注意!? この作品は、自動車強襲!?(誤字にあらず) 1と2 の続きです。
マウスの誤作動で入った方も、楽しんでいただければ幸いです。
んじゃあ、逝くぜっ!!
10時間目 鍵山 雛の場合
博麗 霊夢が、その事実に気が付いたのは、車の運転免許を取得した後のことだった。
「そう言えば、私、車持って無いじゃない・・・」
運転免許証の意味がねえ。
お金を持っている連中が凄く妬ましい。
何が妬ましいって、そりゃあ、紅いお屋敷とか、冥界のお屋敷とか、竹林のお屋敷とか、山の上の神社とか。
もう、あまりの妬ましさに、水橋 パルスィを神様に祭り上げて妬ましい人専用の宗教でも立ち上げようかしらうふふ・・・。
などと、考え事をしていると。
「あらあら・・・それじゃあ、私を神様に祀ってみない?」
「うん?・・・アンタは」
声の方に振り向くと、そこには・・・。
「ああ、いつぞやの厄神・・・何か用?」
「貴女が厄を撒き散らしているから来てみたのよ・・・だから、その原因解決に」
「お金が無いことと、アンタを祀ることと、関係あるの?」
すると、雛は回転しながら。
「そりゃあそうよぉ・・・何せ私は、ありとあらゆる厄を取り除けるのよぉ?・・・厄っていうのはねぇ、普段の何気ない通り道にもあるの・・・そしてその厄が一定以上溜まるとぉ、何気ない通り道でも色々悪いことが起きちゃうのよねぇ・・・」
「ふうん・・・」
「昔はそうでもなかったけどぉ・・・ほら、今は車とか入って来ちゃってるじゃなぁい?・・・今はそうでもないけどぉ・・・そろそろ起きるわよぉ?、交通事故とか」
「むぅ・・・」
言いたいことは、大体理解できた。
確かに、車というのは、ある意味凶器だ。
数百キロの鉄の塊が高速でぶつかってくるならば、人間だろうと、妖怪だろうと、勿論、同じ車同士であろうとタダでは済まない。
もしそれを未然に抑えることが出来るのならば、さぞかし注目を集められるだろう。
「うーん・・・」
お茶を啜りながら、考える。
そこに厄神が、だめ押しの一言。
「交通安全祈願、なんて名前でお守りを売って、霊験あらたかなら、直ぐに参拝客も増えるんじゃないかしらねぇ・・・そうすれば、お賽銭もガッポガッポよぉ」
霊夢は、想像する。
毎日のようにお賽銭の入る日々・・・・・・。
すごく・・・イイ・・・。
「ガッポガッポ・・・お賽銭、ガッポガッポ・・・」
「どうかしらぁ・・・嫌なら、お山の上の神社の方に行っちゃうけどぉ?」
「駄目よ、あっちは神様が二人もいるわ・・・来るんなら私の所に来なさい」
「それじゃあ、決まりねぇ・・・」
「住むところなら、私の家を提供するわ・・・部屋なら好きなの使って良いわよ」
「ええ、そうさせていただくわぁ・・・」
「さあ、忙しくなるわね・・・まずは、お守りの生産ラインの確保と、神社の宣伝ね、これは天狗に任せるとして・・・後は・・・」
げに恐ろしきは、博麗の巫女の商魂か、それとも厄神の話術か・・・。
「(うふふふ・・・計画通りね・・・・・・頑張って、私のために信仰を集めてねぇ?・・・そして、何時の日か・・・)」
彼女は何を計画していると言うのだろうか。
そう、博麗の巫女を利用してまで実行しようとする計画、それは・・・。
「(そう、何時の日か、この世に存在する回転する物全てを集めた、廻る☆大回転博物館を、この手でっ・・・!)」
壮大なんだか、そうでないのだか、なんともカオスな計画を企てていた。
ただ、目を回しそうな内容なのだけは確かだ。
「その為には・・・ちゃあんと頑張らないと、ねぇ・・・クス、クス、クス・・・・・・」
彼女の計画実行の日まで、厄4キロ日。
