主人である紫様が冬眠しているこの時期は、住処たるマヨヒガの仕事も少ない。
自らの式、橙と遅めの朝餉を取り、周囲に張ってある結界の様子を見に行っている間に橙が屋敷の掃除をする。
そんな、いつもの日常だったはずだ。
それが、何故こんな事になっているのだろう。
「ねぇ~妖夢ったらひどいのよ~。聞いて~」
まるで子供のように唇を尖らせながら、冥界白玉楼の主たる西行寺幽々子が私の腰にまとわりつき、袖を引く。
私、八雲藍は困惑の表情を張り付かせるしかなかった。
※
※
※
屋敷を取り巻く感知結界に侵入者の気配を感じてまもなく、橙があわてた様子で駆け込んできた。
「藍様!お客様です」
「……客?」
橙が『客』と表現するということは、紅白貧乏巫女や黒白強欲魔法使いが食料や家財道具を狙って襲撃をかけてきたわけではなさそうだ。
紫様を訪ねてくる客など、そう多いものではない。
「これは幽々子様、ようこそいらっしゃいました」
橙の後ろに佇む人影を見て、私はすぐに挨拶をする。
「いらっしゃいましたー!」
私の言葉に続く橙、ああかわいいなぁちぇん。
だが幽々子様の様子がおかしい。いや、この方がおかしいのはいつものことなんだが。
「あいにくと紫様はおやすみ中ですが。どうぞ」
居間にお通しして、お茶とお茶請けを出しながら私は幽々子様を注意深く観察する。
ここに至るまで、幽々子様は一言も言葉を発しておられない。何かを堪えるように薄く唇を噛みしめているだけだ。
幽々子様とて紫様がこの時期に冬眠なされている事はご存じなはず。
「それで……いったいどのようなご用件で?」
幽々子様の様子から伺えるものが少なかったので、思い切って聞いてみた。
「……い……め……」
幽々子様が妖孤の耳をもってしても聞き取れないほど、わずかに声をもらす。
「え?」
「…いえ……たの。……か……めて」
「はい?」
私は不作法にも聞き返す。それほどに小さな声だったのだ。
そのとき、幽々子様がうつむき加減だった顔を上げて言う。
「家出してきたの!だから、泊めて」「だめです」
脊髄反射だった。むしろ最後の「て」に被せた。改行すら許さない。
「え~、なんでよ~。部屋は余ってるんでしょ? だったらいいじゃないの」
そういう問題では無い。と、いちいち説明しなければわからない方でもあるまいに。
傍らで見守る橙も、訳が分からず目を丸くしている。ああ、そういうお前もかわいいよちぇん。
「泊めて、泊めて、とめて、とめて、と~~め~~て~~~~!!」
こちらの拒絶がよほど不服だったのか、畳の上に仰向けになり手足をバタバタさせるだだっ子ポジションに移行する幽々子様。
あんた、いくつだ。
「何度言われてもダメなものはダメです。白玉楼の主たる貴女が、家出などするものではありません。それに、私には眠っている紫様をお守りする役目があります」
私は毅然とした態度で言い切る。
「私だって、紫の寝起きの悪さは知ってるから起こしたりしないわよ。別に仕事の邪魔したりするつもりもないし、食事さえ出してくれればそれでいいわ」
食事を要求するのかよ! というツッコミはせずに、私はだだっ子ポジションを終了させた幽々子様相手に、当然湧いてくる疑問を口にする。
「そもそも、何故家出などなさったのですか?」
※
※
※
そして、一番最初の状況になったわけだが……。
あの半人半霊の少女と諍いを起こしたとしても、主人自らが家を出てくる道理にはなるまい。
きっと、大きな事情があるに違いない。ほどなく、幽々子様が語り始める。
「……あれは、昨日の夕方、6時のおやつの時だったわ」
「6時?おやつなのに6時なのですか」
「ああ、そこはあまり重要じゃないから流してちょうだい」
「はぁ」
間の抜けた声で返すも、やはり気になる。しかし、気にするなと言われてしまっては追求も難しい。
「その時間のおやつは金鍔(きんつば)。濃いめの煎茶と合わせると最高なのよね」
「ええ、そうですね」
何故だろう、背中にイヤな汗が流れる。私の直感が、この先を聞くなと警鐘を鳴らす。
「出てきた煎茶を一口飲んで、金鍔の乗った皿に目をやると」
だめだだめだだめだだめだだめだだめだ。言わせてはいけない。
「なんと!」
だが、止めることも出来ない。紫様お許し下さい、藍は弱い妖狐です。
「金鍔が5個しかなかったのよーーーーー!!!!」
よー、よー、よーと居間に幽々子様の声がこだまする。
握りしめた拳を解き、幽々子様が私に向き直る。
「ね、ひどい話でしょう?」
「夕餉の前に金鍔を5個も召し上がることが、ですか?」
「違うわ。5個しか出さないことが、よ」
とりあえず、その『そんなことも分からないの?』みたいな顔は止めて下さい。
無性に腹が立ちます。
なら普段はいくつ食べてるんだとか、それくらいのことで家出なんてするなとか、6時なのにおやつってどういうことだとか、とにかくツッコミどころが満載だった。
「そんなわけだから、妖夢が反省するまで泊めてちょうだい」
「帰れ! 超帰れ!」
やっと出てきた言葉がこれでも、誰も私を責められまい。
※
※
※
それから少しして、私は台所で橙に手伝ってもらいながら2度目の朝食を準備していた。
どうやら私の言葉が幽々子様のくすぶっていた感情に火を付けたらしく、襟首を掴まれ庭に放り出された挙句(どこにそんな力があるのだろうか?)
