Coolier - 新生・東方創想話

よかろう。ならば戦争だ

2009/03/31 15:48:43
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――誰かは言った。おっぱいは偉大だと。

目を瞑って思い返せば思い出すのは母親の胸でひたすら安堵した事。
それは幼き頃の記憶。幼児としての記憶。


――誰かは言った。大きいおっぱいは偉大だと。

目を瞑って思い返せば思い出すのは屈むと邪魔になった自らの胸の事。
それは儚い記憶。嫉妬と感嘆に埋もれた記憶。


――誰かは言った。小さいおっぱいは偉大だと。

目を瞑って思い返せば思い出すのは平坦な大地にやきもきする自らの胸の事。
それは遠い記憶。自嘲と落胆に閉された記憶。


――誰かは言った。大きいおっぱいを好むのは卑猥だと。

遠くを見て思い返せば思い出すのは双眸を緩ませる甘い果実の事。
それは甘い記憶。埋もれて朝を迎えた青い春。


――誰かは言った。小さいおっぱいを好むのは変態だと。

一縷の記憶の糸を辿り思い出すのは酸味ある記憶。
虚勢を張った記憶。絶壁に足場を見つけた青い夏。


――誰かは言った。大は小を兼ねると。

夢現の中で記憶を掘り返せば思い出すのは不味い記憶。
柔らかな丘に身を倒す。誰が絶壁に希望を見出せようか。


――誰かは言った。絶壁は達成感を与えると。

夕闇を見て黄昏の中に思い出すのは甘酸っぱい記憶。
甘美なる誘惑。小振りな膨らみに聳える桃源郷。


――誰かは言った。衣服は大山の隠れ蓑だと。

目を瞑り闇の中にぼうっと思い出すのは驚嘆の記憶。
隠れ蓑を剥す。隠れていた甘く激しい誘惑の丘。


――誰かは言った。小さきものは幻影を作ると。

白昼夢の様に思い出すのは痛々しい記憶。
風の噂は幻想郷を駆け巡る。遠くで聞こえる嘲りの声。


――誰かは言った。両手では足りないのがおっぱいだと。

走馬灯が如く駆け巡っていくのは優雅な記憶。
マシュマロ。自由自在に形を変えるまるで道化の遊戯。


――誰かは言った。愛撫をより円滑にするのがおっぱいだと。

フラッシュバックの様に駆け巡っていくのは夢の記憶。
桜桃の如き花の突起。思いは巡り巡って大輪の花を咲かせた。





――彼女らは叫んだ。ならば戦争だと。

おっぱいは偉大だ。私は戦争の伝道者。
その眼に刻め。彼女らの戦いを。





















頭の覚醒というのは体の覚醒とより幾分遅く来るものだ。
遠くに聞こえるのは小さな鳥の囀りと寒暖の差を越えた家の軋む音。
眼を覚まさずにもう一度夢と現実の狭間へと身を委ねれば帰ることを躊躇う夢想の世界。
誰もがそこへともう一度身を委ねたい。だが現実は慈悲無き手を少女にかける。
身支度をするにつれて少女の頭は覚醒を迎える。
夢の記憶というのは曖昧で、朝食の準備をしようものならその記憶を見付からない場所へ隠す。
だが少女はその記憶をしっかりと脳裏に刻み込む。忘れてなるものかと。
夢は覚醒している時の情報の整理だと誰かは言うが、それを少女は世迷言だと思った。
そう。夢を見ていたのだ。
平坦な大地が盛り上がってふくよかな丘を作り出す。願いが形を成す。
向けられる感嘆の眼差し。私のおっぱいは幻想郷一だと。少女はそう見取る。
一見悲しくなるが、少女はそれを糧とした。
だが『博霊 霊夢』は今一度自らの胸に手を当てて萎んだ丘にため息を漏らす。

