Coolier - 新生・東方創想話

秋:そして、夏の終わり

2004/10/26 02:54:00
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 あれほどくそ暑かった夏も、いい加減そろそろ終わりらしい。蝉の声も日に日に減っていく。
 暑くて死ぬぜなんて言ってたくせに、いざ夏が終わるとなったら、なんか気に食わない私はきっと根っからのひねくれ物なんだろうぜ、多分な。

「やっほー魔理沙~。遊びに来たよー」
「だからチルノよ。この間のあれは冗談だって何度言えば分かるわけだ?」
「ああもう大丈夫大丈夫、そんな照れなくても分かってるって♪」
「人の話を聞けよ……」
 ……まあ何事にも例外はあるわけなんだが。
 あれから数日して、チルノの怪我も無事に治ったらしい。しかし……1日おきか2日おきには必ずと言って良いほどチルノの奴がうちに来るようになってたりしている。
 いくら涼しいとはいえ、だぜ。誰でも良いからどーにかしてくれ。
「はぁ……」
 相当に私らしくない事この上ないが、思わず机にひじを付いて溜息をつく始末だ。
 その机の上にはここ数日の成果な薬瓶が1本。成果と言ったって、今じゃただの役立たず以外の何物でもないんだが。
「どうしたの魔理沙、何か悩み事?」
「まあな。これでも私は悩みなんか無いと言い切る、どこぞの七色馬鹿よりは繊細なんだぜ」
 へーあんたって繊細だったんだ、というアリスの声が脳裏に聞こえた気がしたが思いっきり無視してやる。
「んー。ところでこれ、何なの?」
 側に寄ってきたチルノが、こっちにくっつきながら机の瓶を指さす。いい加減少し寒いんで、チルノを押し返すがすぐにまた引っ付いてくるから意味が無い。
「これか? ……まあ、ただのゴミだぜ」
 正確には昨日まではゴミじゃなかったんだけどな。一からチルノに説明する気もあんまりないんで、とりあえずおもむろに後ろにやる気なく放り投げる。
「あー!! もう魔理沙、ただでさえ部屋掃除大変なんだからそういう事しないでよ~!」
「あ、悪い悪い。ついな」
 私としたら一応ありがたい事ではあるんだが、チルノはうちにいる時間の半分くらいは部屋の片付けをしていって帰っていく。
 一度『今は忙しいから帰れ』と言った事があるんだが『じゃあ、部屋の掃除してるよ。魔理沙の家ってほおっておいたら住めなくなりそうだもの』という言葉に、つい渡りに船とばかりに同意したのが始まりだったんだが。
 逆に言ったら、家が散らかっている限りいつでも来ていいという免罪符をチルノに与えた事に気が付いたのは、つい昨日だ。最近どうにも頭の音速が遅くなってる気がするぜ。
 しょうがないなぁ、などと言いながらそれでも掃除を始めるチルノを横目に、昨日アリスの家であった事を私はぼんやりと思い出した。
 まあ極めてロクでもない出来事なんだが。




「おーいアリス。いるか~?」 
 数日調合室に篭ってついに出来た完成品を持って意気揚揚とアリスの所に出かける。家に近づくと返事とばかりにレーザーが飛んでくるが、そんなもんはいつもの事なんで気にしないぜ。
 あっさりかわしたのを見てとったのか、アリスの奴が家から出てきた。
「何よ魔理沙、一体何の用?」
「そういう台詞は攻撃の前に言えよ。実はちょっとお前さんに見て欲しいもんがあってな。別にパチェでも良かったんだが、まだ寝込んでるらしいし」
 パチェには一度本を借りにいくついでに見舞いにいったんだが、司書の小悪魔に
「パチュリー様は何かショックな事があったようで……今日も喘息で寝込んでいらっしゃいます」
 と言われて結局会えなかったしな。相当きつそうらしい。


