夕刻の定時、妹紅は村はずれの草むらに座り兵太が来るのを待っていた。
いつもなら一緒に来るはずなのだが、兵太はどうやら爺に用を頼まれたらしく、後から遅れてくるらしかった。夕方とはいえ、まだ残暑が厳しい初秋。座って待っているだけでも、手足に汗をかく程である。
「それにしても遅いわね・・・」
一向に兵太来る様子が見られない。既に夕日も山の端に一部分隠れてしまっている。こうなると、兵太が来るのが早いか太陽が沈むのが早いか、もうそんな雰囲気だ。
「・・・このままだと日が暮れちゃうわ」
来れそうにないなら最初から言って欲しいものだ。このまま日が暮れてしまったら待っている自分が馬鹿みたいじゃないか。
そんなことを思っている間にも夕日は高度を下げ、辺りは暗さを増してゆく。もうかれこれ一時間程は待っただろうか、帰る理由になるには十分な時間だ。
妹紅はついに諦めて、服をはたきながら立ち上がった。
「帰ろ」
入れ違いという事も考えられなくも無いが、ここに来るまでは一本道だ。暗くなってきているとは言え、歩いていたらお互いに気が付くだろう。
そう考え、妹紅は帰り道を辿り始めた。やがて歩いているうちに夕日は沈み、辺りは完全に暗くなる。結局来なかったな、そう思いつつ村の方を向いたときだった。
夕日とは違う赤さが、空に映っているのが見えた。
妹紅は嫌な感覚を覚え、村へ続く道を急いで走り出す。村の上空あたりがやけに赤い。それに近づくにつれ、何かが燃えたような臭いが鼻につくのが分かる。ますます高まる不安を打ち消すように、妹紅は信じられない速さで小道を駆け抜けてゆく。
そしてようやく村の入り口に着く。けれど目の前にあったのは、昼間とは全く異なる姿になってしまっている村の風景だった。
あらゆる家の屋根は焦げ、嫌な臭いを放ちながら壁が燃え、剥がれ落ちていく。道には燃え尽きた家屋の残骸や、未だにくすぶっている材木が散乱しており、人が歩くような状態ではなかった。何より煙がひどい。材木以外の物を焼いているとしか思えない臭いに、視界を奪うような真っ黒い色。さながら、戦でもあったかのような村の状況に、妹紅は呆然とするしかなかった。
それでも妹紅は片手で口をふさぎながら前へ進む。何せ、ここはまだ入り口でしかない。妹紅たちが住む寺があるのは村の中心部なのだ。寺の子供たちの安否を心配しながら、足場に気をつけて慎重に前に進んでいく。足場だけではなく、時折はじけて飛んでくる火の粉にも注意を払わなければならない。いくら死なないと言っても、火傷は嫌だ。
やがてなんとか寺の門近くまで辿り着いた時、煙の向こうに人影が見えた。
「ねぇ、誰かいるの?」
妹紅は大声でそう呼びかけたが相手は何も返してこない。もしかすると家が燃える音にかき消されて、聞こえていないのかもしれない。そう思って、妹紅はさらにその人影との距離を縮めて再度呼びかける。
「返事くらいしなさいよ」
聞こえたのかどうかは分からないが、人影は妹紅の方に向かってきた。煙が邪魔でよく見えないが、数人、いや十数人は居るみたいだ。それに、馬に乗っているような姿も見受けられる。
「・・・馬?」
目の錯覚かと思ったが、確かに馬に乗ったような姿が数人確認できる。この火災時に馬に乗りながら移動するなんて、非常識にも程がある。そう思ったときだった、下卑た声が聞こえてきたのは。
「お頭!娘ですぜ!」
黒い煙の向こうから現れたのは、ぼろきれの様な衣服を身にまとい、卑しい笑みを浮かべた男達の姿だった。
「だめだ、子供じゃないか。子供は殺せと言ったろう」
「いや、お頭。上等そうな顔立ちですし、ゆくゆくは良い売り物になると思いますぜ」
生理的に嫌悪感を覚えるような会話をしながら、その男達は近づいてくる。それぞれ手には斧や鎌と言った凶器が握られている。その男たちの後ろには、体を拘束された村の若い女達の悲壮な表情が見えた。
