窓を開ければ沈丁花の香が漂う、うららかなこの季節。
湖上にあるこの館にも、春の気配が押し寄せて来ているようで、それは地下にあっても例外ではなく、
重苦しくて湿った気配が些か緩和されているようだった。
とまぁ、居心地良いんだか悪いんだかわからない、そんな地下の一室で。
我が妹、フランドールがふくらんどる。
のっけから駄洒落ではない。
風船みたいにふくらんだフランが春風に流されて行方不明、などとメルヘンとカオスが高い次元で融合したような事態でもない。
もっと地味なレヴェル。
「ねえ、フラン。ひとまず理由を聞かせてもらえないかしら?」
フランのほっぺたが、ぷくぅっとふくらんでいるのだ。
朝餉の後に、部屋へ様子を見に来た私が直面した事態である。
見ると、ほんのり丸い赤さがリンゴ飴みたいで、ぱんぱんにふくらんで、うーん、かわいい。
――じゃなくって、どうしてこんなことになっているのだろう。
「…………」
フランの答えはない。ベッドの上であぐらをかいて、ツンとした瞳でこちらを見るばかりだ。
これじゃあお話しにならないから、いくつかの試論を行う。
解答一、息を止めている。
鼻はすぴすぴ鳴っているし、そもそも止める意味がわからない。湖で素潜りする予定などない。肺活量とかそういう問題でもないし。
解答二、おたふく風邪である。
吸血鬼も罹るのかなあ……? ひとまず保留。まず無いと思うけれど。
解答三、太っ――ちげーよ。
解答四、怒っている。
……やはり、これだろうか。まずはストレートに訊いてみる。
「フラン、ご機嫌斜めなの? 従者どもに粗相でもあったのかしら」
考えてみれば、さもありなんだ。海面で揺れるプリティとチャーミングの漂流ブイの上に二本足で立つような危うい美貌の我が妹である。
セクハラの一つや二つ働きたくなるメイドがいても何ら不思議ではない。
「不届きなやつがいたものねえ。ふくれてないでそいつの名前を聞かせて?
燻製にでもしてやって、泣き喚く姿を酒の肴にでもしましょう?」
「……ぷいっ」
出来るだけフランが喜びそうな提案をしてはみたものの、そっぽを向かれた。さっきから一言も喋ってくれない。
これは重症だ。フランのお誕生日ケーキの名前入りチョコを私が食べてしまったときでも、ここまで酷くはなかった。
あのときは丸一日ボコられてあげたら機嫌直ったし。
何かしら文句を言ってくれるのなら、まだ対処のしようがあるというものなのだけれど……。
暴れまわっているよりも、何か溜めこんでいるフランの方が恐ろしい。
キレる十代というのも、何かしらの鬱積があってこそだと思うのだ。十代っていつの話よって感じなのだが。
「遠慮なんてすることないのよ? ね?」
焦らず、慌てず、一歩一歩近づく。急いては事を仕損じるから。
う……すごいガンつけられた……。ここで怯んではいけない。肉体の距離は心の距離の象徴である。
よくいるでしょ? 飲み会とかで愛想良くしてても、汗臭い上司の隣に座るのをひどく嫌がるOL。
――なんとか私もベッドの端に腰かけた。
「ね、お姉様とお話ししましょ? 不満があれば聞くわ。改めて欲しいところがあるのなら善処する。
だから怒ってないで、ね? 笑って?」
と努めて優しい声を出しながら、お尻でにじり寄っていく。けれど、私が距離を詰めればその分、フランも離れていってしまう。
とうとう壁まで追い詰めてしまった。
「フラン?」
「…………」
うーん、参った。目もあわせてくれない。コミュニケーション一切不可。
となるとこれはもう、触れ合い――スキンシップしかないのではなかろうか……?
妹の心を解きほぐしてくれるもの、それはいつも姉の、愛の手なのである。
「えいっ」
「――っ!?」
意を決してわき腹をちょんとつつく。びくっと肩が震えたように見えた。
怒り狂うかと思っていたのに、むーん? これは怒っているというより、すねている、という感じなのだろうか?
ならばもう少し大胆に。
「ふーらんちゃんっ」
と肩から手を回して、抱きついてみる。やだ、フランったらミルクの匂いがして、柔らかい。それに――特に嫌がるでもない。
「なぁんだ、やっぱり寂しかったのね。ほれほれ、愛いやつめ」
(さわさわさわさわ)
と愛でてやる。具体的にどこ、とはいわぬが、姉妹だからこそ許されるような場所を愛でてやる。
フランの耳たぶは赤い。照れてるんだろうな。
「フーランッ? ご機嫌いかが?」
と満面の笑みで覗きこんだ私の顔に、
キュートな肘が飛んできた。
―――
傷などとっくに治っているというのに、咲夜は聞きわけがなかった。
「調子に乗りすぎたのではないでしょうか」
鼻に絆創膏をぺたりと貼られた。別にこんなもの必要ないと思う――。
「って、おい。咲夜、なに笑ってんの」
「ぷすぅ、は――ぷすすぅ、はい? 何のことでしょうか」
目の端に涙まで滲ませて、笑い堪えてるってモロバレ。
「……はぁ、調子に乗りすぎって、私が?」
「ええ、いくら姉妹といいましても、ピーをピーするのはさすがにどうかと」
「なによ、ピーって。だってフランが、あのフランが大人しくしていたのよ?
