Coolier - 新生・東方創想話

魔理沙の冬の悩み事

2009/02/12 22:23:57
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過去2作品に渡って、あまりよろしく無い評価をいただいた者です。
今回から助言に従い、題名を付けてみました。
至らない点はまだまだ多いかとは思います。
その点にも注意してお読みください。
本文は少しばかり下からはじまります。
















   「魔理沙の冬の悩み事」



 それが乾燥肌だと気づいたのは、ずっと後になってからだった。最初はちくちく背中が痒かったのでダニかノミに食われたのだと魔理沙は思い、最初は何もせずにいた。
 徐々に痒みが酷くなったのであの手この手を試した。しかし、布団も干して、掃除も珍しくして、香林堂からくすねて来た、恐らく外界の、ダニ退治用の薬を部屋にまいても治らなかった。とうとう我慢できないくらいの痒みになった。
 痒いと非常に集中力がそがれる。研究に没頭できない。常に背中をこすりつけていないといけないので、やがて箒で飛ぶことさえままならなくなった。
 流石にここまでくれば、粗野な魔理沙でもまずいとは思う。だが、具体的な解決方法がわからず、箒で飛んで相談や助けを求めることさえ出来ない。恐らくパチュリーは本をたくさん読んでいるからこういうものの治し方もわかるのだろうが、紅魔館には箒が無いといけない。いや、歩いて行けないことも無いが、距離的に膨大な時間を費やしてしまう。それだけは嫌だった。
 この際、解決策の端でも、ヒントでもわかる何者かが必要だ。箒には乗れないので、長距離は無理だ。すると同じ魔法の森にいるアリスが最有力候補ということになる。いつもアリスに用事があるときは箒で一っ飛びではあったが、キノコ採取によく歩いて回るこの森を、背中が痒いとは言え、アリスの家まで行くのは造作も無いことであった。
 いつもなら半時ほどで着くものを、今日はその倍以上かかった。

「おいアリス居るか?」
 この声を聞いたとき、アリスは一瞬身構えた。アリスは基本的に外来者には優しく、その人が道に迷って、夜も更けているときには時には泊めてあげることもあるのだが、魔理沙が家に訪れたときには決まって「良くない事」をやらかされるので、手を焼いている。例えばこの間は触るなと言っておいた本棚から低級とはいえグリモワールがくすねられていたし、いつのまにか紅茶のティーパックが4、5個消えていたこともある。身構える理由などいくらでも挙げられる。
「おいアリス居ないのか?」
 アリスは、毎度のパターンだとここで居留守を使ってしまうと強行突破されるのはわかっている。わかっていても、その縫っている人形のこの一針が縫い終わるまで……と、悠長なことを考えているうちに扉を壊される。この日も、心の隅でそんなことは考えている。それでも人形を作る作業の手を止めることは出来ずに居た。
 そして、「居ないんなら勝手に入るぞ」という発言の後に扉が壊されるのが普通であった。しかし今日はそれが聞こえず、代わりに「なんだよ、その辺で散歩でもしてるのか。今日は天気もいいし、外で裁縫してるのかもな」と聞こえた。 その間にその、この一針が縫い終わるまで……は終了し、いつもと違う魔理沙に何かあったのかと疑問に思いつつも、扉を開けてやる。
 そんなに遠くまで行っていなかったが、こちらに気づいた様子は無かったので、
「待って魔理沙」
 そして魔理沙はアリスの方を向き、こう言う。
「なんだ、居るんならさっさと出て来いよ」
「人形縫ってたらすぐに手は離せないでしょ。そのくらい考えなさいよ」
 アリスはここでおかしなことに気が付いた。
 まず魔理沙が常に背中に手を伸ばしていることだ。何か隠している動作にも見えないこともないが、もぞもぞ動いている。多分背中をかいているようだ。
 そして次に、箒がどこにも見当たらない。魔理沙とアリスの家は同じ魔法の森にあって、比較的近い位置にはあるのだが、半時もかかる道のりをわざわざ歩いてくる理由はなんであろう。
 最後に、魔理沙のいつもの陽気で明るく何の悩みも無いような顔には、苦悶の表情が見て取れる。まるで長い間何かを我慢し続けた結果のように見える。
「なあアリス、ちょっと相談があるのだが」
「しみったれてるわね。いつものあんたらしくは無いわよ」
 色々疑問は尽きないが、とりあえずいつものように振舞うアリスであった。
「なんというかだな。背中が痒くて痒くて仕方が無いのだが、何か思い当たる節は無いか?」
 珍しいこともあるもんだと思うアリスだった。あの魔理沙が背中が痒い程度でこんなことになるとは思いもしなかった。そりゃ魔理沙は人間だし、魔女と若干の感覚の違いというものはあるのだろうが、たかが背中が痒い程度だったなんて頭の片隅にもありはしなかった。
「ぷ、ふふ」
「何!? 笑ったな!」
 いつもなら力関係で圧倒している魔理沙なのだが、今日は背中に手を回しているためにあの得意の「魔砲」が撃てない。その他スペルカードの詠唱も無理だろう。いつもの力関係が崩され、優位な優位な状況に居るアリスは、それはもうその状況を楽しむ他無いだろう。
 後が怖くはあるが、そんなことは今のアリスの頭の片隅にもありはしなかった。

