Coolier - 新生・東方創想話

心鏡

2009/02/28 23:54:43
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 心象、心を映す様々な景色。
 私はそれを見る事が出来る。覚りという妖怪である私が持つ、忌避すべき能力――つまり他者の心を覗きそこにある思念を読み取る能力。その所為で私達は地上を追われて、こうして地底に住んでいる。そして何時からか私は他者との交流を断ち、純真無垢な動物達と共に暮らすようになり、私の妹は心を閉ざした。私達覚りが持つ無くしてはならない存在意義、心を見透かす第三の目。それを閉ざした妹に、心があるのかどうかさえ私には判らない。







 物静かな部屋には物音の一つもしない。完全なる静寂は私を取り巻く世界を包み込み、穏やかな思考の世界へと私を取り込む。手に持つ書物に視線を落し、そこに描かれる世界に自身を投影すれば、たちまち私を取り巻く世界は色を、形を、景色を、匂いを変えて行く。無限の可能性を秘めたる書には、そこに自己を投影する事によって得られる享楽が多々存在する。私は一人その享楽に身を委ねる事を好んでいる。それだから、こうして一人過ぎ行く現の時間には目もくれず、書物に入れ込んでいるのだ。余計な事を考えれば、脆いこの心の芯は容易く折れてしまうだろうから。

「にゃあ」

 ところへ遣って来たのは黒い猫だった。艶やかな毛並みを持つ、高貴な猫。少なくとも見た目にはそんな印象を受ける。けれど私はその猫が快活で、行動力に溢れる腕白である事を知っていた。黒猫――お燐は時折喉をごろごろと鳴らしながら、四足で私の元に歩んで来る。頻りに揺れる尾が、心なしか甘えたがっているように見えた。そうしてそれを肯定するように、彼女は柔らかな毛が生え揃う身体を私の足に摺り寄せて来る。すべすべとした触感は、心地好い。


「どうかしましたか?」

 そう問い掛けると、お燐は小さな頭を傾げながら、黄色い瞳を私の瞳に合わせて来た。仕方なしに手に持っていた書を机の上に置いて、私は小さな体躯を抱え上げる。暖かな温もりが、心持ち冷えていた手を優しく包む。そうして彼女を膝の上に座らせて、私は慈しむように彼女の顎を優しく撫でた。ごろごろと、心地好さそうなお燐の声が、静かな室内に響き渡る。彼女は頻りに体勢を変えたりと、自らが落ち着ける位置を模索していたようだったが、やがて私のお腹に寄り掛かるようにして寝転がった。彼女の体重は苦にならない。それよりも身体を流れる血潮の暖かさが、私に安心をもたらしている。頬を緩ませて、私はお燐の背中を撫でる。眠そうな欠伸が長く続いた。

「貴方は童じゃないでしょうに」

 そんな事を云うと、今にも閉じようとしていた彼女の瞼が再び開かれて、心外だと云わんばかりににゃあと鳴いて見せた。――彼女の心の中に広がる景色は、様々な色を持っている。そうして統制が取れておらず、あちこちで色々な事件が起こっている。灼熱の焔の海が広がる場所には死体がくべられ、かと思えば椅子に座って本を読んでいる私が居たり、穏やかな陽の差す縁側に寝転がっている猫の姿があったり、とかく忙しい世界だった。そんな中で今一番勢力を広げているのは本を読む私の姿で、そこに擦り寄る黒猫は、身体に微かな傷を負っていた。

「寂しい、ですか」

 彼女の心象から私が読み取ったのはそういう感情だった。お燐は鳴く事もせず、私の膝の上で丸くなっている。声に反応する様は見られなかったが、彼女の世界にはぽつりぽつりと雨が降り出した。弱い姿を見せたがらない性分だからか、本心を隠したかったのかも知れない。けれど覚りである私には見えてしまう。そんな能力を彼女も忌み嫌っているのだと思うと、遣り切れない思いが脳内を駆け巡った。私の心の景色にも、きっと雨が降っている。