 ……いやまあ。
 確かに変なもん見せたのは認めるが、そこまでショック受けんでもという気はするけどなぁ。
「ダメ、私は忙しいのよ。大体魔理沙も忙しいんじゃないの、可愛い恋人とよろしくやるので」
 その時アリスからにべもなくすっぱり断られた上に、レーザーなんかよりも、よっぽど嫌な攻撃が飛んでくる。
 ……いや待て。落ち着け私。別に今日は弾幕りにきたわけじゃないんだからな。
「おほん。……まあ、つまらん冗談はさておくとしてだ」
「あら? 私は思いっきり本気で言ってるんだけど」
 さらっと流してやろうと思ったにも関わらず、アリスはしつこかった。
 しかもクスクスと笑いながら。……ほぅ。この間の霊夢といい実に良い態度じゃないか、アリス。
「はっはっは。……どうやら話をする前に一度弾幕っておく必要があるらしいな。私に変な趣味は無いと何度も言ってるだろうが。あんまり人をからかってると私になるぜ」
「それだけは嫌ね。でも良く言うじゃない、人の噂も七十五日って。だから後二ヶ月くらいは我慢したら、魔理沙?」
「お前さんは人じゃないだろうが!」
 そうして、今日もやっぱりアリスと弾幕ごっこが始まる。 
 なるだろうと思ってはいたけどな、やっぱりこうなったか。


 で、それから10分後。
「さあ私が勝ったんだから約束どおり話を聞いてもらうぜ。約束は今作ったけどな」
「……なによ。さっさと言いなさいよ」
 アリスは使い魔の上海人形をぎゅっと抱えて地面に座りこんだままむくれている。
 ……しかし、こうして見てるとある意味アリスも変な趣味だよな……とか言ったら確実に第二幕が始まるんだろうが、無駄だからやめておく。
「こいつを見てくれ。どうだ?」
「ん? 魔理沙……何の魔法薬よ、これ」
 瓶には白い錠剤がびっちり入っている。久しぶりに気合入れて作った自信作だ。
「まあ一言で言うと忘れ薬だな。飛ばしたい記憶だけを限定して忘れさせる事ができる優れものだぜ。ついでに言うと水に簡単に溶けて、無味無臭だからなんの問題もなし。こいつをちょっと見てもらおうと思ってな、どんな感じだ?」
 えっへんと胸を張ってみる。
 とは言え、こんなもん誰にもかれにも使おうと思って作ったわけじゃない。チルノの一件覚えてる連中に綺麗さっぱり忘れてもらおうと思って開発した代物だ。
「へー。これをチルノに飲ませて全部無かった事にしようって、そういう事?」
「……うんにゃ。あいつに飲ませるのだけは、いくらなんでも酷いだろ。外野に使うだけだぜ」
 そう言って首を横に振る。
 正直当初は私もそのつもりだったが、いくら誤解だからってそういうのは汚いだろう。


