Coolier - 新生・東方創想話

紅魔館ショート・ショート・ショート

2009/04/09 15:12:04
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 <世界大会の予選で敗退する程度の能力>

「えーと、ここをこうして、ここがこうだから……」

かちゃり、かちゃりと少し高い音が部屋に響く。

「ふっふっふー……あとはここをこうして完成よ!」

嬉しそうな声をあげるレミリアの手の中には、
カラフルな正六面体の謎の物体があった。

「レミィ、用事って?」
「遅いわよパチェ! いま出来上がったところなのに!」
「……何が出来たの?」
「これよこれ!」

レミリアは手の中で完成したそれを、パチュリーの眼前に突き出す。

「キュービックルーブっていう凄く難しいパズルなの、
 あなたに手伝ってもらおうと思ったんだけど、今自分だけで完成させたところよ」
「……ふぅん」
「ちょっと、ふぅんって何よ、私が偉業を達成したんだからもっと喜んだらどうなのよ?」

パチュリーの薄い反応に、レミリアは頬を膨らませる。

「そこにもう一個あるわ、どうせならあなたもやってみたら?」
「……ルービックキューブねぇ……」
「ちなみに私は十五分で完成させたわよ、あなたにこの記録が抜けるかしらね?」

胸を張って自慢するレミリアと、ルービックキューブを持ち、
その六つの面をじとりと見つめるパチュリー。

「ま、どうしても出来ない時は、お願いしてくれたらコツを教えてあげないでも――」

ガシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ!!
ガシャシャ! ガシャ……ガシャシャシャシャシャ!!
ガシャン! ガシャ! ガシャ! ガシャシャシャ! ガシャッ!!

「十五秒、久しぶりすぎて腕が落ちてるわ」
「…………」
「はい、これでお手玉でもして遊んでなさい」
「……うん」



 <普通はもう飽きた>

「何が貴様の幸せ」
「何を捧げれば喜べるの」

「わからぬままに終えて逝く」
「そんなものはお断りよ」

「忘れるな願いし望みを」
「私はもう泣いたりなどしない」

「貴様はその翼で飛ぶというのか」
「恐れずに果てまで」

「皆が為か」
「つまらぬ自己満足よ」

「友よ」
「悪魔よ」

「貴様は優しかった、逝けい!」
「皆の夢を守りきってみせる!」


「お嬢様、パチュリー様、今のはどういう寸劇でしょうか?」
「違うわよ、飢えた者に己が身を分け与える男の行進曲よ」
「それの二番のカリスマリミックスね」



 <エイプリル>

「ねえレミィ、あなたの両親ってどんな吸血鬼だったの?」
「私の両親? そんなこと聞いてどうするのよ」
「少し気になっただけよ、言いたくないのなら別にいいわ」
「えっとね、まずお母様なんだけどね」
「話す気満々じゃない」

なんだかんだいいながらも、パチュリーの方を向きなおし、
両手の指をあわせてよじよじさせながら、にこやかに話すレミリア。

「お母様はね、背が高くて、すらっとした体型で~」
「背が高くてスリム体型と」
「真っ赤な髪が腰まで届くぐらい長くて、それでいて綺麗で~」
「腰まで届く赤のロングヘアー」
「凄く格闘が得意だったの、私が弾幕よりも接近戦が好きなのはお母様の影響なのよ?」
「接近戦タイプ、レミリアに強い影響を与える」
「あと巨乳だったわね、云百年前に私に当主を譲って旅に出たけど」
「分かれたのはかなり昔、ついでに巨乳」

パチュリーはレミリアの言葉を整理し、知識として収めていく。

「でもこんなこと聞いてどうするの?」
「……もし生きてて出会う事があったなら、娘の友として挨拶ぐらいはしたいのよね」
「パチュリー……」
「なんで感激してるのよ」

うるりと涙を滲ませるレミリアと、少し頬を赤らめて本の陰に顔を隠すパチュリー。

「あ、そういえば!」
「どうしたの?」
「お母様は別れ際にクンフーっていうのを習いにいくとかいってたわ!」
「……おかしいわね、何故かデジャブを感じたわ」

パチュリーの眉が捻じ曲がる。

「次はお父様だけど」
「……続けて頂戴」
「身長はお母様より少し低かったわ」
「やや小柄と」
「少し伸ばした白髪で、細身の優男って感じかしら」
「全体的にやや小柄、外見はかなり若い可能性有り」
「幾千もの刃物を操り、その戦い方は神出鬼没」
「吸血鬼らしい戦い方以外に、武器も使いこなす」
「あとは女装趣味があってよくメイドの服を着てたわ」
「…………」