「まぁ、お前がそういうならそうしろ」
「へえ!ありがとうございやす!」
馬に乗った賊長と呼ばれた人物に一礼すると、ぼさぼさの髪の毛をした男は妹紅に近寄ってきた。下品な目つきと曲がっている背が、男の人格を表しているようだ。
妹紅は会話を聞き、自分がその目的語にされていることが分かった。それにこの村をこんな風にした原因もなんとなく目の前のやつらだろうという事も。
近付いてくるその男に向けて最終確認を取る。
「あんたらね。村を燃やしたのは」
「燃やしたのは死体を火葬にするためさ。何か文句あるかい?」
「人も殺したのね」
「男は邪魔、子供はお荷物、売れるのは女くらいだからな」
にやにやと卑しい笑みを浮かべるその男は得意げに答えた。
「ささ、痛くしないからこっちにおいで」
妹紅は、自分の考えが間違ってなかったことを確認出来て満足そうに笑う。
「そう。じゃあそうするわ」
男は予想はずれな妹紅の反応に、一瞬戸惑った。が、諦めだと認識したのか、嬉しそうに歩を進める。
けれど、すぐにそれは誤認だったと男は気付く。
その男の目の前には、炎を纏った妹紅の右足があった。
「――――」
右足は顔面を直撃し、男は声にならない声を上げて、そのまま勢いよく後ろに倒れると動かなくなる。妹紅はとび蹴りをかました勢いのまま、賊長と呼ばれた人物の近くまで一気に間合いを詰める。
「お前が張本人だな?」
一部始終をにやにやと眺めていた一味は、現実に起こったことを理解できずに一瞬唖然とした。なにしろ、年端も行かない少女が物凄い勢いで跳ねたと思ったら、仲間がいつの間にか仰向けになって倒れているのだ。ぴくりとも動かないあたり、もしかすると既に死んでいるのかも知れなかった。
「寺に向かったヤツを探すのは後だ!今は目の前の娘を殺せ!」
賊の長としての本能なのか、もしくは手下を倒してしまう者への恐怖なのか、男は目の前の妹紅を危険人物だと判断した。未だ開いた口が塞がらない手下に慌てて命令する。命令に我にかえった手下どもは、手に持った凶器で一斉に妹紅に襲い掛かった。
相手は十数人、妹紅一人ではたちまち殺されてしまうだろう。賊の後ろで悲壮な表情をして見守る女達は、より一層その表情を歪ませる。けれど、実際に見えたのは信じられない光景だった。
妹紅は始めに棍棒を持った巨漢の一撃を交わし、懐に入って鳩尾に強烈な一撃を決める。次にばったりと後ろに倒れこむその体を蹴り上がって、刀を振り回す長身の男に踵落としを炸裂させた。そして力なく倒れこむその男を踏み台に妹紅が飛び上がるのと、妹紅の居た場所を狙って刀や鎌が振り下ろされるのはほぼ同時だった。結果として勢い余ったそれぞれの凶器は、それぞれの対面に居る仲間に向かって振り下ろされることなる。
次の瞬間、嫌な音とともに、地面や男たちは紅色に染まった。周りで燃え盛る火よりも紅いその血は、周りで攻撃する機会を窺っていた手下たちを怖気づかせるのに十分だった。実際、賊達はその凄惨な光景に恐怖した。そして神速とも言える動きでその体格の二、三倍もあろう剛の者を、あっけなく倒していく妹紅がさらに恐怖を加速させる。
次なる標的を求めて妹紅が近付くと、手下たちは互いに顔を見合わせる。そして間髪おかずに、蜘蛛の子を散らすように走り出した。
「こ、こら、お前ら!逃げるな!」
半分泣きかけの賊長の命令など聞こえないとばかりに、手下は散り散りになって逃げてゆく。賊長も今にも逃げ出しそうな表情をしている。
妹紅が賊長の乗っている馬に触れそうな距離まで近付くと、急に賊長は馬を下りて泣いて詫び始めた。
「すまん、俺が悪かった!俺だって好きで襲ったわけじゃないんだ!」
