幻想郷の夜…、星明りが照らす中の獣道。
隙間が開き、そこから現れる傘を差した1人の女。
そこに落ちている、幻想郷のものではない、1つの本を手にする。
本に書かれた内容を見て、クスリと微笑んだ女は顔をあげる。
「…昔話に起因する登場人物が多い幻想郷の住人達。多くの日本古来の昔話は、幻想郷に紛れ込んだ人間が入ってきたことにより、起きた事件の話が、外に漏れて構成された話があったりするの。全部が全部そういうわけじゃないけれど……、今日は、そんな中の一部を、紹介してあげるわ。楽しんでもらえればいいんだけど……」
その本には、『日本昔話』と書かれてあった。
東方御伽草子
雪女
昔、昔…山岳地域の、村に若い2人の狩人がおったそうな……。
狩人たちは、山の動物を銃を用いて、狩を行い、それを売って生活を行なっていた。彼らが狩りを行なっていた山は、動植物に恵まれており狩には最適な場所であったが、冬になると雪が、山を覆い、人が入るにはとても険しい山であった。
さらには、冬になると、山のバケモノである雪女が住む山として、近隣の村々からは、恐れられており、冬には決して立ち入るべきからず、と言われておったそうだ。
「そんなことを言われて、雪山にある動物を、隣村に奴らに捕られているんじゃないのか?冬の山には、野うさぎがたくさんいるそうだ。俺がいっぱい仕留めて帰ってきてやる」
村1番の豪傑である弥七は、自分の度胸試しも兼ねて、村の長の言葉も聞かずに友人であり、賢い吾郎とともに雪山にと登って行った。
吾郎は、山には、雪を防ぐために、いくつかの小屋が用意されており、もしも一日で帰れない場合は、そこで一夜を過ごそうと考えて、薪を持ち、用意万端にしていった。
「おおお!!こりゃーすごい、こんなに野うさぎがいるとは思わなかったな」
銃声を鳴らし、野うさぎをしとめていく弥七。吾郎はそんな弥七の見様見真似で狩りを行なっていく。
「弥七や、そろそろ日が暮れる。あまり長居をすると帰れなくなるぞ?」
「待て待て、まだまだ野うさぎがいるんだ。こいつらをしとめなくてはかえるに帰れん!」
弥七は、吾郎の忠告を無視して、狩を行っている。
あっというまに夕日は落ちていき、気温も下がり始めた雪山では、新しく雪が降り始めていた。吾郎は仕方が無く小屋を見つけ出して、そこで一晩過ごすことにした。
薪に火をいれて、暖を取る2人。
眠い時は、交代交代で眠ることにした。弥七も吾郎もこのときは野うさぎを大量に確保できたことの嬉しさで、雪女の話など忘れていた。
だが、夜も更け始めた頃……、
コンコン……コンコン……
しんしんと降る雪の中で、誰かが扉をノックする。
弥七は、生唾をごくりと飲み込んで、眠っていた吾郎を起こす。
目を覚ました吾郎も、その扉を叩く音に眼を見開かせる。
こんな夜更けの山奥で、普通の人間が、やってくるはずがない。
だとするのなら…、相手は雪女だけだ。
弥七は、思わず銃を手にして、弾をこめようとする。それを吾郎は制止する。
「雪女は、謎々が苦手だと村長に聞いたことがある。ここは俺に任せてくれ」
吾郎は、弥七にそう告げると、扉の前に近づいて
「ここをはいるには、合言葉が必要だぞ。朝は4本、昼は2本、夜は3本で歩く動物とはなんだ?」
その言葉を放つと、扉を叩く音が止まる。
弥七と吾郎は手を合わせて喜ぶ。
結局、その夜はそれ以後何事も無く…朝が来たのだ。
雪女は、謎々が弱い。それさえ知っておけば、雪での狩りもうまくいくと判断した吾郎は、それ以降も雪山に狩りを行なうことにしていく。
吾郎はすっかり味を占めて、他の村のものの付き添いと称して、付き添い料金をとるなどして、雪女商売を始めるまでに至った。しかし、その頃になると、雪女も姿を見せなくなり始め、吾郎は、自分のおかげで雪女を退治できたとまで言うようになっていた。
2ヵ月後…久方ぶりに吾郎と弥七は2人で小屋に止まることにした。
その日は酒も飲みながら、談笑する2人。
「しかし……こんなことになるとは思わなかったな?」
「まったくだ。村のものたちもすっかり騙されおって、これで暫くは、俺達の生活も安泰だな」