そこまで聞くと、パチュリーはぱたんと本を閉じた

「レミィ」
「何かしら?」
「言いたくないなら、言いたくないって言ってくれていいのよ?」
「……うん」

パチュリーはレミリアの気持ちを汲んでやり、
友として怒りもせずにその話題を終わらせる。

「(やっぱり信じろって方が無理があるわよねぇ)」

ただし真偽は定かではない。



 <フランの遊び方>

フランドールジャケットの装着をお勧めします。

「咲夜! 拘束具一枚じゃ足りない! もっと持ってきてー!!」
「はいお嬢様ー!!」

ストラップをきちんとつけましょう。

「首輪は! 首輪はどこよー!!」
「レミィ! 首輪よりも先に足かせをつけるのよ!」

軽く振るだけで、十分楽しめます。

「キャハハハハハハハハ!! たーのーしーいー!!」
「はぁ……なんで散歩させるだけなのにこんなに疲れなきゃいけないの……」



 <達人ですから>

レミリアの場合

「美鈴」
「なんでしょうかお嬢様」
「美鈴って達人なのよね?」
「そうですけど」
「じゃあ水の上を走れる?」
「問題ありません! 20kmまでなら!」
「わーすごーい!」
「達人ですからー!!」

パチュリーの場合

「美鈴」
「なんでしょうかパチュリー様」
「あなたって達人よね?」
「そうですけど」
「ならこの箱の中に入れる?」
「問題ありません! 容量さえあれば!」
「あらすごい」
「達人ですから! ってあれ、出れませーん、開けてくださーい、パチュリー様ー?」

フランドールの場合

「美鈴ー!」
「ひっ、ど、どうしました妹様!」
「美鈴って達人だよね?」
「そうですけど……」
「じゃあ壊しても大丈夫だよね!」
「いやいやいやいや! それは問題あ――」
「わーすごーい、まだ生きてるー」
「達人ですから……ぐふっ」

咲夜の場合

「美鈴」
「どうしました咲夜さん」
「あなたって達人よね?」
「そうですけど」
「私の心を、こんなにも惑わせるものね……」
「咲夜さん……私、咲夜さんとなら、何も問題はありませんよ」
「ん……じゃあ今日も、いろいろと凄い事……してくれるわよね?」
「任せてください、達人……ですから」

小悪魔の場合

『誰でしたっけ?』



 <血と品の良さの因果関係>

それはある日の午後の事。

「レミィ、あなたはオナラについてどう思う?」
「……随分と突然ね」

書斎で本を読みふけっていた二人の間に流れる微妙な空気、
パチュリーから真顔で飛んできた質問に、レミリアの目じりが僅かに反応する。

「これはとても大事な質問よ?」
「はいはい……一言で言えば、品が無い、かしら」
「品が無い?」
「そう、品が無い、理由は言わずとも分かるでしょう?」

手に持っていた本を閉じ、両手を左右に振りながら息を吐くレミリア。

「その理由を是非とも聞きたいわ」
「……羞恥プレイがお望み? 五百年生きた私にこの程度はどうってことないのよ?」
「全裸で月光浴をしていたあなたにはそうよね、でもこれはそれと関係ないの」
「ふぅん……」

パチュリーが何を企んでいるかをあれこれ思案しながらも、
やがて諦めたのか、レミリアは本を放り捨てて頬杖をつく。

「まず音が不快、臭いも不快、出すところがあれだから行為自体が不快」
「まあ誰でもそう答えるわね」
「よって三重で不快な事をするということは品が無い事だと私は思うわ」

レミリアはそう答えて、流し目でパチュリーのほうを見る。

「で、それがどうかしたの?」
「続いての質問よ、レミィは品のある人間と無い人間と、どっちの血を吸いたい?」
「……パチェ、あなたはもう少し利口だと思っていたわ、私にそんなことを聞くなんて」

左手で頭を抑えて、深い溜め息を吐くレミリア。

「気分を害したわ、咲夜、B型の紅茶」
「はい」

パチンと指を鳴らせば現れる瀟洒な従者、彼女はそのまま書斎の外に出たと思えば、
一秒もせずに紅茶のセットと共に戻ってきた。

「まあ、友だから答えてあげる、私は品のある人間の血しか飲まない、当然でしょう?」
「あなたはプライド高いものね」
「そうよ、私はスカーレット家の当主、品の無い人間の血など汚らわしくて飲めたものじゃない」
「お嬢様、紅茶がはいりました」

