!月○日
あんなに暑かった夏が終わり、秋ともなると幻想郷も涼しくなって過ごしやすくなってきた。
どこぞの神の姉妹は我らの時代!と高らかに宣言して霊夢に捻り潰されてたけど。
それと河童から修理を頼んでいた蓄音器が返ってきた。
この蓄音器、時折ティータイムにお嬢様がお使いになる為、修理を河童に頼んでいた物だった。
こういうのだけは大人っぽいのよねぇとはパチュリー様の談、その辺は深くはツッコミを入れないのが瀟洒な従者よね。
お嬢様は早速お使いになられて今日はご機嫌だった。
そして・・・これが今日の本題ではあるのだけど。
今日、メイドのバイトが一人増えた。
こんな事を書くのは一年くらい前の風見幽香の件以来だけど。
まぁ何というか、それ関連なわけで。
はぁっ、本当に最近あいつには驚かされっぱなしだわ。
ちなみに、だが。
あの風見幽香に勝るとも劣らなかった、どこで覚えたのよこいつらは・・・
「はい、頼まれてた蓄音器、持って来たよー」
門に私宛ての来客の報せを受けて向かうとそこにいたのは河童だった。
この前頼んだお嬢様の蓄音器の修理が終わったみたいね。
「ありがとう、美鈴、2階の第2談合室に置いてきて頂戴」
「わかりました咲夜さん。じゃあちょっと離れるけどその間よろしくねーたぶん大丈夫だと思うけど」
「了解です美鈴様」
黒龍(以下略)以下、数名の妖精メイドが美鈴に敬礼をし、美鈴は河童から蓄音器を抱くようにして受け取った。
「落っことさないでよ。修理してもらって早々また修理に出すなんて事はしたくないわ」
「大丈夫ですって!お任せ下さい。それでは」
美鈴が抱え直して紅魔館に入って行った。
「ありがとう、上がっていく?謝礼と紅茶くらいは出せるけど」
謝礼は一応持ってきてはいるけどそれはそれ。
お金を渡してはいさようなら、ではあんまりな話。
中で紅茶とお茶菓子くらいは振舞っても何も問題はない。
「んー好意に甘えたいところだけどこの後ちょっと用事があってねー
またの機会に上がらせてもらうよ」
そう、残念ね。
「わかったわ、えーと、これが謝礼のものと、後じゃあお土産としてこれを」
時を止めて一度キッチンに戻り、用意しておいた品を持って謝礼と一緒に渡す。
風呂敷の中身はきゅうりを使った料理、好きらしいからねきゅうり。
「ありがとう、それじゃまた何かあったら呼んでねー」
そう言って河童は飛んで帰って行った。
さて、そろそろお昼時ですし、お嬢様と妹様のお昼食を用意しなくては・・・
と踵を返しそうとした矢先、湖から誰かがこちらに向かってくるのが見えた。
あれは・・・
「よっと。はぁい、ちょっといいかしら」
また面倒な秋なのにいる冬の妖怪がやってきた。
「何かしら? 」
今日はチルノ達はいないようね。
夏の間も今年はいたからあの子たちはさぞ喜んだでしょうね。
なんだかんだ言ってこの妖怪も懐かれてる事に悪い気はしていないわけだし。
「いや、お世話になろうかと」
「は? 」
何を言ってるのかこの妖怪は・・・
「で?うちで働きたいと、そういうわけなのね」
お昼時ということでお嬢様と妹様の食事中にこの困った冬の妖怪に関してお嬢様にどうしたものかと尋ねてみることにした。
ちなみにその困った冬の妖怪は目の前で紅茶飲んでたりするからさらに始末が悪い、働く気あるのかしら全く。
「そ、働く理由は説明いらないわよね」
ちなみに妹様は全く興味がないらしく、目の前のハンバーグに御熱心な御様子。
あ、はいお水ですね。
「全くうちはお手軽なバイト先ってわけじゃないのよ?風見幽香の件はわかってはいるけど。
聞けばお前もうちの咲夜に色々と頼みを聞いてもらってるそうじゃないか。
あまり関心はしないな、私の従者はそんなに安くはないんだが? 」
「その辺は悪いとは思うけれど頼める相手がいなかったのよ。
いないのよ?こうも種族問わず頼れる奴っていうのは」
「むっ・・・そういうものかしら? 」
「あの幽香が結構信頼を置いてるみたいだしね。
巫女とは違った幻想郷に必要な人物である事は間違いないんじゃないかしらね、どこぞのスキマみたいな事言いたくないけど」
何か話がどんどん当初から離れてませんか?
