タイトルを見てわかるようにこれは続き物です。
前回、前々回のものを見なくてもわかると思いますが、見たほうがわかりやすいと思います。
要するに早苗さんとフランとさとりという珍妙なトリオがいろいろ活躍する話です。
「ぶぁっくしょーんっ! ……あ゛ー」
ここ最近風邪をひいたのかくしゃみや鼻水が止まらない。目もしょぼしょぼするし、つらい。
「ふぁっくっしょーんっ!」
私だけでなく隣にいるさとりも風邪をひいているようである。お姉様や咲夜もひいてたし、はやってるのかな?
「ふぁ、ふぁ、ファンクションッ!」
「……何よ? そのファンクションって? ぺ、ぺ、ペプシッ!」
「あなたこそペプシって何かしら?」
あー、そっちから勝負を仕掛けてきたんじゃないか。こっちは苛々してるっていうのに。
こうなったら、
「か、か、カプサイシンッ!」
徹底抗戦だ。
「……この物語はフィックションッ! です。実在の人物、団体、事件などには一切関係ありません。本編とも全く関係ありません。むしろ凄い方向に捻じ曲がっています」
あー、そうね。
もう、いいや。飽きた。
「それより早苗は遅いなあ」
「私への反応はなしかしら?」
「心の中で対応したでしょ? それで十分じゃない?」
「いやっ、まあそうだけど……」
だいたいさ、こんな風邪ひいてる時に集合はないんじゃないの?
そりゃ、向こうは何にも知らないんだろうけどさ。
「遅れてすみません」
「「やっと……っ!?」」
早苗が来たと思ったらそこにいたのは……
マスクをつけて、サングラスだかゴーグルだかわからんような物を装備し、目玉の付いた帽子をかぶった怪しい人であった。
「「曲者めーっ!!」」
「ブベラーッ!!」
私とさとりが蹴りをいれたのは同時だった。
曲者は外まで吹っ飛び、起き上がってこない。
「ねえ、さとり。今の人何処かで見たことあるような服を着ていたけど」
「いえいえ、これでいいのよ」
「そうね」
「あの曲者は早苗に化けて私達に何かしようとしたのよ」
つかつかと曲者に近づくさとり。
「化けの皮を剥いでやるわっ!」
マスクやらなんやらをとるとそこにはっ!
早苗がのびていた……
「いきなり何するんですかっ!?」
あの後、すぐに目覚めた早苗は当然怒っていた。
「いやっ、変人がきたのかと思って……」
「見るからに怪しかったし……」
うんっ。あれはしょうがないね。
っていうかよくその格好で稗田のお屋敷に入れてもらえたな。
「服を見ればわかるでしょうに……」
いや、確かにそうかもしれないけど服なんて視界にはいらないから。あの状況では顔に視線がいっちゃうから。
「それより早苗。マスクしてたけどあんたも風邪?」
「え? 風邪なんてひいてないですよ」
「じゃあ、なんでマスクなんてしているの?」
「花粉症ですよ。いやー、幻想郷に来る時に対策グッズを持ってくるか悩んだんですけど、持ってきて正解でしたね。外の世界よりも酷いじゃないですか」
ん? 今聞きなれない言葉が聞こえたけど……
「「かふんしょう?」」
「えっ? 花粉症を知らないんですか?」
「「知らないわ」」
「幻想郷には花粉症は存在しないんですか? ……でも実際に私や他の人達もなってますし」
なんだろう? 花粉症って。
「阿求さんやーい。いつも心はきゅんきゅん、あっきゅんさんやーい」
……なに………それ。
「その呼び方やめてくれませんか」
若干、顔を赤らめた阿求が部屋に入ってきた。
「いいじゃないですか。かわいいと思いますけど」
「恥ずかしいですよ」
そりゃそうだ。
「花粉症って幻想郷にはないんですか?」
「かふんしょう? 聞いたことはないですね」
ふーん。阿求も知らないってことは外の世界のものなのかな。
「で、それはなんなの?」
「花粉症というのは、枯草熱ともいわれていて主に杉やブタクサの花粉によって引き起こされるアレルギーの一種です。くしゃみや鼻水、目の充血・かゆみなどが主な症状ですかね」
「「「あれるぎー?」」」
「……アレルギーも知らないんですか?」
「「「知らない」」」
「はぁ……。簡単に言うと、特に害もないのに体の免疫が勝手に異常反応を起こすんですよ。花粉症は花粉によってそれが起こるんですよ」
「「「へぇ~」」」
早苗って普段はボケボケのくせに妙なこと知ってるよなぁ。外の世界にいたからかな?