「あぁ、今度は、ここで商売でも始めてやろうかと思っているよ。雪の宿だ。きっと大もうけできるぞ」
「それはいい。きっと京の貴族や武家のものもきてくれるかもしれないな」
2人は高らかに笑いながら、薪の火をつけながら、酒もあったからだろうか、うとうとし始めていた。
コンコン……コンコン……
ノックの音。
2人は、目を擦りながら久方ぶりの来訪者に驚きながらも、それでも彼らは恐れない。
「ここをはいるには、合言葉が必要だぞ。朝は4本、昼は2本、夜は3本で歩く動物とはなんだ?」
吾郎は酔っ払った声でそう大声で言う。
するとやはりノックの音が鳴り止む。
相変わらず、謎々には弱い奴だな…、吾郎と弥七はゲラゲラを笑う。
『人間』
その言葉に2人は、寝転んでいた体を起こす。謎々が弱点じゃなかったのか?弥七は、吾郎の体を揺らしてそういう。吾郎としても。驚きで頭が真っ白になっている。扉に目をやる2人、鍵が閉められたその扉が一瞬で凍りつく。それと同時に、扉が前にガタンと壊れて倒れる。
そこにたつ黒い影……。
優しそうな顔をした、青と白の服をした女だ。
彼女は、こちらに優しく微笑みかけると、そこで息を吐く。その風は、一瞬にして男達を氷漬けにしてしまった。
「……これで少しは、生の人間を食べれるわね。でも気をつけないと……あんまり食べると、また怖がられて近寄らなくなっちゃうもの。チルノのおかげで、みんなまた山に戻ってくるようになったんだから。今回ばかりは感謝しないとね」
弱肉強食
人間が食べるために野うさぎを追い、入り込んだ山は、その人間を食べるもののいる場所。
隙間が開き、そこから現れる傘を差した1人の女。
そこに落ちている、幻想郷のものではない、1つの本を手にする。
本に書かれた内容を見て、クスリと微笑んだ女は顔をあげる。
「…昔話に起因する登場人物が多い幻想郷の住人達。多くの日本古来の昔話は、幻想郷に紛れ込んだ人間が入ってきたことにより、起きた事件の話が、外に漏れて構成された話があったりするの。全部が全部そういうわけじゃないけれど……、今日は、そんな中の一部を、紹介してあげるわ。楽しんでもらえればいいんだけど……」
その本には、『日本昔話』と書かれてあった。
東方御伽草子
雪女
昔、昔…山岳地域の、村に若い2人の狩人がおったそうな……。
狩人たちは、山の動物を銃を用いて、狩を行い、それを売って生活を行なっていた。彼らが狩りを行なっていた山は、動植物に恵まれており狩には最適な場所であったが、冬になると雪が、山を覆い、人が入るにはとても険しい山であった。
さらには、冬になると、山のバケモノである雪女が住む山として、近隣の村々からは、恐れられており、冬には決して立ち入るべきからず、と言われておったそうだ。
「そんなことを言われて、雪山にある動物を、隣村に奴らに捕られているんじゃないのか?冬の山には、野うさぎがたくさんいるそうだ。俺がいっぱい仕留めて帰ってきてやる」
村1番の豪傑である弥七は、自分の度胸試しも兼ねて、村の長の言葉も聞かずに友人であり、賢い吾郎とともに雪山にと登って行った。
吾郎は、山には、雪を防ぐために、いくつかの小屋が用意されており、もしも一日で帰れない場合は、そこで一夜を過ごそうと考えて、薪を持ち、用意万端にしていった。
「おおお!!こりゃーすごい、こんなに野うさぎがいるとは思わなかったな」
銃声を鳴らし、野うさぎをしとめていく弥七。吾郎はそんな弥七の見様見真似で狩りを行なっていく。
「弥七や、そろそろ日が暮れる。あまり長居をすると帰れなくなるぞ?」
「待て待て、まだまだ野うさぎがいるんだ。こいつらをしとめなくてはかえるに帰れん!」
弥七は、吾郎の忠告を無視して、狩を行っている。
あっというまに夕日は落ちていき、気温も下がり始めた雪山では、新しく雪が降り始めていた。吾郎は仕方が無く小屋を見つけ出して、そこで一晩過ごすことにした。
薪に火をいれて、暖を取る2人。
眠い時は、交代交代で眠ることにした。弥七も吾郎もこのときは野うさぎを大量に確保できたことの嬉しさで、雪女の話など忘れていた。
だが、夜も更け始めた頃……、
コンコン……コンコン……
しんしんと降る雪の中で、誰かが扉をノックする。
