今日は月に一度の、幼きデーモンロードな日だったりする。畏怖されるべき存在レミリア・スカーレットは影を潜め、その姿は幼い少女へと変貌するのだ。
皆はそんな彼女を「れみりゃ」と呼ぶ。
S夜さん:ええ、そりゃあもう可愛いと言うか蝶・可愛いです犯罪的です飛びかかりたいです食べちゃいたいです。ああもう、想像するだけではなぢが。何が可愛いかって、まz(略)
R夢さん:一回見ただけだけど、小生意気な普段と違って素直だから、私から見ても可愛いと思うわよ。でも某メイド長みたいにはなりたくないわね。
Pリーさん:え、れみりゃ状態のレミィのこと? そうね、同性から見ても可愛いと思うわ。素直だし。白黒と違ってひねてないし。そう言えばこの前なんて(中略)。……あら、M理沙、なんで泣いてるの?
C国:ここでもこんな扱いなのねー。(ねー、ねー、ねー)
Fランさん:ちっさい姉様? そうね、普段のピリっとした感覚が、急にクッションに包まれたようなそれになるっていうのかしら? まあ、可愛いと言えば可愛いわね。それよりもさ、新しいスペルカード編み出したんだ! ちょっと見てってよ! 大丈夫、たぶん、きっと、おそらく、死なないから。
ギニャー
「いたた……、な、なんとか避け切ったぜ……」
満身創痍になりつつも、魔理沙はなんとか生還した。服のあちこちに焦げた跡があり、白い肌が少々露出している。
「でもまあ、これで大体のことはわかったぜ」
話には聞いていたが、今日が実際に、レミリアがれみりゃになる日らしい。それはどんなものなのか、事前に知識を仕入れておく必要があると思った彼女は、それを知るであろう人物にインタビューを敢行した。
回答から、魔理沙は推測する。(一部あてにならず)
「素直で、可愛くて、クッション」
――ああ、わかるんだかわからないんだか。
魔理沙は遠い目をしながら、人付き合いを考えた。
「さくや、れいむ、あそぼ」
そして現場に到着した彼女が見たものは、まさに言葉どおりのそれだった。素直で、可愛くて、クッション。
以前感じた、全身をナイフで武装したような棘はなく、柔らかかった。クッションだった。
「はいはい、お嬢様。なにをするんですか?」
咲夜がにこにこ笑いながら、しかし腕とか、脚とかがぷるぷる震えている。よく見れば顔が、それはもうすごいことになっていた。鼻から覗くは赤。気がつけばもうティッシュが詰められていた。インタビューを思い返して、魔理沙は引きつった笑みを浮かべた。
霊夢はそんな二人に従うように、言われたとおりにしている。ただ、彼女も笑顔を浮かべているので、悪い気はしていないのだろう。
「これはなんていう遊びなの? レミリア」
「えーとね」
霊夢と咲夜とれみりゃがロープを持って輪を象っていた。そしてれみりゃはキョロキョロと辺りを見回してから、
「ちゅーごくちゅーごくー!」
と叫んだ。
「お呼びですか? お嬢様」
そしてすぐに、紅魔館の門番が現れた。本名ではなくあだ名で統一されているあたりに、魔理沙は彼女を不憫だと思った。
――あれ、こいつの名前ってなんだっけ? 魔理沙は考えたが、結局出てこなかった。
「この中にはいってー」
「こうですか?」
輪の中に入れると、れみりゃは咲夜と霊夢に「しゃがんで」と言って、自分もしゃがんだ。
そしてそのまま、だんまりが始まる。
「……あの、お嬢様。これはいったい、何をなさっているのですか?」
「パチュリーからおしえてもらったの。こうやってだれかをかこんで、その人のみらいにぜつぼうするんだよ。『絶望』って言うんだって」
「そ、そうですか」
「うわーん、私はいつもこんな扱いなのねー」
魔理沙は二度、門番を憐れんだ。それでも名前は出てこなかった。
それと、パチュリーは一回シメておくべきだろうか、とも考えた。でも、まあいいか、でその考えを打ち切った。
その遊びは、門番的存在が泣きながら走り去るまで続いた。八分三十秒。
そのあとは、魔理沙も交えての弾幕ごっこが展開されて、そこに通りかかったフランドールが乱入。紅魔館の存在を懸けた(?)遊びと相成った。終わったあとには、疲弊しきったメイド長と巫女と、魔法少女がいた。れみりゃとフランドールはピカピカの無傷で、すっきりしていた。
魔理沙は、もう二度とちっさいレミリアには関わりたくない、と、ぼんやりした意識で考えていた。
しかしれみりゃ化は一月に一度の、避けられない現象。
結局翌月、偶然にもまた出くわしてしまい、同じ運命をたどったわけである。
「パチュリー様、その本はなんですか?」
「人間界の落し物よ。『○手に○蔵』って言うんだけどね、レミィに見せたら興味津々だったわ」
皆はそんな彼女を「れみりゃ」と呼ぶ。
S夜さん:ええ、そりゃあもう可愛いと言うか蝶・可愛いです犯罪的です飛びかかりたいです食べちゃいたいです。ああもう、想像するだけではなぢが。何が可愛いかって、まz(略)
R夢さん:一回見ただけだけど、小生意気な普段と違って素直だから、私から見ても可愛いと思うわよ。でも某メイド長みたいにはなりたくないわね。
Pリーさん:え、れみりゃ状態のレミィのこと? そうね、同性から見ても可愛いと思うわ。素直だし。白黒と違ってひねてないし。そう言えばこの前なんて(中略)。……あら、M理沙、なんで泣いてるの?