 場所はアリス宅内部に移される。リビングに、お互いにテーブルの反対に座って、紅茶をすすりながら会話している案配だ。
「で、その背中が痒いのはいつからなの?」
 アリスは人形制作の続きをしながら問う。
「お前、話してるときくらい人形弄るのやめたらどうだ?」
 と、背中をかきながら魔理沙は言う。
「今質問してるのは私。質問に答えないなら、別に私は困らないからいいけど」
 こいつ楽しんでる、治ったら今に見てろ、と内心思いつつも、今頼れる唯一の人物に頭は上がらない。それは魔理沙も同じだった。
「──3日4日前くらいだ」
「ふぅん。で、ダニノミの類ではないのね」
「あぁ。あれだけダニノミの対策をやって何も効果も無いからそうだと思う」
 ちなみに魔理沙に孫の手を貸しているアリスである。何かあれば人形の操作で済ませてしまうアリス宅には、ある珍しい品であった。いつ頃からあるのかアリス本人も覚えていない。しかし珍しくある品が珍しく役に立つとは、非常に滑稽である。それもまた、今現在のアリスを楽しませる一要因であった。
「そりゃ、病気かなんかじゃない。魔法の森って変な植物が多いし、変なキノコでも食べたんじゃないの?」
 その線は考えてなかった、と少々悔いる魔理沙だったが、ここ最近の行動を振り返ってみると──。
「いや、ここ一週間は新種のキノコの毒味も、新しいブレンドも試してないはずだ」
「ふぅん、そう」
 アリスはだんだん、魔理沙の真摯な訴えを聞いていくうちに、魔理沙を小馬鹿にして遊ぶことに軽く罪悪感を感じてきた。近所のよしみとして、ここで恩を売っておくのも悪く無いだろう。「情けは人のためならず」、確か東洋辺りののことわざだったか。
「むぅ、どうにもわからないわね。本をたくさん読んでて無駄に知識がありそうなパチュリーにでも聞いてみたらどう?」
「そうしたいのは山々なんだが……」
「痒くて箒の乗れないとか?」
 しばらく躊躇った後に魔理沙は言った。
「──そうなんです……」
 常の粗野な口調からは想像もつかない敬語に笑い転げそうになるアリスだが、流石に罪悪感が勝ってきているので、そう感じたのも一瞬だった。
「仕方ないわね。送ってってあげるわよ」
「本当か!?」
 しかし最後に、このアリスの優位な状況を楽しんでおくのも悪く無いだろう。
「ただし、帰りの分は自力なり他に相談するなりでなんとかしなさいよ」
 魔理沙の期待の目に、若干の濁りが入った。