だけど怒っていたのよ? 他にどんな選択肢があったっていうの」
「しめやかに怒る少女がいたら、セクハラするというのですか」
「フランに限っては、その通りよ」
「さすがはお嬢様。姉の鏡です」
音もたてずに、咲夜は淹れたての紅茶をテーブルに置く。私はソーサーを取って、カップを優雅に傾けた。
何かしら、この鼻テープのせいで、ひどく締まらない光景になってしまっているような。
「ねえ咲夜、心当たり無いかしら」
「怒っている理由、ですか」
「私に隠れて何かやっていたんじゃなくて? フランの前で淫語しりとりとか。
逐一意味を訊ねてくるフランを見て悦に浸っていたのでしょう」
「お嬢様のご命令の他には、何も」
やっておりません、ってか。どうだか。咲夜を筆頭にして、こいつらはメイドの皮を被ったド変態どもなのだ。
隙あらば、と妹を狙う狼ども。決して油断は出来ない。
「そういうご自分には、何かお心当たりはないのですか?」
「私? あるわけないでしょう」
「覗き、盗撮、下着泥棒等など枚挙に暇がありませんが」
何を言い出すんだこいつは。着替えを覗くのは妹の成長を確かめるためで、ついでに盗撮するのは記録に残すため。
吸血鬼の記憶とはひどく曖昧なものなのだ。便利な記録媒体があるのだから頼るべきよ。
「ともかく、フランはとてつもなく怒っている。それは間違いないわ。
じゃなきゃこの私に肘鉄なんか入れるものですか」
「昨晩は、寝床に忍び込んだあげくレーヴァテインで細切れにされてませんでしたっけ」
「あれはチャンバラごっこよ。私はそれに付き合ってあげただけ。
いつもいつも弾幕ごっこばかりじゃフランも退屈するでしょう?」
「お嬢様のしぶとさには咲夜、ほとほと感服致しております」
「何の話よ」
愛の形は千差万別。姉を彼岸一歩手前まで送ってしまうような愛があったって、別に構わない。
「で、どうなされるおつもりで? 鎖にでも繋いで閉じ込めておきますか?」
当たり前のごとく言ってくれる。育て方を間違ったのかしら……。どうにもこのメイドは物騒でいけない。
「なわけないでしょう。怒っている理由はひとまず置くとして、まずはご機嫌取りよ。
あれはあれでかわいいけれど、まずは心をほぐしてあげないと。固くあっては本音なんて出てこないの。
それに、スキンシップになんか頼らなくたって、まだまだあの手やこの手が残っているわ」
「具体的には?」
「そうね。咲夜、すさんだ心を癒してくれるものといったら、何があるかしら」
「誰かの悲鳴とか」
「どうしてあなたはそう血を見たがるの……。私以上じゃない。――でも、そうね。近くはないけど近いわ」
「と言いますと?」
「音楽よ、音楽」
音楽とはいわずとも、フランの心を癒してくれるのなら、川のせせらぎや小鳥のさえずりだって、なんでもいい。、
けれど、残念ながらフランを館の外へ連れ出すことはできない。いつ、どこの鬼畜生が妹を狙っているかわからないのだ。ゆえに――。
「はぁ、でしたらメイドの鼓笛隊でも呼びますか、もしくはあの、幽霊三姉妹とか」
「何言ってんのよ。私が演奏して、私が歌うの。それ以外に凍てついたフランの心を暖める方法はないわ」
「お嬢様にそんな素養が?」
「馬鹿にしないで頂戴。こう見えても貴種の血統なのよ?
笙からニ胡、はてはツーバスドラムからエアギターまで一通りのことはできるわ」
「スゲェ」
「あまり堅苦しいことは言いたくないけれど、私の従者ならもう少し言葉をお選び。
さぁ行くわよ! ついてきなさい!」
私は鼻の絆創膏を剥がして駆け出した。
―――
というわけで再びフランの部屋である。鍵をかけられていないのは幸いだった。
フランは相変わらずのふくれっつらでベッドに座り、こちらを睨んでいる。
その目で『何の用よ』と責められた気がした。これは根が深い……。
「フラン、さっきはごめんなさいね。私、ちょっと急ぎすぎちゃったみたい」
と真摯に謝ってから、
「あなたがなんでそんなに怒っているのかは知らないけれど、機嫌を直せ、だなんて言わないわ。
ただ、これから聞かせる音に、私の思いの全てをこめる。だから少しだけ、ほんの少しだけでいいの」
耳を傾けて、とお願いする。フランの反応はない。勝手にしろ、ってところだろう。
「それじゃあ咲夜、セッティングを」
「御意に」
と咲夜は部屋を出る――のはいいものの。
――何持ってくるつもりなんだろ……。打ち合わせとか何もしてないし……。
と逡巡しているうちに、ガラガラガラと大小様々な太鼓が四つ、運び込まれた。
これは――ティンパニ! ティンパニじゃないの!
