Coolier - 新生・東方創想話

魔法使いとトナカイ

2008/12/21 17:40:54
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がたんごとん、という音と共にホコリを被った貴重な道具たちが床に転がり落ちていく。
それと同時に空気に一種の不快な臭いを伴うけむたさが立ちこめるのだが、
今の霧雨魔理沙にとっては些事のようである。
安全のためだと言って店主がストーブを切っているために、倉庫の中はとても寒い。
しかし、一種の冷暗所のような過酷な状況下におかれているにも関わらず、彼女の頬には汗が伝っていた。

かれこれ二時間である。
重い商品(店主は売るつもりなど毛頭無いが)をひっくり返し続けるという労働を続けていては、
体が熱を持ってしまっても不思議ではない。
しかし、と店主――即ち森近霖之助は思う。
魔理沙の体力は無尽蔵ではない。
いくら熱が生産されようとも手先などの末端はそれとは無関係に冷えるものだし、
それに伴い、当然彼女のエネルギーは奪われていく。
今でこそ焦りに任せて作業に没頭しているようだが、この酷寒に身を震わせるのも時間の問題だろう。

無論、彼女がそう気が付いた時には手遅れである。
十中八九、翌日には風邪をこじらせてしまう。
それならばこの無策を叱るのは自分の役目だと彼は思った。
魔理沙が風邪をこじらせてしまった場合、迷惑を被るのは自分自身なのだから事は深刻である。
霖之助は、ぽん、と魔理沙の肩を叩いた。

「そろそろ止めにしたらどうだい。日が暮れてしまうよ」

魔理沙は勢いよく顔を上げた。
今にも食ってかかりそうな表情だったのだが、
霖之助に当たるのは筋違いだと思い直し、彼女は恥ずかしそうに頬を掻いた。
ぽん、と何に使うのか判然としない鉄の塊を叩いて魔理沙は苦く笑う。

「あと三十分だけ待っててくれよ」

三十分とは大きく出たものだな、と霖之助は魔理沙と同じく苦笑する。
かれこれ二時間、彼は魔理沙の暴挙に付き合ってここに棒立ちになっているのである。
あと五分、ならまだ可愛げもあるというものだが、三十分とはこれ如何に。

「構わないが、延長するようだと首根っこを引っ張って外に放り出す羽目になるからな」
「ふふん。まるで私が猫か何かみたいじゃないか」
「猫の方がまだ従順だ。餌を用意したとたんにすり寄ってくる、という単純さが実に良い」
「私は餌が無くても寄ってくるぜ」
「尚更たちが悪い。寄るなと言っているのだ僕は」
「やれやれだぜ」

やれやれと言いたいのはこちらの方なのだが、という言葉を霖之助はすんでの所で飲み込んだ。
この少女と喧嘩をしてものれんに腕押し糠に釘であることを彼は身にしみて理解していた。
ある程度要求を呑み、妥協させる。
これが魔理沙の手綱を握る最良の手だった。
握った所で振り切られることもままあるのだが、その時は仕方がないと諦めるほか無いだろう。

「まあ、それはともかくとしてだ」

今度は何の類の説教だ、とにやにや人の悪い笑顔と共に魔理沙は上目遣いに霖之助を見やり、次の言葉を待つ。
相も変わらず人の精神を逆なでするような表情だと思うが、
そのような枝葉末節を気にしていては香霖堂の店主は務まらない。

「なに、大した事ではないよ。
君がいつも通り間の抜けた表情で店に入って来たかと思うと
許可も得ずにずかずかと倉庫に入って品物を切り崩しはじめたからね。
全く、珍しく手みやげを持ってきてくれたかと思えばこれだ。
どうせ大した中身ではないんだろうが……。
まあ、来る三十分後の説教の前に言い訳くらい聞くから言ってみるといい」

なんだ、そんな事かと魔理沙は笑った。
何故だかとても得意げそうでもあり、そして少しだけ気恥ずかしそうな表情でもあった。
魔理沙にしては珍しい顔である。

「いや、まあもしかしたら香霖は捨てちゃったのかも知れないけどさ――」

がたり。
頭上で何か物音がした。
何、上方には大した物は置いてはいない。
霖之助はそう思い、気にもとめなかったのだが、
対する魔理沙はぎょっとして語るのを止め、
霖之助の位置からは見ることの出来ない、棚の上で揺れる古めかしい道具を凝視した。

彼女の視線の中で、古めかしい重量感のあるミシンが、大きく揺らいだ。
はらり、とホコリが小さく舞って、そしてその凶器は自らを安置させていた台座を離れる。
魔理沙が駆け寄ろうとするよりも尚早く、
その重量感溢れる道具が脳天を打ち、鈍い音を伴って霖之助は膝を折った。
そして、彼は受け身を取ることもなく、そのまま顔面から地面に崩れ落ちる。
ごんっ、と何かが地面に落ちる音、そして自分の視界が赤く染まったこと、
魔理沙がらしくない大声を上げたこと。
その三つが、霖之助の脳裏を過ぎった最後の感覚だった――























「見つけたぁっ!!」

幼い、聞き慣れた声にはっとして霖之助は顔を上げた。
どんどんどんどん、とどこか遠くで太鼓を叩く音が聞こえる。
魔理沙だ、と彼は思った。
自分がこの声を聞き間違えるはずがない。
何年も何年もこの声を聞いてきたのだから。
腰の辺りに響く弱々しい抱擁の鈍い感覚に思わず笑みがこぼれる。
霖之助はゆっくりと視線を下に移し、彼女の小さな頭に手を置いた。
ふわふわとした感覚に手が埋まってしまいそうな気がして、
――そして、彼は我に返った。

