※星蓮船のネタばれを色々含みますのでご注意ください
早苗でございま~す。
そんなわけで東風谷です。風祝なんてやってます。
このたび、コインがゾロ目、且つ点数の十の位とあたいが一致したので宝船が現れたそうです。
あたいが一致ってあの氷の妖精さんが何かしたのでしょうか。
あたい違いって声が聞こえたと思いましたが、氷の精じゃなくて樹の精ですね、きっと。
ともかく、博麗神社の真の主?とか、そんな方から、調査隊募集のお触れが出ましてですね。
これは我が守矢神社の格好のアッピールの機会だと思ったわけで、我・即・挑の気概で応募してみたわけですよ。
霊夢や魔理沙に加えて、アリスさんやぶんぶん、398さんなど名うての面々が殺る気…もといやる気満々で応募していたらしく、凄い倍率になったようです。
でも、最終的に選ばれたのは霊夢魔理沙にこの私、早苗でございました。
いや~、奇跡を起こす程度の能力って、実に汎用性が高いですね☆
尤も、霊夢や魔理沙なんて奇跡も及ばないような補正がかかってるらしく、どんな状況でも当確らしいんですけどね。
それに比べたら私なんて可愛いものですよ。
まぁ何はともあれ、栄えある調査隊に選ばれたわけですから、ここは頑張りどころです。
出立は一週間後ですが、それまでに可能な限り今回の件に関して調べておく事にしましょう。
何せ後の二人はずっと現役、経験が圧倒的に違います。その差を埋めるためには知識で対抗するしかありません。
さぁ、頑張っていきましょう!
「おーい、遅いぞ早苗。待ちくたびれたぞ」
「まだ出発5分前じゃないですか。霊夢はまだ来てないですし」
早速魔理沙に絡まれました。
遅刻してるわけじゃないんですからいいじゃないですか。
「あいつは30秒前には来るから大丈夫だ。大体お前は今回初めてなんだから最初に来て待ってる位でいいんだよ」
「魔理沙はどうか知りませんが、乙女は色々と準備があって大変なんですよ」
「ちょっと待て。まるで私が乙女じゃないような言い方じゃないか。どこをどう見たらそう見えるんだ」
「主に首から下且つ腹部より上の部分辺りですか?」
「神は死んだ!これは酷い格差社会だ!是正を要求するぜ!」
あ、結構深刻な悩みだったんでしょうか。悪い事をしてしまいました。
落ち込んでるようなのでやさしく包み込んで慰めてあげましょう。
「大丈夫です。女の価値は胸だけじゃありませんよ」
「そう言いながら背中に押し付けてるそれは何だ!」
「あててんのよ♪」
「滅んでしまえ!こんな世界なんか必要ないんだ!」
「ごめんなさい、一回言ってみたかった台詞なんです」
魔理沙を解放するものの、先ほどより激しく落ち込んでます。
出立前なのにここまでテンション下がってしまうと色々と問題ある気がします。
例えるなら脱力*10?
奇跡が使えるなら3回でほぼ回復できるんですけどね。コストも40と超お得です。
近頃は円高の影響でコスト2.5倍だったり燃え上がる魂の力が衰えていたり、挙句の果てにリストラされていたりと踏んだり蹴ったりですが。
脱線しました。
とにかく魔理沙を慰めない事にはどうにもなりません。
色々ぶつぶつ言ってるようなので、まずはその愚痴を聞く事からはじめましょう。
「私だってなぁ、今回の調査に当たって衣装を新調したりしたんだぞ。ちゃんと乙女なんだぞ…」
衣装ですか。
確かに新たな境地を開拓しようとしたようです。
その努力は認めます。
認めますが……。
「でも"M"はないような……うーん、やっぱりないですよ」
「なんでだよ!魔理沙だからM!ワンポイントでさりげなく、且つ重厚なアピールをするにはうってつけじゃないか!」
なるほど。魔理沙的にはそうなんですね。
でも、私からしてみれば。
「そうだったんですか。てっきりマゾの"M"かと。私は魔理沙はSの方だと思ってたんですけど」
「違うから!私マゾ違うから!誰がどう見てもこれは魔理沙のMだってば」
「ジンバブエのインフレ率歩譲ってそうだとしても、その"M"、どう見てもワンポイントでもさりげなくもないですよ。目立ちまくりです」
「いちいち引用符且つ全角で強調するな!そもそもジンバなんとか歩って何歩なんだよ!よくわからんが、全然譲歩されてる気になれないのは何故だ!」
「信じられないくらい譲歩してるんですが、お子様にはきっとわからない世界なのです」
「うわーん!霊夢助けてー!早苗がいじめるー!!!」
あ、泣いちゃいました。
慰めてるはずがどうしてこうなったんでしょう。
って、いつの間にか霊夢も来てますね。
「ちょっと早苗、何で魔理沙がこんなに鬱陶しい事になってるの?」
「うーん、よくわからないです。きっと異変の一部なんでしょう」
「異変じゃない!異変だとしたらそれは早苗自身だ!」
「訳わからない事言ってるんじゃないの。さっさと離れなさいよ」
「も、もうちょっと心配してくれてもいいだろう!?」
ますます落ち込んでるように見えますが目の錯覚ですね、多分。
とりあえず全員そろった事ですし、そろそろ出発したいのですが。
「とりあえず行きませんか?魔理沙もきっと道中で立ち直るでしょうし」
「ま、こんな所にいつまでいてもしょうがないわね。ほら、魔理沙、さっさと行くわよ」
「うう……。世界は私に冷たいぜ」
確かにまだ冬から春への過渡期ですから寒いと思いますが、この中で一番厚着をしてる魔理沙がそれを言うのは根性無いと思います。
こんな事で大丈夫なんでしょうか。
まぁ、出発出発。
神奈子様と諏訪子様に頂いた敵感知蛇型光学兵器「スカイサーペント」と、広範囲蛙型爆撃グレネード「コバルトスプレッド」、どちらを使おうか迷ったのですが、今回は「コバルトスプレッド」を使うことにしました。
だって「スカイサーペント」のあの白いうねうねって…。
「どう見ても(rです。本当にありがとうございました」
「ちょ、早苗お前!」
「戦闘中に何口走ってんのよアンタは!」
ああ、うっかり口に出てしまいました。
でも、それくらい衝撃的だったんですよ、あの形。
「ごめんなさい。ちょっと神奈子様のセンスに疑問を抱いていたものですから」
「……なぁ、霊夢。やっぱり早苗自信も異変だと思わないか?」
「さっきはごめん魔理沙。私もそんな気がしてきたわ……」
ずいぶん酷い事を言われてる気がしますが、私は大人なので気にしません。
どの辺が大人かというと、主におっぱい的に。
それに、敵を撃ち落すのが予想以上に楽しくて大して気になってませんし。
次々と落ちていく妖精を見てると、ムスカ大佐の気持ちがちょっぴりわかった気がします。
うーん、そっちの道にはまってしまうのはよろしくないので少し自重しないといけませんね。
「おい、何だあれ。あれがもしかして宝船か?」
激しくも崇高な自己葛藤をしていたのに、魔理沙に現実に引き戻されました。
空気読めない人ですね。
「あのなんか丸っこくて色がころころ変わってる奴?そもそもあれ船なの?」
霊夢も何か見つけたようです。
仕方ないから私もその宝船とやらを観察してやりましょう。
確かに丸っこい形の物体がRGBに明滅しながらふよふよしてますね。あの形、アダムスキー型に近いような……。
「って、801先生じゃないですか!なんであんなのが幻想郷に!?」
「ん?早苗はあれを知ってるのか?」
「外の世界では超有名でしたよ、あれは」
無論、ガセネタとしてですが。
しかし、忘れ去られただけでなく、そもそも想像の産物でしかないものまで出てくるとは、幻想郷は侮りがたい所ですね。
この分ならツチノコとかも存在するんじゃないでしょうか。
「有名なのはいいけど、あれは何なんだ?思ったより小さいが回収したりしていいのか?」
「うーん、あれ自体はお宝に見えないけどね。早苗は知ってるんでしょ?あれ集めてもいいものなの?」
知るわけ無いじゃないですか。実在したものじゃないんですし。
まぁ、よくわからないものに不用意に近づくのは危険ですから、ここは穏便に解決しましょうか。
「蛙符!『ケロちゃん大爆発!』」
これぞ本邦初後悔!
