「ああ、あそこならいいかも、うちの裏手から……」
「こ、心当たりがあるんですか?!どこですかそこは!」
「ちょ、ちょっと巫女さん腕引っ張らないで……、まだ営業中だから!」
人間の里のメインストリートにあるお米屋さんの裏手から5分ほど歩いた、微かに起伏のある丘の上にその森はあった。
極力人の手を加えないように細心の注意が払われたであろう自然のままの佇まい。苔むす岩、清らかな流れ、そんななか一か所だけわずかに開けた清らかな空間に木々の間から柔らかな光が差している。
さすがは幻想郷。
まさか人里の中にこんな神霊のおわす森があるなんて、外の世界では考えられない。
神奈子様に聞いたことを思い出す。
古代の人々は清らかな森や岩、山などに遭遇したとき、そこには神がおわすに違いないと畏れた。そしてその信仰が神々を生み出し、その場所をより神聖なものへと育てていったと。
まさにそんな場所だ。ここだ。守矢の分社を建てるに相応しい場所だ。
「どうかな?巫女様のお眼鏡にかなったかな?」
いきつけのお米屋の若旦那さんが不安と自信が4対1の割合でブレンドされたような表情で問いかけてくる。
「大変神々しい森です。ここに分社を建てることが出来たらどんなに素晴らしいか」
私、東風谷早苗は人間の里に分社を建てたい。
地道な努力の成果か、徐々に守矢の二柱を信仰してくれる人が増えてきた。それだけなら歓喜の舞を踊ってお終いなのだけれど、守矢神社は閉鎖的な妖怪の山にある。どんなに里の人がケロちゃん可愛いよケロちゃんという思いに突き動かされて、守矢神社に向かったとしても厄神様や河童さんや天狗達の警戒を突破することは不可能だ。
まあそんな不心得者はたとえ辿りついても私が九字刺しで追い払うわけだけど。
そこで、里に分社をという訳だ。
里に分社さえ出来れば、そこに日頃の参拝や初詣もしてもらえる。里の人も安心して守矢神社を信仰してもらえるというもの。
なのでその候補地を探し求めていた。
森からの帰り道、ちょっとお調子者だけど細やかな気配りができることで評判の若旦那さんは、
「いやあ、巫女さんにいきなりここまで引っ張ってこられた時は何事かと思ったけど、満足してもらえたなら良かった」
と人の良さそうな顔をくしゃっとさせて笑いながら言った。
そこまで強引なことはしていないと思う。たぶん、きっと。まあ、候補地に心当たりがあると言われてちょっと興奮してしまったことだけは認めるのにやぶさかではないけれど。
「ただ、説明する間がなかったんだけど、ここは使ってない土地だし、守矢神社も巫女さんも信用してるから、正当な代価さえ払ってもらえれば譲るのはいいんだけど」
当たり前です。
信者の寄進を当てにして運営しているような怪しげな宗教団体と守矢神社を一緒にしないで下さい。
いつもにこにこ現金払いが守矢神社のモットーだ。
「ただ、一個だけ、いや、一人だけ問題があるんだ」
「ひとりだけ?」
「ああ。もうすぐ着くから、実際に会ってもらった方が話が早いと思う」
お米屋さんの裏手にある純和風のお宅につくと客間に通された。
「あ、あなた、無事で帰ってきたのね。あなたが守矢の巫女様のお怒りをかって、罰を受けに連れ去られたってお客さんが……」
なんて若奥様の声が聞こえる。ちょっと反省。
若旦那はじゃあ呼んでくるからと奥に入っていった。
あの森の地主さんが別にいるってことだろうか?やっと絶好の物件を見つけたのだ。たとえどんな頑固な地主さんだとしても、石にかじりついてでも説得しなくては。
「いや!おじいちゃんの森を売るのは絶対にいや!」
腕を引っ張られながら客間に入ってきた地主さんは、小さな体に敵意を漲らせている十歳にも満たないくらいの少女だった。
◇
その日の夕食後、さっそく神奈子様と諏訪子様に森について報告をした。
「それはそれは清らかな場所なんです!守矢の分社を置くためにあるような!あそこだったら皆さん安全に参拝できますし!」
「わ、わかったわかったから。早苗、深呼吸深呼吸」
神奈子様が若干呆れた様子で手を上下にして抑えて抑えてのジェスチャーをなさっている。
私はこの上なく冷静ですよ神奈子様。でもお言いつけには従おう。
すーはーすーはー。
「どうどう」
諏訪子様まで苦笑しながら私をなだめる。
私は馬じゃないのにー。
「早苗がそこまで気にいったんだ。良い場所なんだろう。私たちも絶対気にいるさ。ただその少女は反対してるんだろう?」
そうなのだ。
神奈子様の仰る通り少女――名前は千代ちゃん――は最後までその森に分社を置くことを許してくれなかった。
お米屋の若旦那さん――少女の従兄で現在親代わりにあたるらしい――に聞くところによると、あの森は千代ちゃんのおじいさんがそれはそれは大事にしていた森だという。そしてそのおじいさんが遺言で家族に財産を分ける時に一番愛してやまなかった森を、同じく愛してやまない孫に遺したのだ。
