「いいからお茶のひとつも出してほしいもんだぜ」
「いいかげんいきなりやって来て言いたい放題言わないでちょうだい」
いつも通りの幻想卿、魔理沙は博麗神社にやってきてはそこの巫女曰く好き勝手やろうとしていた。
しかしいつもとは違う、それもまた幻想卿。
「って、なんか面白そうなもの持ってるわね。なにそれ?」
「これか、いいところに気が付いたぜ。だからまずはお茶」
霊夢は魔理沙が持っている見たことも無いものに興味を引かれる。
だけどお茶は出さない、特に深い意味は無いのだが。
「台所なら奥」
「ちぇ、自分でやるか」
結局魔理沙は自分でお茶を用意するしかなくなった。
「それじゃその間これ見といてくれ、どこぞの妖怪が持ち去っていくかもしれないからな」
「仕方ないわね、少しだけよ」
言葉は興味なさそうでもその顔にはいじくりまわしたいという表情が手に取るようにわかる。
魔理沙はそれでもその一言だけで後は何も言わずさっさと台所へと入っていく。
「…おそらく外の世界のものよね。どうやって手に入れたのかしら」
魔理沙の言葉なんてスペルカード1枚分くらいの抑制力も無い。
霊夢はその大量の荷物の中からひとつ手に取るとまじまじと見つめる。
それは片手で握れるくらいの大きさの棒みたいなものだった。
「…不思議な硬さね、金属でもないようだけど」
こちらの世界で言うところのプラスチック、幻想卿にはプラスチックは存在しない。
(厳密に言えばあるのだろうがプラスチックという名前で浸透しているわけではない)
「でも何に使うのかしらこれ……」
「やっぱり触ってたか、呪われても知らないぜ」
そこへお茶を持ってきた魔理沙が戻ってくる。
もちろん湯飲みは自分専用のものである。
「神社の巫女を呪えるような代物なら逆に面白いでしょ」
「それも一理あるな」
ずずっと一口飲んでから魔理沙は別の品物を手に取る。
「んで、どうやらそれはコイツを入れて使うらしい」
「なにそれ…」
訝しげに魔理沙の行動を見守る霊夢。
対象にそんな霊夢が面白いのか笑っている魔理沙。
「やっぱりこんな誰も来ないところにいると何も知らないんだな。と言っても私もコレ読んだだけなんだけどな」
そう言って魔理沙が見せたのは『説明書』と書かれた文書だった。
しかし所々擦り切れてほとんどの文字が擦れていた。
かろうじて見えるのは一つの図だけであった。
「ふぅん、つまりこれの通りにすれば動くってわけね。ところでどうやって手に入れたのこれ」
「ん、拾ったんだぜ」
「拾ったって…」
魔理沙が拾ったというその荷物はかなりの量がある、それだけの物が落ちていたということは何かしらの異変が起きている可能性が高い。
何せこの荷物はどう見ても「人間の世界の物」だからだ。
「それじゃあ一緒に人間も落っこちてなかったの。これだけの荷物なんだし…」
「あぁ、それは心配ないぜ」
それは深刻な事態なはずなのにいつも通りの魔理沙。それが不思議な霊夢はさらにわけがわからなくなってしまう。
「だって魔法の産物だからな、これ」
「はい?」
「だから魔法」
「ちょっとまちなさい、それはつまり…」
そしてニカっと笑いながら。
「そうだぜ、魔法の練習。今回はうまくいったぜ」
「あきれた…」
「まぁそういうなって……ほい」
「はぁ…確かにいつものことではあるけどね。んで」
霊夢の手には先程の品が。
「そこの出っ張りを下に、それで動くぜ」
「はいはい……」
カチリ
「お」
「あ」
フィーーーン
そうして僅かばかりの風が流れる幻想卿。
魔理沙が魔法の練習をするのは気まぐれのこと。
人知れずの努力家の彼女、その事を知るのは霊夢だけ。
そんな二人の関係。