 この間の霊夢の言葉じゃないが、真剣な思いなら冷やかしたり魔法でかき回すのは私だって嫌いだ。
 そういうのはあまり許される事じゃないぜ。


 ……ただ冷やかしや変な誤解の膨らみまくってる外野は別だけどな。
「あらそう。でもいいのかしら、私にネタ晴らしなんかして。外野って私も入ってるんでしょ?」
「お前さんの場合は私の出す飲み物を素直に飲むなんて思えないから、別にいいんだよ」
 アリスの疑問に、私はさらっと答える。
 しかし、ただの事実を言っただけなんだが、何故かアリスは頭に手をやってプルプルと全身を震わせた。
「あのね……原因はあんたのせいでしょ。魔理沙が、何度も何度も、何も言わないで私を実験に使うからじゃないの……」
 おお、いい感じにアリスのこめかみがピクピクと動いてるな。
 ちなみにパチェじゃなくてアリスを選んだもう一つの理由がこれだ。アリスに飲ませようとしたって『あんたが先に飲んでから』とかなんとか言われるに決まってるからな。
 別にこいつにならネタばらししたって構わんだろう。
「仕方が無いだろ、使ってみるまで効果の不安な魔法薬なんて他の奴で試す訳にいかないだろうし」
「同じ考えを、私に対しても適用させなさいよっ!」
 アリスの怒鳴り声が響く。
 まったく短気な奴だな。
「でだ、それはどんな感じに見える?」
「……まあ、そうね。出来は良いんじゃない? 私も似たような薬作った事あるけれど、見たところ失敗もして無さそうだし。ただねえ……無駄でしょうね」
 しばらく憮然としていたアリスだったが、それなりに興味を持ったのかアリスはしばらく渡した瓶を眺めて、錠剤を取り出してみたりもしていた。
 しかし軽く肩をすくめた後に、いきなりおもむろに瓶をこっちに放り投げてくる。
 うわ、なんて事しやがる! 危なくキャッチ。霊夢だったら絶対に割ってたな。
「うおっとぉ! こら、瓶割れたらどうするつもりだアリス。これ作るのに3日かかったんだぞ」
「あらそう。でも別に割れたって大したこと無いわよ。だって、その薬って誰にも効かないもの」
 さらっとアリスは事もなげに言う。
 ……は?
「おい。今なんて言った、アリス?」
「私が作った時もそうだったんだけど、相手の心に微妙~な変化を与える魔法薬って、妖怪や元から魔力持ってる人間に対しては反発するの。互いの魔力が消しあっちゃって全然効果ないのよ」
 そう言ってアリスは苦笑する。おいおい、マジかそれ。
「嘘だよな? というか嘘といってくれ」 
「じゃあ試してみる? ほら」
 そうしてアリスは瓶から取り出して手の中にあった薬を一錠飲み込んだ。
 げ。アリスが自信万満に私の魔法薬飲むなんて初めて見たぞ。
 ……いや、しかしだ。
 それでもやって見るまでは分からんぜ。試しもしないで3日の努力がパーなんてのは嫌過ぎる。
「……よし、聞くぜアリス。半月前に私とチルノに何があった?」
「そうね。自爆覚悟のスペルでチルノに突っ込むは、うわごとでチルノの名前を言うは……確かキスまでしたんですって?」
「ダメだ、ダメダメだ。本格的に役に立たんぞこの薬!!」
 欠片も忘れてないアリスの言葉に、思わず頭を抱えたくなる。
 ……ん?
 って、おいちょっと待て。なんで途中で帰ったアリスがキスの事まで知ってる!?
「アリス。お前さんどうしてキスの件……」
「どうしてって。チルノが一部始終話しにうちまで来たもの。やっぱり本当の事だったのね」
 そう言ってアリスは小さくウインクした。
 ああ、なるほど。それなら納得だぜ。


 
 …………なにぃ――!?
「あんのバカ、うちに来ない日には何やってるのかと思ったら……というかアリス、お前人を誘導尋問にかけたなー!」
「じゃあ色々な疑問も解けた事だし、もういいでしょ魔理沙。それじゃあね」
「こらちょっと待てアリス」
 家に帰ろうと踵を返すアリスの服の裾を掴む。
 つんのめって危うく転びそうになるアリスだったが、そんな事を気にしてる場合じゃない。
「何よ、危ないわね」
「……お前さんにこういうのを尋ねるのは嫌なんだがな。この状況にいるのがお前さんだったら、どうやってチルノの相手をする?」 
 認めたくないが、私が何か動けば動くほど事態が悪化してる気がする。まるで部屋を掃除すれば掃除するほど汚くなる、自分の部屋を見てるようだぜ。
 こうなったら人に聞くしかないだろうさ……人じゃないけどな。
 しかしアリスは一瞬の間をおいて、嫌なくらいにっこりとした笑顔で言った。
「昔からバカと恋心に付ける薬は無いって言うじゃない。どっちもしっかり持ちあわせてるチルノにはどうしようもないんじゃない?」
 それだけ言い残すと、今度こそ後ろ手を振って帰っていくアリス。
 うお、きっちり見捨てられたぜ。

