「姉さん、鼻から煮干しの出汁が出てるよ~」
間の抜けたリリカの声に、ルナサははっとして鼻元を押さえた。
女子たるもの、鼻の穴から小魚が顔を出しているなんて恥以外の何ものでもない。
「って、そんなこと起こるわけがない」
騙された、とルナサはきっとリリカを睨む。その様子を見て、リリカはくすくすと笑った。
「ごめんごめん。……姉さん、今日は何だか機嫌が良いみたいだから」
妹の言葉に、ああ、とルナサは応えた。
リリカの言う通り今日は何故かルナサの機嫌は良かった。寝覚めが良かったし、まるで雲の上にいるかのように晴れきった空は、ルナサの心を少し爽やかな気分にしていた。その程度で気分を良くているなんて安いものだな、とルナサは自嘲気味に笑った。
朝のプリズムリバー邸。
食卓にはルナサとリリカが着いていた。プリズムリバー三姉妹のうち、欠けたメルランは朝食の準備をしているのだろう。煮干しの出汁の香りがルナサの鼻腔をくすぐった。気分が良くなって、鼻歌のひとつも出るというものだ。
なるほど、リリカはそれらを全部ごっちゃにして言ったのか、とルナサは独り合点していた。
「確かに、今日は機嫌が良い。リリカはどう?」
すると、リリカはそっと目を閉じた。
「――今日は、珍しい音が聞こえるよ。紅い傘の音。暗い地底の音。ギザギザハートをウエルダン。それはまるで理想郷」
ウエルダンは、肉の焼き方のことだ。リリカは朝餉にビーフステーキを御所望か。胃がもたれそうだ、と思う。それとも、ギザギザハートと言うからには傷心なのだろうか。ルナサは気にかけたが、リリカは鼻歌を始めたので、いよいよ心配になってきていた。加えて妙ににやついていて気味が悪かった。
仕様がないので、ルナサは窓の向こうに視線をやった。木々の隙間から差す光ははっきりと地面に陰影を付けている。――快晴の下、今日はどこでライブを開こうか。そう考えていると、まるで世界が広がっているように感じられた。
そうやって、清々しい今日の予定を心に想い描いているうちに考えているうちに、朝食の準備が終わったらしいメルランが台所から飛び出してきた。
「お待たせ。今日は傷心ビフテキにルナサ姉さんの煮干し出汁ソースがけ、真っ赤なトマトと腐った紫レタスのサラダ付きよっ」
……もしもそれが本当なら、ルナサは朝食を放棄しなくてはならない。そう決意する。
もちろん先のメニューはメルランの口から出任せなので、そんなことはない。今日という日は、リリカに鼻歌を歌わせるほど、メルランが非常識なメニューを述べるほど、ルナサの鼻から煮干しの出汁が引き出されるほど、気分がいい日なのだ。
だから、多少おかしいのも認められてしかるべきなのだと、独り合点した。
「あれ、姉さん……?」
メルランは、不意にルナサと向き合う。珍しい物でも見るかのように目を見開き、顔を近づける。どんどんどんどん近づいて、お互いの息がかかるほど顔が接近して、ルナサはたじろいだ。
「な、何……?」
「鼻から煮干し出てるよ」
「いい加減にせい」
あまりにプッシュされる煮干しに、ルナサは機嫌を悪くしていた。せっかく今日はいい日なのに、どうしてこんなにも煮干しが付き纏うのだろう。ルナサは眉間を押さえて悩んだ。
悩んでも詮無きこととやはり独り合点して、ルナサは窓の外に視線をやる。窓の外はいい天気で、希望に満ち溢れている。そう信じていた。だって、窓の外には煮干しはないのだから。
――しかし、窓の外には、煮干し以上にいて欲しくないものがいた。
リリカが言うには、紅い傘の音と暗い地底の音。
メルランが言うには、真っ赤なトマトと腐った紫レタス。
隠れているつもりなのだろうか。それらの一端が、窓の外に見えていた。紅と薄い紫の影だ。心当たりは余りない。
だが、どうも悪い予感しかしなかった。
「あ、姉さんの顔が曇ってく」
今日は厄日だったのかもしれない。
メルランが持ってきた吸い物を泳ぐ煮干しは、なんとも気難しそうな顔をしていた。
□
「……どう? あれが姉妹のあるべき――そして私たちが目指すべき姿よ」
私――古明地さとりの隣に佇むレミリア・スカーレットは宣言した。
今、私たちはプリズムリバーの屋敷を覗いている。
――どうして姉妹関係がうまくいかないのか。三日三晩討論を交わした結果、私たちが姉妹関係の理想図を知らないからという結論が出た。だからプリズムリバー三姉妹の家を見学しに来たのである。
ちなみにどのくらい姉妹関係がうまくいっていないかという話になって、レミリアが「私の妹は今家出中よ」と言ったので私は「こっちはいつも週一くらいしか帰ってこないわよ」と言い返してやった。そのあとお互い肩を叩いて慰めあったものだ。
眼前では騒霊の三姉妹が仲睦まじく過ごしている。
正直羨ましい。正直妬ましい。あ、橋姫がうつった。
そう感じるのは、まさに自分の妹との関係が好ましくないものだという証明であり、私は悔しくなって歯を噛んだ。
しかし――この例は、私たちには当てはまらないのではないだろうか。私はそう考える。
それは。
「あれは、三人姉妹だから成り立っているのです」