ふふん、と格好つけるレミリアと、それをじと目で見つめるパチュリー、
やがてテーブルの上に真っ赤な紅茶が置かれる。

「この香り、この色、まさしく品の良い生娘の血液……!」
「それで、私が今読んでる本にこんな事が書いてあったんだけど」
「待ちなさい、それを聞くのはこれを飲んだ後よ」

パチュリーとの会話を遮り、レミリアは優雅にティーカップを口元に傾けた。

「出さなかったオナラって血液に吸収されるらしいの」
「ブフゥッ!!」



.
パチェ「レミリアだけは素なのよね」
咲夜「天然のお笑い体質ですよね」
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.4210簡易評価
5.100名前が無い程度の能力削除
お嬢様はカワイイか正義です!!
6.90名前が無い程度の能力削除
紅魔館ショート・ショート・ショーツに見えたけどそんなことはなかった。
7.無評価名前が無い程度の能力削除
>キュービックルーブっていう凄く難しいパズルなの
これは敢えて?
11.80名前が無い程度の能力削除
ちくしょうっ……!
おぜうさまっ……!
かわいいっ……!
13.100フクロウ削除
面白かったです!
おぜうさまは弄られてなんぼですね(笑)
16.80煉獄削除
レミリアの両親の話とかって聞き覚えが。
お嬢様はやっぱ良いですね。
「達人ですから」で片付けれる美鈴も凄いですけど。
面白いお話でした。

誤字?の報告
>パチュリーを方を向きなおし
『の方に(へ)向き直り』でしょうか?
ちょっと解りませんが報告でした。
19.80名前が無い程度の能力削除
小悪魔の場合・・・両者に泣けるわあ
20.90名前が無い程度の能力削除
>>「はい、これでお手玉でもして遊んでなさい」
>>「……うん」
最後のオナラと品性の論理的批判といい、パチェ鬼畜過ぎるwww
おぜうへの愛着が増しました。
23.80名前が無い程度の能力削除
オナラはあれか、布団のいい匂いが実は……みたいなトリビアを知ったときの気持ち。
まぁ、あれ本当か嘘か知りませんけど。

めいりんはかわいいなあ
31.100名前が無い程度の能力削除
面白かったww
32.100名前が無い程度の能力削除
達人な美鈴なら一度に四人までなら大丈夫!

達人ですから!!
35.100名前が無い程度の能力削除
カリスマリミックスに思わずにやり。面白かったです。
39.70名前が無い程度の能力削除
なんだこの衝撃の両親談は!
とりあえず美鈴の可愛さを堪能しておきます。
40.無評価ノギノ削除
キュービックループと聞いて西尾維新を思い浮かべたんだが、
この文章の場合は誤字だよな?
44.100謳魚削除
行進曲のカリスマリミックス、フルVer.で聞きたいです。
美鈴隊長はお笑い体質じゃないのに……お嬢様……orz
でも愛してる、愛してるんだからぁ!
47.80名前が無い程度の能力削除
くだらねえww
51.100名前が無い程度の能力削除
達人すげぇw
お嬢様可愛すぎ
54.100奇声を発する程度の能力削除
>やっぱり信じろって方が無理があるわよねぇ
えっ?
58.100k削除
短いながらも面白い話が多くてよかったです
私のお気に入りは達人ですからでした
59.80名前が無い程度の能力削除
れみぃはさくめいのむすめだったのか
62.100時空や空間を翔る程度の能力削除
>「出さなかったオナラって血液に吸収されるらしいの」
知っていた「けど」笑ったwwwwwwwwww
63.100名前が無い程度の能力削除
こういうの好きです
咲夜と美鈴が両親・・・美鈴が母親と妄想した事はありましたがまさか咲夜さんが父親という発想はありませんでしたw
68.70名前が無い程度の能力削除
面白すぎるw
よくこんなこと思いつきますねw
あぁ、良い意味でですよw
74.80名前が無い程度の能力削除
最後うまいなww
78.100名前が無い程度の能力削除
>「出さなかったオナラって血液に吸収されるらしいの」
く、腐れ外道~~~
83.100名前が無い程度の能力削除
キュービックルーブを誤字とか言う奴はまたまだジャスティスを理解出来て居ない。

自信満々に間違えるおぜうさまかわいいよおぜうさま
90.100名前が無い程度の能力削除
   n                n
 (ヨ )              ( E)
 / |    _、_     _、_    | ヽ
 \ \/( ,_ノ` )/( <_,` )ヽ/ / good job!!
   \(uu     /     uu)/
    |      ∧     /
93.100名前が無い程度の能力削除
お母様お父様何やってんですかwwwww