 場所はアリス宅上空を、湖の方にかなり移動している。魔女であるアリスは自力で飛びながら、人形で魔理沙を吊っている状態だ。勿論魔理沙は孫の手を持って背中をかいている。
 珍しいことは続くもので、紅魔館の有名な居眠り門番が起きていた。
 しかし単純なのは相変わらずのようで、事情を簡単に説明すると、
「そういうことなら、多分お嬢様もお許しになるでしょう。でも、図書館以外には近づかないでくださいね」
 これで門番が勤まっているからおかしい。他に有能な人材は居ないものだろうか。いや、この場合は妖怪なので、妖怪材だろうか。
「それじゃ魔理沙、私はこの辺で」
「あぁ。恩にきるぜ」
 やっと安心できる人の所に行けたから、少し元気が戻っている。それは、まるで私が役立たずのようでは無いかとアリスは思ったが、実際そうであったので、これ以上考えるのを止めた。別れ際に感じた、この物寂しさはなんであろうか。 言いつけを守り、魔理沙は場所を図書館へと移す。いつもと違うということを表すために、生真面目にもノックまでして入って行った。
 ──コンコン
 返事は無い。パチュリーそのものが留守なのか、部屋の奥にでも引きこもっているのか。どちらにせよ、入って確かめなければわかるまい。そう思って魔理沙は扉に手をかけた。
 ──ギギィイ
 古めかしい扉の、年季の入った、耳障りな音がたつ。なんとなく、相談に来ているんだという気配を出すために忍び足になってしまう。いつも「本を借り」に来るときは有無言わさず突っ込んでいるので、これならいつもと違うとわかってくれるだろうと、半ばパチュリーを信用して入っている魔理沙である。
「お~い、パチュリー。居たら返事してくれ~」
 小声になってしまうのは何故だろう。おそらく、今の状態で色々な意味で低姿勢になっているからだろうか。
 おそるおそる部屋の奥へと進む。進みながら改めて周りを見渡すと、その本の多さに参ってしまう。一体、いつから本を溜め続けたらこんな量になるのだろうか。本当は百歳だなんて嘘で、もっと長く生きてるんじゃなかろうか。それともレミリア辺りから受け継いだ本も、この中に眠っているのだろうか。そう考えても量が多い。
 規則正しく並ぶ本棚の一番奥に、パチュリーが本を読むために設けている小机がある。そこでパチュリーは本を読んでいた。魔理沙に気づいている様子は無い。
 ここで魔理沙は声をかけようとしたが、なんて声をかければいいのか悩んだ。悩んで、躊躇って、しばらく考え込んだ結果、いつもの通り話かけようと決めた。ここで見栄を張ったり、格好をつけてどうする。
「パチュリー景気はどうだ」
「良く無いわね、ここのところ鼠に入られて本を荒らされるから。で、今日は何か別の用?」
 魔理沙は、一瞬の躊躇も無く返答してきたパチュリーに驚いた。なんだこいつ気づいていたのか、しかし何で何の反応も示さなかったんだ、と疑問に思ったので聞いてみる。
「今日は本を読むのに邪魔にならないと思ったから」
 だそうだ。つまり、いつもと違うんだという演技は成功していたわけだ。
 と話も早いので、早速本題を振ってみる。
「今日は相談があって来たんだ」
 しかし少し躊躇ってしまう。なんと言ったらいいのか、やはり見栄を張っているのか。こんなときに邪魔で、常もあまり役に立たないのが、プライドという奴だ。
「で?」
 一方でパチュリーは本から一寸も目を離さずに、こちらの話を聞いているのかと怒鳴り散らしたくなるほどの格好で魔理沙の話を聞いている。魔理沙は、アリスといいパチュリーといい人が下手をとったからっていい気になって、とは思った。が、やはり今唯一頼れる人物にはどう足掻いても頭が上がらなかった。
 状況を軽く説明し、背中をどうにかしてくれとは言わない、せめて治すヒントだけでもくれ、と魔理沙は言って、パチュリーからの一言。
「わからないわね」
 途絶えた。物知りのパチュリーでさえもわからないとは思わなかった。こうなったらあの無駄に時間のかかる竹林を超えて胡散臭い医者の所まで行くしかないのだろうか。
「今はわからないわ。貴方のその状態になった環境を見ないことにはね」
 しかし光が差し込んだ。環境を見ればわかると。
「じゃ、つまり私の家に来ればわかるかもしれないってことか?」
「たまには外に出ないといけないだろうし。ついでに今日は天気がいい」
 窓が一切無い図書館に閉じこもっているパチュリーが何故外の天気のことがわかるのかというと、それは魔女だからである。それ以上に理由は無い。敢えて挙げるのなら、属性魔法を使う魔女だからであろう。
「じゃ、早速行こうぜ」
 魔理沙の目に希望に色が見える。
「待って」
 パチュリーが静止をかける。そして残酷にも、時計を見てさらにこう言う。
「お茶が済んでからね」
 再び魔理沙の目に、若干の濁りが入った。

 メイドがお茶を運び終えて、なぜか用意周到にも二人分カップがあって、一人はお茶を楽しんでいる。もう一人はその余所余所しい風習に、歯がゆい思いをしながら居る。
「ところで魔理沙」
「ん、なんだ?」
 上品とは言いがたい魔理沙の飲み方に眉をひそめながらもパチュリーは言う。
「背中が痒いってことだったけど、今はどう?」
「ん、そういえばここに来てから痒くないな」
 現在パチュリーにはこの状態を有効に利用する壮大な計画が密かに練られていた。それは「鼠」を助けるようなそぶりを見せて、うまくことが運べばとても「いいこと」が起きる。それを「鼠」に悟られないように気をつけならが会話を進める。
 図書館の中は湿気が満ちている。しかも寒い。埃っぽくはあるが、湿気っているので舞い上がることも無い。だから、ひんやりした空気の中、暖かい紅茶を楽しむことができる。
「ところでこの紅茶って、人の血とか入ってるのか?」
「どうして?」
 パチュリーが紅茶を楽しむことを優先して、簡単に答える。
「あのレミリアが飲む紅茶には人の血が入っているって小耳に挟んだことがあるからさ」
「私のはいたって普通のはず。猫が間違っていなかったらね」
「猫なんて居たか?」
「居たのは人間かも。でも誤差の範囲。」
「百年も生きているとそんなことが誤差に入ってしまうのかね」
 そんな他愛も無い会話をするうちに、お茶の時間は終わった。