 結局その日は、弾幕ごっこには勝ったっていうのに何か思い切り負けた気がして家に帰った。
 途中で妖怪の群れがちょっかいかけてきたから、ちょっと必要以上に全力でふっとばしたけどな。まあ、ただのやつあたりだ。



「はい魔理沙、これ。もう部屋の中に投げ捨てたりしちゃダメだからね!」
 昨日の事を思い出していると、チルノが私の前に投げ捨てた瓶をトンと置いた。
 ……いや、まあチルノは可愛い奴だとは思うぜ。チルノがこれだけ一途だとも思わなかったし。
 しかしだ。私にそんな趣味は無い!
 試しに別にチルノの顔をじーっと見てたって何の気も起きないぜ。起きてたまるか。
「……? 魔理沙、どうしたの?」
 じーっと見つめる私の視線に気が付いたのか、首を傾げるチルノ。透き通るような青い瞳がこっちに向けられる。
 そんな趣味は無い……はずだぜ、多分。
 その時チルノの奴が、何かを思ったのか急に顔を赤くして、手を下におろしてもじもじとしだす。
 な、何だ! 何が起こった!?
「あ。も、もしかしてさ、魔理沙。私の顔が見たかった……のかな。ごめんね、前に来てから二日も開いちゃって……ちょっと色々あってさ」
 そのチルノの言葉に、カーンと金槌で頭を殴られたような衝撃に私は襲われた。
 この手の台詞は何度聞いても全然慣れられそうにないぜ。弾幕ごっこと違ってパターンの作りようがないから頭が痛いったらない。
「あー、とりあえず……だ。最近少し寝不足なんで私はちょっと昼寝するぜ。良かったら日が沈む位になったら起こしてくれ」
「うん分かった。魔理沙ちょっと疲れてるっぽいもん。ゆっくり寝た方が良いよー」
 現実逃避が半分、残りは実際に疲れてるってのもあるんだろうな。
 チルノに時間になったら起こすように頼んで布団に入ると、すぐにぐっすりだった。



『…りさ。まりさ~。もう夕方だよ魔理沙~』
 不意に耳元で小さくチルノの声がした。
 ……ん。なんだ、もう時間か? 
 しかし涼しくてかなり良い気持ちだ、もうちょっとこうしてるか。
「ん~。あと270秒くらい寝かせてくれー」
 とりあえず適当な時間を言ってみた。
 するとチルノの『え? えっと、270秒って何分くらいだっけ。んーと9分くらいかな?』とかいう声が聞こえてくる。
 チルノは相変わらずバカだな……と思いつつ、寝ぼけた頭で目を軽くこする。


「えーと。んーと。1分が確か60秒で……」
 頭を捻っているチルノの顔が視界に飛びこんできた。いや、別にそれは普通だぜ。
 しかしだ。何故にチルノが私の隣で布団に入って横になってるんだっ!
「分かった5分!!」
「4分半だぜ……じゃなくてだ! チルノ、なんでお前が私の布団の中にいる!?」
「んー。私も最近ちょっと疲れてるから、休もうかなーって思ったんだけど」
 ……話がかみ合っていないように感じるのは私の気のせいか? 全然気のせいじゃないな。
「で、どうして布団の中なんだ?」
 目どころか色々当てられないヤバめな状況の中で、それでもチルノに聞いてみる。
「……魔理沙のかわいい寝顔を、一番近くで見たかったから、かな……」
 至近距離で、よりにもよってこんな事を言いやがった。しかも布団の端をぎゅっと握りながら。
 とんでもない事を言われて流石にガバッと跳ね起きた。眠気なんて、それこそ完璧に吹き飛んだぜ。
「い、いいかチルノ。こーゆーのはよせ。心臓に悪すぎだ。それから疲れてるんだったら素直に帰って寝ろ!」
 さ……流石に今のは色々と怖かったぞ。
 いや、マジな話で何やらかなりドキドキした。ドキドキの正体はいまいち良く分からんが。
「実はさ、私もやってみたら結構恥ずかしかった。しばらくやめとくね、えへへ」
 そしてトドメとばかりに照れ笑いをしながらこっちを見て来るチルノ。
 くぁ。どうして、そういう威力でかすぎる攻撃を平然と撃って来るんだお前はっ!!
 そんな中で、不意に脳裏にアリスのバカが言った昨日の台詞が思い浮かぶ。 