「でも変ですね……」
「何が?」
「今まで花粉症というものがなかったのなら里の人達が一斉に発症したのがおかしいんですよ」
「なんで?」
「いいですか? 花粉症とは一杯のコップと水に例えれます。コップに水を注いでいくといずれは溢れてしまうでしょう?」
「「「うんうん」」」
「この水が花粉で、水が溢れてたら発症です。コップの大きさは各個人で大きさがちがうので、大勢の人が同時に発症というのは考えにくいんですよ」
「ふーん」
これは……。もしかして。
「つまり、これは……」
「……異変。ですか?」
「そうなるかもしれないですね」
ふむ。異変かぁ。いつも霊夢たちがやってるやつかぁ。よーしっ!
「早速、行こうよっ!」
「どこにですか?」
「異変解決じゃないの?」
「……いやっ。私は遠慮しておきます」
「私もね」
早苗もさとりもやる気ないようだ。
こういうことには食い付きそうだと思っていたのに。
「いいんですよー、ほっとけば。霊夢さん達がテキトーに解決するんですからわざわざ私達が動く必要なんてないんですよ」
「そうそう。さっきの早苗の話だと花粉が原因なんでしょ? 外にでたら花粉を吸っちゃうじゃない。あの巫女に任せておけばいいのよ」
「……じゃあ、なんで呼び出したの?」
「にとりさんに頼んでおいたパーフェクト花粉症対策グッズのテストをするためですよ」
あー、あの暴走河童ね。
それにしても『パーフェクト』っていう言葉が頭につくと妙に不安になるのは私だけ?
「これです。テスト用なので私達三人分しかありません。このテストがうまくいけば商品化も考えています」
そう言って早苗が取り出した物は……
どっかの特殊部隊とかが持っていそうなガスマスクと色付きゴーグル、あと帽子。それに、全身が包めこめそうなマント。
……マントは必要か?
「花粉症対策の第一手は部屋に花粉を持ち込まないことっ! これ大事ネ」
口調変わってんぞ。
「さぁっ! 二人ともこれ等を装備するのだっ!」
私とさとりは顔を見合わせた。向こうは苦笑い、『しょうがないや』って顔をしている。
……一応着てみるか。
「お二人とも怪しいですー。なんだか今にも危険物処理とかしそうですよ」
おいっ! 笑っているけどあんたもだよ? あんたも同じ格好してるんだよ?
「それでは行きましょう」
「何処に?」
「この世の果てまでっ!」
結局、来たのは博麗神社だった。
「なんで、ここなのよ」
「霊夢さんにとっとと解決してもらうためですよ。あの人は自分から動こうとしないですからね。こっちから動かしてやらないと」
そうね、そうかもしれないわね。
「こんの賽銭泥棒がああああああああっ!」
「バハマーーーッ!」
「っ!?」
何事!?
いきなり陰陽玉が飛んできて早苗が吹っ飛んでいった。
「ぐっ……もう任務に入ってますよ。がくっ」
早n……ミラクルは力尽きた。
そうそう、任務中は『ミラクル』『クラン』『さとりーぬ』と呼び合うんだったね。
「あれ? なんだ早苗じゃない。そんな格好してるから賽銭泥棒かと思ったわ」
「あなたの神社の賽銭なんて盗んでもなんの得にもならないんじゃない?」
「……あんた、誰?」
「な、失礼なっ! 私の顔を忘れたっていうの?」
「だから、その顔が見えないんだって」
「……あっ」
そう言ってさとりーぬは顔を見せる。
「なんださとりか。ってことはそっちはフランね。あんた等も物好きねぇ~、こんな馬鹿な遊びをしてるなんて」
「万年縁側でお茶すすってるよりましだと思いますけどね」
あっ、ミラクルが復活した。
「お茶の何がいけないのよ」
「別にいけないとは言ってませんよ。ただ霊夢さんは飲みすぎなんですよ。カテキン中毒になってるんじゃないですか? 永琳さんに看てもらったほうがいいんじゃないですか? ついでに頭も」
「そんな変な格好してる人に言われたくないわ」
確かに。
「なんでそんな格好してるのよ」
「花粉症対策です」
「かふんしょう?」
「はいっ。霊夢さんもくしゃみや鼻水で困っているでしょう?」
「別にそんなことはないわね」
「……は?」
「え?」
「にゅっ?」
今なんつった? この巫女。
「なに゛いいいいいい!?」
「なんで? なんで? お姉様も咲夜も美鈴だってなってるのに」
「お燐もこいしも地上をほっつき歩いて帰ってきた時はひどいのに」
「え、ちょっと」
「はっ! まさか、カテキン効果? 霊夢さんがカテキンを取りすぎたから体内で超反応が起きてなんか凄いことが起きちゃった、てへっ。みたいなことになってるんですか?」
「いや、私に聞かれても……」
「あなたそれでも人間ですか? いやっ、生き物ですか?」
「……私は生き物で、人間よ」
「ならなんで?」
「知らないわよ」
許せん。この苦しみをあじわっていないとは。
「霊夢さんっ! あなたには」
「この異変を」
「速攻で」
「「「解決する義務があるっ!」」」
「なに? その無駄な息の合い方は?」
ふんっ。この苦しみから逃れれるなら誰とでも息を合わせる自信があるわよ。ましてやこの二人とはそれなりの付き合いがあるんだから息が合わないわけないでしょ。
「さあ、霊夢さん。今すぐに」
「この異変を」
「解決するために」
「「「旅立つのですっ!」」」
「だから、なんでそんなに息が合うの? 打ち合わせでもしてきたのっ!?」
あっ、そうそう。稗田家のお屋敷で一時間ほど……って違うわっ!