11時間目 八雲 藍の場合
「いかんいかん・・・少々遅れてしまった・・・」
そう言いながら、立派な金色の九尾をなびかせ、八雲 藍は道を急ぐ。
目指すのは、自動車教習所。
今年の3月頃から藍は、そこで教官の仕事を務めている。
当時は、いきなり自分の主から・・・・・・
『藍~、ら~ん~』
『いかが致しましたか?、紫様』
『はい、これ』
『うわっ・・・と、何です?、この紙束は・・・』
『いい?、期限は二ヶ月・・・その期間でそこに記されている内容を、一文一句間違わずに全て覚えなさい・・・その間、橙は私が預かって置くから、頑張ってねぇ~~』
『ぅええええ!?、ちょっ、紫様!?、紫様あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『追記、ちゃんと出来たらご褒美に、橙と行く世界一週、一ヶ月の旅に連れて行ってあげるわ』
『 や り ま す と も !!!!!! 』
・・・・・・見事に子煩悩を操って見せた紫の勝利であった。
さて、二ヶ月後・・・ご褒美目当てで主の命令を受け、本の内容を見事に覚えきった矢先。
さあ、橙との旅行には何を着ていこうか、と、あーでもない、こーでもない、と、悩んでいた時の事。
再び主から呼び出しを受け・・・・・・
『藍~~、ら~ん~~』
『いかが致しましたか?、紫様?』
『はい、これ』
『あの・・・何ですか?、この紙は・・・』
『いい?、今度はそこに通って、そこの生徒に自分の覚えた知識を教えなさい・・・その間も、橙は私が預かって置くから、頑張ってねぇ~~』
『ぅえええええええええええ!?、ちょっ、紫様!?、紫様あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『追記、ちゃんと出来たらご褒美に、橙と行く世界一週、二ヶ月の旅に連れて行ってあげるわ』
『 や り ま す と も !!!!!! 』
・・・学習してねぇ。
この狐は、橙がからむと、チルノ以上になるのかも知れない。
いや、何がとは言わないが・・・。
まあともかく、そんなこんなで教員を続けて三ヶ月・・・生徒達も、基本的には皆素直で真面目に授業や実習に取り組んでくれている。
それに・・・。
「紫様の話では、もうすぐご褒美の日らしいからなぁ・・・ああ、橙、もうすぐ会えるからな・・・」
足取りも軽やかに、受付を通り、練習用コースに向かう。
「さあ、今日も頑張ろう・・・か・・・?」
コツン、と、爪先に何か当たった。
「・・・これは・・・」
それは、歯車だった。
それも、時計などに使うような細かいモノではなく、もっと大きな・・・まるで、大型の機械・・・そう、車などに使うような・・・
「おや?・・・ここにも・・・」
視線を上げると、大小の様々な金属片が、視界に入ってくる。
そして、視線を上げる毎にその数と大きさは増していき・・・
「ふんふん、ふ~~~ん・・・」
などと、鼻歌を歌いながら車だったモノを弄っている・・・否、解体している河童の姿を見付けた。
ような、ではなく、そのものだった。
藍は、その光景に、開いた口が塞がらなかった。
人それを、絶句という。
「お・・・おい・・・・・・」
話しかけようとする前に、突然空間に亀裂が入り、スキマが開く。
そして一枚の紙が、藍の手元に落ちてきた。
そこには・・・
『藍?、車一台を追加で注文するから世界一周のお金が足りなくなっちゃった、テヘ♪・・・プラス、監督不行き届きの罰として、ご褒美の件は延期って事で、それじゃあねぇ~~~』
・・・・・・
今一番知りたくなかった事が書いてあった・・・畜生っ・・・!