鬼気迫る形相でルナティックな弾幕をおみまいされた。
結果、あちこちに擦り傷や打撲痕を作りながらも台所に立つ羽目に陥っているのだ。
これを理不尽と言わずしてなんと言おう。
「……大丈夫ですか、藍様」
ああちぇんよ、そんなに優しくしないでおくれ。私も当代最強の妖獣と言われた存在、これしきのことで心折れたりするものか。
手早く野菜を刻みながらも、頭はこたびの事態を収拾すべく動き続ける。
突然の幽々子様来訪、ばかばかしい理由での家出、ここ(マヨヒガ)に逗留することになるまでの流れ。
なんでもいい、なにか手がかりがあるはずだ。単なる戯れとも考えられるが、時が経てば白玉楼当主不在の報は彼岸にも届くだろう。
閻魔の耳に入ってしまっては『冗談でした。ゴメンね☆』では済まされなくなる。
その前になんとしても『自主的に』おかえりいただく必要がある。
そのためには、事件(?)当初の状況をできるだけ詳しく知るべきかもしれない。
<橙、おまえに頼みたいことがある>
橙に念話(主と式の間にだけ通用するテレパシーのようなもの)で話しかける。
久しぶりの念話に少々戸惑っていた橙も、私の真剣な様子に事態の深刻さを悟ったのか。
<はい、藍様。何なりとお申し付けください>
と、返してくる。こういう時、日頃の教育は間違っていなかったんだと確信する。イイコに育ったなぁちぇん。
「ねぇ~、ごはんまだ~~!?」
ぐしゃり
持っていた野菜を握りつぶす。決して意図的にではない。
誰のために脳みそフル回転させてると思ってるんだとか、主人の友人だと思って下手に出ていればあの人はとか断じて思ってない。……思ってないぞ。
あふれ出る涙も握りつぶした玉葱のせいだ、違いないそう決まった。
<あの……藍様?>
<ああ、この玉葱は新鮮だな。よく目に染みる>
<それ、じゃがいもですけど>
<玉葱だ>
<でも>
<玉葱だ>
<あの……>
<玉葱なんだ>
<…………はい>
主の心情を慮ってくれるか、ありがとう。今度お菓子を買ってきてやるからな。
幽々子様に適当な返事を返した後、もう一度橙に向き直る。
<まず……物石を……絶・……たら…………ずだ。そうしたら現状を説明する。わかったな?>
<ええっ! 紫様死んじゃいますよ!!>
<私の主を見くびるなよ? その程度でどうにかなるならとっくにやっている。これでも生ぬるいくらいだ>
<でも、せっかくお休み中なのに>
<御友人の不始末くらいフォローしていただいてもバチはあたらんよ。逆に『こんなに楽しそうな時に起こさなかったのか』と叱られるかもしれん>
いまだ渋る橙を強引に送り出し、食事の支度に戻る。
これで最終的な段取りの目処は立った。こういう問題は、当人同士の話し合いこそが最短の解決策なのだから。
あとは、気まぐれな姫君がフラッとどこかへ行かないようにつなぎ止めておけばいい。
※
※
※
「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
食器を片付けながら幽々子様と言葉を交わす。
食事を作っている間に、大分落ち着きを取り戻すことが出来た。
そして、自分の中に出来上がった推論を幽々子様にぶつけてみる覚悟も。
「こちらを。食後のお茶でございます」
「……紅茶と…………さくらんぼ?」
「はい。外の世界から取り寄せたものです。濃いめに入れた紅茶と合うかと思いまして」
「そう……いただくわ」
ゆっくりとした動作でティーカップを持ち上げる幽々子様。そんな自然な動きが、たまらなく絵になるお方だ。
ひとしきり香りを楽しまれた後、そっとカップを傾ける。
ズドン
ズドンズドン
始まったな、まもなく紫様がお目覚めになる。さて、そろそろ直截切り込むとしようか。
「幽々子様。初めから素直におっしゃっていただいていれば、ご協力出来ましたものを」
「私は最初から正直よ? 妖夢のあまりの無体に耐えられなくなって家を出てきたの」
まだ言うか。
「あまり嘘ばかりつかれますと閻魔に舌を抜かれますよ。食べる楽しみが無くなっては一大事でしょうに」
「もう一枚の舌で味わうから問題ないわ」
「正直者に二枚目の舌はございません」
「ふふっ、そうかもしれないわね」
互いに笑いあう。
「この前、妖夢に一日暇をあげたの。そしたら夕方ごろ晴れ晴れとした顔で帰ってきて『今日はいつもより有意義な鍛錬が出来ました』なんて言うのよ」
「それはそれは」
苦笑するしかない。なんとも彼女らしいとも言えるが、せっかくの休日を修行に費やしてしまうとは。
妖夢は、西行寺家の御庭番という位置からしか、自己を見ることが出来ないのだろう。
