Coolier - 新生・東方創想話

ルーミアと少年 3

2009/01/01 20:16:26
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 オリキャラがかなり目立つと思われます。あと一人称が設定と違うキャラがいます。


 

 慧音先生による週一回の移動寺子屋の授業を受けた後、僕は大事な約束があるからと親の手伝いを何とかごまかし、彼女との待ち合わせ場所に向かう。
 建造中の橋のたもと、彼女は笑顔で僕を迎えてくれた。
 ああやっぱり、今までの事は単なる悪夢だったのだ。
 涙があふれてくる僕を、彼女はおかしな人ねと笑っていた。
 彼女は生きていて、僕に親しくしてくれて、村中の人からも愛されている。
 過去形ではない、現在進行の事実。
 きっと大人になったら美人になるだろう。
 きっと明るく輝く未来が待っているだろう。きっと、僕にも。

 「今日はどこへ行こうか?」

 彼女の手に触れようと思った瞬間、彼女の背後に影が現れた。
 その陰は次第に大きくなってゆき、彼女を飲みこもうとする。
 僕は必死で影の中から彼女を引っ張り出そうとするが、体が動かない。

 「なぜ!?」

 完全に飲みこまれた。

 「やめろ、やめてくれ!」
 
 ぼきり、ぐちゃり、といういやな音が聞こえ、
 闇の中から、顔中血だらけになった奴が、ルーミアが顔を出す。

 「ごちそうさま」
 「うおあああああああああああ!」

 我を失って狂ったように叫ぶ。
 右手に護符が握られ、護符が僕の霊力を吸い取って光を放つ。

 「殺してやる!」

 必殺のスペルカードを宣言なしで撃ち、弾幕がその相手、ルーミアを包む。
 しかし奴は高速で僕の後ろに回り込み、弾を撃つ。
 背中に衝撃を感じた。だが致命傷じゃない。まだいける。
 しかし相手の方を振り向いても、奴の姿を捉えることができない。
 常に死角をキープされ、確実に僕の体力を削っていく。
 とどめを刺すなら刺せ。もてあそんでいるのか。
 僕の意識がだんだんかすんでいく、そして、周りが明るくなった。


 布団の上で、僕は目を覚ました。体はどこも痛くない。
 八意永琳と、文さんと、鈴仙が僕を見下ろしていた。
 これまでのいきさつをゆっくりと思いだしてみる。
 確か、文さんに良い訓練の道具があると言われて永遠亭に連れて行ってもらい、そこの主の一人である八意永琳の薬を飲んだんだっけ。
 
 「どうですか、バーチャルトレーニング胡蝶夢丸の効果は」

 派手な色のナース服を着た八意さんが言った。うわさ通りの美人ではあった。

 「最初に愛する人が犠牲になるシチュエーションを入れたの」
 「趣味の悪い状況設定だ」 僕は吐き捨てるように言った。
 「でも、闘争本能全開だったでしょ?」 八意さんは悪びれずクスリと笑った。
 「……役には立つでしょう。それで、お代は?」 
僕は財布を出そうとする、いくばくかの蓄えはあった。
 「それ、試作第一号だからただでいいわ、次からはひと瓶100紅夢でどうかしら」
 「やっぱり、僕を実験台にしたんですね」
 「結果的に副作用もないからいいじゃない」 八意さんはそう言って笑う。
 
 この永遠亭の医療施設、通称『八意医院』は村の人もよく利用していて、人と人外の共存がうまくいっている例だと言えた。
 だがこの人も、壊れている。そうとしか思えない
 八意さんに礼を言い、永遠亭を後にする。文さんは別の仕事があると言って先に帰った。ECMのない昼の竹林なら一人でも大丈夫だろうと言っていた。
永琳先生に礼を言って玄関を出ると、鈴仙が何かを言いたそうにこっちを見ていた。
敵意はないようだが、冷や汗が出る。

「あの、あの耳の事は誰にも言わないから、そこを通してくれないかな」
「その事ならもう気にしてないわ。でも黙っててね」

穏やかなトーンだったので安心した。

「ありがとう」
「師匠、昔っからあんな性格なのよ、どうか許してあげて」
「人外の存在だから仕方ないよ」適当に笑って返した。
「もしかして、この前の事、怒ってる? あなた達に気づかなかった私も悪かったわ、びっくりして、つい侵入者だと思っちゃったのよ。」