あ、妹様、今デザートをお出ししますね。
「まぁ確かに他の連中から頼りにされてるのはわかる、わかるが・・・」
どうでしょうか、本日のシュークリームのお味は?
・・・・・・そうですか、ありがとうございます。
「あら、嫉妬かしら? 」
え?あぁ、では今度一緒に作りましょうか。
「・・・雇わんぞ、そういう事を言う奴は」
あらあら妹様、御口元にクリームがついてますよ。
レディになられるならその辺りも気をつけませんと。
「あら怖い、本当の事を言ったまででしょ、ほら、そんなだから妹君のほうに・・・」
えぇ、そうゆうものですよレディは。
ふふふ、はいそうですね、頑張ってください。
「・・・咲夜!さっきからそこで私は関係ないみたいな感じになってないでお水頂戴!
それとそこの妖怪!今日から咲夜は元より私もこき使ってやるわ!覚悟なさい!!! 」
はて・・・お嬢様はなぜあんなに失礼ながらぷりぷりなさっておられるのでしょうか。
何かあの冬の妖怪が失礼なことを言ったのかしら・・・
まったく、また厄介なバイトが増えたものだわ。
「うーむ、風見幽香といい、あなたといい、結構様になるものね」
お嬢様の許可が下りたのでさっそく冬の妖怪には着替えてもらった。
普段から白と青の服を見ているからか違和感がないわ。
幻想郷の連中は結構似合う奴が多いかもしれないわね。
「ありがと、ところで仕事以外の事なのだけどいいかしら? 」
「なにかしら? 」
「仕事以外のプライべートであなたの事を何て呼べばいいのかしら・・・?
仕事中はメイド長って呼ぶのはいいのだけどそれ以外の時は咲夜と呼び捨てでいいのかしら
一応こうして一緒に仕事する仲になったわけだし、あんたとかだけで呼び合うのも何か感じが悪いわ」
意外と細かいところを気にするのね。
でも呼び方は重要かしらね、こうして同僚になるわけだし、フリーの時はこれぐらいがいいのかしら。
「構わないわ、じゃあ私はレティと呼べばいいのかしら」
「えぇ、その方が気楽でいいわ。それじゃあ・・・・・・よろしくお願いね、メイド長」
冬の妖怪、いえ、レティが手を出した。
私はその手を取って握手し、
「えぇ、紅魔館へようこそレティ・ホワイトロック。
ここの仕事は甘くないわよ、覚悟しなさい」
と返した。
こうしてまた一人、いや、一匹というべきかしらね。
厄介な妖怪が紅魔館でメイドのバイトをすることになるのであった・・・面倒事起きなきゃいいけど。
「さて、と。風見幽香の時と同じような感じで頼めばいいのかしら? 」
「えぇ構わないわ、幽香よりちゃぁんと綺麗にしてあげるわ」
相変わらず風見幽香との相性は抜群なのか極悪なのか。
・・・・・・聞いてみようかしら。
「ねぇ、風見幽香の事をあなたはどう思ってるのかしら?
顔を合わせれば喧嘩ばかり、しかしある奴はあなたと風見幽香は友人の間柄と言う。
私にはよくわからないわ、その辺の事が」
窓を拭きながら尋ねてみる。
モップで床を拭いていたレティは「んーそうねぇ・・・」と少し腕を組んで考えるような素振りをしだした。
少ししてその口が開かられた。
「最初はお互いに大っ嫌いなんていうもんじゃなかったわね。
会えば殺し合いよ、それほどに憎み合ってたわ、互いの主張を通すためとはいえね」
今も会えば一触即発の雰囲気しかしないじゃないのよ・・・まぁ実際にやり合ってるところは見たことないけど。
あれはもう挨拶みたいなものってことなのかしら。
「それが何百年か続いたけどお互いほとんど決着みたいなものがつかなかったわ。
毎年会ってたわけじゃないしね、そしてお互い不図気づいたのよ、無駄な事を私達はしているって。
それからは殺し合い、にまではいかなくなったわ、本気の戦いはしたけど」
無駄な事、ねぇ。
そういう意味じゃどこぞの蓬莱人二人にあの辺の竹林が焼失する前に気づいてほしいわね。
理由は知らないけど死なない二人の殺し合いなんて意味無いじゃない。
それともあれも一種の挨拶とかそういう類なのかしら?私にはちょっと理解できないわね。
「それが今でも続いてるっていう感じかしら。
お互い相手の事はよくわかってるし、どことなく気が合うのよ私達。
そうねぇ、友人かもしれないわ、もしくはライバルっていうやつかしら。
そんな微妙で曖昧な関係よ私と幽香は、たぶんこれからもずっとこんな感じでしょうね」