「へぇ……どうしてそう思う?」
ぶっきらぼうに、幼い吸血鬼レミリア・スカーレットは尋ねる。その心中には、私の発言を値踏みするような懐疑の心が見て取れた。レミリアは私がさとり―― 妖怪"さとり"だと知っていても全く物怖じせず、純粋に疑問をぶつけてくる。その誠意に感謝して、私も真っ直ぐ彼女に向かう。
「三星、四季、五行……それらにはどれも互いを押さえ込む存在がある。何かが対立すれば、その仲を取り持つ関係がある。夫婦なら子供が鎹(かすがい)になるでしょう」
だが、私は知っている。この身をもって体験しているのだ。
「だけど、たった二人の姉妹は反発し合うだけ。戻ることも叶わないのよ」
貴方も心のどこかでは知っているはずです、と付け足した。
恐らく図星だったのだろう。私の発言によってレミリアの疑心はなくなった。
が、その隙間に私を否定する心が生まれる。その心は、言葉を紡ぐ。
「確かに反発し合うかもしれない。けど、引き寄せあうこともできるはず。姉妹に窮屈な力関係はないわ。――私たちは歩み寄れる関係なのよ」
レミリアは再び宣言する。その堂々とした口調は微塵も陰りを見せなかった。
――そう。そう考えなければいけないのだ。
私の発言を否定できなければ、姉妹の仲を取り戻すことなど到底不可能であろう。天理を否定し、二人の溝が大地の裂け目ほど深いものであっても、それを埋めるほどの気概がなければいけないのだ。
レミリアにはその覚悟がある。彼女には強い自負がある。私の仲間はこんなにも心強いのだった。
「じゃあ、他の例を引き合いに出そう。もちろんこっちは二人姉妹」
レミリアは妖しく笑う。
「――幻想郷の秋を司る秋姉妹よ」
秋姉妹……私は手元のファイルを捲り、該当する頁を開いた。
『姉、秋静葉。紅葉を司る神。戦闘はあまり得意ではない。
アングラにシジュハァ様と呼ばれ、根底にある人気は計り知れない。
秋の中でも紅葉が一番だと思っており、妹に対し美しい紅葉を見せては、優越感に浸っている』
『妹、秋穣子。豊饒の神。毎年、里で行われる収穫祭に特別ゲストとして呼ばれている。
ミニョリコォ様と崇められ、メジャーではないが一部ではアイドル的人気を博している。
いつも果物や農作物の甘い香りを漂わせ、静かな姉に対して優越感に浸っている。』
二人の最後の一文を読む限りは、とてもじゃないが、仲が良いとは考えられなかった。互いの長所を尊重し合い、互いの短所を補い合うこと。それが姉妹のあるべき関係だと考えている私には、とても良い印象は持てなかった。
しかし、私の思考を読みでもしたのか、レミリアは意外なことを言う。
「この二人は仲が良いよ。……さとり、お前にはわかるまい。最初は私にも判らなかったのだから」
「……じゃあ、どうしてかしら?」
「このファイルを纏めてくれた我が家のメイドは、紅葉にまつわる面白い話を聞かせてくれたよ」
レミリアは語る。
「紅葉とは、木の葉の狂いが目に見えるようになったことを言う。狂えば狂うほどに紅く染まり、やがては耐え切れずに落ちてしまう。……だが、落ちない葉もある。その葉はどんどん紅くなり、最後には目に見えなくなってしまうのさ」
地底に居た私には、紅葉を見る機会がなく、その知識を知ることもないと考えていた。想像するだけの紅葉にそんな話があると言われても、あまり驚く風には振舞えなかった。
レミリアは言葉を続ける。
「狂いながらも落ちることのない不可視の紅葉。さらに、姉の秋静葉は紅葉を司る神――これが何を意味するか、そのメイドはある怪談に例えて教えてくれたわ。わかるかしら?」
「ええ、わからないわ」
紅葉と神が踊る怪談。
その解答は。
「秋が終わる頃。姿の見えない姉が見事に発狂。『びっくりするほどユートピア! びっくりするほどユートピア!』と叫ぶ声だけが、山の麓に木霊するのよ」
私は、その様子を想像してみる。インビジブル静葉が奇声を上げながらそこら中を走り回っているのだ。
妹泣くだろ。私だったら泣く。
しかし考えてみると奥が深い。秋の終焉と共に壊れた二人の関係が、冬の間暖めあい、春になってキャッキャウフフ、夏には完全ねんごろになる。
なんと素晴らしい季節の循環。二人は離れている時間よりも長く寄り添っているのだ。これもひとつの、姉妹の理想のあり方なのだろう。もしかしたら、その幸せな時間を想って理想郷(ユートピア)の境地に至れるのかもしれない。
それに、たまには喧嘩をしなければいけないといつか読んだ本にも書いてあった。喧嘩するほど仲が良いとも言う。
是非この制度を我が姉妹にも採用したい。
――そこで、当然のように疑問が浮かんだ。
「ところで、貴方は実践したことがあるの?」
その疑問を投げかける。
すると、音が聞こえた。
それは破壊音。私は、見る。
その横顔を不自然に歪めるレミリアが、歯を強く噛み締めることで自らの奥歯を砕いた音だ。それはまるで涙を堪える様な、哀しい響きだった。
その気迫に思わず息を飲む。
私の視線に気付いたのか、レミリアはひとつ鼻を鳴らして吐き捨てた。