『昔からバカと恋心に付ける薬は無いって言うじゃない』


 言いえて妙な気はするな、確かに。あまり納得したくないが。
「しかしチルノよ。お前さん、そんな疲れるような事してるのか?」
 仕方が無いから平静のフリしながら話を逸らす。もちろんベットからは起き上がってだぜ。
 その言葉にはチルノも首をひねった。
「どうなんだろ。別に何も疲れる事なんかしてないけどな~」
 そうして何とも無いと言わんばかりに、チルノは羽をパタパタさせてくるくる飛び回る。
 その時、今さらながらにある事に気が付いた。
「ん? チルノ、お前その羽どうした?」
 チルノの新しい何枚かの羽の根元には、結構目立つ細かいヒビのような傷が入っていた。
「あ、これ? 前の羽折れちゃった時の影響なのか何なのか分かんないけど、生え変わった時にも傷が残っちゃったみたい」
 くるんと後ろを振り返りながら、チルノはあっけらかんとした風に言う。
「……ごめんな、私が悪かった」
 何てこたない、思いっきり私のせいじゃないか。
 ちょっと……自己嫌悪だ。
 しかしチルノは手を横にブンブンと振る。
「もうやだな、魔理沙の為だったんだもん私は全然気にしてないし。大体魔理沙がごめんとか言うの似合わないって。魔理沙はいつだって胸張ってないと! こんな風に」 
 そう言ってチルノの方が胸を張る。
 ……ははは。私らしくない、か。
 確かにその通りだぜ。チルノが気にしてないって言ってるのに、気にしすぎたら失礼だ。
「おお、言ったなチルノ。この霧雨魔理沙さんに偉そうに胸を張る勝負を挑む気か?」
 偉そうにするなら私はきっと幻想郷一だぜ。そんな訳で手本を見せてやる。全力で。
 その後、どちらともなくおかしくなって笑った。さっきまでの少し重い雰囲気も、それよりもう少し前の怪しい雰囲気も、綺麗に流れていく。
 チルノと、こうやってバカやって笑い合うのがこれだけ楽しいとは思わなかったぜ。
「じゃあ、私はそろそろ帰ろっかな~。いい加減夜にもなりそうだし」
「おう、気をつけて帰れよ。帰り道は覚えてるか?」
「あのね~魔理沙、帰り道忘れるほど私はバカじゃな――い!」
 そんな感じでチルノを玄関まで見送ってやる。
 しかし、ちゃんとこいつを見送るのって今日が初めてだな。次からはちゃんと茶でも出すか。
 そしてチルノは外に出ようとして、くるっと振り返った。
「あ、魔理沙に一つしつもーん。もし私が来なくなったらさ、魔理沙は寂しい?」 
 小さく舌を出して、いかにも冗談めかしたような感じで笑いながらこっちを向くチルノ。
「何を聞いてるんだか。まあそうだな、そういう事は来なくなってみないと分からんぜ」
 だからこっちも冗談めかして返してやる。
 一瞬だけチルノは眉を寄せるが、すぐに笑った。
「……それもそっか。それじゃあまたね、魔理沙ー!」
 チルノはそう言うといつもと変わらない挨拶をして帰っていった。