「……どこだ、ここは」

ヤレヤレ、ハイハイ、と囃子の声が白々しく響く。
空を見やればあちこちに提灯がぶら下がり、辺りは子供も大人も楽しそうに行き交っている。
中有の道か、と一瞬そのような事を考えたがどうやらそれは誤りのようだ。
ここは見知った人里である。
不気味だ、と彼は思った。
心底不気味だと、そう思った。

前から後ろから、談笑しながら人が行き来する。
祭りがあるなどという話は聞いていない。
確かに今日は十二月二十五日、即ちクリスマスの日に相違ないが、それが幻想郷において何の意味を持つであろう。
ここの住人はお祭り騒ぎが大好きではあるが、しかし熱が冷めるのもまた驚くほど早い。
基督の誕生日だ、聖なる日だとドンチャン騒ぎした時も確かにあった。
しかし、それも小さな騒ぎばかりだったはずだ。
今でも紅魔館などでは何かにつけてお祭り騒ぎをする事があるし、
寺子屋でもそういう目出度い日はちょっとしたパーティを開くのだそうだが、
このように里を挙げての祭りを行ったのはうんと昔のあの時だけである。

霖之助は視線を自分の腰に抱きついている少女に移した。
ん、と小首を傾げて彼女はこちらを見上げてくる。
幼い魔理沙。
幼い微笑。
この意味不明の光景を見ていると、昔のことが思い出されて困る。

霖之助は苦々しく溜息を吐いた。
ずっとずっと昔、クリスマスだなんだと酔った誰かが騒ぎ立て、
それに乗った里の人間たちがわずか数日で準備して、挙行し、そして大騒ぎしたとある祭。
クリスマス祭りだとかなんとかという名だったと彼は記憶している。
あの祭りは、最悪だった。
霖之助は今もその事を忌々しく思い出すことがある。

そもそもあの時人里に来たのが間違いだったのだ。
それとも、これは一体何の騒ぎだと見て回っているうちに、
俯いている魔理沙を見つけてしまい、声をかけてしまったのが誤りだったのだろうか。
声を掛けると、祭りがあるのだが一人では危ないから家に居なさいと言われたという旨の事を魔理沙は言った。
たしかにこれだけ楽しそうなお祭りの最中にそれではあまりに不憫である。
そう思った霖之助は彼女の父親に直談判して、魔理沙の保護者代理として祭りに連れて行く許可をもらった。

そこまでは、良かったのだ。
しかし、それからが彼の予想をはるかに超えていた。

誕生だ、神の日だ、悔い改めよ、神の国は近づいた!

外では酔ったように人々は踊り周り、狂乱の極致であった。
霖之助の油断もあってか、その人混みの中で、あっという間に魔理沙と彼は引き離されて、
そして霖之助は祭りが終わるまでの長い長い時間を小さな少女を捜すことだけに費やしたのだ。
寒かった。手など凍り付くかと思った。
こんな事なら魔理沙など無視していれば良かったと、今でも心底後悔する。

そうやって昔の事を思い出すくらいには、霖之助の頭は冷静さを取り戻していた。
自分が先程まで香霖堂に居たことも、魔理沙の不注意が原因で落ちてきた何かに頭をぶつけて倒れたことも、思い出していた。
とうの昔に彼はこの状況を夢か妖怪の仕業だと、そう断定していた。
しかし、夢であれ何であれ、不愉快であることには違いない。
あの時の魔理沙の顔を思い出すと、悪いことをしたと、本当にそう思う。
あの子は、数時間経ったあと、自分が見つけた時、嫌な顔一つしなかったのだ。
そして、とても嬉しそうな顔で、お土産まで渡してくれた。

ずっと待っていたのだろう。
信じて待っていてくれたのだろう。

祭りはとうの昔に終わり、
誰も居ない道の真ん中に、ぽつんと一人で立っていたあの子は、自分を見つけた時に小さく笑ってくれたのだ。
まるで、来るのが当たり前だというように。
全然淋しくなんてなかったと言いたげに。
お祭りだって楽しめなかっただろうに、本当に嬉しそうに笑って、自分の手をまたとってくれたのだ。
見下ろすと、小さな魔理沙が本当に楽しそうにまとわりついてくる。
時折、その小さな足で霖之助の靴を踏みながら、からからと笑っている。

ちくりと小さく、棘のようなものが胸を刺すのを感じた。
しょせんは夢の中のことである。
このままこの少女を引きはがしても良いし、なんなら蹴り倒しても何の問題も無いだろう。
香霖堂に帰ってしまってもいい。

しかし、霖之助にはそれができなかった。
たかが夢、そう理性は断定していても、この魔理沙を見ていると、どうしても思ってしまうのだ。
あの日の夜の、あのクリスマスのやり直しをしたい、と。
誰にでも失敗はある。
霊夢にも、魔理沙にも、あの古い妖怪少女ですら大失敗を犯してしまったことがある。
霖之助にしてみてもそれは同じだ。
自信を持って日々を生きてはいるが、何の間違いも犯していないとは思わない。

彼が犯した大きな失敗の一つが、即ちこれであった。
魔理沙に対して今でも強気に出ることの出来ない理由は多々(主に魔理沙のがらくたを不当な値段で買っていること)あるが、
その理由の一つにこれが無いと言い切ることは出来ない。
あの子に対して引け目を感じるのは霖之助にしても癪である。