「お祖父ちゃんとの思い出の場所で、お祖父ちゃんが周りから何を言われても手放さなかった土地なんだそうです。だからとても頑なで。でも、お任せ下さい。私が絶対に彼女を説得してみせます。現人神の名にかけて!」
腕組みをしながら若干考えこんでいた神奈子様は、一つため息をつくと諏訪子様と目くばせをしてから、
「素敵な笑顔とポーズはいいから……。分かった。この件に関してはすべて早苗に任せるよ。最終的な判断まで」
と仰られた。
諏訪子様は、
「早苗はいったん走り始めると周りが見えなくなって突っ走ってしまうから、そこだけは気をつけるように。あとは私もすべて任す」
と一言釘をさしてから任せてくださった。
常に周囲に気を配っているつもりなんだけど、外の世界にいた時の友達にもそんなことを言われたことがあった。
不本意だ。
神奈子様、諏訪子様、きっとお二方に相応しい分社を里に建ててみせます。
◇
翌日さっそく千代ちゃんの家に向かう。
しかし、会ってさえくれなかった。
翌日もその翌日も。
その度に、控え目で優しそうなお米屋の若奥さんが申し訳なさそうに謝罪する。いえいえ、奥さんに謝られるとこちらが申し訳ないです。私が押しかけているんだから。
その次の日、変化があらわれた。
玄関に向かって歩いていると庭の方に千代ちゃんの姿が見えたのだ。
よし、チャンスだ。少女の方に歩きながら、にこにこ話しかける。
「こんにちは、ちょっとお話いいか、うわっ」
お、落とし穴。
千代ちゃんは私が罠にかかったのを見ると表情も変えずにすっと家の中に入ってしまう。ほんの小さな、ほとんど危険のない穴だった。しかし、罠にかかったことよりも、表情がまるで物でも見るかのようだったことがちょっと堪える。
いえ、かなり泣きそう。
その翌日も千代ちゃんの家に向かう。
あまりの拒絶っぷりに段々憂鬱になってきたけれど、この程度でへこたれてはいられない。私は里で信仰を萃めなくてはならないんだ。わざわざ信仰を萃めるために幻想郷までやってきたのだから。
確かに妖怪の山での信仰は順調に萃まっている。
しかし、そこに私の貢献は皆無だった。
宴会などで妖怪たちを心服させたのは二柱のお力だった。私は酔いつぶれていたにすぎない。
いや違うよ、早苗は良くやってくれているよとお二方は仰ってくださるけれど、いったい何のために私は居るのか。
妖怪の山だけに神徳を与えすぎると幻想郷のパワーバランスが崩れてしまうという。ならば里で信仰を萃めなくてはならない。
今度こそ私が。
千代ちゃんの家に到着し、玄関の方へ歩いていると、千代ちゃんが庭で木を見上げているのが見えた。
新手の罠かなと警戒する気持ちもあるが、真剣な表情で一点を見つめている。
視線の先を追うと、枝先に子猫がいた。降りられなくなった猫を心配しているのだろう。
「千代ちゃん。猫が降りられなくなってるの?」
驚いた表情でこちらを見る。ちらっと躊躇ったあとこくんとうなずくとすぐに視線を子猫に戻す。
子猫が心配で仕方がないようだ。
私は子猫を驚かさないようにふわっと静かに浮き、ゆっくりと子猫の後ろにまわり抱きかかえる。ここで暴れられたり跳び下りられたりすると事だったが、どうやら上手く気配を消せたようだ。下に降りて猫を地面にそっと放す。
千代ちゃんは何か物言いたげな表情をうかべてこちらをちらっと見たあと、不意に怒ったような表情になって家に駆け込んでいってしまった。
むう、駄目か。
これで少しは好感度が上がってくれないかなーって期待していたんだけど、そう上手くはいかないかー。
その翌日も懲りずに千代ちゃん詣だ。
うちとけてくれるまで何度も繰り返すつもりだった。
「蛇のように執念深いねー。まるで神奈子みたいだ。やだやだ。程ほどにしておきなさいよー」
そんな私の様子を諏訪子様はニヤニヤと笑みを浮かべながらそう冷やかしてきた。
半分は神奈子様に聞かせるのが目的だろう。
しかし、里の信仰を拡大する絶好の機会なのでそうも言ってられません。常に全力投球が私のモットーですから。
「ほう、負け蛙の遠吠えが聞こえるねえ。どっちが執念深いやら」
ああ、やっぱりこうなるか。
「修理が大変なので程ほどにしてくださいね」
犬も食わないとはまさにこのことなので、そう一声かけて出かけることにする。
いつもの様に庭に入ると、千代ちゃんに手まねきされた。
お、もしかして好感触?とうきうきして近寄っていくと、猫の餌の箱を渡された。足元に昨日の子猫もいる。
これは一緒に猫に餌をあげようということかな?と餌の箱を開けると、箱の中から蛙がぴょんっと飛び出てきて、うわっとのけ反ってしまった。
く、くううう油断した。
