れいむーれれいむーれいれいむー! いるかいないのか へんじしろー!
まいった……。またあいつが戸を叩いてるわ。
私ったら、また妙な奴に好かれてしまったものね。
その妙な奴の名前は、宵闇の妖怪だか何だかのルーミアっていうやつで
たまたま神社の境内裏で出くわしたから、出会いがしらに打ち落としたのが知り合ったきっかけなんだけど……。
何が気にいったのか、それ以来、毎晩神社に現われるようになってしまったわけ。
しかも、妖怪だけあって心が読めないって言うか……ま、それは他の妖怪も同じことなんだけど、あいつはそれに輪をかけて言動が読めない。
毎回毎回意味不明なこと聞いてきたり、かと思えば妙に懐いてきたり……。
まぁ、それはいいとして許せないのは、あいつがやってくる時間帯が深夜ってことね。
そう、それも決まって丑三つ時過ぎ……。
……ふう、今日は一体何の用で来たのかしら……。
「霊夢ーいないー? 開けちゃうよー」
「……んー……待ってよ、今開けるから……」
眠い目をこじ開けてつつ玄関の戸を引くと、奴はいた。その紅い目をらんらんと輝かせながら。
「ねえ、霊夢ー、ボノボって何ー?」
「……は?」
「ボノボよボノボ」
……お前は何を言っているんだ。
「まったく、いきなり訪ねてきたかと思えば……いったい何よ?」
「教えてほしいことがあるから来てみたのだー」
「……あのねぇ。今何時だと思ってるのよ」
「ええと、丑の刻を過ぎようとしてるところだねー」
「楽しそうに言わないでよ……いい? 人間はね。その時間の頃は大抵、皆寝てるの」
「私人間じゃないもーん」
「私は人間なの!」
「じゃあー、なんで寝てないの?」
「あんたに起こされたからに決まってんでしょうが!」
思わずどなり声を上げてしまう。でも、悪いのはこいつであって、私はむしろ被害者なわけだから、別に怒鳴ったっていいわよね。
「……そっか、ごめんなさい。ところで、ボノボって何? 霊夢、知ってる?」
「……知らないわよ。何よそれ?」
「知らないから聞いてるんだけど」
「そう言われてもねぇ……」
「気になって気になって仕方がなくて」
「私は気にならないわ」
「私は気になるの」
どうやらこいつはよっぽど、そのボルボとかいうのが気になるようね。まったく困ったものだわ。
「……っていうか、どこで聞いたのその言葉?」
「これこれ」
「ん? 何それ」
ルーミアの奴は何やら紙きれのようなものをスカートのポケットから取り出して私に見せてきた。
なんかすごく汚れてて良くわからないけど、あの鴉天狗がよく置いていく新聞記事みたいな風にも見えないこともない。
「多分、外の世界の読み物だと思うんだけどなー」
「……幻のボノボを探せ……?」
「そ、幻なんだって。気になるなぁー」
「ふーん、幻って言われるくらいなんだから、きっと珍しいものなんでしょうね」
「そーなのかー」
そう言って奴は目を水晶玉のようにきらきらと輝かせてこちらを見てきた。
正直、そんなまなざしで見つめられても困るんだけど……。
「……でも、それくらいしかわからないわよ」
「それじゃ、何だか、わからないよー」
「……うーん、そう言われてもねぇ」
「何なのかな。珍しい料理かな? それとも昔の遺跡とかかな? もしかしたらものすごい秘宝とかかな? そうなのかー! 太古のロマンが私を呼んでる!」
ふーん、こいつ、見かけによらず案外いろんなことに興味持ってるみたいね。ただフラフラ飛び回ってるわけじゃないのね。
まぁ、料理ってことはたぶんないんじゃないかしら。遺跡なんてのも聞いたことないし、となると秘宝かしら……勘だけど。
っていかんいかん。危うくこいつのペースに巻き込まれるところだった。
「あのさ……盛り上がってるとこ悪いんだけど、せめて、夜が明けてからにしてくれない?」
「ダメだよ。夜が明ける頃は、私が眠くなって動けなくなるし」
……こいつは自分の事しか頭にないのか。
「……今の私がまさにその状態なんだけど……」
「よーし! じゃあ、今起こしてあげるから!」
急に張り切って、いったい何をする気なんだ。この妖怪は……って、私の肩に噛みついてきたし!?