 最初に永遠亭を訪れる時、鈴仙とまた争いになるのではないかと心配したが、文さんが言うには、妖怪はそれぐらいの事で根に持ったりしないとの事だった。
実際、霧雨魔理沙は僕の時以上の大立ち回りを演じたにもかかわらず、平気な顔でここを訪れるらしい。無神経なのか、よほど力量に自信があるのか、おそらく両方だろう。 

 「あたらしい魔法か何かの実験だったのかい?」
 「そう、妨害電波で、相手を道に迷わせたり、幻覚を見せたりする実験。でも、妨害電波が強烈過ぎて、私自身あなたの接近に気付かなかったわ。これじゃ使えない」
 「妖精が竹林で迷子になっていたのを助けに来たんだ」
 「そう、その子には悪い事をしちゃったわね、ところで、君が例の少年?」

 そう言って鈴仙は文々。新聞を僕に見せた。

 

 妖怪に復讐! 少年の決意。

 このたび、親しい友人を妖怪に殺され、復讐を決意した人間の少年の噂を聞き、本人と
の接触に成功した。
 少年の名は倉砂屋 有也(くらすなや ありや 仮名)。彼は親しかった少女を妖怪R-3A(仮名)に殺され……



 ああ、そう言えば弾幕指南の代償として、僕の関わった仕事を記事にするとか言っていたな、だが、はたして仮名の意味があるのだろうか。文さんと言い鈴仙といい、僕の事は多くの妖怪に知られているようだ。おそらく、ルーミア自身にも。
 
 「きっと、あなたが復讐を決断するまでには相当の事があったと思う。だからやめろとは言わないわ。でも、人の幻想が生み出した妖怪を消滅させるのは不可能よ」
 「御忠告ありがとう、でも、けじめは必要なんだ、僕は僕の道を行く」
 「そう、あなたの進む道に、どうか救いがありますように」

 ブレザー姿の妖怪兎は悲しそうな表情で僕を見送った。





 依頼がてら、リグル=ナイトバグを誘ってその辺の里まで足を延ばしてみることにする。確かアケビ村と言ったか。
 リボンを結わえ、体にまとう暗闇を最小限に抑えて外出する。
太陽の光が少し痛く感じるが、リグルと一緒に歩いてるうちに慣れた。
一緒に手をつなぐと、リグルは少し照れくさそうにしていた。
たまには他人と行動すると言うのも悪くない。
やはり、私たちはたがいに関わって生きているのだ。
 その里は取り決めで人妖共生領域のうちに含まれていたが、妖怪の定住者は少なめで、結社の支持者も少なからず住んでいるらしい。
 近くの駄菓子屋をのぞいてみる。
 さまざまなお菓子が店先を彩っていて、老婆が奥で裁縫仕事をしていた。
 私の眼はきなこ餅に釘づけになる。

 「うわあ~、これなんだか美味しそう ねえねえおばあさん、これちょうだい」
 「はいよ、10銭だよ」

 困った、私は妖怪通貨である紅夢しか持ち合わせていない。
 するとリグルが小さな財布から小銭を出して、立て替えてくれた。

 「今日は僕がおごるよ、ルーミア」
 「ありがとうリグル」

 リグルの頬が少し赤くなったような気がする。

「あとで一緒に食べよっ」
「うん」

 はしゃぐ私とリグルに老婆が尋ねた。

 「あんた、よそから来た妖怪さんかい?」
「そうだよ」
「悪いけど、近頃はこの辺も物騒だから日が暮れないうちにお帰り」

店の老婆はよその方を向いて裁縫仕事を続けた。
ここは人妖共生領域なのに、なにか妖怪の私に壁を造っているようだった。
遠くで誰かが演説するような声がする。

「先日、この村でまた人が殺されました。我々が調べたところ、妖怪にかまれたと思しき傷跡がありました。このように、人間と妖怪が同じ場所で共存するなどどだい無理なのです……」