図ったなと千代ちゃんの顔を見ると、いたずらっ子の笑いを見せながら楽しげに家に逃げて行った。
う、うーん。これは一歩前進なのかな?猫の一件で好感度が上がったのなら嬉しいいけれど、微妙なところだ。
ただ、笑顔は見せてくれるようになったのはとても嬉しい。少しは心を開いてくれてきているんだといいけど。
まあ、守矢の巫女に蛙とはご褒美みたいなものだから、少しは歓迎してくれているってことにしておこう。
◇
どうやら千代ちゃんの中で私はいたずらの標的といった感じの位置に収まったらしい。
それから数日は悪戯をしかけてくる千代ちゃんと、それを回避したり食らったりする私の勝負が続いた。
うまくいくと楽しげに、失敗すると悔しげに、どちらにせよ家に逃げ込んでしまうので、話はまるで進んでいなかった。
「うそつき!」
あれ?千代ちゃんの怒りに満ちた声が聞こえてくる。
「だだ捏ねないの」
奥さんの弱り切った声が続く。
「おーまーつーりーいーきーたーいー」
駄々っ子イントネーション。
ああ、なるほどお祭りね。お祭りに連れてってくれるっていったのにーってやつかな。
なんだか自分の子供の頃を思い出してしんみりしてしまう。
「こんにちは」
「あら巫女様、こんにちは」
「お祭りですか?」
「ええ、だだこねちゃって。約束してたのに主人が風邪こじらせちゃって」
千代ちゃんは全力で不機嫌さをアピールしている。
膨らんだほっぺを指で押しちゃいたいけど、実行したら怒るだろうなあ。
さて、お祭りにいけない苦しみは私が一番良く知っている。
悪女早苗の千代ちゃん誘惑大作戦開始!
「千代ちゃん、もしよかったら私と行かない?」
目も合わせてくれなかった千代ちゃんがこちらを目を見開いて凝視している。
「そんなそんな悪いです」
「いえいえ、いつも無理やり押しかけてご迷惑おかけしてますので」
と型どおりの押し問答をしていると、千代ちゃんが私の横に来て腕を伸ばしたり戻したりを繰り返した。
何かを躊躇している気配だ。
あれ?どうしたのかなって不思議に思っていると、きゅっと私の手を握ってくる。私と一緒にお祭りに行くという彼女なりの意思表示だろう。
繋いだ手からの温もりで、危うく泣きそうになる。
あの落とし穴で転んだ私を無表情に眺めていた少女が、やっと心を開いてくれたと思うと感無量だった。
まだ完全に心を開いてくれているわけではないのが、表情などから分かる。 でも、お祭りに釣られたと言っても、彼女の方からこうして歩み寄ってくれたのだ。
小さな一歩だけど、大きな大きな一歩だ。
こうやって一つ一つ垣根を取り払っていければいい。いつか真心は通じるはずだ。
ちらっと千代ちゃんと目があう。
ぷいっと目をそらされてしまう。
お祭り行きたいから我慢するけど、あんたのことなんて何とも思っていないんだからって感じかなあ。
可愛いなあ、この歳でツンデレ?を会得しているなんて、大きくなったら里の男の子を惑わすようになるに違いない。
千代ちゃんの方がよっぽど悪女だ。
「仕方ないわね、いい子にするのよ。すいませんが宜しくお願いします」
「千代ちゃんは浴衣を持ってますか?」
奥さんが用意してくれるということだった。
「じゃあ、浴衣に着替えて夕方ここに集合ね」
と言うと、千代ちゃんはこくんと大きく頷いた。
◇
夕暮れ時、里のメインストリートを千代ちゃんと手を繋ぎながら歩く。千代ちゃんは薄桃色の浴衣に着替えている。
実に可愛らしい。保護者役を買って出たのだから悪い人からきっちりと守りぬかねば。
私は青系の地に花柄の浴衣にした。二柱がとてもよく似合っていると褒めてくださったのが嬉しかった。
屋台が並んでいる一角に辿りついた。提灯が並び、夜店に群がる人たちが沢山いる。
なんだか私も楽しくなってきた。やっぱりお祭りっていいなあ。
「ありがとう」
やや怒ったような声音ながら、千代ちゃんが不意にお礼を言った。お祭りに来たって実感が彼女にも湧いたのかもしれない。
「いいえ、どういたしまして。私も来たかったし」
「なんで連れてきてくれたの?」
千代ちゃんから話しかけてくれたのははじめてだ。少し打ち解けてきてくれたのがとても嬉しい。
「お姉ちゃんも小さい頃お祭りいけなかったんだ。うち神社だったし、お祖父ちゃんもお祖母ちゃんもお祭りを仕切る側だから。そんなとき私と遊んでいてくれた神様達も、お祭りの時は主役だから。いつもお留守番だったの」
「お父さんとお母さんは?」
「神様達がお父さんとお母さん代わりかな。あ、こんなこと思ってるってばれたら怒られちゃうから内緒ね」
と口元に手をあてて、しーというポーズをすると千代ちゃんは頷いた。
「千代と一緒だね」
とにっこり微笑んだ。
「千代のお父さんとお母さんも居ないから、お祭りとかは全部お祖父ちゃんが連れてってくれたの」