というか、使い込んだのかよっっっ。
今現在、藍の心を埋めているのは、悲しみと怒りと、怒りと、怒りと、怒りと、怒りと・・・ものすっごい殺意だった。
それは、負の無限力となって外に漏れ、河童に届く。
BGM:河童に届け、私の殺意 ~Full ver~
そんなテロップとBGMで、ようやく河童が藍に気が付いた。
殺意がモロに届いたのだろう、その体は小刻みに震えている。
よしよしヨシヨシ・・・その機械油に汚れた顔を、お前の血で洗い流してやろうウフフフフフフフフフフフフウフフフフフフフフ・・・・・・
「かぁぁぁぁわぁぁぁぁしぃぃぃぃろぉぉぉぉ・・・にぃぃぃぃとぉぉぉぉりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「うわっひゃああああああああああああ!?、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ・・・・・・」
断末魔ならぬ、弾幕魔。
教習所に、この世のモノとは思えぬ悲鳴が響き渡った。
どうでもいいが、弾幕魔って爆弾魔に似ていると思う。
主に響きが。
後日、全治二ヶ月の怪我で、永遠亭に入院中のにとりに罰が言い渡された。
その罰とは・・・・・・
『三ヶ月、キュウリ絶食』
その時のにとりの表情を見た永琳曰く。
『ムンクの叫びって、きっとこんな感じよねぇ』
とのこと。
11時間目 藤原 妹紅の場合
教習所に備わっている、温泉施設。
人妖問わず利用でき、なおかつ無料で入れるここは、利用客も多い。
指導教員である藤原 妹紅もそのうちの一人で、殆ど毎日、授業終了後に利用している。
無料とは、とても魅力的なのだ。
「はあぁ~~~~~~~~~~~~・・・生き返るぅ~~~~~~~~~~~~~~」
熱い温泉に浸かって、今日一日の疲れを取り除く。
・・・正直、今日の生徒は酷かった。
何せ、こちらの制止も聞かずの急発進に加え、他の生徒とのマジバトル。
そこから先は、思い出したくもない記憶・・・と言うより、意識がトンでいたせいで知らないだけなのだが。
「・・・にしても・・・酷い目にあったなぁ・・・」
「それは、私も同感ね」
「私もですよ・・・」
同意したのは、同じく『酷い目に遭った』、パチュリー・ノーレッジと、その使い魔の小悪魔。
妹紅と同じく、無料の温泉を目当てにここを利用している。
風呂上がりのカフェオレは、絶品だ。
「(しかし・・・)」
妹紅は、チラリと隣を見やる。
たゆん。
浮き輪か、アレは、浮き輪なのか?
スイカ?、それともメロン?・・・いいや、アレはもっと別の何か。
「言うなれば、水面に浮かぶビーチボールね・・・妬ましい」
「うおっ・・・何時の間に」
横を見ると、水面に頭だけ出してこちらを見ている妖怪のヘッド。
「初めまして、妬ましい、水橋 パルスィよ、妬ましい」
「ああ・・・噂は聞いてるよ・・・最近地下から出てきたって?」
「まあ、滅多に出てこないけれどね、妬ましい・・・今回は、面白そうだったから、妬ましい」
「どれだけ妬ましいんだ、アンタは」
「これは、癖のようなものよ、気にしないでちょうだい、ああ・・・妬ましい妬ましい・・・」
ぶくぶくぶくぶくぶく・・・・・・
沈み行くパルスィを見届ける。
それを浴槽にもたれ掛かりながら見ていると、パチュリー達が立ち上がった。
「うん?、もう帰るの?」
「ええ・・・貴女も、のぼせないようにね」
「はいよー」
適当に返事をして、目を瞑る。
戸が開く音と、閉まる音が聞こえ、浴室に静けさが戻る・・・
ぶくぶくぶくぶく・・・・・・
・・・訳でも無かった。
むしろ、他の音が聞こえないせいで、泡の弾ける音が目立つ。
ぶくぶく・・・
「・・・私も上がるか」
立ち上がり、湯船から出る。
何時飲んでも、ここのカフェオレは美味しい。
ぶく・・・
屋外に出ると、夜風が妹紅の髪を優しく撫でた。
その風にぶるりと体を震わせながら、妹紅は帰路に就く。
「さてさて・・・夕飯は、夜雀の屋台にでも食べに行くか・・・」
進路を変更。
一路、夜雀の経営している屋台に向かう。
風呂上がりの日本酒と、八目鰻の串焼きも、絶品だ。
サービスタイムに逝きますか?