「じゃあ、なんで襲ったのよ」
「今は何処に行っても働き口がねえし、落ちぶれた俺らはこうでもしなきゃあ食っていけないんだ!」
賊の長が泣いて詫びる姿を見て、妹紅はなんだか情けなくなった。胸の煮えたぎるような殺意が、肩透かしを食らって急にしぼみ始めた感覚だった。
「まあいいわ。とりあえず、後ろの女の人たちを解放しなさい」
「へ、へい!」
賊長は勢いよく頭を上げると、女たちの結ばれた縄を急いで解き始める。
拘束の解かれた女達は泣きながら妹紅の方に駆けて来る。誰もみな、感謝の言葉を口にするが、この村の惨状を見ると素直に喜べないようであった。未だ燃え盛る家もあり、自分の身内を探して村の奥へと走り去っていく女の姿も見られた。
すぐに最後の女が解放されると、賊長は愛想笑いを浮かべて馬の側に立った。
「後で手下もろとも、坊主になりなさい」
「へい!そうさせていただきやす!」
賊長は泣いて詫びた時の声と比べると不気味なほど明るい声で答える。訝しく思いながらも、生存者を探す女達を横目に、自分も寺に向かおうと歩を進める。一歩足を踏み出したその時、何かが空を切る音と共に、一瞬眩暈を起こすような嫌な感覚を自分の胸に感じた。
その様子を見ていた女が悲鳴を上げる。
妹紅は胸の辺りを手でまさぐってみた。すると、長細い棒状の物が生えているのが分かる。まさぐった手は紅い血で濡れていた。
「よくやった!」
賊長は手をたたいて喜ぶ。すると、賊長後ろの方から逃げたはずの手下どもが走ってくるのが見えた。
耐え難い痛みの中で妹紅は一瞬でも気を抜いた自分に後悔する。けれど時はもう遅く、思うように全身に力が入らず地面に手をつく。声が出せないほど痛いし、目の前が暗くなる。勿論煙などではなく、視界自体がせばまっているのだ。
「お頭、仲間がやられちゃった分、やり返しちゃっていいですか?」
「構わん、八つ裂きにしてやれ」
最悪の状況で最悪の言葉が聞こえた。
「あと、逃げた女どもを捕まえるのも忘れるな」
もう何を持っているのかよく分からないが、何人か近づいてくるのが見える。妹紅はもう手をついて体を支えることも難しく、うつぶせに地面に倒れている。
「じゃあ俺は右足」
その言葉が聞こえると同時に、妹紅の右足に向けて何かが振り下ろされる。しかし鈍い刃は切断とまで行かず、肉を抉り、骨を削るところまでで終わってしまう。それでも切断するまでするつもりなのか何度も何度も繰り返される。
「――――」
妹紅は振り下ろされるたび体を仰け反り、この世のものとは思えない声を上げる。
「じゃあ俺は右腕」
愉快そうな男の声と共に、右手が物凄い圧力でつぶれる感触を味わう。声も出ない程の痛みのあと、右手の感覚が無くなった。
「じゃあ俺は―――首」
空気を切る重い音の後、妹紅の意識はそこで途絶えた。
いつの間にか手下によって捕まえてこられた女たちは、その残酷な光景を見て物も言えなくなっていた。まだ少女とも呼べる子が、死んでもなお言葉どおり八つ裂きにされているのだ。あまりにも、酷いことだった。
「もういいだろ。残りの女どもを捜すのを手伝ってやれ」
「へーい」
既に人間を造っていた部品でしかない妹紅を置いて、囲んでいた手下どもはそれぞれ散らばっていった。
賊長は満足そうに頷くと、ばらばらになった妹紅を見ようと近付く。
「あーあ、こりゃひどいもんだ」
人事のように、頭は呟く。実際他人事だから、自分には関係ないのだが。
「あいつらも残酷だなぁ。言葉通り八つ裂きにしちゃって」
賊長はそう言うと、周りに散らばった部分を見回す。胸、腹、腰、右腕、左腕、右足、左足、首。言葉通り、八つ裂きになった部品があった。
「内臓なんかもはみ出ちゃってるよ」
切断された胴体部分からは赤い臓物が流れ出しているのが見える。