C国:ここでもこんな扱いなのねー。(ねー、ねー、ねー)
Fランさん:ちっさい姉様? そうね、普段のピリっとした感覚が、急にクッションに包まれたようなそれになるっていうのかしら? まあ、可愛いと言えば可愛いわね。それよりもさ、新しいスペルカード編み出したんだ! ちょっと見てってよ! 大丈夫、たぶん、きっと、おそらく、死なないから。
ギニャー
「いたた……、な、なんとか避け切ったぜ……」
満身創痍になりつつも、魔理沙はなんとか生還した。服のあちこちに焦げた跡があり、白い肌が少々露出している。
「でもまあ、これで大体のことはわかったぜ」
話には聞いていたが、今日が実際に、レミリアがれみりゃになる日らしい。それはどんなものなのか、事前に知識を仕入れておく必要があると思った彼女は、それを知るであろう人物にインタビューを敢行した。
回答から、魔理沙は推測する。(一部あてにならず)
「素直で、可愛くて、クッション」
――ああ、わかるんだかわからないんだか。
魔理沙は遠い目をしながら、人付き合いを考えた。
「さくや、れいむ、あそぼ」
そして現場に到着した彼女が見たものは、まさに言葉どおりのそれだった。素直で、可愛くて、クッション。
以前感じた、全身をナイフで武装したような棘はなく、柔らかかった。クッションだった。
「はいはい、お嬢様。なにをするんですか?」
咲夜がにこにこ笑いながら、しかし腕とか、脚とかがぷるぷる震えている。よく見れば顔が、それはもうすごいことになっていた。鼻から覗くは赤。気がつけばもうティッシュが詰められていた。インタビューを思い返して、魔理沙は引きつった笑みを浮かべた。
霊夢はそんな二人に従うように、言われたとおりにしている。ただ、彼女も笑顔を浮かべているので、悪い気はしていないのだろう。
「これはなんていう遊びなの? レミリア」
「えーとね」
霊夢と咲夜とれみりゃがロープを持って輪を象っていた。そしてれみりゃはキョロキョロと辺りを見回してから、
「ちゅーごくちゅーごくー!」
と叫んだ。
「お呼びですか? お嬢様」
そしてすぐに、紅魔館の門番が現れた。本名ではなくあだ名で統一されているあたりに、魔理沙は彼女を不憫だと思った。
――あれ、こいつの名前ってなんだっけ? 魔理沙は考えたが、結局出てこなかった。
「この中にはいってー」
「こうですか?」
輪の中に入れると、れみりゃは咲夜と霊夢に「しゃがんで」と言って、自分もしゃがんだ。
そしてそのまま、だんまりが始まる。
「……あの、お嬢様。これはいったい、何をなさっているのですか?」
「パチュリーからおしえてもらったの。こうやってだれかをかこんで、その人のみらいにぜつぼうするんだよ。『絶望』って言うんだって」
「そ、そうですか」
「うわーん、私はいつもこんな扱いなのねー」
魔理沙は二度、門番を憐れんだ。それでも名前は出てこなかった。
それと、パチュリーは一回シメておくべきだろうか、とも考えた。でも、まあいいか、でその考えを打ち切った。
その遊びは、門番的存在が泣きながら走り去るまで続いた。八分三十秒。
そのあとは、魔理沙も交えての弾幕ごっこが展開されて、そこに通りかかったフランドールが乱入。紅魔館の存在を懸けた(?)遊びと相成った。終わったあとには、疲弊しきったメイド長と巫女と、魔法少女がいた。れみりゃとフランドールはピカピカの無傷で、すっきりしていた。
魔理沙は、もう二度とちっさいレミリアには関わりたくない、と、ぼんやりした意識で考えていた。
しかしれみりゃ化は一月に一度の、避けられない現象。
結局翌月、偶然にもまた出くわしてしまい、同じ運命をたどったわけである。
「パチュリー様、その本はなんですか?」
「人間界の落し物よ。『○手に○蔵』って言うんだけどね、レミィに見せたら興味津々だったわ」