――元々あの鴉天狗が意味不明な記事を取り出したからだ。

『幻想郷乳ランキング』なる他方から見れば自殺行為とも見れるその行為。
一位から五位までをでかでかと記したその記事。
それを見て霊夢は眠っていたはずであろうコンプレックスと再び向き合うことになったのだ。
上位五名はいいかもしれない。何故なら自らと向き合うべき問題がないからだ。
ではこういったらどうだろう。

――大きいのも大きいで扱いに困る。

その科白を言えば霊夢を初めとした多くの胸にコンプレックスを持った者に叩きのめされるだろう。
だが、やはり身体的な問題はどうにもならない。
漬物を齧って外を見つめる。のんきな風は木々を優しく揺らすだけ。
揺れるほど胸があったとしたら、この風も一瞬にして卑猥な風となったであろうに。
この記事が、彼女を初めとした所謂『貧乳』に打撃を与えたのは明らかだった。
そこで霊夢は丸机の上に置かれた一枚の白紙に眼を通した。
他でもない彼女が作った紙だ。

 『貧乳よ。立ち上がれ。我らの胸は何のためについている。我らの腕は何のためについている』

長々と綴られた謳い文句。
鴉天狗『射命丸 文』がこの記事を取り上げた翌日、躍起になった霊夢が書き上げ配らせた。
何故かその時の文の顔がそこはかとなくにやけている事に霊夢は疑問を抱いた。
だが文の速さであればすぐさま『同士』は集まるだろうと霊夢は踏み、気にしないことにした。
もう一度霊夢は文句を読み、我ながらの出来栄えに笑みを零した。
冷めた味噌汁はこの際気にせず飲み干した。

朝は過ぎて太陽は幻想郷を照りつけた。
正午。霊夢は縁側に座って『同士』の到着を待っていた。
紙を配ってから二日。集まる時はもうすぐであった。
茶を啜り煎餅を齧り賽銭箱と鳥居を交互に見据えた。相変わらず参拝はない。
霊夢の眼光が鋭く光る。『同士』の到着だと彼女の本能が告げた。

――三人が歩いてくる。横一列に並び威風堂々と。頼もしい。

紅魔館メイド長『十六夜 咲夜』

七色の人形使い『アリス・マーガトロイド』

不憫な庭師  『魂魄 妖夢』

三人は縁側の前に立ち、霊夢を見据える。
そして頷く『同士よ』その目はそう告げていた。
その時である。霊夢の後ろに人影が現れる。

そこにいたのは天人『比那名居 天子』であった。
柱に背を預け、四人を見据えて力強く頷く。
言葉は要らない。白日の下集まった五人は互いに手を取り境内へと入っていった。



 「夢を見たわ」

日が優しく入るお茶の間。
五人は茶と煎餅を交えて円形に座っていた。
霊夢が開口一番に重々しく語り始めた。それは今朝の夢の話。
一瞬の栄華ともいえる、甘く儚き驚天動地の告白。

 「今朝。気がついたら巨乳の人形を作っていたわ―――顔は私だった」

唇をかみ締め畳を毟ったり叩いたりするアリス以外の四人。
悲しい。アリス・マーガトロイドは悲しすぎた。霊夢はかっぱ海老煎の袋をアリスに渡す。
涙を堪えてそれを食すアリス。だが彼女は優しい。小皿に分けて皆に振舞う。
自分に似せた巨乳の人形―――それはせめてもの現実逃避。

 「幽々子様に素晴らしきご肢体をスッパで見せ付けられました。しかも風呂上りで」

うああ、と苦痛の声を漏らしながら身悶える四人。
霊夢は棚を殴って中から上等な玉露を妖夢に注ぐ。
優しきかな、魂魄妖夢。自分に振舞われた茶を他の四人の湯飲みに分けていく。
嫌がらせ。悪質ないじめ。そうとしか捕らえられない亡霊姫の行動。
彼女らは涙を堪えてただ悶える。