「こりゃ最初の方に首切られて正解だったね」
賊長は背を向けてその場を去り、馬に乗って手下が全ての女を捕らえるのを待つことにした。
思ったよりも早く女たちは捕らえられた。頭と手下どもは満足そうに笑うと、アジトへの帰路を辿り始める。
「いやー、一時はどうなるかと思いましたけどね」
「なんだったんでしょうね、あのガキ。ガキにしたら強かったし」
賊どもはまるで強敵を倒したとばかりに、騒ぎながら行進する。女たちはその後をついて歩かされる。皆、この後の運命を知っているとばかりに暗い。覗く顔には表情というものが見られなかった。
やがて村から少し離れたところまで来たとき、手下の一人が不思議そうに尋ねた。
「で、お頭」
「なんだ?」
「その後ろの鳥の模様はなんですかい?」
その言葉に賊の足は止まった。女たちも何事かと思って、そちらの方を見やる。
「朱雀って言いやしたっけ?いや~、かっこいいですぜ」
賊長の後ろに何か不吉な物が憑いているのかと思い、足を止めた一行だったが、なんてことはない不死鳥を表す朱雀なのだ。不吉というより吉兆であろう。手下と頭はそう解釈して、より一層騒ぎながら進み始める。
だが女たちは動かなかった。
「おら、お前ら!さっさと歩け!」
手下の一人が発破をかけるが、まるで効かない。皆、それ以上近づくのを恐れている顔をして立っている。察するに、何かを見て恐れているようだった。
「なんだぁ?なんかあるのかぁ?」
手下は女の視線の先を見た。そして、視線を戻すことなく、青ざめた顔で馬上の賊長の服を引っ張る。
「お頭・・・」
「なんだ」
「なんか、やばいですぜ・・・」
賊長は面倒くさそうに振り返る。
手下の言うとおり、朱雀を模したような鳥が見えた。ただ今さっきと違う点といえば、模様ではなく既に本物に近い質感を持っていること。また模様のはずなのに、熱いと思える程の熱が出ていること。
そして、何より異なる点は、両翼に燃え滾る巨大な炎の塊が見えたことだった。
妹紅は意識を取り戻すと、すぐに寺に向かった。何分の間、死んでいたのかは分からないが、未だに燃え続ける家並みからして、そう時間はたっていないはずだ。
境内に人の姿は見えなかった。まだあちこち痛む体を抱えるようにして、火が上がっている金堂へ急ぐ。寺という性質上、皆が最後に逃げ込むのは仏の下に違いない。
やはり金堂で正解だった。けれど、――――少し来るのが遅すぎたみたいだった。
妹紅は入り口付近で既に息絶えている爺に手を合わせる。どうやら頚動脈を切られて死んだらしい。袈裟にも、周りにも凄まじい血の跡が見える。
「・・・どうやらあんたは徳のある坊さんだったみたいだ」
きっと、死ぬときは苦しまずに死ねただろう。爺の両目は閉じていて、自分でも死ぬということが分かっていたのかもしれなかった。
「・・・姉ちゃん?」
馴染みのある声が聞こえ、妹紅は急いでその声の出所を探す。すると、仏像の側に倒れている兵太の姿が見つかった。
妹紅は駆け寄り、兵太の側に膝をついてしゃがむ。
「はは、姉ちゃん、本当に不死身だったんだね」
兵太は細い声でそう言った。どうやら、胸に刺さった矢がそのままらしかった。妹紅は勢いに任せてそれを引き抜く。脳に直接伝わるような痛みの後、血が少し流れて、止まる。
「・・・僕、ちゃんと守ったんだ。寺の子たちを」
よく見ると、仏像の影に隠れている五人の泣きそうな表情があった。兵太の手には血の着いた形見の刀が握られている。金堂の隅には、賊の手下らしき死体が見えた。
「・・・姉ちゃん、お腹が痛いよ」
けれど刀と同様に、兵太の衣服も紅い血に染まっていた。腹部にはついさっき刀で刺されたような傷が見えた。