もとい初公開!
諏訪子様の力を借りたスペルカードです。
名前が微妙に違っていたような気がしますが、ちゃんと発動しているので問題ないです!
白光に包まれた視界が回復した後には、消えうせた弾、妖精達と、なぜかちゃっかり残ってる801先生。
「ちょっと、いきなりスペカなんて乱暴な事しないでよ!びっくりするじゃない!」
「そんな事は問題ではありません!よく見てください、霊夢。あれだけの爆発にも限らず奴は無傷です。つまり強敵!近寄るべからずでさっさとトンズラーが最適解です!」
「そうか?むしろ今ので安全性が確認できたと思うんだが…」
「何言ってるんですか魔理沙!危ない人について言っちゃ駄目って教わらなかったんですか?さっさと無視していくのが正解なんです」
「わ、わかったから引っ張らないでくれ!」
そういうと大人しくついてくる霊夢と魔理沙。
最初からそういう風に素直にしているのがこの世知辛い世の中を生き抜くための知恵なのですよ。
一つ賢くなりましたね。
わざわざ教えてあげる私は偉い!
「なぁ、霊夢…。点やPもスペカの影響受けないよな?やっぱりあれってその手のものと一緒なんじゃないか?」
「私もそう思うけど、早苗はあれを知ってるみたいだし…」
「それともう一つ。危ない人について行っちゃ駄目って言ってるが、私ら早苗についていってもいいのか?」
「……言わないで。考えないようにしてたんだから」
そんなこんなで、ボス戦です。
いつもはボス側だったのでとても新鮮でいいですね。
もちろん、事前の準備は怠ってません。ボスに対する傾向と対策はばっちりです。
これでも外の世界では秀才な早苗ちゃんで通っていたんですから、その辺抜かりはないです。
事前情報によるとこのボスはねずみの妖怪。
ならば取る手段はおのずと決まってきます。
「出たな偽ミッ○ー!夢の国を侵害する(著作権的に)輩は抹消されるがいいのです!」
「ちょ!○ッキーって、せめてミ○ーにしてよ性別的に!と言うかやめてお願いその名で呼ばれるとほんとに消される可能性あるからマジやめて!」
「ふふふふ、無駄ですよ!権利符!『夢の国チキンレース』!」
符って言ってますけど取り出したるはケータイ。
カメラでカシャッと撮影完了です。
「ななななにその不吉な名前のスペカは!というかカードじゃないし!今何やったの!?」
「大したことじゃないですよ。夢の国管理部に貴方の写真を送っただけです」
「やーーーーめーーーーーーてーーーーー!!!!!!私死ぬ!消されちゃう!」
「大丈夫ですって。スペルブレイクすれば無効化できるんですから」
「ど、どうやってやるの!?お願い!教えてよ!」
「……あー。ボス側ってブレイクできないんでしたっけ」
「おま!スペルカードは平和的に解決するための手段でしょ!なんでいきなり死の恐怖を味わわないといけな…ちょ、誰あなた達!ちがっ!私あなた達に喧嘩売るつもり0だから!これは生まれつきであって好き好んでこういう格好してるわけじゃ…やめて!いやっいやーーーーーーっっっ!!!!!!」
……あらら、連れてかれちゃいましたね。
「うーん、やっぱり1ボスには辛いスペルだったんですかねー」
「待て。今のはスペカじゃないだろ!と言うか何やったんだよお前」
「いや、天敵っぽい人たちを召還しただけなんですけどね」
「どうやって!なんかどう見ても幻想郷の人間じゃなかったわよ!?」
「えっと……奇跡って凄いですよね」
ほんと便利な能力です。
幻想郷に入ったときに神社の神主から頂いた能力らしいですが、とても感謝しています。
今度お酒もってお参りに行きますね。
「開き直りやがった!」
「というか、名前も知らないさっきの妖怪一体どうなるのよ」
「多分アカデミーな事に貢献するんじゃないんでしょうか」
「霊夢やっぱりこいつ危険だ!こいつを倒してもう -完- にしてしまおうぜ!」
今日の魔理沙は凄く興奮しやすいです。
血圧上げまくると後々よくないですよ?
「落ち着いてください魔理沙。流石にあんな裏技みたいなのはもう使えませんから」
「信用できるか!」
「霊夢ならわかりますよね?巫女の勘で私が嘘ついて無いって事が」
「……確かに嘘ついてる感じじゃないのよね」
「霊夢まで!?」
「そうでしょう?実際嘘ついてなんかいませんから。そもそも宝船を探す邪魔をした妖怪を倒しただけじゃないですか」
「とりあえず、次は私か魔理沙が戦うわ。あんたは手を出さないで。いい?」
「前向きに検討いたします」
「……全然善処する気が無いように聞こえるのは気のせいなのか?」
きっと空耳ですよ。
さて、順調に1ボスも突破した事ですし、この調子で宝船ゲットです。
「さぁ、二人ともこのまま快進撃で行きましょう!」
「どっちかと言うと痛恨撃の気がするぜ…」
「今回エントリーしたの早まったかしらね…」
----------------------------------------------------
少女達祈祷中…
----------------------------------------------------
「さて、概ねたいしたイベントもなかったのでさっくりと2ボスです」
「早!いくらなんでも略しすぎよあんた!」
「そろそろ突っ込むのも疲れてきたぜ…」
概ね問題ないのでいいのです。
そんなわけで2ボスです。
とっても可愛らしい唐傘お化けの妖怪さんです。
お化けなのか妖怪なのかはっきりして欲しいです。
「早苗、さっきも言ったけどこいつは私達で相手するわよ。あんたは見学してなさい」
「前向きにお断りいたします。既に私には秘策が用意されているのですから」
「おい!さっき前向きに検討するって言ってただろうが!」
「ええ、ですから前向きに検討した結果、私が相手をするのがベストと判断したのです」
「霊夢やっぱりこいつ駄目だ!取り押さえてでも止めた方がいいぞ」
「遅すぎます!無謀!『子供と大人の空隙』」
宣言と同時にホイッスル。
やっぱりカードじゃないですけど気にしたら負けなのです。
打ち合わせどおり現れたるは、八雲さん家の紫さんと風見さん家の幽香さんです。
「ちょ、ちょっとなんであんたらが出てくるの!?大体何よそのスペカかどうかも怪しい宣言は!」
「おい、お前ら今回はエントリーすらしてなかっただろ!しかもミニスカとか年を考えろ年を!」
酷い言われようですが、お二人は軽く受け流しにっこり笑います。
神奈子様なんかと同じ、大人の余裕って奴ですね。素敵です。
「そこの可愛い風祝さんに誘われたのよ」
「私達の魅力を皆に広める機会があるってね」
その通りです。
ただでさえ人外レベルの美しさを持つお二人をさらに引き立てる方法があるのです。
そのお二人に見惚れてる隙に相手を叩く。
完璧な作戦ですね!