「こら! やめろ! 痛いっつーの!」
「食べちゃうぞ。食べちゃうぞ」
「食べるな! 退治するわよ!? この迷惑妖怪!」
「冗談だよぉー。そんな怒らないでー」
私が再び怒鳴って御札を構えると、ルーミアは泣き出しそうな顔で懇願してきた。
……別に本気で退治しようとは思ってないけど。つうかなんか私が悪者っぽいのは気のせいか。
「もう、あんたの場合、冗談に聞こえないのよ……」
「心配しないで、私は霊夢の事を食べたりなんてしないよ。霊夢は食べてはいけない人間だよね」
「はぁ……」
なんかどっと疲れが出たというか。……ああ、そうだ、もともと私は眠いんだった。
凄く眠くて眠くて仕方ないのに、その上、なんでこんな疲れなくちゃいけないのか。
ああ、なんかもう考えるのも面倒になってきた……。
もう適当に流しておこ……。
「どうしたの? ため息なんかついて。悩みがあるなら私が聞いてあげるよー」
「うーん、すごく眠いのに、誰かさんが邪魔するのよ」
「む、ひどいやつ。誰だ。霊夢にそんなことする奴は」
「あんたよあんた」
「そーなのかー!」
「そうなのよー」
「私ったらひどい奴」
「わかったんなら……」
「よし、じゃあいっぱいお話して、霊夢の眠気を吹き飛ばしてあげる。ね? 私ったらいい奴でしょ」
「眠いー」
「大丈夫! いっぱいお話ししましょ」
「全然だいじょーぶじゃな-い」
「霊夢は、ボノボってなんだと思う?」
「しらなーい」
「ボノボーボノボー♪」
「歌うなー」
「霊夢も一緒に歌おうよ。ボノボの歌」
「何、その歌はー」
「私が今作ったの」
「ふーん。明日騒霊達にでも演奏してもらえばー?」
「それ、いいアイデア! さすが霊夢」
「そういうわけで今日はもう大人しく……」
「じゃあ、今日は二人で、幻のボノボを探しにいきましょ!」
「一人で行きなさーい」
「それじゃつまらないわ。霊夢もいこうよー」
……だめだ。こいつ。早くなんとかしないと……。
このままじゃ何時までたっても眠れないままだわ……あー……。
もう、なんで眠りたいだけなのにこいつに邪魔されなきゃいけないのか……。
……あー……考えてるうちに、なんか……だんだん腹立ってきた!
「……あのね! 私は眠いの! あまりふざけてると、いったーいお仕置きするわよ!?」
「そんな意地悪しないでよー。 私なんも悪いことしてないよー」
「してるじゃない!」
「何をー?」
「私の安眠を、妨害してるでしょ!」
「それって悪いことなの?」
「悪いことよ!」
「どうしてー?」
「どうしてって……私は眠りたいのっ!」
「寝ればいいじゃない」
「だからあんたが邪魔してるんでしょうがっ!」
「邪魔なんかしてないよ。ただ私は霊夢とおしゃべりしたいだけだよー。こんなに素敵な夜は二人でおしゃべりってすごく素敵でしょ?」
「だから、それが邪魔なのよっ!」
「そーなのかー!」
「はぁ……なんか、さっきからずっと同じ会話を、繰り返してる気がするんだけど……」
「そうそう、ボノボ、ボノボ」
「もう、ボノボはいいわよっ!」
「私はよくないわ。だって何も分かっていないもん」
「そんなのわからなくていいの!」
「どうして?」
「私は興味無い!」
「私はあるの!」
……ごめん。流石に私も堪忍袋の緒が切れた。
「もう、いいかげんにしろぉおおおおーっ!!」
思わずありったけの弾幕をルーミアにぶちかます。
ルーミアは「わはー!」と言いながら遠くの方に、きりもみしながら吹っ飛んでいった。
……ちょっとやりすぎた気がしないでもないけど、悪いのはあっちだ。むしろ被害者は私の方。もう一度。被害者は私なの。
それはそうと、これで、ようやく眠れるわ……それじゃおやすみー。
その夜、私は「ぼのぼー」と鳴く謎の四足歩行の怪物の群れに追われる夢で、一晩中うなされた。
目覚めたら、枕元でルーミアが「ぼのぼー、ぼのぼー」と囁き続けていた。
私は迷わず奴に夢想封印をかました。
あー……ねむい。
まいった……。またあいつが戸を叩いてるわ。