YES/NO?
・ YES の人は、先に進みましょう。
・ NO の人は、素敵なお賽銭箱に向かいましょう。
おお、地上の温泉も、なかなか広いねえ、お空。
ああ、うん・・・そうだね。
?、どうかした?
いや、あれって、どう見ても、あれでしょ、あれ。
んう?・・・あ、土左衛門だぁ。
私には、あれが、どう見ても知り合いにしか見ないんだけど。
どう見てもって言うか、どう見たって知り合いじゃん?
いや、助けようよ!?
んーーーー・・・・・・アタイとしては、妖怪の死体もコレクションしてみたかったり・・・ダメ?
ダメに決まってんでしょうが!!、おーい、パルスィー!、生きてるー!?
脈無し、呼吸無し、体温無し、はいゾンビ決定ー
全部あるわぁぁぁぁ!!
あ、生き返った。
・・・ちっ
ぜはー、妬ましい、ぜはー、妬ましい・・・
呼吸整えるか、妬むか、どっちかにしない?
私にとって、妬む=呼吸よ。
・・・さいですか。
んで、何故にお風呂で土左衛門してたの?
大きいのが妬ましかったから。
はい?
・・・そう言えば、アンタらも、以外にあるわねぇ。
な・・・何の話し・・・?
これよ!!、こ・れ!!!
うひゃああああああああああああああああああ!?
何でこんなに大きいのよ!!、一体何食べたらこんなに大きくなるのかしら、ねぇ!?
お、お燐っ、たす、助けっ・・・て、逃げるなあああああああああああああああああ!!!
うにゃあああああああああ!?、しっ・・・シッポ掴まないでええええええええ!!
まったく・・・どいつもこいつも妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!
終われ。
マウスの誤作動で入った方も、楽しんでいただければ幸いです。
んじゃあ、逝くぜっ!!
10時間目 鍵山 雛の場合
博麗 霊夢が、その事実に気が付いたのは、車の運転免許を取得した後のことだった。
「そう言えば、私、車持って無いじゃない・・・」
運転免許証の意味がねえ。
お金を持っている連中が凄く妬ましい。
何が妬ましいって、そりゃあ、紅いお屋敷とか、冥界のお屋敷とか、竹林のお屋敷とか、山の上の神社とか。
もう、あまりの妬ましさに、水橋 パルスィを神様に祭り上げて妬ましい人専用の宗教でも立ち上げようかしらうふふ・・・。
などと、考え事をしていると。
「あらあら・・・それじゃあ、私を神様に祀ってみない?」
「うん?・・・アンタは」
声の方に振り向くと、そこには・・・。
「ああ、いつぞやの厄神・・・何か用?」
「貴女が厄を撒き散らしているから来てみたのよ・・・だから、その原因解決に」
「お金が無いことと、アンタを祀ることと、関係あるの?」
すると、雛は回転しながら。
「そりゃあそうよぉ・・・何せ私は、ありとあらゆる厄を取り除けるのよぉ?・・・厄っていうのはねぇ、普段の何気ない通り道にもあるの・・・そしてその厄が一定以上溜まるとぉ、何気ない通り道でも色々悪いことが起きちゃうのよねぇ・・・」
「ふうん・・・」
「昔はそうでもなかったけどぉ・・・ほら、今は車とか入って来ちゃってるじゃなぁい?・・・今はそうでもないけどぉ・・・そろそろ起きるわよぉ?、交通事故とか」
「むぅ・・・」
言いたいことは、大体理解できた。
確かに、車というのは、ある意味凶器だ。
数百キロの鉄の塊が高速でぶつかってくるならば、人間だろうと、妖怪だろうと、勿論、同じ車同士であろうとタダでは済まない。
もしそれを未然に抑えることが出来るのならば、さぞかし注目を集められるだろう。
「うーん・・・」
お茶を啜りながら、考える。
そこに厄神が、だめ押しの一言。
「交通安全祈願、なんて名前でお守りを売って、霊験あらたかなら、直ぐに参拝客も増えるんじゃないかしらねぇ・・・そうすれば、お賽銭もガッポガッポよぉ」