妹紅は悔やんだ。何の知識も無い自分では目の前の兵太を救うことも出来ないだろう。それに、もしも自分が殺されることなく寺に速やかに来れたなら、こんなことにはならなかったかもしれない。
「姉ちゃん、僕、死ぬのかな?」
そう言って妹紅を見つめる兵太の瞳には、ほとんど生気がなかった。もう喋る気力もなくなっているのかもしれない。口も半開きで虚ろな表情をしている。
「―――生きたい?」
妹紅は、尋ねてみて、我ながら馬鹿な質問をしたものだと思った。
そう、一つだけこの子を救う方法がある。
それは――――妹紅の生き肝を食べさせることだ。
けれど、それは逆にこの子を苦しめることになるに違いなかった。私が苦しんでいるように、きっと苦しむことになる。なのに、何も知らない無邪気な子供に決断させようとしているのだ。そう思うと、質問したこと自体が馬鹿げているとしか思えない。
それにもしも、生きたいと答えられたとき、私は食べさせてやることが出来るのか。本当に馬鹿だ、私は・・・。
「ねぇ」
「なに?」
「死んだお父さん、褒めてくれるかな?」
「・・・」
「・・・褒めてくれるかな?」
「・・・そうね、きっと、褒めてくれるわ」
「・・・良かった」
ぱちぱちと壁が火の粉を飛ばして燃える中、それが兵太の最期の言葉となった。
妹紅は立ち上がって手を合わせると、動かなくなった兵太を悲しそうに見つめる子供たちをつれて出た。
出るなり燃えていた金堂の一部が大きな音と共に崩れ、盛大に火の粉を散らす。崩れゆく金堂を背に、妹紅と子供たちは寺の外へ出た。
門をくぐると、女達が見えた。
子供たちは村の人物を見て安心したのか、泣き始めると走って女の方へ行ってしまった。女たちは駆けて来る子供たちをあやしたり抱き上げたりする。
けれど、何か化け物でも見ているような冷ややかな視線しか妹紅には送らなかった。その表情は、今すぐ村を出て行ってくれといわんばかりだった。
妹紅は女達に背を向けると、やっと火の勢いが衰えてきた村を歩き始めた。とりあえず、この付近の国には住めそうにないのは確かなことだった。
やがて村外れまで来る。けれど道はまだ続いていた。だから、妹紅は歩く。
見上げた夜空は何時かと同じよう。まるで光る砂をちりばめた様に、数え切れないほどの星が煌めいていた。綺麗だな、妹紅は素直にそう思う。
そしてその星空は、妹紅を珍しく饒舌にさせる。自分でも押さえきれないくらい、言葉がとめどなく溢れてくる。
「・・・死んだって、自分の親に会えるわけがないじゃない。また生まれ変わって、また死ぬだけなのよ、その繰り返し。それに人が死んで星になるのなら、今頃月よりも星が明るく照らしているに違いないわ」
今宵の月も皮肉なほどに綺麗な満月で、星の輝きもそれに比べると劣ってしまう。けれど、暗い闇を照らす、という事においては両者とも確かにそうであるには違いない。
夜空に瞬く星々を見上げながら、妹紅は少しだけ泣いた。
それでも泣きながら歩き続ける。
幾千の星と月が優しく照らす、暗く長い道の上を、ただゆっくりと。
こんな出来事を何度も何度も繰り返していると考えると
本当に可哀想…妹紅が幸せになるのはいつなのだろうか
そこに狂喜することが出来ないのが、彼女のたった一つの人間らしさ。
捻じ曲がる事無く、真っ直ぐに狂っている。
わけわかりませんが、そんな妹紅を感じました。
この彼女が幸福な殺し合いに辿り着くのは、まだ先のようですね。
人気投票は、あー、うー、
キャラ投票も五枠あれば入れられたのですが、すみません・・・。
周りだけ死んでいって自分だけ生き残る心境はどんな感じなのだろう。
不死である妹紅が安らぐ事があるのか、可哀想に感じられた。
慧音と同じで人の面を持つからこそ人間を庇う。それが逆に悲しく思われた。
妹紅に入れたがやー!いまさらだけんどね