本当ならば霊夢と同じように適当に扱ってしまって構わないのだ。
魔理沙と霊夢は、同じように可愛らしくて、そして面倒くさい。
同等に扱ってしかるべきである。
だがやはり、魔理沙を尊重している自分に霖之助は気づいていた。
魔理沙を霊夢より好いている訳ではない。
ただ単に、負い目やしがらみがあるがためにどうしても甘く見てしまう。
霊夢自身はその事をどうとでも思ってはいないが、
魔理沙はその特別扱いをいやがっている事を彼自身、薄々気が付いていた。

言外に、何度もそういった扱いを止めるようにと彼女は言うのだが、
そうそう簡単に無意識下の行動を制御できるはずもなく、今に至るというわけだ。
ならば丁度良い、と霖之助は思う。

あの時と同じ雪の夜。
あの時と同じ囃子。
あの時と何一つ変わっていない自分。

そして唯一違うのが、まだ魔理沙が自分にしがみついているという事実だ。
あつらえたように素晴らしい状況の一致だ。
それならこの状況を自分の有利になるように利用するべきだ、と霖之助は思う。
あの泥棒に等しい少女に対して感じている、無意味極まりない罪悪感をここで解消してしまおう。
それがいい、と彼は思う。
第一、あれだけ魔理沙によくしてやっているのだ、罪悪感を感じる事など間違っている――。

結局霖之助は、自分の温かな後悔を似非理論武装で自分自身からも隠し、
魔理沙の頭を一、二回乱暴に撫でてから笑みを浮かべた。

「さて、どこに行こうか。お姫様の言うとおりにしてあげよう」

茶化したように言うと、今の魔理沙ならば顔を真っ赤にして怒り出しそうなものだが、
この魔理沙は可愛らしいもので、にっこりと満面の笑顔を浮かべて、大きく頷いた。
出発進行っ、と元気よくはしゃぐ魔理沙の手を、霖之助はしっかりと握りしめた。
今度は絶対に、離してしまわないように。
















結局手をつないでいるだけではあの時の二の舞だと霖之助はすぐに気が付いた。
やはりこの日の狂乱は常軌を逸している。
そういえばプリズムリバーの次女が来ていたという話を後日天狗の少女から聞いたような気がする。
どうせならば長女を呼んでくるべきであろう、と霖之助はそんな事を思いながら、声をかける。

「寒くないかい?」

「大丈夫、大丈夫!」

彼が思いついた最良の手段、それは肩車だった。
外見は華奢ではあるが一応人妖である霖之助は並大抵の衝撃で歩調に揺らぎを来すことはない。
反対に、小さな魔理沙はちょっとしたことではじき飛ばされてしまうし、
そしてなにより大人たちの身長が壁になって祭りを楽しむことが出来ない。
それならば、と霖之助は彼女を担いでしまうことにしたのだ。

「綿飴を二つ頼む」

魔理沙が林檎飴を食べ尽くしてしまったのを見計らったように、
霖之助は暇そうにしている中年の女性に声を掛けた。
あら、と彼女は驚いたような顔をして霖之助と魔理沙を見、そしてにんまりと笑った。

「あら、よかったわあ。見つかったのねえ。
珍しく霖之助さんが大声で叫びながら走り回ってたものだから、みんな心配していたのよ」

「それは、どうも」

霖之助は魔理沙がそこにいるために、首だけを小さく動かして会釈とした。
この祭りの後から、里の人間が妙に温かい目で自分を見るようになった理由を霖之助はようやく理解した。
ポーカーフェイスを崩すほど焦っていたとは自分でも思っていなかっただけに新鮮な驚きである。

「魔理沙ちゃんも、霖之助さんに見つけてもらって良かったねえ」

「すぐに来てくれたんだ。こいつはやっぱり頼りになるっ!」

あらそう、それはいい男ねえ、などとくすくす笑いながら女性は魔理沙に綿飴を渡した。
随分と大きな綿飴だった。どう見てもサービスである。
代金を支払おうと思い、霖之助が財布に手を伸ばそうとすると、女性はこら、と彼の腕をぴしゃりと叩いた。

「今手を離して、魔理沙ちゃんが転げ落ちちゃったらどうするのよ。馬鹿ねえ」

「や、しかし……」

曖昧な顔をする霖之助に、相変わらず無粋な人ねえ、と女性は大きく笑った。

「いいのよいいのよそーんな事! ほらっ、行きなさいっ!」

いや、しかし、と尚も言おうとする霖之助だがこのまま突っ立っていては通行の邪魔である。
結局流されるままにその店を離れ、ふらふらとまた狂気の中を歩き回ることになってしまった。

基督だ! 復活だ! 聖祭だ!

クリスマスの事を分かっているのかいないのか、とりあえずも里は活気づいている。
やれやれ、と霖之助は大きく溜息を吐いた。
これで何件目だろうか。
今のところ、霖之助は一度も財布を取り出していないのである。
里の人間の温かさ、柔らかさに今一度触れ、少しだけ懐かしい思いがした。
それは、香霖堂にこもっていてはなかなか味わうことのない類の温かさだった。

「魔理沙、明日になったらちゃんとおじさんおばさんにお礼を言っておいてくれよ」

「んむ」

綿飴をほっぺたにたくさん付けたままで魔理沙は大きく頷いた。
明日になったら絶対に忘れてしまうのだろうな、と霖之助は思う。
お菓子やさん、おもちゃ屋さんなどは、
これもくれてやる、これもおまけだ、と本当に優しくしてくれる。