「……理想郷は、とても得難いってことよ」
私はその形相に、これ以上話を聞くことは出来なかった。
口角からは血が流れ出していた。私はそれを服の袖で拭ってあげる。柔らかい肌の弾力が布地を通して伝わったとき、ふっと、レミリアの表情は柔らかくなった。
「……ありがとう」
それは、あの青い空のように、ずっと爽やかな表情だった。吸血鬼と青空、そして地底に住んでいる私。とても奇妙な取り合わせだと思うと、口元が緩んだ。
「……その顔で妹さんに向かえば、きっと仲直りできるわよ」
彼女も、少しは気分が晴れたようだった。
□
「カメラを持ってきたわ。とりあえず、この様子を写真に収めておきましょう」
小さい黒い箱。それは、カメラというらしい。
地底にいた頃、風の噂に聞いたことがある。風景を切り取る機械だそうだ。
レミリアはカメラに取り付けられた小さな窓を覗く。
――切り取る風景とは、窓の向こう。三姉妹の団欒の風景だ。
「私たちが目指すものが何か忘れないように」
私はその意見に頷いた。
私たちが目指すものはとても抽象的だ。完全に形にすることはできない。だが、その欠片でも写真から感じ取ることが出来れば、その方向に向かって努力することが出来るだろう。
……カメラを持つ手が小刻みに揺れている……。
「……傘持ってて」
「はい」
レミリア・スカーレットは吸血鬼だ。だから日光に弱い。今は日傘で遮ることで、生命の危機から身を守っている。私は命綱を託されたようなものだ。……いや、実際には私が日傘を放したとしても、眼前の屋敷に飛び込めば良いだけの話だが。
それでも、信頼されていると考えると少し嬉しかった。
「はい、チーズ」
唱えたのは写真を撮るための呪文か何かなのだろう。
カメラを両の手でしっかりと空中に固定し、上部のボタンを押す。途端、小気味いい音が、辺りに響いた。
それから、レミリアは踵を返した。
「行きましょう。あとは、私たちの理想を現実にするだけよ」
私たちは、プリズムリバー邸を後にする。
だが……今日の会合であまり収穫は得られなかったように思える。それよりも、他の姉妹を羨んでしまう醜い己の姿を見つけてしまっただけかもしれない。そして、レミリアも同じように感じているだろう。
追いかけるレミリアの背中はとても小さく見えた。
□
博麗神社――幻想郷の東端に位置する神社に寄り道するのは、自宅に帰る道程には相応しくない。
だがレミリアには、巫女のところで酒瓶を開け、愚痴に没頭する必要があるのだろう。もちろん妹が家出した件についてだ。今日はそれに付き合おうか、などと私は考えていた。例え今日の結果が芳しくなくとも、私たちには淡い友情が芽生えている……少なくとも私はそう考えていた。
レミリアは障子を開け放ち、
「はぁい、霊夢。暇そうにしてる?」
なんともフランクな挨拶で上がっていった。姉妹関係に傷つく姿をまったく見せない。一家の主人としての貫禄がそこにはあった。とってもフランクなんだが。
ところで巫女も巫女だ。髪を水色に染めて、まるでうちのこいしのようにかわいらしい顔をしている。
「はぁい、吸血鬼のお姉ちゃん。しっかり暇そうにしてるよ」
――その姿を見紛うことがあるだろうか。
巫女の服を着ているが、そこに立っていたのはまさしくこいしそのものだった。
「いや、何してるの、こいし?」
「しっかり暇そうにしてるよ」
まさに欲しくない答えが返ってきた。私が欲しい答えは、なぜ霊夢がここに居ないのか、なぜこいしが巫女の格好をしてここにいるのか、それらに対するものだ。
考えていても、答えを見つけることができなかった。代わりにと言っては何だが、こいしの目線が私の腰あたりに注がれていることを見つけた。どうやら、注視していたのは私の服の袖のようだった。
そこには、さっきレミリアの口から拭き取った紅の染み……。
「血がついてるよ」
咄嗟に隠す。
何故、隠す必要があったのか。それは、私が身の危険を直感したからだ。
しかし、こいしは私のその手を取って、血の跡をじっくりと眺める。鼻を近づけて臭いも嗅いでいる。犬のような仕草は私の心をくすぐったが今はそんな場合ではない。
「……この臭い、お姉ちゃんのじゃない――」
こいしの手を引き離したい衝動に駆られた。だが、そうすることは叶わないのだろう。愛しい妹の手を振りほどくことなんて、私には出来なかった。
だが私は、この先を知っている。この先に何が起こるのかを。
きっと、イケナイ想像をして、こいしがどこかへ逃げ出してしまうのだ。いつものことだ。触れ合ったところで、反発してしまう。判っていた。直感が、私に警告する。危ない、逃げろ、でないと――傷つけてしまうだけだ。
なのに、私の体は萎縮してしまって動かない。
私は、目を閉じるしか出来なかった――。
「……ああ、それは私の血よ。ちょっと歯茎から血が出たの」
レミリアは、あっさりと言ってのけた。
するとどうだろう。こいしは、ふぅん、と納得して、
「染み抜き大変なんだから、今度からはハンカチを持ってないとダメだよ」
と言った。
何故?