 「桃を、胸の中に、入れて、偽った」

四人は頭を柱にガンガンと打ちつけ精神的な痛みを肉体的な痛みで打ち消そうとした。
痛い。イタい。偽りの乳。比那名居天子。イタすぎた。それはあまりにもイタすぎた。
霊夢は涙を堪えつつ急いで秋刀魚を焼くと天子に振舞った。
天子は四人を見る。皆笑顔で『お食べなさい』と呟いていた。
だが『同士』の心意気に何もなしでは気が滅入る。
天子は自分の帽子につけてある桃を一つはずして四人に渡した。
その優しさに今度こそ涙が出そうになったが、我慢して咲夜がナイフで手早く切り分ける。
おいしい。五人にさらなる友情が芽生えた。

そして、咲夜が重々しく口を開いた。

 「最近、お嬢様が巨乳になった。そして私の胸が萎んできた」

泣いた。五人は泣いた。
霊夢は何か振舞わなければと探したが咲夜は泣きながらそれを制した。
あれか、吸血鬼は従者の養分を吸うのか。そして胸にまわすのか。
ひとしきり五人は泣いた。
そして称えた。褒め称えた。お互いを。
咲夜はこの中では一番大きいと言われ、その優しさに号泣した。



ひとしきり泣いた後。五人は唇をかみ締めた。
どこからか声が聞こえる『貧乳は希少価値である』と。

 「あらあ、やってるじゃない」

突然空間にスキマが生まれて五人はその方向を向く。
現れたのは大妖怪『八雲 紫』
腕を組んでスキマから上半身だけを乗り出す―――まるでグラビアポーズだ。
彼女の胸に備わった二つのふくよかな果実を見、五人は眉を顰めた。

 「あんたでしょ、暇だからって文に記事取り上げさせたの」

 「開口一番に酷いわねぇ、霊夢」

 「いいから答えなさい」

紫はふふっと笑って組んでいた腕を替える―――申し訳なさそうに胸が揺れた。
それを見て咲夜はナイフを飛ばそうとしたが、アリスにあえなく制された。

 「そうよ。自分のコンプレックスから逃げちゃだめ。そう伝えたかったの」

ゴキッ、と霊夢は拳を鳴らす。

 「言うことはそれだけ?」

 「ええ。まあ、小さいひとは小さいひと達なりに、ね」

紫は五人のオーラをものともせずにきっぱり言い放つ。
その科白、紫としては嘲笑のつもりで言った筈。
だが彼女らにとって、それは嘲笑を通り越した侮辱という形でその耳に入った。



――貧乳は貧乳なりに集まってネチネチ過ごしていなさい。



霊夢は少し間を空けて紫を見据えた。
そして、きっぱりと言い放った。



 「よかろう。ならば、戦争だ」







 つづくかもしれない…
気まぐれです。申し訳ありません。
シリアスにしたかったんです。

言ってみたかっただけ。
みらーじゅ
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コメント



0.2560簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
微乳だね、やっぱ、美乳。

霊夢が本気になったら、強いよ~。
夢想天生使い放題らしいし、スペカ戦なんて放棄だ!!
6.100名前が無い程度の能力削除
鬼巫女霊夢に神咲夜、E妖夢にアークメイジアリス、AILv3の天子か…
この中で攻略できそうなのは天子くらいだが・・・それでもSMHと対等に渡り合うからな・・・
7.100名前が無い程度の能力削除
作者のところに救急車を山ほど呼んどいたので好きなのに乗ってくださいね。

それと他の作品もですが分類がくっついて一つになってます。多分半角スペースになってないのかと。
8.100名前が無い程度の能力削除
私は貧乳を、否!絶壁を愛している!!!
あのなめらかさこそ美しさ!!
でっかいおっぱいもそれはそれでまた良し!!