だがしかし、つまみや酒を出している屋台は霖之助を決して近づかせようとはしなかった。
酔った体で魔理沙ちゃんを扱うんじゃねぇぞ、という男たちの酒臭い脅しが聞こえてきそうである。
霖之助は苦笑を零し、なおも歩く。

あんまりにも里の皆からのプレゼントが多いので、今では魔理沙と共に巨大な布の袋まで背負って歩く羽目になってしまっていた。
その無防備な体勢を見て、普通ならばこっそり何か盗んでやろうという輩が出てくるものだが、
むしろそれとは逆にこっそり玩具やらお菓子やらを放り込んでいく者達が後を絶たず、彼は大きく溜息を吐いた。
これで赤い帽子と衣装に身を包めば立派なサンタクロースのできあがりだ。
但し、その玩具とお菓子は全て魔理沙に配られる事になるのだが。

魔理沙専用サンタクロース。

まったく、この頃からハチャメチャな子だな、と霖之助は笑った。
射的やクイズ大会なども行われ、祭りはまさに大盛況といった有様だった。
黒々とした衣装に身を包み、
互いに弾丸を放ち、最早五円玉ほどの大きさの的を射抜く二人は、間違いなく八雲紫と風見幽香である。
あの圧倒的威圧感を持つ化け物と、他に類を見ない胡散臭さを持つ妖怪を彼は他に知らない。
しかし、人里に出てそのような遊びに興じるとは、二人とも余程暇なのだろう。
決闘でもすれば良かろうに、とも思ったが、そういえばこの時代にはスペルカードルールは無かったのだと彼はしみじみと思う。
今では常識であるだけに、ああやって銃を片手に真剣な表情をする二人を見ていると笑いがこみ上げてくる。

「知り合い?」

魔理沙が不思議そうに尋ねてくるので、霖之助は腹がよじれてしまいそうなくらい可笑しいのをなんとかこらえて答える。

「そうだね、知り合いだ」

ふうん、と不思議そうに魔理沙が視線を動かしているのを感じた。
勝負がついたのか、それとも逆に付かなかったのか、黒衣の二人はばさりと大げさな音を立ててその場から消え去った。
一人は雪の華と共に夜空に舞い上がり、もう一人は空間に開いた気味の悪い穴に身を滑り込ませて。

妖怪だ、今の二人は妖怪だったぞ! 

やいのやいのと里の人間が騒ぎ出す。もちろん皆楽しげな笑顔だ。
その気になれば幻想郷を丸ごと消し飛ばしかねない大妖怪が二人現れたところで、
この祭りにはなんら影響を及ぼさなかったようだ。
基督の守りはそこまでのものなのか、と霖之助は感心した。
今度魔理沙が店に来た時には基督のありがたい言葉をミニ八卦炉に刻みつけるのもいいかも知れない。
彼女は多分怒るだろうが、それはそれで面白そうである。

ぎゃあぎゃあと、わいわいと、この突発的な大騒ぎはいつまでもいつまでも続くものだとばかり思われた。
酔っぱらいは踊り狂い、子供たちは爆竹を鳴らす。
ただ、そんな愉快なクリスマスにも終わりは来る。
魔法で彩られた照明は次々に消え、あちこちの店が後かたづけを始めだしたのがちらほらと目に入ってくるようになった。
思えば人の往来もぐっと少なくなったような気がする。
広い広い通りに、五、六人が興奮の余韻から抜け出せないように熱っぽく語り合っているだけだ。

「そろそろ、降りてもいいかもしれないな。
最後は自分の足で楽しみたいだろう?」

肩の上の魔理沙にそう尋ねると、彼女は嬉しそうに僕の頭を二回叩いた。
早くしろ、ということだろうか。
霖之助はほほえましさを感じながら、腰をかがめて魔理沙を下ろした。
そして、大きな袋をもう一度担ぎ直し、歩き出す。
魔理沙は霖之助の空いた手を強く握った。
子供の体温はとても温かくて、少しだけ体が冷えていた霖之助にはそれが何とも言えず心地よかった。
空を見上げて、霖之助はふむ、と大きな息を吐いた。

「綺麗な月だ」

魔理沙はきょとんと首を傾げた。

「星じゃなくて?」

そんな彼女の言葉に、思わず霖之助はふきだしてしまった。

「そうだね。星が綺麗だ」

そう訂正すると、魔理沙は嬉しそうに頷いた。
どんどん、という太鼓の音もいつの間にか聞こえなくなっていた。
囃子の声も、人の往来も。
やはり祭りというのは終わってしまうと淋しいものである。
しかし、魔理沙はそんな事には目もくれずにからからと楽しそうにあちこちに目をやる。
この子が楽しいならばそれでいいのかも知れない。
そうやってふらふらと目的もなく歩き続けていると、小さな小さな店を見つけた。
机と、椅子と、老婆が一人。
剥き出しの傷だらけの机には、丸いボールのようなものがいくつも置いてある。
あるものは緑、あるものは赤、あるものは黄色だ。
僕と魔理沙はそれを同時に見て、そして同時に足を止めた。

恐らく誰もこの店には目を向けなかったのだろう、売れている様子は無かった。
あの大騒ぎの中でこんなにも目立たない店が潰されなかっただけ幸運なのかも知れない。
僕は声を掛けるのを躊躇してしまったのだが、魔理沙はすぐに飛び出して彼女に声を掛けた。