「お嬢様、どうぞ」二本のマレットを渡される。「ご苦労」と受け取った。
マレットを両手に強く握り、高く振り上げる!
「さあフラン! 聞いて頂戴、姉の魂を、愛を、心の叫びを!」
そして叩きつける!
――ドン。低音。
「お見事!」
という咲夜の合いの手。乗ってきた。テンション上がってきた。
「それ、もういっちょ!」
――ダン。高音。
「まだまだぁ!」
――ズン。重低音。
「お嬢様! 素敵です!」
「あ、そーれぃ!!」
ドドン。
…………。ドンダドンダドと、しばし叩き続ける。
腕が痺れてきた。意外と体力を使うのだ、この楽器は。
「はぁ、はぁ……」
ふぅううー、と深く息を吐いてから、マレットをそっと太鼓の上に置いた。
「咲夜、ちょっと来て」と袖を引く。
「はい……? 大変素晴らしい演奏でしたが」
「いいから来て」
ちょっとごめんなさいね、とフランに断ってから、部屋を出る。
「うぅ~ん……」
私は、ぽけーっと佇む咲夜の周りを、腕を組んでうろうろした。これは、なんていったら良いんだろう。適切な言葉が見つからない。
馬鹿馬鹿しい、くだらない、わけがわからない……。どれもあってる気がするのだけれど、どれも違う気がして……。
そうだ、そう、これは――。
「あのね、咲夜」と指を突きつける。
「はい」
「地味、すっごい地味。これでもかってぐらい地味。
公立の小中高校を出て地元国立大学に危なげなく進学、卒業後は地元市役所に就職して職場結婚。
男女二人の子供をもうけ、思春期に兄の方がちょっと荒れたりしたけれど、おおむね何事もなく人生を消化。
最終ポストは定年間際にお情けで部長。退職後は盆栽とゲートボールと川柳を趣味に過ごし、
奥さんに先立たれて少し寂しい思いをしつつも、最期は暖かい家族に看取られて畳みの上で大往生。
ってぐらい地味」
「そういうありふれた人生というのが、とかく得がたいものなんですよね」
なにをしみじみしてやがる。そういう話じゃない。
「ですよね、じゃねっつの。なんなの、あなたは私に何をさせたいの。
ヒーリング目的で打楽器持ち出すやつがどこにいるの。
もう少し、ほら、何かあるでしょう? 心に優しく響く、というか、
それはそれはノスタルジックに、胸の奥底の原風景を揺さぶるというか、そんな音色を奏でられる楽器がさあ」
ふむ、と咲夜は少し考える。
「でしたら、お嬢様がお歌いになったらいかがですか?
妹様の心に響くもの、といったらこれ以上のものはないでしょう」
「ああっ、そうね。そうよ、最初からそのつもりだったのよ」
「不肖咲夜、伴奏を相務めせて頂きます」
「……あなたが? 大丈夫なんでしょうね?」
この流れだと不安感しかない。『大丈夫なわけねーだろ』とささやくもう一人の自分もいる。
「メイド長たるもの、楽器の一つや二つ出来なくては務まりません。
お嬢様の甘美なる歌声を引き立てる、最高の伴奏をお届けしますわ」
「んじゃあ、何の楽器が出来るのよ?」
咲夜が楽器を嗜んでいるところなど、見たことがなかった。
「アコースティックギターを少々」
「アコギ? ……まぁいいでしょう。せいぜい私の邪魔をしないように演って頂戴」
あーだこうだと悶着しているうちに、フランのご機嫌がさらに悪化してしまうかもしれないのだ。
さっさと準備をして、と告げた直後、咲夜の肩には茶色い木目のギターが下げられていた。なかなか貫禄がある。
ふふん、と私は満足げな顔を作って、部屋へ戻った。
フランは部屋の片すみで膝を抱えている。
「フラン、お待たせしてごめんなさい。さっきのはちょっとした余興よ。今度は私が歌って、咲夜が演奏するわ。
次はきっと、楽しませてあげるから、もう少しだけお姉様たちに付き合って? ね?」
ぶぅー、とフランは相変わらずだったが、少し頷いたように見えた。時が経って軟化してきたのかもしれない。
ここで一押しすれば全ては解決するのだ……! いくわよ、主従のセッション!