「お二方お願いします!その魅力であの妖怪の動きを止めてしまってください」
お二方が動き出します。
っと、私も見惚れてたら意味ないですから、残念ですけど両目を塞いでおきます。
「……お、お前ら!一体何をする気だ」
「っ!!や、やめなさい!そんなことしたら何が起こるかわか」
―― 2009年 世界は核の炎に包まれた ――
目を開けたら辺りは焦土でした。
……あれ?
一体何が起きたと言うのでしょうか。
とりあえず辺りを探ってみると、割と近くに霊夢と魔理沙らしき人影が埋まっていたので引っ張り出す事にします。
「ぶはっ!はぁ、はぁ、死ぬかと思ったぜ…」
「こんな情け無い死に方したら歴代の博麗に申し訳が立たない事だったわ…」
「二人とも大丈夫ですか?一体何が起こったんです?」
「何がだと!?お前こそあの二人に何吹き込んだんだよ!」
「はぁ。あの唐傘の妖怪さん、出たばっかりなのにやけに人気があるじゃないですか」
「知らないわよそんなの!どこの世界の話よ!」
「そんなわけで、お二人には、生足出して片目瞑ってべろ出すと人気出ると思いますとお伝えしただけです。傘は持ってるようでしたので」
「おま……なんて恐ろしい事を!あのババァどもにそんなことさせたら世界が崩壊するに決まっているだろう!」
「そんな大げさな。美しい大人の女性が見せる子供らしい仕草はアンバランスなギャップとなって激しい萌えを湧き起こすものじゃないですか」
「何そのありえない想定!あんた、神奈子が同じようなことした所を想像してなさい!どう思うのよ!」
神奈子様がですか?
傘を持って生足出して片目を瞑ってべろを出した神奈子様……。
「素敵です!神奈子様の新たな一面が発見できました!不遜ながら萌えてしまいました!」
「だ、だめだこいつ!価値観が根底から違ってる!」
「常識に捉われていてはいけないのですよ」
「少しは捉われなさい!とにかく!あの二人がバカやったせいでこうなったのは事実でしょ!それ以外にこんな惨状引き起こす何かがあるって言うの!?」
「えっと……奇跡って凄いですよね」
「また開き直りやがった!霊夢やっぱりこいつ始末しよう」
「まぁまぁ、落ち着いてください。結果を見ればちゃんと2ボスも倒せたじゃないですか」
っと、辺りを見回すと気づいた事がありました。
「そういえばあのお二方、もう帰られたんでしょうか。用が済んだら即退散とは、なんて奥ゆかしい方達なんでしょう」
「あいつらに限ってそんなわけあるか」
「どうせお互いの姿を見てあまりの酷さに自爆したんでしょ」
そんなにひどいかなぁ。想像しても素敵な姿しか思い浮かばないんですが。
ま、もう過ぎてしまったことです。
ごーとぅーねくすとすてーじです。
「なぁ、霊夢。もう帰っていいか?」
「我慢しなさい!こいつをほっといたら何仕出かすかわかったものじゃないでしょう」
「うぅ…。結構楽しみにしてたのになんでこんな事に…」
「私だって泣きたいわよ…」
----------------------------------------------------
少女達、一部を除いて後悔中…
----------------------------------------------------
「そんなわけで3ボスです!」
「もう突っ込むのやめるぜ…」
「いい加減疲れたわ…」
何故か霊夢も魔理沙も元気がありません。
戦ってるのはほとんど私なのにどうした事でしょう。
寝不足かなんかだとしたら、乙女としてあるまじき行為です。若いと言えどすぐに肌荒れとかしますしね。
さて、3ボスです。
見た目は尼さん+メイドさんを2で割ったような感じですが、事前の情報によるとなんとまぁガチンコファイト大好きっ娘と言う事で。
人間、見た目で判断できないものですね。人間じゃないですが。
「……で、あいつにはどう対処するつもりなの?」
「これまでのような搦め手は使いません!正々堂々と正面から撃破します!」
「そう。適当に頑張って頂戴」
「お、おい、霊夢!この期に及んで早苗に任せてしまっていいのか?」
「あんた、ここで駄目だって言ってあいつを止められると思う?私達はせめて自分達に被害が出ないように立ち回るしかないのよ」
「く…くそっ!熟練者の私達が新参にいいように引っ掻き回されるとは」
むぅ。
だんだんとお二人の物言いが酷くなってる気がします。
そもそも、私と一緒に攻撃すればもっと早く対処できるんですからそうすればいいと思うんですけど。
「とりあえずやっちゃいます!用心棒!『センセイデバンデス』」
宣言と同時に拳を突き上げます。
カード?
何の事だかわかりません。
ともかく、それを合図に二つの影。
大江山の英雄、萃香さんと勇儀お姐さんです!
「もはや聞くのも馬鹿らしいけど、どうやってあの二人をここまで連れてきたの?奇跡以外の言葉で説明してくれる?」
「えっと……ミラクルって凄いですよね」
「ほんとに聞くだけ馬鹿だったな…」
馬鹿じゃないです!
