「いっただきまーす!」
「頂きます」
「いただきまーす」
三者三様の唱和と共に箸を取る。
今日の夕食はこの秋収穫したばかりの新米と、焼いた虹鱒。南瓜の煮付け。なめこの味噌汁に冷奴と大根のサラダ。
守矢神社の夕食は決して豪勢ではないが、四季折々の良い物を美味しくというのが身上である。
しかも幻想郷に来てからというもの、取れる物は皆、正真正銘の天然物だ。
無論里で買ってきた物もあるが、それでも取立て新鮮なのを毎日食せるというのは変わらない。
『いやー、こっちに来たのは元々信仰のためだったけど、こんなおまけもあるとはねえ』
というのは神奈子の談だが、それは早苗にしても同様だ。日々の献立を考える身としても少し楽しみな部分がある。
「早苗ー!おかわりだ!」
「こっちも!」
「はいはい。じゃあ私も」
今日も元気だ。ご飯がうまい。
・ ・ ・
「~♪ ~~♪ ♪~」
夕食が終わり少し雑務を終わらせた後、上機嫌で食器を片付けていると、
「さ~な~え~~」
「うひゃあっ!?」
後ろから抱き付いてくる酔っ払い。言わずと知れた主神である。
一緒に飲んでいたはずのもう一人は──と見ると、寝てはいないが、幸せそうな顔でちゃぶ台にタレている。
横には既に徳利3本と一升瓶。まさかもう空けたのか。
「もういっぽん~」
「わ、わかりましたからそう抱きついて来ないで下さい!」
その声が聞こえているのかいないのか。元来酔っ払いは人の話などきかないものだが。
「それにしても、早苗もおっきくなったわねぇ~。こーんなに育っちゃって」
「ひゃあうっ!? ど、どこ触ってるんですかっ? やっ、今、片付けの途中ですし、後に、いや後もダメですけどっ!」
「んふふふ~、よいではないか~よいではないか~」
「ふやあっ、ダメですって! ダメッ、か、堪忍っ、堪忍してくださいっ」
「たまには運動しないとダメよぉー。そんなことじゃ、ふっくらしてきちゃうんだから──あら?」
ふに。
「あらやだ。早苗。あなたホントにちょっと太ったんじゃない?」
ふにふに。
* * *
後にルナサ・プリズムリバー氏はその晩の事について語る。
『そうね。あの夜、守矢神社から聞こえてきた音は近年稀に見る逸品だった。
種類自体は、女性がたまに発するそう珍しいものではないのだけれど、あの晩の音はなんというか
抑えきれない魂の慟哭が響き渡る声に乗った、なかなかに鬱な音色だったわ』
* * *
それはまさに晴天の霹靂──いや、少なからず自覚はあったのだ。ただ、深刻に考えていなかっただけで。
ちょっと胸に巻くサラシが短く感じたり、お尻のあたりが重く感じたり──でも、神奈子が言うように『育った』と解釈していたのだ。解釈しようとしていたのだ。
とりあえず耳元でくわんくわん頭を揺らしている物体が邪魔だったので放り捨てる。
──いつからだ? おそらく幻想郷に来た時からだろう。ここ最近、ご飯がとても美味しく感じていたし。ついつい。
とりあえず、現状の把握が第一だ。急ぎカカッと風呂場へ向かい、しばらく御無沙汰だった体重計を引っ張り出す。
右回りにぐいんぐいんと動く針が指した数字。それは今までの平均体重と比べると──
「+2kg…!」
思わず貧血を起こしてその場に倒れそうになる。たった2kgというなかれ。東風谷早苗は乙女である。
日々健康管理には気をつけ、規則正しい生活をモットーとしてきた彼女にとって、これは地獄の烙印にも等しい。
胸囲が増えたと喜んでいた結果がこれだよ!──頭の中になぜかふっくらとした物体の声が響く。無意味に腹立たしい。
いや待て。良く見れば針の動きが若干おかしいではないか! 早苗の乙女心はショート寸前のまま空回りを続ける。これは罠だ! 体重計が仕組んだ罠だ! 今まで長く放置していたから壊れているのに違いない!