「この店って何売ってるんだっ?」

この頃の魔理沙はこんなに腕白だっただろうか、と霖之助は首を捻る。
もっと可愛らしかった気がしたのだが、もしかしたら記憶の中で美化し過ぎていたのかも知れない。
どちらでも構わないか、と思い直して霖之助も中腰になって商品を見やった。
直立不動では、どうしても老婆を見下ろす姿勢になってしまうからだ。
彼女はふぇっ、ふぇっ、ふぇっ、としわがれた声で笑い、そして落ちくぼんだ目で魔理沙を見やる。

「何が売っているのか見事当てる事が出来れば、売ってやってもいいぞえ」

むむっ、と魔理沙はとたんに難しい顔になって商品を見やった。
面白い老婆だと霖之助は思った。
さぞ名のある商人なのだろう、とも。
寡聞にしてこの人の存在は知らないが、同じ商人として伝わってくるものがある。
夢だとは、思えないくらいに。
魔理沙はボールの一つを手にとって、そして老婆を指さした。

「ボールだぜ!」

老婆と霖之助は、同時に笑い、そして不正解、と言った。
魔理沙はきょとんとした後で、その指を下げ、そしてボールを机に置き、

「どう見てもボールじゃないか……」

とむくれて言った。さぞ欲しかったに違いない。
老婆は霖之助を見て、やはり同じように挑戦的な目をして尋ねた。

「では、あんたにゃこれが何だか分かるかい?」

霖之助は、小馬鹿にしたような笑みを浮かべて、ボールの一つを手に取った。
幾重にも幾重にも、丁寧に魔法がかけられている。
とても簡単な魔法だ。
しかし、良い商品が出来上がるように、という思いやりの心がこもっている。
この商品には誇りがこもっていた。
だからこそ、ただ手に取るだけで、この商品の正体が分かる。

「タイムカプセル」

霖之助は静かに言った。
老婆は驚いたように目を見開いた。
もう一度、霖之助は繰り返した。

「このボールの名は、タイムカプセル、という。
中の物を長い間保存する目的で使うようだね。
これの中身は空っぽのようだが」

霖之助が言い終わった後、老婆も彼も一切言葉を発さなかった。
雪がひらりと舞って、そして魔理沙が口を開いた。

「……正解?」

不安そうな声に、二人の商人の緊張の糸は、ぷつんと切れた。
ふぇっ、ふぇっ、ふぇっ、と老婆は笑い、
やれやれだ、と霖之助は溜息を吐いた。

「正解も正解、大正解じゃ。
まさか名前まで当ててくるとはのぉ。
大した若造じゃ。末は大商人かのう?」

その通り、と霖之助は一切気後れすることなく答えた。

「まあ、道具を愛する心があるのならば名称程度分かって当然だと思うがね」

いいねえ、と老婆は笑う。
しかし、この人は商売をする気がないのだろうか。
この幻想郷において商人として大成している人間は自分を頂点として五指に満たないと霖之助は考えている。
その五指に満たない者達だけに、この商品を売ろうとの心づもりだったのだろうか。
恐らくそれは違う、と彼は思った。
ただ単にそういう話題を振ってきただけなのだろうと。
そのような意地の悪い人には見えない。
それで、と老婆は笑う。

「あんたたち二人は見事にこのタイムカプセルを買う権利を手に入れた訳じゃが……どうするね?」

ふむ、と霖之助は息を吐いた。
興味がないと言えば嘘になる。
今のところ、驚くべき事に出費は零だ。
ここで大散財しても何ら影響はないだろう。
そう思い、頷いた。

「買おうかな」

僕が灰色のボールを手に取ると、そうかい、そうかい、と老婆は頷き、続いてむくれている魔理沙に声を掛けた。

「お嬢ちゃんはどうするね?」

魔理沙は、俯いていた顔を上げた。
口をへの字にしたまま、拗ねた口調で彼女は言う。

「売ってくれないんじゃなかったのかよ」

ふふん、と老婆は顔をしわくちゃにして笑った。

「気が変わったのさ。この見事な青年のおかげだよ? 良かったねぇ」

どうでもいいぜ、などと言いながら、魔理沙は目を輝かせてボールの山を見つめる。
本当に楽しそうだな、と霖之助は思った。
思えば、この子が自分で自分の欲しい物を選ぶのはこれが初めてだ。
気分が高揚するのも当然である。
良いことをしてやれたな、と霖之助は思った。

「でもいいのかい?」

老婆は意地悪な顔をして言う。

「このタイムカプセルはねえ、中身を入れてからすぐに空けることは絶対に、誰にも出来ないんだ。
少なくとも、十年かそこらは待たないと駄目だねえ。
それに、十年間、カプセルを開く秘密の合言葉を覚えておかないといけないよ?
忘れちゃあ、ただのボールだ。それでも買うのかい?」

もちろん、と魔理沙は言って、一つのボールを手に取った。
やはり、星の柄のついたものだった。
老女と霖之助は顔を見合わせ、小さく笑った。
そして代金を言い値で支払い、霖之助と魔理沙はぺこりと頭を下げた。
そうして二人が歩き出そうとしたので、

「ほれほれ、ちょいと待ちなさい」

と老女が少しだけ慌てた声で二人を呼び止めた。
なんだろう、と霖之助と魔理沙は首を傾げる。
対する老婆は、しょうがない奴だねえ、と呆れた溜息を吐いて、霖之助を骨張った指で指した。