幽々子様の顔に、僅かながら苦悩の色が伺える。
「直截言ってあげればよろしいのでは? 『たまには息抜きも必要でしょう』と」
「私以外の言葉なら、ね。あの子にとって西行寺の言葉は絶対なの」
命令されての息抜きなんて不毛よね。と呟かれる。
そういった気持ちも理解できないでもないが、私と紫様の間では、いささか成り立たない感情ではある。
主人と式の関係ならば、主人の『休みなさい』という言葉に逆らう道理はない。
もっとも、紫様からそんな言葉を聞いたことなど一度たりともないが。
「本人が幸せなら、そういう生き方もアリなのではないですか」
「……そうね。だからこれは我儘なの。『探さないで』なんて置き手紙一枚残して出てきたものの、妖夢を不安がらせるだけだというのも理解してる」
「今頃、顕界を走り回って貴女を捜しているかもしれません」
「どうかしら。手紙に従って家で待ち続けているかもしれない」
「いずれにしても妖夢は現在、幸せとはほど遠い心持ちでしょうね」
言葉が消える。幽々子様は御自身の『死を操る程度の能力』を正しく把握されている。
妖夢と一緒に人里へ遊びに、とは言えない立場であることも。
理由は違えど衝動的ではあったのだ。
幽々子様に仕えることを至上の喜びとする妖夢。
妖夢に年頃の娘らしい幸せを知って貰いたい幽々子様。
どちらが間違っているわけでもない。ただ、ほんの少しすれ違っただけなのだ。
<藍、藍。聞こえるかしら?>
突如思考に言葉が割り込んでくる。紫様からの念話だった。
<はい。聞こえております>
意外にも、あんな起こし方をした割には声に怒気が含まれていない気がする。
打ち所が悪かったのかもしれないな。
<聞こえてるわよ>
<申し訳ございません>
しまった、つい表層で考えてしまったか。このプライバシーもへったくれもない伝達方法を、紫様はあまり好まれない。
私は、この距離を無視できる感覚が気に入っていて、数百年前『これからは全てこれで会話しませんか?』と提案したことがある。
その時、紫様は『歩くのが面倒だからずっと自動車に乗っていませんか。って言われてるみたいね。何事も使わなければ衰えていくだけよ』と私を窘めた。
あの頃私は若かった。さておき。
<紫様、事情は……>
<だいたい、ね。橙から聞いたし、妖夢も連れてきて少し話したわ。でも、どうにもかみ合わないのよねぇ>
おお、もう妖夢はこちらに連れてこられていたのか。橙もしっかりと役目を果たしたようだな。偉いぞ、ちぇん。
む? 最後に気になる言い回しをされたような。
<かみ合わない、ですか>
<ねぇ藍。私が見つけたとき、妖夢は何処に居たと思う?>
<白玉楼ではないのですか?>
もちろん、幽々子様を捜し回っていた可能性もあるから、一概には言えないが。
そして、次に紫様が発した言葉は私を驚かせるのに十分なものだった。
<違う。あの子は、人里にいたのよ。随分と上機嫌に通りを歩いていたわ>
※
※
※
信じられない気持ちで一杯だった。主人が失踪したにも関わらず、捜しもせず人里にいた。
その事実が示すものは……だめだ、次々と悪い考えが浮かんでくる。
それらを否定する材料が、あまりにも少なすぎた。
頭がくらくらする。
式などというつながりがなくとも、主従の絆は変わらない。
そんな想いを裏切られた様な気がして。
やるせなかった、それ以上に悲しくなった。
<…………ね。……の…………!>
紫様が何事か喋っているが、よくわからない。今は何も聞きたくない。
通話を一方的に遮断して、幽々子様に尋ねる。
「もしよろしければ、しばらく御逗留されませんか?」
「え?」
「妖夢には、こちらからそれとなく言っておきます。ですから」
「ありがとう。でもいいの」
毅然とした声色で答える幽々子様。そこには白玉楼当主の風格が確かにあった。
ああ、この人は。どうしてこんなにも。
「戻って妖夢に謝るわ。許してもらえるまで、何度でも」
誇り高くいられるのだろう。
※
※
※
居間の天井近くにスキマが開く。
そこから出てきたのは、今、一番見たくない少女の姿だった。
「妖夢……」
私の声だったのかもしれないし、幽々子様の声だったのかもしれない。
私たちは、それぞれ違った思いで打ち付けた腰をさする少女を見やる。
何を考えて、紫様は妖夢をここへ送ったのだろう。
二人を仲直りさせるため? だがそれは叶わない。心の向きが違いすぎる。
幽々子様が、どれほど妖夢を大切に想っても、少女にそれが届くことはないだろう。
紫様にどのようなお考えがあったにせよ、今、この二人を会わせるのは残酷すぎる。