「だいたい、異変かどうかもわからないのになんで動かなきゃいけないのよ」
「何を言ってるんですか、里中大騒ぎですよ。花粉症パレードですよ」
いや、パレードではないだろ。
「ああっ、もう。うるさいわねっ! だったらあんた等三人で行ってきなさいよ」
「ぬぬぬ……」
「もう、面倒だから私達で行こうよ」
「そうよ。そうしましょうよ。こんなぐーたら巫女に任せていたらいつまでたっても収まらないわ」
早苗……ミラクルは少し考えてから、
「そうですね……そうしましょうっ! 私も自機の仲間入りをしたことですし、異変を解決しに行ってもなんら問題はありませんよね」
そうそう。
「さぁ、行きましょうっ! クラン、さとりーぬ、未知なる敵が私達を待っていますよ」
そう言って飛び立つミラクル。
「あっ、待ってよ」
「待ちなさい」
「行ってらしゃーい」
追いかける二人と見送る巫女一人。
さあ、その行く先に何が待っているのか……
当てもなく彷徨ってたどり着いた場所は、向日葵がたくさん生えているところだった。
「さて、ここに今回の元凶と思われる妖怪がいます。気をつけてください」
あれ? 心当たりあったの?
なんか誰の仕業かわからないみたいなこと言ってなかったっけ?
なんか恥ずかしっ! 当てもなくとか言っちゃたよ。
「さて、どこに……」
「きゃー、こわーい」
「バッハーーーーーッ!」
「「っ!?」」
ちっとも怖がっていないように聞こえる悲鳴とともにレーザーが飛んできて、ミラクルが吹っ飛んでいった。
……つーかあいつ大丈夫かしら。これで三度目よね?
「「誰っ!?」」
「きゃー、いやー。助けてー、こわーい」
「「あわわわわわ」」
いやっ、レーザー乱射しながら笑顔でそんなこと言われても……。
つーか、あんたの方が怖いよ。
「ちょっ、落ち着いて」
「クラン。あの妖怪は落ち着いてるわ。心の中では『なんか暇潰しになりそうなのがきたわ』とか思ってるわよ」
ああ、そうですか。
なら相手になってやろうかな。
「ちょっと待ったあああああああっ!」
「「「ん?」」」
あっ、復活した。
「え~、これから面白くなりそうなのに~」
「もしかしたら続きができるかもしれないので黙って話を聞いてください」
「は~い」
なんだ、こいつは。早n……ミラクルの知り合いかな。
「幽香さん。あなた、花粉をばら撒いたりなんかしてませんよね?」
「花粉?」
「そうです。今、里では花粉症パラダイスが発生しているんですよ。人間だけじゃなく妖怪も大変なんですよ」
「へ~」
「そこでっ! あなたが花粉をばら撒いてるんじゃないかと、霊夢さんからアドバイスをいただいた私達がここにきたんですよ」
もしもーし。霊夢はそんなこと言ってませんよねー?
「ふ~ん。私はそんなことしてないわよ。……てゆーかあなた達誰?」
え? 知り合いじゃなっかたの?