「そう」
しかし当人は満足そうだ。
うん、スキマ妖怪の言う事は正しいみたいね。
友人であり、ライバルでもある、か。
そんな関係も少し羨ましいなんて思った自分がいたけど、まぁ無理かしらね私には。
「さぁてと、ここはこんな感じでよろしいかしら?メイド長」
さすが自信満々に豪語しただけのことはあるわね。
拭きムラもなく拭き残しも存在しない。
どこで覚えたのよこんな仕事。
「色々と幽香と張り合ってる内にね。
関係は曖昧だけどやるからには中途半端にしたくないのよ私たちって。
それでもさすがに本職のあなたには負けるけどね」
「全く、風見幽香といい、あんたといい、喰えない連中よ・・・本当に」
レティが微笑した。
まぁせいぜい頑張って働いてもらおうかしら。
しかし、本当に最近バイトを雇う事が多くなったわね・・・
でもまぁそれが紅魔館にいい影響を及ぼしてくれるならいい事だとは思うのだけどね。
!月◎日
なんというか、本当に友人なのねあいつら。
どこから聞きつけたのか風見幽香が今日紅魔館に来た。
要件は庭の花と、そして昨日から来てるバイトのあれ。
前日にレティから話を聞いたせいか少しだけ微笑ましく見れた気がした。
しかし何も知らない妖精メイドと美鈴を怖がらせるのはさすがに止めてほしいと思った。
まぁ言っても無駄よねぇ・・・あれが本人たちにとっての普通なんだし。
「だから美鈴、水をやり過ぎるのはよくないって言ってるでしょ? 」
「す、すいません。ついやりすぎちゃうんですよねぇ」
美鈴と少数の妖精メイドを伴って庭の花の世話。
全くこの子はいくら花が綺麗で可愛いからって水のやり過ぎはよくないって言ってるのに。
困ったような顔をして頬をかく美鈴に私はやれやれ、と心の中で溜息をついた。
「あぁそこの花は少し多めに水をあげて、それと黒龍(以下略)、門の子達がサボってないか見てきてちょうだい」
「了解ですメイド長!うりゃーーー」
「いや、ちょっと!私にまでかかる!りょ、了解ですメイド長、見てきます」
相変わらず件の日記の妖精メイドは元気ね・・・むしろ元気すぎるのが玉に瑕かしら。
また何かしでかさなきゃいいけど。
「メイド長、図書館通路と一階裏終わったわよー」
数人の妖精メイドを従えて昨日からバイトで雇ってるレティがやってきた。
予想よりも少し早かったわね、まっ、昨日の仕事振りを見れば手抜きはないわね。
「御苦労様、少し休憩に入ってていいわよ」
わーい、と一緒に来た妖精メイドが我先にと館の中へ入っていく。
全く困った子達だわ。
「可愛いものね」
意味ありげな笑みを浮かべるレティに私はジト目で返した。
「あらあら、そんな顔をしてるとまーた鬼メイド長とか言われちゃうわよ」
「そんなに怖い顔してないわよ、まったく・・・」
考え事する時とか嫌な事があると眉間に皺が寄るのが最近の悩みだけど。
「メイド長、お客様です」
そんな折、さっき偵察に行かせた黒(以下略)が戻ってきた。
お客?いったい誰・・・
「あら、予想よりお似合いじゃないレティ、このまま誰かのメイドにでもなるといいんじゃないかしら」
客を見て眉間に皺が寄ったのがよくわかった。
「ありがとう幽香、あなたもまたバイトをすればいいんじゃないかしら、尤も、あなたはプライド高いから誰かに仕えるなんてしないでしょうけど」
言ってる言葉の節々に棘を感じるのは気のせいにしておきたいわね。
美鈴と妖精メイド達がびびってるから余所でやれと声を大にして言いたいけど。
と、いうわけで混ぜるな危険とプラカードを掲げて宣伝したい組み合わせになってしまった。
はぁっ、友人同士ならもう少し仲良しな感じに見せてほしいものだわ。
「さ、咲夜さん、大丈夫なんですかあの二人」
とりあえず大にしては言わなかったがいい加減にしろという意味で少し離れた花壇の世話をレティに任せた。
何かを話してはいるだろうけど何を話しているかはわからない、あまり聞く気もない。
しゃがんで世話をするレティ、そしてその後ろで花を見ている風見幽香。
美鈴やら妖精メイドやらは気が気でない様子だ、飛び火が来るんじゃないかと。
「大丈夫よ、こんな所で事を起こすなんて程あの二人は馬鹿じゃないわ。
それに、元々弾幕ごっこをやる気もあいつらにはないわよ」