――わからない。
私が今まで悩まされてきた頻発する誤解が、たった今、回避されたのだ。それが不思議でならなかった。
こんなことが有り得るのだろうか。こんなにも簡単に、誤解は防げるのだろうか。
答えを求め視線を迷わせていると、視界の端でレミリアはにやりと微笑んだ。
もしかして、彼女がこの危機を回避させてくれたのだろうか。そう思うと、根拠はないのに、私は感謝の念で一杯になった。
実際に、彼女の一言がなければ危うかった。
彼女が居なければ私はまた、打ちひしがれた気分で地霊殿に帰っていただろう。惨めな想いを抱えながら、ペットに向かって煮干しを投げていたことだろう。普段の倍々で投げていたことだろう。まさに煮干しプッシュだ。
そう考えると、レミリアには感謝してもし切れなかった。
私は少し楽しくなって、こいしの露出した腋に手を突っ込んでいた。こいしはくすぐったそうに身をよじるだけで、そこには齟齬は一切無い。だから私はもっと楽しくなっていた。このままこいしの腋に手を挟んだままでもいいとさえ感じ始めていた。
そして、レミリアはもう私に大きな興味を示していないのだろう。彼女の視線はすでに部屋の奥――もうひとりの巫女に注がれていた。
輝くブロンドの髪に気品のある顔立ち。それらに似つかわしくない歪な羽。形質は似ていなくても、いやはやどうして一目見てレミリアとそっくりのように思えた。おそらく彼女が、レミリアの妹なのだろうと勝手に決め付けてしまった。
そして、その予想は間違いではなかったらしい。レミリアの目は鋭さを影に隠し、慈愛に満ちていた。
「……フラン」
フランと呼ばれた少女は、レミリアを睨み付ける。しかしその心は、まるで怯えたように揺れ動いていた。ひどく臆病な心だった。
フランは、突っぱねるように言い返した。
「お姉様、ユートピアは見つかったのかしら?」
私はその一言が癇に障った。
ああ、なんて嫌味だろう。レミリアの探す理想とは、まさに妹――このフランという子との共存であるというのに。たった一人で、どうして理想郷を見つけることが出来るのだろうか。
そして、なんて哀しいのだろう。まさにこの姉妹は、私たちの姉妹のように今、互いを誤解しているのだ。それは、今までの私なら自分の姿を重ねてとても見続けることができなかったことだろう。しかし今ならば。こいしの腋が私の手に温もりを伝えている今ならば。私は彼の姉妹を直視することができるのだ。
行こう。
私は決意する。
「えっと……フランちゃん、だったかしら」
レミリアの心が、止めろ手を出すな、と焦る。くぅ、舐められたものだな、私は。
それにまだ私はこいしの腋から手を出していない。
私はレミリアに助けてもらった。その礼に、今度は私が救うのだ。
だから、安心して欲しい。
名残惜しいが、そっと手を引き抜く。
――ありがとう、こいし。お姉ちゃん、行ってくるね――そう心の中で呟いた。
□
レミリアとこいしには一時退室をしてもらい、私たちは二人きりになった。
私にレミリアのような、一言で問題を解決する能力はない。此度私が展開するのは自らの能力を生かした心理戦である。
まずは座し、互いに見合うことから始まる。
「フランでいいよ」
そうは言ってくれたが、フランの心曰く私の印象は変な人だそうだ。確かに、いきなり一対一の話し合いに持ち込む私は変かも知れない。何か最初からミスっている気がする。だが初手なぞ枝葉に過ぎない。
心理戦において相手の心を読める私の優位は絶対。何を以ってしてもそれは覆すことが出来ないだろう。
私の勝利は確定的。
そうして私はフランのレミリアに対する誤解を解くのだ。
「フラン……どうしてあなたは家出しようと思ったのかしら」
「お姉様が酷いからよ」
はっきりと、言う。
しかし心は砂上の楼閣。決して崩せないものではない。
「それは、お姉様が何をしたからかしら?」
「それは……」