……あっ、そうか。このマスクのせいか。
「ほら、私ですよ」
ミラクルが防備をはずす。
「あら、妖怪の巫女さんじゃない。私のことを乱暴しに来た特殊部隊かと思ったわ」
「妖怪の山の巫女です。この『山』の一文字重要ですから。っていうか巫女じゃなくて風祝です」
「妖怪の風邪祝さん?」
「字がちがーうっ! あと『山』を間に入れてください。それだと私が人間じゃないみたいですから」
この妖怪何者? 早苗がツッコミいれてるの初めて見た。
「へー、春を伝えに来たのねー。あなたも大変ねー」
「春ですよー」
で? そこ、なにしてんの?
「いや、妖精が話しかけてきたから……頭の中は春だらけ」
「春ですよー」
ああ、そうですか。
「春ですよー」
わかったって。
「春ですよーっ!」
耳元で叫ぶなああああっ!
「そんなに叫ばなくても聞こえてるわよっ!」
「春ですよー」
「……あんた『春ですよー』しかしゃべれないの?」
「……春ですかー?」
……きかれた。
「バネですよー」
……スプリングってか? 全然うまくねえんだよっ! ただの駄洒落じゃねえか。
「春を伝える妖精ねえ。色々と回らないといけないんでしょ?」
「こっちも仕事なんでね」
あれ? 今普通にしゃべりおったよ。
「それじゃ、まだ回るところたくさんあるんで、これで」
「がんばってね」
「……」
妖精はふわふわと飛んでいった。
なにしに出てきたの?
「あなたももっと優しく接してあげないとだめじゃない」
そーですね。
「ちょっと、お二人とも何遊んでるんですか?」
「いや、春が来たんで」
「春のお知らせが…」
「? まあいいですけど、幽香さんの話ではどうやら無縁塚が怪しいそうですよ」
「無縁塚? なんでまた」
「っていうかよくあの妖怪が素直に教えてくれたわね」
「ああ、それでしたらビーフジャーキーで手を打ってくれましたよ」
ビーフジャーキーすごっ! そんなにおいしいか?
「それでは隊長。行ってまいります」
「ふふ。行ってらっしゃい」
隊長? いつのまに隊長なんて決まったの?
「あら? あなた達、隊長に対して何の挨拶もなし?」
なんでこいつもノリノリなの? 私、認めねーよ? ビーフジャーキーかじってる隊長なんて認めないよ?
「お二人とも敬礼っ!」
「「え? は、はい」」
あっ、つい敬礼しちゃったよ……
無縁塚って確か不安定で、結界も緩んでいて、何が起きるかわからない場所だって聞いたことがある。お姉様もあそこには行くなって言ってたけど、いいのかな?
「ここですね」
「ねえ、早苗。戻らない? あんまり行きたくないんだけど」
「私もいやな予感がするわ」
「何言ってるんですか。もう着いてしまいましたよ」
うわー、頼むから何事もおきないでよ~。神様、お願いしまーす。
……ってとなりにいるよ。この蛙蛇女も一応神だったけ? まがいなりにも神様ならお願いきいてくださーい。三百文あげるから。
「あっ、あれ。あの木。見るからに怪しいですよ」
蛙蛇女……もとい、早苗……もとい、ミラクルが指さした先には黄色い霧みたいなのがブワーッて出てる木だった。
「何? あの木。何? あの黄色いの」
「あの黄色いのが花粉ですよ」
「「へー、そーなのかー」」
いかん、妖怪『そーなのかー』の呪にかかってしまった。
「とりあえずあの木をふっ飛ばせばいいんですね」
ミラクルはにとり特製『ちょっとおちゃめなバズーカ砲』を構えた。
「何? どっからそんなの出してきたのっ!?」
「ふふ。『奇跡の力』です」
なんでも『奇跡の力』で説明できると思ったら大間違いだぞ。
私見ちゃったもんねー。後ろからスキマ妖怪がこっそりあんたにそれを渡してるの見ちゃったもんねー。
「クランっ! 空気を読みなさい」
うるさいよ。さとりーぬ、あんたも敵か?