「幽々子様! こちらにいらしてたんですか」
妖夢は、幽々子様を見て顔を綻ばせる。もし、妖夢にしっぽが付いていたら間違いなくパタパタと振られるかのように。
おかしい。
妖夢は、人里に居たところを紫様に連れてこられたはずだ。
なのに後ろめたい様子も見せず、ここまで溌剌としていられるものだろうか。
「あのね、妖夢。貴女に聞いて欲しいことが---」「幽々子様」
主人の言葉を従者が遮る。
「本当に大変だったんですよ。あんな書き置きを残されて、意味を伺おうにも、何処にもいらっしゃらないし」
言葉に責めるような強さは無い。ただ『仕方がないなぁ』と諦念にも似た感情を滲ませる声。
私は、妖夢に掴みかからず我慢するだけで精一杯だった。仕方が無いのはどっちだ。
人里で遊ぶのがそれほど大変だとでも言うのか。
「でも、きちんと見つけて来ましたよ。はい! これです!!」
「え?」
なんだ? 妖夢は背負っていたナップザックから木箱を取り出して幽々子様に差し出す。大きさは15cm角の直方体。
何故だろう、とんでもなく嫌な予感がする。溜まっていた怒りが霧散していくのがわかる。
幽々子様が木箱を受け取り、中身を検める、そこには。
「器(うつわ)……?」
桔梗をあしらった薄茶色の器があった。両の手のひらでギリギリ包み込めるくらいの大きさで。
きょとんとする幽々子様。それはそうだろう、謝ろうとした相手から急にこんなものを渡されて驚かないわけがない。
!!!!!!
突如、稲妻の如く閃いたひとつの仮説。
あまりにも馬鹿げている。ただ、これなら紫様の仰っていた『かみ合わなさ』にも説明がつく。
そして、これらを裏付ける為にはただひとつ。妖夢に『あるもの』を見せてもらえばいい。
※
※
※
「ヨ、ヨウム」
「藍さん。ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです」
「アア……ト、ところで先ほどの話に出てきた書き置きとやら、今持っているのかい? 良ければ見せてもらいたいんだが」
うわずる声をなんとか整えて、妖夢に尋ねる。
「あ、はい。持ってます。えーと、これです」
懐から一枚の紙切れを取り出して渡してくれた。
喉が渇く、杞憂であって欲しい。
顔を青くしているであろう私を不審に思ったのか、幽々子様も近づいてきて私の手元をのぞき込む。
一瞬の後、私たちは顔を見合わせる。
「ユユコサマ……」
「あは、あはは。弘法も筆の誤りって言うじゃない?」
ぶちん
「巫山戯るな!! 弘法大師に謝れ!! 私にも謝れ!!!! こんな大事な文の漢字を間違える奴が何処にいる! こんなことの為に、紫様を起こしたんだぞ私は!! 妖夢、キミもキミだ! 主人が関西弁でこんな手紙を残したら、おかしいとは思わないのか!! 私と橙の平穏な日常を返せええええええええぇぇぇぇぇ!!!!」
突然喚き散らす私の姿に、妖夢は口をぽっかりと空けてこちらを見ている。
さぞや道化に見えることだろう。構うまい、笑いたければ笑え。
私の手から紙が滑り落ちる。そこには、こう書かれていた。
『深さないで』
おまけ
「ねぇ、いつのまに橙にあんな芸当を仕込んだの?」
「何のことですか」
「さっきのことよ。寝ていたら橙が漬物石を抱えて絶・天狼抜刀牙を仕掛けてきたんだけど」
「その昔、橙が『必殺技を教えてください』とせがんできたので、つい」
「本当に必殺よね、それ。私じゃ無かったら死んでるわよ」
「貴女は、その『必殺』技を3発喰らうまで起きなかったんですよね」
「てへ☆」
自らの式、橙と遅めの朝餉を取り、周囲に張ってある結界の様子を見に行っている間に橙が屋敷の掃除をする。
そんな、いつもの日常だったはずだ。
それが、何故こんな事になっているのだろう。
「ねぇ~妖夢ったらひどいのよ~。聞いて~」
まるで子供のように唇を尖らせながら、冥界白玉楼の主たる西行寺幽々子が私の腰にまとわりつき、袖を引く。
私、八雲藍は困惑の表情を張り付かせるしかなかった。
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屋敷を取り巻く感知結界に侵入者の気配を感じてまもなく、橙があわてた様子で駆け込んできた。
「藍様!お客様です」
「……客?」
橙が『客』と表現するということは、紅白貧乏巫女や黒白強欲魔法使いが食料や家財道具を狙って襲撃をかけてきたわけではなさそうだ。
紫様を訪ねてくる客など、そう多いものではない。
「これは幽々子様、ようこそいらっしゃいました」