「私は知っているわ。『びっくりするほどユートピア! びっくりするほどユートピア!』って叫んでいたんでしょう?」
「――それだけじゃないわっ!」
フランの心は怒りに燃え上がる。
「あいつ、全裸にドロワーズだけ被って私の部屋を走り回って、ベッドの上でブリッジしながら叫んだのよっ!」
そんなの聞いていない。
「私が止めてって言っても『私は最強の種族だから無視する』って聞かないの!」
……最悪だ。いくら心理戦と言っても配られたカードが最悪だ。
だが待て。レミリアから聞いていた話とは大幅に異なる。しかしフランは嘘を吐いていないのは、心を読めば一目瞭然だ。きっと、レミリアから私に伝わるときに情報が擦り減らされたのだろう。こうなるんだったらもっと心の奥を探っておくべきだったか。
大体、レミリアは何故そこまで異常な行動をしたのだろうか? ……もしかしたらオリジナルの秋静葉もそこまでするのか? 私には想像することしかできないが、実行に一体どれほどの覚悟が必要だったのだろうか。そう考えると、レミリアの決意には私など敵うはずもない。何という不退転の境地。私はレミリアを尊敬する。
思考が大幅にずれてしまった。
大きく息を吸い、心を落ち着ける。――とりあえず、私は配られたカードで対戦しなくてはならないのだ。
「そ、それでどうしたのかしら?」
「お姉様をぶん殴った」
「……そうね。まず、そうするわね」
まだだ。あまりにも鉄壁だが、まだフォローを入れるポイントはある。私は腰を据えてタイミングを窺えばいいのだ。
フランの心に影が差す。それは姉を殴ったことに対する少しの罪悪感と、
「そしたら、『護符で見えなくなっているはずなのに』って……」
違和感だ。
フランは話をしている今現在もそれを引きずっている。フランは今、後悔をしているのだ。
心中に浮かぶのは、狂乱したレミリア。
殴った後に涙を堪えているレミリア。
そして、私が知らない人物の像が映る。それは紫の髪を流した、色白で私のようにあまり外に出ることのなさそうな少女。その手元に分厚い本が映っていた。
フランは、その紫の少女が仕組んだことだと疑っている。レミリアの友人で、たまにそうやってレミリアを騙しておちょくっていることがあるらしい。だけどそれは微笑ましいもので、レミリアもフランもその少女のことが嫌い、というわけではないらしい。むしろその感情は、好き、というものだった。
そして、フランの心は吐露する。これは哀しい事故だったのだと、いつまでも意地を張っている自分が悪いのだと。
……ああ、この子は最初から事の真相が見えていたのか。そうすると私の役割も自然と見えてくる。
「フランは知っているのでしょう。あなたのお姉様が悪者じゃないことを」
フランはゆっくりと頷く。
「だったら、受け入れてあげればいいのよ。出来ない?」
フランは沈黙する。
「お姉様は嫌い?」
「嫌いじゃない。――だけどっ!」
それは、まるで堤防が決壊したかのように溢れ出す。されど語気は弱々しく。
「どうしてそこまでするのかわからなくて……それで、思わず手が出て。お姉様のこと傷つけるつもりはなかったのに……」
その右手が――殴った拳が細かく震える。
その心を読む。
姉に愛されている。自分も姉を愛したい。
だけど、姉には嫌いな部分がある。過剰な部分がある。
だから、姉に触れたいのに、触れられるのはこんな形しかない。
…… なんて不器用なのだろうか。そして、どうして私には反省の気持ちが湧き上がってくるのだろうか。レミリアとフラン、さとりとこいし。それはあまりにも似ている部分が多かった。だとしたら、こいしも同じように考えていてくれているのだろうか。同じように、姉のことを想ってくれているのだろうか。だとしたらなんて幸福なことだろう。だとしたらなんて不幸なことだろう。だとしたら、どうして運命というものは残酷なのだろう!