「ミュージックスタートォ!」
とマイクを握ってポーズを決めたところで、曲目を決めていなかったことに気づいた。どうしてこう行き当たりばったりなのだ……。
が、咲夜はそんなことおかまいなしでギターをかき鳴らし始める。
――ジャーンジャッジャジャーンジャーン。
えぇえ……、どうしろっていうのよ……。
ジャーンジャンジャンジャジャー。
……いや、この曲は聞き覚えが――ある! そう、ここ、ここから入ろう! 野太い声をひねり出すようにして歌うのだ!
「オーウオーオーオーオオーオオオーオー」
ジャーンジャンジャッジャジャ。
「オーウオーウオーオーオオーオオオーオー」
ジャンジャカッジャッジャッ。乗ってきたわ!
「オオオー! オーオーオーオーオオオーオーウオウオウー」
いよいよこの次はAメロに突入!
ジャーンカッ、ジャッガガ、――ガガガッ、ガガッ!
「コツコツと――って咲夜?」
音がひどく濁っていて、もはや雑音、耳に痛い。
やがて演奏が止まった。
「ちょっと……?」
見ると咲夜は涙目だった。
「Fコードが……、指が届かなくて……」
ははぁ、ギター初心者が高確率で引っかかるところね。
「うん、わかった。ひとまず外に出ましょう。フラン、重ね重ねごめんなさいね」
痛そうに指先を揉む咲夜を連れて部屋を出る。
「あのね、咲夜」
「はい」
「下手は下手なりに頑張ってくれたのは認めるわ。それはすごい嬉しい。咲夜の気持ちがすごい嬉しい」
「光栄です」
「でもね、長渕はどうかと思うの。少なくとも傷心の乙女が聞くものではないわ。
清楚な女の子が去り際に『ろくなもんじゃねえ』とか吐き捨てたらどうすんの。泣くでしょ、びびるでしょ」
咲夜は驚いたようだった。それから、やけに重苦しい声を出す。
「私は……、この曲で育ったようなものですから……」
どこの番長だよ、と突っ込もうとしたところで、ドアがパタリと閉じた。
「もうええわ」と聞こえた気がした。
―――
一人になって自室で座禅を組み続け、やっとのことで新たな方策を思いついて飛び出したときには、
日は既に沈みかけ、廊下の窓からは赤みがぬるりと差していた。
談話室に入る。咲夜は本を読んでいた。その手には――あれは、『蟹工船』……?
なんてもの読んでるんだ。これほど雇い主を微妙な気持ちにしてくれるタイトルはない。
何かのあてつけだろうか……? という疑念はさておいて、声をかける。
「咲夜、夕餉の仕度をして頂戴」
「は、いつもの時間にはまだ少々ございますが」
確かにこの時間はいつも、メイドたちは比較的のんびりしている。
「だからこそ、よ。いつもよりたっぷり手間暇かけて、フランの好物をこれでもかってぐらい並べてあげるの」
思えばたかが音楽ごときで機嫌を取ろうなど、虫の良い考えだったのだ。この世の基本は何を置いてもまずモノ、モノである。
義憤に打ち震える政治家だって、胸ポケットに札束の一つや二つ詰めてやれば、大抵は黙らせることが出来る。心のスキマはモノで埋まるのだ。
「はぁ、それではお嬢様がお作りになると」
「は?」
「いえ、お嬢様が、お料理を。そういうことかと」
「そ、そうとは言ってないでしょう!」
なんてこと言い出すんだこのメイド。私が料理なんて出来るわけないだろう。
まずもって、普段自分が食べている料理が、どういう過程を経てああいう形になるのかわからない。
大好きなビーフシチューとか、ほんとどうなってるんだろう……。牛を絞ったらあんなルゥが出てくるのかしら。
「ですけど、やはりお嬢様がお作りになった料理の方が、妹様の気持ちもやわらぐというものでは?
私どもが精魂込めて作ったところで、結局のところ普段と変わりませんし」
「うっ、それは、そうかもしれないけれど……」
確かにそうなのだが、未知への恐怖とは遍く生物が持つ本能である。
「精魂込めてお料理する咲夜を、精魂込めて私が見守るってのじゃ、だめ?」
「め。咲夜がお手伝い致しますから」
と無理やりエプロンを着せられてしまい、期せずして私は料理に挑戦することとなった。
「エプロンの下は何も着ないのが礼儀です」
咲夜がそう熱弁を振るうので従ってあげたのだけど、どんな礼儀なんだろ。
料理って奥が深いなあ。
―――
「フラン、フラン、小さくたって、一人前~♪」
ミトンの手袋をはめた手で、アッツアツのプレートが載ったトレーを運ぶ。プレートの上には私お手製の『特肉ハンバーグ』がある。
『特上の特?』と私が訊くと、『特別の特です』と咲夜は答えた。何の肉なのかな……マジで。香りはすごい良いけど……。
「フラン、入るわよ?」
って両手がふさがってるから開けられない。
「ごめんなさい、ちょっとドア、開けてもらえるかしら」
ややあって、ドアが少しだけ開いた。フランは顔も見せてくれない。やっぱり、今朝のことを怒っているのだろうか。
私は足でドアを開けて、部屋に入り込んだ。
フランは――フランは私がお誕生日にプレゼントしてあげたウサギのぬいぐるみの耳を持って、ひたすら壁に打ちつけていた。
ぶん、びたーん。ぶんっ、びたーん!
