「近頃、頻繁に余所者の侵入を許しておるようだが、それに関して何かいうべきことはあるか!!」
天狗の長の叱咤の声が会議場内に響き渡る。
ここは多くの天狗の住む妖怪の山。
狼天狗たちが多く詰めている天狗の詰め所である。
「ハッ。真に申し訳ありません、今後は偵察のみならず、防衛のほうにも力を注ぐ所存です」
狼天狗の一人、外見上は人のように見える狼天狗が謝ると。
「りょーかいりょーかいっ。まぁ、私だけじゃどーにもならない気もするし、文ねーさんにも言ったら?」
犬耳をつけた狼天狗が軽い口調で長に意見を述べる。
更にその隣では真っ白なボードを持った謎の生物(狼天狗らしい……が明らかに大きさからして違う)がまくまくとなにやら食べ物を食べている。
ちなみに、三匹の名前はきほんてきにはもみじらしい。
さて、そんなこんなで天狗の長から今度危険な部外者を通したら飯抜きといわれてしまって、どうしようと言うことになった。
「まぁ、ここの飯あんまりおいしくないし、多少無くっても色仕掛けで里の人たちからもらえばいいじゃない」
そんなことをもみじ(紛らわしいから紅葉と呼ぶことにする)が言うと、
まくまくとごはんを食べていたもみじ(紛らわしいからもみーとよぶことにする)が紅葉の方をむいて真剣に
(あんたはいいかもしれないけれど、他の狼天狗にとって飯はとっても重要なんだ)と言う表情をした。
「紅葉がここんところ帰ってこないのはそう言った訳か。まったく、文について新聞記事ばかり書いてると思えば、いったいいつの間に色仕掛けなんて覚えたんだ」
と、リーダー格っぽいもみじ(紛らわしいので椛と呼ぶことにしよう)も椛に向かって説教を始める。
そうして、椛が説教を始めると、紅葉もいつものこととか言う雰囲気を残しつつも、明日のご飯対策もとい、妖怪の山防衛対策について真剣に考え始めた。
さて、防衛にあたって大事な事を考えてみよう。
第一に、素早い発見。
第二に、数を生かした防衛。
そして第三に相手に勝てる強力な兵器である。
……と言う事で、近所の河童に新しい防衛兵器を作ってもらうことになった。
椛が、河童の家の玄関の扉を叩くといつもの河童が出てきた。
「おお、丁度今暇なんだ、折角だから一戦やってかない?」
出てくるなり、勝負事を挑む河童の誘いを玄関先で椛が断る。
「いや、今日はにとりに頼みごとがあってきたんだが」
「ふぅん、まぁ仕事の依頼があるなら仕方ないか、そっちの話を聞いた後に勝負しよ」
河童がそういったのを確認すると、
「かくかくしかじか……そんな訳で、新しい防衛兵器って何か無いだろうか?」
椛は天狗の長の話を交えつつ新しい防衛兵器について説明する。
「ん~、近頃手に入れた新しい熱融合を利用した兵器とかならあるけど?」
椛の話を細かく聞いたにとりは、玄関先から三人を部屋の中に入れると、部屋の隅にある怪しげな兵器を指差して、近頃手に入れた兵器について話し始めた。
地底の世界で見つけた新技術が大量に使われたその兵器の凄さについて語るにとり。
「それはやめといた方が良いんじゃない?」
だが、その話を椛の隣でメモを書きながら聞いていた紅葉が口を挟んだ。
「チョイ前に文姉さんから聞いたんだけど、地底で戦ったときにその熱融合兵器ってのを見たらしいんだけど、それ持って帰ってにとりが兵器作ったら暴走して大変なことになったって言ってたよ」
その反論に、にとりはキリッツと擬音が入りそうなほど
「あれから改造したからもう暴走しないよっつ」
と胸を張って主張。
でもあからさまに怪しいと思った椛はにとりのキリッツを無視すると、
「うーん……ちょっとその熱融合兵器はやめておこうかな」
と断りを入れる。
「え~~~、大丈夫だよ、今ならお安くしとくからもってって使って。もってかないなら今日は新兵器つくってやらない」
だが、新兵器を使ってもらおうと駄々をこねるにとりに結局負けて、その熱融合兵器を持って帰った。
「とりあえず、取扱説明書を読んで……」
椛がにとりからもらった熱融合兵器の説明書を読み始め、
「こんなの使ってみればすぐわかるよっ」
軽い口調で、新兵器の横についているボタンを押す。
ボタンを押すとウィィィィンとか妙な音を立てながら装置が動き出し、凄い速度で正面に火球が打ち出される。
紅葉の正面にはもみーがもくもくとなにやら書いていて、激突したらもみーは火達磨。
ちょっとやばいっとか思った瞬間、もみーはその場に残像を残して、謎の正義超人に変身する。
(仮面モミダー参上)
ちなみに、もみーはしゃべれないらしく、変身後の台詞はなにやらメモ帳に書いて表示している。
そうして、火球を打ち出した紅葉にライダーキックを食らわせて吹っ飛ばすと、飛ばしていたロケットがくるくる回転しながら転がり、あたりに火をつけた。
「これだから、説明書を読まないと……」
と慌てて椛が火を消し始めると、モミダーに変身したもみーが上司の天狗を呼んでくる。
さて、あわや大惨事になりそうな所をどうにか収めると上司の天狗が
「まったく、防衛の任務ができないだけじゃなくって、天狗の山に山火事を起こす気が、この馬鹿者どもがっつ!!」
と一喝。
どうやら、もみじ部隊の先はまだまだ前途多難なようで……。
--END--
天狗の長の叱咤の声が会議場内に響き渡る。
ここは多くの天狗の住む妖怪の山。