それもまた、楽しいひと時の話。
「いいかげんいきなりやって来て言いたい放題言わないでちょうだい」
いつも通りの幻想卿、魔理沙は博麗神社にやってきてはそこの巫女曰く好き勝手やろうとしていた。
しかしいつもとは違う、それもまた幻想卿。
「って、なんか面白そうなもの持ってるわね。なにそれ?」
「これか、いいところに気が付いたぜ。だからまずはお茶」
霊夢は魔理沙が持っている見たことも無いものに興味を引かれる。
だけどお茶は出さない、特に深い意味は無いのだが。
「台所なら奥」
「ちぇ、自分でやるか」
結局魔理沙は自分でお茶を用意するしかなくなった。
「それじゃその間これ見といてくれ、どこぞの妖怪が持ち去っていくかもしれないからな」
「仕方ないわね、少しだけよ」
言葉は興味なさそうでもその顔にはいじくりまわしたいという表情が手に取るようにわかる。
魔理沙はそれでもその一言だけで後は何も言わずさっさと台所へと入っていく。
「…おそらく外の世界のものよね。どうやって手に入れたのかしら」
魔理沙の言葉なんてスペルカード1枚分くらいの抑制力も無い。
霊夢はその大量の荷物の中からひとつ手に取るとまじまじと見つめる。
それは片手で握れるくらいの大きさの棒みたいなものだった。
「…不思議な硬さね、金属でもないようだけど」
こちらの世界で言うところのプラスチック、幻想卿にはプラスチックは存在しない。
(厳密に言えばあるのだろうがプラスチックという名前で浸透しているわけではない)
「でも何に使うのかしらこれ……」
「やっぱり触ってたか、呪われても知らないぜ」
そこへお茶を持ってきた魔理沙が戻ってくる。
もちろん湯飲みは自分専用のものである。
「神社の巫女を呪えるような代物なら逆に面白いでしょ」
「それも一理あるな」
ずずっと一口飲んでから魔理沙は別の品物を手に取る。
「んで、どうやらそれはコイツを入れて使うらしい」
「なにそれ…」
訝しげに魔理沙の行動を見守る霊夢。
対象にそんな霊夢が面白いのか笑っている魔理沙。
「やっぱりこんな誰も来ないところにいると何も知らないんだな。と言っても私もコレ読んだだけなんだけどな」
そう言って魔理沙が見せたのは『説明書』と書かれた文書だった。
しかし所々擦り切れてほとんどの文字が擦れていた。
かろうじて見えるのは一つの図だけであった。
「ふぅん、つまりこれの通りにすれば動くってわけね。ところでどうやって手に入れたのこれ」
「ん、拾ったんだぜ」
「拾ったって…」
魔理沙が拾ったというその荷物はかなりの量がある、それだけの物が落ちていたということは何かしらの異変が起きている可能性が高い。
何せこの荷物はどう見ても「人間の世界の物」だからだ。
「それじゃあ一緒に人間も落っこちてなかったの。これだけの荷物なんだし…」
「あぁ、それは心配ないぜ」
それは深刻な事態なはずなのにいつも通りの魔理沙。それが不思議な霊夢はさらにわけがわからなくなってしまう。
「だって魔法の産物だからな、これ」
「はい?」
「だから魔法」
「ちょっとまちなさい、それはつまり…」
そしてニカっと笑いながら。
「そうだぜ、魔法の練習。今回はうまくいったぜ」
「あきれた…」
「まぁそういうなって……ほい」
「はぁ…確かにいつものことではあるけどね。んで」
霊夢の手には先程の品が。
「そこの出っ張りを下に、それで動くぜ」
「はいはい……」
カチリ
「お」
「あ」
フィーーーン
そうして僅かばかりの風が流れる幻想卿。
魔理沙が魔法の練習をするのは気まぐれのこと。
人知れずの努力家の彼女、その事を知るのは霊夢だけ。
そんな二人の関係。
それもまた、楽しいひと時の話。