あんなに喜んでくれてたのに――いや、あれはフランなりの愛し方なのだろう。不器用なのだ、この子は。
「フ~ラ~ン~?」と猫なで声を出しながら、テーブルの上にトレーを置き、ミトンを外す。
「見て見て、これ、誰が作ったと思う?」
フランはチラッとこちらを見た。が、すぐにそっぽを向いてしまう。
「なんと、私よ! 私が作ったの!」
ああ、これで立った。フランのデレ化フラグがビシッと立った。
『えっ、ほんとにお姉様が! 私うれしい、ありがとう!』と抱きついてくる姿が目に浮かぶよう。
「お姉様お手製、手作りなの……よ……?」
――ってアレ……。
反応なし。フランの背中には、『ふーん、それで?』と張り紙がしてあるようだった。
見抜かれているのだろうか……? 指という指に巻いてあるこの包帯がフェイクだってこと。
包丁持ったら手も膝も震えちゃって、咲夜の介添えなしでは何も出来なかったこと。
一人でやったことといえばお肉とタマネギを混ぜ合わせたぐらいで、
それすらも冷え性の私には辛くて、満足に出来なかったこと……。
「ね、フラン。お腹すいたでしょう? こっちへ来なさい、食べさせてあげるわ」
……ビクともしない。
だけど、吸血鬼といえども、この時間、この香りに耐えられる者はそうそういないだろう。
「そーれそれーい」
手をぱたぱた振って、フランの方へ湯気を送ってあげる。羽がピクリとした。身体は正直よのう、と私はほくそ笑む。
「良い匂いでしょう? 早く食べないと冷めちゃうわよ?」
あ――。フランが振り向いた! それどころか、四つんばいになってこっちをじっと見ている。
興味津々な瞳。こうなったらもうこっちのものだ。
私はナイフとフォークを持って、ハンバーグを小分けにしていく。
「ほぅら、見てごらんなさい。プレートから溢れんばかりの、この肉汁、濃厚な脂身、こっそり隠れたタマネギさん」
一切れをフォークに刺して、フランに向ける。
「さあ、こっちへおいで? 好きなだけ食べていいのよ?」
「…………」
「フラァ~ン?」
これでもまだ、ダメか……。でも、目の輝きは明らかに変わっている。『おいしそう……』そう告げていた。
好奇そして好機。もう一押しってところだろう。私はカマをかけてやることにした。
「フランが食べないなら、私が食べちゃうわよ? ……あーん」
と口に運んでみせる。無論、これはフリだ。せっかくフランのために(一応)私が作ったのだから、自分で食べてしまっては話にならない。
こうやってフランの焦りを演出してやるのだ。
…………。
しかし。
ほんとにおいしそうな匂いしてるわね。顔に近づければ近づけるほど、それがいっそう肌で感じられる。
これじゃまるで、芳醇な旨味がそのまま空気中に放たれて形を成しているみたいだ。
無いはずの脳がひどく刺激される――っておい、おやめなさい私の手なにするうわらば。
「――あっ、つあっ、あ、ふ、おいふぃ……」
甘い……。まずは、ひたすら甘い。タマネギ、いやお肉そのものの甘みか。
そしてどこまでもジューシィ。なぜ? どうしてここまでジューシィなのに、身が崩れず、これだけの歯切れの良さを残しているのだ。
小雨のあとの潤った大地、そこへしっかと根を下ろす広葉樹、その姿を私は脳裏に思い描いていた。
じっくり咀嚼してから、ごくりと飲みこむ。子馬が喉を駆け抜けていき、お腹のなかで母馬と出会ったよう……。
なんて悪魔らしからぬこと。私はその光景を微笑ましく思っている。
舌にはまだ甘みが残っていた。油分の仕業だろう。
けれどその油分も決して嫌らしいものではなくて、ただただ心地良い余韻を残してくれている。
ああ、この舌の震えが、永遠に続けば良いのに……。
って、食べちゃったよ……。
まぁでも、一切れぐらいなら問題ないわね。デモンストレーションってやつよ。
実際に食べている姿を見れば、フランの気持ちもより動くってもんでしょう。
それに、まだまだこんなに沢山あるのだから、あと一つや二つ食べたところで何も問題ない。
「ほうらフラン、早くこないと無くなっちゃうわよ? ひょいパク、ひょいパク」
おかしいわね、この食欲。私ったら小食だったはずなのに。このハンバーグならいくらでも食べられる気がする。
自分で精魂こめて作った料理って、こんなにおいしかったんだ。
「あふ、あ、はふ! おいしい、すごいおいしい! ライスは、ライスはないのかしら!?