橙の後ろに佇む人影を見て、私はすぐに挨拶をする。
「いらっしゃいましたー!」
私の言葉に続く橙、ああかわいいなぁちぇん。
だが幽々子様の様子がおかしい。いや、この方がおかしいのはいつものことなんだが。
「あいにくと紫様はおやすみ中ですが。どうぞ」
居間にお通しして、お茶とお茶請けを出しながら私は幽々子様を注意深く観察する。
ここに至るまで、幽々子様は一言も言葉を発しておられない。何かを堪えるように薄く唇を噛みしめているだけだ。
幽々子様とて紫様がこの時期に冬眠なされている事はご存じなはず。
「それで……いったいどのようなご用件で?」
幽々子様の様子から伺えるものが少なかったので、思い切って聞いてみた。
「……い……め……」
幽々子様が妖孤の耳をもってしても聞き取れないほど、わずかに声をもらす。
「え?」
「…いえ……たの。……か……めて」
「はい?」
私は不作法にも聞き返す。それほどに小さな声だったのだ。
そのとき、幽々子様がうつむき加減だった顔を上げて言う。
「家出してきたの!だから、泊めて」「だめです」
脊髄反射だった。むしろ最後の「て」に被せた。改行すら許さない。
「え~、なんでよ~。部屋は余ってるんでしょ? だったらいいじゃないの」
そういう問題では無い。と、いちいち説明しなければわからない方でもあるまいに。
傍らで見守る橙も、訳が分からず目を丸くしている。ああ、そういうお前もかわいいよちぇん。
「泊めて、泊めて、とめて、とめて、と~~め~~て~~~~!!」
こちらの拒絶がよほど不服だったのか、畳の上に仰向けになり手足をバタバタさせるだだっ子ポジションに移行する幽々子様。
あんた、いくつだ。
「何度言われてもダメなものはダメです。白玉楼の主たる貴女が、家出などするものではありません。それに、私には眠っている紫様をお守りする役目があります」
私は毅然とした態度で言い切る。
「私だって、紫の寝起きの悪さは知ってるから起こしたりしないわよ。別に仕事の邪魔したりするつもりもないし、食事さえ出してくれればそれでいいわ」
食事を要求するのかよ! というツッコミはせずに、私はだだっ子ポジションを終了させた幽々子様相手に、当然湧いてくる疑問を口にする。
「そもそも、何故家出などなさったのですか?」
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そして、一番最初の状況になったわけだが……。
あの半人半霊の少女と諍いを起こしたとしても、主人自らが家を出てくる道理にはなるまい。
きっと、大きな事情があるに違いない。ほどなく、幽々子様が語り始める。
「……あれは、昨日の夕方、6時のおやつの時だったわ」
「6時?おやつなのに6時なのですか」
「ああ、そこはあまり重要じゃないから流してちょうだい」
「はぁ」
間の抜けた声で返すも、やはり気になる。しかし、気にするなと言われてしまっては追求も難しい。
「その時間のおやつは金鍔(きんつば)。濃いめの煎茶と合わせると最高なのよね」
「ええ、そうですね」
何故だろう、背中にイヤな汗が流れる。私の直感が、この先を聞くなと警鐘を鳴らす。
「出てきた煎茶を一口飲んで、金鍔の乗った皿に目をやると」
だめだだめだだめだだめだだめだだめだ。言わせてはいけない。
「なんと!」
だが、止めることも出来ない。紫様お許し下さい、藍は弱い妖狐です。
「金鍔が5個しかなかったのよーーーーー!!!!」
よー、よー、よーと居間に幽々子様の声がこだまする。
握りしめた拳を解き、幽々子様が私に向き直る。
「ね、ひどい話でしょう?」
「夕餉の前に金鍔を5個も召し上がることが、ですか?」
「違うわ。5個しか出さないことが、よ」
とりあえず、その『そんなことも分からないの?』みたいな顔は止めて下さい。
無性に腹が立ちます。
なら普段はいくつ食べてるんだとか、それくらいのことで家出なんてするなとか、6時なのにおやつってどういうことだとか、とにかくツッコミどころが満載だった。
「そんなわけだから、妖夢が反省するまで泊めてちょうだい」
「帰れ! 超帰れ!」
やっと出てきた言葉がこれでも、誰も私を責められまい。
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それから少しして、私は台所で橙に手伝ってもらいながら2度目の朝食を準備していた。
どうやら私の言葉が幽々子様のくすぶっていた感情に火を付けたらしく、襟首を掴まれ庭に放り出された挙句(どこにそんな力があるのだろうか?)