「それにスキマ妖怪じゃないわ。愉快な愉快な狐さんよ」
あー、はいはい。どっちも同じじゃん。
「さて、ちゃっちゃと終わらせますか。にとりさんにニン○ンドー○Sの修理頼んでるんで」
もう、早くしてよね。
「「「っ!?」」」
その時、ひときわ強い風が吹き、私達の周りが花粉で囲まれた。
「なんですか、これは?」
「知らないわよ」
「あの木が攻撃してきたのかしら?」
あれ? 私、地面に立っていたはずなのに浮いてるよ。浮遊感を感じる。飛ぼうとしても飛んでるか浮いてるのかわからない。
「わあああああっ。早苗? さとり?」
隣にいたはずの二人もいつのまにかいない。
「え? え? なに、なんなの?」
周りは黄色の壁で覆われているみたいだ。
「くそう。こうなったら……」
私がこの壁を破壊しようと思ったその時、
『あなたに最後の希望を、私たちの記憶を託します』
声が聞こえた。
優しい女の人の声が聞こえてきた。
それと同時に目の前の景色が黄色から赤になった。どうやら小さな丘の上からの景色らしい。
村と思わしき集落は炎でつつまれ、周りの草木は燃えているかすでに灰になっている。
そして、目の前には怪我をした人やら妖怪と思わしき人影でいっぱいだった。
「なによ? これ」
『わし等はもうだめですじゃ。わし等が生きていた証としてあなた様には生きていてほしい。何百年も何千年もここでわし等を見守ってくれていたあなた様には』
今度は老人の声がした。
『では、巫女様。頼みますぞ』
『はい。では、できるかどうか……成功するかどうかはわかりませんが、あなたを別の世界に移します。……本当ならこの村ごとそうしたかったのですが、私の修行不足のせいかそれはできそうにありません。ですが……ですが、私達がここにいたという事実だけはなくしたくないのです。長い間ここで私達を見守ってくださったあなたなら私達のことを、私達がここにいたということを証明して……覚えていてくださるはずです。押し付けがましいようですが、私達からの最後の願いです。どうか叶えてください』
そう言って巫女は祈りを捧げ始めた。
「うっ」
巫女のかいた術式が光始め、目の前が白でつつまれ……
「あれ? ここは」
目が見えるようになったら、元の場所に立っていた。早苗もさとりもいる。
あれはあの木の記憶だったのだろうか。
外の世界だか全く別の世界だか知らないけど、あそこにいた人達にとって唯一つの希望なのだろう。
もしかして、この記憶を見せるためにこんなに花粉を撒き散らしていたのかもしれない。
私の頭の中にはつらい時だけじゃなく、楽しげにしている景色も見える。
「二人とも帰ろうか」
「え? 何言ってるんですか、まだあの木を倒してませんよ?」
「そうよ」
「ちょ、ちょっとあれを見てまだそんなこと言ってるの?」
「あれ? あれってなんですか?」
え? この二人はあの光景を見てないのかな?
そう考える間にバズーカを構える早苗。
「ちょっ、さとり。止めて」
「泊める? 馬鹿言うんじゃないわ。お燐は嫁入り前なのよ? 最近帰ってこないと思って霊夢にお礼を伝えにいったら、『知らないわよ』だってさ。じゃあ、何処に泊まってるの? お燐を誑かしたやつはどこのどいつだあああっ!」
知らんよ。
あっ、まじでやばい。
「早苗っ! やめてっ!」
「? どうしたんですか? そんなところにいるとあなたに当りますよ」
「いいから、私に当ててもいいからあの木には手を出さないで」
「「?」」
顔を見合わせる二人。
こっちを見てふと微笑むと、
「あっ、気付いたらこのバズーカ、弾が入ってないですね」
「え? 本当? それだめじゃん」
「弾取りにいかないといけませんね。ついでにニ○テンドーD○も引取りに行こう。そうすると続きが気になってるゲームがやりたいですね。気になって木なんて構ってられませんね。クリアするのは花粉の季節が終わるくらいですかね」
「あっ。私もパチュリーから借りた本の続きが気になるわ。本が読み終わるまで他のことに興味わきそうにないわね。読み終わるのはだいたい花粉の季節が終わるころかしら」
「え? 二人ともいいの?」
二人は後ろを向き、
「というわけですから、なんだか知らないですけどこの件はあなたに任せますよ」
「そうね。……あっ、早苗のところの神社にこいしがいるかもしれないからよっていっていい?」
「いいですよ~」
二人は飛んでいってしまった。
私は木を見る。
花粉はもう飛んでいない。
心なしか笑っているようにも見える。
大丈夫だろう。この件はもう解決だ。
「ちょっと、二人とも待ってよー」
とりあえず、あの二人にはあの木の話をしてやろう。それで、私だけ見れたことを自慢してやるんだ。
みょーに癒されるぜ。
→早苗に化けて
> それと同時の目の前の景色が黄色から赤になった。
→それと同時に
他にも日本語として微妙なところがかなりありました。
相変わらず勢いがあって面白かったです。
しかし、誰の台詞なのか判り難かったり、上のように言葉の使い方が荒っぽいというか
雑なのも相変わらずですね。
そこを気にしすぎる余り勢いが削がれるくらいなら今のまま突っ走ってほしいのですが、
ちょっとどうにかならんものか、とも思う訳で。