Coolier - 新生・東方創想話

OHNO

2009/03/20 19:42:26
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 懊悩している。
 射命丸文を見かけた印象は、そういったものだった。
 舌なめずり、地団駄、武者震いなどなど、文が動きを止めるときというのは普通、そういうものである。いわば行動するための布石、車でいうならクラッチを踏んだようなもの。
 それが膝を抱えて、岩場から滝壺を見つめているのである。それも精神集中しているようには見えず、滝の音が五月蝿くて堪らないといった風に歯噛みをしている。
 何か大きな異変の前触れか、はたまた文の個人的な領域の話か。いずれにしろ自分なぞが触れてもやぶへびになるだけだろう。椛はそう判断すると、久々に河童の方に出向いて酒をやりにいった。


 立ちションがしたい。
 滝壺を見つめながら、文は嘆息した。
 あんな風にドバドバドボドボと音を立てて、なんて嫌味な滝だ。目から小便が垂れるものなら、文はとっくに垂らしていただろう。
 したいならすればええやん、と自分でも関西のおっちゃん風に思うし、今までの短くない期間、そうしてきた。
 宴会の帰りに適当な所でショババババ、上空を飛んでいてブルっときたらショババババ。ショバの語源はここからだ、とか自分で信じているぐらいである。
 男子でなくては立ちションはできないなどと思うのは素人で、むしろ女性の方が慣れさえすれば上手にできる。アレが明後日の方向に曲がっているなんてことが無いから、誤爆も起こらない。
 ましてや烏天狗の場合、元が烏なものだから、糞尿を垂れることにかけては天下一品である。いやいや、別に汚らしいことではない。
 文化とは糞尿の上に成り立っているのである。きらびやかな京都においては糞尿を上手く都市の生活に役立てていたからこそ、雅やかさが花開いたのだ。徳川家康が東照大権現として江戸幕府を開いたときも、それを参考にしたから成功したといわれている。
 そこいくと烏天狗こそが天狗の中でもメジャーであり、大天狗と呼称されるのも、一理あるのである。
 いや待て、それこそが慢心だったのではないか。今の文はそんな殊勝なことを思うまでになっていた。
 例えば、欧州の貴族達は糞尿を効率的に処理せずにいたから文化的生活は退廃へと変化しがちだった。平城京が平安京へと遷都したのも、下水道の整備が平城京ではされていなかったからでもある。
 妖怪とて、いつかは文化の明かりに照らされなければならない。今その明かりは、天狗の小便を黄金色に光らせようとしているのではないか。
 とうとう香ばしい方向へ思考が飛び始めているが、どうしてこんなことになったかといえば、自業自得である。
 自分の新聞の企画で、幻想郷のトイレ事情、などというものをやろうと取材を始めてしまった。何せ人の家でトイレなんて借りたことも無い文である。溜めたことすら無い。
 あ、したい。
 しよ。
 ショババババ。
 これであるから、トイレ事情を探る内に、人間どころか他の妖怪どもの下に対する感覚まで知ってしまい、ショックを受けたのだった。
 自業自得というか、因業である。インゴー。よくもまあ「短くない期間」とやらで気付かなかったものだ。流石に人前でしたりはしなかったから、その中途半端な羞恥心がかえっていけなかったのかもしれない。
 何はともあれ、しかし、わかった以上はどうにでもなる。後はやるかやらないかだけだ。
 河童には妖怪の山の下水道計画についての話をもちかけるつもりだし、守矢神社にかけあって、地下の連中に汚物の焼却処理も頼むつもりである。
 そこまでの計画を取材明けに不眠で考えた。それが昨晩のこと。
 今朝のコーヒーは存外に美味かった。ああ、これが働く女というものだ。太陽が黄色いぜ。

 と、そこで尿意と共に気付くことがあった。

 計画が実現するまで、私はどうやって下の処理をしたらいいのだろう。

 絶望的だった。なにせ、相談すること自体が既に恥だと思えるようになっていた。知恵の実をかじってしまったアダムとイブさながらといえよう。
 身内ならええじゃないかと思いはしたが、それはややもすると、自分と同じ苦悩を押し付けることになる。そんな残酷なことができようか。いや、普段ならするのだが、まさか下のことでするのは、プライドが許さない。そういうプライドの所為で今自分が苦しんでいる、ということにまでは考えは至らない。
 そしてふと我に返ったとき、こうして滝壺を眺めていたのである。

 ドババボボボボボボボゴゴゴゴゴゴズズズズズズドドドドドドドド!