つまりおっぱいならなんでも素晴らしい
13.100名前が無い程度の能力削除
紫様かっこいい
17.100名前が無い程度の能力削除
意外と強敵集団w
魔理沙はどうなんだろうか……
18.80名前が無い程度の能力削除
待て、何故貧乳代表萃香がいない!?
巨乳派だった俺は萃香のおかげで貧乳もいけるようになったのに!
22.100名前が無い程度の能力削除
萃香は顧問待遇ですね。わかります
24.無評価みらーじゅ削除
1様
その通りです。
え、大きいほうがいいって………ちょっとこっちこい

4様
今回はバトルは無しにしようと思います。
理由としては一番に私がヘタレなので………苦手です………

8様
あ、ごめん天子は俺がもらっといた。

9様
通りで沢山家の前に来ていたんですね。
あれ、私のpcではくっついていないんですがね………どうしてでしょう。

10様
あなたは『同士』だ

15様

へたれゆかりんにしようとおもったんです

20様

魔理沙は『普通』なんですよねぇ。

21様
萃香は………うふふ………

25様
萃香は後ほど続くようでしたら、うふふ………
31.90名前が無い程度の能力削除
アリスって『こっち』だったの?
32.100名前が無い程度の能力削除
とりあえず序文だけで100点入れようと思った
33.90名前が無い程度の能力削除
待て、コレは孔明の罠だ!!
36.90名前が無い程度の能力削除
すきになった相手なら、大きさとか形とか関係なくね?

と、思った俺は負け組みなんだろうなぁ
39.100謳魚削除
四季映姫様
レミリアお嬢様
大妖精の姐御
スターサファイア先生
りぐるん
この方々は最低でも微乳だと、決して「貧乳」では無いと信じ続けています(むしろ着痩せの方向で)
あと萃香さんにはたゆんな未来が有る。
そう、信じてる。
40.100名前が無い程度の能力削除
あなたが……おっぱいなのですか?おっぱい!!

私のPCだとスペースは空いてますけどタグで区切られてはいないですね。
42.90名前が無い程度の能力削除
前置きで吹いた。途中で泣いた。一粒で二度おいしい作品でした。出ていないひんぬーの人たちが気になったけど、個人的にはここで終わらせたほうがいいと思いますよ。
44.100名前が無い程度の能力削除
一つ言わせて貰おうか・・・
私は貧乳が大好きだと!
46.90名前が無い程度の能力削除
むしろ前文がメイン
小さくたっていいじゃない、幻想だもの。
ただ「博霊」だけは頂けない。
47.無評価みらーじゅ削除
49さま

うわー、申し訳ない。
なぜかパスが入らず直せない………何故だアアアアア!!

全く持って申し訳御座いません。ジャンピング土下座します。
48.無評価名前が無い程度の能力削除
割と良く見るネタですが、出だしから面白く電車内でニヤっとしてしまいました。
ですがここまで書いたのなら最後までやりきって欲しかったです。
完結版を期待してます。
49.100名無しな奴削除
アリスは魔理沙より大きいイメージあるよね。                          それはそうと咲夜さんwwwそんなのに参加するからPADっt(ピチューン
52.90名前が無い程度の能力削除
太刀魚焼いてる霊夢が悲しくて泣けた。
巨乳のお嬢様が悲しくて更に泣けた。
54.100名前が無い程度の能力削除
作者のおっぱいに対する心意気が気に入ったwww
56.100名前が無い程度の能力削除
こら!おっぱいは1日3回までって言ったでしょ!

もはやビートま○おだなww
60.100奇声を発する程度の能力削除
アリスは結構ある方だと思う
というか思いたい
62.100名前が無い程度の能力削除
アリスは結構あるだろうに・・・
63.100名前が無い程度の能力削除
「巨乳のほうがいい」?
よかろう。ならば戦争だ。
68.90名前が無い程度の能力削除
それぞれの告白と慰めに笑ったw
69.100名前が無い程度の能力削除
なんだこのひどい話wwww
レミリアと幽々子が割と鬼畜すぎたw

レミリアはPAD入れただけだろ絶対 私はそう信じてる
レミリアが嘘乳・・・じゃなくて巨乳なんて!
72.無評価名前が無い程度の能力削除
巨乳?
よかろう。ならば戦争だ。
73.100名前が無い程度の能力削除
何? 「貧乳は大人しくひっこんでろ」と?
よかろう。ならば戦争だ。
75.100名前が無い程度の能力削除
「貧乳は世界の終わり」?

よかろう。ならば戦争だ。