急ぎ台所へ戻り、何か扉の前にあった物体が邪魔だったので放り投げて、奥からこの前里で買ったばかりの米袋(未開封・10kg)を取り出す。
トンボ返りし、これを体重計の上に乗せてやれば。ほれ見たことか! 針は数字通りに10kgではなく──
8kgを指していた。
「……………………。」
チクショウ、あの米屋の髭ダルマ。10kgの米袋から2kgも抜くとはいい度胸だ──いや、わかっている。本当はわかっているのだ。
あの髭ダルマが悪事を行ったのではなく、悪いのはこの体重計であり、本来の自分の体重は。実際は──
『──壊機 体重計が割れる日っっ!!』
新スペルカード開眼。同時に頭に血が上りすぎたせいか、早苗の意識はそこでふっつりと消えた。
・ ・ ・
「う………ん…?」
「あ、気が付いた! 神奈子、早苗が!」
「良かった、心配したよ」
それからしばらく──目が覚めるとそこには二人の心配そうな顔があった。
「洩矢様…八坂様…、八坂様!? どこかお怪我を!?」
「ああいや、うん。何でもないから大丈夫。何でもない」
何故か額にバンソーコーなどを張りつつ、あさっての方を向いて釈明する主神。
理由は知っているのか、もう片方はそっちをジト目でみるだけで何も言わない。
深く触れて欲しくない雰囲気が漂っていたので、追求できないのは不満ながらも、とりあえず先に礼を言う。
「申し訳ありません…。神に仕える身である私が、お二人の手を逆にわずらわせてしまうなど…」
「いいって、そんなの気にすることないよー」
「そうよ。私たちは家族なのだから」
暖かい言葉に少しうるっときてしまいそうになったが、部屋の隅に鎮座した残骸──もはやガラクタと化した
物体が目に映り、再び早苗を鬱の底へと誘う。
ああ。あれは紛れも無い現実であったのだ。そう。+4kg。2kgならまだ誤差と言い張ることもできたが
4kgとは最早その域を超えている。1kg増えるのに7000㌔カロリーとするならば、2万8000㌔カロリーの蓄積である。
その数字は強烈な破壊力を持って早苗を打ちのめした。
落ち着いてみれば、原因はなんとなく特定できる。
まず前述の通りご飯が美味しくてついつい多く頂いてしまったこと。そして、こっちに来てからは自由に空を飛べるようになったため歩く機会が一気に減ったことだろう。あながち運動不足という指摘も間違いではない。しかし。
「でもお二方も、私と同じご飯を、私よりも多く食べていらっしゃったじゃないですか! どうして、どうして私だけ!?」
早苗の魂の叫びに、ついぞ変わらぬ姿の二人は顔を見合わせる。
「いやさ、早苗。あのね」
「ほらさ。私たち神様だから。ぶっちゃけ何食べても太らないってゆーかね」
泣いた。こんな理不尽があっていいのかと。許されていいのかと。早苗はその場に突っ伏し号泣した。
そんな早苗を神奈子は優しくそっと胸にかき抱いた。
「今は心ゆくまで泣きなさい、早苗…。流した涙の分だけ軽くなるのよ…。そしたら、明日からはちゃんと運動しましょう…」
殴りたい。殴っちゃいけないけど。殴りたい。
・ ・ ・
「はあ……」
翌日。鬱めいた溜息を吐きつつ、早苗は博麗神社の麓へとやってきた。来週の宴会に関する打ち合わせである。
この前は守矢神社でやったので、今回は博麗神社で行うことになっていた。この後、紅魔館にも赴き、そこのメイド長とも料理やら支度やらの相談をする予定になっている。
考えてみれば、自分は酒が強くないので、もっぱら宴会では食べることの方が多かった。こんなとこにも悪魔は潜んでいたのかと更に憂鬱を張り付かせたまま、早苗は博麗神社の鳥居を見上げた。
流石に、守矢神社からここまで徒歩でくるわけにも行かないので、仕方なく飛んで来ざるをえなかったが