お祖父ちゃんが私にとっての二柱みたいな存在だったのだろう。
その形見の森を私は奪おうとしているんだよね……。
「なに食べよっか?」
「お好み焼きー」
はふはふお好み焼きを食べる。たれが口元についているのを拭いてあげる。
お祭り自体あまり経験がないし、こんな風に人の面倒を見てあげるのも初めてで、私の方がお祭りを満喫しているかも。
千代ちゃんありがとう、とっても楽しいよ。
妹がいたらこんな感じなのかな。
「次はなにをしよっか?」
「金魚すくい!」
くっ、千代ちゃんが一匹捕まえたのに、私は未だゼロ匹。うー、姉(仮)としての面目が……。
金魚たちの、守矢の風祝っていってもちょろくね?ああ、ちょろいちょろい。って声が聞こえてくる。(被害妄想です)
風祝がこの程度なら神様もたかが知れているよねー。そうよねー。
むか!貴様らがそこまで言うなら(言ってません)、守矢流金魚捕獲術の真髄を味あわせてあげましょう。
――開運「海が割れる日」
説明しよう。守矢流金魚捕獲術極意「海が割れる日」とは、水槽の角部分に追い込んだ金魚をさらに水を割ることによって逃げ道を封じてしまう技だ。
「おおおおおおおお」
周囲のギャラリーが驚いている、いや引いていると言った方が正確か。千代ちゃんも目を真ん丸にして驚いている。
ちょっとやり過ぎたかも……。
ま、それはそれ、金魚一匹捕獲成功!
「ああ楽しかった。ちょっとやりすぎちゃったけど」
「楽しかった」
「また来年も一緒に来たいねー」
というと千代ちゃんがはっと何かに気づいたような表情をする。
「来年も来たい」
と千代ちゃんはぽつりと言った。
あたりも段々暗くなるころ、私たちは中央広場にたどりついた。
収穫祭の主賓席に秋静葉様と穣子様がいらっしゃった。
お辞儀をすると実に晴れやかな表情で手を振ってくださった。
今年は豊作だったし、お酒も召し上がっているようだし、実にご機嫌麗しい。
お祭りは神様をおもてなしするのが目的だから、この収穫祭は大成功と言えそうだ。
私は神様に祈りを捧げた。
「千代ちゃんもしてあげて。神様はね、お祈りが力になるの」
素直にお祈りを捧げる千代ちゃん。
「だからね。里の人たちが安心してお祈り出来る場所が欲しかったんだ」
「分社?」
「そう、分社。ごめんね、嫌がってるのに何回も押しかけて」
私はなんて嫌らしく計算高い女なんだろう。
お祭りに連れてきて恩を売り、こんな何気ない会話ですら分社に結びづける。
少しの沈黙が生まれる。
どこまで話したらいいのか迷ったけれど、千代ちゃんの大事なものを手放させるのだ。きちんとこちらの気持ちを伝えて、納得してもらった上で譲ってもらいたい。
「私の大事な大事な神様たちは、信仰がないと消えちゃうの。だからね、里の人が安全に気持ちよく神様に祈れる場所がどうしても欲しいの」
千代ちゃんはしばらくの沈黙ののち、ぽつりと問いかけてきた。
「お姉ちゃんは神様好き?」
千代ちゃんが私を静かに見上げている。
「大好き」
それだけは胸を張って言える。
「明日、一緒に森に行きたい」
と千代ちゃんが真っ直ぐな目でこちらを見ている。
「わかった。明日いつもの時間に迎えにいくね」
明日の森でのお話がどのような内容であれ、正念場であることは間違いないだろう。
◇
丹精込めてお弁当を作った。
今日は思いを過不足なく千代ちゃんに伝えたい。誠意をこめて説明しよう。
千代ちゃんの家に行くと、すでに玄関口で千代ちゃんが手足をぶらんぶらんさせながら待っていた。
お弁当の包みを見せて、後で食べようというと喜ぶ千代ちゃん。
ただ、お祭りの時よりちょっとだけ元気が無い気がするのは今日話そうとしていることのせいかな。
二人で手を繋いで森に向かう。
やっぱり神々しくて良い森だ。神霊の宿る景色といえる。
ここに守矢の分社が置かれ、人々が参るようになれば守矢の信仰に間違いなくプラスになるだろう。
ただ、どうやってこの雰囲気を維持するかが大事になるなあ。この神々しさを失ってしまったら、本末転倒になってしまう。この森らしさを残したままで、気持よく祈りを捧げられる場所に。参道も最低限にした方がいいよね。
などと考えていると、分社候補地の小さなスペースに行きついた。
本当に細心の注意で出来るだけ自然のままの状態が保たれているのが分かる。
千代ちゃんのお祖父ちゃんは神職の私からみても、実に古の神道の精神を持った方だったのだろう。
一度お会いしてみたかった。
「お弁当たべよっか?」
「うん」
あまり元気のなかった千代ちゃんだが、お弁当箱を開けるとおおっと声をあげた。
「これなあに?」
「それは、りんごで作ったの兎さん」
「これは?」
「タコさんウインナー」
「タコさん?」
ああ、幻想郷には海がないからタコも分からないのかあ。