「ごめんなさい。余計な御世話でしたね」

 お燐は何も云わなかった。瞳は閉じられている。すうと安らかな寝息が聞こえて来る。寝たのだろうか、と思ったが、それも判ってしまう。彼女の世界には、未だ黒猫が頻りに動いている。椅子に座り本を読む私の周囲を回ってみたり、その前で飛び跳ねてみたり、忙しく動き回っている。これが彼女の心境を映した鏡だと云うのなら、お燐は私が彼女に対して如何なる感情も抱いていないと不安に思っているのかも知れない。
 成程私は地霊殿に居る間、一人で過ごしている時の方が遥かに多いし、思えば此処最近お燐と話した記憶でさえ余り無い。彼女達を飼い始めたのは私だと云うのに、皮肉な話だった。そうしてどうしようもなく愚かだった。こうして彼女を抱いて時を過ごす事が、彼女にとってせめてもの慰藉と成り得るのなら、何時まででもこの時間が続けば好いと思った。
 鮮やかな毛並みを再び撫でる。頭頂より背中を伝い、尻尾は包み込むように。そうして最後に喉を撫でようと手を伸ばした時、不意にお燐は赤い舌をちらりと見せて、私の手を少しだけ舐めた。

「もっとして欲しい、ですか。貴方も随分甘えたがりのようですね」

 私の言葉に応えるように、にゃあという鳴き声が聞こえた。彼女の世界を覆った雲の間から、白い光が大地に向かって筋道を作っている。その陽光差す所には、私の膝の上で静かに眠る黒猫の姿があった。身体にあった微かな傷はもうすっかり癒えている。それを見ると、私は少しだけ自分が救われるような心持ちがした。それだから彼女が満足するまで撫でてあげていようと思った。お燐の世界は明るい方が好い。――私のような暗澹たる黒い雲が何処までも広がる空に、一片の光も差さない陰湿な世界はお燐には似付ない。誰よりも明るく微笑む事が出来る、彼女なのだから。







 やがて如何ほどの時間が経ったのか、私はお燐を膝の上に乗せながら寝ていた事に気が付いた。完全に覚醒していない眼を開き、覚束ない視界で辺りを見回しても、昼夜の存在しない地底では意味がない。丁度時計の針を認めた時、それが示す時間は、お燐が私の部屋へ遣って来てから数刻ほども経過していた。
 膝の上を見てみると、黒猫は既に目を覚ましていた。そうして黄色い目で私を見上げ、床に降り立った。私がその様を見詰め続けていると、彼女は部屋の出口まで進み、一度私を顧みてから鳴いて見せると、恭しくも可愛らしい、猫流のお辞儀をして見せた。一見すれば伸びをしているようにしか見られなかったが、それなのにお辞儀をしている事に気付けたのは、私の能力があってこそだろう。彼女の心の中には溢れんばかりの感謝の気持ちがあった。

 しかし、と私は思い、沈鬱な想いを胸にお燐の去っていった部屋の出口を茫然として見詰めた。静謐な空間に響く音色は無くなり、何処か寂寥感を漂わせる静けさばかりが、私を取り囲む。それが孤独な世界へと舞い降りたかのように思われて、私は急に不安になった。どんな類の不安だかは全く判らない。漠然とした不安が、霧になって漂っているかのようで、頗る不愉快だった。不安に思う事など何も無い。私を慕ってくれる者しか居ないこの地霊殿に居る限り、二度と虐げられる事はない。それなのに、粘質的な不安は何時までも私の中から離れなかった。
 お燐が居れば平穏で居られたかも知れない。彼女が居る時ばかりは周囲の事など何も考えず、気付けば眠りに落ちていた。猫の姿である彼女の体温が実に暖かくて、布団よりも気持ち好く、安堵に包まれた結果の睡眠だったような気さえする。お燐が来るまでは一人書見に耽っていて、それだけで満足だった。それにも関わらず、今私が得体の知れない不安の闇に苛まれているのは、お燐ばかりでなく、他ならぬ私自身が淋しかったからなのかも知れない。