(ま、このぐらいは歩いていった方がいいわよね…)
昨日の今日である。多少の苦労は覚悟の上で早苗は神社へと続く石段を上り始めた。
・ ・ ・
「………………………………オウフ」
「れ、霊夢さんー!? しっかりー!? 何があったんですか!?」
ふうふうと汗をかきつつ博麗神社へと到達した早苗が最初に見たものは、庭で仰向けになって倒れている霊夢の姿であった。
思わず側に駆け寄るものの、本人は動かしたら死ぬとでもいいそうな衰弱っぷり。
あの、山の騒動の時を思い出す。並み居る神や天狗を問答無用で蹴散らし、自分や主神までも鼻歌交じりにボコボコにし、更にはもう一人の守矢の神までけちょんけちょんにしていった巫女が、だ。この有様とは一体、いかなる敵に襲われたというのだ。
「あ…。その声は、早苗…? ふふ…、どうやら私もここまで…みたい。次の自機の巫女は貴方がやるのよ、早苗…。
魔理沙と仲良くね…」
「おおーい!? 何遺言みたいなこと言い出してるんですかー!? 一体誰にこんなことを!?」
「あんたの…所で騒動が起こったときに、途中に豊穣の神がいたでしょう…」
「秋…穣子様でしたっけ。ええ、確かに山の麓におられますが」
「あいつに…」
「ウソーーーー!?」
「無名でも神、ということね…正直舐めていたわ…」
あの神様、実はそんなに強かったのか。今明かされる驚愕の真実!
「先月のことだったわ…。賽銭も備蓄も底を付き、裏の菜園で作っていた作物の収穫まではまだ間があった。
そこで私は、ふとあの時の事を思い出し、あの豊穣神のところへ芋を拝借に行ったのよ」
「(突っ込みたい……! 拝借じゃなくて強奪だろと突っ込みたい…! でも我慢よ早苗…!)そ、それで?」
「そうしたら、あの豊穣神、『よくもこの前ボコボコにしてくれたくせに、ふてぶてしいことを!』とかいうものだから
温厚な私も堪忍袋の尾が切れて、とりあえず3日分と思っていたところを1週間分の芋を頂くことにしたわ」
盗人たけだけしいとは、まさにこのことか。また一つ勉強になったなあ。
「まだ文句を言っていたので、とりあえず霊撃で吹っ飛ばしてさあ帰ろうとしたところで…
『だ、誰のおかげでご飯が食べられると思ってんの──!?』とか涙目で駄々こねはじめたから、面倒なんで
もう一度霊撃入れて帰って来たんだけどね…」
「うわあ」
どう見ても押し入り強盗か山賊です。本当にありがとうございました──ではなく。
「その芋でしばらくは食いつなぎ……そして、そのうちに菜園の作物が収穫間近になったの。
そして収穫予定日の前日。明日はご馳走にしよう。お腹一杯食べよう──そう思って菜園を見に行ったら……
全てが、枯れていたわ。一夜のうちに。犯人は言わずともわかった。跡地からは生焼き芋の匂いがしたわ」
なんという頭脳プレイの仕返し。おそらくは豊穣の能力の逆用か過剰行使だろうか。ただ残念なことに巫女の嗅覚の異常さまでは読めなかったようだが。
「ふふ…しかし効果は抜群だった…。私はね…その前日まで抜いたのよ。食事を。5日ほど。空腹は最高のスパイスと言うものね…。
そして御馳走を目の前に全てを無にされて、私は目の前が真っ暗になったわ…」
「それ単なる栄養失調です」
……。
なるほど。確かに秋穣子にやられ、動くこともままならなくなったというのは事実らしい。が、トドメを指していかなかったのは甘い。
瀕死とは言え、巫女が生き残っている以上、最早この後の運命は決まったような物だ。
早苗はそこでこちらを見通すような目で見る霊夢の視線に気づいた。
「ところで…早苗。あなた、何か悩み事を抱えているわね? 私に話してみなさい。そしてお賽銭なり供物なりを供えるといいわ」
「いいっ!?」