私は歯を噛んで、一杯になる胸を鎮めようと努力する。私は相談を受ける側なのだから、いっぱいいっぱいになって見っとも無い姿を見せてはならないのだ。何より姉は強くあるべきなのだから……。
悟られないように、こみ上げてくる熱いものを飲み込み、
「っ……いい?」
その震えるフランの手を私の両手で包み込む。
「気に病まなくてもいいのよ。お姉様の手を取って、帰ろうって言えばいいの」
「でも、もしかしたらまた、手が出ることがあるかもしれないよ……」
それは……。私は言葉に詰まる。
傍にいることで相手を傷つけてしまうのなら、傍にいない方がいいのではないのか。フランは傍にいることで姉を傷つけてしまうことを恐れているのだ。その論を否定することは、私には出来なかった。
「……この血」
「え……?」
フランは気付く。私の服の袖口の、染みとなったレミリアの血に。
「ああ、これは……」
誤解を生まないため、さっきレミリアが言った通りに説明しようと口を開いた。
が、それはすぐに遮られる。
「歯茎から血が出た、なんて嘘でしょ。ねぇ、どうして血が出たの……」
それは。
私は、知っている。
――レミリアの痛みを。
これは代償。レミリアがフランを傷つけたことに対する償い。
そして同時に、フランが家出せず、傍にいれば付くことのなかった傷。
フランが傍にいなかったことで付いた傷。
これは。
「レミリアがあなたを悲しませてしまったことを悔いて、歯を思い切り食いしばって――」
そして、砕けた。
□
フランが弾かれたように部屋を飛び出し、外で暇を潰していた姉に抱きついたのはまさに一瞬のことだった。
「……お姉様ぁ……っ」
「フ、フラン……」
まるで周りを気にしていないが、境内にはこいししか見当たらなかったので別に気にしていないのだろう。レミリアが差している傘の影に二つの影がすっぽりと納まるほど近くにいる。
そのこいしは、遅れて出てきた私の隣に来て、くすりと笑う。
「お姉様って言ってたし、フランは泣きながら出てきたし……。まるでイケナイことをしてたみたいだよ?」
「ふふっ。そうかもしれないわね」
だが、誰が見てもそうじゃないことは明白だろう。あの姉妹は今、ひしと抱き合い、謝り、理解し、触れ合っているのだから。
今回の件は、思うところがたくさんあった。そのひとつが、ぽつりと口から零れ落ちる。
「……傍にいないことで付いてしまう傷、ねぇ……」
それは、姉という立場にしてみれば自分自身に付いた傷だろう。それは妹を想う上で何の障害にもならない。私は、むしろ勲章だ、などと考えていた。
しかし、妹という立場にしてみれば自分の手で大切な人を傷つけてしまったことと同じだったのだ。
その二つの立場の差を、私は今まで気付かなかった。
――今度からは自分を大事にすることも考えてみようか。
心の傷が癒えていくような気がした。
「……なにお姉ちゃん、さとったような顔して」
「そうね、だって私は"さとり"だもの」
"さとり"の力は、例えば本のようなものかもしれない。読書とは誰かの人生をかけて書いた本を読み、その誰かの歴史を知ることが出来る。私は誰かの心を読み、その誰かの無意識――積み重ねられてきた虚偽のない生の歴史を知ることができる。
ただこいしの心が読めない分、私はこいしに触れていくのだろう。そしていつの日にか、その豊かな喜びを知ってもらいたくもあった。
もちろん無理強いはさせないわよ?
□
それにしても人目を憚らず抱き合ってるなんて、妬ましいわね。あ、橋姫がうつった。
「ねぇ、お姉様。歯は痛くない?」
「少し染みるけど、これくらいへっちゃらよ」
こいしが不思議そうな顔で、
「知覚過敏?」
なんて言ったものだから、あまりにも可愛らしくて、私はこいしを抱き締めた。紅白の巫女服は案外薄く、素肌が近くに感じられた。
「ん……」
こいしがこんなにも傍にいることが至福だった。
傍にいなかったことで付いた傷は、傍にいることで癒そう。
しばらくはこのままでいたかった
――のだが。
私は見つけてしまった。
のんびりと歩いてこっちに向かってくる忌まわしい方の紅白を。
「あんたらなに暑苦しいことしてんのよ」
……ふん、博麗霊夢。あなたにはわからないでしょう。妹を抱き締める喜びは、博麗の巫女であるあなたには一生わからないわ。
霊夢は、私とレミリアの顔を見比べて、まあいいわ、と前置きした。
「レミリアもさとりもちゃんと妹の世話くらいしなさい。何で私が家出少女を保護しなくちゃいけないのよ。うちの神社は児童一時保護所じゃないわよ?」
はいはい……その問題はもう解決したわ。
ところで、とレミリアが疑問を口にする。
「どうして霊夢の服を着てるのよ」
「あー? 用事があって出ていなくちゃいけなかったのよ。その間、神社に妖怪しかいないのは変だから代理巫女をさせてたの」