 それから数日して、我が家の周りからは蝉の鳴き声がほとんど聞こえなくなる。
 そして。


 まるで蝉と一緒にどっかに行ってしまったかのように、この日を最後にチルノの騒がしい声が魔法の森から消えた。

【秋:そして、夏の終わり】          完
~あとがき~

 どうも、へっぽこ作者のはね~~です。かなーり難産でしたが、夏の日シリーズの第4話をようやくお送りいたします。いやはや、今回はプロットが二転三転いたしました。
 当初予定してたイベントはどうしても綺麗にはまらず、それならばとチルノに勝手に動かせたら、不思議とあっさり出来ました(笑) 

 キャラが勝手に物語の中で動く時、という経験は長く書かれている方なら一度や二度あると思いますが(何故か私の場合しょっちゅうですけどー)今回はまさにそれですね。
 チルノが所狭しと動き回る動き回る。魔理沙はいつにもましておされ気味w そして何よりも、アリスが一番勝手に動きました(笑)
 でもラブコメ要素は第4話じゃ結構削るつもりだったんだけどなぁ……あら不思議(笑)
 ちなみに書いててチルノ可愛いなぁ……とか作者自身が思うのはどーなんでしょうかねw

 さて。4話を読み終わった方は
「うおお、何このラストっ! チルノはーっ!?」と思う方もいらっしゃるでしょう。……私もそう思います(ぉ)
 当初はもうちょっと書くつもりでしたが、季節の変わり目とストーリーの替わり目を明確に表す為にも、あえて早めにここで切りました。いつにも増して伏線張りまくりです、今回。
 チルノは一体どうしたのか? ちゃんと帰ってくるのか? パチェやフランは?
 そして何より魔理沙の気持ちは?
 
 気が付くと60KBオーバーな夏の日シリーズも、次の第5話で完結となります。
 彼女達の物語に最後までお付きあいくださったなら幸いです。では今回も最後までお読み頂いた皆さまに、最大級の感謝を。ありがとうございました~!
 そして魔理沙、1位おめでとー!
はね~~
[email protected]
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コメント



0.3200簡易評価
1.90電脳の狭間に生きる者削除
いやはや、やっぱり魔理沙は苦労人なのかw
しかし
>生え変わった時にも…
チ ル ノ の 羽 は 鮫 の 歯 で す か ?

少ししんみりしているので点数も減少。最終話に期待しようじゃないか。
5.90名も無き名無しさん削除
久々に見る「普通」な魔理沙とアリスの関係がいいですねぇ
軽口の叩きあいが微笑ましくてニヤニヤが止まらないです。
止めに相変わらずのチルノの恋娘っぷり。完全に顔をふにゃふにゃにされましたw
この話の続きは大体予想がついてしまいますが、それが逆に良い焦らしになって
続きが凄く楽しみな自分がいます。もしかしたら意外な結末が!?
最後に…

チルノ可愛いなぁもう!
8.70伊佐南削除
あまりのラブラブっぷりにモニターの前で悶えている自分が。
傍から見たらさぞかし気持ち悪い事でしょうw
ああ、チルノかわいいよチルノ!
9.60みっくす削除
魔理沙が何度も何度もアリス相手に実験を・・・仲良いなぁ2人とも、と思った私は末期でしょうか_| ̄|○