霊夢は、想像する。
毎日のようにお賽銭の入る日々・・・・・・。
すごく・・・イイ・・・。
「ガッポガッポ・・・お賽銭、ガッポガッポ・・・」
「どうかしらぁ・・・嫌なら、お山の上の神社の方に行っちゃうけどぉ?」
「駄目よ、あっちは神様が二人もいるわ・・・来るんなら私の所に来なさい」
「それじゃあ、決まりねぇ・・・」
「住むところなら、私の家を提供するわ・・・部屋なら好きなの使って良いわよ」
「ええ、そうさせていただくわぁ・・・」
「さあ、忙しくなるわね・・・まずは、お守りの生産ラインの確保と、神社の宣伝ね、これは天狗に任せるとして・・・後は・・・」
げに恐ろしきは、博麗の巫女の商魂か、それとも厄神の話術か・・・。
「(うふふふ・・・計画通りね・・・・・・頑張って、私のために信仰を集めてねぇ?・・・そして、何時の日か・・・)」
彼女は何を計画していると言うのだろうか。
そう、博麗の巫女を利用してまで実行しようとする計画、それは・・・。
「(そう、何時の日か、この世に存在する回転する物全てを集めた、廻る☆大回転博物館を、この手でっ・・・!)」
壮大なんだか、そうでないのだか、なんともカオスな計画を企てていた。
ただ、目を回しそうな内容なのだけは確かだ。
「その為には・・・ちゃあんと頑張らないと、ねぇ・・・クス、クス、クス・・・・・・」
彼女の計画実行の日まで、厄4キロ日。
11時間目 八雲 藍の場合
「いかんいかん・・・少々遅れてしまった・・・」
そう言いながら、立派な金色の九尾をなびかせ、八雲 藍は道を急ぐ。
目指すのは、自動車教習所。
今年の3月頃から藍は、そこで教官の仕事を務めている。
当時は、いきなり自分の主から・・・・・・
『藍~、ら~ん~』
『いかが致しましたか?、紫様』
『はい、これ』
『うわっ・・・と、何です?、この紙束は・・・』
『いい?、期限は二ヶ月・・・その期間でそこに記されている内容を、一文一句間違わずに全て覚えなさい・・・その間、橙は私が預かって置くから、頑張ってねぇ~~』
『ぅええええ!?、ちょっ、紫様!?、紫様あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『追記、ちゃんと出来たらご褒美に、橙と行く世界一週、一ヶ月の旅に連れて行ってあげるわ』
『 や り ま す と も !!!!!! 』
・・・・・・見事に子煩悩を操って見せた紫の勝利であった。
さて、二ヶ月後・・・ご褒美目当てで主の命令を受け、本の内容を見事に覚えきった矢先。
さあ、橙との旅行には何を着ていこうか、と、あーでもない、こーでもない、と、悩んでいた時の事。
再び主から呼び出しを受け・・・・・・
『藍~~、ら~ん~~』
『いかが致しましたか?、紫様?』
『はい、これ』
『あの・・・何ですか?、この紙は・・・』
『いい?、今度はそこに通って、そこの生徒に自分の覚えた知識を教えなさい・・・その間も、橙は私が預かって置くから、頑張ってねぇ~~』
『ぅえええええええええええ!?、ちょっ、紫様!?、紫様あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
『追記、ちゃんと出来たらご褒美に、橙と行く世界一週、二ヶ月の旅に連れて行ってあげるわ』
『 や り ま す と も !!!!!! 』
・・・学習してねぇ。
この狐は、橙がからむと、チルノ以上になるのかも知れない。
いや、何がとは言わないが・・・。
まあともかく、そんなこんなで教員を続けて三ヶ月・・・生徒達も、基本的には皆素直で真面目に授業や実習に取り組んでくれている。
それに・・・。
「紫様の話では、もうすぐご褒美の日らしいからなぁ・・・ああ、橙、もうすぐ会えるからな・・・」