「――何を、馬鹿な」

 一人自嘲気味な笑みを湛えてそう吐き捨てる。私自身が淋しがっていたなど決して認めたくはなかった。望んでこの地霊殿へと住まうようになり、漸く醜い地上から逃げられたと思っていたのに、却ってそれが裏目に出ていたなんて考えたくもない。もし私がそれを認めてしまえば、全てはお笑い種だ。滑稽の至り、不様な体たらく。

 ――知らず、心が揺れた。見たくない物を見せられた時の稚児のような心模様が、きっと私の中にも広がっている。第三の眼が私自身を捉えてくれて、そうして浮き上がる自らの心象を見られたらどんなに楽だった事だろう。そうする事の出来ない私は、一人悩んで苦しむより他にない。必死に自らの内に蔓延る嫌な可能性を排除して、逃げ続けて、どうしようもなくなって疲弊し切るまで、もがき苦しむしかないのだ。この地霊殿の地下にある業火に焼かれているのは、死体などではなく、この私なのかも知れない。永遠に私を苛める辛苦から逃れる術を知らない、私。

「お姉ちゃん」

 朗らかな明るい声音が、悩乱する私の鼓膜を劈いた。部屋の入口には妹の姿がある。底知れない何かを孕んだ瞳は、私が持つ両の瞳でも、また第三の眼でも見透かす事が叶わない。今日も妹は、何を考えているのか判らない眼を私に向けて、無邪気な笑顔を華やかに咲かせて見せる。そうして実に私を慕っているかのように、弾んだ声音で私の名を呼ぶのだ。それが私には末恐ろしい。覚りで在るが故の苦痛。他者の心を読む事の出来ない不安。それらがある限り、私は覚りとして永久に苦しみ続けるに違いない。妹が心を閉ざしている限り、その苦しみを分かち合う者も居ないのだから。

「お帰りなさい。今日は何処へ?」
「紅白の巫女のところ。お茶をね、飲ませて貰ったの」
「それは好かったですね。美味しかったでしょう」
「渋くて苦かった」
「こいしにはまだ、お茶の美味しさが判らないんですよ」
「何時か判るようになる?」
「ええ、渋味も苦味も、いずれ美味だと感じる時が、きっと」

 ――蒙古の大砂漠、荒涼たる風景、荒廃した世界、生者も死者も消え果てる陰刻な世界。

 私の第三の眼が映し出すこいしの心象、心の内に広がる世界は、何時もと同じ物だった。無論私が見た心象が真実だとは限らない。第三の眼を閉ざした結果、そういう幻想の光景を現す防壁が生まれたのかも知れない。こいしは覚りである私にさえ、その心を読み取らせない。それだからその瞳は空恐ろしい。それだからその笑顔は末恐ろしい。それだから私は妹に対して、踏破した事のない境界線を感じる。――私は姉と呼ばれて然るべきではない。実の妹に対して、一線を隔した付き合いなどするべきではないのに、妹が恐ろしいばかりに私は何時も踏み止まってしまう。

「お姉ちゃん」

 ふとこいしの声が聞こえる。思慮に耽っていた私は、少しだけ慌てた風にこいしを見遣った。目の前に無垢な顔がある。そうして心配の光を湛えた瞳が、私を覗き込んでくる。深淵の闇を内に秘めた黒い眼は、純朴たる丸みを持っている。可愛らしい顔、少しだけ癖の付いた髪の毛。愛おしい妹の相貌、それが何よりも恐ろしく思えるのは、紛れもなく私の罪であるに違いない。こいしは誰よりも純粋な心を持っているだけなのに。それを恐れては、誤解の域を超えてしまう。こいしがもしも今、第三の眼を持ったままだったなら、私は確実に姉として居られなかった。

「どうかしたの?」
「いえ、……少し考え事を」
「お姉ちゃんってよく考え事するよね」
「思慮深いんですよ。それで色々と考え込んでしまう」
「ふうん。何だかそれって、面倒だね」