思わぬ飛び火を受けて混乱したところに追い討ちがかかる。
「や、やだなあ。悩み事なんて何もありませんってばぁ。私はいつも明るく朗らかがモットーで」
「そんな簡単な嘘を見抜けない私だとでも思って? 自慢じゃないけど今の私は全ての感覚が研ぎ澄まされているのよ。さあ話して楽になりなさい。そしてお供え物を出すのよ」
「ううっ、ほんとにほんとに何もないですって」
「さあ。さあさあさあ」
全てお見通しだぞ──という巫女の気迫に耐え切れず、白状させられる。ああ。思えばこれが最悪の引き金だったのだが。
「じ、実はですね。最近、その、ちょっとだけ……太ってしまいまして。なんとか痩せたいなあ……とか…その…」
「──────」
「そう」
ぽつりと霊夢はつぶやいた。穏やかな返事であった。
仰向けに倒れた姿勢は変わらない。ただ、その両の目からは涙が零れていた。
涙は大きく筋を作り、川となって滂沱と地に吸い込まれていく。
「れ、霊夢さん!?」
「神は死んだ。今私はそれを実感したわ」
突如、濠っと風が巻き起こり、ゆっくりと霊夢の体が宙へと浮いていく。
「このまま朽ちていくのなら、それもまた良しと、静かに受け入れようと思った。
だが、同じく神に仕えるもう一人の巫女は幸せを謳歌し、かたや貧困に喘ぐ現実。
挙句、恥知らずな巫女は言うに事欠いて、栄養が余って仕方が無いだと!? ──くれ!」
「だから言いたくなかったのにー!? あと巫女って言っても仕える神が違うし、そもそもウチの八坂様はまだ生k」
「生死の境を彷徨う者に対しての余りに舐めた緑巫女の態度に、私の怒りは天元を突破したわ。
それに少し前に会った奴は言っていた。『巫女は食べてもいい人種』だと。
さあ覚悟はいい? 私はできてる」
「頼むから落ち着いて!? ほら、来週は宴会だって言ってたじゃないですか!?
いや、こうなったら明日にでも開きましょう! そこでお腹一杯食べましょう!? ね、霊夢さん!?」
「──貴様には、わかるか!? この私の悲しみが!?
畑に植えて月日を待てば、その何倍にもなって実りが返って来るとわかっているのに
その日の飢えに耐えられず、その種すらをも口にしなければならなかった、この私の悲しみが!
口の中に広がる青い苦味と、僅かな栄養と、未来への絶望と悲哀の感触が!!
こんなにも苦しいのならば! 神などいらぬ! 明日への希望などいらぬ!
想像を絶する深い悲しみが私を覆い、今、ここに博麗の究極奥義は再び開眼する──
夢 想 天 生
」
最早聞く耳持たず。
だうーん。といつものスペル音と共にラストワードが展開される。
何か間違った方向に人生のラストスパートを開始した霊夢の姿はまさに幽鬼もかくやといった所。
究極奥義とか言ってるし、どうやっても勝てる気が全くしないので、早々に早苗は離脱しようとしたが──
「ちょ──!? スペルカードを展開しながら、更に全方位の二重大決界でフィールド固定!?
何この人、才能の無駄遣いにも程がある!?」
「知らなかったのか? ──本気の博麗からは逃げられない」
ゆらりと残像を残しつつ移動を始める霊夢の前に早苗はなす術などなかった。
今まで、宴会でたまに会う妖怪達が「博麗の巫女は本当に恐ろしい、絶対に歯向かってはいけない」などと
半ば本気で言っているのを聞いてはいたが、実際一度ボコボコにされた時でさえも、
正直そこまで怖いものとは思わなかったのだ。
だが、ここでその誤りを知ることになる。あれは対人間という補正すらかかっていたのだと。
そして『退治』いや『捕食』されそうになっている今、本気で霊夢が恐くて仕方が無い。
ぶっちゃけ泣きそう。
「こ、こうなったら──私も守矢の巫女です! 座して死を待つよりは──ってえええ?