それでもやっぱり神社に妖怪しかいないのだが。そもそも、フランは翼が露出してるから見た目でわかる。この巫女も案外抜けているものだ。
「まあ、用事もレミリアとさとりのことだったから丁度良かったわけよ」
……? 巫女の言葉が妙に引っ掛かる。私たちが何かしただろうか。思い当たることは、無い。霊夢は一体何について話しているのだろうか。
こいしは不思議そうに言う。
「そんなこと聞いてないよ、霊夢」
「だって言ってないもの」
こいしも知らない。フランも同じような反応をしたので、あの子も何も知らされていないのだろう。
留守番に、何の用事か知らせないまま出て行くとは。この巫女はますます抜けている。むしろ、誰かが守ってあげるべきじゃないのだろうか。
そんなことを考え――私はこいしを抱き締めた気持ちでぼんやりとしていたので、霊夢の心を先に読むのを忘れていた。
霊夢は、言う。
「ほら、あれよ。あんたらプリズムリバーの家に行って盗撮してきたでしょ」
――言葉が出ない。
それは、心当たりがあるからだ。
制止が間に合わなかった代わりに、その場が静止したように思えた。
背中にじわりと汗がにじむ。レミリアも、顔に滂沱の汗をかいているように見えた。
言われて見れば確かに盗撮かもしれないが、違う。私たちは崇高な目的を持って家の中の様子を写真に収めてきただけに過ぎない。
しかし、正直に言って説得できるような内容ではない。妹に面と向かって、あなたのために盗撮してきたのよ、と言って納得してもらえるほど全幅の信頼を得ているなら今まで誤解を受けることはなかったはずだから。
これは、誤魔化すしかない。
「な……何を言っているのかしら、霊夢。私たちがそんなことしたわけないじゃない」
「まあ天狗も似たようなもんだけど、許可取ってるし、あれは特権みたいなものだしね」
まったく聞いていない。私たちが悪者だと決め付けている。
そんな風に決め付けているからこの神社は流行らないんだ。確かに家の中の写真は撮ったけど。
「フィルムを渡せば黙っててくれるらしいからちゃっちゃと渡しなさい。示談してきてあげるから」
だからまったく聞いていない。
くぅ、仕方ない。私はレミリアに目配せする。
レミリアも、同じことを考えていたのか。目が合い、そして頷いた。
私は演じる。
「まあまあ、それはフィルムが出てきてから――でしょう?」
言いながら、霊夢の肩を叩こうと手を伸ばす。
同時、レミリアが鬼神の如き速さで振り返り、ポケットのカメラを遠投していた。
吸血鬼の運動神経には誰もついて来れない。カメラがなければこの事件は迷宮入りである。証拠隠滅? 違うわ。これは私たちの輝ける未来を邪魔する、醜い石ころをどけただけに過ぎない。
――はずなのだが、霊夢の肩を叩こうとした私の手が素振りする。
「んー案外あっさり出したわね」
声の方向を振り向くと、霊夢がカメラを手に、そこにいた。
――忘れていた。霊夢は空間を飛ぶこともできるのだった。恐らくカメラが投げられた放物線上――いや、ほとんど初速度を保っている直線上に空間跳躍し、それをキャッチして見せたのだ。
吸血鬼すら超える運動神経。げに恐ろしきは博麗の巫女。
そして私は、終焉というものをひしひしと感じていた。終焉は、隣の紅い姉妹から始まる。
「――ねぇ、お姉様?」
「――なぁに、フラン」
次の展開があまりにも見え過ぎていて、その瞬間は永遠にも思えた。
「離して」
レミリアが背中に手を回している体勢から羽交い絞めに移行するよりも早くフランはレミリアを突き飛ばした。
「待ちなさい、フラン! 誤解よ! ミスディレクションッ! 弁解の余地を!」
「うるさいっ! 私がいない間、他人の家を盗撮してるなんてただの変態じゃない! 変態っ、変態っ!」
フランは地面を蹴って飛び上がる。レミリアが両手を伸ばしても届かないほどに、速く、遠くに。
すぐに見えなくなってしまって、レミリアはその体勢のまま固まってしまった。
――そんな様子を眺めていると、私の腕の中にいたこいしがもぞもぞと蠢いた。
彼女は、言う。
「私、追いかけるね。傘差してないと大変だし」
待って行かないで、私の傍にいて――なんて勝手なことは言えなかった。
こいしと目が合わなかったから。
だから私は、黙って頷くしかできなかった。
そして、こいしが飛んで彼方に消える――。
残るは影二つ。
夜の王たる吸血鬼、レミリア・スカーレット。
心を読める妖怪、古明地さとり。
片や、紅魔館の主。片や、地霊殿の主。ぽつんと影二つ、残されたままである。
いや、
「あんたらも大変ね」
紅白と合わせて影三つ。
博麗神社の境内には、もの寂しい風が吹く。三つの影はしばらく動きを止めたまま、時間は過ぎていった。
そんな中で、最初にのそのそと動き始めたのはレミリアだ。一番最初に固まってしまったレミリアだ。