一理ある、確かに、仲良くできない者同士を無理やり同じ領域に閉じ込めたら、かえって諍いが絶えなくなるだろう、適度に距離を置くことによって、むしろ良い関係を保つことができる、そんな場合もある。
騒乱後、幻想郷を三分割した意図は、人妖を強引にくっつけさせるのではなく、相手と仲良くできるものは共生領域に、出来ないものはそれぞれ、人間、妖怪領域に暮らすことで、うまく住み分けることにある。
ただ現実問題として、全ての人妖の意見を反映することは不可能で、相手が苦手なのに自分の住み家が共生領域に指定されたり、逆に付き合いがあるのに境界線を引かれて交流が難しくなったケースもある。

「一昨日、ある男の人が夕方、畑仕事から帰る途中に妖怪に襲われたんだよ、そりゃあひどい殺され方だったそうだ。やっぱり結社は正しかったんだって言う人も増えてきてね、まさか、お嬢さんは違うよねえ」

老婆はかすかに疑っているような眼で私たちを見た、妖怪が人に畏れられるのはむしろ良い事であるはずだが、あいにく私の頭脳は理屈のみの思考はしてくれないらしい。
心が少しざわめいた。

外に出ると、一人の男が演説を続けると同時に、仲間が道行く人にパンフレットを配っていた。

「もしこの中に良き妖怪がいたら、気分を害したことを謝罪したい。しかし、あなた方と我々は離れて暮らすべきなのです。この村は人間専用領域に指定しなおされなければなりません……」

「ルーミア、まだこんな事が……」
「ねえリグル、先に帰ってて、私はまだ用事があるから」
「ルーミア」
「何?」
「僕、ルーミアの身にもしもの事があったら、全力で守るからね」
「ありがとう、でも大丈夫だよ」
「だって、言いにくいんだけど、ある人間が君を……」 
「私はそう簡単にやられないよぉ」

私は不安がるリグルの頭をなでてやった。
リグルと別れた後、村の空を見上げる。
すでに西日が差していた。仕事の開始時刻でもある。





今回は博麗の巫女、霊夢さんの依頼で陰陽玉探しを手伝う事になった。
なんでも妖精に隠されてしまったらしい。
妖精は霊夢さんに攻撃されて盗んだものを放り投げて逃げ帰ったが、放り投げた陰陽玉が裏山のどこかに落ちてしまったと言う。
あらゆるものを萃める能力を持った鬼は地獄に里帰りしているらしい。
そこで人を雇うというわけだった。
巫女ともあろうものが妖精に大事なものを隠されるなんて。

「今、巫女のくせに妖精ごときに物を盗まれたとか思ったな」
「いや、別に」

巫女の勘は伊達ではないな。
裏山の茂みを手分けして探しながら、霊夢さんと雑談した。
霊夢さんは彼女の葬式に参列しているのを見たが、こうして言葉を交わすのは初めてだ。

「君、    と親しかったって言う子ね」
「彼女は、あなたとも仲良くしていたんですね」
「ええ、明るい子で、弾幕ごっこも良くしたわ、守矢神社の子に次いで、第三の巫女になるかもって紫が話してたの、それだけに残念だった」

遠い目で霊夢さんは語った、やはり大事な友人を亡くした人の目だ。

「そうですか、じゃあなおさらルーミアには負けられないな」

僕は陰陽玉を探す手を止めて、握りこぶしを作る。

「スペルカードルール上で負かすのじゃなくて?」
「はい、僕はルーミアを殺します、消滅させるのです」
「いい事、妖怪退治は大変よ、あなたの腕ならスペルカードルールに基づく決闘で戦った方がいいと思うわ」
「でも、誓ったんです」
「仮にルーミアを消滅させることができても、妖怪は人間の幻想が生み出した存在。闇を恐れる人の心がある限り、何らかの存在は生まれるでしょうね。そして彼女は二度と生き返らない」
「でも、心の整理は一区切りつくでしょう」
「そこまで言うのなら……、まあ今は陰陽玉を探してちょうだい」
 