うめえええ! なんだこれ超うめえええ!」
…………。
付けあわせのポテトをパクッ。プレートの上には嫌いなブロッコリーと、お肉の切れ端が残るのみ。
ソースをたっぷり絡めて、最後のお肉をフォークに刺して、食べる。おいしい!
「ブロッコリーは、うーん、どうしようかしら――って……」
……やべっ。
全部……食べちゃった……。すごく、おいしかった……。
私は、満たされていたと思う。本当に幸せな時間だった。食の喜びをここまでかみ締めたことは未だかつてなかった。
ナイフとフォークを置いて、ポケットからハンカチを出して口を拭く。
「ごちそう、さまでした……」
ふと殺気を感じて、見上げると、限界までほっぺたをぷぅうー! とふくらませた涙目のフランがい――た。
「フ、フラン? 違う、違うのよこれは。本当に私はあなたに食べてもらうつもりで」
フランは右足を思いっきり後ろに引いて――あ、それ――は私直伝の、力学的スカーレットシュート――要するにトゥーキック――の構え。
「その、ほんとにこんなつもりじゃなかったの。全てはこのハンバーグが、ってもうないけど、
このハンバーグがおいしすぎたからいけなかったのよ!
そう、そうよ! だから元はといえばこのハンバーグをこんなにおいしく作ったやつが悪いのよ!
つまり咲夜――いや私! 私が作ったの、だから全部私が悪いの! 私が諸悪の根元なの!
ってえぇえ!? なんでそうなるの!?
私は悪くない! 悪くないの! だからお願い話を、話をしまっ――」
「――――」
「ぶべらあああ!!」
薄れゆく意識のなか、あのソースと肉汁のハーモニーにかかれば、苦手なブロッコリーも食べられたんじゃないかって、
そんなことを――考えて、いた。
―――
たかりや泥棒が一人や二人来たところで文句は言わないし、ふらりと氷精が迷い込んできたら石焼きビビンバを振舞ってあげる。
それぐらいの度量はある。一国一城の主たるもの、常に懐は広くあらねばならない。そう心がけてきたのだ。
ノブに手をかけて捻ってみる。
「はぁ……、鍵かかってるし」
目を覚ましたときにはこうなっていて、固く閉ざされたドアが堅牢な壁に思えた。
なぜ妹は、この広い懐に飛びこんできてくれないのだろう。
たとえどんな理不尽な要求だろうと、ある程度なら私は受け入れるし、こちらに非があるというのなら謝る。
「フランー? 開けて頂戴」
たんたん、とノックしてみるけれど、いよいよ反応がない。
今度ばっかりはマジ切れというやつなのだろうか……?
ドアに背中を預け、私はへたりこんだ。鉄の冷たさが伝わってくる。そういえば、今日は一言もフランの声を聞いていなかった。
べつに、そういう日がなかったわけではない。むしろ多かった。
けれど、これだけ顔を合わせていて、ひたすら一方通行というのは、堪えるものがある。
道化の気分って、こんな感じだろうか。興味の無い観客の前で、私一人、踊っている。
「ねえ、フラン……、やっぱり私が悪かったのかしら?」
気づいたら口がそう動いていた。フランが怒っている理由、本当に見当がつかないのだ。
話してくれれば、私とて鬼や悪魔――ではあるけれど、聞く耳は持っている。
こちらから謝ってしまえば済む話じゃないか、とも思うけれど、理由もわからないのに謝るというのは、どこか不誠実だ。
心の底じゃなんとも思っていないのに、ひたすら頭だけ下げてその場を凌ごうとするやつと、何ら変わりはない。
それにしても、一方的にコミュニケーションを遮断してしまうほどの不満が、フランにはあったのだろうか。
――遮断……、一方的。
なんだろう。たったそれだけの言葉に、ひどく胸がぞわりとした。
いや、考えるまでもなくて、それはつまり、長い間私がフランにしてきたこと。
「フラン……聞こえてる……? 聞こえているのなら返事を、いいえ、何か合図をして」
――何かがぶつかったような音がした。
鏡台か、燭台でも壊れたのかもしれない。フランの、荒っぽ過ぎる合図だろう。
思えばこうして、こんな形でも、二人だけの時間を持つことってあまりなかった。
それだけ、私の周りには常に誰かがいたということだ。友人がいて、従者がいた。
でも、フランはどうだったのだろう……? そんなの、私が一番よく知っている。
「ねえ、フラン。正直言うとね、私、あなたのことが少し怖かったの」
少し、ではないだろう。この期に及んでもまだ、私は曖昧なことを言う。
すごく、怖かった、多分、それが正しい。
「私たちって、髪の色も、羽の形も、能力も、何もかも違うでしょう? ならば中身はどう、といわれても、これも違う。
あなたが私の妹だって証明してくれる、目に見えて確かなものは、吸血鬼であること。ただ、それだけ。
なのに、あなたは私の妹だという。
そりゃ、兄弟や姉妹が必ずしも似通っているものだとは限らないわ。全く違うやつらだっているでしょう」
ガンッ、とドアに頭を打ちつけた。鈍い痛みが返ってくる。
「それでも私は、なんでもいい。一つでもいいから、姉妹としての拠り所が欲しかった。でも、それは……」
それは……。
「――見つからなかった。そうやって、諦めてしまったとき、私はあなたの存在に違和感を覚えるようになって……、怖くなってしまった」
フランはいつ気づいたのだろう? そもそも気づいていたのだろうか?