「海っていう、塩っからい大きな大きな湖にいる。足が八本の生き物をタコっていうの」
リアルな想像をしたら、あまり気持ちの良いものではなかったらしく、タコさんウインナーの評価は微妙だった。
が、全般的にあまり幻想郷では一般的ではないお弁当の作り方だったらしく、実に喜んでくれてリアクションも良く、作ってきた甲斐があったなあと嬉しくなる。
すると千代ちゃんが真面目な顔をして、樹齢何百年もしそうな木の根元に立った。
「この木は切る?」
ああ、分社を建てるとしたらこのお祖父ちゃんの守ってきた素敵な場所が一体どうなってしまうのか、心配しているんだろう。あまりに当然のことだ。
「その木は切らない。その岩もどけないし、そこの湧水もそのままにするつもり」
私もこの場所の雰囲気を好いていること。出来うる限りこの場所のまま残したいこと。逆にそのままでなければ意味がないことを丁寧に丁寧に説明した。
千代ちゃんに納得してもらった上で分社を建てたかったから。
「ここから、ここまでくらいの小さなお社を、ここに建てるだけ」
私は実際にその場所を歩いて身振り手振りで説明する。
「あとは森の入り口からの道を少しだけ分かりやすくするかも。でも、無駄に木を切ったり、岩を退けたりはしないよ。本当は社なんて無くてもいいくらい。昔の神道では、山そのものが神であり、岩そのものが神なの。だんだん、人々が信仰するときに分かりやすいようにお社を建てるようになったけどね」
熱心に説明しているうちに、自分の言っていること、しようとしていることが矛盾しているように思えてきた。
形に拘らなくてもいい?じゃあ何で私はこんなにも分社という形に拘っているんだろう。
私が説明している間、千代ちゃんは黙って真剣に聞いてくれた。
きちんと言いたいことは伝えられたと思う。
「私ね、お母さんは私を産むときに、お父さんもそのあとすぐに死んじゃって、いっつもお祖父ちゃんと一緒にいたの。お祖父ちゃんはこの森が大好きだったから何回も何回もここに遊びにきたの」
千代ちゃんが大事そうに木を撫でながら語る。
「この木ね、千代にはよく分からないんだけど、高く売れるんだって。で、親戚のおじさんとか、近所の人も売ったり畑にしたりしたらって。でも、お祖父ちゃんはさっきお姉ちゃんも言ってたけど、ここみたいな森の木や岩や山は神様になるんだって。お祖父ちゃんしか畏れないから神様はいないけど、こういう森は簡単に切ったり売ったりしちゃだめだって。自然は恐れなさいって」
私なんかよりよっぽど日本古来の神道にのっとった考え方をしている。
ほんとに一度話してみたかった。
「千代には難しい話でよく分からないんだけど、お祖父ちゃんが死ぬ時に、この森は千代にくれるって。それで、出来れば千代にずーっと守って欲しいけど、どうしても売らなきゃならない時と、千代があげてもいいよって思える人が出来たらあげてもいいって。でも、それを決める前にいっぱいいっぱい考えてそれでも良いって思えたら千代の好きにしていいって」
千代ちゃんはそこまで言い終わると、木に寄りかかって黙りこんだ。
そのあとは二人ともあまり会話もせず千代ちゃんの家に戻った。
家に着くと、お米屋さん夫妻に招かれて、客間でお茶を頂いていると無言になっていた
千代ちゃんが決然と、でもどこか苦しそうな表情でこう言った。
「お姉ちゃん、分社を建ててもいいよ。お祖父ちゃんの森を大事にしてね」
おお、巫女さんおめでとう。やっと分社が建てられますねとお米屋さん夫妻が喜んでくれた。
千代ちゃんも許可してくれた。
嬉しい、とても嬉しい。
千代ちゃんが心を開いてくれたことは。
でも、私は馬鹿だ。
許可してくれた千代ちゃんを見て悟った。
少女にこんな辛そうな表情をさせているのは私だ。
諏訪子様が言っていた、いったん走り始めると周りが見えなくなって突っ走ってしまうという評価に心から納得した。私は周りが見えなくなって、急ぎ過ぎた。押して押して千代ちゃんを追い詰めてしまったんだ。
どんなに嬉しい申し出でも受けてはいけないものってある。
そしてこの申し出がそうだった。
「ごめんなさい。やっぱり今はまだ、森を譲ってもらうことはできません」
お米屋さん夫妻が驚いている。
さっそく分社の建設に取り掛かるとでも思っていたのだろう。私が逆の立場でもそう思う。
千代ちゃんもぽかんとした顔をしている。
でも、駄目なの。気付いてしまったの。あの森を、私の下らぬ感情で侵しては駄目だって。
「今日あの森に行って思い出したんです。山そのもの、岩そのものが神なんだって。分社は信仰のために絶対に無くてはならないものではないんです。本来なら妖怪の山の方角にでも祈ってもらえれば、それで二柱への信仰は送られます。ただ、それでは里の人には信仰がしにくい。そのために分かりやすくするために目印として分社が必要になるんです。でもそれなら、神棚でも、露地に小さな分社を建てたりでも建てさせてもらえばいいことなんです。神様に信仰は届くわけだからそれでいいんです」