「さっき言っただろうにねえ、中身が入ってないってさ。
この子のカプセルに中身を入れてやるからあんたはどっかに行って時間を潰しなさい」

ああそうか、と霖之助は苦笑した。空っぽのカプセルに意味はない。
魔理沙はそんな老婆の言葉を聞いて、文句を垂れていた。

「私が入れたい物を入れるぜ」

怒ったような彼女の言葉に、はいはいと弱々しい声で店主は笑う。

「しょうがない子だねえ……あんたの入れたい物を何でも入れてやろうと言ってるのさ。何でも、ね」

最後の含みを持たせた言葉に、本当か、と魔理沙は目を輝かせた。
現金な子である。
だがしかし、と霖之助は首を傾げた。

「店主。それならば僕がここから離れる理由が分からないのだが」

無粋な男だねえ、と彼女は溜息を吐き、
何にしようか必死で考えている魔理沙を見て、それから再び霖之助を見上げた。

「朴念仁はこれだからいかんねえ。いいからどっかに行ってなさいな。ほれ、ほれ」

席を立って曲がった腰で背中を押されるので、
流石の霖之助もそれ以上抵抗することが出来ず、なすがままに、一人、通りに待たされる事となった。





















やっと完成した。
老婆にお礼を言って、魔理沙は満面の笑みで、霖之助の持っていた袋を引きずって駆けだした。
手に持っているタイムカプセルは、買った時に比べてずっしりと重い。
今日は本当に楽しかった。
父親から外出を禁じられた時は泣きたい気分だったけれど、今ではそんなことすらどうでもいい。
おじちゃんも、おばちゃんも、そしておばあさんも、みんなみんな優しかった。
みんながプレゼントをくれた。

クリスマスにはサンタクロースという妖怪がやってきて、プレゼントをくれるそうだけれど、
それなら今日は幻想郷そのものがサンタクロースだったんだな、と魔理沙は思った。
それとも、幻想郷のみんなが今日だけサンタクロースに変身したのだろうか。
くすり、と魔理沙は小さく笑った。

だとしたら、自分だってサンタクロースだ。
ずっとずっと自分を背負ってくれていた哀れなトナカイにプレゼントをしてやったって良いだろう。
喜んでくれるだろうか。
あの仏頂面はどんな笑顔に変わるだろうか。
魔理沙はぎゅっとボールを握りしめた。
想像すると、楽しみで楽しみで仕方がなかった。

そして、通りを曲がる。
この先に、霖之助が待っている約束だった。
だけれど。

「……あれ?」

閑散とした通り。
お菓子のかすや、酒の瓶が無造作に転がっている。
あちこちにぶらさがっていた提灯の明かりは、今は無い。
店だって、全て閉じてしまっていて、周りには誰も、いやしない。
誰も居ないのだ。
いや、そんな筈はない!
慌てて後ろを見た。
もう一回前を見た。
上も、右も、左も、全部見た。
だけど、居なかった。
霖之助は居なかった。

一瞬、ほんの一瞬だけ魔理沙は不安に思った。
霖之助は愛想を尽かして帰っていってしまったんじゃないか、と。
思えば彼はずっと自分を背負いっぱなしで、全然楽しんでいなかった。
お酒だって飲みたかっただろう。
久しぶりに会った知り合いたちと話したいこともあっただろう。
でも、その時間を霖之助は自分に割いた。
怒ってしまっても不思議ではない。
帰ってしまっても不思議ではない。
一瞬だけ、そう思った。

だけれど、それは本当に一瞬だけで、魔理沙はすぐにぶんぶんと顔を左右に振った。
霖之助はそんな奴じゃないことを、魔理沙はよく知っていた。
確かに性格は良くない。
意地悪だし、情け容赦ないし、自分が一番だといつも思っている。
構って欲しい時に、面倒だと放り出された事だって何度もある。
それでもだ。
魔理沙は思い出す。
泣いている時や、本当に淋しい時に彼が自分の手を離したことは一度だって無かった。
霖之助だって魔法使いではない。
泣いている時に側にいてくれない事は何度もあったが、
それでも側に居る時は慰めてくれた。
不器用な言葉であやしてくれた。
ならば、帰ってくる。
今はちょっと用事があるだけだ。
そうに違いない。

――果たして、魔理沙の予測は正しかった。
顔を真っ赤にして、肩で息をしながら、霖之助が現れたのだ。
ぜえぜえ、はあはあ、というような生やさしい状態ではない。
ひゅう、ひゅう、という音と共に、時々何度も咳き込みながら、
それでも、右手で心臓をおさえて、泣きそうな笑顔で、霖之助は魔理沙を見やった。

「やっと、見つけた……」

その言葉と共に、げほ、ごほ、と何度も彼は咳き込んだ。
ここで待っていると約束したはずなのに、何を大げさな、と魔理沙は笑ってしまいそうだった。
そうか、と彼女はここで理解する。
霖之助はきっと忘れてしまったのだ。
ここで待ち合わせだということを忘れてしまって、あちこち走り回っていたのだ、と。
馬鹿だなあとは思うが、今日はそれを苛めるのは止めておこうと思う。
精一杯自分の為に色々してくれたし、今はそれ以上にやらなければならないことがあるのだ。
霖之助は、ふらふらとこっちに歩いてきて、それでも、何と声を掛けたらいいのか分からない様子で、立ちすくんでいた。

不思議なことに、すごく傷ついた様子だった。
こんな霖之助を、魔理沙は見たことがなかった。本当に大げさなやつだと思った。

「やい!」

だから、魔理沙は元気の良い声を出して、霖之助の膝をばんばんと叩いた。
彼ははてな、と首を傾げた後で、いつものように中腰になってくれた。

「そんなに辛気くさい顔してたら春はいつまでもやってこないぞ!」

霖之助はそんな冗談を聞いて、ようやく少しだけ表情を緩めたようだった。
ああ、済まないね、といういつも通りの彼の声を聞いて、魔理沙は安心したのかうんうんと二度頷いた。
そして、ぎゅっと、霖之助の手を握りしめた。
タイムカプセルを持っている手だ。