フランを抱きとめようと伸ばした形のままの両手は、収まる場所を探して空中をふらつき……そして、私たちを眺めていた霊夢の腋に前から収まった。
私も両手の居場所を探して――前面にはレミリアがいるので――後ろから霊夢の腋に挿した。
霊夢の腋は、温かかった。思えば、私たちに罪を隠さないように進め、示談の道をすでに用意してくれていた彼女は優しいのかもしれない。そう考えるとどこか憎めなかった。
そうして、怒りとやるせなさの矛先は、自分の内側へ向く。
今日のことは仕方なかったと忘れよう。明日、改めて妹を探しに行こう。
そうだ。
呑もう。
レミリアは叫ぶ。私も叫ぶ。
「――今日は呑むわよ! 霊夢、酒をあるだけ用意しなさいっ!」
「――しなさい! さもないと腋の下にトラウマ想起するわよ!」
もうやけくそだった。
□
「私の心はギザギザハートっ! つまりあれよ、あれあれよ! ……ああ、大声出すと歯に染みるわ」
「奥さん! それは、チ・カ・ク・カ・ビ・ン……じゃないですかーっ!」
「その通りよ! よく知ってるじゃない! ……あなた何者っ!?」
「歯医者です」
そうよねー、なんて言って、レミリアはガラスコップの中身を飲む。それはビールだったり、ワインだったり、日本酒だったりした。
もうどれだけの瓶を開けただろうか。私たちは悪酔いして、ふざけあっていた。横目で霊夢の困ったような、もしくは酔ったような顔を見るととても気分が良かった。
酒を呑んでいる者は雑念が多くなって、考えていることと喋っていることが大抵重なる。それは刹那的で単純な思考だ。また、呑んでいない者がいても遅くまで呑んでいれば、早く帰ってくれないかなこいつ、としか思われない。
だから宴会は、何も考えずに酒を呑めるいい時間だった。
レミリアは明後日の方向を見て目を細める。
「私はねぇ、夢があるんだよ」
こういった語りがあるのも、酒の席ならではである。
「いつか妹も友人も従者も、紅魔館にいる者全員引ん剥いて、私に侍らせるのよ」
なんという桃色空間。
……うちなら割と実現できそうな気がする。ほら、元々すっぱだし。
が、レミリアが言いたいのはそういうことではないのだろう。それは、物の例え。絶対の命令を下せるような、格の高い主人になりたいという夢なのだろう。
それはとても偉大に思えた。
「でもねー、フランが言うこと聞いてくれそうにないのよー。仮に押さえつけても服は脱がせないし、どうしたものかねぇ」
そりゃそうだ、と私は想う。あの調子だし。
あ、いいこと思いついた。
「こいしに羽交い絞めさせればいいわ。そうすれば、あなたは脱がすことに専念できるでしょう?」
「でも、あなたはこいしを脱がせられないわよ」
んー、意外な方向に持ってこられた。
「……いや、大丈夫よ。前は空けられなくても下を脱がすことはできるわ」
ああ! とレミリアは自分の手を打つ。あなた天才ね、なんて褒められた。私は少し恥ずかしかったけど、酒を呑んで顔が紅かったので、きっとレミリアにはわからなかっただろう。
そうやって馬鹿話をしながら、夜は更けていく。巫女はもう疲れて寝てしまったようだ。
私は楽しかった。こいしがいないことが少し寂しかったけれど、私は楽しんでいた。
同じ悩みを持つ、最高の友人を持てたことに。
そして、私たちが目指す最高の理想郷に。
「――乾杯」
私は呟いた。
□
「よぅし、さとり! 一気するから掛け声頂戴!」
なら、丁度いい掛け声がある。
私は手を叩き、音頭を取る。
「それでは、私たちの理想郷を目指して!」
大きく息を吸い、
「――びっくりするほどユートピアっ! びっくりするほどユートピアっ!」
調子っぱずれに歌って見せた。
「……ああぅ……」
あー、トラウマを掘り起こしてしまったようだ。南無三。
「ビックリするほどユートピア!」とか
レミリアとさとりの関係とか。
三姉妹を盗撮したのも自分たち姉妹の関係を改善するためだと言えば
良かったのに。
誤字の報告
>あまりにプッシュされる煮干しに、リリカは機嫌を悪くしていた。せっかく今日はいい日なのに、どうしてこんなにも煮干しが付き纏うのだろう。リリカは眉間を押さえて悩んだ。
悩んでも詮無きこととやはり独り合点して、リリカは窓の外に視線をやる。窓の外はいい天気で、希望に満ち溢れている。
この部分はリリカではなく、ルナサですよ。
びっくりするほどユートピア!
いやいや、いつもさとり様が勝手に先走って変な嘘でフォローしようとするからこいしが逃げちゃうんですよw
腋の下にトラウマ想起とか見てみたい!
まあ、それも格ってことでw
でも、やっぱり氏のさとりは、どこか抜けている方がかわいくていいですね。
ところで、びっくりするほどユートピア!は、もう幻想入りですかw