完全な日没の前に、なんとか陰陽玉を見つけることが出来た。

「あった、ありましたよ」

僕は陰陽玉を霊夢さんに渡す。

「勘でこの辺じゃないかと思っていたのよ、助かったわ」

その時、胸のポケットの携帯端末~河童製で文さんに貸し与えられた物~に情報が入ったことを示す音が鳴った。

「それ、あなたの商売道具、私に見せて」

彼女は僕の手から端末を引ったくり、画面を見た。

「ちょっ、返してください」
「ふむふむ……」 霊夢さんはそんな僕を無視して画面の字を読みつづける。


行方不明者探索
依頼主 アケビ村自警団
報酬 5000紅夢

 たった今、村の近辺で妖怪の姿を見たとの知らせが入った。
 猟に出かけた者が予定の時刻を過ぎてもまだ戻ってきていない。
 自警団とともに探索に出かける者を急きょ募集する。
 最近当村の近くで人が相次いで妖怪に殺害される事件が相次いでおり、今回の目撃情報もそれとの関連が高いとみられている。万全の準備をお勧めする。


「たった今だって!」

依頼の出された時刻はほんの数分前だ。すでに日は傾き、普通の人間がこんな山の中にいれば襲ってくれと言っているようなものだった。
夕暮れ時、昼と夜の境界、宵闇。

「ひょっとしたら……」
「私の勘だと、あなたが探す相手はそこにはいないわよ」
「どうしてです」
「勘よ、勘。殺害されたと分かるって言う事は、死体が見つかっていると言う事でしょ?」
「それはそうです」
「妖怪が人を襲う時、殺して食べるにせよ、何かに従事させるにせよ、襲われた人はその場から完全に消え去ってしまうのよ、いわゆる神隠しね。死体を普通の人にも見つけられるような場所に置いておくのは変だわ」
「でも、人がピンチなんです、僕は行きます」
「私もあとで行ってみるわ」

 僕は霊夢さんから携帯端末をやっとの思いで取り返し、アケビ村へ急いだ。





村へ帰る途中だった猟師を逃がしてやった後、奇妙ないでたちをした集団と対峙する。
そいつらは尖った耳、角、翼といったいかにも妖怪と言う格好をしていた。
だが、臭いからして妖怪のふりをした人間である。

「自作自演……か」

一団は黙って鉈や刀、魔道具を持ち、私に迫る。

「妖怪から人を守るはずの結社が、妖怪を装って人を殺すとはな」
「理想の人間社会のため、お前も死んでくれ」リーダー格らしき男が言った。
「まあ、外道とは言わんよ、私も似たようなものだ」

だが罰は受けてもらわねばなるまい。
妖怪を貶め、リグルを傷つけた罪の。
ストレートな悪のセリフで安心した。
心おきなく殺せるというものだ。

「理想のためには人の死をいとわない……か。ならばお前たちで死を実践して見せろ」

一人が鉈を持って飛びかかってきた、私は右手でその受け止め、左手で魔力を男の心臓に叩きこんでやった。背中から噴き出した鮮血が仲間にかかる。

「化け物……」
「お褒めにあずかり、光栄ですわ」
「ひるむな、全員で同時に斬りかかれ」

リーダー格の掛け声と同時に体制を立て直し、あるものは武器で接近戦を挑み、あるものは魔力弾でそれを援護する。
私は放射状の弾幕を生成し、その集団を瞬時に弾き飛ばした。

「喜べ、お前たちは魂ごと喰ってやる、完全な無だ」

 なおも襲いかかってくる男の片腕を拾った剣で切り落とした。
 魔力弾を剣で軽く弾き飛ばすと、弾かれた弾幕が誰かの頭部をスイカのように粉砕した。
 リーダー格の男が逃げようとする。

「おいおい、部下が必死に戦っているのに、それはないだろう」
「ひっ」

 私は闇と半分同化して男に追いすがり、右手の指を胸に突き刺し、心臓をえぐり取った。
 男はあっさり絶命した。
 そのいまだ力強く拍動している心臓に、私はかじりついた。
 そして手を合わせて……