 耳というよりは直に脳みそを揺さぶる音が、ひっきりなしに聞こえる。
 いっそあの中でもみくちゃにされながら下半身を解放したら、どれだけ素敵だろうか。考えただけで栓が緩みそうである。
 闘争とは力の解放、力みなくして解放のカタルシスはありえない。どっかの漫画でもそう言っていた。
 今、解放したら……ドロドロにとけてしまいそうである。
 ちなみに、現在の状態でも十分に文は危険な領域に達している。
 体力的な問題が要因の最たるもので、彼女、というか妖怪だが、その身体強度はほとんど精神の解放によって成り立っている。常に燃えているものには誰も近づけないようなものだ。今の文は小学生とかに「遊んでー!」と下半身にタックルを食らっただけ、悟空のパンチを食らったピッコロ大魔王みたいなことになる。
 妖怪にあっぱらぱーが多いのは、そういった事態に陥らないための生存本能がなせる技なのだ。多分。

 強引に寝てしまえば何とかなるのかもしれないが、生憎と年度末で、天魔やら何やらとの飲み会が毎夜ある。きっと彼女らは今夜も酒を飲んではそこら辺でジョバンジョバンするのだろう。ふふ、哀れなものだ。そんな風に愉悦を覚えることでささやかな気休めにしていることこそ、哀れであるが。
 大体、自分もその場にはいるはずなのである。いなくてはならない。立場とは、そういうものだ。
 頭を過ぎるのは取材をした面々である。彼女らにトイレを借りれば万事解決する。和式便所、洋式便所、果ては尿瓶やおまるの類まで、千差万別の処理をしていた。
 ああ、しまった。それらを体験する企画にしておけば良かった。
 が、その試みは成功しなかったろう。あいつらがそんなことにトイレを使わせてくれるわけがないのである。見せるだけならまだしも(それにしたって交渉の末である)、使うだなんてとてもとても。
 そもそも、人を利用しようっていう魂胆が、いやらしい。
 ようやくそういう所にまで頭が回るようになってきた文である。
 ここは初心に返って、まあそんなものがあった覚えも無いのだが、とにかくまっさらな気持ちで、滝に打たれて修養でもすべきなのではないか。
 マイナスをプラスに変える、積極策といえる。
 文はゆらりと立ち上がった。前進こそが自分の本懐である。壁にぶち当たって染みになるなら、それも本望である。それが血か黄金色の水かは別として……。

 滝壺へとジャンプする。
 その瞬間、がっしと足首を掴まれた。

 ドバシャアアアンッ!

 頭から落ちた。まだ浅瀬だったので岩やらなにやらにぶつかり、体は水にとっぷり浸かった。
「何やってんですか! いくら天狗様でも、危ないですよ!」
 河城にとりが、椛に頼まれて文の様子を見に来たのだった。
 にとりは滝壺の怖さを知っている。あのドドドドドとなっている表面よりも、その下こそが危険なのだ。巻き込まれると、そのまま浮いてこれないことだってある。
 が、なにやら恐ろしそうなのは、天狗様の方だった。
 ぐったりとしている風なのに、表情は恍惚としている。力なく傾げた首を直しもせず、喉を震わせ始める。
「ククク……ハハハハハハ、フハーーッハッハッハ!」
「へ?」
「過激にファイヤーーーーー!」

 ドカン、と、滝壺が爆ぜた。その中に黄金色の自機狙い弾が混ざっていたことを知る者は、皆無である。
スカートの下から出てくる弾とかまじ危険
司馬漬け
[email protected]
http://moto0629.hp.infoseek.co.jp/
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コメント



0.4960簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
こんなの射命丸じゃないw
2.100名前が無い程度の能力削除
早えよwww
3.90名前が無い程度の能力削除
危険なのはあんたの頭だばかやろーw