うまく私の気持ちが伝わるかもどかしい。
千代ちゃんの気持ちが嬉しくないわけじゃない。
ただ、分社に拘った理由を悟ってしまった今、その好意を受けるわけにはいかない。
分社はあった方が良いものだ。便利なものだ。
ただ、少女の大切なお祖父さんとの思い出や、遺された森を性急に奪い取ってまで必要なものじゃない。
「じゃあなぜ私はあんなにも分社に拘っていたのかなって帰り道ずっと考えていたんです。そしてそれは、私が二柱の役に立てるってことを形で表したいだけなんだって。ただそれだけなんだって。そんな下らない感情の為に、千代ちゃんとお祖父さんの思いでの森を手放す決断を迫っていいのかって。いいわけないんです」
お米屋さん夫妻も千代ちゃんも黙って聞いてくれている。
自らのくだらないプライド。それを満足させるために、神を祭るに本質的には必要ないものに拘ったことにより、少女の心を追い詰めてしまった愚かな巫女。
あの森に分社が立つことはいいことだと今でも思っている。
でも急ぎ過ぎた。千代ちゃんを追い詰め過ぎた。
余りに決断を急いでしまったから、千代ちゃんには迷いがある。迷ったまま決断させたら、いつかきっと後悔する。
千代ちゃんには時間が必要だ。
少女の悔いの上に分社が建ったとして、そんなものを二柱が喜ぶはずもないというのに、それすら気づくことのできなかった。
「もちろん今でもあの森に守矢の社が置けたら素敵だろうなって思っています。千代ちゃんが許可してくれたことも心からうれしいです。でも、お祖父ちゃんの森を今後どうするのか。それは千代ちゃんにとって大事な大事な決断です。
そんな大切なことを年端もいかないうちに決めさせちゃ駄目なんです。私が無理矢理迫ったからじゃ駄目なんです。
千代ちゃんは本当に心から納得してからじゃないと、きっと後で手放してよかったのか後悔します。そんな簡単なことも気付けていなかった自分が情けないです」
ぽかんとしていた千代ちゃんの目からつーっと涙がこぼれ落ちた。
「じゃあ、お祖父ちゃんの森はそのままでいいの?」
「うん、無理言ってごめんね。よーくよーく考えて千代ちゃんが心から納得したらでいいよ」
「分社を建てなくても遊んでくれる?お祭りにも一緒に行ってくれる?」
なんて馬鹿なんだろう。
私の目からも涙が零れる。
分社を建てたい、二柱に褒めてもらいたい。
そんな感情に囚われて、少女にこんな不安を与えていたなんて。
森を譲ってあげないと、私が友達じゃなくなってしまう。祭りにも一緒にいけなくなってしまう。
そんな不安まで与えてしまった。
お祖父ちゃんとの思い出や森への愛着と私への感情で少女にこんなにも葛藤を与えてしまった。
衝動的に千代ちゃんを抱きしめる。
「ごめんね。千代ちゃんごめんね。千代ちゃんが大人になって、やっぱり分社は駄目、森を残したいって言っても私たちは友達よ。お祭りも一緒にいくし、遊びにも来るよ。ごめんね。不安にさせてごめんね」
私たちは二人ともボロボロ泣きながら抱き合っていた。
「なあお前、うちに盛大な神棚を作ろう。いや、里中守矢様の神棚で埋め尽くさないではいられないぜ」
私たちがやっと落ち着いて周りが見えてきた頃、お米屋の若旦那さんが声を上ずらせながら奥さんに話しかけていた。うんうんとうなずくやや涙ぐんでいる奥さん。
「巫女様。うちに神棚を置きたいと思いますので、ご指導お願いします」
「はい。喜んで」
「こんないい巫女様が仕えている神様にご利益がないわけがないですよ。里中に神棚を作りたい気分です。
今まであんまり熱心じゃなかったけど、今日からおれは守矢の神棚を普及する会会長と呼んでください」
「それはとてもいい考えだわ。その意気よ、あなた。惚れなおしちゃう」
自らの至らなさによって少女を苦悩させたことに凹んでいた私には、その気持ちだけで十分なくらい嬉しかった。
◇
神社に帰宅し、お二方に頭を下げる。
「すいません。大見えを切ったというのに、分社を建てることができませんでした」
お二方は慈しみの思いの詰まったとても穏やかな視線を私に向けてくださる。
「どうやらきちんと自分で答えに辿りつけたようだね」
神奈子様がそう仰ると、
「ほらだから言ったじゃない。神奈子は心配症過ぎるんだよ。私みたいにどっしり信じてないと」
と諏訪子様が誇らしげに神奈子様をからかう。
「な、私だって信じてたさ。そんな私が早苗を疑ってたみたいな言い方はよしておくれ」
神奈子さまがちょっとだけむきになって反論をする。
「どうだか。ほんとに信用してるなら、早苗を見張るような真似はしないはずでしょ?