鬼気迫る形相でルナティックな弾幕をおみまいされた。
結果、あちこちに擦り傷や打撲痕を作りながらも台所に立つ羽目に陥っているのだ。
これを理不尽と言わずしてなんと言おう。
「……大丈夫ですか、藍様」
ああちぇんよ、そんなに優しくしないでおくれ。私も当代最強の妖獣と言われた存在、これしきのことで心折れたりするものか。
手早く野菜を刻みながらも、頭はこたびの事態を収拾すべく動き続ける。
突然の幽々子様来訪、ばかばかしい理由での家出、ここ(マヨヒガ)に逗留することになるまでの流れ。
なんでもいい、なにか手がかりがあるはずだ。単なる戯れとも考えられるが、時が経てば白玉楼当主不在の報は彼岸にも届くだろう。
閻魔の耳に入ってしまっては『冗談でした。ゴメンね☆』では済まされなくなる。
その前になんとしても『自主的に』おかえりいただく必要がある。
そのためには、事件(?)当初の状況をできるだけ詳しく知るべきかもしれない。
<橙、おまえに頼みたいことがある>
橙に念話(主と式の間にだけ通用するテレパシーのようなもの)で話しかける。
久しぶりの念話に少々戸惑っていた橙も、私の真剣な様子に事態の深刻さを悟ったのか。
<はい、藍様。何なりとお申し付けください>
と、返してくる。こういう時、日頃の教育は間違っていなかったんだと確信する。イイコに育ったなぁちぇん。
「ねぇ~、ごはんまだ~~!?」
ぐしゃり
持っていた野菜を握りつぶす。決して意図的にではない。
誰のために脳みそフル回転させてると思ってるんだとか、主人の友人だと思って下手に出ていればあの人はとか断じて思ってない。……思ってないぞ。
あふれ出る涙も握りつぶした玉葱のせいだ、違いないそう決まった。
<あの……藍様?>
<ああ、この玉葱は新鮮だな。よく目に染みる>
<それ、じゃがいもですけど>
<玉葱だ>
<でも>
<玉葱だ>
<あの……>
<玉葱なんだ>
<…………はい>
主の心情を慮ってくれるか、ありがとう。今度お菓子を買ってきてやるからな。
幽々子様に適当な返事を返した後、もう一度橙に向き直る。
<まず……物石を……絶・……たら…………ずだ。そうしたら現状を説明する。わかったな?>
<ええっ! 紫様死んじゃいますよ!!>
<私の主を見くびるなよ? その程度でどうにかなるならとっくにやっている。これでも生ぬるいくらいだ>
<でも、せっかくお休み中なのに>
<御友人の不始末くらいフォローしていただいてもバチはあたらんよ。逆に『こんなに楽しそうな時に起こさなかったのか』と叱られるかもしれん>
いまだ渋る橙を強引に送り出し、食事の支度に戻る。
これで最終的な段取りの目処は立った。こういう問題は、当人同士の話し合いこそが最短の解決策なのだから。
あとは、気まぐれな姫君がフラッとどこかへ行かないようにつなぎ止めておけばいい。
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「ごちそうさま」
「お粗末様でした」
食器を片付けながら幽々子様と言葉を交わす。
食事を作っている間に、大分落ち着きを取り戻すことが出来た。
そして、自分の中に出来上がった推論を幽々子様にぶつけてみる覚悟も。
「こちらを。食後のお茶でございます」
「……紅茶と…………さくらんぼ?」
「はい。外の世界から取り寄せたものです。濃いめに入れた紅茶と合うかと思いまして」
「そう……いただくわ」
ゆっくりとした動作でティーカップを持ち上げる幽々子様。そんな自然な動きが、たまらなく絵になるお方だ。
ひとしきり香りを楽しまれた後、そっとカップを傾ける。
ズドン
ズドンズドン
始まったな、まもなく紫様がお目覚めになる。さて、そろそろ直截切り込むとしようか。
「幽々子様。初めから素直におっしゃっていただいていれば、ご協力出来ましたものを」
「私は最初から正直よ? 妖夢のあまりの無体に耐えられなくなって家を出てきたの」
まだ言うか。
「あまり嘘ばかりつかれますと閻魔に舌を抜かれますよ。食べる楽しみが無くなっては一大事でしょうに」
「もう一枚の舌で味わうから問題ないわ」
「正直者に二枚目の舌はございません」
「ふふっ、そうかもしれないわね」
互いに笑いあう。
「この前、妖夢に一日暇をあげたの。そしたら夕方ごろ晴れ晴れとした顔で帰ってきて『今日はいつもより有意義な鍛錬が出来ました』なんて言うのよ」
「それはそれは」
苦笑するしかない。なんとも彼女らしいとも言えるが、せっかくの休日を修行に費やしてしまうとは。
