Coolier - 新生・東方創想話

今日もまた昼下がりにはお茶と歌を

2004/10/25 11:07:48
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「白玉楼のお嬢に招かれたのよ」
 紅魔館の主・レミリアがそう言い出したのは、午後のお茶を終えた時分だった。
「それはようございました」
 あるじの髪を梳きながら、従者の咲夜。
「良さそうに見えるのかしら」
「どうでしょう。お嬢様はお戯れがお好きですから」
「パーティをね。やるそうなのよ」
「へぇ? 死人のくせに景気が良いことで。やっぱり誕生会か何か……それとも命日会かな?」
「歌会、だそうよ」
「はぁ、カカイ? ああ、歌合戦というやつですか。よろしければ私がギターを……」
「そういうのではないのよ」
 やや苛立たしげに、レミリア。「『短歌』というのをこしらえる集まりらしいわ」
「へぇぇ? 短歌……短歌ですか。ずいぶん雅なことをしますね。さすが、幽霊は古臭い」
「妙なところで感心しなくていいのよ」
「しかし、お嬢様は短歌の心得などおありで?」
「あるわけがないわ」
「そうでしょうね」
 だから、と紅い悪魔は頬を膨らませた。「困っているんじゃないの」
 しかし、と瀟洒な従者は首を傾げた。「なにも、ムリに出席せずとも良いのでは?」
「腹立たしいじゃあないの。招かれておいて、敵に尻尾を見せるのは」
「……まぁそうでしょうね。しかし幸い、うちにはそういう知識に長けた御仁がいますわ」
「ああ……まぁね」
「? 浮かないお顔ですね」
 今にわかるわ、とレミリアは帽子を目深に被った。


「嫌よ」
 知識に長けた御仁こと、パチュリーは言下に答えた。
「どうしてまた?」
 という咲夜のもっともな疑問に、
「たしかに短歌のことを知らないではないわ。しかし」
 パチュリーは肩を落とした。
「……私、詩才がないのよ」
 それも絶望的にね、と彼女は付け加えた。
「はぁ。しかし」
 短歌というのは形式的なものであるし、知識さえあればある程度のものは作れるのではないか。
「そういうものじゃないのよ」
 寂しげに知識人は首を振り、「以前、作ってみたものがあるけど、見てみる?」
 と手渡された手帖を開き、咲夜は目を丸くした。

 紅魔館 青く塗ったら 青魔館
 不夜城ブルー 気分もブルー

 ノーレッジ 肯定すれば イエスレッジ
 それにつけても 金の欲しさよ

「これは、ひどい」
 と咲夜は思ったが、口には出さず
「これは」
 と言っただけで、手帖を閉じた。
「……ところで、他に誰か、短歌の達者はおりませんか」
 パチュリーは手帖をしまいながら、額に手を当てた。
「……知らないではないわ」

「――どういう、御用でしょう」
 呼び出された小悪魔は、怪訝そうな面持ちを二人に向けた。
「彼女が?」
「私よりは、才があるわ」
「……まぁ、いないよりはいいか。お借りしますよ」
 なおも要領を得ない小悪魔の手を取り、メイド長は飛揚した。
 彼女たちが出て行ったのを確かめ、パチュリーは手帖をそっと開き、つぶやいた。
「……いい歌なのに」


「というわけで」
 従者が言った。「お嬢様に、短歌を指南して頂戴」
 はぁ、と小悪魔は困惑気味。「といっても、わたしには、お教えできるほどの、知識は」
「ないわけじゃないでしょう? それならいいのよ」
 と言われては、返す言葉もない。
「では……できる限りのことはやってみます」
「いいわ。よきにはからって頂戴」
 こうして、小悪魔による紅悪魔への短歌指南が始まったのであった。

 その次第は、略すとして……

 やがて白玉楼にて、西行寺家主催の歌会が催され、むろんレミリアも参加した。
 果たしてその結果は、どうであったか……


「――あら」
 上空を哨戒していた紅美鈴は、地上に見慣れた人影を認め、降下した。
「ご苦労様です」
 小悪魔は両手をふさがれていることとて、頭を下げた。ともに下がる頭の羽。
「まぁね……それは?」
 と、美鈴は彼女が抱えている包みを指した。
「はい、お嬢様より頂きましたので……お裾分けに」
「へえ! 何かしら?」
「紅白饅頭だそうです」
「善哉!(素晴らしい!)」
 相好を崩す美鈴の笑顔に、少女は目を細めた。

「――いったい、いくつ貰ってきたのです」
 テーブルに山積みとなった紅白饅頭――西行寺の家紋入り――を見やって、呆れ顔の咲夜。
「仕方がないじゃないの。賞品が、紅白饅頭一年分だったんだから」
「優勝されたのでしたっけ?」
「まぁね……最も、他の面子がひどい連中ばっかりだったからだろうけど」
「ははぁ。まぁ巫女やら魔法使いやら氷精やら闇妖やらが相手では役不足でしたね……ところで、どんな歌を詠まれたので?」
「聞かないで頂戴」
「…………」

「紅魔館 紅の門と 魔女の部屋
 窓は少ない メイドは多い」
「……なぁに? それ」
 なんでもありません、と微笑み、少女は紅白饅頭を頬張った。
 こともなきある昼下がりの一風景。
短歌もの というのをいずれやりたいと 考え続け幾星霜
とりあえず 書いてみましたこの通り それにつけても金の欲しさよ
STR
http://f27.aaacafe.ne.jp/~letcir/
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コメント



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3.40いち読者削除
パチュリーの 独創的な そのセンス 深夜にあるも 我笑ひたり
幻想郷 歌の才には いと欠けし それにつけても金の欲しさよ
13.40名前がない程度の能力削除
ぱつりーの歌面白い。流石知識人。
咲夜さんのギターも興味あったり。
28.60名前がなかったりする程度の能力削除
今更に 遅き感想 ですけれど それにつけても 金の欲しさよ
知識人 下手な歌だが お茶フイタ それにつけても 金の欲しさよ
繰り返し 三度が限界 すみません それにつけても 金の欲しさよ