 「御馳走様でしたっ♪」

 いつもは私が喰った人間の魂はかまずに飲み込み、冥界へ送ってやるのだが、今回は約束通り魂もかみつぶし、完全に私の一部にする。

「せ~の」

 大きく息を吐き、吸う。漂っている霊魂が口の中に吸い込まれていく。

~助けてくれ、無になるなんていやだ~

霊魂たちが抗おうとするが、ひとつ残らず私の口のなかで咀嚼され、その意識は永遠に消滅した。

「修行もせずに輪廻の輪から出られるんだ、むしろ寛大な処置だと思うが?」

口を拭って帰ろうかと思った時、ふと人間の気配を感じた。こちらに近づいている。





「これは……」

僕は絶句した、悲鳴が聞こえ、自警団より先行してその方向に向かうと、そこは血と肉片と不快な臭いに満ちていた。
犠牲者の一人はクナイで大木に磔にされたうえ、胸からおびただしい血を出して死んでいた。凄惨な光景の中に立つ一人の女の姿。闇をまとう妖怪。ルーミア!

「お前が殺したのか」
「そうだ」
「どうして?」
「妖怪に人を喰う理由を聞くのか? 傭兵に闘う理由を聞くのか?」
「柘榴村の    を知っているか」
「ああ、あの弾幕使いか?」
「そうだ、お前が殺した少女だ」

護符を握りしめ、霊力を注ぐ。
凄惨な修羅場を見たと言うのに、恐怖を喜びの感情が上回っている。

「あははははは、やっとお前を殺せる」
「復讐か、想い人の仇を討つがいい」 奴は泰然として言い放つ。
「死ねええっ」

数連射の弾幕をルーミアに向けて撃つ。
ルーミアは一回転して宙に舞う。そこに分裂マジックミサイルをばらまいた。
だが、奴の身の回りに漂う黒い靄にミサイルが吸い込まれた。

「この程度で私を退治するなんて言うつもり?」

そう言うと、スペルカードを宣言した。
奴を中心とした弾幕の渦が、木々や死体を吹き飛ばしながら迫る。
力の差を感じる。だが向かっていくしかない。
こいつのせいで平和な日常が。

「ルーミアぁ!」

僕は弾幕をかいくぐり、分裂マジックミサイルを狙いを定めず連射しながら奴に迫る。
剣を抜き、もう少しで奴に届くと言うその時になって、姿が消えた。

「どこだ、勝負しろ、殺してやる! 糞妖怪がぁっ」

「私を追っているらしいな」 突如背後で声がした。
 
咄嗟に剣を振り回すが、空を切るだけだった。

「今の君では、私を退治することなど不可能だ」
「待て、逃げるのか?」
「怒りにまかせて突貫するだけでは勝てないよ」

 そう言って奴は、靄のような暗闇を身にまとい、どこかへ消えた。
 自警団と霊夢さんが心配そうな顔で走ってくる。
 奴を倒せなかった。

「畜生、畜生、畜生!」

僕は両手を握りしめて、呪詛の言葉を吐き続けた。
 愛する者を殺されれば自分はどう感じるか?
 仮に復讐を決意したとして、相手にとどめを刺すときに、相手の親しい人間に泣いて懇願されたらどう思うだろうか?
 そんな事を考えることがあります。
 個人的に、少年がルーミアを殺してこれでスカッとした、で終わりにしたくないですが、かと言ってあっさり赦してしまうのも批判を受けるかもしれません、だいたいの結末は考えてありますが、着地点をどうするかで悩みました。
 もし読んでなにがしかの暇つぶしにでもなれば幸いです。

 煉獄様へ

 読んでいただいてありがとうございます。
 4話目はすでにできていますが、(共感を得られるかはともかく)まさに彼が苦悩し、何らかの答えを見出す展開になっております。ご期待下さい。
とらねこ
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コメント



0.190簡易評価
3.80煉獄削除
私としては復讐してスカっとして終わるよりは散々苦悩して何らかの行動に移す
ほうが好ましいかな?と思ったりします。
殺すにせよ、殺さないにせよ、少年には迷って悩んで苦しんでほしいところですね。
次回も楽しみにしています。
7.無評価リック削除
少年が殺されるというのも十分にありえるでしょう。世の中気持ちだけではなにもかわらないし、絶対的な力の差をうめることもできません
8.50猫翔削除
その自作自演だと相手が人間の弾幕使いで勝てない強さだったら…
どんな結末になるか楽しみにしてます。
10.50名前が無い程度の能力削除
ウィンディ…いえ、何でもありません