 痒くないなら自力で飛んだら、箒なら貸すわよ、とパチュリーに言われた魔理沙だったが、いや途中で痒くなって箒の制御が出来なくなって落下したら笑い事じゃ済まないからどうにかしてくれないか、と頼んだ。
 パチュリーにとって、人っ子一人運ぶくらい造作も無いことなので、快くはないが一応了承して、今こうして上空を飛んでいる。喘息気味で体力が無いはずのパチュリーには考えられない速度で。
 速度が速度だったので、あっという間に魔理沙宅についた。そして何の躊躇もなく家に入るパチュリーだった。
「邪魔するわよ」
「邪魔するなら入らないでくれ」
「じゃ帰るわ」
「待ってください、それだけは止めて……」
 パチュリーはこの状態を楽しんでいた。楽しみながらも、あの壮大な計画の内容は忘れず、まさに今遂行している。
 パチュリーが魔理沙宅に入ってみての第一の感想は、散らかっている、だった。恐らく規則はあるのだろうが、主にしかわからない規則である。ほとんど初めて訪れたパチュリーにわかりえない規則だった。
「散らかってるわね」
「これでも少しは片付けたんだけどな。で、原因はわかったか?」
 再び痒みが襲ってきたので、結論を急ぐ魔理沙にパチュリーは、
「もう少し調べさせて」
 我ながら早計だったと思ったので、素直に魔理沙はこう言った。
「はいはい」
 そうしてさっきからパチュリーは家の隅々まで調べて回っている。時折、ポケットから謎の道具を出して、何かを計っていたりする。疑問、を特に考えなく聞いてみる。
「パチュリー、そりゃなんだ?」
 作業の手を止めることなく、パチュリーは答える。
「湿度計」
「湿度計ってあれか。乾球と湿球の温度差で計るあれか?」
 しかし今度は面倒くさそうに答える。
「そうね。ちなみにこっちの布の方が湿球」
「で、それで何かわかるのか」
「──この家は妙なくらい乾燥してる」
 そういえばさっきから喉がカラカラであった。
「この分だとその痒みの原因は乾燥でしょうね」
 しばらくの間があって、
「それだけか?」
「何が?」
「だから、それだけが原因かって聞いてるんだ」
「本人を調べないことには憶測の域を出ないわね。という訳で魔理沙、背中貸して」
「あ? あぁ……はいはい」
 予想外の事態に一瞬たじろぐが、魔理沙はしぶしぶ了承した。
 魔理沙はパチュリーに背中を向けて背中を出している。竹林の奥の医者の所に行っても同じような事をされただろうが、知り合いという分だけ、パチュリーのほうが何ぼかましだった。
 とは言っても恥ずかしいのに変わりは無いので、若干赤面する魔理沙であった。
「まだかパチュリー」
「……──…───………」
 なにやら呟いているパチュリーを、不振に思った魔理沙は振り向こうとした時、背中に何か生暖かい感触を覚える。四十度くらいのお湯をかけられている感覚と、瘡蓋をはがした瞬間の気持ちのよさの感覚を足したような、心地よいとも言える感覚だった。
 酔いしれる感覚から覚めた時、魔理沙は問う。
「おい、パチュリー、今、何をした?」
 そして痒みは消える。
「治した。大丈夫、肌に水分が足りなかっただけだから細胞一個一個に水を入れただけ。水は私の得意分野」
 聞くと恐ろしいことだが、パチュリーは何の恐ろしげも無く言う。
「治せるならあの場でも良かったんじゃないか?」
「根本的な原因が不明だったのと、今後の予防も兼ねてね。それともあの場で感覚を無くす方がよかったかしら」
 いやいやいやと否定する魔理沙、するとパチュリーが、
「ここは非常に空気が乾燥しているから、まず湿気を作り出すこと。確かに湿気は本の対敵だけど、読む本人がこれじゃ意味無いわ。具体的には、水でいっぱいにした鍋を沸騰させて、全部沸騰しきるまで続けること。これは風邪の予防にも最適。それと、水を飲むこと。どんなに湿気を空気が持とうとも、本人が水を摂取しなかったらやっぱり乾燥するから忘れずにね」
 ひとしきり言い終えると、用が終わったから帰ろう言わんばかりにそそくさと玄関へ向かうパチュリーに対して魔理沙が静止をかける。が、それは無視された。パチュリーは玄関先でこちらに振り向き、意味有りげに笑った。
 計画は順調に終了して、後は急いで帰るだけのパチュリーだった。
 一方で魔理沙は、妙に膨れ上がっているパチュリーの服を見て不審に思ったが、恩人を疑うほど野暮なマネはしない。その場でパチュリーを見送る魔理沙だった。