私ったら、また妙な奴に好かれてしまったものね。
その妙な奴の名前は、宵闇の妖怪だか何だかのルーミアっていうやつで
たまたま神社の境内裏で出くわしたから、出会いがしらに打ち落としたのが知り合ったきっかけなんだけど……。
何が気にいったのか、それ以来、毎晩神社に現われるようになってしまったわけ。
しかも、妖怪だけあって心が読めないって言うか……ま、それは他の妖怪も同じことなんだけど、あいつはそれに輪をかけて言動が読めない。
毎回毎回意味不明なこと聞いてきたり、かと思えば妙に懐いてきたり……。
まぁ、それはいいとして許せないのは、あいつがやってくる時間帯が深夜ってことね。
そう、それも決まって丑三つ時過ぎ……。
……ふう、今日は一体何の用で来たのかしら……。
「霊夢ーいないー? 開けちゃうよー」
「……んー……待ってよ、今開けるから……」
眠い目をこじ開けてつつ玄関の戸を引くと、奴はいた。その紅い目をらんらんと輝かせながら。
「ねえ、霊夢ー、ボノボって何ー?」
「……は?」
「ボノボよボノボ」
……お前は何を言っているんだ。
「まったく、いきなり訪ねてきたかと思えば……いったい何よ?」
「教えてほしいことがあるから来てみたのだー」
「……あのねぇ。今何時だと思ってるのよ」
「ええと、丑の刻を過ぎようとしてるところだねー」
「楽しそうに言わないでよ……いい? 人間はね。その時間の頃は大抵、皆寝てるの」
「私人間じゃないもーん」
「私は人間なの!」
「じゃあー、なんで寝てないの?」
「あんたに起こされたからに決まってんでしょうが!」
思わずどなり声を上げてしまう。でも、悪いのはこいつであって、私はむしろ被害者なわけだから、別に怒鳴ったっていいわよね。
「……そっか、ごめんなさい。ところで、ボノボって何? 霊夢、知ってる?」
「……知らないわよ。何よそれ?」
「知らないから聞いてるんだけど」
「そう言われてもねぇ……」
「気になって気になって仕方がなくて」
「私は気にならないわ」
「私は気になるの」
どうやらこいつはよっぽど、そのボルボとかいうのが気になるようね。まったく困ったものだわ。
「……っていうか、どこで聞いたのその言葉?」
「これこれ」
「ん? 何それ」
ルーミアの奴は何やら紙きれのようなものをスカートのポケットから取り出して私に見せてきた。
なんかすごく汚れてて良くわからないけど、あの鴉天狗がよく置いていく新聞記事みたいな風にも見えないこともない。
「多分、外の世界の読み物だと思うんだけどなー」
「……幻のボノボを探せ……?」
「そ、幻なんだって。気になるなぁー」
「ふーん、幻って言われるくらいなんだから、きっと珍しいものなんでしょうね」
「そーなのかー」
そう言って奴は目を水晶玉のようにきらきらと輝かせてこちらを見てきた。
正直、そんなまなざしで見つめられても困るんだけど……。
「……でも、それくらいしかわからないわよ」
「それじゃ、何だか、わからないよー」
「……うーん、そう言われてもねぇ」
「何なのかな。珍しい料理かな? それとも昔の遺跡とかかな? もしかしたらものすごい秘宝とかかな? そうなのかー! 太古のロマンが私を呼んでる!」
ふーん、こいつ、見かけによらず案外いろんなことに興味持ってるみたいね。ただフラフラ飛び回ってるわけじゃないのね。
まぁ、料理ってことはたぶんないんじゃないかしら。遺跡なんてのも聞いたことないし、となると秘宝かしら……勘だけど。
っていかんいかん。危うくこいつのペースに巻き込まれるところだった。
「あのさ……盛り上がってるとこ悪いんだけど、せめて、夜が明けてからにしてくれない?」
「ダメだよ。夜が明ける頃は、私が眠くなって動けなくなるし」
……こいつは自分の事しか頭にないのか。
「……今の私がまさにその状態なんだけど……」
「よーし! じゃあ、今起こしてあげるから!」
急に張り切って、いったい何をする気なんだ。この妖怪は……って、私の肩に噛みついてきたし!?