足取りも軽やかに、受付を通り、練習用コースに向かう。
「さあ、今日も頑張ろう・・・か・・・?」
コツン、と、爪先に何か当たった。
「・・・これは・・・」
それは、歯車だった。
それも、時計などに使うような細かいモノではなく、もっと大きな・・・まるで、大型の機械・・・そう、車などに使うような・・・
「おや?・・・ここにも・・・」
視線を上げると、大小の様々な金属片が、視界に入ってくる。
そして、視線を上げる毎にその数と大きさは増していき・・・
「ふんふん、ふ~~~ん・・・」
などと、鼻歌を歌いながら車だったモノを弄っている・・・否、解体している河童の姿を見付けた。
ような、ではなく、そのものだった。
藍は、その光景に、開いた口が塞がらなかった。
人それを、絶句という。
「お・・・おい・・・・・・」
話しかけようとする前に、突然空間に亀裂が入り、スキマが開く。
そして一枚の紙が、藍の手元に落ちてきた。
そこには・・・
『藍?、車一台を追加で注文するから世界一周のお金が足りなくなっちゃった、テヘ♪・・・プラス、監督不行き届きの罰として、ご褒美の件は延期って事で、それじゃあねぇ~~~』
・・・・・・
今一番知りたくなかった事が書いてあった・・・畜生っ・・・!
というか、使い込んだのかよっっっ。
今現在、藍の心を埋めているのは、悲しみと怒りと、怒りと、怒りと、怒りと、怒りと・・・ものすっごい殺意だった。
それは、負の無限力となって外に漏れ、河童に届く。
BGM:河童に届け、私の殺意 ~Full ver~
そんなテロップとBGMで、ようやく河童が藍に気が付いた。
殺意がモロに届いたのだろう、その体は小刻みに震えている。
よしよしヨシヨシ・・・その機械油に汚れた顔を、お前の血で洗い流してやろうウフフフフフフフフフフフフウフフフフフフフフ・・・・・・
「かぁぁぁぁわぁぁぁぁしぃぃぃぃろぉぉぉぉ・・・にぃぃぃぃとぉぉぉぉりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
「うわっひゃああああああああああああ!?、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ・・・・・・」
断末魔ならぬ、弾幕魔。
教習所に、この世のモノとは思えぬ悲鳴が響き渡った。
どうでもいいが、弾幕魔って爆弾魔に似ていると思う。
主に響きが。
後日、全治二ヶ月の怪我で、永遠亭に入院中のにとりに罰が言い渡された。
その罰とは・・・・・・
『三ヶ月、キュウリ絶食』
その時のにとりの表情を見た永琳曰く。
『ムンクの叫びって、きっとこんな感じよねぇ』
とのこと。
11時間目 藤原 妹紅の場合
教習所に備わっている、温泉施設。
人妖問わず利用でき、なおかつ無料で入れるここは、利用客も多い。
指導教員である藤原 妹紅もそのうちの一人で、殆ど毎日、授業終了後に利用している。
無料とは、とても魅力的なのだ。
「はあぁ~~~~~~~~~~~~・・・生き返るぅ~~~~~~~~~~~~~~」
熱い温泉に浸かって、今日一日の疲れを取り除く。
・・・正直、今日の生徒は酷かった。
何せ、こちらの制止も聞かずの急発進に加え、他の生徒とのマジバトル。
そこから先は、思い出したくもない記憶・・・と言うより、意識がトンでいたせいで知らないだけなのだが。
「・・・にしても・・・酷い目にあったなぁ・・・」
「それは、私も同感ね」
「私もですよ・・・」
同意したのは、同じく『酷い目に遭った』、パチュリー・ノーレッジと、その使い魔の小悪魔。
妹紅と同じく、無料の温泉を目当てにここを利用している。
風呂上がりのカフェオレは、絶品だ。
「(しかし・・・)」
妹紅は、チラリと隣を見やる。
たゆん。
浮き輪か、アレは、浮き輪なのか?