あんたが金魚すくいで神力使うのはどうなのとか突っ込んでるのは聞こえてるんだからね」
あれ、なぜそれをって一瞬疑問に感じたけれど、神奈子様のお力をお借りしているんだから、気付かれないわけがないじゃないか。
「な、自分だってあんなに可愛い蛙から飛びのいて、とかってぶつくさ言ってたじゃないの」
あれ?なぜぞれを諏訪子様が?もしかして幻想郷中の蛙について把握しておられるとか?さすがにそれはないか。
まあ、二柱がその気になれば、どこに居たとしても把握されずにはいられないのだ。相手は神様なんだから。
少しだけ引っかかる発言だけれど、何だか予想していたのとまるで違う展開だった。
あれだけの啖呵を切ったというのに、それが不首尾に終わったんだから、てっきり切々と神職としてのありようについてアドバイスを受けると思っていたのに。
「あのーお叱りは?」
「最終的な判断まで任せるっていったろ」
とこともなげに神奈子様は仰った。
最初っから神奈子様にはどこまでもお見通しなんだ。
「説教なんて必要ないだろう?大丈夫、分社なんかより大事なものを手に入れたんだから」
「そ、そうなんですか?」
分社よりも大事なもの?まるで見当もつきません。
「まあ早苗にもいずれ自然に分かるさ」
神奈子様も諏訪子様もすこぶる上機嫌だったので、実に穏やかな楽しい夜になった。
◇
数日後、お米を切らしたので買いに行くと、
「いらっしゃい!」
「景気はどうですか?」
「守矢神社の神棚を作ってから万事絶好調でさあ。お客さんもどうですか?」
という若旦那さんとお客さんのやりとりが聞こえる。
有り難や。有り難や。思わず拝んでしまいそうです。
「へいいらっしゃ、って巫女様じゃないですか。丁度いい。お客さんが神棚つくりたいってさ」
まだそんなこと一言もいってなかったじゃないですか。
「あら、巫女様。やっぱり神棚って作った方がいいんでしょうか?」
「そうですねー。作ってくれると嬉しいですけれど。別に無理なさる必要はないですよ?信仰してくださるならお札でも、ただ妖怪の山に向かって祈っていただくだけでも」
「そうなんですかー。ちょっとうちの宿六にも相談してみますね」
「はい、もし置くとなったらいつでも声をかけてください」
今までだったら、獲物に襲いかかる肉食獣のようにお客さんにひっついていっただろうけど、最近はごり押しが出来なくなった。
信仰は強制するものじゃないとやっと気づけたからだろうか。
「わざわざ勧誘までありがとうございます」
と若旦那さんにお辞儀をする。
「いえいえ、守矢の神様を信仰してから商売が繁盛して仕方ないんですよ。商いの神を名乗られたらいかがですか?」
あはははは、本当にそうだったら信仰がもっと増えるかもなんて考えていると、
「もしよろしければ、千代が会いたがってましたので、家にもお寄りになってくださいね」
と奥さんからも声がかかった。
私も初めから寄ろうと思っていたので裏手に向かうと、庭で遊んでいた千代ちゃんが私に気づいた。
「お姉ちゃん!」
手まねきをして自分の方に呼ぶ。
千代ちゃん甘い。守矢の巫女に一度見たいたずらは通用しない!