「これは?」

霖之助がうろたえたように尋ねると、魔理沙は勝ち気な笑顔で彼を見上げる。

「プレゼントだぜ。お疲れ様なおまえに私からのプレゼント」

それを聞いた彼は、とても不思議な表情をした。
嬉しそうな、それでいて申し訳なさそうな、そんな顔だった。
それでもやっぱり、うれしさが勝っているのが見て取れたので、魔理沙は満足だった。
二人は手を取り合ったまま並んで歩き出した。

「済まない」

霖之助はぽつり、とそう言ったが、魔理沙はそれを笑って打ち消した。
まったく、ちょっと待たせたくらいでこいつは何をそんなにしょげているのだろうか、と。
ばむばむと、彼の背中を叩いてやりたかったが、まだ手を繋いだままなのでそれは出来ない。
だから、少し恥ずかしいけれど言葉で伝えるしか無さそうだった。
明後日の方向を向いて、魔理沙は言った。

「今日は本当に楽しかったんだから謝る必要なんてないぜ!」

それでもやはり、沈んだ面持ちの霖之助を見て、なんだ、弱気な奴だなあ、と魔理沙は大笑いした。
きっと森にずっと居たからさびしがりやになってしまったんだろう。
今日は泊めてやるのもいいかもしれない。
そしたら、夜の間ずっと頭を撫でてやろう。
森に帰っても淋しくないように。
そうだな、それがいい。
魔理沙はくすくすと笑い、霖之助は、不思議そうにそれを見下ろしていた。


























目を開いた時に、彼が最初に聞いたのは、時計が零時を告げる音だった。
部屋にはまだ明かりが点っており、そしてストーブに火がついたままなのか、温かだった。
ずきん、ずきん、と痛む頭をおさえ、脇を見やると、正座したままこちらを見下ろす魔理沙の姿が目に入った。
少しだけ目が赤い。もしかしたら泣いていたのかも知れないし、ただ眠かっただけなのかもしれない。

「やっと起きたのか。やれやれだぜ」

魔理沙は嬉しそうな、それでいてちょっと困ったような口調で、そう言った。
卓袱台の上には、小さなケーキが二つ、置いてある。
星の形をしたチョコレートが乗っているところを見ると、魔理沙の手作りなのだろう。
大した手みやげではないだろうと彼女に言ってしまったことを、霖之助は少しだけ後悔した。
だが、それについては謝る事なく、霖之助は尋ねた。

「それで、探し物は見つかったのかい?」

魔理沙はうむ、と一度大きく頷いた。

「三時間かかったぜ」

そして、くしゅん、とくしゃみを一つ。
夜が明けたら看病だろうな、と霖之助は思った。
魔理沙は少しだけ照れくさそうな顔をして、ポケットからボールを取り出した。
星の印が付いたボールだった。

「ちゃんと捨てないでいてくれたんだな」

捨てるわけがないだろう、と霖之助は呆れた調子で返答した。
当然だ、捨てるはずがない。
あれをもらったせいでどれだけ自分の罪悪感が水増しされたと思っているのだ。
ともあれ、と魔理沙は怒ったように言う。

「せっかく十二月二十五日に蓋を開けてびっくりさせてやろうって思ってたのになあ。
十年温め続けてきた大計画がおじゃんだ」

そうかい、と霖之助は笑う。

「それなら僕も、十年来の計画を失敗してしまったようだから許してくれ」

そう言って、ぽかんとしている魔理沙の目の前で、霖之助は灰色のボールを取り出した。
古ぼけて、所々傷の付いた魔理沙のそれに比べて、霖之助の物は、まるで新品のようにぴかぴかとしていた。

「君にだよ、魔理沙」

そう言って、あっけにとられる彼女の手に、カプセルを握らせた。
中身はちゃんと入れてある。
対する魔理沙も、我に返ったのか、

「ええと……」

と珍しいことに可愛らしく言いよどんだ後で、霖之助の手に星のカプセルを押しつけた。

「返すぜ。それはもう香霖のだからな」

そうかい、と霖之助は苦笑する。照れ屋な所は相変わらずだ。
魔理沙は変わっているようで、昔から何も変わっては居なかった。
二人がやるべきことはもう、一つしかない。
ちょっと遅いパーティのはじまりを告げるのは、クラッカーではないのだから。
二人は、それぞれのタイムカプセルをじっと見つめた。
十年前。
あの老婆の笑みが思い出される。
霖之助は少しだけ目を閉じて、そして開いた。
魔理沙も自分も、どうやら少し緊張しているようだ。
そんなお互いがおかしくて、くすりと笑いが漏れてしまう。
しばらくそうやって笑った後、大事そうに二人はカプセルを一度だけ撫でた。
そしてお互いに、ちらりと目配せした後で、