何で当たり判定ないの!? 卑怯でしょう!? あまりに卑怯すぎる!!」
「悲しみを背負った私に、全ての攻撃など届かぬと知れ──前に、私の大切な最後の大福を食した
魔理沙に強制コンティニュー付きでコレを発動した時は、アイツは泣きながら200回ほどピチュり続けたわ」
ああ、魔理沙さん。何か今あなたに凄く親近感沸きました──じゃなく!
「ならば201回目には魔理沙さんはこれを破ったということですね!? 可能性は──ある!」
「いや、結局最後まで取れなかった」
「ダメじゃん──!?」
そして霊夢がいよいよ攻撃態勢に入る。ああ。八坂様。お別れの時が来たようです。
短い間ではありましたが、早苗はあなたと一緒で楽しゅうございました。
どうか健やかにお暮らしください。あと他の人にセクハラはほどほどに。捕まりますからね。
洩矢様。戸棚のポッキー、溶けないうちに食べちゃっていいですよ──
気分は既にまな板の上の鯉。半泣きと言わず全泣き状態で全てを諦めていた早苗だったが、
「あらあら。相変わらず飢えてるわねえ。霊夢」
今にも悲しみを負った高速札が飛んできそうというその瞬間、にゅろんっと見慣れぬ空間の裂け目から
導師服姿の誰かが乗り出してきた。あれは前に宴会で顔を合わせたことがある。確か──
「八雲、紫さん……?」
「他人行儀ねえ。『ゆかりん♪』でもいいわよ」
「い、いえ……じゃあ紫さんで…。でも、どうしてここに?」
荒ぶる鬼巫女を前に、そんなどうでもいいやり取りをしつつ、扇子を広げ口元を隠して笑う。
「ちょっと霊夢に用があってね。あんまり駄々こねそうならあなたでも良かったんだけど…。
まあ、あの様子なら素直に言うこと聞いてくれそうだし」
「──どこをどう見たらアレがそういう風に見えるんですか!? 節穴!? ねえ、貴方の目は節穴!?」
「いっぱいいっぱいねえ。もう少し慣れないと幻想郷(ココ)ではやっていけないわよ」
一通りうさん臭く笑うと、すぽんっと隙間から紫は身体を全部出した。扇子を閉じて霊夢へと向き直る。
「何よ、紫…。邪魔するって言うの? それなら容赦はしないわよ」
「そんなつもりはないけれど。もう少し落ち着きなさいな」
そう言うとなにやらゴソゴソと胸元から包みを取り出す。
「ほら、いいものあげるからそんな物騒なスペカしまっちゃいなさい。藍のお手製おにぎり。沢庵、おかか、梅干の3点セット」
「お、おお……くれるの…? ほんとに…? 実は全部ドッキリでした! おにぎりと思ったら文々。新聞の丸めたやつでした! とかじゃない…?」
「何を今更。貴方が飢えてるのを助けてあげるのは今に始まったことでもないでしょう。何か永夜の時を思い出すわねえ」
はい、と紫が包みを渡すと同時に、それまでの霊夢の鬼気がぽんっと嘘のように消える。
早苗は安堵の余りに思わずへなへなとその場に座り込んでしまった。
「その様子じゃしばらく何も食べてないんでしょう。しょうがないわね、ウチに来る? 今日は鍋にするつもりなのだけれど」
「紫、愛してる…! 行く行く、絶対行く! 鍋! 鍋! おっなーべ!」
また、にょろんっと出現した隙間に入っていく紫に、さっきまでが嘘のように、嬉々としてついて行く霊夢を呆然としながら見送る。
「ああ。そうそう。それ食べてからでいいんだけど。ちょっと地底まで行って欲しいのよね」
「行く行く、行っちゃうー♪」
二人を飲み込んでぷっつりと消えた空間を前に、いまだ呆然としながら──早苗はひとつだけ思う。
「……………………」
今、とても酷い餌付けを見た。
普通によくある話だけど小ネタ満載で爆笑しました。
すごく面白かったですw
面白かったです。
まあ簡潔に、巫女は足して二で割れば丁度いうわなにをするだぁやm(ピチューン
さまざまな所にちりばめられた小ネタに笑わしてもらいました。