色の変わった怪しげな地面を避け、千代ちゃんに近づこうとした矢先、ずぼっと足の方から嫌な音と感触がする。
あれ?何の変哲もないように見えた地面の底に、ドロドロの土が隠れていた。
ちーよーちゃーんーと30分耐久こちょこちょ地獄の刑に処そうとすると、軽やかに逃げられた。
こちらを向いて千代ちゃん満面の笑み。
こんなに良い笑顔の出来る子だったんだなあ。この笑顔を奪わずにすんで本当に良かったと思う。
いつか千代ちゃんが心から納得がいったときに、あの森に分社を建てることが出来るといいな。
「巫女様ー。うちにも神棚を祀ろうかと思ってるんですが、どうしたらいいですかねー」
と千代ちゃん家の隣家から声がかかった。
着々と信仰が萃っているのが分かり心が晴れやかだ。
「はーい、説明に伺いますね」
後日若旦那さんから聞いた話では、守矢の巫女神棚設置訪問サービスの開始により神棚普及率が急激に増加したそうな。
理由はよく分からないけれど、信仰が萃ってくれるのは喜ばしい。
◇
神社の掃き掃除をしていると、ふらりと外から戻ってこられた諏訪子様と雑談になる。
「結局神奈子様の仰った、分社よりも大事なものは分からず仕舞いなんですよねー」
すると諏訪子様が手まねきをなさる。
座っている諏訪子様が足の間をぽんぽんと叩く。ここに座れということだろう。
言われるままに座ると後ろから抱きつかれた。
「どう?」
里の方角から暖かい何かが私の中に入ってくるのが分かる。
「何だかいつも二柱から感じる力に似たものを感じます」
「信仰心を早苗にも分かりやすい形にしたものだよ。今回の一件で、早苗はいろいろと学んだでしょ?」
「はい」
分社などの形にとらわれず、信仰の原点に返ること。
信仰を強制してはいけないこと。
私はいったん走り始めると周りが見えなくなってしまうこと。
色々学んだように思う。
諏訪子様が私の背中から語りかけてくださる。
「分社はあくまで信仰を得るための目印にしかすぎないでしょ?仏つくって魂入れずじゃどうしようもない。
早苗はそれに自分で気づけた。それはとても大事なこと。気付けないまま一生を終えちゃう人だっていっぱいいるの。
早苗は変われた。変われたから、こうして信仰が萃ってきている。人間は巫女を通して神を見るから、巫女の立ち居振る舞いや雰囲気が信仰の増減に直結するの。だから、早苗の成長の方が分社一つ建てるより、よっぽど大事なことなのよ。ね、分社よりも大事なものが手に入ったでしょ?」
と語りながら、諏訪子様が優しく抱きしめてくださる。
「全部喋っちゃってー。何だかんだ言って諏訪子は早苗に甘いんだから」
と言いながら、神奈子様が歩いてくる。
「神奈子に言われたく無いわよ」
と諏訪子様が返す。
いつもの光景だ。
でも、なんだか心が暖かい。
ぽんと、私の頭に手を置いて、
「期待してるわよ、私の風祝」
と神奈子様が柔らかな眼で見つめてくださる。
「はい。今なら幻想郷中の人に守矢神社を信仰させられそうな気分です!」
と力強く宣言する。
今の私に敵はいない!
すると二柱が声を揃えてこう仰った。
「「まったく、早苗はすぐそうなんだから」」
三人の笑い声が守矢神社に響いた。
オリキャラの千代ちゃんとおじいちゃんもいい役割を果たしていると思います。
二柱の、早苗さんの成長を願うゆえの放任主義(実は見張っているけど)もとても心地よく。
一回り、視野の大きくなった早苗さんが見れて良かったです。
少しおどけながらも一生懸命な早苗さんが見れて和みましたw
そんな彼女を包む暖かい世界を感じられました。
ちょっと神棚作ってきます。
文章もわかりやすく、早苗とニ柱の二人も周りの人々も温かい。
ちょっと守矢の神棚作ってきます。
出てきた森の光景も目に浮かぶようでとても素晴らしかったです。
真面目に、だけどほのぼのとした光景もあって
面白いお話でした。
誤字の報告
>大見えを切ったというのに~
大見得でしょうか?それとも大見得でしょうか?
それが解らなかったので一応報告。
信仰し敬うこと、ただそれだけのシンプルなものだけど大切なことですよね。
博麗神社はもう駄目かも分からんね。
やや短くも、オリキャラが苦味になっていない佳作だったと思います。
って書いてから読み返したら、全然短くなかった事に気付いた……
いつの間に読み終えたんだろう。すいすい読めたという事か。
ケロちゃん可愛いよケロちゃん
想い想われ優しい話をありがとうございます。
こういうホンモノの信仰が、完全に幻想入りしていないことを祈るばかりです。
,;f ヽ
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(. >ノ(、_, )ヽ、} l .i .! |
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……だが早苗さんは譲れんなぁ!!
なんか今の社会に足りない物が色々詰まっている話だったと思います
……さて、神棚作ってくるか
いいねっ!
そのキャラに対する思い入れの強さは羨ましくもあります。
良いSSを読ませていただいてありがとうございました。
個人的にけろちゃんが神様らしく描かれてるのが嬉しかった。
実に「らしさ」が出ていたと思いますし、里の子もすごく良い味を出してました。
ここまできちんと神道を書いて頂けるとは感動致しました。
それと同時に、現代に生きる人々も千代祖父のように自然に対する篤い信仰心を持ってくれていたら……と思うとつい涙腺が緩んでしまいました。
とにかくいい作品でした。これからも期待しています。
信仰とは形ではなく心なんですね。
くぅ、周りの輪郭がぼやけてきちまった……。
誤字報告
「下に降りて猫を地面にそっと話す」
「離す」、もしくは「放す」だと思います。
少しあるような気がしていたので、そこからの成長っぷりを
自分は味わわせて頂きました。
すっと入ってくる素直な文体と温かい雰囲気が良いですねぇ。
自然に宿る神様への畏れや祈りこそ、現代日本に足りない、
しかし神代から確かに続いている、大和魂なのかも
知れんなぁと思います。
ええい、神棚はまだか!?
神奈子様ー!!
涙腺を決壊させた千代ちゃんはホンマ小悪魔やでぇ…。
一方その頃、博麗の巫女は縁側で薄い茶をしばいていた。