思わずハァハァしてしまったじゃないか。
7.100名前が無い程度の能力削除
てめぇwwwwwwwwwwwwww
8.100名前が無い程度の能力削除
聖水ですね、わかります
9.90名前が無い程度の能力削除
俺には言葉がみつからねえw
10.100名前が無い程度の能力削除
こ、こいつはキチガイか……
11.80名前が無い程度の能力削除
作者アホだろw
危険なのは作者の頭の中身だw
13.70名前が無い程度の能力削除
今日はまともな文が見れないよ;;
16.100名前が無い程度の能力削除
ネタや正確崩壊云々はともかくとして、立ちションがしたい文の心情描写には引き込まれる物がありました
強烈な勢いと文章力、欲望を表現するその手腕に敬意を表して100点を
17.90名前が無い程度の能力削除
頭が残念すぎるwww(文・作者ともに)
18.100名前が無い程度の能力削除
現代に生きる我々からすればくだらなくとも、幻想に生きる彼女達には切実な問題かと。

少なくとも、水洗式トイレがなかったら、3日と持たんな。俺は。
20.100名前が無い程度の能力削除
キシンタイム発言をした者として読まなければいけない義務感がありました。
この変態じゃチルノを射止める事など絶対に無理だなと思った。
ホァイ!
21.100名前が無い程度の能力削除
おまww馬鹿野郎wwwww
23.100名前が無い程度の能力削除
危険なのは作者の脳だ。
本当の敵は己の中にいるのだ。
24.100名前が無い程度の能力削除
認めよう。見入ってしまった俺の負けだと。
>>太陽が黄色いぜ。
待てやコラwwww
26.無評価名前が無い程度の能力削除
オレは正気でアンタは少しイカレテルけど気にしちゃいけないよ
27.80煉獄削除
我慢するのは良くないと言われてますけどねぇ……。
かなり思いっきりの良い文だったと思います。
でも、ちょっと私は笑えなかったですね。
面白いといえば面白いですし、話も良かったとは思いますけど、
それはそれこれはこれですしね。
ああ、でも実際に幻想郷でのトイレ環境ってどうなってるんでしょうね?
西と東の文化もあるでしょうし……。
考えだしたらきりが無いでしょうけどねぇ……。
28.100名前が無い程度の能力削除
点数入れ忘れた
31.90名前が無い程度の能力削除
ある意味、学術的ですよな
32.100名前が無い程度の能力削除
あんたは変体という名の天才だ
33.90名前が無い程度の能力削除
頭わりいWWWWWW
34.100名前が無い程度の能力削除
これは、一歩間違えれば危なかったですねww
それはそうと、天狗だけがショバババなんですか?
それとも河童なんかもショバババなんでしょうか。
36.100名前が無い程度の能力削除
鳥ですものね。仕方ないさー
38.90名前が無い程度の能力削除
ああ頭悪い、だが切実な問題には違いない!
……実際河童や天狗、1,2ボス辺りのライフラインはどうなってんだ。
39.100名前が無い程度の能力削除
あんたは最高だ!
41.80名前が無い程度の能力削除
あなたは
ほんとうに
おばかだ
43.100名前が無い程度の能力削除
バカスwwwwwww
44.80名前が無い程度の能力削除
司馬漬けさんのSSはたまにこういう怪作がくるからやめられない。
48.80名前が無い程度の能力削除
あやちゃ~んwww
52.100名前が無い程度の能力削除
司馬漬けさんのうんちくにはそーなのかーと言わざるおえない
あやややややややややや
54.100名前が無い程度の能力削除
死狂い也
56.100久我削除
一言だけ~♪

ばかやろうwwwwwwwwwww
60.100名前が無い程度の能力削除
把握したww
62.100ルル削除
今の今まで女性はしゃがまないと出来ない生き物だと思ってた私がいる。
そうか、立ちで出来るのか。また一つ大切な事を学んだ……
63.無評価削除
これは美少女は用など足さないというこの世界の公式設定から甚だしく逸脱していますね。
非常に遺憾です。イカンです。
66.90コメントする程度の能力(ぇ削除
腹筋崩壊wwww
67.90名前が無い程度の能力削除
久々に露骨にひどい物を見た
69.90deso削除
その自機狙い弾、ワインダーかかってますよ!?
70.100名前が無い程度の能力削除
こいつァひでぇや
71.100名前が無い程度の能力削除
あやああああっやっやっやっややあああああ・・・
72.100名前が無い程度の能力削除
いつもながらの才能の無駄遣い。
やってることはオバカそのものなのに、妙に引き込まれる。
73.100名前が無い程度の能力削除
司馬漬けさんの文は濃ゆうてええのうw
76.30名前が無い程度の能力削除
下品すぎる。
笑うより前にドン引きしたわ。
77.80名前が無い程度の能力削除
実際、ヨーロッパの女性のスカートがなんであんな風なのかと言うと
農作業中でも立ったまま出来るからであり、それが肥料にもなるから
うん、作者間違ってない、間違って無いけど