「こら! やめろ! 痛いっつーの!」
「食べちゃうぞ。食べちゃうぞ」
「食べるな! 退治するわよ!? この迷惑妖怪!」
「冗談だよぉー。そんな怒らないでー」
私が再び怒鳴って御札を構えると、ルーミアは泣き出しそうな顔で懇願してきた。
……別に本気で退治しようとは思ってないけど。つうかなんか私が悪者っぽいのは気のせいか。
「もう、あんたの場合、冗談に聞こえないのよ……」
「心配しないで、私は霊夢の事を食べたりなんてしないよ。霊夢は食べてはいけない人間だよね」
「はぁ……」
なんかどっと疲れが出たというか。……ああ、そうだ、もともと私は眠いんだった。
凄く眠くて眠くて仕方ないのに、その上、なんでこんな疲れなくちゃいけないのか。
ああ、なんかもう考えるのも面倒になってきた……。
もう適当に流しておこ……。
「どうしたの? ため息なんかついて。悩みがあるなら私が聞いてあげるよー」
「うーん、すごく眠いのに、誰かさんが邪魔するのよ」
「む、ひどいやつ。誰だ。霊夢にそんなことする奴は」
「あんたよあんた」
「そーなのかー!」
「そうなのよー」
「私ったらひどい奴」
「わかったんなら……」
「よし、じゃあいっぱいお話して、霊夢の眠気を吹き飛ばしてあげる。ね? 私ったらいい奴でしょ」
「眠いー」
「大丈夫! いっぱいお話ししましょ」
「全然だいじょーぶじゃな-い」
「霊夢は、ボノボってなんだと思う?」
「しらなーい」
「ボノボーボノボー♪」
「歌うなー」
「霊夢も一緒に歌おうよ。ボノボの歌」
「何、その歌はー」
「私が今作ったの」
「ふーん。明日騒霊達にでも演奏してもらえばー?」
「それ、いいアイデア! さすが霊夢」
「そういうわけで今日はもう大人しく……」
「じゃあ、今日は二人で、幻のボノボを探しにいきましょ!」
「一人で行きなさーい」
「それじゃつまらないわ。霊夢もいこうよー」
……だめだ。こいつ。早くなんとかしないと……。
このままじゃ何時までたっても眠れないままだわ……あー……。
もう、なんで眠りたいだけなのにこいつに邪魔されなきゃいけないのか……。
……あー……考えてるうちに、なんか……だんだん腹立ってきた!
「……あのね! 私は眠いの! あまりふざけてると、いったーいお仕置きするわよ!?」
「そんな意地悪しないでよー。 私なんも悪いことしてないよー」
「してるじゃない!」
「何をー?」
「私の安眠を、妨害してるでしょ!」
「それって悪いことなの?」
「悪いことよ!」
「どうしてー?」
「どうしてって……私は眠りたいのっ!」
「寝ればいいじゃない」
「だからあんたが邪魔してるんでしょうがっ!」
「邪魔なんかしてないよ。ただ私は霊夢とおしゃべりしたいだけだよー。こんなに素敵な夜は二人でおしゃべりってすごく素敵でしょ?」
「だから、それが邪魔なのよっ!」
「そーなのかー!」
「はぁ……なんか、さっきからずっと同じ会話を、繰り返してる気がするんだけど……」
「そうそう、ボノボ、ボノボ」
「もう、ボノボはいいわよっ!」
「私はよくないわ。だって何も分かっていないもん」
「そんなのわからなくていいの!」
「どうして?」
「私は興味無い!」
「私はあるの!」
……ごめん。流石に私も堪忍袋の緒が切れた。
「もう、いいかげんにしろぉおおおおーっ!!」
思わずありったけの弾幕をルーミアにぶちかます。
ルーミアは「わはー!」と言いながら遠くの方に、きりもみしながら吹っ飛んでいった。
……ちょっとやりすぎた気がしないでもないけど、悪いのはあっちだ。むしろ被害者は私の方。もう一度。被害者は私なの。
それはそうと、これで、ようやく眠れるわ……それじゃおやすみー。
その夜、私は「ぼのぼー」と鳴く謎の四足歩行の怪物の群れに追われる夢で、一晩中うなされた。
目覚めたら、枕元でルーミアが「ぼのぼー、ぼのぼー」と囁き続けていた。
私は迷わず奴に夢想封印をかました。
あー……ねむい。
それはともかくルーミアが可愛い! それだけで満足でした!
もしやこの作品にはそういう意味が込められているのか!
おいしいのかな?
なんでも同s(