さて、張られまくりの伏線達は一体どのような形で回収されていくのか。
はね~~さんの手腕に期待しつつ、某神社の縁側で緑茶でも飲みながらまったりと待ってます。

最後に。
スペルカード部門にて、パーフェクトフリーズ8位!
チルノよく頑張った!感動した!
20.70shinsokku削除
氏のチルノはハートフルリーサルウェポンですな。
終始翻弄されっぱなしの魔理沙も、
それと気付かずパーフェクトフリーズを乱打するチルノも、
いやはや全く恋色少女。
そしてこの綺麗な引き方。否が応にも期待が膨らみます。
続きを心待ちにしております。
22.無評価いち読者削除
 やばいです、270秒が何分だか考え込むチルノが可愛すぎです。
 けど270秒が何分だか、自分で考えても答えがパッと出てこなくてちょっと鬱。
 閑話休題。
 ラスト、ついに仕掛けてきましたね。こう来られると、実際に続きを読む楽しみに加えて、アレコレと今後の展開を妄想するという楽しみも出来るわけで。一粒で二度おいしい。ダブルスパーク威力絶大。落ち着け自分。
 ……閑話休題。
 忘れ薬をチルノに使おうとしないあたり、筋を通しててかっこいいですね、魔理沙。流石は恋符使い。恋には正々堂々真正面から立ち向かってます。
 5話目で完結との事。続きを勝手に妄想しつつ待っています。

 そういえば私は、彼女達のテーマ曲である『恋色マスタースパーク』と『おてんば恋娘』に投票してましたね。気付かぬ内にこのSSに影響を受けてたのか自分?
25.80SETH削除
そういえば自分もおてんばと恋スパに投票していた・・・支援効果抜群SS?w
26.70MSC削除
チルノがやばいぐらいに良いですね。
ここまで可愛らしいチルノは色々と反則w
読んでいると、顔が思わずにやけてしまいました。
そしてこの続きが非常に気になる。
チルノ、何処に行ったんだぁーー!
37.60RIM削除
もはや、押しかけ女房も板に付いたチルノの可愛さがなんとも言えずw
バカと恋心の両方を持つチルノ、そのダブルパンチに思わず失笑。
夏も終わりに近づき、果たしてチルノの行方は!
次回完結がどう転ぶか見物ですな。
熱も徐々に冷めてきた感があり、最後はしんみりと収めるのか再燃か非常に楽しみな所です。
39.無評価はね~~削除


 数多くの皆さまにお読み頂き誠にありがとうございます、はね~~ですー。ここ数日、電撃Short3の原稿でテンパッておりました(汗)
 

・電脳の狭間に生きる者さん

 今回も感想、ありがとうございますー。しかし鮫の歯……ぐぐってみたら、本当にそうでびっくりw
チルノの羽に関しては色々と考えてありますので、最終話をお待ちくださいー。
 ぜひまた冥界旅行に行って頂けるよう、頑張ります(笑)

・名も無き名無しさん

 魔理沙とアリスの掛け合いは、私も書いててすっごく楽しかったです~。普段の彼女達は、多分あんな感じなのでしょう。アリスで実験云々は……本当にやってそうで怖いなあ(笑)
 ちなみにチルノの可愛さに悶えて頂けたならば嬉しいですっ。もう、ある意味ではこの話の肝ですからねぇ……。作者自身がチルノの仕草にドキドキしてますからっ。

>話の続きは大体予想が~

 やっぱりそう思います?(苦笑)
 ちなみにこの〆は思いっきり狙って焦らしをかけましたw 最終話をどうぞお待ちくださいませ~。
 ……とレスを返しつつ実は私、今プレッシャーでドキドキです(汗)

・伊佐南さん

 やー、大丈夫ですよ。こんな話書いてる作者は
「うぉおお! 毎度毎度の事だけど、何書いてんだ自分っ! はーずーかーしーいー!」
 と部屋で良く転がってますw
 でも自分で設定を組み上げて書いたキャラで、これだけドキドキしてるのは初めてです。チルノかわいいなぁ……(ぉ)

・みっくすさん

 実は私も書いてて、この二人仲が良いんだか悪いんだか、とか思ってました(笑)
 私の手腕……はぅ。ああ、MUIさんやBarragejunkyさんクラスの描写力が欲しいです。

>パーフェクトフリーズ8位 

 チルノおめでとうっ! 私は投票するかどうか迷った末、投票しなかったけどっ!(ぉ)
 ちなみに初見では「はうぁーー!!」と思わず叫ぶ中で停止弾に体当たりしました、懐かしー。