レティとスキマ妖怪の言葉を信じて見るとなるほど妙な友人関係というのがわかる。
だとすればあの二人でいざこざは喧嘩でもしない限りそうはおきまい。
慣れのおかげかしらね。
「さっすがメイド長!伊達に鬼メイド長とか呼ばれてうべすっ!? 」
とりあえず鬼メイド長と言いふらしてる妖精メイドに拳骨をくれておく。
「あいつらはあれでいいのよ。ああいう付き合い方もあるってことよ。
ほら、ちゃんと仕事しなさい。サボってると夕飯抜くわよ」
しばらく花壇を見ながらレティと会話し、風見幽香は満足げに帰って行った。
帰り際に「また私もここにバイトしようかしら、張り合うのも面白そうだし」なんて言っていた。
たぶん妖精メイドやら美鈴から泣きつかれると思った私の考えは決して間違いではないと思う。
!月×日
妹様が図書館でお読みになったのか釣りがしてみたいとおっしゃってきた。
お嬢様も乗り気になられて湖でお二人が釣りをする事に。
そこまではよかったのですが釣ったものが問題というか
あの投棄した巨大金魚が釣れて急いで湖に沈めたりそのせいか大ガマが現れたりと大変に忙しかった、私と美鈴が。
しかしお二人はとても楽しかった、と笑顔だった。
それとパチュリー様はいい加減もやしを食べれるようになってほしいと思う。
なぜかあれだけ嫌だとお食べになってくれない、同族だとかなんとか言ってたけど意味が分からない。
!月□日
定例の料理研究会に新たな子が入った、名を緑巫女、じゃない東風谷早苗という。
さすが守矢神社の台所を任されてるだけあって家庭的な料理はそつなくこなせていた。
でも応援団と称した神二人は自重してほしいと思う。
それとあの困った亡霊とスキマ妖怪がしかけたホウ酸団子にひっかかった。
これに懲りたら盗み食いには来ないでほしいと切に願う、主に八雲藍と妖夢の立場の為に。
!月△日
ま・た妙な実験をして今度は外に逃げ出したパチュリー様を追ってると
夏の時に会った竜宮の使いだかなんだかに会った。
何やら困った様子だったので何かあったのかと聞いたら
あの困った天人がどっか行って3日くらい帰ってないそうだ。
どこでも困った奴はいるものだ・・・
会ったらふんづかまえて天界に帰すと約束して別れてパチュリー様を探していると
その困った天人が地面に首だけ出して埋まっていた。
何があったのか聞いてみると落とし穴にはまった挙句、詐欺兎に埋められたそうだ。
仕方なく引きぬいて助けてやり、竜宮の使いが探してるから天界に帰れといっておいた。
ぶーたれていたが仕方ない、といった感じで飛んで帰って行った。
ちなみになぜか隣に紫もやしが生えていたのは気のせいよね、うん。
よくやった詐欺兎、今度人参料理をプレゼントするわ。
!月&日
ちゃんと帰ったらしく、竜宮の使いがお土産を持って訪ねてきた。
その時レティとも彼女は会ったが知り合いだったみたいね。
色々と話したけどまた天人はどっかに出かけたらしい。
天界から降りてきて以来自由奔放というか少し落ち着けと言いたいというか・・・
ちなみに図書館で何か爆発してさらに誰かが紅魔館から逃げるように出て行ったのは見なかったことにしたかった。
もう少し大人しくしてほしいわ、と二人で溜息をついたのは当分忘れられそうにない。
!月$日
胃薬が切れたので永遠亭に。
詐欺兎には特製キャロットジュースとキャロットクッキーをプレゼントしておいた。
何でもらったのかわからない様子だったけどそれでいいわ。
八意永琳から少し摂取を減らしなさいとまた言われてしまった。
善処するわ、と言っておきながらさっそく今噛み砕いてるのは泣きたくなる。
原因は・・・2度ある事は3度ある、よ。
!月#日
今日は宴会ということで博麗神社に。
まさか料理まで出来るとは・・・それに二人ともだなんて。
あいつらには本当に驚かされてばかりだわ。
そういえばあいつは何時までバイトする気なのかしら・・・?後で聞いておかないといけないわね。
とりあえずあのパパラッチと鬼には妹様にあまり飲ませるなと言っておかないとね。
「はい妖夢、これを持って行って」
「わかりましたって幽々子様!今お持ちしますから台所につまみ食いにこないでください! 」
「咲夜、このぐらいでどう?久し振りだから上手く言ってるか見てくれないかしら 」