私たちが、他者に胸を張って姉妹だと語れる根拠が、『スカーレット』という言葉の他にないことを。
でも、それは、表向きの綺麗な理由の一つに過ぎなくて――。
結局のところ私は、そんなわけのわからないやつの、尻拭いをさせられるのは御免だったのだ。振り回されたくなかった。
悪魔の私にだって大切なものはある。それを壊されたくはなかったのだ。
……言えるわけがない。私はそこまで潔く出来ちゃいない。言う必要があるとも思えない。
だから、私に出来ることといえば――。
「でもね、あなたがあの巫女や、魔法使いと遊んでいるのを見てね、思ったの」
ただ、嘘をつかないことだけ。自分の限界まで、正直になるだけ。
「すごく、楽しそうだなって。ね、フラン、あなた、あいつらのこと気に入っているでしょう?」
それは――私も同じで。
「接し方って、いうのかしら。ああいう、面白いやつらとの距離感がね、私と、似ていると思ったの」
だから――私は。
「あのとき、初めてね、この娘は私の妹なんだって、確かに思えたの。たった、たったそれだけのことでよ?」
同じ方向を見て、同じものを楽しめば、済む話だったのだ。それだけで、繋がりを実感することが出来た。
あのときから私は、ずっとくすぶっていた妹への思いが、溢れ出て、とまらなくて、今もこうして、
一日中フランにかかりっきりでいたって、何の苦にもならない。でも――。
「……ごめんなさいね。私、喋ってばっかりで。お夕飯はもう食べたのかしら? まだなら持って来させるわ。
私は――今日はもう、来ないから」
ドアを背中の支えにして立ち上がる。
結局、フランからの返事はなかった。それを思うと、胸がちくりとする。
でも、黙って話を聞いてくれた。聞いてくれたはずだ。だから、今日はこれでいい。
数百年の隔たりを、たった一日で埋めようだなんて思っていない。
振り返って、ドアに手を当て、「おやすみなさい」と告げた。それから、背を向ける。
足取りは、どちらかといえば軽い。胸のなかにあるものって、言葉にしてしまうと重さを失うのだろうか……?
それとも、口を通して抜け出ていってしまうのか。どちらも、嫌だと思う……。
――何かが外れる音。
廊下の角を曲がる刹那、そんな音を聞いた気がした。それから、ギィ……と木が鳴る。
……フラン?
まさか、そんなはずない。
振り返るな。振り返ったって、後悔するだけ。自分にとって都合の良い音を、私の耳が作り出しているのだ。
だから、振り返ったところで誰もいないし、何もない。ただ、無機質な廊下と、無愛想な灯かりが並ぶだけだ。そうに決まっている。
けれど、小さな足音は、今も少しずつ近づいてきていて、大きくなっていて、
気配は、その形まで想像できるほど、確かなものとなっていた。
すぐ後ろに、来ている。
私は振り向いた。
「――フラン」
そこには、やっぱりまだふくれっつらの、フランがいた。
何も考えず、強く抱きしめる。
フランは拒まない。
だから、もっと強く、ぎゅっとする。こんなに強く、何かを抱きしめるのは、初めてだった。
「フラン、……フランッ!」
……強くし過ぎたのだろうか。フランは少し苦しそうに、私の身体を押した。
振りほどいた手で、私の頬を拭ってくれる。暖かさと冷たさを、同時に感じた。
「あ……」
私、泣いてたんだ……。やだ、何百年ぶりだろう。ひどく気恥ずかしい。夜の王にあるまじき、醜態だ。
でも、フランの前でなら、こんな顔をするのも、いいかなと思う。
たった一人の血族に、涙を拭ってもらえる。それはきっと、幸せなことだ。
だから私は笑って――。
「……フラン、ありがとう」と言った。
フランも笑ってくれる。ふくれっ面のままだけど、どこか楽しそうで、私の気持ちが、少しは届いていたんだって、そう思えた。
けれど。
だけど、だけど、だけど! ちょっと待てえ! 待たんかい!
フランはふくれっ面で。ぷくぅってほっぺた、今朝からふくらみっぱなしで。
いくらなんでも……。これって、ちょっと場の雰囲気にそぐわないんじゃないの!?