狼天狗たちが多く詰めている天狗の詰め所である。
「ハッ。真に申し訳ありません、今後は偵察のみならず、防衛のほうにも力を注ぐ所存です」
狼天狗の一人、外見上は人のように見える狼天狗が謝ると。
「りょーかいりょーかいっ。まぁ、私だけじゃどーにもならない気もするし、文ねーさんにも言ったら?」
犬耳をつけた狼天狗が軽い口調で長に意見を述べる。
更にその隣では真っ白なボードを持った謎の生物(狼天狗らしい……が明らかに大きさからして違う)がまくまくとなにやら食べ物を食べている。
ちなみに、三匹の名前はきほんてきにはもみじらしい。
さて、そんなこんなで天狗の長から今度危険な部外者を通したら飯抜きといわれてしまって、どうしようと言うことになった。
「まぁ、ここの飯あんまりおいしくないし、多少無くっても色仕掛けで里の人たちからもらえばいいじゃない」
そんなことをもみじ(紛らわしいから紅葉と呼ぶことにする)が言うと、
まくまくとごはんを食べていたもみじ(紛らわしいからもみーとよぶことにする)が紅葉の方をむいて真剣に
(あんたはいいかもしれないけれど、他の狼天狗にとって飯はとっても重要なんだ)と言う表情をした。
「紅葉がここんところ帰ってこないのはそう言った訳か。まったく、文について新聞記事ばかり書いてると思えば、いったいいつの間に色仕掛けなんて覚えたんだ」
と、リーダー格っぽいもみじ(紛らわしいので椛と呼ぶことにしよう)も椛に向かって説教を始める。
そうして、椛が説教を始めると、紅葉もいつものこととか言う雰囲気を残しつつも、明日のご飯対策もとい、妖怪の山防衛対策について真剣に考え始めた。
さて、防衛にあたって大事な事を考えてみよう。
第一に、素早い発見。
第二に、数を生かした防衛。
そして第三に相手に勝てる強力な兵器である。
……と言う事で、近所の河童に新しい防衛兵器を作ってもらうことになった。
椛が、河童の家の玄関の扉を叩くといつもの河童が出てきた。
「おお、丁度今暇なんだ、折角だから一戦やってかない?」
出てくるなり、勝負事を挑む河童の誘いを玄関先で椛が断る。
「いや、今日はにとりに頼みごとがあってきたんだが」
「ふぅん、まぁ仕事の依頼があるなら仕方ないか、そっちの話を聞いた後に勝負しよ」
河童がそういったのを確認すると、
「かくかくしかじか……そんな訳で、新しい防衛兵器って何か無いだろうか?」
椛は天狗の長の話を交えつつ新しい防衛兵器について説明する。
「ん~、近頃手に入れた新しい熱融合を利用した兵器とかならあるけど?」
椛の話を細かく聞いたにとりは、玄関先から三人を部屋の中に入れると、部屋の隅にある怪しげな兵器を指差して、近頃手に入れた兵器について話し始めた。
地底の世界で見つけた新技術が大量に使われたその兵器の凄さについて語るにとり。
「それはやめといた方が良いんじゃない?」
だが、その話を椛の隣でメモを書きながら聞いていた紅葉が口を挟んだ。
「チョイ前に文姉さんから聞いたんだけど、地底で戦ったときにその熱融合兵器ってのを見たらしいんだけど、それ持って帰ってにとりが兵器作ったら暴走して大変なことになったって言ってたよ」
その反論に、にとりはキリッツと擬音が入りそうなほど
「あれから改造したからもう暴走しないよっつ」
と胸を張って主張。
でもあからさまに怪しいと思った椛はにとりのキリッツを無視すると、
「うーん……ちょっとその熱融合兵器はやめておこうかな」
と断りを入れる。
「え~~~、大丈夫だよ、今ならお安くしとくからもってって使って。もってかないなら今日は新兵器つくってやらない」
だが、新兵器を使ってもらおうと駄々をこねるにとりに結局負けて、その熱融合兵器を持って帰った。
「とりあえず、取扱説明書を読んで……」
椛がにとりからもらった熱融合兵器の説明書を読み始め、
「こんなの使ってみればすぐわかるよっ」
軽い口調で、新兵器の横についているボタンを押す。
ボタンを押すとウィィィィンとか妙な音を立てながら装置が動き出し、凄い速度で正面に火球が打ち出される。
紅葉の正面にはもみーがもくもくとなにやら書いていて、激突したらもみーは火達磨。
ちょっとやばいっとか思った瞬間、もみーはその場に残像を残して、謎の正義超人に変身する。
(仮面モミダー参上)
ちなみに、もみーはしゃべれないらしく、変身後の台詞はなにやらメモ帳に書いて表示している。
そうして、火球を打ち出した紅葉にライダーキックを食らわせて吹っ飛ばすと、飛ばしていたロケットがくるくる回転しながら転がり、あたりに火をつけた。
「これだから、説明書を読まないと……」
と慌てて椛が火を消し始めると、モミダーに変身したもみーが上司の天狗を呼んでくる。
さて、あわや大惨事になりそうな所をどうにか収めると上司の天狗が
「まったく、防衛の任務ができないだけじゃなくって、天狗の山に山火事を起こす気が、この馬鹿者どもがっつ!!」
と一喝。
どうやら、もみじ部隊の先はまだまだ前途多難なようで……。
--END--
椛が3人っていう設定が意表を突かれました。
次作を期待してますね^^
漫画化すると、ちょうどいいバランスになりそうな予感ですよ。
今回はSSとして投稿されているので、あくまでSSとして評価した評点にしています。
何故こんな話を最後まで読んでしまったのか、と自分自身に怒りを覚えました。