「・・・料理まで出来るとは思わなかったわ、もう少し醤油を足してもいいんじゃないかしら」
「咲夜、そろそろ私は演奏に戻らねばならな「姉さーん、はやくー! 」・・・・・・すまない」
「いいのよルナサ、毎回手伝ってくれてありがとう、いい演奏を期待してるわ」
「あぁ、紫様!お酒でしたらそちらにありますから! 」
「そこのスキマ妖怪!さりげなく料理を持って行くな! 」
あー忙しいわ。
毎度の事とはいえ宴会の料理作りは本当に大変だわ。
料理担当の私たちは猫の手でも借りたい思いよ、実際に借りたら大惨事になりそうだけど。
でも今回はまさかできるとは思わなかったレティの増援もあって前の時よりは楽ができそうね。
ちなみにあの風見幽香もできるそうだ、オールマイティね本当に・・・
「調理担当ーそろそろ少しずつ向こうに戻っても大丈夫よー
食の方は落ち着いてきたみたい」
アリスの報告に私たちはホッと一息。
ようやく宴会に参加できそうね・・・
「お疲れ様咲夜、ほら、飲みなさい」
「ありがとうございますお嬢様、頂きます」
調理場から戻ってくるとお嬢様が私にワインをついだグラスをお渡しになられた。
久し振りに飲むワインはお嬢様がおつぎになられたせいかとても美味しく感じられた。
「ヒック・・・さくや~おつかれさま~」
一杯飲むと妹様がこちらにいらした、服ぐらいにお顔を真っ赤にされて。
来た方向を見ると鬼やら天狗やらがいた、あいつら・・・
「妹様、飲み過ぎですよってあら・・・」
「すぅ・・・すぅ・・・」
座ったかと思うと妹様は私の左膝を枕に寝てしまわれた。
相当お飲みになったようね・・・
ん・・・?何やらお嬢様がどんどんと不機嫌に・・・
「咲夜! 」
「は、はい! 」
そんなに大声を出さなくても聞こえてますお嬢様。
「ちょっと眠気が出てきたわ、少しの間横になるから膝を貸しなさい」
「は、はぁ・・・」
お嬢様は右膝を枕に横になられてしまった。
はて?お嬢様はそこまでお飲みになっていらっしゃらないはずなのですが・・・
まぁお嬢様が眠いというのだから仕方ないことかしら。
私はグラスを片手に妹様の頭を撫でた。
「んんぅ・・・咲夜・・・」
可愛らしい寝顔だ。
ちょっと頬を緩めるとお嬢様がギロリとこちらをお睨みになった。
撫でろ、ということらしい。
私は逆らわずにそっとお嬢様の頭を撫でる。
「・・・咲夜、あなたは私達だけのメイドよ、それだけは忘れないでね」
「えぇ、わかっております」
よろしい、とお嬢様は笑みを浮かべた後、お目を閉じた。
可愛らしい寝息が聞こえてくるのにそう時間はかからなかった。
私はまたお二人の頭を一撫でした。
「私はお二人だけのメイドですわ、だから安心して今はお休みくださいませお嬢様、妹様」
「どうみても母親よねぇ」
「えぇ、母親ね。どこから見ても」
「こらそこの花と冬の妖怪、聞こえてるわよ。
私はまだ十代だし、母親でも無いって言ってるでしょ!!! 」
余談だけど正座してたものだから足が痺れに痺れて立つことすらままならなくなる事をこの時の私は知る由もなかった・・・
今回も良い紅魔館でした。
幽香に続いて、次はレティが臨時のメイドへと……。
二人とも張り合ったいておかげで家事なども出来る、と。
良いですね、そういう関係も。
そしてホウ酸団子の罠に思わず笑ってしまいました。
まさか引っかかるとは……リアクションとかが見てみたいですねぇ。
神社での咲夜さんの膝枕して微笑んでいる姿を想像して
頬が緩みました。
良いですね、この三人の光景は微笑ましくてとても好きです!
面白かったですよ。
誤字の報告です。
>また何かしだかさなきゃいいけど。
しでかさなきゃ…ですよね。
>あなたはプライド高いから誰かに使えるなんてしないでしょうけど
レティのセリフですが、使えるではなく仕えるですよ。
あ、他のお話でも誤字とか見つけてあるので確認してみてください。
以上、報告でした。(礼)
おもしろかったです。
いつまでもそんな咲夜さんで居て欲しい。
ところで、やけに紅魔館の内情に詳しいようですが関係者の方ですか?
もしや……
そして最後の言葉がいつも心に響くぜ。
二人は仲良し!
レティと幽香は万能ですね。家に一人ずつ欲しいぐらいです。
プレイベートですか?「ラ」じゃないですか?