私成績よかったんですよ。委員長までやってたくらいですから。
「早苗ー。ホントにあいつなの?あんまし強そうに見えないけど」
「折角地上まで来たんだ。肩透かしはやめてくれよ」
「大丈夫です!ああ見えても殴り合いが好きだってことは事前の調査でわかりきってます。さぁ、そこの貴方!今からこのお二方と拳で語り合ってください!そして友情を育むといいのです!」
「ちょちょちょちょ、何勝手に話し進めてるのよ!私はそんな暑苦しいのごめんよ!」
指を突きつけると、なぜか大慌てになる尼さん。
あれ、この手の方達って肉体言語によるコミュニケーション大好きだと思ってたんですが違ったんでしょうか。
「って言ってるがどういうこと?話が違うようだけど」
「そんなはずはないですよ。だってあの方、スペルカードに地獄突きとかサンドバッグとかげんこつだとかフックだとかそういう単語ばかり使ってますよ。殴り合い大好きなんですよ」
「そ、それは雲山がやるんであって、私じゃないの!私はか弱い乙女なのよ!」
「ふーん、じゃあその雲山って奴呼んできてくれないかね。久しぶりにお天道様の下でやり合ってみたいしさ」
「い、言われなくとも!拳打!『げんこつスマッシュ』!」
宣言と同時に雲が集まって形作られていきます。
わー、入道雲って本当に入道だったんですね。
雲山さんでしたっけ。とっても大きいです。
「おおー!こいつは壮観だね!久々に気合入れてやれそうだよ」
「早苗だっけ。疑ってすまなかったな。遠路はるばるやってきた甲斐があったよ」
お二方にも喜んでいただけた様嬉しいです。
私も鬼の信仰ゲット!
うぃんうぃんの関係ですね!
どうでもいいですがうぃんうぃんってなんかえっちな響きです。
「さて勇儀、これだけの相手なんだからちょっと気合入れようか」
「そうだね。こういうのも久々だから体に活を入れないとね」
言うや否や力を込め始めるお二方。
大気が震え、すさまじい風が巻き起こってきてます。
なんというか、神の風をスペルカードなしで発動してるような?
私も飛ばされないように必死です。
「まるで台風ですね…」
「台風ってなんだよ……!ったく、あいつらもう少し手加減ってものをだな!」
「そもそも正々堂々じゃなかったの?あんた他人の力借りてばっかりじゃない!」
「あら、あの方達にとってみれば正々堂々、真正面からのぶつかりあいですよ?」
「……もういいわ。そういうことにしておくわ…」
そうこうしてる間にも風は強くなっていき。
「「破ァ!」」
気合一発!
今度はものすごい突風。
それこそ、周りにあった雲が全部吹き飛んでしまうほどの。
SPELL BREAK!!
……あれ?
「く、雲山!?雲山が消えちゃった!」
あ、そういえば雲山さんって雲でしたっけ。
「ありゃ?さっきのでっかいのいなくなっちゃったよ?」
「一緒に吹き飛んだか?こりゃ参ったね。おい、あんた。もう一回さっきの呼び出してくれるか?」
「無理に決まってるでしょ!雲全部吹き飛ばされちゃったんだから!」
「おいおい、ここまで盛り上がっておいてそれは無いだろう。今すぐにでも始められる状態になったと言うのに」
「私も酒抜くまで気合込めたのにね。しょうがないからあんたでいいや。楽しく殴り合おうよ」
そういって拳を突き出す萃香さん。
見た目は諏訪子様と大差ないのに貫禄十分です。
やっぱり、伊達に長生きしてないって事でしょうか。
「STOP!待って!鬼なんかに殴られたら一発で千切れ飛んじゃうわよ!ちょっと考え直して頂戴!」
「いやー、大丈夫大丈夫。後ろの連中なんか人間の癖に私と殴りあいした事あるんだよ。あんた妖怪なんだから平気だって」
「なんだ、萃香はそんな楽しい事やってたのか。今度は私も混ぜてくれよ」
「冗談言うな!あんな面倒な事二度とごめんだぜ!」
「とりあえず、あんたらは目の前の妖怪相手に殴り合いでもしてなさい。こっちを巻き込まないで!」
あ、霊夢と魔理沙が非情になった気がします。
尼さん、顔色が服と同じ感じになってますね。
具体的には青と白。
「お、霊夢たちのお墨付きも出たようだね」
「それじゃまぁ、いっちょはじめようか」
「無理よ無理無理無理無理!私は普通の妖怪!そっちのバケモンみたいなのと一緒にしないで!」
「霊夢はともかく魔理沙は普通の人間だよ。でも耐えられたから大丈夫だって。それじゃちょっと裏まで行こうか」
「いや!やめて!ちょっと、あんたたち!その鬼達止めてよ!お願いだから!いやー!痛いのはイヤーーーーー!!!!」
またまた連れて行かれちゃいました。
お持ち帰り~は最近のトレンドなんでしょうか。
なんとなく体育館らしき建物が見えたのは気のせいだと思います。
うーん、青春ですね。
「ちょっと予定と違っちゃいましたが終わりよければ全てよし!万事往来ですね」
「押し付けておいてなんだけど、あの妖怪大丈夫なのかしら…」
「ま、まぁなんだかんだで萃香達は常識持ち合わせてるから酷い事にはならんだろう」
「あの方の無事を祈って合掌しておきましょう」
「「お前が言うな!!!」」
酷いです。
祈りを捧げるのに資格も何も無いと思うのですが。
ともかく、破竹の勢いとはこういうことを言うんですね。
新人にしてボス戦三連勝、どころか一度も攻撃すらさせてません。
将来有望株なのは間違いないですね!
「この調子で進んでいきましょう!予習はばっちりしてきましたからこの後もさくさく進めるはずですよ!」
「……こんなのが後最低3回は続くのかよ。もう帰りたくなってきた」
「私も。早苗、後はもうあんたで勝手にやっといてよ。私達帰るから」
「何言ってるんですか!何人もの応募者を蹴散らして今ここにいるんですよ!敵前逃亡だなんて許されるわけ無いじゃないですか!」
「いや、だって私達何もして無いぞ?全部お前がやってるじゃないか」
「気持ちの問題です!涙を呑んで貴方達に道を譲った方達の思いをないがしろにすると言うのなら、今ここでメイクミラクルしちゃいますよ!?」
「詰んだ!私達詰んだ!ほら見ろ霊夢!やっぱりさっさと始末しておくべきだったんだ!」
「やだ!おうちかえる!ゆかりー!!すきまでたすけてよー!!!」
「落ち着け霊夢!紫は既にあいつに潰されている!お前がそんな状態じゃあいつを倒す事すらできないだろう!」
「さぁ!どんどんどんどん行きますよ!遅れたら奇跡かけた状態で大量広域先制攻撃ぶっ放しますからね!」
「「たすけてーーーー!!!!」」
----------------------------------------------------
少女達、一部を除いて大後悔時代…
----------------------------------------------------
さーて、来週の早苗さんはー?
霊夢DEATH。いつものように軽い気持ちで異変解決に出かけたら、色々と酷いものを見せ付けられました。軽くトラウマになりそうです。
何事にも縛られない事を信条に生きてきましたが、常識だけは忘れないようにしようと固く心に誓いました。
さて次回は
「早苗さん、ついに御乱心!?」
「風祝の本気を見せてあげます!」
「世界を統べる蒼き東風」
の三本です。
ちょっと待って。
あいつあれでまだ本気じゃないの!?
来週もまた見てくだ……いや、見なくていいです。
出来れば休ませてください。
え?駄目?
じゃん!
けん!
ぽん!