弥七は、生唾をごくりと飲み込んで、眠っていた吾郎を起こす。
目を覚ました吾郎も、その扉を叩く音に眼を見開かせる。
こんな夜更けの山奥で、普通の人間が、やってくるはずがない。
だとするのなら…、相手は雪女だけだ。
弥七は、思わず銃を手にして、弾をこめようとする。それを吾郎は制止する。
「雪女は、謎々が苦手だと村長に聞いたことがある。ここは俺に任せてくれ」
吾郎は、弥七にそう告げると、扉の前に近づいて
「ここをはいるには、合言葉が必要だぞ。朝は4本、昼は2本、夜は3本で歩く動物とはなんだ?」
その言葉を放つと、扉を叩く音が止まる。
弥七と吾郎は手を合わせて喜ぶ。
結局、その夜はそれ以後何事も無く…朝が来たのだ。
雪女は、謎々が弱い。それさえ知っておけば、雪での狩りもうまくいくと判断した吾郎は、それ以降も雪山に狩りを行なうことにしていく。
吾郎はすっかり味を占めて、他の村のものの付き添いと称して、付き添い料金をとるなどして、雪女商売を始めるまでに至った。しかし、その頃になると、雪女も姿を見せなくなり始め、吾郎は、自分のおかげで雪女を退治できたとまで言うようになっていた。
2ヵ月後…久方ぶりに吾郎と弥七は2人で小屋に止まることにした。
その日は酒も飲みながら、談笑する2人。
「しかし……こんなことになるとは思わなかったな?」
「まったくだ。村のものたちもすっかり騙されおって、これで暫くは、俺達の生活も安泰だな」
「あぁ、今度は、ここで商売でも始めてやろうかと思っているよ。雪の宿だ。きっと大もうけできるぞ」
「それはいい。きっと京の貴族や武家のものもきてくれるかもしれないな」
2人は高らかに笑いながら、薪の火をつけながら、酒もあったからだろうか、うとうとし始めていた。
コンコン……コンコン……
ノックの音。
2人は、目を擦りながら久方ぶりの来訪者に驚きながらも、それでも彼らは恐れない。
「ここをはいるには、合言葉が必要だぞ。朝は4本、昼は2本、夜は3本で歩く動物とはなんだ?」
吾郎は酔っ払った声でそう大声で言う。
するとやはりノックの音が鳴り止む。
相変わらず、謎々には弱い奴だな…、吾郎と弥七はゲラゲラを笑う。
『人間』
その言葉に2人は、寝転んでいた体を起こす。謎々が弱点じゃなかったのか?弥七は、吾郎の体を揺らしてそういう。吾郎としても。驚きで頭が真っ白になっている。扉に目をやる2人、鍵が閉められたその扉が一瞬で凍りつく。それと同時に、扉が前にガタンと壊れて倒れる。
そこにたつ黒い影……。
優しそうな顔をした、青と白の服をした女だ。
彼女は、こちらに優しく微笑みかけると、そこで息を吐く。その風は、一瞬にして男達を氷漬けにしてしまった。
「……これで少しは、生の人間を食べれるわね。でも気をつけないと……あんまり食べると、また怖がられて近寄らなくなっちゃうもの。チルノのおかげで、みんなまた山に戻ってくるようになったんだから。今回ばかりは感謝しないとね」
弱肉強食
人間が食べるために野うさぎを追い、入り込んだ山は、その人間を食べるもののいる場所。
タグにチルノってあるけど一言も喋ってないし……。
といろいろ疑問に思う所はありますが、こういった形式のお話は好きなので楽しめました。
ただ少し欲を言うならば、もう少し山場が欲しかったかなと思います。
あと、妖怪サイドはこの時何を考えていたのかも書いてあれば尚良いかと。
無謀にも雪山に入ってきた人間しか食べてはいけないとか決めてるんでしょうかね。
ところどころ言い回しがくどい部分がありましたがおもしろかったです。
なぞなぞに答えられないのがチルノ
レティを入れるとオチが見えてくるから入れていない
……自分はこんな感じだと思った
幻想郷のバランスを保つのに妖怪は人を食うから紫とは限らないし
人間の欲望と妖怪の怖さが混ざりあってとても昔話っぽいなと思いました。
雪女怖い…
最初の紫の語りが本文とは関係の無い戯言に成り下がってます。
お話自体はオチが早めにわかってしまいましたがすんなり読める文体でした。
レティに人食い設定が(今のところ)ないので雪女=オリキャラとして読みましたが違和感はなかったです。