・shinsokkuさん

 ハートフルリーサルウェポン……言いえて妙ですね。魔理沙限定の最終決戦兵器w 
 第1話脱稿の際にはどれだけの方に受け入れて貰えるか結構ドキドキではあったんですが、多くの方に好評を頂けて嬉しい限りです、うちのチルノ~。
  
 shinsokkuさんの仰る通り、まさに恋恋づくしなこの話ですが、気合を入れて最終話を仕上げたいと思いますっ。恋の直列繋ぎー!(謎)

・いち読者さん

 うーむ、実に良い所に目をつけられてますねぇ……。
 実はこの270秒という数字
「むーん……。ちょっと考えたらすぐ分かるけど、即答するには混乱しそうな秒数は……」と、実は結構真剣に考えて決めました。なお私も一瞬、あれ9分かな? とか思ったのは内緒です(爆笑)

 なおラストですが。流石にこの辺りで仕掛けないと遅いのでー(苦笑)でもここまでおっしゃって頂けると作者冥利に尽きますね(照)
 そして忘れ薬に対する魔理沙の考えですが、あそこは第4話の中で一番苦労しました。実は第2話終了時では魔理沙はチルノに使う予定で話考えてたんですよ。
 しかし、それはあまりに酷い。真正面から見据える魔理沙を書きたかったですし。
 じゃあどーしようかとプロットを崩してうんうん悩んでいると、気が付いたらアリスが動いてくれました。アリスありがとー。
 しかし、流石にプレッシャーがぁ……はぅー。最後の最後で着地をミスるともの凄く格好悪いんで、頑張ります(汗)

・SETHさん

 いち読者さんも仰ってますねー、わはは(笑)ちなみに恋色マスタースパークは、私も迷わずに投票しましたw 支援SSって響きは凄く懐かしいです。
 ああ葉鍵最萌時代を思い出す……。

 ……でも、あの頃の自作は読み返すのが恐い代物がかなり多いですけどー(滝汗)

・MSCさん

 とにかく、チルノを可愛く。これが第一目標です。そう言って頂けますと嬉しいです。
 なおラストで気を揉ませてしまい申し訳ございません、思いっきりわざとでございます(ぉ)もうしばらく、魔理沙と一緒にチルノの行方を不安に思ってあげてくださいー。

・RIMさん

 そうですね。まさに『バカ』と『恋娘』こそがチルノの合言葉。夏の終わりと共に、チルノはどこに行ったのか? どのように収めるかですか……はぅ、プレッシャーがぁ……(汗)


 そんな訳で、レスでした~。はぅう……第5話を期待されてる方が多いのには非常に嬉しいのですが下手なもん出せないなぁという凄いプレッシャーも来ております。
 ……まあ幾ら緊張したって、自分らしい物を書く以外にやれる事は無いのですけどね。

 現在第5話はまだ進行率は30%程度です。魔理沙と一緒にもうしばらくお待ちください~。
 では、最後にもう一度、お読み頂けた方そして感想を書いて下さった方に最大の感謝を。どうもありがとうございましたっ。
42.60Barragejunky削除
こっそりと感想を書かせていただきます。
チルノの恋娘っぷりに部屋の中でごろごろと悶えてしまいまそうです。ごろごろごろごろ。ああもう転がってるやん自分。
>>「分かった5分!!」
>>「4分半だぜ……
この掛け合いがとってもチルノ。
そしてらぶらぶなオブラートに包みながらそっと見せる不安な影。
ドアノブに手をかけ、振り向いたチルノの笑顔にかかる宵闇の蒼を幻視しました。
最後の見送りのシーン、すっげえ綺麗で上手い。
久し振りに描写の美しさで溜息が出ました。はふぅ。
相変わらず読者が思わず強振したくなる球を放られますね。
しかしこの剛速球にはやはりかすりもしないわけで。ああ手も足もでねー!

願わくば恋娘に幸多き結末がありますように。
72.80名前が無い程度の能力削除
チルノいいな~