ウヒヒヒヒヒヒ…ヒ…ヒヒ……ヒ………ひっく
早苗でございま~す。
そんなわけで東風谷です。風祝なんてやってます。
このたび、コインがゾロ目、且つ点数の十の位とあたいが一致したので宝船が現れたそうです。
あたいが一致ってあの氷の妖精さんが何かしたのでしょうか。
あたい違いって声が聞こえたと思いましたが、氷の精じゃなくて樹の精ですね、きっと。
ともかく、博麗神社の真の主?とか、そんな方から、調査隊募集のお触れが出ましてですね。
これは我が守矢神社の格好のアッピールの機会だと思ったわけで、我・即・挑の気概で応募してみたわけですよ。
霊夢や魔理沙に加えて、アリスさんやぶんぶん、398さんなど名うての面々が殺る気…もといやる気満々で応募していたらしく、凄い倍率になったようです。
でも、最終的に選ばれたのは霊夢魔理沙にこの私、早苗でございました。
いや~、奇跡を起こす程度の能力って、実に汎用性が高いですね☆
尤も、霊夢や魔理沙なんて奇跡も及ばないような補正がかかってるらしく、どんな状況でも当確らしいんですけどね。
それに比べたら私なんて可愛いものですよ。
まぁ何はともあれ、栄えある調査隊に選ばれたわけですから、ここは頑張りどころです。
出立は一週間後ですが、それまでに可能な限り今回の件に関して調べておく事にしましょう。
何せ後の二人はずっと現役、経験が圧倒的に違います。その差を埋めるためには知識で対抗するしかありません。
さぁ、頑張っていきましょう!
「おーい、遅いぞ早苗。待ちくたびれたぞ」
「まだ出発5分前じゃないですか。霊夢はまだ来てないですし」
早速魔理沙に絡まれました。
遅刻してるわけじゃないんですからいいじゃないですか。
「あいつは30秒前には来るから大丈夫だ。大体お前は今回初めてなんだから最初に来て待ってる位でいいんだよ」
「魔理沙はどうか知りませんが、乙女は色々と準備があって大変なんですよ」
「ちょっと待て。まるで私が乙女じゃないような言い方じゃないか。どこをどう見たらそう見えるんだ」
「主に首から下且つ腹部より上の部分辺りですか?」
「神は死んだ!これは酷い格差社会だ!是正を要求するぜ!」
あ、結構深刻な悩みだったんでしょうか。悪い事をしてしまいました。
落ち込んでるようなのでやさしく包み込んで慰めてあげましょう。
「大丈夫です。女の価値は胸だけじゃありませんよ」
「そう言いながら背中に押し付けてるそれは何だ!」
「あててんのよ♪」
「滅んでしまえ!こんな世界なんか必要ないんだ!」
「ごめんなさい、一回言ってみたかった台詞なんです」
魔理沙を解放するものの、先ほどより激しく落ち込んでます。
出立前なのにここまでテンション下がってしまうと色々と問題ある気がします。
例えるなら脱力*10?
奇跡が使えるなら3回でほぼ回復できるんですけどね。コストも40と超お得です。
近頃は円高の影響でコスト2.5倍だったり燃え上がる魂の力が衰えていたり、挙句の果てにリストラされていたりと踏んだり蹴ったりですが。
脱線しました。
とにかく魔理沙を慰めない事にはどうにもなりません。
色々ぶつぶつ言ってるようなので、まずはその愚痴を聞く事からはじめましょう。
「私だってなぁ、今回の調査に当たって衣装を新調したりしたんだぞ。ちゃんと乙女なんだぞ…」
衣装ですか。
確かに新たな境地を開拓しようとしたようです。
その努力は認めます。
認めますが……。
「でも"M"はないような……うーん、やっぱりないですよ」
「なんでだよ!魔理沙だからM!ワンポイントでさりげなく、且つ重厚なアピールをするにはうってつけじゃないか!」
なるほど。魔理沙的にはそうなんですね。
でも、私からしてみれば。
「そうだったんですか。てっきりマゾの"M"かと。私は魔理沙はSの方だと思ってたんですけど」
「違うから!私マゾ違うから!誰がどう見てもこれは魔理沙のMだってば」
「ジンバブエのインフレ率歩譲ってそうだとしても、その"M"、どう見てもワンポイントでもさりげなくもないですよ。目立ちまくりです」
「いちいち引用符且つ全角で強調するな!そもそもジンバなんとか歩って何歩なんだよ!よくわからんが、全然譲歩されてる気になれないのは何故だ!」
「信じられないくらい譲歩してるんですが、お子様にはきっとわからない世界なのです」
「うわーん!霊夢助けてー!早苗がいじめるー!!!」
あ、泣いちゃいました。
慰めてるはずがどうしてこうなったんでしょう。
って、いつの間にか霊夢も来てますね。
「ちょっと早苗、何で魔理沙がこんなに鬱陶しい事になってるの?」
「うーん、よくわからないです。きっと異変の一部なんでしょう」
「異変じゃない!異変だとしたらそれは早苗自身だ!」
「訳わからない事言ってるんじゃないの。さっさと離れなさいよ」
「も、もうちょっと心配してくれてもいいだろう!?」
ますます落ち込んでるように見えますが目の錯覚ですね、多分。
とりあえず全員そろった事ですし、そろそろ出発したいのですが。
「とりあえず行きませんか?魔理沙もきっと道中で立ち直るでしょうし」
「ま、こんな所にいつまでいてもしょうがないわね。ほら、魔理沙、さっさと行くわよ」
「うう……。世界は私に冷たいぜ」
確かにまだ冬から春への過渡期ですから寒いと思いますが、この中で一番厚着をしてる魔理沙がそれを言うのは根性無いと思います。
こんな事で大丈夫なんでしょうか。
まぁ、出発出発。
神奈子様と諏訪子様に頂いた敵感知蛇型光学兵器「スカイサーペント」と、広範囲蛙型爆撃グレネード「コバルトスプレッド」、どちらを使おうか迷ったのですが、今回は「コバルトスプレッド」を使うことにしました。
だって「スカイサーペント」のあの白いうねうねって…。
「どう見ても(rです。本当にありがとうございました」
「ちょ、早苗お前!」
「戦闘中に何口走ってんのよアンタは!」
ああ、うっかり口に出てしまいました。
でも、それくらい衝撃的だったんですよ、あの形。
「ごめんなさい。ちょっと神奈子様のセンスに疑問を抱いていたものですから」
「……なぁ、霊夢。やっぱり早苗自信も異変だと思わないか?」
「さっきはごめん魔理沙。私もそんな気がしてきたわ……」
ずいぶん酷い事を言われてる気がしますが、私は大人なので気にしません。
どの辺が大人かというと、主におっぱい的に。
それに、敵を撃ち落すのが予想以上に楽しくて大して気になってませんし。
次々と落ちていく妖精を見てると、ムスカ大佐の気持ちがちょっぴりわかった気がします。
うーん、そっちの道にはまってしまうのはよろしくないので少し自重しないといけませんね。
「おい、何だあれ。あれがもしかして宝船か?」
激しくも崇高な自己葛藤をしていたのに、魔理沙に現実に引き戻されました。
空気読めない人ですね。
「あのなんか丸っこくて色がころころ変わってる奴?そもそもあれ船なの?」
霊夢も何か見つけたようです。
仕方ないから私もその宝船とやらを観察してやりましょう。
確かに丸っこい形の物体がRGBに明滅しながらふよふよしてますね。あの形、アダムスキー型に近いような……。
「って、801先生じゃないですか!なんであんなのが幻想郷に!?」
「ん?早苗はあれを知ってるのか?」
「外の世界では超有名でしたよ、あれは」
無論、ガセネタとしてですが。
しかし、忘れ去られただけでなく、そもそも想像の産物でしかないものまで出てくるとは、幻想郷は侮りがたい所ですね。
この分ならツチノコとかも存在するんじゃないでしょうか。
「有名なのはいいけど、あれは何なんだ?思ったより小さいが回収したりしていいのか?」
「うーん、あれ自体はお宝に見えないけどね。早苗は知ってるんでしょ?あれ集めてもいいものなの?」
知るわけ無いじゃないですか。実在したものじゃないんですし。
まぁ、よくわからないものに不用意に近づくのは危険ですから、ここは穏便に解決しましょうか。
「蛙符!『ケロちゃん大爆発!』」
これぞ本邦初後悔!