スイカ?、それともメロン?・・・いいや、アレはもっと別の何か。
「言うなれば、水面に浮かぶビーチボールね・・・妬ましい」
「うおっ・・・何時の間に」
横を見ると、水面に頭だけ出してこちらを見ている妖怪のヘッド。
「初めまして、妬ましい、水橋 パルスィよ、妬ましい」
「ああ・・・噂は聞いてるよ・・・最近地下から出てきたって?」
「まあ、滅多に出てこないけれどね、妬ましい・・・今回は、面白そうだったから、妬ましい」
「どれだけ妬ましいんだ、アンタは」
「これは、癖のようなものよ、気にしないでちょうだい、ああ・・・妬ましい妬ましい・・・」
ぶくぶくぶくぶくぶく・・・・・・
沈み行くパルスィを見届ける。
それを浴槽にもたれ掛かりながら見ていると、パチュリー達が立ち上がった。
「うん?、もう帰るの?」
「ええ・・・貴女も、のぼせないようにね」
「はいよー」
適当に返事をして、目を瞑る。
戸が開く音と、閉まる音が聞こえ、浴室に静けさが戻る・・・
ぶくぶくぶくぶく・・・・・・
・・・訳でも無かった。
むしろ、他の音が聞こえないせいで、泡の弾ける音が目立つ。
ぶくぶく・・・
「・・・私も上がるか」
立ち上がり、湯船から出る。
何時飲んでも、ここのカフェオレは美味しい。
ぶく・・・
屋外に出ると、夜風が妹紅の髪を優しく撫でた。
その風にぶるりと体を震わせながら、妹紅は帰路に就く。
「さてさて・・・夕飯は、夜雀の屋台にでも食べに行くか・・・」
進路を変更。
一路、夜雀の経営している屋台に向かう。
風呂上がりの日本酒と、八目鰻の串焼きも、絶品だ。
サービスタイムに逝きますか?
YES/NO?
・ YES の人は、先に進みましょう。
・ NO の人は、素敵なお賽銭箱に向かいましょう。
おお、地上の温泉も、なかなか広いねえ、お空。
ああ、うん・・・そうだね。
?、どうかした?
いや、あれって、どう見ても、あれでしょ、あれ。
んう?・・・あ、土左衛門だぁ。
私には、あれが、どう見ても知り合いにしか見ないんだけど。
どう見てもって言うか、どう見たって知り合いじゃん?
いや、助けようよ!?
んーーーー・・・・・・アタイとしては、妖怪の死体もコレクションしてみたかったり・・・ダメ?
ダメに決まってんでしょうが!!、おーい、パルスィー!、生きてるー!?
脈無し、呼吸無し、体温無し、はいゾンビ決定ー
全部あるわぁぁぁぁ!!
あ、生き返った。
・・・ちっ
ぜはー、妬ましい、ぜはー、妬ましい・・・
呼吸整えるか、妬むか、どっちかにしない?
私にとって、妬む=呼吸よ。
・・・さいですか。
んで、何故にお風呂で土左衛門してたの?
大きいのが妬ましかったから。
はい?
・・・そう言えば、アンタらも、以外にあるわねぇ。
な・・・何の話し・・・?
これよ!!、こ・れ!!!
うひゃああああああああああああああああああ!?
何でこんなに大きいのよ!!、一体何食べたらこんなに大きくなるのかしら、ねぇ!?
お、お燐っ、たす、助けっ・・・て、逃げるなあああああああああああああああああ!!!
うにゃあああああああああ!?、しっ・・・シッポ掴まないでええええええええ!!
まったく・・・どいつもこいつも妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!
終われ。
藍もつくづく親ばかだな~ww
味噌だけで! 味噌だけでイキロというんですか!?
とりあえず早苗さんがまだ出てないようなのでリクさせて頂きます。