 顔を離してこいしは云った。貴方を恐れているから、などとは口が裂けても云えなかった。私はただ平生の通りに振舞って、こいしもまた普段と同じように、気儘に答える。こいしが心を閉ざす前ではそんな事は決して有り得なかった事だ。お互いの考えが読めてしまうから、当然のように私達は互いに本心からの言葉を話していた。私がこいしを前にして頻繁に「考え事をしていた」と云うようになったのは、こいしが心を閉ざしてしまってからだった。
 もしかしたらその変化には既に気付いていて、敢えて指摘しないのかも知れないとも思う。疑心に呑み込まれれば真実は彼方へ消えて、私が彷徨うのは冥々たる闇の中。一体幾度、その闇の中で悶え苦しんだ事だろう。こいしの所為でなくとも私はそういう経験を何度もした。だからこそ、妹の遊び相手にペットを寄越したのだ。そうする事で、自責の念から逃げたかった。この身を苛む打擲から身を守りたかったのだ。

「こいしは、何かについて考え込んだりしない?」
「うん。地上に居る人達は考え事の暇なんてくれないし」
「此処へ乗り込んで来たくらいですしね。確かにその通りのようです」

 私などより、地上に居る巫女だの魔法使いだのの方が余程こいしの姉として優れている。疑心暗鬼に陥る事もなく、思った事をそのまま口にする気質は、私にとって垂涎のものだった。もし私がそのようになれたら、幾ら気楽だった事だろう。こいしと対峙する時にも細かな気配りなんてしなかったに違いない。姉が妹へ向ける当り前の愛情を、注げてやれただろうか。今の私に出来る事と云えばこいしが帰って来た時に「お帰り」と云う事ぐらいだ。それがどれだけ些細な事であるかは知っている。しかし、それ以上密接に関わろうとすれば、私の脆弱な精神は音を立てて瓦解してしまう。

「こいしは、それで楽しいですか?」

 出来得る限り優しく問い掛ける。不思議らしいのか丸まった黒い瞳が私を見詰めている。閉じられた第三の眼が、こいしの腰の辺りで静かに佇んでいた。

「うん、とても」

 笑顔で云ったこいしの表情は実に晴々しくて、何か私の心を射抜く響きを伴っていた。幾年も叶わなかった私の願いが、今目の前で成就している事が信じ難かった。心を閉ざして無意識に生きる哀れな妹に幸がある事を何時でも願って止まなかった。その妹がとても楽しそうに、嬉しそうに笑んでいる。その事実が私に不甲斐なさと随喜の入り混じった複雑な思いを与えた。そうですか、と一言だけ云うと、こいしは「変なお姉ちゃん」と云った。

「何だかお燐が上機嫌だったから、一緒に遊んで来るね」
「ええ、仕事の邪魔をしては駄目ですよ」
「判ってるよ」

 ――砂塵舞う大砂漠、岩の一つさえ存在しない寂寂たる風景。空には黒い雷雲が、地平には暗黒が途方もなく続く、こいしの心象。その中に一筋の斜陽が何処からか差した。白い白い、眼が眩んでしまいそうになるほど明るい光。けれども儚く弱そうな、一抹の闇にさえ呑み込まれてしまう危うさを孕んだ剣呑な光でもあった。

 そうして私の部屋をこいしは去って行く。取り残された私は、一人書見もしないまま茫然と出口を見詰めていた。こいしが出て行く前に垣間見えた彼女の心象が、強烈な刺激を以て私の中に張り付いている。蕭条たる景色が連なる寂しい光景の中に、確かなる変化が窺えた心持ちがしたのだ。
 人も妖怪も時間が経つにつれて変わって行く。それこそ遭遇した事件の数々が切欠になって、幾重にも分岐した運命の道筋を辿る。もしかすれば、こいしは私の望んだ幸溢れる道へと踏み出し始めているのかも知れない。確信はないが、私はそう信じたかった。

 ――お燐は上機嫌らしい。こいしは相変わらず気儘で、思った通りに行動している。お空も先日の失敗を反省して仕事に励んでいるらしい。時折は私の部屋に来て話す事もある。怒られまいかと怯える姿は、以前とは大分変化していたが可愛らしくなっていた。果たして私は彼女達から慕われているのだろうか。第三の眼に恐怖する事なく、それを受け入れて私と接してくれているのだろうか。確信は相変わらず余りない。