もとい初公開!
諏訪子様の力を借りたスペルカードです。
名前が微妙に違っていたような気がしますが、ちゃんと発動しているので問題ないです!
白光に包まれた視界が回復した後には、消えうせた弾、妖精達と、なぜかちゃっかり残ってる801先生。
「ちょっと、いきなりスペカなんて乱暴な事しないでよ!びっくりするじゃない!」
「そんな事は問題ではありません!よく見てください、霊夢。あれだけの爆発にも限らず奴は無傷です。つまり強敵!近寄るべからずでさっさとトンズラーが最適解です!」
「そうか?むしろ今ので安全性が確認できたと思うんだが…」
「何言ってるんですか魔理沙!危ない人について言っちゃ駄目って教わらなかったんですか?さっさと無視していくのが正解なんです」
「わ、わかったから引っ張らないでくれ!」
そういうと大人しくついてくる霊夢と魔理沙。
最初からそういう風に素直にしているのがこの世知辛い世の中を生き抜くための知恵なのですよ。
一つ賢くなりましたね。
わざわざ教えてあげる私は偉い!
「なぁ、霊夢…。点やPもスペカの影響受けないよな?やっぱりあれってその手のものと一緒なんじゃないか?」
「私もそう思うけど、早苗はあれを知ってるみたいだし…」
「それともう一つ。危ない人について行っちゃ駄目って言ってるが、私ら早苗についていってもいいのか?」
「……言わないで。考えないようにしてたんだから」
そんなこんなで、ボス戦です。
いつもはボス側だったのでとても新鮮でいいですね。
もちろん、事前の準備は怠ってません。ボスに対する傾向と対策はばっちりです。
これでも外の世界では秀才な早苗ちゃんで通っていたんですから、その辺抜かりはないです。
事前情報によるとこのボスはねずみの妖怪。
ならば取る手段はおのずと決まってきます。
「出たな偽ミッ○ー!夢の国を侵害する(著作権的に)輩は抹消されるがいいのです!」
「ちょ!○ッキーって、せめてミ○ーにしてよ性別的に!と言うかやめてお願いその名で呼ばれるとほんとに消される可能性あるからマジやめて!」
「ふふふふ、無駄ですよ!権利符!『夢の国チキンレース』!」
符って言ってますけど取り出したるはケータイ。
カメラでカシャッと撮影完了です。
「ななななにその不吉な名前のスペカは!というかカードじゃないし!今何やったの!?」
「大したことじゃないですよ。夢の国管理部に貴方の写真を送っただけです」
「やーーーーめーーーーーーてーーーーー!!!!!!私死ぬ!消されちゃう!」
「大丈夫ですって。スペルブレイクすれば無効化できるんですから」
「ど、どうやってやるの!?お願い!教えてよ!」
「……あー。ボス側ってブレイクできないんでしたっけ」
「おま!スペルカードは平和的に解決するための手段でしょ!なんでいきなり死の恐怖を味わわないといけな…ちょ、誰あなた達!ちがっ!私あなた達に喧嘩売るつもり0だから!これは生まれつきであって好き好んでこういう格好してるわけじゃ…やめて!いやっいやーーーーーーっっっ!!!!!!」
……あらら、連れてかれちゃいましたね。
「うーん、やっぱり1ボスには辛いスペルだったんですかねー」
「待て。今のはスペカじゃないだろ!と言うか何やったんだよお前」
「いや、天敵っぽい人たちを召還しただけなんですけどね」
「どうやって!なんかどう見ても幻想郷の人間じゃなかったわよ!?」
「えっと……奇跡って凄いですよね」
ほんと便利な能力です。
幻想郷に入ったときに神社の神主から頂いた能力らしいですが、とても感謝しています。
今度お酒もってお参りに行きますね。
「開き直りやがった!」
「というか、名前も知らないさっきの妖怪一体どうなるのよ」
「多分アカデミーな事に貢献するんじゃないんでしょうか」
「霊夢やっぱりこいつ危険だ!こいつを倒してもう -完- にしてしまおうぜ!」
今日の魔理沙は凄く興奮しやすいです。
血圧上げまくると後々よくないですよ?
「落ち着いてください魔理沙。流石にあんな裏技みたいなのはもう使えませんから」
「信用できるか!」
「霊夢ならわかりますよね?巫女の勘で私が嘘ついて無いって事が」
「……確かに嘘ついてる感じじゃないのよね」
「霊夢まで!?」
「そうでしょう?実際嘘ついてなんかいませんから。そもそも宝船を探す邪魔をした妖怪を倒しただけじゃないですか」
「とりあえず、次は私か魔理沙が戦うわ。あんたは手を出さないで。いい?」
「前向きに検討いたします」
「……全然善処する気が無いように聞こえるのは気のせいなのか?」
きっと空耳ですよ。
さて、順調に1ボスも突破した事ですし、この調子で宝船ゲットです。
「さぁ、二人ともこのまま快進撃で行きましょう!」
「どっちかと言うと痛恨撃の気がするぜ…」
「今回エントリーしたの早まったかしらね…」
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少女達祈祷中…
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「さて、概ねたいしたイベントもなかったのでさっくりと2ボスです」
「早!いくらなんでも略しすぎよあんた!」
「そろそろ突っ込むのも疲れてきたぜ…」
概ね問題ないのでいいのです。
そんなわけで2ボスです。
とっても可愛らしい唐傘お化けの妖怪さんです。
お化けなのか妖怪なのかはっきりして欲しいです。
「早苗、さっきも言ったけどこいつは私達で相手するわよ。あんたは見学してなさい」
「前向きにお断りいたします。既に私には秘策が用意されているのですから」
「おい!さっき前向きに検討するって言ってただろうが!」
「ええ、ですから前向きに検討した結果、私が相手をするのがベストと判断したのです」
「霊夢やっぱりこいつ駄目だ!取り押さえてでも止めた方がいいぞ」
「遅すぎます!無謀!『子供と大人の空隙』」
宣言と同時にホイッスル。
やっぱりカードじゃないですけど気にしたら負けなのです。
打ち合わせどおり現れたるは、八雲さん家の紫さんと風見さん家の幽香さんです。
「ちょ、ちょっとなんであんたらが出てくるの!?大体何よそのスペカかどうかも怪しい宣言は!」
「おい、お前ら今回はエントリーすらしてなかっただろ!しかもミニスカとか年を考えろ年を!」
酷い言われようですが、お二人は軽く受け流しにっこり笑います。
神奈子様なんかと同じ、大人の余裕って奴ですね。素敵です。
「そこの可愛い風祝さんに誘われたのよ」
「私達の魅力を皆に広める機会があるってね」
その通りです。
ただでさえ人外レベルの美しさを持つお二人をさらに引き立てる方法があるのです。
そのお二人に見惚れてる隙に相手を叩く。
完璧な作戦ですね!