「メリークリスマス!」


合言葉を述べ、勢いよく蓋を開いた。
クリスマスは小さな頃が一番楽しかった気がします。
友達とわいわいやるよりも、
夜中の零時にわくわくしながらサンタさんを待つのが楽しみで楽しみで仕方がありませんでした。
子供の時には、零時以降に起きているだけで胸が躍ったものです。
そういう気持ちは、いつまでも忘れたくないものです。
やはり、感動とスリルは人生を楽しくするスパイスだと思うのですよ。
いえいえ、スパイスではなく人生そのものかも知れません。
感動とスリルに充ち満ちた人生を送りたいものです。
しかし、穏やかな一生もまた、捨てがたい。
ううむ、悩みどころです。
しかし、何はともあれ十二月二十五日くらいは、楽しみたいものです。
辛いことや苦しいこともあるでしょうが、そんなものは笑い飛ばしてやりましょう。
忘れてはなりません。
私たちには、必殺の呪文があるのです。
それでは、少し早いですが……

メリークリスマス!
与吉
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コメント



0.6460簡易評価
6.100名前が無い程度の能力削除
子供の頃、朝に枕元にプレゼントが置いてあった時の嬉しさはやばかったなぁ・・・・・・。
なんだかんだで魔理沙の事を大事にしてる霖之助さんとちび魔理沙、良かったです!!
9.100名前が無い程度の能力削除
相変わらず和みますなぁ……。
11.100名前が無い程度の能力削除
日常と非日常、どっちもあるから良さも大切さもわかるのだとおもいます。
さて……二人はカプセルに何を詰めたのか……。

最後にあなたにも、メリークリスマス!
14.100名前が無い程度の能力削除
確かにキラキラしていたなぁ、懐かしい。
ともあれ和みました、メリークリスマス
15.無評価名前が無い程度の能力削除
素晴らしい!
小さいころはクリスマスでドキドキしていたものです。
この話を読んで思い出してしまいました。
この二人はお兄さんと歳の離れた妹の様で和みますね。
霖之助は冷めている様で暖かな物を持ってる人ですよね。

メリークリスマス!
16.100名前が無い程度の能力削除
点数忘れたー・・・
19.100名前が無い程度の能力削除
とても綺麗で温かい話でした。
25.70名前が無い程度の能力削除
霖之助の自己評価が幻想郷一の商売人であるらしいことに笑った。
26.100名前が無い程度の能力削除
タイムカプセルか。小学生の頃に埋めて以来忘れてたな
今度にでも掘り起こしてみるかね…

メリークリスマス
29.90リペヤー削除
子どもの頃のイヴ、眠れなくてドキドキしていた事を思い出しました。
いや、魔理沙も霖之助もいい感じ。
ではではみなさん、メリークリスマス!
31.100名前が無い程度の能力削除
やはり与吉さんの香霖はいいなぁ……ものすごく自己評価が高いのに、ものすごく和むのwww


メリー・クリスマス!
39.90名前が無い程度の能力削除
何か途中から過去話がこんがらがって??になってたんだけど
なるほど、老婆と別れるまでが夢を見てる「現在」の霖之助で(ここで霖之助が現在に戻った?)
そこから後に現れた「やっと見つけた」って言ったのがその時ずっと魔理沙を探してた「過去」の霖之助だったのか

ううむ深い…
メリークリスマス!
49.100煉獄削除
いつも読んでますが氏の霖之助はなんとも良い味を出してますね。
魔理沙との関係も微笑ましいです。
こんな過去の話もあったかもしれないですよね……。
私はタイムカプセルとかやったことないけど。
二人にとって今回のクリスマスは楽しいものになるかな?
面白かったですよ。

では、便乗して……メリークリスマス
54.100名前が無い程度の能力削除
やっぱり与吉さんの書く霖之助は良いですねぇ
コレは解消できてもまだまだありそうで結局2人の関係は変わらないまま続いていくんでしょうね

何はともあれ、メリークリスマス!!
62.80名前が無い程度の能力削除
幼魔理沙は小さじ一杯で致死量。
クリスマスは消えて無くなればいいと思っていた気もしたが別にそんな事はなかったぜ!
69.100名前が無い程度の能力削除
タイムカプセルねぇ、小学校の頃に埋めたような
完全に忘れていました。あのタイムカプセルはどうなったのだろうか
しかし与吉さんの作品は本当に和みます。
和みクオリティー最高!
71.100名前が無い程度の能力削除
merry merry christmas!!
72.100名前が無い程度の能力削除
今年のクリスマスは中止のお知らせがきていたが
これでは再開せざるを得ない
77.100名前が無い程度の能力削除
いつものように素晴らしい。

メリークリスマス
83.100名前が無い程度の能力削除
メリークリスマス!
87.100名前が無い程度の能力削除
好きじゃないクリスマスが、少しだけ暖かい物にかわった、すばらしい作品でした!

何はともあれ・・・メリークリスマス!
89.100名前が無い程度の能力削除
年末はクリスマスに大晦日、年明けの正月と、楽しみが一杯です。
子供の頃のあの気持ちを思い出してしんみりしてしまいました。
大人になった今は今で、大人の楽しみがあるんですけどね。
幾つになっても相応の楽しさを見出して生きたいものです。
何はともあれ、メリークリスマス
93.100名前が無い程度の能力削除
いいお話でした。
メリークリスマス!
115.100名前が無い程度の能力削除
過去の霖之助と魔理沙はお互い再会すること、又は離れ離れになったクリスマスをやり直す事ををカプセルに願った。
そして十年後、カプセルを開けたことにより十年前の霖之助と魔理沙は無事に再開する事が出来た…って事なんだろうか…?
考えすぎなんだろうか
ううむ…難解だ…
117.100名前が無い程度の能力削除
すげえよ
文句なし
160.100名前が無い程度の能力削除
素敵な奇跡に乾杯。時期遅れですがーー
メリークリスマス!
161.100うみー削除
すげー