もういいんじゃないの!? みたいな……。
力士がサッカーしているような。坊さんが釣りしているような。そんな違和感がある。
「フラン……? あの、まだ怒ってるの……?」
フランはうぅん、といった感じで首を横に振る。
「じゃあそろそろ、その顔、およしなさい?」
目をそらすフラン。これは――まさか。ひょっとして。
「そもそもあなた、怒っていたの……?」
フランのご機嫌を取るのに必死で、空回りしていたのだけれど、考えてみれば発端が唐突過ぎる。
これだけの大事になるほどの事件なんて、そもそも思い当たらなかったのだ。
「…………」
フランはそっぽを向いたままで、その横顔には、どこか焦りのようなものも見てとれる。
怒ってなかった……? じゃあ、なんで……? なんであなたは――。
「フラン! あなた一体……、なんでそんなにふくらんでいるの! 答えなさい!
私の、お姉様の目を見て答えなさい!」
私はフランのほっぺたを掴んで、顔をこちらへ向けようとする。すると――。
「ぶふぅー!」
フランの口から勢いよく、
それはもう鉄砲水のごとく勢いよく。
牛乳が飛び出た。
―――
「あー、あのときが一番危なかったよ。お姉様がね、せっかく作ってきたハンバーグ、自分で全部食べちゃったとき。
完食しちゃったあとにね、『はぁあ~ん』ってぐらい満足げな顔になってさあ。そのあと『あ、やべっ』って顔になったの。
なにしたいんだコイツ、ってね、もうヤバいのはこっちだよって話。
お姉様は言い訳に必死で気づいてなかったけど、あのときはもうギリギリだったんだよね。
ぶっ飛ばさなかったらあの時点で終わってたよ、ほんと。
で、その後は勝手にシリアス入っちゃうしさあ、どうしようかと思った。
まぁ、お姉様の本音? みたいなのが聞けて、ちょっとは面白かったかな」
「でも、過程はどうあれ、一日耐えられなかったから、賭けは私の勝ちですわね」
「あー、そういう話だったね。私が負けたらどうなるんだっけ?」
「ほっぺにチューして頂きます」
「なんだ、そんなこと? はい、こっち来て」
と、こいつらはどちらともなく顔を寄せ合い。
――チュッ。
とした。
「ご馳走様です」
「ところで、私が勝ったらどうなるんだったっけ?」
「私の身体を一晩中、好きにしていいと」
「ああ、そうだった。まぁいいや。別に負けても良かったんだ。好きにしろって言われても、よくわかんないし」
とまぁ、このようなことを、この共犯者どもは、優雅に茶ぁしばきながら語ってくれたわけだ。
あぁシバきたい。尾てい骨をグーで小一時間殴り続けたい。
だが、ここで力に訴えるのもどうかと思う。
それは陰謀に気づけなかった己の青さを露呈する。それは癇に障る。
私なりの意趣返しとは、こうだ。
「咲夜」
「はい」
咲夜は平然と答える。主をまんまとハメておいてこの態度。機会があったら再教育してやらねばなるまい。
「紅茶を入れて頂戴。ぬるめのやつを、二杯」
「かしこまりました」
ぱっ、と現れる二つのティーカップ。私は一杯と半分を口に含んで。
キッ、とフランを睨みつけた。
「やだ、お姉様ったら怖ぁい。たった一人の妹なんじゃなかったの?」
フランはからから笑う。この悪魔っ子が! ああでも、そんなところもかわいいなあ畜生!
「リベンジのつもり? お姉様じゃ無理よ」
絶対に無理、ともう一度言ってから、フランは続けた。
「ふとんがふっとんだ」
なによ、その程度で。
「寝込んだ猫」
なんてことないわ。
「予想はよそう」
あー寒い寒い。
「お姉様、大好き」
私の口から、勢い良く紅茶が飛び出た。
照準を咲夜に合わせていたのは、今日一日踊らされ続けた私の、せめてもの抵抗だったのかもしれない。
このオチってちょっと悲しいですね……。
なんか咲夜さんのレミリアをダシにして遊ぶというのも何だかなぁ。
機嫌?をとるために彼女が色々と行動してるのは
良かったと思います。
誤字の報告
>おたふく風
おたふく風邪…ではないでしょうか?
あれですよ、この後拗ねたレミりあ御嬢様を小悪魔さんが頂く正にその瞬間美鈴隊長が「待てっ、三位一体フラグだっ!」といきなり愛の告白ですね分かります。
しかしパッチュさんが「そこまでよ!私のレミィをげふげふん!」とか言いながら颯爽とレミリアお嬢様をさらう!(筈が無かろうて……脳が腐りきっておるな)
>>「フランに限っては、その通りよ」
此所で満点確定でした。
というかハンバーグの下りで負けたw
って、おぜう様お茶目すぎw
良いSSをありがとうございます。
あなたが言うな
このフランちゃん最高。
咲夜というよりも悪だくみ中のゆかりんっぽい印象を受けました。