「お二方お願いします!その魅力であの妖怪の動きを止めてしまってください」
お二方が動き出します。
っと、私も見惚れてたら意味ないですから、残念ですけど両目を塞いでおきます。
「……お、お前ら!一体何をする気だ」
「っ!!や、やめなさい!そんなことしたら何が起こるかわか」
―― 2009年 世界は核の炎に包まれた ――
目を開けたら辺りは焦土でした。
……あれ?
一体何が起きたと言うのでしょうか。
とりあえず辺りを探ってみると、割と近くに霊夢と魔理沙らしき人影が埋まっていたので引っ張り出す事にします。
「ぶはっ!はぁ、はぁ、死ぬかと思ったぜ…」
「こんな情け無い死に方したら歴代の博麗に申し訳が立たない事だったわ…」
「二人とも大丈夫ですか?一体何が起こったんです?」
「何がだと!?お前こそあの二人に何吹き込んだんだよ!」
「はぁ。あの唐傘の妖怪さん、出たばっかりなのにやけに人気があるじゃないですか」
「知らないわよそんなの!どこの世界の話よ!」
「そんなわけで、お二人には、生足出して片目瞑ってべろ出すと人気出ると思いますとお伝えしただけです。傘は持ってるようでしたので」
「おま……なんて恐ろしい事を!あのババァどもにそんなことさせたら世界が崩壊するに決まっているだろう!」
「そんな大げさな。美しい大人の女性が見せる子供らしい仕草はアンバランスなギャップとなって激しい萌えを湧き起こすものじゃないですか」
「何そのありえない想定!あんた、神奈子が同じようなことした所を想像してなさい!どう思うのよ!」
神奈子様がですか?
傘を持って生足出して片目を瞑ってべろを出した神奈子様……。
「素敵です!神奈子様の新たな一面が発見できました!不遜ながら萌えてしまいました!」
「だ、だめだこいつ!価値観が根底から違ってる!」
「常識に捉われていてはいけないのですよ」
「少しは捉われなさい!とにかく!あの二人がバカやったせいでこうなったのは事実でしょ!それ以外にこんな惨状引き起こす何かがあるって言うの!?」
「えっと……奇跡って凄いですよね」
「また開き直りやがった!霊夢やっぱりこいつ始末しよう」
「まぁまぁ、落ち着いてください。結果を見ればちゃんと2ボスも倒せたじゃないですか」
っと、辺りを見回すと気づいた事がありました。
「そういえばあのお二方、もう帰られたんでしょうか。用が済んだら即退散とは、なんて奥ゆかしい方達なんでしょう」
「あいつらに限ってそんなわけあるか」
「どうせお互いの姿を見てあまりの酷さに自爆したんでしょ」
そんなにひどいかなぁ。想像しても素敵な姿しか思い浮かばないんですが。
ま、もう過ぎてしまったことです。
ごーとぅーねくすとすてーじです。
「なぁ、霊夢。もう帰っていいか?」
「我慢しなさい!こいつをほっといたら何仕出かすかわかったものじゃないでしょう」
「うぅ…。結構楽しみにしてたのになんでこんな事に…」
「私だって泣きたいわよ…」
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少女達、一部を除いて後悔中…
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「そんなわけで3ボスです!」
「もう突っ込むのやめるぜ…」
「いい加減疲れたわ…」
何故か霊夢も魔理沙も元気がありません。
戦ってるのはほとんど私なのにどうした事でしょう。
寝不足かなんかだとしたら、乙女としてあるまじき行為です。若いと言えどすぐに肌荒れとかしますしね。
さて、3ボスです。
見た目は尼さん+メイドさんを2で割ったような感じですが、事前の情報によるとなんとまぁガチンコファイト大好きっ娘と言う事で。
人間、見た目で判断できないものですね。人間じゃないですが。
「……で、あいつにはどう対処するつもりなの?」
「これまでのような搦め手は使いません!正々堂々と正面から撃破します!」
「そう。適当に頑張って頂戴」
「お、おい、霊夢!この期に及んで早苗に任せてしまっていいのか?」
「あんた、ここで駄目だって言ってあいつを止められると思う?私達はせめて自分達に被害が出ないように立ち回るしかないのよ」
「く…くそっ!熟練者の私達が新参にいいように引っ掻き回されるとは」
むぅ。
だんだんとお二人の物言いが酷くなってる気がします。
そもそも、私と一緒に攻撃すればもっと早く対処できるんですからそうすればいいと思うんですけど。
「とりあえずやっちゃいます!用心棒!『センセイデバンデス』」
宣言と同時に拳を突き上げます。
カード?
何の事だかわかりません。
ともかく、それを合図に二つの影。
大江山の英雄、萃香さんと勇儀お姐さんです!
「もはや聞くのも馬鹿らしいけど、どうやってあの二人をここまで連れてきたの?奇跡以外の言葉で説明してくれる?」
「えっと……ミラクルって凄いですよね」
「ほんとに聞くだけ馬鹿だったな…」
馬鹿じゃないです!