妖夢は、西行寺家の御庭番という位置からしか、自己を見ることが出来ないのだろう。
幽々子様の顔に、僅かながら苦悩の色が伺える。
「直截言ってあげればよろしいのでは? 『たまには息抜きも必要でしょう』と」
「私以外の言葉なら、ね。あの子にとって西行寺の言葉は絶対なの」
命令されての息抜きなんて不毛よね。と呟かれる。
そういった気持ちも理解できないでもないが、私と紫様の間では、いささか成り立たない感情ではある。
主人と式の関係ならば、主人の『休みなさい』という言葉に逆らう道理はない。
もっとも、紫様からそんな言葉を聞いたことなど一度たりともないが。
「本人が幸せなら、そういう生き方もアリなのではないですか」
「……そうね。だからこれは我儘なの。『探さないで』なんて置き手紙一枚残して出てきたものの、妖夢を不安がらせるだけだというのも理解してる」
「今頃、顕界を走り回って貴女を捜しているかもしれません」
「どうかしら。手紙に従って家で待ち続けているかもしれない」
「いずれにしても妖夢は現在、幸せとはほど遠い心持ちでしょうね」
言葉が消える。幽々子様は御自身の『死を操る程度の能力』を正しく把握されている。
妖夢と一緒に人里へ遊びに、とは言えない立場であることも。
理由は違えど衝動的ではあったのだ。
幽々子様に仕えることを至上の喜びとする妖夢。
妖夢に年頃の娘らしい幸せを知って貰いたい幽々子様。
どちらが間違っているわけでもない。ただ、ほんの少しすれ違っただけなのだ。
<藍、藍。聞こえるかしら?>
突如思考に言葉が割り込んでくる。紫様からの念話だった。
<はい。聞こえております>
意外にも、あんな起こし方をした割には声に怒気が含まれていない気がする。
打ち所が悪かったのかもしれないな。
<聞こえてるわよ>
<申し訳ございません>
しまった、つい表層で考えてしまったか。このプライバシーもへったくれもない伝達方法を、紫様はあまり好まれない。
私は、この距離を無視できる感覚が気に入っていて、数百年前『これからは全てこれで会話しませんか?』と提案したことがある。
その時、紫様は『歩くのが面倒だからずっと自動車に乗っていませんか。って言われてるみたいね。何事も使わなければ衰えていくだけよ』と私を窘めた。
あの頃私は若かった。さておき。
<紫様、事情は……>
<だいたい、ね。橙から聞いたし、妖夢も連れてきて少し話したわ。でも、どうにもかみ合わないのよねぇ>
おお、もう妖夢はこちらに連れてこられていたのか。橙もしっかりと役目を果たしたようだな。偉いぞ、ちぇん。
む? 最後に気になる言い回しをされたような。
<かみ合わない、ですか>
<ねぇ藍。私が見つけたとき、妖夢は何処に居たと思う?>
<白玉楼ではないのですか?>
もちろん、幽々子様を捜し回っていた可能性もあるから、一概には言えないが。
そして、次に紫様が発した言葉は私を驚かせるのに十分なものだった。
<違う。あの子は、人里にいたのよ。随分と上機嫌に通りを歩いていたわ>
※
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信じられない気持ちで一杯だった。主人が失踪したにも関わらず、捜しもせず人里にいた。
その事実が示すものは……だめだ、次々と悪い考えが浮かんでくる。
それらを否定する材料が、あまりにも少なすぎた。
頭がくらくらする。
式などというつながりがなくとも、主従の絆は変わらない。
そんな想いを裏切られた様な気がして。
やるせなかった、それ以上に悲しくなった。
<…………ね。……の…………!>
紫様が何事か喋っているが、よくわからない。今は何も聞きたくない。
通話を一方的に遮断して、幽々子様に尋ねる。
「もしよろしければ、しばらく御逗留されませんか?」
「え?」
「妖夢には、こちらからそれとなく言っておきます。ですから」
「ありがとう。でもいいの」
毅然とした声色で答える幽々子様。そこには白玉楼当主の風格が確かにあった。
ああ、この人は。どうしてこんなにも。
「戻って妖夢に謝るわ。許してもらえるまで、何度でも」
誇り高くいられるのだろう。
※
※
※
居間の天井近くにスキマが開く。
そこから出てきたのは、今、一番見たくない少女の姿だった。
「妖夢……」
私の声だったのかもしれないし、幽々子様の声だったのかもしれない。
私たちは、それぞれ違った思いで打ち付けた腰をさする少女を見やる。
