁ。
つーか、酒くせぇ教師ってww
AAをよ~く見てからもう一度読んだら納得ww
流石。