間違ってるよ(人として)
78.100つくし削除
トイレを笑うものはトイレに泣く ああ俺らか
81.100名前が無い程度の能力削除
おいw
86.無評価司馬漬け削除
笑うも引くも表裏一体なので、その上わざわざコメントもいただけたという点で、コメントしていただいた皆様には感謝の意を述べたいです。ただまあ、どうせならもっと笑う笑わない別にした話にしてみても良かったかもしれません。いや、多分表現自体は変わらないんですけど。

> トイレ事情
私の祖母の家なんかは茅葺してあるような家屋だったので旧い便所が残ってましたが、いわゆるその手のボットン便所が最も多いとは思います。しかし家畜や畑の有無などで取り出しの手間や保管方法も変わってくるでしょうから、全て同じ造りはかえって不自然で、それぞれの家屋や里ごとに工夫があると思われます。

幻想郷内の特殊な状況として便所神などが関わっている可能性が考えられますが、きっとそういう神様がいた場合は少女のはずっていうか少女じゃないといけないのでここで触れると本当に一線を越えるのでやめたいと思います。

重ね重ね、ありがとうございました。
87.100名前が無い程度の能力削除
天才は奇人が多い。何故なら凡才とは見えている世界が違うからだ。
そして、あんたこそ真の奇人だ。同時に真の天才だ。
94.無評価名前が無い程度の能力削除
悟空とピッコロの下りで笑ってしまった
↑の方の通り、凡人とは見えてる世界が違うのですね・・・
まず題材からして天才の域に達しているとみた。
95.100名前が無い程度の能力削除
点数入れ忘れるほどの文才でした
96.100名前が無い程度の能力削除
なんという怪作
97.100名前が無い程度の能力削除
文花帖の文のショットは、ずっと溜めて溜めて溜めて……。
ようやく撮影が可能になる。うまく撮れた瞬間なんて至高である。
このことは、文の尿世界観に対する暗喩であることは言うまでも無い。
そのことに気づかせてくださった作者様に敬礼。
99.100名前が無い程度の能力削除
作者、アンタはすごいw
102.100三文字削除
ほんと何書いてるんだw
まあ、とりあえず尿瓶とオマルを使用していた人物について詳しく。
105.100名前が無い程度の能力削除
文章とネタのパワーでオチまで一気に持っていかれた俺の負け
オチが何でバサラなんだw
110.100木冬削除
・・・ふぅ。
実際どうなんでしょうかねぇ?
115.100名前が無い程度の能力削除
作者天才だろww

いや、バカだwww
116.100名前が無い程度の能力削除
ちょっとまて、美少女がトイレなんて行く訳無いだろうwww
118.100名前が無い程度の能力削除
作者はバカなのか天才なのかww
121.80名前が無い程度の能力削除
にょーなのかー?
122.100名前が無い程度の能力削除
バwwwwサwwwwラwwwwww
124.100名前が無い程度の能力削除
馬鹿と変態は紙一重だなぁ
127.100名前が無い程度の能力削除
書く人が書くと凄いな!
132.100名前が無い程度の能力削除
これは卑怯だ
134.100名前が無い程度の能力削除
内容がアレにも関わらず、何この一陣の風が吹き抜けてゆくような爽快感www
145.100名前が無い程度の能力削除
バ、バカじゃなかったら変態よ!
152.100ぺ・四潤削除
文学的にアホなことを書くとこうもアホになるものなのかww
そういや文ちゃんショット音がショババババだよなwww
まさかあれは……
153.100名前が無い程度の能力削除
あほでしょw
155.100名前が無い程度の能力削除
”これ捨てれる?”や”蟹を茹でる”等の作品が好きな自分があなたへ抱いていたイメェジが過激にファイヤーしました。いい意味で。
あんた最高の大馬鹿エンターテイナーだww
159.80名前が無い程度の能力削除
変態だーッ!!
161.100名前が無い程度の能力削除
久々に狂ってる作家見たwww
167.80名前が無い程度の能力削除
いつ読んでも笑える
169.100名前が無い程度の能力削除
なんで皆こんなのに点入れてしまうん
173.100名前が無い程度の能力削除
魔性だな、この作品
181.100名前が無い程度の能力削除
なんか、もう、すげえ。