何を考えて、紫様は妖夢をここへ送ったのだろう。
二人を仲直りさせるため? だがそれは叶わない。心の向きが違いすぎる。
幽々子様が、どれほど妖夢を大切に想っても、少女にそれが届くことはないだろう。
紫様にどのようなお考えがあったにせよ、今、この二人を会わせるのは残酷すぎる。
「幽々子様! こちらにいらしてたんですか」
妖夢は、幽々子様を見て顔を綻ばせる。もし、妖夢にしっぽが付いていたら間違いなくパタパタと振られるかのように。
おかしい。
妖夢は、人里に居たところを紫様に連れてこられたはずだ。
なのに後ろめたい様子も見せず、ここまで溌剌としていられるものだろうか。
「あのね、妖夢。貴女に聞いて欲しいことが---」「幽々子様」
主人の言葉を従者が遮る。
「本当に大変だったんですよ。あんな書き置きを残されて、意味を伺おうにも、何処にもいらっしゃらないし」
言葉に責めるような強さは無い。ただ『仕方がないなぁ』と諦念にも似た感情を滲ませる声。
私は、妖夢に掴みかからず我慢するだけで精一杯だった。仕方が無いのはどっちだ。
人里で遊ぶのがそれほど大変だとでも言うのか。
「でも、きちんと見つけて来ましたよ。はい! これです!!」
「え?」
なんだ? 妖夢は背負っていたナップザックから木箱を取り出して幽々子様に差し出す。大きさは15cm角の直方体。
何故だろう、とんでもなく嫌な予感がする。溜まっていた怒りが霧散していくのがわかる。
幽々子様が木箱を受け取り、中身を検める、そこには。
「器(うつわ)……?」
桔梗をあしらった薄茶色の器があった。両の手のひらでギリギリ包み込めるくらいの大きさで。
きょとんとする幽々子様。それはそうだろう、謝ろうとした相手から急にこんなものを渡されて驚かないわけがない。
!!!!!!
突如、稲妻の如く閃いたひとつの仮説。
あまりにも馬鹿げている。ただ、これなら紫様の仰っていた『かみ合わなさ』にも説明がつく。
そして、これらを裏付ける為にはただひとつ。妖夢に『あるもの』を見せてもらえばいい。
※
※
※
「ヨ、ヨウム」
「藍さん。ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです」
「アア……ト、ところで先ほどの話に出てきた書き置きとやら、今持っているのかい? 良ければ見せてもらいたいんだが」
うわずる声をなんとか整えて、妖夢に尋ねる。
「あ、はい。持ってます。えーと、これです」
懐から一枚の紙切れを取り出して渡してくれた。
喉が渇く、杞憂であって欲しい。
顔を青くしているであろう私を不審に思ったのか、幽々子様も近づいてきて私の手元をのぞき込む。
一瞬の後、私たちは顔を見合わせる。
「ユユコサマ……」
「あは、あはは。弘法も筆の誤りって言うじゃない?」
ぶちん
「巫山戯るな!! 弘法大師に謝れ!! 私にも謝れ!!!! こんな大事な文の漢字を間違える奴が何処にいる! こんなことの為に、紫様を起こしたんだぞ私は!! 妖夢、キミもキミだ! 主人が関西弁でこんな手紙を残したら、おかしいとは思わないのか!! 私と橙の平穏な日常を返せええええええええぇぇぇぇぇ!!!!」
突然喚き散らす私の姿に、妖夢は口をぽっかりと空けてこちらを見ている。
さぞや道化に見えることだろう。構うまい、笑いたければ笑え。
私の手から紙が滑り落ちる。そこには、こう書かれていた。
『深さないで』
おまけ
「ねぇ、いつのまに橙にあんな芸当を仕込んだの?」
「何のことですか」
「さっきのことよ。寝ていたら橙が漬物石を抱えて絶・天狼抜刀牙を仕掛けてきたんだけど」
「その昔、橙が『必殺技を教えてください』とせがんできたので、つい」
「本当に必殺よね、それ。私じゃ無かったら死んでるわよ」
「貴女は、その『必殺』技を3発喰らうまで起きなかったんですよね」
「てへ☆」
深さと器にどんな関係が? 関西弁特有の言い回しなのでしょうか?
皿の深さ(ふかさ)がないで
つまり皿が浅いって事ではないでしょうか?
でも何故わざわざ器を買いに人里まで行ったんでしょうか?
器なら食器棚に有りそうな気がしますが…
正しくは『探さないで』を『深さないで』以下略です。大変失礼しました。
この作品は『オチありき』な部分がありまして
オチに向かって突き進む、という書き方のせいか結構な誤解を与えてしまう可能性は考えていました
そのあたり、描写力不足を痛感します
登場人物全員を納得いく形で読者様に見せられない時点で、俺の負けですね
次は負けない(ぇ