 けれど、もう少し前向きに生きてみよう。そう、思った。












――了
 空に暗黒広がろうとも、地には色彩鮮やかに花々が揺れている。
 孤独な黒い太陽を励ますように、華やかに。
 それが彼女の心象なれば、心配事は杞憂に終わるに違いない。
twin
http://touhoudream.blog.shinobi.jp/Entry/124/#more
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コメント



0.1010簡易評価
2.100三文字削除
う~む、綺麗だ。
心象が風景として表現されているのが凄く印象的でした。
さとりの暗雲が晴れ、こいしの砂漠に花が咲く日が早く来ないだろうか・・・
4.100煉獄削除
静かに綴られる語り部としてのさとりの言葉がなんともいえないですね……。
静かなのにどこか安心できるような、でもなにかを孕んでいるような。
そんな感じのするお話でした。
面白かったですよ。

一字多かったので報告
>そんな能力を彼女も忌み嫌っているのだとい思うと、
『だと思うと、』ですよね。
13.70名前が無い程度の能力削除
文章そのものとしてはこのぐらいのほうが、読んでいて安心できます。
僭越ながら、今までの表現レベルだと、伝えたいことに対して言葉が重すぎるのではないか、という印象を受けていました。美しいのですが、氷の芸術のような感じでした。もちろん氷の芸術は凄まじい美を訴えかけてきますが、危うさもまた感じていたのです。

ただ、今回に限っては、「実験作」の「実験」に注意しすぎた結果、普段のいきいきとした想像力や情景描写になっていないのも感じました。
さとりの日常の中にある苦悩やそれ以外の何かを切り取る、という試みはいいですし、案外にして日常の中にこそ最後に見られるような希望もあるのはその通りだと思います。
ですが、これでは少々動きが少なすぎて、さとりがほぼ自己完結しています。こいしやお燐との対話の中で感じ入る者があったにせよ、それはさとりの頭の中で、さとりが自分で納得したことです。さとりの能力が便利すぎるせいなのですが、さとりが「視た」ことはあくまで「さとりが」視たのであって、誰かに伝えられたことではないんではないかと。
希望は自分で手に入れるもの、という信念ならばこれでいいのですが、さとりの孤独は終わらないことになる気がします。(これは希望の前段階の物語として読むべきかもしれませんが)
これは作家全般に言えることですが、もう少し人物一人称を描くにあたって「目」と「脳」以外にも書くべきものはあるのではないかと思うのです。

本当に期待しています。お待ちしています。
15.100DNDN削除
読後感が心地良かった。まずその一言。
あと三文字さんと同じことを言ってしまうのですが、
さとりが読み取る心象が風景として描写しているところに深く感嘆しました。
短い文章の中でこれだけの雰囲気を出せているのも素晴らしいと思いました。
私も見習いたいところでありますw

今後の作品にも期待しております。頑張ってください。
19.80深山咲削除
非常にゆっくりとした、音域の狭いピアノ曲を聴いているかのような印象を受けました。書物やお燐やこいしの世界と関わりながらも、さとり自身が静かな場に居続けるからでしょうか。
他者のもたらす明るさや無邪気さを、さとりの苦悩が塗り潰す。心理描写が重く細やかで、此方まで胸中が凍えていきそうでした。ただ、暗さや脆さや恐怖が随所で詳しく描かれたためか、鬱々とした空気に慣れと幾らかの冗長さも覚えました。
こいしの光に希望を見出す最後の場面は、大変優しく感じました。絶望的な推測を続ける今作品のさとりならではの、淡い救いだったと思います。
じっくりと読みたくなる、落ち着いた作品でした。
26.80名前が無い程度の能力削除
文章の巧みさに点数を。
内容はもっと掘り下げることが出来たのではないか、と思いました。
29.100dai削除
寝る前に読んだらよく寝れました。
希望が湧いてきますね。