私成績よかったんですよ。委員長までやってたくらいですから。
「早苗ー。ホントにあいつなの?あんまし強そうに見えないけど」
「折角地上まで来たんだ。肩透かしはやめてくれよ」
「大丈夫です!ああ見えても殴り合いが好きだってことは事前の調査でわかりきってます。さぁ、そこの貴方!今からこのお二方と拳で語り合ってください!そして友情を育むといいのです!」
「ちょちょちょちょ、何勝手に話し進めてるのよ!私はそんな暑苦しいのごめんよ!」
指を突きつけると、なぜか大慌てになる尼さん。
あれ、この手の方達って肉体言語によるコミュニケーション大好きだと思ってたんですが違ったんでしょうか。
「って言ってるがどういうこと?話が違うようだけど」
「そんなはずはないですよ。だってあの方、スペルカードに地獄突きとかサンドバッグとかげんこつだとかフックだとかそういう単語ばかり使ってますよ。殴り合い大好きなんですよ」
「そ、それは雲山がやるんであって、私じゃないの!私はか弱い乙女なのよ!」
「ふーん、じゃあその雲山って奴呼んできてくれないかね。久しぶりにお天道様の下でやり合ってみたいしさ」
「い、言われなくとも!拳打!『げんこつスマッシュ』!」
宣言と同時に雲が集まって形作られていきます。
わー、入道雲って本当に入道だったんですね。
雲山さんでしたっけ。とっても大きいです。
「おおー!こいつは壮観だね!久々に気合入れてやれそうだよ」
「早苗だっけ。疑ってすまなかったな。遠路はるばるやってきた甲斐があったよ」
お二方にも喜んでいただけた様嬉しいです。
私も鬼の信仰ゲット!
うぃんうぃんの関係ですね!
どうでもいいですがうぃんうぃんってなんかえっちな響きです。
「さて勇儀、これだけの相手なんだからちょっと気合入れようか」
「そうだね。こういうのも久々だから体に活を入れないとね」
言うや否や力を込め始めるお二方。
大気が震え、すさまじい風が巻き起こってきてます。
なんというか、神の風をスペルカードなしで発動してるような?
私も飛ばされないように必死です。
「まるで台風ですね…」
「台風ってなんだよ……!ったく、あいつらもう少し手加減ってものをだな!」
「そもそも正々堂々じゃなかったの?あんた他人の力借りてばっかりじゃない!」
「あら、あの方達にとってみれば正々堂々、真正面からのぶつかりあいですよ?」
「……もういいわ。そういうことにしておくわ…」
そうこうしてる間にも風は強くなっていき。
「「破ァ!」」
気合一発!
今度はものすごい突風。
それこそ、周りにあった雲が全部吹き飛んでしまうほどの。
SPELL BREAK!!
……あれ?
「く、雲山!?雲山が消えちゃった!」
あ、そういえば雲山さんって雲でしたっけ。
「ありゃ?さっきのでっかいのいなくなっちゃったよ?」
「一緒に吹き飛んだか?こりゃ参ったね。おい、あんた。もう一回さっきの呼び出してくれるか?」
「無理に決まってるでしょ!雲全部吹き飛ばされちゃったんだから!」
「おいおい、ここまで盛り上がっておいてそれは無いだろう。今すぐにでも始められる状態になったと言うのに」
「私も酒抜くまで気合込めたのにね。しょうがないからあんたでいいや。楽しく殴り合おうよ」
そういって拳を突き出す萃香さん。
見た目は諏訪子様と大差ないのに貫禄十分です。
やっぱり、伊達に長生きしてないって事でしょうか。
「STOP!待って!鬼なんかに殴られたら一発で千切れ飛んじゃうわよ!ちょっと考え直して頂戴!」
「いやー、大丈夫大丈夫。後ろの連中なんか人間の癖に私と殴りあいした事あるんだよ。あんた妖怪なんだから平気だって」
「なんだ、萃香はそんな楽しい事やってたのか。今度は私も混ぜてくれよ」
「冗談言うな!あんな面倒な事二度とごめんだぜ!」
「とりあえず、あんたらは目の前の妖怪相手に殴り合いでもしてなさい。こっちを巻き込まないで!」
あ、霊夢と魔理沙が非情になった気がします。
尼さん、顔色が服と同じ感じになってますね。
具体的には青と白。
「お、霊夢たちのお墨付きも出たようだね」
「それじゃまぁ、いっちょはじめようか」
「無理よ無理無理無理無理!私は普通の妖怪!そっちのバケモンみたいなのと一緒にしないで!」
「霊夢はともかく魔理沙は普通の人間だよ。でも耐えられたから大丈夫だって。それじゃちょっと裏まで行こうか」
「いや!やめて!ちょっと、あんたたち!その鬼達止めてよ!お願いだから!いやー!痛いのはイヤーーーーー!!!!」
またまた連れて行かれちゃいました。
お持ち帰り~は最近のトレンドなんでしょうか。
なんとなく体育館らしき建物が見えたのは気のせいだと思います。
うーん、青春ですね。
「ちょっと予定と違っちゃいましたが終わりよければ全てよし!万事往来ですね」
「押し付けておいてなんだけど、あの妖怪大丈夫なのかしら…」
「ま、まぁなんだかんだで萃香達は常識持ち合わせてるから酷い事にはならんだろう」
「あの方の無事を祈って合掌しておきましょう」
「「お前が言うな!!!」」
酷いです。
祈りを捧げるのに資格も何も無いと思うのですが。
ともかく、破竹の勢いとはこういうことを言うんですね。
新人にしてボス戦三連勝、どころか一度も攻撃すらさせてません。
将来有望株なのは間違いないですね!
「この調子で進んでいきましょう!予習はばっちりしてきましたからこの後もさくさく進めるはずですよ!」
「……こんなのが後最低3回は続くのかよ。もう帰りたくなってきた」
「私も。早苗、後はもうあんたで勝手にやっといてよ。私達帰るから」
「何言ってるんですか!何人もの応募者を蹴散らして今ここにいるんですよ!敵前逃亡だなんて許されるわけ無いじゃないですか!」
「いや、だって私達何もして無いぞ?全部お前がやってるじゃないか」
「気持ちの問題です!涙を呑んで貴方達に道を譲った方達の思いをないがしろにすると言うのなら、今ここでメイクミラクルしちゃいますよ!?」
「詰んだ!私達詰んだ!ほら見ろ霊夢!やっぱりさっさと始末しておくべきだったんだ!」
「やだ!おうちかえる!ゆかりー!!すきまでたすけてよー!!!」
「落ち着け霊夢!紫は既にあいつに潰されている!お前がそんな状態じゃあいつを倒す事すらできないだろう!」
「さぁ!どんどんどんどん行きますよ!遅れたら奇跡かけた状態で大量広域先制攻撃ぶっ放しますからね!」
「「たすけてーーーー!!!!」」
----------------------------------------------------
少女達、一部を除いて大後悔時代…
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さーて、来週の早苗さんはー?
霊夢DEATH。いつものように軽い気持ちで異変解決に出かけたら、色々と酷いものを見せ付けられました。軽くトラウマになりそうです。
何事にも縛られない事を信条に生きてきましたが、常識だけは忘れないようにしようと固く心に誓いました。
さて次回は
「早苗さん、ついに御乱心!?」
「風祝の本気を見せてあげます!」
「世界を統べる蒼き東風」
の三本です。
ちょっと待って。
あいつあれでまだ本気じゃないの!?
来週もまた見てくだ……いや、見なくていいです。
出来れば休ませてください。
え?駄目?
じゃん!
けん!
ぽん!
ウヒヒヒヒヒヒ…ヒ…ヒヒ……ヒ………ひっく
だいたいあってる