 パチュリーは大空に舞った。魔理沙は彼女を見送った。そしてさてとそれじゃ研究の続きでもするかなと、本棚を漁って気が付いた。
「やられた……」
 パチュリーから「借りていた本」は、全て没収されていた。なぜかアリスから「借りた本」も含めて。
 やはりあの疑いは間違いじゃなかったのだ。しかしこれから追いかけても追いつくとは思えない。仕返しはまたの機会にして、そそくさとキノコ採取に向かう魔理沙だった。

 上空で思いのほかうまくいった我が計画を内心褒めながら飛び、大量の本とともに飛んでいるパチュリーは、どこか新世界の神にでもなったような気分でこう呟いた。
「計画通り」
 結論としては、情けは人のためならず、仇もまた人のためならず。
 事の全ては、結果的に自分に返ってくるのだった。
別に魔理沙である必要は無いはずですが、この内容で思いついたのが魔理沙でした。何となく人知れず苦労しているイメージがあるからかもしれないです。
まだまだな点には、ご助言頂けましたら幸いです。
尾非夜
[email protected]
http://w87263.web.fc2.com/
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コメント



0.590簡易評価
1.70煉獄削除
結構良かったんじゃないでしょうか?
私は結構面白いと思いましたよ。
短くても内容は良かったかと。
前回までと違ってかなりしっかりしてきている感じもします。
頑張ってください。
2.90名前が無い程度の能力削除
ん?別に良いと思うよ(゜∇゜)誤差の範囲内
4.30名前が無い程度の能力削除
結局何がいいたかったの?

前置きであんなこと書く意味もわからない
8.70名前が無い程度の能力削除
いや普通に面白いよ。頑張れ
14.90名前が無い程度の能力削除
一般的に低評価の作品は面白くないですからね(あくまで一般的ですが)
最初の警告文は面白くないかもしれないって事を伝えたかっただけかと

個人的には十二分に面白いと思えました
これからも頑張って下さい
15.90カギ削除
誤字発見
「鼠に悟られないよう~」あたりの
× 気をつけならが
○ 気をつけながら

上記以外はOKでした
17.90名前が無い程度の能力削除
なかなか良かったんではないでしょうか。
強いて言うなら地の文が少し少なかったかと思います。
やっぱり良い作家さん(あくまで私が読んだものの中ではですが)は地の文も素晴らしいです。
より簡潔でより的確に。といった具合に。

とにかく着実に進歩されているのがよくわかります。この調子で頑張ってください。
いつの日か、このコメント欄に100点が並ぶことを期待していますよ!
19.60名前が無い程度の能力削除
素人の感想ですみませんが。

一つの文章としてはよくまとまっていて良いと思いましたが、話の盛り上がりがよくわかりませんでした。
話に起伏をつけるともっと話に引き込まれるかなと思います。
文章の書き方も力不足が否めなかったので、他の人の書き方をみて力をつけてください。

以上の減点で私はこの点数とします。
22.80☆月柳☆削除
タイトルつけたのは良かったと思います。
内容のほうも悪くなかったし、面白かったです。
ちょっと物語が淡々と進んで、山がなかったのが残念かと。
24.60名前が無い程度の能力削除
ああいう前書きはもういらないと思いますよ。
読んでいる人はたくさんいますし、もっと胸張っていいと思います。

内容に関しては、初めにオチが見えちゃっているのが起伏を欠く一つの要因になってるんじゃないでしょうか?
>それが乾燥肌だと気づいたのは、ずっと後になってからだった。最初はちくちく背中が痒かったのでダニかノミに食われたのだと魔理沙は思い、最初は何もせずにいた。

論文などでは結論を頭に持ってくるのは読み手をひきつける手段になります。
でも、物語ではオチにあたる結果を最初に持ってくると、それ以降が単なる行動や感情の記録になってしまう恐れもあります。
ここから内容がさらに二転三転していくと魅力的なお話になるのでは、などと~。